説明

粉末を含有する、美容ケア又はメイクアップ用の組成物、及び製造方法

【課題】機械的衝撃及び熱ショックに対する耐性、肌への快適さ、肌上での持続力を改善する、又はこれらすべての特性を同時に改善する、新規な粉末系化粧用組成物の提供。
【解決手段】(a)50重量%〜99重量%の少なくとも1つの粒子状固相と、(b)0.5重量%〜50重量%の少なくとも1つの不揮発性液相と、(c)第1の2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸モノマー、及び含窒素環状側鎖を有する第2のビニルモノマーから得られる、0.01重量%〜4重量%の少なくとも1種のブロックコポリマーと、を含有する、ルースパウダー又はコンパクトパウダーの形態の、固形の化粧用組成物。また、(i)粒子状固相、不揮発性液相、ブロックコポリマー及び水を混合してスラリーを得るステップと、(ii)スラリー中に存在する水を吸引して乾燥粉末を得るステップと、を含む、かかる組成物を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、特に肌の美容ケア及び/又はメイクアップ向けの粉末系組成物に関する。この組成物は、充填剤及び顔料系粒子状固相、不揮発性液相、並びに特定のポリマーを含有する。
【0002】
[従来技術]
顔及び体をメイクアップ及び/又はケアするための粉末系化粧品は、ルースパウダー又はコンパクトパウダーの場合がある。
【0003】
粉末系化粧用組成物は、ルースパウダーであろうとコンパクトパウダーであろうと、「乾式」法、又は溶媒若しくは希釈剤を使用して粉末を分散させる場合は「湿式」法によって調製することができる。乾式法によって、充填剤及び顔料などの粉状材料を、不揮発性の脂肪性物質から本質的に成る結合剤と混合する。湿式法によって、粉状材料及び結合剤を溶媒中で希釈することにより、スラリーを得て、その後、スラリーを乾燥させる。
【0004】
ルースパウダーは、一般に、原材料の単純混合、場合によって粉砕及び/又は篩い分けを伴うことによって乾式で調製される。
【0005】
コンパクトパウダーは、一般に、粉状相の全成分を混合し、次いで結合剤脂肪相をこの混合物に撹拌しながら添加することによって調製される。この混合物は、その後、粉砕され、篩い分けられ、次いで深皿に注ぎ入れられ、圧縮成形される。圧縮成形は、通常、5〜25MPaの圧力で行われる。
【0006】
コンパクトパウダーは、「キャスト」組成物とは異なる。「キャスト」組成物は、周囲温度で固体であり、粉状材料と混合するために融解させる必要がある脂肪相を加熱することによって調製される。コンパクトパウダーは、肌に適用するために組成物を取り出す際、キャスト組成物と比べて、より良好な崩壊能力を有する。
【0007】
製造法においてスラリーを用い、乾式圧縮成形のステップを含まない湿式法によって製造されるコンパクトパウダーもある。
【0008】
例えば、「キャスト・ベーク」法は、周囲温度で粉末を溶媒中で希釈してスラリーを調製し、得たスラリーの断片をセラミック平皿の上に置き、次いでオーブン中で生成物を焼くものである。その後、乾燥したパウダーケーキを、パッケージとして働かねばならないケーシングの形状に加工する。パウダーケーキが付着するセラミック支持体は、組成物と結合したままであり、したがって組成物と共に包装される。
【0009】
別の方法は、スラリーを型に注型し、次いで、例えば吸引、プレスによって又は吸湿材を用いて、スラリーに含まれる溶媒を除去するものである。
【0010】
知覚特性、ケア又はメイクアップの性能レベル、及び凝集性など、多くの基準を考慮に入れなければならないため、良質の化粧パウダーを得ることは困難なことが多い。さらに、特定の基準を改善するにあたって他を犠牲にすることも多い。例えば、崩壊性を改善すると、粉末の凝集性が不足することが多い。クリーム性を改善すると、表面が蝋状又は錆付いたようになる傾向が強く、取りづらくなる危険性が高いため、利用者にとって実用性のより低いコンパクト品になることが多い。
【0011】
良質の化粧品を得るために望ましい特性として、特に、被覆能力、付着力、肌の水分や皮脂を吸収する能力、伸びやすさ、柔らかさ、きめ細かさ、肌への快適さ、肌上での持続力、均一性、保存安定性、及び化粧品を塗布するための粉末の取りやすさが挙げられる。
【0012】
また、粉末の良好な凝集性を得ることも必要であるが、それは、例えば、コンパクトパウダーの場合には、機械的衝撃や熱ショックに対する良好な耐性に反映され、又はパウダーを使用する際の揮発性減少に反映され、及び/又はルースパウダーの場合には、肌上でのより良好な持続力に反映され得る。
【0013】
機械的衝撃及び/又は熱ショックに対するコンパクトパウダーの耐性は、しばしば不十分であり、売り場への移動時に製品の分解や劣化を起こす。また、製品利用者が不注意で相当な高さから製品を落としてしまうおそれもある。
【0014】
[発明の目的]
本発明は、従来技術によるパウダーの特性、特に機械的衝撃及び熱ショックに対する耐性、肌への快適さ、肌上での持続力を改善する、又はこれらすべての特性を同時に改善する、新規な粉末系化粧用組成物を提案することを目的としている。
【0015】
本発明の目的は、その技術的問題を解決することでもあり、それは均一な粉末のコンパウンドを提供することである。
【0016】
本発明の目的は、より高い生産柔軟性を可能にする単一組成物を提案することによって、現行の工業的方法を簡素化することでもある。この組成物によって、特に、様々な最終形態のパウダーを得ることが可能になり、これにより生産ラインの数を減らすことができる。
【0017】
本発明の目的は、確実で再現性よく、しかも工業規模で、特に化粧品産業において使用できる方法で、技術的問題を解決することである。
【0018】
[発明の説明]
したがって、本発明は、
(a)50〜99重量%、好ましくは70〜90重量%の少なくとも1つの粒子状固相と、
(b)0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の少なくとも1つの不揮発性液相と、
(c)0.01〜4重量%、好ましくは0.05〜2重量%の少なくとも1種のブロックコポリマーであって、スルホン酸基を有する第1のアクリルアミドモノマー、及び含窒素側鎖を有する第2のビニルモノマーから得られるブロックコポリマーと、
