粉末を気流に引き込むためのディスペンサーおよび方法
本発明は、1回投与量の薬物粉末(2)を輸送する少なくとも1つの気流の吸入のための装置(1)に関する。この装置は、流路(4)に開口する粉末含有キャビティー(5)を備えている。流路は、キャビティー開口を横断するように吸入気流を案内するように配置されている。したがって、循環流が、せん断誘導キャビティー流の現象によってキャビティー(5)内に誘導される。粉末が循環流に引き込まれ、キャビティーを出る前に分散化され、流路(4)に沿った空気の流れに引き込まれることになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビティー内に含められた薬物粉末を気流に引き込むための装置および方法に関する。本発明はまた、粉末含有キャビティーを備えた医療ディスペンサーにも関する。
【背景技術】
【0002】
肺に粉末薬物を投与する様々な装置が存在し、このような装置は、例えば、空気などの圧縮ガスである推進剤、または液化ガス推進剤を利用して粉末薬物をディスペンスして分散させる。
【0003】
また、肺に粉末薬物を投与するための多数の既知の呼吸作動式吸入装置が存在し、このような装置は、マウスピースを備え、このマウスピースを介して薬物が吸入される。特許文献1、2、3、および4に、より複雑な装置が開示されており、このような装置では、完全なカプセルが装置に挿入されるため、吸入の前に薬物の漏出が防止され、薬物へのアクセスは、ディスペンス装置内のカプセルを刺入する、またはカプセルを半分に切断することによって行われる。吸入時に、空気がカプセル内に流入する、またはカプセルを通り、内部の粉末が気流に放出され、口に向かって流れる。
【0004】
特許文献5に、粉末薬物が、吸入によって生じる気流に引き込まれるのに適した位置に放出されるように、カプセルを半分ずつに引き離すことによって粉末薬物へのアクセスが行われる装置が開示されている。
【0005】
特許文献6は、呼吸作動式乾燥粉末吸入器に正確な用量の薬物を常に供給するための事前定量アセンブリに関する。このアセンブリは、呼吸作動式乾燥粉末吸入器の渦チャンバーの乾燥粉末供給ポートに空気を供給するための乾燥粉末送達路を画定しているキャップと、事前定量された乾燥粉末を保持する複数のレザバーを有するマガジンとを備えている。マガジンおよびキャップの一方は、レザバーをキャップの送達路内に順次配置するためにマガジンおよびキャップの他方に対して移動可能である。吸入器の出口ポートで呼吸によって誘導される低い圧力によって気流が生じ、この気流が、アセンブリの乾燥粉末送達路を通り、吸入器を使用する患者による吸入用の送達路内に配置されたレザバーから乾燥粉末を引き込む乾燥粉末供給ポートに至る。送達路は、レザバーを通りレザバーから乾燥粉末を引き込む流れを生じさせるためにレザバー近傍の送達路にベンチュリを備えている。
【0006】
特許文献7(Baumら)に、吸入装置が記載されており、この吸入装置では、粉末薬物へのアクセスが、カプセルを半分ずつに引き離すことによって行われ、カプセルの下半分が装置の直立位置に維持され、カプセルの開口端部が、ディスク形吸入チャンバーの下面と面一になる。チャンバーの周囲半分には、多数の空気吸入口が存在し、これらの空気吸入口の反対側には、マウスピースにつながった大きめの空気の出口が存在する。吸入時に、空気が、チャンバーを通り、カプセルの開口部を横断する。これは、ビンの口に息を吹き付けることによって音を生じさせる効果に類似した、カプセルの共鳴効果をもたらし得ると述べられている。
【0007】
特許文献8(Boehringer)に粉末吸入装置が開示されており、この吸入装置では、粉末キャビティーが、出口開口の部分で狭まっている空気流路の下面に開口している空気の出口を備えている。キャビティーは、流路に開口していない空気吸入口も備えている。出口近傍の流路が狭められてベンチュリが形成されており、これにより、使用者の吸入によって気流が生じるとこの部分の圧力が低下する。したがって、空気は、入口からキャビティーに吸引されて出口を通り、流路に至る。
【0008】
