粉体特性の試験装置、試験方法及び評価方法


【課題】広範囲の原料に適用でき、かつ迅速に高精度の評価結果を得ることのできる、湿潤粉体の押出造粒後の結着特性評価法を提供する。
【解決手段】粉体特性試験装置1は、湿潤粉体2を収容する粉体収容部3と、湿潤粉体2を挟んで相対変位し粉体に圧力を加える一対の加圧手段4a、4bと、湿潤粉体2に加えられた圧力である圧縮圧力を測定する圧力測定手段8と、前記一対の加圧手段の離間距離を所定の保持時間にわたり一定に保持する制御手段と、前記保持時間内の前記圧縮圧力の変化から湿潤粉体の押出造粒後の結着特性を推定する評価手段とを具える。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体の特性の試験装置、試験方法及び評価方法に関するものであり、特に湿潤粉体の押出造粒後の結着特性を混練状態で推定することが可能な装置、方法及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
造粒は、顆粒剤や錠剤等の医薬品、調味料やインスタントコーヒー等の食品、農薬、肥料、飼料といった様々な工業分野において粉体材料の操作性を改良する目的で用いられている。造粒品の製造方法としては、特に食品分野において、湿潤状態の粉体をダイから押し出すことにより造粒を行う、いわゆる押出造粒法が一般的である。
【0003】
かかる造粒品には、輸送時、保管時及び使用時の条件に応じた崩壊性及び顆粒強度が要求される。また、造粒品の崩壊性や顆粒強度と湿潤粉体の結着特性との間には関係があり、押出造粒後の湿潤粉体の結着特性が悪いと、造粒後に崩壊するし、乾燥中にも崩壊し、乾燥後の顆粒強度が弱くなることが知られている。
【0004】
従来、こうした乾燥顆粒の結着特性や崩壊性を評価するためには、例えば非特許文献1に記載されているような静的強度試験機や動的強度試験機を用いて、混練した湿潤粉体を押出造粒し、乾燥させ、崩壊試験を行うのが一般的である。
【0005】
【非特許文献1】オーム社、造粒ハンドブック(日本粉体工業技術協会編)、P22〜23、平成3年3月10日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような評価方法では、造粒後の乾燥に時間を要するため、1検体の評価に数時間〜1日を要する場合もあり、複数の検体に対して崩壊試験を行うと長期間かかることが問題となっていた。また、湿潤粉体の結着特性が小さい場合には乾燥方法として静置乾燥を選択し、逆に結着特性が大きい場合には流動乾燥を選択することで、造粒品の崩壊性や顆粒強度を改善することもできるが、前記のように時間のかかる評価方法では、実際の工程管理に用いることは困難であった。
【0007】
この発明は、従来技術が抱えるこの問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、広範囲の原料に適用でき、かつ迅速に高精度の評価結果を得ることのできる、湿潤粉体の押出造粒後の結着特性を混練状態で評価できる試験装置、試験方法及び評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、この発明に従う粉体特性の試験装置は、湿潤粉体を収容する粉体収容部と、前記湿潤粉体を挟んで相対変位し前記湿潤粉体に圧力を加える一対の加圧手段と、前記湿潤粉体に加えられた圧力である圧縮圧力を測定する圧力測定手段と、前記圧縮圧力が所定の値に達した際に、前記一対の加圧手段の離間距離を所定の保持時間にわたり一定に保持する制御手段と、前記保持時間内の前記圧縮圧力の変化から湿潤粉体の押出造粒後の結着特性を推定する評価手段を具えることを特徴とする。これによれば、評価に当たって湿潤粉体を乾燥させる必要がなく、かつ、造粒後の製品形状の影響を受けることもない。
【0009】
また、この発明の装置においては、粉体収容部が管状体であり、一対の加圧手段の少なくとも一方が前記管状体内をその軸線方向に沿って往復変位すること、圧力測定手段を一対の加圧手段の少なくとも一方に設けること、加圧手段の少なくとも一方は他方の加圧手段に対して一定の速度で変位すること、がそれぞれ好ましい。かかる構成はいずれも、装置の測定精度の向上につながる。
【0010】
また、この装置の評価手段は、下記式により定義される応力緩和率から湿潤粉体の押出造粒後の結着特性を推定することが好ましい。