を含む、固形の、特にルースパウダー又はコンパクトパウダーの形態の化粧用組成物に関する。
【0019】
一実施形態において、粒子状固相、不揮発性液相及びブロックコポリマーの合計重量パーセンテージは100%に等しい。本発明による組成物は、従来技術によるパウダーと比較して、以下の利点のうちの少なくとも1つを有する。販売するのに、光沢のある外観がより魅力的である。知覚特性が改善されている。保存時の安定性が優れている。取り扱い時の凝集性が改善されている。メイクアップ性能レベルが改善されている。特定の実施形態において、これらすべての利点を同時に得ることができる。
【0020】
より具体的には、本発明による組成物は、従来技術によるパウダーと比較して、利用者によって取り出される際、又は衝撃若しくはショックに晒された場合、壊れにくく、安定しているという利点を持つことができる。意外にも、ブロックコポリマーが組成物の凝集性及び安定性を強化できることが、本出願人によって見出された。
【0021】
本発明の組成物の知覚特性も改善することができる。特に、真珠光沢剤を含む組成物の場合、利用者によって確認されるように、本組成物の表面は、従来技術によるパウダーの表面より光沢がある。
【0022】
粉末を塊状化するために使用する脂肪結合剤は、圧縮成形した製品の表面を無光沢にする傾向がある。しかし、まったく意外なことに、本出願人は、本発明の組成物が、無光沢又は蝋様外観を呈する質感なしに、非常に多量の脂肪結合剤を含有し得ることに気づいた。脂肪結合剤の量を増やすことにより、指で取り出す際又は肌に適用する際の組成物のソフトな感触又はクリーム状の感触さえも向上させることができる。したがって、本発明の組成物は、クリーム性が同じ従来技術によるパウダーより光沢のある外観を有する。
【0023】
また、本出願人は、本組成物が、粉末の凝集性を確保するために通常必要な量よりも少ない量の結合剤を含有してもよいことも見出した。特定の実施形態では、脂肪結合剤の量は、0.1重量%未満である。
【0024】
肌、例えば、眼瞼又は頬に塗布される本組成物は、従来技術によるパウダーのものより改善された快適さをもたらすことができる。
【0025】
肌上での本組成物の持続力も改善できる。特に、本組成物に含有される真珠光沢剤及びグリッターフレークは、より長い時間、肌に残る。この改善した持続力は、摩擦に対するより良好な持続力、及び/又はより良好な耐水性に反映され得る。持続力の改善は、眼瞼に塗布されるアイシャドウなどの組成物の配合にとって、特に確認しやすく、有利であるが、それは、眼瞼の自然な動きによって、組成物が繰り返し摩擦を受けるからである。
【0026】
本組成物は、スルホン酸基を有する第1のアクリルアミドモノマー及び含窒素側鎖を有する第2のビニルモノマーから得られるブロックコポリマーを含有する。
【0027】
一実施形態によれば、ブロックコポリマーは、水の存在下でゲル化する。好ましくは、上記ブロックコポリマーは、蒸留水中1%で測定して、40000〜70000mPa.s.の間の粘性を有する。
【0028】
第1のモノマーは、好ましくは、2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸塩である。第1のモノマーのスルホン酸基は、好ましくは、アンモニウム塩又はナトリウム塩の形態である。
【0029】
第2のモノマーは、好ましくは、塩形成性ではない。第2のモノマーは、含窒素環状側鎖を有するビニルモノマー又はアミド官能を有するビニルモノマー、例えばN−ビニルピロリドンであってもよい。
【0030】
好ましいブロックコポリマーは、2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸のアンモニウム塩とN−ビニルピロリドンとのコポリマー、例えばクラリアント社製のアリストフレックス(Aristoflex)(登録商標)AVCの名称で販売されている製品でもよい。ブロックコポリマーは、INCI名(アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VP)コポリマーを有し得る、又はCAS参照番号335383−60−3に相当し得る。本発明の組成物に使用できる別のブロックコポリマーは、2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸のナトリウム塩とN−ビニルピロリドンとのコポリマー、例えばクラリアント社製のアリストフレックス(登録商標)AVSの名称で販売されている製品でもよい。ブロックコポリマーは、INCI名(アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/VP)クロスポリマーを有し得る。
【0031】
本組成物は、好ましくは、0.05重量%〜2重量%、より好ましくは0.1重量%〜0.4重量%のブロックコポリマーを含有する。
【0032】
粒子状固相は、有利には、少なくとも1種の顔料及び/又は少なくとも1種の充填剤(filler)を含む粉状材料の混合物から成る。
【0033】
顔料は、無機顔料、有機顔料、及び真珠光沢顔料から選択され得る。
【0034】
無機顔料は、酸化鉄、特に黒色、黄色、赤色、及び褐色酸化鉄、マンガンバイオレット、群青、酸化クロム、特に酸化クロム水和物、プルシアンブルー、カーボンブラック、及びこれらの混合物から選択され得る。
【0035】
有機顔料のうち、特に、染料D&CブラックNo.2、FD&CブルーNo.1、FD&CグリーンNo.3、D&CグリーンNo.5、D&CオレンジNo.4、D&CオレンジNo.5、D&CオレンジNo.10、D&CレッドNo.3、D&CレッドNo.6、D&CレッドNo.7、D&CレッドNo.9、D&CレッドNo.13、D&CレッドNo.19、D&CレッドNo.21、D&CレッドNo.22、D&CレッドNo.27、D&CレッドNo.28、D&CレッドNo.30、D&CレッドNo.33、D&CレッドNo.36、FD&CレッドNo.40、FD&CイエローNo.5、FD&CイエローNo.6、D&CイエローNo.10、及びコチニールカルミンなどの染料から得られるレーキを挙げ得る。
【0036】
