説明

粉体特性測定装置

【課題】 衝撃付与手段に妨害されずに1種類の光源で粉体堆積層の崩潰角やスパチュラ角を簡単に測定することができる粉体特性測定装置を提供する。
【解決手段】 粉体堆積層7を挟んで対向するように配設されたカメラ71とLED光源73とを結ぶ経路から外れた粉体堆積層7の真横に衝撃付与手段200を配設し、この衝撃付与手段200により安息角バー11を介して粉体堆積層7に衝撃を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用や薬等に使用される粉末状の粉体特性を調べる粉体特性測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用や薬等に使用される粉末状の粉体特性は、例えば、安息角を始めとして崩潰角やスパチュラ角等の測定を行なうことで知ることができる。
【0003】
安息角の測定は、粉体テーブル上に乗った粉体推積層の傾斜角を調べる。一方、崩潰角、スパチュラ角の測定は、粉体推積層に衝撃振動を与え、その衝撃振動によって崩れた粉体推積層の傾斜角を調べる。崩潰角、スパチュラ角の測定時は衝撃振動を与える衝撃付与手段を別途必要とし、衝撃付与手段は安息角測定時には待機状態におかれる。
【0004】
傾斜角の測定はいずれの場合でも、粉体推積層を挟んで一方にカメラを、他方に光源を対向配置し、光源によって写し出された粉体推積層の山状のシルエット画像をカメラに収め、そのシルエット画像の傾斜角をコンピュータ処理することで行なわれる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−308502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粉体特性測定装置は、傾斜角の測定にあたって、カメラに収めた山状のシルエット画像の傾斜角をコンピュータ処理することで行なわれるため、粉体推積層を挟んで一方のカメラと他方の光源バックライトが必須の条件となる。
【0007】
この場合、光源は安息角測定時のバックライトの外に、衝撃振動を与えた後に測定を行なう崩潰角、スパチュラ角測定時のバックライトを必要とする。各測定時の2種類のバックライトはコスト高を招くと共に、配置構造の面からも望ましくない。
【0008】
また、バックライトによる粉体推積層のシルエット画像は、外部からの光を受けて測定室内が明るいと稜線の境目がぼけた不明瞭なシルエット画像となるところから、外から測定室内に光が入らないよう遮へいし暗くしてある。このために、外から測定中の観察ができない不便があった。
【0009】
そこで、本発明にあっては上記問題に鑑みてなされたもので、バックライトとなる光源が1つで済むと共に衝撃付与手段の待機時及び使用時に、有効に働く最適な配置位置の確保を可能にする一方、測定中の測定室内を外から観察できるようにした粉体特性測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するため、請求項1記載の粉体特性測定装置は、測定室内に配置され粉体テーブル上の粉体推積層に対して少なくとも安息角、崩潰角、スパチュラ角を測定する測定手段を備えた粉体特性測定装置において、前記測定手段は、同一線上に配置され、粉体推積層を挟んで対向配置された一方の光源及び他方の撮像手段と、前記粉体推積層の粉体テーブルに錘落下時の衝撃により衝撃振動を与える衝撃付手段とを有し、前記衝撃付与手段は、前記撮像手段と光源とを結ぶビーム状に延びた撮像領域の外側に配置されていることをを要旨とする。
【0011】
請求項1記載の粉体特性測定装置では、同一線上にカメラ、粉体推積層、光源が配置されているため光源を1つにできる点を、また、安息角測定時には撮像領域の外側に衝撃付与手段が配置されているのでシルエット画像の撮像に何等悪影響を与えることのない特機位置にできる点を、一方、崩潰角、スパチュラ角測定時には衝撃付与手段により衝撃振動を効率よく付与する使用位置にすることができる。
【0012】