特許文献9(Baxter)に、インスリンに適した単回投与吸入器が開示されている。薬物は、丸形または楕円形の開口を備えたキャビティー内に貯蔵される。キャビティーは、流れ方向におけるその長さよりも寸法が大きい深さを有する。入口からマウスピースへの流路は、キャビティーの上部を横断し;流路の底部と天井部は、滑らかに湾曲し、キャビティーの上流側と下流側で広がっており、キャビティーに近接した流路の部分が最も狭い。「誘導キャビティー流」が、キャビティー内で生じるため、粉末がキャビティーから出て気流に入ると述べられている。
【0009】
特許文献10(Mannkind)に、薬物貯蔵キャビティーの深さが、その流れ方向の長さよりも寸法が大きい、インスリンに適した単回投与吸入器が開示されている。このキャビティーは、1つの以上の出口孔が形成された蓋を備え、入口が、キャビティーの下流の上部壁に形成されている。使用の際は、空気が入口の中に吸引され、循環気流が生じ、蓋の出口孔(複数可)から上方に抜ける。
【0010】
多数の従来技術の装置があるにもかかわらず、デザインがシンプルで低価格であり、小型で操作が単純であるが、粉末のキャビティーを効率的に空にすることもできる装置、特にマルチキャビティー吸入器が要望されている。着実かつ効率的な内容物の排出は、1つには、高価な薬物が装置に残って無駄にしないために重要であるが、より重要なことは、残った粉末が装置を汚染し、装置の次の使用者が誤って吸引するのを防止することである。
【0011】
投与される前に粉末を効率的に分散化させる装置も要望されている。粉末粒子のかなりの部分が特定の空気力学的サイズの範囲にする分散化プロセスが望ましい。これは、粉末粒子の分級(classifying)と呼ばれる場合が多い。分散化を可能にする様々な方法が、従来技術に記載されている。例えば、蛇行した流路は、粒子が流路の壁に衝当するため分散化を引き起こし得る。別法では、粉末キャビティーまたはレザバーの下流の流路に障害物を配置することができる。振動または振盪も考えられ得る。上述の特許文献7は、吸入時に迅速に移動して粉末成分をほぐして、極度に密着した粉末または圧縮された粉末の分散化を容易にするカプセルを提供する。
【0012】
流路の下流に分散化機能構造を利用する装置は、薬物粉末がこれらの下流の機能構造に蓄積し得るため、使用中に詰まる、または汚染されることがある。もちろん、不正確な量の薬物粉末を投与するリスクを低下または排除することが望ましい。粉末が下流の分散化機能構造に蓄積した場合、何回かの投与によって蓄積された粉末が、これらの下流の機能構造から突然解離して(例えば、装置が落下した場合)、患者がかなりの過量摂取をするリスクがある。
【0013】
本発明の目的は、少なくとも上記の問題の一部またはすべてを緩和することである。
【0014】
乾燥粉末吸入装置は、粒子を引き込んでキャビティーを効率的に空にするために、流れが誘導される浅いキャビティーを有する傾向にある。特に大用量の粉末の場合、浅いキャビティーの使用は、比較的大きな面積を占有し得るため、比較的大きい装置となり得る。
【0015】
本発明者らは、驚くべきことに、装置のデザインパラメータを最適化して粉末キャビティーにおけるせん断誘導キャビティー流の現象を最大化することによって比較的深いキャビティーを非常に効率的に空にできることを見出した。本発明者らは、キャビティーおよびキャビティーの上の流路について、多種多様なキャビティーの形状および幾何学的パラメータを調べ、計算流体力学技術と物理的プロトタイプの両方を用いてこれらのキャビティーを空にして粉末を分散化する効率を比較した。
【0016】
せん断誘導キャビティー流の概念は、一般的には、キャビティー内の回転流がキャビティー開口を横断する流体の流れの通過によって生じ得るというものである(キャビティー内に流れを案内すること、または気流を使用してキャビティー開口の上のベンチュリ効果によって圧力を下げ、開口から流体の流れを吸引することとは異なる)。流れは、円筒パターンで回転する傾向にある。
【0017】
上で参照した特許文献7に、気流が標準的な製剤カプセルの分離された下半分の開口を横断して粉末を引き込む装置が記載されている。本発明の発明者らは、一部のせん断誘導キャビティー流が、この従来の装置で生じることがあり、この現象が、報告された結果をある程度説明すると考えている。しかしながら、本発明者らは、キャビティーの形状は、せん断誘導キャビティー流の特徴である円筒状に回転する流れのパターンの発生を許容できないと考えている。