真珠光沢顔料は、例えば、酸化チタンでコーティングされたマイカ、酸化鉄でコーティングされたチタンマイカ、プルシアンブルーでコーティングされたチタンマイカ、酸化クロムでコーティングされたチタンマイカ、上記の有機顔料でコーティングされたチタンマイカ、及びオキシ塩化ビスマスをベースとする顔料から選択される。
【0037】
フィルター(filters)は、任意の形状、小板状、球形又は矩形の無機又は有機でもよい。
【0038】
充填剤は、特に、以下の無機充填剤から選択される。
−好ましくはサイズが40μm未満の粒子形態のタルク、
−サイズが2〜200μm、好ましくは5〜70μm、厚さが0.1〜5μm、好ましくは0.2〜3μmの天然又は合成起源のマイカ、
−粒径がほぼ30μm未満のカオリン、
−好ましくはサイズが10μm未満の粒子形態の、8〜22個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を含有する有機カルボン酸に由来する金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウム、
−酸化亜鉛、酸化チタン;炭酸カルシウム;炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、シリカ、ガラスビーズ、セラミックビーズ;
−及びこれらの混合物。
【0039】
充填剤として、例えば、以下の有機充填剤も使用され得る。
−架橋デンプン又は非架橋デンプン、例えばトウモロコシ、小麦、又は米デンプン、
−架橋若しくは非架橋の、球形化若しくは非球形化の、発泡若しくは無発泡の合成ポリマー粉末、例えばポリエチレン粉末、ポリエステル粉末(例えば、イソフタル酸エステル又はテレフタル酸エステル)、ポリアミド粉末(例えば、ポリ−β−アラニン粉末及びオルガソル(Orgasol)(登録商標)の名称で販売されている製品などのナイロン粉末)、ポリ(メタ)アクリル酸若しくはポリ(メタ)アクリレート粉末、例えば架橋メタクリル酸メチル粉末、ポリウレタン粉末、例えばToshiki社からプラスチックパウダー(Plastic Powder)(登録商標)D−400及びプラスチックパウダー(登録商標)D−800の名称で販売されているヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールヘキシルラクトンとのコポリマー、ジビニルベンゼン−架橋ポリスチレン粉末、シリコーン樹脂粉末、例えばシルセスキオキサン、又はテトラフルオロエチレン(テフロン(Teflon)(登録商標))粉末、
−並びにこれらの混合物。
【0040】
有利には、本発明の組成物は、高い比率で球形粉末を含有することができると同時に、従来技術によるパウダーの場合と異なり、十分な凝集性を維持できる。これは、球形粉末の粒子が互いに転がり滑り合う傾向にあることから、互いに付着するように高い圧縮力をかける必要が一般にあるためである。本発明による組成物に使用されるコポリマーは、高圧で粒子を圧縮成形しなくても、これらの粒子を凝集させることを可能にする。
【0041】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、本組成物の総重量に対して10重量%〜40重量%の範囲、好ましくは15重量%〜35重量%の範囲、優先的には25重量%〜35重量%の範囲の含量で球形の充填剤を含有する。
【0042】
充填剤は、有利には、100nm超、200μm未満の平均直径、より具体的には、5〜150μmの間の直径を有する。
【0043】
本発明の一変形形態によれば、顔料及び充填剤は、それらの表面仕上げを変更するように処理できる。使用する顔料及び充填剤は、有利には、表面処理をせずに、疎水性又は親水性にすることができると同時に、本発明のパウダーの十分な凝集性を確保することができる。
【0044】
本発明の組成物は、少なくとも1つの不揮発性液相を含有する。
【0045】
用語「不揮発性液相」は、不揮発性液体、すなわち大気圧(約0.1MPa)、及び周囲温度(25℃)で13Pa未満の蒸気圧を有する液体を含む相を意味することを意図している。不揮発性液体を、上に規定した温度及び圧力の条件下で30分後に0.07mg/cm未満の量が蒸発するような蒸発速度を有すると定義することもできる。
【0046】
一実施形態において、この不揮発性液相は、少なくとも1種の不揮発性オイルを含有する。このオイルは、好ましくは、重量基準で、上記相の主成分である。別の実施形態では、液相は、オイルを含まず、不揮発性アルコールを主として含有する。
【0047】
本発明のために、用語「オイル」は、周囲温度(25℃)、及び大気圧(約0.1MPa)で液体であり、水の重量に対して少なくとも1重量%の濃度で、25℃の水に溶解することのない化合物を意味することを意図している。
【0048】
不揮発性オイルは、化粧品産業において通常使用されるものから選択されてもよく、特に直鎖又は分岐鎖炭化水素、(場合によって分岐鎖及び/又は不飽和の)脂肪酸、(場合によって分岐鎖及び/又は不飽和の)脂肪アルコール、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールのエステル又はポリエステル、ペルフルオロ及び/又は有機フッ素のオイル、不揮発性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、並びにこれらの混合物から選択されてもよい。
【0049】
不揮発性液相は、以下から選択される不揮発性アルコールも含有し得る。
−C3〜C5ポリオール、例えばC3〜C5脂肪族ジオール(又はグリコール)、例えばペンチレングリコール(ペンタン−1,5−ジオール)、又はトリオール、例えばグリセロール、
−グリコールエーテル又は芳香族アルコール、例えばフェノキシエタノール、及び、
−それらの混合物。
【0050】
不揮発性液相は、好ましくはオイル、C3〜C5ポリオールから選択されるアルコール(特にグリセロール)、グリコールエーテル及びそれらの混合物とから選択される少なくとも1種の液体を含有する。一実施形態によれば、不揮発性液相は、0.1%未満のオイルを含有する又はオイルを含まない。
【0051】