請求項2記載の粉体特性測定装置は、測定室内に配置され粉体テーブル上の粉体推積層に対して少なくとも安息角、崩潰角、スパチュラ角を測定する測定手段を備えた粉体特性測定装置において、前記測定手段は、同一線上に配置され、粉体推積層を挟んで対向配置された一方の光源及び他方の撮像手段と、前記粉体推積層の粉体テーブルに錘落下時の衝撃により衝撃振動を与える衝撃付手段とを有し、前記撮像手段には赤外線カメラを、光源には赤外線ライトをそれぞれ用いることを要旨とする。
【0013】
請求項2記載の粉体特性測定装置では、光源に赤外線を使用するため太陽光、蛍光灯の光の影響を受けることが回避され、測定室内が明るくても明確なシルエット画像の撮像が可能になる。と同時に測定室全面を透明体にできるため外から測定中の測定室内の様子を観察できる。
【0014】
請求項3記載の粉体特性測定装置は、前記衝撃付与手段は、撮像領域の長手方向に沿って帯板状に形成されたスパチュラ角測定用の粉体テーブル中央部から直交する方向に延長されたスパチュラバーに設けられていることを要旨とする。
【0015】
請求項3記載の粉体特性測定装置では、帯板状に形成された粉体テーブルの中央部位に左右バランスよく衝撃振動を与えることができる。
【0016】
請求項4記載の粉体特性測定装置は、前記赤外線ライトは近赤外線を発射する近赤外線ライトであることを要旨とする。
【0017】
請求項4記載の粉体特性測定装置では、光源に近赤外線ランプを使用するため、例えば、熱等の影響を受けやすい薬等の粉体特性を調べる場合でも、粉体に何等悪影響を与えることなく測定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、粉体堆積層を挟んで対向する撮像手段と光源とを結ぶ経路から外れた粉体堆積層の近傍に衝撃付与手段を配設し、この衝撃付与手段により板状部材を介して粉体堆積層に衝撃を与えるので、撮像手段による粉体堆積層の撮像に対して衝撃付与手段が邪魔になることがなく、撮像手段は正確に粉体堆積層を撮像することができるとともに、撮像手段に対向する光源は崩潰角の測定時とスパチュラ角の測定時とで同じ位置に配設され、同じ1個の光源を共通に使用でき、従来のように、崩潰角測定用とスパチュラ角測定用の2種類を必要とせず、装置の構成は簡単化され、経済的である。また、光源に対する電源ケーブルの配線は後方箱部の中から光源の内部に直接行われ、後方箱部の前面側に電源ケーブルが直接露出しないため、電源ケーブルが測定の邪魔になることもないし、また電源ケーブルに粉体が付着し、この付着した粉体を取り除くための手入れも不要となるとともに、装置の壁部やカバーなどに孔をあけて通すような電源ケーブルがないため、このような孔から粉体が装置の外部に飛散し、人体に付着するということもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係わる粉体特性測定装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す粉体特性測定装置の崩潰角測定時の構成を示す正面図である。
【図3】図1に示す粉体特性測定装置の崩潰角測定時の構成を示す側面図である。
【図4】図1に示す粉体特性測定装置のスパチュラ角測定時の構成を示す正面図である。
【図5】図1に示す粉体特性測定装置のスパチュラ角測定時の構成を示す側面図である。
【図6】図1乃至図3に示した粉体特性測定装置を上方から見た崩潰角測定時の平面図である。
【図7】図6を側方の右側から見た崩潰角測定時の側面図である
【図8】図4および図5に示した粉体特性測定装置を上方から見たスパチュラ角測定時の平面図である。
【図9】図8を側方の右側から見たスパチュラ角測定時の側面図である
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係わる粉体特性測定装置の全体構成を示す斜視図である。図2および図3は、それぞれ図1に示す粉体特性測定装置の正面図および側面図である。
【0022】
図1乃至図3に示すように、本実施形態の粉体特性測定装置100は、下部に所定の厚みを持って張り出したステージ1を有し、このステージ1の後方は上方に立ち上がって後方箱部3を形成している。そして、このステージ1の上面と後方箱部3の前面との間のステージ1と後方箱部3とで挟まれた部分には、粉体堆積層の特性を測定する種々の装置が設けられているが、この部分の全体は、点線で示す観音開き式の透明なアクリルカバー99により覆われ、粉体が測定中などに外部に飛散しないようになっている。なお、ステージ1の下端には、脚部1aが複数取り付けられ、この複数の脚部1aで粉体特性測定装置の全体が支持されている。
