説明

粉体混合物製造装置

【課題】 砂等の母材にベントナイト等の粉体を混合する際に均一な混合が可能であり、さらに粉体混合物(ベントナイト混合土)に流体(水)を加える際に、粉体混合物(ベントナイト混合土)が団子状の塊になることがなく、均一に流体を加えることができる。また、混合装置に対して粉体混合物(ベントナイト混合土)が付着することによる品質低下や、混合装置の清掃等による施工能率の低下が生じることがない、高品質かつ安価な装置とする。
【解決手段】 母材(例えば砂)に対して粉体(例えばベントナイト)を混合させると共に、流体(例えば水)を加えて、所望の流体含有比(含水比)である粉体混合物(ベントナイト混合土)を製造するための粉体混合物製造装置100であって、母材供給装置200と、粉体供給装置300と、混合装置400と、流体混入装置500とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体混合物製造装置に関するものであり、例えば、砂や礫等の母材とベントナイト等の粉体を均一に混合して流体(例えば水)を加え、所望の流体含有比(含水比)を有する粉体混合物(ベントナイト混合土)を製造するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベントナイト混合土は、砂、礫などの土とベントナイトとを混合したものであり、廃棄物処分施設の低透水層等を構築する材料として使用されている。また、放射性廃棄物処分施設等のように極めて高い低透水性が求められる場合には、ベントナイトが単独で用いられることもある。低透水層を構築するためのベントナイトやベントナイト混合土が、所要の低透水性を発揮するためには、十分な締固めを行って低透水層の密度を高める必要がある。このため、締固めを容易に行うことができるように、適度な加水を行ってベントナイトやベントナイト混合土を湿潤状態とするのが一般的である。
【0003】
ベントナイトやベントナイト混合土に加水を行う方法として、例えば、コンクリート製造用の二軸強制ミキサや、バグミル型ミキサ、あるいは自走式土質改良機やスタビライザと呼ばれる混合機械にて、土とベントナイトとを混合する際に加水を行い、土、ベントナイト及び水を機械的に攪拌・混合する方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−100132号公報
【特許文献2】特開2010−222874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ベントナイトは加水されることで強い粘性を発揮するため、機械的に材料を攪拌・混合した場合、ミキサの羽根や回転軸等にベントナイトやベントナイト混合土が容易に付着することが知られている。これにより、攪拌性能が低下して均質なベントナイト混合土の製造が困難となる。また、ミキサの羽根や回転軸等への付着物を除去するためには、一旦混合作業を中止して清掃を行う必要があるため、多大な手間を要すると共に、施工能率が大きく低下するという問題がある。
【0006】
さらに、ベントナイトは、その粘性化する性質から、機械的な攪拌を強く行いすぎると団子状の塊になってしまい、これによっても均質なベントナイトやベントナイト混合土の製造が困難になるという問題がある。
【0007】
このような問題に対して、上記特許文献1に記載された技術は、砂及び礫と、ベントナイトとを空練りする空練り部と、空練り後のベントナイト混合土に水を加える水投入部と、水が加えられたベントナイト混合土をさらに混合する練り混ぜ部を備えた構成となっている。この技術では、砂及び礫と、ベントナイトとを空練りした後に、水を加えて練り混ぜることで、団子状の塊(玉)が形成されることがなく、ばらつきの少ないベントナイト混合土が製造できるとしている。
【0008】
しかし、特許文献1に記載された技術では、空練りしたベントナイト混合土と水の練り混ぜ時には、やはりバグミル型ミキサやスタビライザ等の機械式混合装置を使用しており、攪拌羽根や回転軸等にベントナイト混合土が付着するという問題を解決しているとは言い難かった。
【0009】
また、特許文献1には、簡易な練り混ぜ方法として、邪魔板を交互に突出させた構造に、ベントナイト混合土を鉛直方向に落下させる方法が示されている。しかし、この場合にも、やはり邪魔板にベントナイト混合土が付着してしまい、メンテナンスが問題となる。さらに、邪魔板にベントナイト混合土を衝突させるだけの簡易な練り混ぜ方法では、品質の高い練り混ぜを行うことは困難である。
【0010】