本発明の組成物は、不揮発性液相を構造化する又はゲル化するための剤、特に動物、植物、鉱物又は合成起源の、ペースト状の脂肪性物質又はワックス、ポリオルガノシロキサン、シロキサン単位を含むシリコーンポリアミド、炭化水素系ポリアミド、ウレタン単位及び/又は尿素単位を含むホモポリマー及びコポリマー、スチレン単位又は誘導体の少なくとも1配列とオレフィン単位及び/又は誘導体の少なくとも1配列とを含むブロックコポリマー及びホモポリマーを場合によって含んでもよい。
【0052】
粉末系組成物は、疎水性であろうと親水性であろうといかなる種類の化粧活性剤も有利に含むことができる。好ましい活性剤は、老化防止活性を有する物質、肌の色素を除去する又は肌を明るくする活性を有する物質、スリム化の活性を有する物質、潤いを与える活性を有する物質、沈静活性、鎮静活性又はリラックス活性を有する物質、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0053】
本組成物は、染料、界面活性剤、香料、電解質、酸化防止剤、防腐剤、並びに物理的及び/又は化学的な紫外線遮断剤から選択される少なくとも1種の添加剤も含んでもよい。
【0054】
水で粉状材料のスラリーを形成して得られる従来技術によるパウダーは、均一性が良好なスラリーを確保するために界面活性剤を使用したが、本組成物は、それが必要ないので、有利には、界面活性剤を使用しない。この実施形態を除外せずに、本発明の組成物は、任意選択によりポリエトキシル化されたソルビタンエステル、グリセロールの脂肪酸エステル、スクロースの脂肪酸エステル又はポリエステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ポリエーテルで修飾されたポリシロキサン、ポリエチレングリコールの脂肪アルコールエーテル、アルキルポリグリコシド及び水素化レシチンから選択される界面活性剤を含有しないことが好ましい。
【0055】
本発明の組成物は、様々な化粧用途を有することが可能であり、特にファンデーション、コンプレクションベース、ボディーメイクアップパウダー、ケアパウダー、フェイスメイクアップパウダー、頬紅若しくはフェイスパウダー、アイシャドウ、コンプレクションイルミネーター、日焼け止めパウダー、又は保護コンプレクションパウダーとして役立つことができる。本発明の組成物は、好ましくは、アイシャドウ又はフェイスパウダーである。
【0056】
パウダーは、ブラシ、スポンジ又は指で塗布することができる。
【0057】
別の態様によれば、本発明は、パウダーの凝集性を改善するための上に定義したブロックコポリマーの使用に関する。コンパクトパウダーの場合、その凝集性の改善は、機械的衝撃に対するより良好な耐性、及び/又は熱ショックに対するより良好な耐性により反映され得る。ルースパウダーの場合、その凝集性の改善は、揮発性の減少及び肌上でのより良好な持続力により反映され得る。パウダーは、ブラシで取り出す際、又は肌に塗布する際に、空気中に散らばる傾向がある場合、「揮発性」となろう。ルースパウダーの凝集性を改善すれば、本組成物の塗布後、時として経時的に肌から脱離する傾向がある、パウダーを構成する粉状材料の、例えばグリッターフレークの、より良好な付着によっても反映され得る。さらに別の態様によれば、本発明は、粉末系組成物の肌上での持続力を改善するための上に定義したブロックコポリマーの使用に関する。
【0058】
本発明の粉末系組成物は、適切な工業プロセスに従ってスラリー(又はペースト状の組成物)を調製することによる湿式法で製造できる。これは、乾式法によっても製造できる。
【0059】
本発明の主題は、その態様の1つよれば、上記粉末系組成物を製造する方法であり、この方法は、
(i)粒子状固相、不揮発性液相、ブロックコポリマー及び揮発性液体を混合してスラリーを得るステップと、
(ii)スラリーを型に入れるステップと、
(iii)スラリー中に存在する上記揮発性液体を除去するステップと、
を含む。
【0060】
本発明の方法により、均質なスラリー及び均質な乾燥組成物を有利に得ることが可能となる。用語「均質な」とは、裸眼で均一又はほぼ均一に見えるように、様々な構成物質が分散されている組成物を意味することを意図している。スラリー形態の組成物は、例えば、1つの相のみから成り、塊、すなわち十分分散されていない材料の固体粒子又は固体凝集体、を含まない場合、均質である。特定の従来技術による方法とは異なり、原材料の分散を良好にするためにスラリーを撹拌する必要はない。
【0061】
本発明のペースト状の組成物は、所望の最終形態がコンパクト又はルースであることに関係なく、粉末系組成物を製造するのに使用できるため、非常に有利である。
【0062】
本発明による方法は、「キャスト・ベーク」法でのようなパウダーケーキを扱う必要がないので、産業廃棄物の発生が少なくて済む。
【0063】
粒子状固相、不揮発性液相、ブロックコポリマー及び揮発性液体の混合物を含有するペースト状の組成物は、当業者に公知のパウダーを調製する任意の従来湿式法に有利に使用できる。
【0064】
本発明の主題は、別の態様によれば、粉末系組成物を製造する方法であり、この方法は、
(i)粒子状固相、不揮発性液相、並びに、2−アクリルアミドアルキルスルホン酸塩である第1のモノマー及び第2のモノマーから得られるイオン性ブロックコポリマーを、水中で分散させてスラリーを得るステップと、
(ii)スラリーを型に入れるステップと、
(iii)真空下での吸引によってスラリー中に存在する水を除去し、次いで70℃未満の温度で乾燥させるステップと、
を含む。
【0065】
第1のモノマーは、2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸又はその塩、例えばアンモニウム塩又はナトリウム塩でもよい。
【0066】
第2のモノマーは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸塩、及びビニルピロリドン、並びにそれらの誘導体から選択され得る。
【0067】
ブロックコポリマーは、例えば、2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸塩とN−ビニルピロリドンとのブロックコポリマー、例えばクラリアント社製のアリストフレックス(登録商標)AVCの名称又はアリストフレックス(登録商標)AVSの名称で販売されている製品、2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸塩とアクリル酸塩とのコポリマー、例えばシムルゲル(Simulgel)EG(登録商標)及びクレアゲル(Creagel)EZ(登録商標)の参照名で販売されている製品でもよい。