【0023】
ステージ1のほぼ中央の少し上方には、矩形の平皿状のバット5が設けられ、このバット5内にはほぼ円錐状の粉体堆積層7が載った粉体テーブル9が設けられている。なお、粉体テーブル9は、図3から分かるように板状部材である安息角バー11の一端上に載置されている。なお、バット5は、ステージ1から上方に伸びた支持部材であるリフタ13で支持されている。
【0024】
バット5の前側のステージ1の上には、太径の円筒部材15の下端が固定的に取り付けられ、この太径の円筒部材15の上端には、周縁部が立ち上がった鍔部材17が取り付けられ、この鍔部材17の上に前記安息角バー11の他端が取り付けられている。この安息角バー11の他端が取り付けられた太径の円筒部材15の上端には、棒状部材である細径の筒状体21の下端が連結され、この筒状体21に対して磁性体からなるリング状の錘19が上下動自在に嵌合され、この錘19は鍔部材17の上に取り付けられた安息角バー11の他端上に載っている。なお、筒状体21の上端には、キャップ23が取り付けられ、このキャップ23の真下にストッパ25が取り付けられている。
【0025】
なお、錘19、筒状体21、ストッパ25および円筒部材15は、衝撃付与手段200を構成しているものであり、錘19を図示しない移動手段で筒状体21に沿って上方に移動した後、ストッパ25の所で移動を停止し、このストッパ25の所から錘19を筒状体21に沿って落下させ、安息角バー11の他端の上に当接させることにより、安息角バー11に衝撃を与え、この衝撃が安息角バー11から粉体テーブル9を介して粉体堆積層7に伝達されるものである。このような衝撃は、粉体堆積層7の崩潰角の測定のために、安息角バー11に載って安息角を形成している粉体堆積層7に対して3回与えたり、またはスパチュラ角を測定するために粉体堆積層に対して1回与えるために使用される。
【0026】
また、粉体堆積層7の上方には、漏斗31が設けられ、この漏斗31から粉体テーブル9上に粉体が供給され、粉体テーブル9上に粉体堆積層7が形成される。この漏斗31は、後方箱部3の前面に取り付けられた振動板33で支持されるとともに、漏斗31の上には、複数の篩35が設けられている。
【0027】
更に、篩35の上方には、粉体自動供給ユニット37が着脱可能に設けられ、この粉体自動供給ユニット37は、後方箱部3の前面の最上部に取り付けられている。この粉体自動供給ユニット37に粉体を入れると、粉体は、粉体自動供給ユニット37から下方の篩35に供給される。篩35に供給された粉体は、振動板33で振動され、篩35から漏斗31を通って粉体テーブル9上に落下し、粉体テーブル9上に粉体堆積層7として堆積される。
【0028】
更に、図1および図2に示すように、粉体特性測定装置100の後方箱部3の前面の上部の左右には、エアー吸入部51が2個設けられ、またステージ1と後方箱部3との境界部分には、粉塵排出口53が複数形成されていて、エアー吸入部51から吸入した外部の空気が粉体特性測定装置100の内部を通り、内部の粉塵とともに粉塵排出口53から外部に排出されるようになっている。
【0029】
更に詳しくは、エアー吸入部51は、網またはパンチングメタルなどで覆われてから、図3から分かるように、後方箱部3の内部を斜め上方に延出し、後方箱部3の天井に形成されたエアー吸入開口部57に連通し、このエアー吸入開口部57から外部の空気を吸入し、エアー吸入部51を介して装置内部に供給し、粉塵排出口53から外部に排出する。なお、後方箱部3の天井のエアー吸入開口部57の内側には、フィルタが取り付けられ、またエアー吸入開口部57の外側には、網またはパンチングメタルなどからなるフィルタ交換用蓋が取り付けられている。
【0030】