また、上記特許文献2に記載された技術では、乾燥状態のベントナイトやベントナイト混合土を低透水層の構築場所に撒出し、その後に水を供給して、撒出し場所にてベントナイトやベントナイト混合土と水とを攪拌するようになっている。しかし、特許文献2に記載された技術においても、機械的な攪拌を行っている限り、攪拌羽根や回転軸等にベントナイト混合土が付着するという問題は解決されず、その清掃等のメンテナンスが必要である。さらに、低透水層の構築現場においてベントナイト混合土と水とを攪拌・混合する方法では、品質のばらつきが大きいという問題がある。
【0011】
さらに、砂や礫等の母材とベントナイトとを均一に混合しなければ、高品質のベントナイト混合土を製造することはできないが、従来の機械的は攪拌では、必ずしも均一な混合を行えない場合があった。このような問題は、母材及び粉体からなる粉体混合物に対して、流体を加える場合にも同様に生じうるものである。
【0012】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、砂等の母材にベントナイト等の粉体を混合する際に均一な混合が可能であり、さらに粉体混合物(ベントナイト混合土)に流体を加える(加水を行う)際に、粉体混合物(ベントナイト混合土)が団子状の塊になることがなく、均一に流体を加える(加水を行う)ことが可能な粉体混合物製造装置を提供することを目的とする。また、本発明は、混合装置に対して粉体混合物(ベントナイト混合土)が付着することによる品質低下や、混合装置の清掃等による施工能率の低下が生じることがない、高品質かつ安価な粉体混合物製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の粉体混合物製造装置は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を備えている。すなわち、本発明の粉体混合物製造装置は、母材(例えば砂)に対して粉体(例えばベントナイト)を混合させると共に流体(例えば水)を加えて、所望の流体含有比(含水比)である粉体混合物(ベントナイト混合土)を製造するための粉体混合物製造装置であって、母材供給装置と、粉体供給装置と、混合装置と、流体混入装置とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
母材供給装置は、流体含有比(含水比)を測定した母材(砂)を、予め設定した目標流体含有比(目標含水比)の粉体混合物(ベントナイト混合土)となるように計量して、定量的に供給するための装置である。粉体供給装置は、流体含有比(含水比)を測定した粉体(ベントナイト)を、予め設定した目標流体含有比(含水比)の粉体混合物(ベントナイト混合土)となるように計量して、定量的に供給するための装置である。
【0015】
混合装置は、上下方向に並行配置された複数の変形通路を含み、各変形通路は、その断面形状が入口から出口に向かって連続的に変化すると共に、各変形通路の入口と出口との間に、各変形通路を通過する母材(砂)及び粉体(ベントナイト)を合流させる合流手段と、合流した母材(砂)及び粉体(ベントナイト)を分割して各変形通路に流下させる分割手段とを備えることにより、母材(砂)と粉体(ベントナイト)とを均一に混合して粉体混合物(ベントナイト混合土)を生成するための装置である。
【0016】
流体混入装置は、粉体混合物(ベントナイト混合土)を定量的に供給する粉体混合物供給部と、粉体混合物(ベントナイト混合土)を自由落下させる落下部と、自由落下する粉体混合物(ベントナイト混合土)に対して微粒子状の流体(水)を噴射(噴霧)する複数の噴射ノズルを有する噴射部とを備えることにより、粉体混合物(ベントナイト混合土)に流体を加える(加水を行う)ための装置である。
【0017】
また、本発明の粉体混合物製造装置において、母材は砂又は礫であり、粉体はベントナイトとすることが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の粉体混合物製造装置は、例えば、砂や礫等の母材とベントナイト等の粉体を均一に混合して、薄く広げた状態で鉛直に自由落下させ、微粒子状の流体(水)を四方八方から多点的に噴射(噴霧)して、粉体混合物(ベントナイト混合土)と流体(水)とを広く接触させることができる。
【0019】
これにより、粉体混合物(ベントナイト混合土)が団子状の塊となることがなく、また、混合装置や流体混入装置の構造部位に付着する等の問題を生じさせることなく、均一に流体を加える(加水する)ことが可能となる。
【0020】
このように、砂等の母材とベントナイト等が均一に混合されているため、流体を加えた後(加水後)の粉体混合物(ベントナイト混合土)の品質を向上させることが可能となる。さらに、施工能率が向上するので、高品質かつ安価な粉体混合物製造装置とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る粉体混合物製造装置の構成を示す模式図。