【0068】
コポリマーは、以下のINCI名のうちの1つを有し得る。
−(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム)コポリマー、
−(アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/VP)クロスポリマー、
−(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム)コポリマー、又は、
−(アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VP)コポリマー。
【0069】
スラリーは、粒子状固相、不揮発性液相、ブロックコポリマー及び揮発性液体を混合することによって得ることができる。用語「揮発性液体」は、大気圧(約0.1MPa又は1バール)で110℃以下の蒸発温度を有する液体を意味することを意図している。揮発性液体は、大気圧(約0.1MPa)、及び周囲温度(25℃)で13Pa未満の蒸気圧を有する液体とも定義され得る。揮発性液体は、上に規定した温度及び圧力の条件下で、30分後に0.07mg/cm超の量が蒸発するような蒸発速度を有する液体とも定義され得る。
【0070】
有利には、揮発性液体は、水;好ましくは脂肪族モノアルコール類から選択される、C2〜C5アルコール;水/C2〜C5アルコールの混合物;C3〜C6脂肪族ジオール(又はグリコール)、例えばプロパン−1,2−ジオール(又はプロピレングリコール)、プロパン−1,3−ジオール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、又はジプロピレングリコール;イソパラフィン、例えばイソドデカン又はイソヘキサデカン;テトラ−、ペンタ−若しくはヘキサシクロメチコンのような環状シリコーンオイル、又は、例えば0.65〜5センチストークの粘性を有する、ジメチコンのような直鎖状シリコーンオイル;C1〜C5フルオロアルカン;フルオロシリコーンオイル、例えばフルオロアルキルジメチルシロキサン;及びこれらの任意の混合物から選択される。
【0071】
一実施形態によれば、揮発性液体は、ブロックコポリマーの分散剤を含有する。
【0072】
本発明の別の態様によれば、揮発性液体は、水を、好ましくはブロックコポリマーをゲル化するために十分な量で、含有する。一実施形態によれば、揮発性液体は、水又は水/C2〜C5アルコールの混合物であり、コポリマーは、2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸塩とN−ビニルピロリドンとのブロックコポリマーである。
【0073】
スラリーは、種々の構成物質を、好ましくは以下の比率で含む。
−本組成物の総重量に対して15重量%〜80重量%の粒子状固相、
−本組成物の総重量に対して20重量%〜70重量%の揮発性液体、
−本組成物の総重量に対して0.1重量%〜30重量%の不揮発性液相、
−本組成物の総重量に対して0.01重量%〜2重量%のブロックコポリマー。
【0074】
揮発性液体は、ペースト状の組成物の25重量%〜60重量%、好ましくは25重量%〜35重量%を占めることが好ましい。
【0075】
揮発性液体、不揮発性液相及びコポリマーは、充填剤及び顔料を添加する前に、好ましくは、第1のステップにおいて、当業者に公知のミキサー中、約25℃の温度で撹拌混合される。
【0076】
スラリーは、当業者に公知の技術に従って成形するために、型に入れることができる。
【0077】
型は、金属製又はシリコーン製であることができ、組成物を型から取り出した後再利用できる。型は、深皿又はポットであってもよく、製造した組成物と一緒になったままにして、その後、包装品のハウジングに入れられてもよい。
【0078】
スラリーが液体である場合、型の底から注入してもよいし、単純に上の開口部から充填することにより注型してもよい。型の底から注入する方法は、例えば、背部注入機(back injection machine)又はBIM充填として知られている。上からスラリーを型に流し入れる型充填法は、「頂部充填(top fill)」として知られている。
【0079】
スラリーは、より粘性がある場合もあり、そのためスラリーの断片を調製して上記スラリーを秤取する(meter−out)ことが可能である。ペーストが、上記スラリーの混練、秤取及び細断を可能にするのに十分な稠度を有するように、揮発性液体のパーセンテージを選択することが好ましい。この場合、揮発性液体を除去する前に、組成物がポット縁端に沿って延びるような形態をスラリーに与える必要がある。揮発性液体の除去と同時にプレスすることによってこの成形を実施できる。
【0080】
本発明による調製方法は、組成物を固化するために揮発性液体を実質的に除去することを目的とする、乾燥ステップとも称する、揮発性液体の除去ステップを含む。
【0081】
揮発性液体の除去は、吸引などの機械的手段、又は加熱などの熱的手段を用いて実施できる。
【0082】
当業者ならば、揮発性液体の除去を最適化するために必要な乾燥時間を調節できるであろう。スラリーは、除去時間及び使用手段に従って多少とも高い比率の揮発性液体を含み得る。
【0083】
本発明の方法によって得られる粉末系組成物は、スラリーを調製するために使用される揮発性液体を微量含み得る。この比率は、本組成物の総重量に対して、好ましくは、2重量%未満、より好ましくは、1重量%未満である。その意図は、通常、最終組成物中に残っている揮発性液体の比率を可能な限り減らすことである。本発明の粉末系組成物は、その調製に使用される揮発性液体の残留量が非常に少ないことから「乾燥」粉末と表記することができる。
【0084】
乾燥は、約20〜25℃の温度の空気流、赤外線、マイクロ波放射線、又はオーブン中にスラリーを曝すステップを含み得る。
【0085】
乾燥は、温度を30〜70℃の範囲、好ましくは40〜60℃の範囲に調節したオーブン中で加熱するステップも含み得る。通常、組成物の乾燥は、これらの条件下で、4〜10時間の範囲の時間が経てば完了できる。オーブン中の圧力は、好ましくは大気圧であり、オーブン中の湿度レベルは、好ましくは、相対湿度70%〜90%の間に調整される。