また、ステージ1と後方箱部3との境界部分に形成されている複数の粉塵排出口53は、例えば短い矩形の孔、ほぼ丸い孔、または細長い矩形の孔などで形成されるが、これらの粉塵排出口53は、図3に示すように、全体的に1つの排出ダクト63で覆われてまとめられてから、排気ホース65に連結され、この排気ホース65から外部に排出されるようになっている。なお、排気ホース65は、図1および図3に示すように、その排気口65aが粉体特性測定装置100の外部に露出しているが、この排気ホース65の排気口65aに例えば掃除機などを接続し、装置内部に舞っている粉塵を掃除機で吸引してもよい。
【0031】
図1および図2に示すように、粉体堆積層7の左右両側方の後方箱部3の前面には、撮像手段であるカメラ71とLED光源73、例えば赤外線ライトとが粉体堆積層7を挟んで対向して取り付けられている。カメラ71は、LED光源73に向かって粉体堆積層7を撮像し、この撮像した粉体堆積層7のデータを図示しないコンピュータに供給し、コンピュータで粉体堆積層7の安息角、崩潰角、スパチュラ角などの特性を測定するようになっている。
【0032】
なお、LED光源73は、後方箱部3の前面に取り付けられているが、このLED光源73に対する電源供給用の電源ケーブルの配線は、後方箱部3の中からLED光源73の内部に直接行われ、後方箱部3の前面側に電源ケーブルが直接露出しないようになっている。従って、電源ケーブルが測定の邪魔になることもないし、また電源ケーブルに粉体が付着し、この付着した粉体を常時取り除くように手入れしなければならず、煩雑であるという問題もない。
【0033】
図4および図5に示す粉体特性測定装置は、図1乃至図3に示した粉体特性測定装置100における安息角バー11の代わりに板状部材であるスパチュラバー111を設け、このスパチュラバー111の上にスパチュラ角を測定するための粉体堆積層70を載せた点が異なるのみであり、その他の構成は図1乃至図3に示す粉体特性測定装置と同じであり、同じ構成要素には同じ符号を付して、説明を省略する。なお、図4および図5に示す粉体特性測定装置は、図1乃至図3に示すものと分けて説明する必要がある場合には、符号100aを付し、粉体特性測定装置100aとして記載する。
【0034】
次に、図6および図7を参照して、本実施形態の粉体特性測定装置において粉体堆積層7の崩潰角を測定するカメラ71、LED光源73、安息角バー11および衝撃付与手段200の具体的構成および崩潰角測定処理について説明する。なお、この場合には、図1乃至図3に示すように安息角バー11を用いた粉体特性測定装置100が使用される。
【0035】
図6は、図1乃至図3に示した粉体特性測定装置100を上方から見て、本実施形態に関係のあるカメラ71、LED光源73、バット5、粉体堆積層7、安息角バー11および衝撃付与手段200を図示している平面図である。図7は、図6を側方、すなわち右側から見た側面図であるが、LED光源73は、粉体堆積層7との関係を示すために点線で図示されている。
【0036】
図6に示すように、カメラ71は、粉体堆積層7を挟んでLED光源73と対向するように配設され、LED光源73に向かって粉体堆積層7を撮像するようになっている。このカメラ71が粉体堆積層7を挟んでLED光源73に対向する点線300で示す撮像経路に対して直交して粉体堆積層7の真横になるように衝撃付与手段200が配設されている。従って、カメラ71とLED光源73による粉体堆積層7の撮像に対して衝撃付与手段200が邪魔になることはない。
【0037】
また、図7に示すように、点線で示すLED光源73の照明範囲は、粉体堆積層7を完全に覆い、カメラ71がLED光源73に向かって粉体堆積層7を完全に撮像し得るようになっている。すなわち、衝撃付与手段200は、カメラ71が粉体堆積層7を挟んでLED光源73に対向する撮像経路に対して直交して粉体堆積層7の真横に配設されている。
【0038】
衝撃付与手段200は、図7に示すように、筒状体21に沿って上下動し得るように筒状体21に嵌合したリング状の錘19を有し、この錘19は、粉体堆積層7が載っている粉体テーブル9が一端寄りに載置されている安息角バー11の他端の上に載っているが、この錘19を筒状体21に沿って上方に移動させ、ストッパ25の所で移動を停止させ、このストッパ25の所から錘19を筒状体21に沿って落下させ、安息角バー11の他端の上に当接させることにより、安息角バー11に衝撃を与え、この衝撃が安息角バー11から粉体テーブル9を介して粉体堆積層7に伝達される。なお、図7において、バット5は、粉体テーブル9上の粉体堆積層7からこぼれた粉体を受け入れる矩形の平皿である。