【図2】混合装置及び流体混入装置を拡大して示す詳細模式図。
【図3】流体混入装置の詳細模式図。
【図4】混合装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明に係る粉体混合物製造装置の実施形態を説明する。図1〜図4は本発明の実施形態に係る粉体混合物製造装置を示すもので、図1は全体構成を示す模式図、図2は混合装置及び流体混入装置の拡大模式図、図3は流体混入装置の詳細模式図、図4は混合装置の説明図である。なお、図1と図2とでは、混合装置及び流体混入装置の形状に若干の相違があるが、それぞれ若干の変更を加えた実施形態を示すもので、主要な構成において差違はない。
【0023】
また、以下の説明では、粉体の代表例としてベントナイトについて説明するが、本発明を適用する粉体はこれに限られるものではなく、セメントのように、他の粉体にも適用することができる。なお、本実施形態が対象とする粉体とは、粒径がおよそ1mm未満程度の固体粒子のことである。また、この粉体と母材とを混合して生成される粉体混合物は、粒径がおよそ1mm〜20mm程度の固体粒子である。
【0024】
また、流体は水に限られず、流動性を有する物質であればどのような流体であってもよく、例えば、コンクリート混和剤(空気連行剤、減水剤、凝結・硬化調節剤、増粘剤、発泡剤・起泡剤等の溶液)等、種々の流体に適用することができる。したがって、以下の説明において、水以外の流体を用いる場合には、含水比とは流体含有比のことを言う。
【0025】
<混合物製造装置の概要>
本発明の実施形態に係る粉体混合物製造装置100は、図1に示すように、母材である砂や礫に対して粉体であるベントナイトを混合させると共に、加水を行って、所望の含水比である粉体混合物(ベントナイト混合土)を製造するための装置であって、母材供給装置200と粉体供給装置300と、混合装置400と、流体混入装置500とを備えている。以下、各装置について説明する。
【0026】
<母材供給装置>
母材供給装置200は、含水比を測定した母材(例えば砂)を、予め設定した目標含水比の粉体混合物となるように計量して、定量的に供給するための装置である。この母材供給装置200は、図1に示すように、部材を受け入れる母材ホッパー210と、母材を定量的に供給するための定量供給部(図示せず)を備えている。母材ホッパー210は母材を一時的に貯留するための装置で、母材ホッパー210に貯留された母材は、定量供給部により定量的に供給される。この母材ホッパー210には、上部に設けた開口部から母材が供給される。具体的には、パワーショベル等の重機を用いて、砂等の母材を開口部から母材ホッパー210内に投入する。また、母材ホッパー210の下部にはベルトコンベア610が設置されており、定量的に供給される母材は、ベルトコンベア610により粉体供給装置300に向かって搬送される。
【0027】
図示しないが、母材ホッパー210には、その重量(貯留されている母材の重量)を計量するための計量装置(例えばロードセル)が取り付けられている。この計量装置により、母材重量の変化を継続的に計測して定量供給部の駆動を制御することにより、母材を定量的に供給することができる。
【0028】
定量供給部は、例えば、スクリューコンベアと、スクリューコンベアの回転軸を回転駆動するためのモータとからなる。なお、定量供給部はどのような構造であってもよく、スクリューコンベアを用いた装置の他に、ピストン式、ダイヤフラム式、プランジャ式、スネーク式等の装置を用いることができる。
【0029】
また、本実施形態では、予め母材の含水比を測定するが、含水比の測定には、例えば赤外線水分計等の含水比測定装置等を用いればよい。含水比の測定は、母材の状態(ヤードでの野積み、建屋内での保管等)に応じて、適宜な時間間隔で行われる。
【0030】
<粉体供給装置>
粉体供給装置300は、含水比を測定した粉体(例えばベントナイト)を、予め設定した目標含水比の粉体混合物となるように計量して、定量的に供給するための装置である。この粉体供給装置300は、粉体を貯留するためのサイロ310と、サイロ310内に貯留した粉体を受け入れる粉体ホッパー320と、粉体を定量的に供給するための定量供給部(図示せず)を備えている。サイロ310は、粉体に対する外気湿度の影響を極力防止するための装置で、サイロ310内には適宜重量の粉体が貯留されている。サイロ310内に貯留された粉体は、粉体ポンプ等の輸送装置により、粉体ホッパー320へ供給される。粉体ホッパー320は、粉体を一時的に貯留するための装置で、粉体ホッパー320に貯留された粉体は、定量供給部により定量的に供給される。また、粉体ホッパー320の下部にはベルトコンベア620が設置されており、定量的に供給される粉体は、ベルトコンベア620上で母材と一緒になり、混合装置400に向かって搬送される。