【0086】
乾燥は、プレス、吸引、スラリーの入った型の倒立による重力、遠心分離、又は型に流し入れたスラリーの自由表面上へのブロッターとなる吸湿材の適用によっても実施できる。
【0087】
一実施形態によれば、乾燥は、周囲温度(約25℃)で、プレスし、真空下で揮発性液体を吸引することによって乾燥させるステップを含む。プレスは、スラリーに接触し、吸引時に型の底と表面との間で組成物を圧縮するスタンプを用いて実施される。
【0088】
スタンプの末端部又は型の底に穴が開けられ、これにより吸引時にスラリーから揮発性液体を抽出することが可能になる。
【0089】
吸引は、通常、2つのステップで実施され、第1の一連のプレスが第1のスタンプを用いて実施され、それぞれのプレスが、時間T1、吸引圧力P1で行われて、液体除去を開始し、次いで第2の一連のプレスが、第1のスタンプと同じであっても異なっていてもよい第2のスタンプを用いて実施され、それぞれのプレスが、T1より長い時間T2、P1より高い吸引圧力P2で行われて、上記第2のスタンプに即した表面仕上げが得られるまで液体の吸引を続けるように行われる。好ましくは2つのステップで行われるこの吸引は、揮発性液体の除去時に起こり得るひび割れ又はむらが生じるのを防ぐことによって、化粧用組成物の表面仕上げを改善できる。本発明の意味の範囲内にある一連のプレスは、プレス機によるプレスを少なくとも1回含む。
【0090】
上記プレス、すなわち上記吸引操作の目的の1つは、粉末を圧縮成形せずに形成することである。したがって用いる圧力は比較的軽いものである。吸引圧力P1は好ましくは約0.05〜0.3MPaであり、吸引圧力P2は好ましくは約0.3〜0.8MPaである。
【0091】
例えば、以下のステップが行われる。
−揮発性液体の除去を開始するために、それぞれ1〜10秒、典型的には5秒の時間、一般に約0.05〜0.3MPa、典型的には約0.1MPaの第1の圧力をかける、少なくとも2回のプレスを含む第1のステップ、次いで、
−5〜20秒、典型的には10秒の時間、一般に約0.3〜0.8MPa、典型的には約0.5MPaの第2の圧力をかける、少なくとも1回のプレスを含む第2のステップ。
【0092】
本実施形態において、吸引除去時に型の中に粉末を保持するために、型ごとに多孔質材料を、スラリーの自由表面に付着させる、又はプレス機として働くスタンプ上に置いてもよい。この多孔質材料は、例えば、吸湿性の布、ウェフト又はシートである。これは、吸引が完了したら組成物から取り外される。
【0093】
揮発性液体の除去は、上記手段の組合せを含むこともできる。したがって、本発明の方法の変形体によって、スラリー中に含まれる揮発性液体の除去は、機械的除去と、その後の熱的除去とを含む。本方法は、例えば、2つの連続したステップ、すなわち機械的除去手段を用いてスラリーを部分的に乾燥させて湿性粉末を得るステップと、この湿性粉末を熱的手段によって乾燥させるステップとを含んでもよい。機械的除去は、プレス下で吸引することによって実施でき、熱的除去は、例えば、好ましくは70℃未満、より好ましくは60℃未満の温度のオーブン中で乾燥させることによって実施できる。
【0094】
好ましい一実施形態によれば、本発明の組成物は、以下のステップを含む方法によって調製される。
−スラリーを調製するステップ、
−例えば、ポンプと、型の上又は下からスラリーを注入するためのノズルを有利には備える注入装置とによって、型にスラリーを導入するステップ、
−スラリーの自由表面に多孔質材料を置くステップ、
−充填した型を真空下に置き、吸引によってペースト中に存在する揮発性液体を除去し、好ましくは吸引中プレス下のスラリーを維持するステップ、及び、
−大気圧に戻すステップ。
【0095】
その後、上記のオーブン乾燥条件に従って、調節した湿度レベル、大気圧下で型をオーブン乾燥させることができる。
【0096】
第2の好ましい実施形態によれば、スラリーを平皿上に広げ、次いで調節した湿度レベルでオーブン乾燥させる。揮発性液体を除去した後に篩い分けできる。得られるルースパウダーは、キャップ又は栓に堅く結合した塗布器の付いた瓶などのパッケージに入れた後、販売することができる。この方法によれば、顔用のルースパウダー(パウダーファンデーション、頬紅若しくはフェイスパウダー)又はアイメイク用のルースパウダー(アイシャドウ)を調製できる。
【0097】
本発明の方法の第3の実施形態によれば、スラリー中の揮発性液体を除去して乾燥粉末を得、その後乾燥粉末を篩い分けし、次いで圧縮成形する。圧縮成形は、当業者に公知の従来の条件下で、乾燥粉末を注ぎ入れたパッケージ中で直接、又は後でケーシングに入れられる深皿の中で行われる。
【0098】
型の中の組成物が乾燥したら、型から取り外し、販売に向けたパッケージ中に入れる処理ができる。型は、ポット又は深皿であってもよく、その後、組成物を型から取り外す必要なしに、パッケージ中にスナップ閉じするか、又はその中に入れることになる。
【0099】
本発明の組成物は、提示した技術的問題を解決することを可能にする。本発明は、体及び/又は顔のケア又はメイクアップ向けの化粧用組成物の調製に特に適している。
【0100】
本発明の方法は、様々な成分をよく分散させる均質なパウダーを調製することを可能にする。この方法によって得られるパウダー中の種々の原材料の分散は、乾式法を用いる従来技術による方法で得られるパウダーと比べて、実際のところ、より良好である。
【0101】
本発明の組成物は、特に耐水性、及び顔の肌、特に眼瞼上での持続力の面でとりわけ非常に良好な性能レベルを示す。
【0102】
したがって、これらの組成物は、体若しくは顔の美容ケア及び/又はメイクアップ用の組成物の調製に特に適している。
【0103】
したがって、本発明は、粉末系組成物の、少なくとも肌の一部への塗布を含む美容ケア及び/又はメイクアップの方法に関する。
【0104】
本発明のその他の目的、特徴及び利点は、実例としてのみ与えられ、本発明の範囲を決して制限し得ない実施例について言及する説明を読めば、当業者にはっきりと明らかになるであろう。
【0105】