応力緩和率(%)=(前記保持時間開始時における湿潤粉体の圧縮圧力−前記保持時間終了時における湿潤粉体の圧縮圧力)/前記保持時間開始時における湿潤粉体の圧縮圧力×100
このような応力緩和率を評価に用いることで、少ない測定回数でも高い評価精度を得ることができる。
【0011】
そして、この発明に従う粉体特性の試験方法は、湿潤粉体を所定の圧縮圧力まで圧縮した後、湿潤粉体の体積を所定の保持時間にわたり一定に保持し、この保持時間内の圧縮圧力の変化を測定し、この圧縮圧力の変化から湿潤粉体の押出造粒後の結着特性を推定することを特徴とする。ここにおいても、評価に当たって湿潤粉体を乾燥させる必要がなく、かつ、造粒後の製品形状の影響を受けることもない。
【0012】
この試験方法においては、下記式により定義される応力緩和率から湿潤粉体の押出造粒後の結着特性を推定することが好ましい。

応力緩和率(%)=(前記保持時間開始時における湿潤粉体の圧縮圧力−前記保持時間終了時における湿潤粉体の圧縮圧力)/前記保持時間開始時における湿潤粉体の圧縮圧力×100
このような応力緩和率を評価に用いることで、少ない測定回数でも高い評価精度を得ることができる。
【0013】
測定に供する湿潤粉体が、後の工程で湿式押出造粒法により造粒される場合には、所定の圧縮圧力が1.5MPaであり、前記所定の保持時間が60秒であり、応力緩和率が35%以上の範囲内である場合に押出し造粒後の湿潤粉体の結着特性が良好であると推定することが好ましい。このような条件を採用することで、迅速性と精度を実用上十分な範囲で両立することができる。
【0014】
そして、この発明に従う粉体特性の評価方法は、湿潤粉体の所定の圧縮圧力を入力するステップと、湿潤粉体を前記所定の圧縮圧力まで圧縮した後、前記湿潤粉体を一定の体積に保持した状態で所定の保持時間を経過したときの圧縮圧力を入力するステップと、前記湿潤粉体の所定の圧縮圧力と前記所定の時間を経過したときの圧縮圧力から下記式により定義される応力緩和率を算出するステップと、前記応力緩和率から湿潤粉体の押出造粒後の結着特性を推定するステップを含むことを特徴とする。