【0031】
図示しないが、粉体ホッパー320には、その重量(貯留されている粉体の重量)を計量するための計量装置(例えばロードセル)が取り付けられている。この計量装置により、粉体重量の変化を継続的に計測して定量供給部の駆動を制御することにより、粉体を定量的に供給することができる。
【0032】
定量供給部は、例えば、スクリューコンベアと、スクリューコンベアの回転軸を回転駆動するためのモータとからなる。なお、定量供給部はどのような構造であってもよく、スクリューコンベアを用いた装置の他に、ピストン式、ダイヤフラム式、プランジャ式、スネーク式等の装置を用いることができる。
【0033】
また、本実施形態では、予め粉体の含水比を測定するが、含水比の測定には、例えば赤外線水分計等の含水比測定装置等を用いればよい。含水比の測定は、適宜な時間間隔で行われる。
【0034】
<混合装置>
混合装置400は、図1、図2及び図4に示すように、上下方向に配置された複数の変形通路410を備えている。各変形通路410は、その断面形状が入口から出口に向かって連続的に変化すると共に、各変形通路410の入口と出口との間に、各変形通路410を通過する母材及び粉体を合流させる合流部と、合流した母材及び粉体を分割して各変形通路410に流下させる分割部とを備えることにより、母材と粉体の合流及び分割を繰り返し、母材及び粉体を均一に混合して粉体混合物を生成することができる。変形通路410の最上部にはホッパー420が設けられており、ベルトコンベア620上を搬送されてきた母材及び粉体を受け入れて、変形通路410内へ落下させる。
【0035】
この混合装置400は、例えば、特許第2975891号公報に記載された「混練方法およびその装置」に関する技術を用いることができる。このような構成からなる混合装置400を用いて、母材及び粉体を混合するには、図4に示すように、各変形通路410の入口から流動性のある母材及び粉体を送り込むことにより、母材及び粉体の混合物の断面形状を連続的に変化させて混合を促進させる。そして、混合工程の途中で、各変形通路410内を流れる母材及び粉体を合流させる工程と、合流した母材及び粉体を分割して各変形通路410にそれぞれ流す工程と、各変形通路410内を流れる母材及び粉体が互いに合流するタイミングを相互にずらす工程とを実施する。
【0036】
混合装置400の下部にはベルトコンベア630が配設されており、このベルトコンベア630により、粉体混合物(ベントナイト混合土700)が流体混入装置500の上部へ搬送される。なお、図1及び図2に示す例では、各ベルトコンベア610、620、630の傾斜角度がそれぞれ相違しているが、各ベルトコンベア610、620、630の傾斜角度は、装置を設置する敷地の面積や、搬送する母材及び粉体(例えば、砂、ベントナイト、ベントナイト混合土)の搬送量等に応じて、適宜変更して実施することができる。
【0037】
<流体混入装置>
流体混入装置500は、図1及び図2に示すように、粉体混合物を定量的に供給する粉体混合物供給部510と、粉体混合物を自由落下させる落下部520と、自由落下する粉体混合物に対して微粒子状の流体(水)を噴射(噴霧)する複数の噴射ノズル531を有する噴射部530とを備えることにより、粉体混合物に流体を加える(加水する)ための装置である。本実施形態の流体混入装置500は、加水装置となっている。
【0038】
具体的には、流体混入装置(加水装置)500は、図2及び図3に示すように、略円筒形状の落下部520を備えており、この落下部520の上方に粉体混合物供給部510を配置している。本実施形態の粉体混合物供給部510は、ホッパー511と、スクリューコンベア512及び攪拌翼513等を有する定量供給装置514とを備えており、混合装置400により空練りされた粉体混合物(ベントナイト混合土700)をホッパー511に蓄え、この粉体混合物(ベントナイト混合土700)を定量供給装置514により、落下部520内に定量的に落下させる。落下部520には、ホッパー511の直下に位置するように拡散装置521が設けられており、この拡散装置521により、粉体混合物(ベントナイト混合土700)が同心円状に広がって、落下部520内を鉛直に落下する。
【0039】