実施例は、本発明の不可欠な部分を形成し、実施例を含めた全体の記載を基としてすべての従来技術に対して新規と思われるすべての特徴は、その機能及びその普遍性の観点から本発明の不可欠な部分を形成する。したがって、各実施例は、一般的範囲を有する。
【0106】
さらに、本実施例において、すべてのパーセンテージは別に指定されない限り重量で示され、温度は別に指定されない限り摂氏度で表され、圧力は別に指定されない限り大気圧である。化学製品の名称は、IUPACの命名法に準拠したINCI名又は化学名とする。
【実施例】
【0107】
実施例1:コンパクトパウダーアイシャドウ
以下の組成を有するコンパクトアイシャドウを製造した。
【0108】
【表1】

【0109】
スラリーの調製
A相の原材料をLodige又はWaringミキサー中で10〜30分間混合した。B相の原材料を上記ミキサーに入れ、少なくとも5分間、A相と混合した。
【0110】
Rayneriミキサー中で、C相の原材料を精製水と混合して、エマルジョンを調製した。このエマルジョン中の水は、エマルジョンの重量の50重量%を占める。
【0111】
A相及びB相の混合物を、エマルジョンが入っているRayneriミキサー中に撹拌しながら注ぎ入れた。スラリーを、10〜30分間、混練した。必要に応じて、水を加えてスラリーの稠度を調節した。必要に応じてスラリーをさらに5〜10分間、均等化して、スラリーを確実に均質にした。
【0112】
パウダーの成形
スラリーを混練機に設置し、処理してチューブの形態にし、次いで細断して、各ポットに入れた。以下のステップを連続して行い、真空下で揮発性液体を吸引することによって乾燥させた。
−圧力0.1MPa、5秒間のプレスを2回行って、揮発性液体の吸引を開始するステップ、次いで、
−圧力0.5MPa、10秒間のプレスを1回行うステップ。
【0113】
各スタンプのヘッドが直接スラリーに接触しないように、ヘッドの上に布を置いた。
【0114】
充填しプレスしたポットを、その後、大気圧下、湿度レベル80%、温度を50℃に調節したオーブンに5時間入れた。
【0115】
機械的衝撃に対する耐性試験
以下のプロトコルに従って事前に調製したコンパクトパウダーに対して、落下試験を行った。ブロックコポリマー((アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VP)コポリマー)のパーセンテージは、配合物の他の原材料の比率を変えずに、オクチルドデシルステアロイルステアレート結合剤のパーセンテージを調節することによって変化させた。
【0116】
コンパクトパウダーの落下強度を決めるために用いたプロトコルは、以下のステップから成る。
−作業台の前に立って、片手に30cmの目盛り付き定規を垂直に持ち、
−もう片方の手でポットを作業台の上で水平に、ポットの底を下にして持ち、
−手を離してポットを落下させ、最初のひび割れ又は破損が見えるまでこの操作をやり直し、実施した落下の回数を記録し、
−少なくとも2つ又は3つのポットでこの操作を繰り返し、次いで結果の平均を計算する。
【0117】
【表2】

【0118】
上記ブロックコポリマーは、コンパクトパウダーの機械的衝撃に対する耐性を非常に明確に改善する。
【0119】
実施例2:コンパクトパウダーアイシャドウ
以下の組成を有するコンパクトアイシャドウを製造した。
【0120】
【表3】

【0121】
スラリーの調製
実施例1におけるプロトコルに従って実施した。
【0122】
パウダーの成形
実施例1のものと同じ条件下で実施した。
【0123】
機械的衝撃に対する耐性試験
実施例1のものと同じ条件下で実施した。
【0124】
【表4】

【0125】
上記ブロックコポリマーは、コンパクトパウダーの機械的衝撃に対する耐性を非常に明確に改善する。
【0126】
実施例3:コンパクトパウダーアイシャドウ
以下の組成を有するコンパクトアイシャドウを製造した。
【0127】
【表5】

【0128】
スラリーの調製
実施例1のプロトコルに従って実施した。
【0129】
パウダーの成形
実施例1のものと同じ条件下で実施した。
【0130】
機械的衝撃に対する耐性試験
実施例1のものと同じ条件下で実施した。
【0131】
【表6】

【0132】
ブロックコポリマーは、コンパクトパウダーの機械的衝撃に対する耐性を非常に明確に改善する。
【0133】
実施例4:コンパクトパウダーファンデーション
以下の組成を有するコンパクトファンデーションを製造した。
【0134】
【表7】

【0135】
スラリーの調製
実施例1のプロトコルに従って実施した。
【0136】
パウダーの成形
スラリーを混練機に設置し、処理してチューブの形状にし、これを各ポットに入れた。以下のステップを連続して行い、真空下で揮発性液体を吸引することによって乾燥させた。
−圧力0.1MPa、5秒間のプレスを1回行って、揮発性液体の吸引を開始し、次いで、
−圧力0.5MPa、10秒間のプレスを1回行う。
【0137】
各スタンプのヘッドの上に布を置いて、ヘッドが直接スラリーに接触しないようにした。
【0138】
充填しプレスしたポットを、その後、大気圧で、湿度レベル80%、温度を50℃に調節したオーブンに5時間入れた。
【0139】
実施例5:コンパクトパウダーアイシャドウ
以下の組成を有するスラリーを製造することによってコンパクトアイシャドウを調製した。
【0140】
【表8】

【0141】
A相をLodige装置内で10〜15分間混合した。B相を調製し、実施例1のC相について記載したプロトコルに従って、A相と混合した。水は、スラリーの重量の43重量%を占めた。
【0142】
スラリーを平皿の上に重ね、大気圧で、湿度レベル80%、温度を50℃に調節したオーブンに5時間入れた。
【0143】
得た粉末を篩い分けし、ポットに入れ、次いで圧縮成形した。
【0144】
実施例6:ルースパウダーアイシャドウ
以下の組成を有するルースパウダーの形態のアイシャドウを調製した。
【0145】
【表9】

【0146】
スラリーは、実施例5のプロトコルに従って調製した。得た粉末は、その後、篩い分けし、包装した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)50重量%〜99重量%の少なくとも1つの粒子状固相と、
(b)0.1重量%〜50重量%の少なくとも1つの不揮発性液相と、