【0018】
上で参照した特許文献9(Baxter)は、せん断誘導流動の現象を使用しているようであるが、本発明者らは同様に、キャビティーおよび/または流路の形状が最適ではないだろうと考えている。
【0019】
単純に粉末が回転流に引き込まれるのではなく、粉末含有キャビティー内での円筒回転流の発生により、キャビティーが迅速かつ効率的に空になり得ることはやや直観にそぐわない。しかしながら、本発明の発明者らは、粉末は、回転流に引き込まれて長時間留まるのではなく、回転流からキャビティーの上の直線流に迅速に移り得ることを見出した。
【0020】
本発明者らは、好ましくは比較的深いキャビティーにおけるせん断誘導キャビティー流の効果が、流路のデザイン、キャビティーの形状、圧力低下、流速、または体積流量などの1つ以上のパラメータを操作することによって最適化できることを見出した。本発明者らは、驚くべきことに、キャビティーを迅速に空にするだけではなく、キャビティー内の粉末の分散化または分級を、せん断誘導キャビティー流の現象を利用することによって深いキャビティーでも非常に効率的に達成できることを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】英国特許第1,521,000号明細書
【特許文献2】英国特許第1,520,062号明細書
【特許文献3】英国特許第1,472,650号明細書
【特許文献4】英国特許第1,502,150号明細書
【特許文献5】米国特許第4,210,140号明細書
【特許文献6】米国特許第6,655,381B2号明細書
【特許文献7】米国特許第4,446,862号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2009114220号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第20090084379号明細書
【特許文献10】国際公開第2009/152477号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2003/051839号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2008/010765号パンフレット
【特許文献13】国際公開第2006/026754号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置は、流路と、開口を有する粉末貯蔵キャビティーとを備え、キャビティー開口が、流路の壁に存在し、この流路が、キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、キャビティー開口が、長方形または台形などの四角形の形状を有し、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%である。
【0023】
キャビティー開口のフィレット半径は、0.001mm〜0.5mm、好ましくは0.01mm〜0.3mmとすることができる。本発明者らは、この形状のキャビティー開口が、例えば、円形または楕円形の開口よりも、せん断誘導キャビティー流の特徴である円筒流パターンを効率的に促進し得ると考えている。キャビティー開口は、好ましくは、1.5〜4.0、より好ましくは1.8〜3.5、さらに好ましくは2.6〜3.2の範囲のアスペクト比を有することができる。
【0024】
大きい方の寸法を、好ましくは、流路の流れの方向に合わせる。
【0025】
好ましくは、流れ方向におけるキャビティー開口の長さは、キャビティーの深さの105%〜140%、より好ましくは110%〜135%とすることができる。本発明者らは、これが、キャビティーにおけるせん断誘導流を促進し得ると考えている。
【0026】
流路は、好ましくは、キャビティー内に流れが案内されないように形成され、例えば、キャビティー開口を、流路の平らな壁に形成することができ、好ましくは、キャビティー開口の反対側に平行な壁も備える。
【0027】
本発明者らは、上で明記した形状と寸法を有する吸入器は、人間の患者による使用では、正しい特徴をもつ気流を生じさせて、キャビティー内の粉末を効率的に空にして分散化することができると考えている。好ましくは、キャビティーの近傍の流路の最大高さは、0.5〜4mm、好ましくは0.5mm〜3mm、より好ましくは1mm〜2mmとすることができる。