落下部520には、同心円状に広がって自由落下する粉体混合物(ベントナイト混合土700)の内側及び外側に位置するように、かつ、落下部520の高さ方向に沿って、複数の噴射ノズル531を有する噴射部530が設けられており、この噴射部530から、自由落下する粉体混合物(ベントナイト混合土700)に対して微粒子状の水を噴射することにより、粉体混合物(ベントナイト混合土700)と水とを接触させる。この際、自由落下中の粉体混合物(ベントナイト混合土700)が水の噴射圧によって飛散しないように、噴射ノズル531は、同心円の内外から粉体混合物(ベントナイト混合土700)を挟み込む位置に配置して加水を行う。これにより、落下部520内を自由落下する粉体混合物(ベントナイト混合土700)が、所望の状態となるまで加水される。
【0040】
<混合物供給部>
粉体混合物供給部510は、図2及び図3に示すように、落下部520の上部に設けられたホッパー511と、ホッパー511の下部に設けられた定量供給装置514とからなる。ホッパー511は、ベントナイト混合土700を貯留できればどのような形状であってもよいが、本実施形態では、下向きに縮径した円錐状となっており、下端部に排出口が設けられている。なお、ホッパー511の形状や容量は、加水処理を行う粉体混合物(ベントナイト混合土700)の処理量等、処理現場の状況に応じて適宜変更することができる。
【0041】
<定量供給装置>
定量供給装置514は、図2及び図3に示すように、ホッパー511の下部に設けられたスクリューコンベア512と、スクリューコンベア512の回転軸を回転駆動するためのモータ(図示せず)とを備えており、さらに、ホッパー511内に貯留した粉体混合物(ベントナイト混合土700)を攪拌するための攪拌翼513を備えることが好ましい。攪拌翼513は、攪拌回転軸に取り付けられたレイキからなり、ホッパー511の排出口付近の粉体混合物(ベントナイト混合土700)を攪拌して、スクリューコンベア512に対して粉体混合物(ベントナイト混合土700)を安定供給するための部材である。
【0042】
この定量供給装置514では、スクリューコンベア512を等速回転させることにより、ホッパー511内に貯留された粉体混合物(ベントナイト混合土700)が、排出口から定量的に排出される。なお、定量供給装置514は、スクリューコンベア512及びその付属機器に限定されるものではなく、粉体混合物(ベントナイト混合土700)を定量供給できる装置であれば、ピストン式、ダイヤフラム式、プランジャ式、スネーク式等、どのような構造であってもよい。
【0043】
図示しないが、ホッパー511には、その重量(貯留されている粉体混合物(ベントナイト混合土700)の重量)を計量するための計量装置(例えばロードセル)が取り付けられている。この計量装置により、粉体混合物(ベントナイト混合土700)の重量の変化を継続的に計測して定量供給装置514の駆動を制御することにより、粉体混合物(ベントナイト混合土700)を定量的に供給することができる。
【0044】
<落下部>
落下部520は、図2及び図3に示すように、架台上に載置された円筒状の部材であり、粉体混合物(ベントナイト混合土700)を自由落下させる間に、所定量の加水を行うことができる高さを有している。落下部520の形状、径及び高さは、加水処理を行う粉体混合物(ベントナイト混合土700)の処理量等、処理現場の状況に応じて適宜変更することができる。
【0045】
<拡散装置>
拡散装置521は、図2及び図3に示すように、下向きに拡径したコーン状の部材であり、粉体混合物供給部510の直下に設けられた円筒状の拡散部523内に収容されている。粉体混合物供給部510から供給される粉体混合物(ベントナイト混合土700)は拡散装置521により同心円状に広がり、落下部520内を自由落下する。また、拡散装置521の下部には、拡散装置521と一体となって、粉体混合物(ベントナイト混合土700)を同心円状に広げるために、円筒状のスカート部522が設けられている。すなわち、ホッパー511の排出口から落下する粉体混合物(ベントナイト混合土700)は、コーン状の拡散装置521により同心円状に広げられるが、この際、粉体混合物(ベントナイト混合土700)が拡散部の内壁に衝突して跳ね返り、拡散装置521の径よりも内側へ広がることを防止するために、緩衝部として機能するスカート部522が設けられている。
【0046】
なお、拡散装置521は、上述した形状に限定されるものではなく、落下する粉体混合物(ベントナイト混合土700)を拡散できればどのような形状であってもよく、落下部520の形状等に応じて適宜な形状とすることができる。また、スカート部522は、メンテナンス等を容易にするため、拡散装置521に対して着脱可能とすることが好ましい。
【0047】
<噴射ノズル>