【0039】
なお、錘19を上方に移動させる方法は、種々あり、本実施形態では詳細に説明しないが、例えば筒状体21の下端に連結されている円筒部材15から棒状部材などで錘19を下方から突き上げて、錘19を上方に移動させたり、または筒状体21の上方から錘19をワイヤなどで吊り上げて、錘19を上方に移動させるなどの方法がある。
【0040】
以上のように構成される粉体特性測定装置において、粉体堆積層7の崩潰角を測定するためには、まず粉体自動供給ユニット37から粉体を篩35、漏斗31を介して粉体テーブル9上に自然落下させ、粉体テーブル9上に粉体を堆積させ、粉体テーブル9上に粉体堆積層7を図7に示すように形成する。このように形成された粉体堆積層7の角度は安息角である。崩潰角は、このように形成された安息角の粉体堆積層7に対して衝撃付与手段200で衝撃を3回与えて、崩潰した時の粉体の山、すなわち粉体堆積層7の角度である。
【0041】
そこで、図7に示すように粉体テーブル9上に形成された粉体堆積層7に対して衝撃付与手段200で衝撃を3回与えるために、衝撃付与手段200の錘19を図7で矢印303で示すように筒状体21に沿って上方に移動する。そして、錘19がストッパ25に当たった所で、錘19を筒状体21に沿って落下させる。この落下した錘19は、安息角バー11の他端上に落下して当たり、安息角バー11に衝撃を与え、この衝撃が安息角バー11から粉体テーブル9を介して粉体堆積層7に伝達される。
【0042】
この衝撃を同様の方法で3回繰り返して与えると、安息角を形成していた粉体堆積層7は崩潰するので、この崩潰した時の粉体の山の角度、すなわち粉体堆積層7の角度をカメラ71とLED光源73で撮像し、この撮像した画像データを図示しないコンピュータで解析し、崩潰角として測定する。
【0043】
以上の崩潰角の測定において、カメラ71は被撮像対象の粉体堆積層7を挟んでLED光源73と対向するように配設され、LED光源73に向かって粉体堆積層7を撮像するようになっていて、このカメラ71が粉体堆積層7を挟んでLED光源73に対向する点線300で示す撮像経路に対して直交して粉体堆積層7の真横になるように衝撃付与手段200が配設されているので、カメラ71による粉体堆積層7の撮像に対して衝撃付与手段200が邪魔になることがなく、カメラ71は、正確に粉体堆積層7を撮像することができる。
【0044】
次に、図8および図9を参照して、本実施形態の粉体特性測定装置において粉体堆積層7のスパチュラ角を測定するカメラ71、LED光源73、スパチュラバー111および衝撃付与手段200の具体的構成およびスパチュラ角測定処理について説明する。なお、この場合には、図4および図5に示すようにスパチュラバー111を用いた粉体特性測定装置100aが使用される。
【0045】
図8は、図4および図5に示した粉体特性測定装置100aを上方から見て、本実施形態のスパチュラ角測定処理に関係のあるカメラ71、LED光源73、バット5、スパチュラバー111、スパチュラ角測定用の粉体堆積層70および衝撃付与手段200を図示している平面図である。図9は、図8を側方、すなわち右側から見た側面図であるが、LED光源73は、粉体堆積層70との関係を示すために点線で図示されている。
【0046】
図8に示すように、カメラ71は、スパチュラ角測定用の粉体堆積層70を挟んでLED光源73と対向するように配設され、LED光源73に向かって粉体堆積層70を撮像するようになっている。このカメラ71が粉体堆積層70を挟んでLED光源73に対向する点線300で示す撮像経路は、図6および図7で示した崩潰角測定用の撮像経路と同じに形成され、この撮像経路に対して直交して粉体堆積層70の真横になるように衝撃付与手段200が配設されている。従って、カメラ71とLED光源73による粉体堆積層70の撮像に対して衝撃付与手段200が邪魔になることはない。
【0047】