(c)0.01重量%〜4重量%の少なくとも1種のブロックコポリマーであって、2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸又はその塩の第1のモノマー、及び含窒素側鎖を有する第2のビニルモノマーから得られるブロックコポリマーと、
を含む、特にルースパウダー又はコンパクトパウダーの形態の固形の化粧用組成物。
【請求項2】
75%〜99%の前記少なくとも1つの粒子状固相を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記粒子状固相が球状充填剤を含有し、前記充填剤が組成物の25重量%〜35重量%を占める、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
5重量%〜25重量%の前記少なくとも1つの不揮発性液相を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
不揮発性液相が、オイル;グリセロールなどのC3〜C5ポリオールから選択されるアルコール;グリコールエーテル;及びそれらの混合物;からなる群から選択される少なくとも1種の液体を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
第2のモノマーが、N−ビニルピロリドンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
0.1重量%未満の脂肪性物質を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
(i)前記粒子状固相、前記不揮発性液相、前記ブロックコポリマー及び揮発性液体を混合してスラリーを得るステップと、
(ii)前記スラリーを型に入れるステップと、
(iii)前記スラリー中に存在する前記揮発性液体を少なくとも部分的に除去するステップと、
を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法。
【請求項9】
前記揮発性液体が、前記スラリーの重量の、20重量%〜70重量%、好ましくは30重量%〜60重量%を占める、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記揮発性液体が、多量の水を含有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記揮発性液体の除去後に、前記組成物が型から取り出されない、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記揮発性液体の除去が、機械的に除去して湿性粉末を得るステップ及び熱的方法によって前記湿性粉末を乾燥させるステップの2つの連続したステップにおいて実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
揮発性液体を除去するステップが、プレス下で吸引除去し、次いで60℃未満の温度のオーブン中で乾燥させることによって実施される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
プレス下での吸引除去が、第1の一連のプレスを第1のスタンプによって毎回0.05〜0.3MPaの間の圧力P1を時間T1の間かけて行うことにより前記液体の除去を開始するステップと、次いで第2の一連のプレスを第2のスタンプによって毎回0.3〜0.8MPaの間の圧力P2をT1より長い時間T2の間かけて、第2のスタンプに即した表面仕上げが得られるまで前記液体の除去を続けるように行うステップと、の2つのステップにおいて実施される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(i)粒子状固相、不揮発性液相、並びに、2−アクリルアミドアルキルスルホン酸塩の第1のモノマー及び第2のモノマーから得られるイオン性ブロックコポリマー、を水中で分散させてスラリーを得るステップと、
(ii)前記スラリーを型に入れるステップと、
(iii)真空下で吸引し、次いで70℃未満の温度で乾燥させることによって、前記スラリー中に存在する水を除去するステップと、
を含む、粉末系組成物を製造する方法。
【請求項16】
前記第2のモノマーが、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸塩及びビニルピロリドンから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ブロックコポリマーが、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム/VP)クロスポリマー、(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム)コポリマー、又は(アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VP)コポリマーである、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
組成物の総重量に対して15重量%〜80重量%の少なくとも1つの粒子状固相と、
組成物の総重量に対して20重量%〜70重量%の水と、
組成物の総重量に対して1重量%〜30重量%の不揮発性液相と、
水中でゲル化する、組成物の総重量に対して0.01重量%〜2重量%のポリマーと、
を含む、少なくとも部分的に乾燥させることを意図した、化粧品製造用のスラリー。
【請求項19】
粉末の凝集性を改善するための、化粧用組成物中の、請求項1及び6のいずれか一項に記載のブロックコポリマーの使用。
【請求項20】
機械的衝撃及び熱ショックに対するコンパクトパウダーの耐性を改善し、ルースパウダーの揮発性を減少させるための、請求項19に記載の使用。


【公開番号】特開2012−250980(P2012−250980A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−124822(P2012−124822)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(502189579)エルブイエムエイチ レシェルシェ (68)
【Fターム(参考)】