噴射ノズル531は、図3に示すように、同心円状に広がって自由落下する粉体混合物(ベントナイト混合土700)の内側及び外側に位置するようにして、落下部520の周方向及び高さ方向に沿って複数配置されている。各噴射ノズル531には、給水配管540の一端が接続されており、給水配管540の他端は圧縮ポンプ570に接続されている。そして、水タンクに貯留した水を圧縮ポンプ570により所定圧力に圧縮し、給水配管540を介して噴射ノズル531に供給することにより、噴射ノズル531から微粒子状(霧状)の水が噴出する。なお、本実施形態の噴射ノズル531から噴射する水粒子の径は、約10〜400μmである。また、噴射する水の圧力は、約0.05〜1.0MPaである。
【0048】
この噴射ノズル531を有する噴射部530は、落下部520の略中心部と外周部の内外2系統に分かれており、落下部520の高さ方向(上下方向)に多段に配置されている。内側系統の噴射部530は、高さ方向に複数段(例えば4〜8段)となっており、各段の噴射部530には、落下部520の中心から外側に向かって同心円状で等間隔に複数箇所(例えば4〜8カ所)の噴射ノズル531が取り付けられている。
【0049】
一方、外側系統の各噴射部530は、内側系統の各噴射部530にそれぞれ対向する位置に配置されている。すなわち、外側系統の噴射ノズル531を有する噴射部530は、高さ方向に複数段(例えば4〜8段)の給水配管540に取り付けられている。各段の給水配管540には、落下部520の外側から中心に向かって同心円状で等間隔に複数箇所(例えば4〜8カ所)の噴射ノズル531が取り付けられている。なお、噴射ノズル531の向きは、自由落下する粉体混合物(ベントナイト混合土700)を拡散させないために略水平方向とすることが好ましいが、粉体混合物(ベントナイト混合土700)に対して満遍なく加水を行うために、下向きあるいは上向きに設置する場合もある。
【0050】
また、本実施形態では、詳細には図示しないが、複数の噴射部530にそれぞれ対応して、各噴射部530と同等の噴射を行う複数のダミー噴射部550と、噴射部530とダミー噴射部550とを切り換えるための三方弁560とを備えている。なお、ダミー噴射部550は、噴射部530とほぼ同様の構成となっている。
【0051】
そして、各段の噴射部530毎に、噴射部530から水を噴射するか否かを調整することにより、加水量を調整することができる。具体的には、各噴射部530及び各ダミー噴射部550の給水配管540に設けた三方弁560を切り換えることにより、使用する噴射部530の段数を調整すればよい。三方弁560を切り換えることにより、各段の噴射部530及びこれに対応した各段のダミー噴射部550のいずれか一方から水が噴射される。このように、噴射部530における水の流れをダミー噴射部550に切り換えることにより、水頭バランスが変化しないので、各噴射部530における圧力変動及び流量変動を抑制することができる。
【0052】
本実施形態の噴射部530は、給水配管540と噴射ノズル531との間に、水を貯留して噴射ノズル531から噴射される水圧及び水量を均一にするために、円筒状の水貯留部(図示せず)を備えている。この水貯留部に貯留している水を、各噴射ノズル531から直接噴射(噴射)するため、各噴射ノズル531にかかる流体圧や流量が均等となり、かつ容量の大きな水貯留部を用いることにより、給水配管540の屈曲などによる水流の乱れ(乱流状態)や、水頭損失などが生じにくい。
【0053】
<シュート>
流体混入装置(加水装置)500の最下部には、加水後の粉体混合物(ベントナイト混合土700)をベルトコンベア640上に落とし込むためのシュートが設けられている。図示しないが、シュートは下側に向かって縮径しており、その周壁部は周方向に分割された短冊状板材を集合させて形成している。また、周壁部の内面には、粉体混合物(ベントナイト混合土700)を円滑に落下させるための滑り部材が取り付けられている。さらに、周壁部の外周部には、粉体混合物(ベントナイト混合土700)が衝突してシュートが広がることを防止するために、伸縮性を有する輪状の部材からなる拡径防止部材が取り付けられている。
【0054】
<従来技術との比較>
従来行われていた、ミキサやスタビライザ等による機械式の加水・混合方法では、攪拌装置内にベントナイト混合土と水とを投入して、攪拌羽根により機械的な力を加えることにより、攪拌・分散させて、ベントナイト混合土に水を接触させている。これに対して、本発明の流体混入装置(加水装置)500では、混合装置400により、砂とベントナイトとを均一に混合してベントナイト混合土700とし、さらに、ベントナイト混合土700を自由落下させて分散し、微粒子状に噴射された水との衝突により、ベントナイト混合土700に水を接触させている。したがって、攪拌羽根等でベントナイト混合土700に対して強制的な力を加えていないので、団子状の塊(玉)が発生することがなく、かつ、攪拌羽根やその回転軸等の動力機構に、加水されたベントナイト混合土700が付着するという問題は生じない。