応力緩和率(%)=(前記保持時間開始時における湿潤粉体の圧縮圧力−前記保持時間終了時における湿潤粉体の圧縮圧力)/前記保持時間開始時における湿潤粉体の圧縮圧力×100
これによれば、評価に当たって湿潤粉体を乾燥させる必要がなく、かつ、造粒後の製品形状の影響を受けることもない。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、湿潤状態の原料粉体を測定することから広範囲の原料に適用できるとともに、評価に当たって湿潤粉体を乾燥する必要がないことから、迅速かつ高精度で評価結果を得ることのできる、粉体特性の試験装置、試験方法及び評価方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明に従う代表的な粉体特性試験装置の概略を示す。
【0017】
図1に示す試験装置1は、試験に供する湿潤粉体2を収容するための粉体収容部である略円筒形のシリンダー3を有する。このシリンダー3の上下には、粉体2を挟んで相対変位して、粉体2に圧力を加えるための一対の加圧手段4a、4bが配置されている。また、試験装置1は、水平に配置されたテーブル5の上に加圧手段4aを昇降する昇降手段6を有している。この実施態様では、昇降手段6をステッピングモータ7とボールねじとで構成しているが、これに限定されず、油圧シリンダーやラックアンドピニオンで構成することもできる。また、この実施態様では、上側の加圧手段4aのみが移動し、下側の加圧手段4bはテーブル5に固定されているが、下側の加圧手段4b、又は両方の加圧手段4a、4bが移動する構成とすることもできる。昇降手段6と上側の加圧手段4aとの間には、粉体に加えられた圧力である圧縮圧力を測定する圧力測定手段8が配置されている。この圧力測定手段としては、例えばストレインゲージ等の圧力センサーを用いることができ、その配置位置は上側の加圧手段4aに限らず、他方の加圧手段4a及び/又はシリンダー3に取り付けることもできる。
【0018】
次に、かかる試験装置1を用いて湿潤粉体の結着特性を評価する方法について説明する。まず、定量の湿潤粉体2をシリンダー3に入れ、加圧手段4aを移動して、加圧手段4a、4bにより湿潤粉体2を挟み込むようにして圧縮圧力を加える。圧力測定手段8により検出された圧縮圧力が所定値に達するまで加圧手段4aの移動を続け、圧縮圧力が所定値に達した時点で加圧手段4aの移動を停止し、加圧手段4a、4bの離間距離を所定の保持時間にわたってそのままの状態に保持する。この保持時間内の圧縮圧力の変化を圧力測定手段8により測定し、評価手段であるパーソナルコンピュータ9に入力し、結着特性の推定を行う。パーソナルコンピュータ9には、例えば実験的又は理論的に求められた保持時間内の圧縮圧力の変化と湿潤粉体の押出造粒後の結着特性との関係、或いはこれらに基づいて定められた圧縮圧力の変化の閾値を予め記憶しておき、圧縮圧力の測定値をこれらの関係又は閾値と比較することで結着特性を推定することができる。
【0019】
前述したように、造粒品の崩壊性や顆粒強度と湿潤粉体の結着特性との間には密接な関係があることが知られている。この関係に基づき、発明者らは、粉体材料を湿式押出により造粒するためには、押出造粒時に最適な塑性変形量の混練物となるように加水量や混練時間を適宜調整するが、この際に押出造粒後の結着特性についても考慮してこれらの値を調整すれば、時間のかかる乾燥工程を経ることなく、造粒品の崩壊性や顆粒強度を迅速に評価・制御することができるとの着想を得た。この結着特性とは、押出後の顆粒が形を保つ性質であり、言い換えれば、圧縮されて成形された混練物の圧縮圧力応力が急激に緩和する場合は結着特性が高く、緩和が遅い場合は結着特性が低いと考えられる。そこで、湿潤粉体を所定の圧縮圧力となるまで圧縮し、この圧縮状態に保持した際の応力緩和、すなわち圧縮圧力の変化を測定することで、迅速かつ容易に結着特性を推定することができるのである。アミノ酸を例にとると、圧縮後の応力緩和率により結着特性があるL−アルギニン(L−Arg、平均粒径350μm)と結着特性の少ないL−イソロイシン(L−Ile、平均粒径298μm)の圧縮圧力の時系列変化は図2のようになる。なお、平均粒径に関しては、重量基準の体積平均径で求め、両方とも水をバインダーとして同じ圧縮変形比の混練物になるように加水量及び混練時間を決めた。図2よりL−アルギニン(L−Arg)は応力緩和が大きく、L−イソロイシン(L−Ile)は小さいことが分かる。そして、造粒後の顆粒に対して流動乾燥を行うと、L−アルギニン(L−Arg)は崩壊せず、したがって結着特性が高く、一方、L−イソロイシン(L−Ile)は崩壊して粉に戻り、したがって結着特性が低いことが分かった。
【0020】
保持時間内の圧縮圧力の変化は、種々の評価法により評価することができるが、特に図2に示すように変化が比較的単調な場合には、下記式により定義される応力緩和率を用いることが好ましい。