なお、スパチュラ角測定用の粉体堆積層70が堆積されるスパチュラバー111は、粉体堆積層70が堆積される細長い長方形の板状部材111aの長手方向がカメラ71とLED光源73との撮像経路内に平行に設けられ、この板状部材111aに対してTの字状に直角に伸びた延出部111bの先端が衝撃付与手段200に連結されている。
【0048】
また、図9に示すように、点線で示すLED光源73の照明範囲は、スパチュラ角測定用の粉体堆積層70を完全に覆い、カメラ71がLED光源73に向かって粉体堆積層7を完全に撮像し得るようになっている。
【0049】
衝撃付与手段200は、図9に示すが、図7に示した衝撃付与手段200と同様に、筒状体21に沿って上下動し得るように筒状体21に嵌合したリング状の錘19は、粉体堆積層70が載っているスパチュラバー111の板状部材111aから直角に延びた延出部111bの端部上に載っているが、この錘19を筒状体21に沿って上方に移動させ、ストッパ25の所で移動を停止させ、このストッパ25の所から錘19を筒状体21に沿って落下させ、スパチュラバー111の延出部111bの端部上に当接させることにより、スパチュラバー111に衝撃を与え、この衝撃がスパチュラバー111の板状部材111a上の粉体堆積層70に伝達される。また、帯板状に形成された粉体テーブルの中央部位に左右バランスよく衝撃振動を与えることができる。
【0050】
以上のように構成される粉体特性測定装置において、粉体堆積層70のスパチュラ角を測定するためには、まずスパチュラバー111の板状部材111aの上にスパチュラ角測定用の粉体堆積層70を形成する。このスパチュラ角測定用の粉体堆積層70を形成するためには、バット5をリフタ13により上昇させるなどして、図9においてバット5を点線309で示すようにスパチュラバー111に近接した位置に設定する。すなわち、スパチュラバー111の下方に下がった一端寄りの板状部材111aを含む部分をバット5内の底に設定する。それから、このようにバット5内に設定されたスパチュラバー111の下がった一端寄りの板状部材111aを含む部分が全体的に粉体で隠れるほどに粉体自動供給ユニット37からバット5内に粉体を入れる。この状態からバット5を図9で矢印305で示すようにリフタ13により下方に移動させると、スパチュラバー111の板状部材111a上にスパチュラ角測定用の粉体堆積層70が図9のように残って堆積される。
【0051】
このようにスパチュラバー111の板状部材111a上に堆積されたスパチュラ角測定用の粉体堆積層70に対して衝撃付与手段200により上述したように、衝撃を1回与えて、粉体堆積層70を崩し、この時の角度をカメラ71およびLED光源73でスパチュラ角として測定する。
【0052】
以上のスパチュラ角の測定において、カメラ71は被撮像対象の粉体堆積層70を挟んでLED光源73と対向するように配設され、LED光源73に向かって粉体堆積層7を撮像するようになっていて、このカメラ71が粉体堆積層70を挟んでLED光源73に対向する点線300で示す撮像経路に対して直交して粉体堆積層7の真横になるように衝撃付与手段200が配設されているので、カメラ71による粉体堆積層7の撮像に対して衝撃付与手段200が邪魔になることがなく、カメラ71は、正確に粉体堆積層70を撮像することができるとともに、カメラ71に対向するLED光源73は、図6および図7で説明した崩潰角の測定時と同じ位置に配設され、同じ1個のLED光源73を共通に使用でき、従来のように、崩潰角測定用とスパチュラ角測定用の2種類を必要としない。従って、装置の構成は簡単化され、経済的である。
【0053】
また、LED光源73に対する電源ケーブルの配線は、後方箱部3の中からLED光源73の内部に直接行われ、後方箱部3の前面側に電源ケーブルが直接露出しないようになっている。従って、電源ケーブルが測定の邪魔になることもないし、また電源ケーブルに粉体が付着し、この付着した粉体を常時取り除くように手入れしなければならず、煩雑であるという問題もない。また、装置の壁部やアクリルカバーに孔をあけて通すような電源ケーブルがないため、このような孔から粉体が装置の外部に飛散し、人体に付着するということもない。