【0055】
また、ベントナイト混合土700に対して均一に加水を行うためには、ベントナイト混合土700と水との接触面積をいかに広げるかが重要なポイントとなる。従来の機械式の加水・混合装置では、ベントナイト混合土700と水とを機械的に攪拌・分散させていたが、これでは均一な加水を行うことができない場合が多かった。一方、本発明の流体混入装置(加水装置)500では、コーン状のガイド(拡散装置521)を用いて、自由落下するベントナイト混合土700を同心円状に広げ、落下過程で土粒子をばらけさせ、かつ同心円状に広がったベントナイト混合土700の内外から、多方向・多段で水を噴射することにより、均一な加水を実現している。
【0056】
このように、本発明の粉体混合物製造装置100の流体混入装置(加水装置)500は、ベントナイト混合土700に対して機械的な作用を加えることがないため、ベントナイト混合土700が団子状の塊(玉)になることなく、均質で、かつ、ばらつきの少ない加水を行うことができる。さらに、従来、機械式の加水・混合方法の問題点であった、装置に対するベントナイト混合土700の付着による品質低下や、装置の清掃等による施工能率の低下が生じない。さらに、機械的な機構を伴わない簡便な装置であるため、安価であり、かつ、粉塵や振動等が極めて少ないため、モータの故障等の機械トラブルが発生し難いという優れた利点を有している。なお、本発明の粉体混合物製造装置100は、ベントナイト又はベントナイト混合土700の他に、セメント又はその混合土のような粉体又は粒状体に対して加水する際に使用することができるので、他の粉体又は粒状体においても、同様の作用効果を発揮することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
100 粉体混合物製造装置
200 母材供給装置
210 母材ホッパー
300 粉体供給装置
310 サイロ
320 粉体ホッパー
400 混合装置
410 変形通路
420 ホッパー
500 流体混入装置
510 混合物供給部
511 ホッパー
512 スクリューコンベア
513 攪拌翼
514 定量供給装置
520 落下部
521 拡散装置
522 スカート部
523 拡散部
530 噴射部
531 噴射ノズル
540 給水配管
550 ダミー噴射部
560 三方弁
570 圧縮ポンプ
610、620、630、640 ベルトコンベア
700 ベントナイト混合土
810 母材(砂)
820 粉体(ベントナイト)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材に対して粉体を混合させると共に流体を加えて、所望の流体含有比である粉体混合物を製造するための粉体混合物製造装置であって、母材供給装置と、粉体供給装置と、混合装置と、流体混入装置と、を備え、
前記母材供給装置は、流体含有比を測定した母材を、予め設定した目標流体含有比の粉体混合物となるように計量して、定量的に供給し、
前記粉体供給装置は、流体含有比を測定した粉体を、予め設定した目標流体含有比の粉体混合物となるように計量して、定量的に供給し、
前記混合装置は、上下方向に並行配置された複数の変形通路を含み、各変形通路は、その断面形状が入口から出口に向かって連続的に変化すると共に、各変形通路の入口と出口との間に、各変形通路を通過する前記母材及び前記粉体を合流させる合流手段と、合流した前記母材及び前記粉体を分割して各変形通路に流下させる分割手段とを備えることにより、前記母材及び前記粉体とを均一に混合して前記粉体混合物を生成し、
前記流体混入装置は、前記粉体混合物を定量的に供給する粉体混合物供給部と、前記粉体混合物を自由落下させる落下部と、自由落下する前記粉体混合物に対して微粒子状の流体を噴射する複数の噴射ノズルを有する噴射部とを備えることにより、前記粉体混合物に流体を加える、
ことを特徴とする粉体混合物製造装置。
【請求項2】
前記母材は砂又は礫であり、前記粉体はベントナイトであることを特徴とする請求項1に記載の粉体混合物製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−85989(P2013−85989A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226398(P2011−226398)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【Fターム(参考)】