応力緩和率(%)=(前記保持時間開始時における湿潤粉体の圧縮圧力−前記保持時間終了時における湿潤粉体の圧縮圧力)/前記保持時間開始時における湿潤粉体の圧縮圧力×100
これによれば、単純な計算でありながら実用上十分な評価を行うことができる。
【0021】
また、この発明に従う装置1では、粉体収容部3を管状体とし、この両側に一対の加圧手段4a、4bを配置し、これら加圧手段の少なくとも一方、図示の態様では上側の加圧手段4aを、管状体3の内部を軸線方向に沿って往復変位するよう構成することが好ましい。管状体3の、軸線方向に直交する方向の断面積が一定であることがさらに好ましい。また、湿潤粉体は粘弾性的な挙動を示すため、圧縮開始後は加圧手段4a、4bを一定の速度で相対移動させることが精度の点から好ましい。なお、図示の態様では、加圧手段4a、4bは、その一部が管状体3の内部に挿入されているが、加圧手段4a、4bの一方のみを変位させる場合には、固定された側の加圧手段4bについては、管状体3に挿入することなく、その端部を覆うように配置してもよい。
【0022】
さらに、粉体に加わっている圧力は、上側加圧手段4a、下側加圧手段4b、粉体収容部3のいずれで測定してもよく、またこれらの複数の箇所で測定することもできるが、装置の構成を簡略にする観点からは、加圧手段4a、4bの少なくとも一方に圧力測定手段8を設けることが好ましい。
【0023】
湿潤粉体を押出造粒する場合には、圧縮圧力を1.5MPaとし、保持時間を60秒とし、圧縮状態での保持前後での圧縮圧力から算出される応力緩和率が35%以上であることが好ましい。この理由は、応力緩和率が35%未満では、押出造粒された湿潤粉体を流動乾燥操作等の後工程に送ると顆粒が崩壊しやすいからである。また、ここで圧縮圧力を1.5MPaと設定した理由は、一般的な食品用押出造粒機で最適な押出圧力とされているダイ圧力が1.5MPaであり、応力緩和率の評価にもこの1.5MPaの圧力を用いることで、実際の製造工程に近い条件で評価を行うことができるからである。また、保持時間としては、迅速性が重視される場合には短く、評価精度が重視される場合には長くすることができるが、図2に示すように、一般的な食品にあっては、保持開始から60秒程度で圧縮圧力の変化が少なくなることから、保持時間を60秒とすれば、実用上十分な迅速性と精度を得ることができる。
【0024】
前記の実施態様では、圧縮圧力の試験測定と湿潤粉体の結着特性評価を同時に行っているが、これらの測定と評価を別に行ってもよい。図3は、圧縮圧力の試験測定とは別に湿潤粉体の混練状態を評価する方法を表すフロー図である。まず、上述したと同様の試験装置を用いて予め湿潤粉体の保持時間開始時及び終了時の圧縮圧力の測定を行っておく。第1のステップでは、湿潤粉体の保持時間開始時の、すなわち圧縮停止開始時の圧縮圧力の入力を行う。また、第2のステップでは、湿潤粉体の保持時間終了時の、すなわち圧縮停止終了時の圧縮圧力の入力を行う。なお、これら第1及び第2のステップの順序は何れが先であってもよい。次に、第3のステップにおいて、既に入力された湿潤粉体の圧縮停止開始時の圧縮圧力及び圧縮停止終了時の圧縮圧力に基づいて応力緩和率を算出する。そして、第4ステップにおいて、第3ステップで算出された応力緩和率から湿潤粉体の結着特性を評価する。例えば、図3に示すように、応力緩和率が設定された範囲内にある場合には、押出後の結着特性ありという評価を下し、この範囲外にある場合には、結着特性なしという評価を下す。