【0054】
更に、従来は光源73として高電圧のインバータを必要とし、寿命が比較的短いELを使用していたが、本実施形態では、LED光源73を使用するとともに1種類の光源でよいため、経済的であるとともに、光源の寿命も長くすることができる。また、光源73としては、赤外線ライトほか、赤外線LEDでもよく、さらにはフラッシュであっても良い。
【0055】
なお、上記実施形態において、粉体堆積層を挟んでLED光源73に対向して配設されるカメラ71のレンズの直前にフィルタなどを設けてもよいものである。
【0056】
上述してきたように、本実施例によれば、粉体堆積層を挟んで対向する撮像手段と光源とを結ぶ経路から外れた粉体堆積層の近傍に衝撃付与手段を配設し、この衝撃付与手段により板状部材を介して粉体堆積層に衝撃を与えるため、撮像手段による粉体堆積層の撮像に対して衝撃付与手段が邪魔になることがなく、撮像手段は正確に粉体堆積層を撮像することができるとともに、撮像手段に対向する光源は崩潰角の測定時とスパチュラ角の測定時とで同じ位置に配設され、同じ1個の共通の光源を使用でき、従来のように、崩潰角測定用とスパチュラ角測定用の2種類を必要とせず、装置の構成は簡単化され、経済的である。また、光源に対する電源ケーブルの配線は後方箱部の中から光源の内部に直接行われ、後方箱部の前面側に電源ケーブルが直接露出しないため、電源ケーブルが測定の邪魔になることもないし、また電源ケーブルに粉体が付着し、この付着した粉体を取り除くための手入れも不要となるとともに、装置の壁部やカバーなどに孔をあけて通すような電源ケーブルがないため、このような孔から粉体が装置の外部に飛散し、人体に付着するということもない。
【符号の説明】
【0057】
1 ステージ
3 後方箱部
5 バット
7、70 粉体堆積層
9 粉体テーブル
11 安息角バー
15 円筒部材
19 錘
21 筒状体
25 ストッパ
31 漏斗
35 篩
37 粉体自動供給ユニット
71 カメラ
73 LED光源
111 スパチュラバー
111a 板状部材
111b 延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定室内に配置され粉体テーブル上の粉体推積層に対して少なくとも安息角、崩潰角、スパチュラ角を測定する測定手段を備えた粉体特性測定装置において、
前記測定手段は、同一線上に配置され、粉体推積層を挟んで対向配置された一方の光源及び他方の撮像手段と、前記粉体推積層の粉体テーブルに錘落下時の衝撃により衝撃振動を与える衝撃付手段とを有し、前記衝撃付与手段は、前記撮像手段と光源とを結ぶビーム状に延びた撮像領域の外側に配置されていることを特徴とする粉体特性測定装置。
【請求項2】
測定室内に配置され粉体テーブル上の粉体推積層に対して少なくとも安息角、崩潰角、スパチュラ角を測定する測定手段を備えた粉体特性測定装置において、
前記測定手段は、同一線上に配置され、粉体推積層を挟んで対向配置された一方の光源及び他方の撮像手段と、前記粉体推積層の粉体テーブルに錘落下時の衝撃により衝撃振動を与える衝撃付手段とを有し、前記撮像手段には赤外線カメラを、光源には赤外線ライトをそれぞれ用いることを特徴とする粉体特性測定装置。
【請求項3】
前記衝撃付与手段は、撮像領域の長手方向に沿って帯板状に形成されたスパチュラ角測定用の粉体テーブル中央部から直交する方向に延長されたスパチュラバーに設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の粉体特性測定装置。
【請求項4】
前記赤外線ライトは近赤外線を発射する近赤外線ライトであることを特徴とする請求項2記載の粉体特性測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−88108(P2012−88108A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233625(P2010−233625)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(591058127)メディカテック株式会社 (17)