【0025】
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。
【実施例1】
【0026】
次に、この発明に従う装置及び方法を用いて、粉体の結着特性試験を行ったので、以下に説明する。
【0027】
図1に示すような試験装置に、軸線方向に直交する方向の断面積が2cmである管状の試験セルを取り付けた。下側の加圧手段は試験装置のテーブルに固定し上側の加圧手段が速度10mm/minで下方に移動し、セル内の試料を圧縮し、圧縮圧力が1.5MPaに達した時点で上側の加圧手段の移動を60秒間停止させ、停止前後の圧縮圧力を計測し、応力緩和率を算出した。試料としては、結着特性の低いL−イソロイシンと結着剤HPC−H(ヒドロキシプロピルセルロース)の加水混合物を用いた。
【0028】
(湿潤粉体の調製と計測)
L−イソロイシン(L−Ile、平均粒径298μm)粉末400gと所定の割合の結着剤HPC−H(ヒドロキシプロピルセルロース)を不二パウダル製ΣニーダーKDRJ−2の容器に入れ、ニーダーの高速回転羽根を60rpmで回転させながら、試料質量の40%の水を一定速度で均一に60秒間で添加混合した後、5分間混練した。混練した試料を3.5g量り取り、試験装置の試料セルに入れ、圧縮変形比と応力緩和率をパーソナルコンピュータで算出した。この操作を、L−イソロイシンに対する結着剤HPC−L(ヒドロキシプロピルセルロース)添加率を0%、0.2%、0.5%、1%、3%、5%となるように繰り返した。いずれの試料も、圧縮変形率は135〜140%範囲にあり、同様の塑性変形性を有していた。
【0029】
(判定)
それぞれの湿潤粉体を、不二パウダル製ドームグラン型押出造粒装置を用い、押出ダイ孔径0.8φ(開口率22.5%)を使用し、押出スクリュウ回転速度90rpm、ダイ圧力約1.5MPaにて実際に押出造粒し、その造粒状態を目視確認した。押出造粒後の顆粒を直ちにレッチェ製卓上流動乾燥機で乾燥させ、乾燥後の状態を目視確認した。その結果を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
表1に示す結果から、この発明の装置及び方法により求めた応力緩和率と実際の押出造粒後の乾燥操作等での顆粒結着特性(崩壊性)との間には高い相関があり、応力緩和率から押出造粒後顆粒の結着特性の可否を判定することが可能であることが分かる。特に、結着剤の添加率が少な過ぎても多過ぎても良好な造粒品が得られず、最適な添加率の範囲が存在することがわかる。なお、目視観察の結果の「ソバ」とは、押出された製品が一体となってスラリー状となることをいう。
【実施例2】
【0032】
実施例1と同様ではあるが、結着剤としてHPC−Hの代わりにL−グルタミン(L−Gln)、L−トレオニン(L−Thr)、L−プロリン(L−Pro)及びL−アルギニン(L−Arg)を添加して試験をおこなった。但し、配合はL−イソロイシン(L−Ile)75%:上記のアミノ酸25%とし、試料総量に対して加水は30%とした。この試験結果を表2に示す。
【0033】
【表2】

【0034】
表2に示す結果から明らかなように、結着剤HPC−Hの代わりに添加したアミノ酸配合に対しても、この発明の装置及び方法を用いて結着特性の可否を判別可能であることが分かった。すなわち、結着特性を決める因子には、加水率、結着剤添加率、粒子径等種々の因子が考えられるが、本発明の応力緩和率を使用すれば因子に無関係に結着特性を評価できる。
【実施例3】
【0035】
試料総重量を20gの少量とし、乳鉢で加水混練して、できた混練物の応力緩和率を求め、応力緩和率により混練物の結着特性を推定した例を示す。結着剤としてHPC−Hの代わりにL−アラニン(L−Ala)、グリシン(Gly)とリジン塩酸塩を添加して、少量の試料で試験をおこなった。但し、配合はL−イソロイシン(L−Ile)75%:上記のアミノ酸25%とし、試料総量に対して加水は30%とした。この試験結果を表3に示す。
【0036】
【表3】

【0037】
表3に示す結果から明らかなように、多量(表1及び2に示す実施例では400g)の原料とニーダー装置による混練操作、押出造粒機による造粒操作、乾燥機による乾燥操作、乾燥した顆粒の崩壊性試験を行うことなく、少量(表3に示す実施例では20g)の原料を乳鉢で加水混練し、応力緩和率を求めても、良好は判定結果を得ることができ、結着特性の評価を迅速かつ容易に評価できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上の説明から明らかなように、この発明によって、広範囲の原料に適用でき、かつ迅速に高精度の評価結果を得ることのできる、湿潤粉体の物性試験装置及び方法、並びに湿潤粉体の押出造粒後の結着特性評価法を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明に従う代表的な粉体特性試験装置の概略図である。
【図2】図1に示すような装置を用い、L−アルギニン(L−Arg)とL−イソロイシン(L−Ile)の圧縮圧力の時系列変化を示すグラフである。
【図3】この発明に従う結着特性評価方法のフロー図である。
【符号の説明】
【0040】
1 試験装置
2 供試粉体
3 粉体収容部
4a、4b 加圧手段
5 テーブル
6 昇降手段
7 ステッピングモータ
8 圧力測定手段
9 パーソナルコンピュータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿潤粉体を収容する粉体収容部と、前記湿潤粉体を挟んで相対変位し前記湿潤粉体に圧力を加える一対の加圧手段と、前記湿潤粉体に加えられた圧力である圧縮圧力を測定する圧力測定手段と、前記圧縮圧力が所定の値に達した際に、前記一対の加圧手段の離間距離を所定の保持時間にわたり一定に保持する制御手段と、前記保持時間内の前記圧縮圧力の変化から湿潤粉体の押出造粒後の結着特性を推定する評価手段を具えることを特徴とする粉体特性の試験装置。
【請求項2】
前記評価手段は下記式により定義される応力緩和率から湿潤粉体の押出造粒後の結着特性を推定する請求項1に記載の試験装置。

応力緩和率(%)=(前記保持時間開始時における湿潤粉体の圧縮圧力−前記保持時間終了時における湿潤粉体の圧縮圧力)/前記保持時間開始時における湿潤粉体の圧縮圧力×100
【請求項3】
湿潤粉体を所定の圧縮圧力まで圧縮した後、前記湿潤粉体の体積を所定の保持時間にわたり一定に保持し、前記保持時間内の圧縮圧力の変化を測定し、この圧縮圧力の変化から湿潤粉体の押出造粒後の結着特性を推定することを特徴とする粉体特性の試験方法。
【請求項4】
下記式により定義される応力緩和率から湿潤粉体の押出造粒後の結着特性を推定する請求項3に記載の試験方法。

応力緩和率(%)=(前記保持時間開始時における湿潤粉体の圧縮圧力−前記保持時間終了時における湿潤粉体の圧縮圧力)/前記保持時間開始時における湿潤粉体の圧縮圧力×100
【請求項5】
前記所定の圧縮圧力が1.5MPaであり、前記所定の保持時間が60秒であり、応力緩和率が35%以上の範囲内である場合に押出し造粒後の湿潤粉体の結着特性が良好であると推定する、請求項4に記載の試験方法。
【請求項6】
湿潤粉体の所定の圧縮圧力を入力するステップと、
湿潤粉体を前記所定の圧縮圧力まで圧縮した後、前記湿潤粉体を一定の体積に保持した状態で所定の保持時間を経過したときの圧縮圧力を入力するステップと、
前記湿潤粉体の所定の圧縮圧力と前記所定の時間を経過したときの圧縮圧力から下記式により定義される応力緩和率を算出するステップと、
前記応力緩和率から湿潤粉体の押出造粒後の結着特性を推定するステップを含むことを特徴とする粉体特性の評価方法。

応力緩和率(%)=(前記保持時間開始時における湿潤粉体の圧縮圧力−前記保持時間終了時における湿潤粉体の圧縮圧力)/前記保持時間開始時における湿潤粉体の圧縮圧力×100


【図1】

【図2】

【図3】


【公開番号】特開2008−157704(P2008−157704A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
物理学 | 測定;試験 | 材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析 | 機械的応力の負荷による固体材料の強さの調査
処理操作;運輸 | プレス | プレス一般;他に分類されないプレス | 粉体状または可塑状態の材料から特定形状物品を作るために特に適合したプレス,例.ブリケットプレス,タブレットプレス
【出願番号】特願2006−345445(P2006−345445)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000000066)味の素株式会社
【Fターム(参考)】
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 調査方法;試験の仕方 | 圧縮、耐圧試験
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 力を掛ける方法(時間的、空間的) | 静的負荷による試験
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 調査対象項目 | その他
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験片、材料 | 粉・粒状材料
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験片、形状、構造及び部分、部品 | 柱状、棒状
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験装置;構成、部分構成(治具を含む) | コンピュータ装置を内蔵するもの
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定対象 | 応力
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定された変化量の取扱い | データの電気的処理 | 演算処理