【0028】
好ましくは、流路は、キャビティー開口を横断する実質的に一方向の流れを発生させるように配置することができる。これは、例えば、扇形(平面図において)である特許文献7に記載されているキャビティーを横断する流れとは対照的である。この流れは、扇形の対称軸に沿っていると言える全体方向を有するが、「一方向」と表現することができない。さらに、10mm以上である特許文献7のキャビティーの近傍の流路の高さは、流れにおける実質的に垂直方向の偏差を許容し得る。
【0029】
好ましくは、キャビティーの領域における流路の最大幅(以下の定義を参照)は、2mm〜6mmとすることができる。したがって、キャビティーの近傍の流路の断面積は、1mm2〜20mm2、好ましくは3mm2〜10mm2の範囲とすることができる。
【0030】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置は、流路と、開口を有する粉末貯蔵キャビティーとを備え、キャビティー開口が、流路の壁に存在し、流路が、キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、キャビティーのすぐ近傍の流路の最大高さが、0.5mm〜4mmであることを特徴とする。
【0031】
せん断誘導キャビティー流を促進し得ると本発明者らが考える別の因子には、流れ方向に対するキャビティーの下側の前縁および/または後縁の形状が含まれる。これらは、1〜3mm、好ましくは1.5mm〜2.5mmの半径を有する(これは、上述したキャビティー開口のフィレット半径およびキャビティーの垂直方向の角/縁とは異なる)。
【0032】
キャビティー自体は、好ましくは3mm〜10mm、好ましくは4mm〜6mmである以下に定義する深さを有することができる。流れ方向における最大長さは、3mm〜10mm、好ましくは4mm〜7mmとすることができる。キャビティーの平均幅は、1mm〜5mm、好ましくは1.5mm〜3mmとすることができる。乾燥粉末吸入器に含める薬物粉末の適切な量の決定はもちろん、本発明者らは、これらの寸法が、効率的な内容物の排出と分散化とを促進すると考えている。
【0033】
本発明者らによる最初の研究は、単純な立方形のキャビティーを用いて行った(例えば、図1を参照されたい)。このようなキャビティーの物理的モデルを形成し、粉末で満たし、試験し、この結果を高速ビデオ技術で記録した。図3a〜図3dに示されているキャビティーと同様のキャビティーを空にするのを観察した。性能を改善する試みでは、下側の上流縁における大きな半径(約2mmのオーダー)が、空にするプロセスの最中に粉末の侵食パターンを反映するため、この大きな半径を有するようにキャビティーの形状を変更した。これは、キャビティーを空にするのを改善することが分かった。
【0034】
計算流体力学技術(以下に詳述)を用いたさらなる研究により、キャビティーの上流と下流の両方の下側の縁に大きい半径を有する、現在最も良く知られているキャビティーの形状がもたらされた。
【0035】
好ましくは、流れを乱す部材を、流路壁から突出させることができ、この流れを乱す部材は、その最も上流部が、キャビティーの1mm〜20mm、好ましくは2mm〜10mm、より好ましくは3mm〜7mm上流に位置している。本発明者らは、1つまたは複数のこの流れを乱す部材が、キャビティーを横断する流れにおける乱流を増加させることができ、これにより、キャビティーに誘導される回転流の乱流を増加させることができると考えている。本発明者らは、これは、粉末のキャビティーを空にする効率を上昇させ得ると考えている。
【0036】
様々なデザインの流れを乱す部材を用いた計算流体力学技術を使用した研究により、著しい性能の向上がもたらされ得ることが確認された。この部材の正確な形状と横方向の位置は、影響を与え得るが、極めて重要ではない。
【0037】
流れを乱す部材は、キャビティー開口が形成されている壁(すなわち、流路の「底部」から)から突出させることができる。この部材は、流路の全高さにわたって、または流路の全幅にわたって延在しても良いが、好ましくは、流路の幅および/または高さの1%〜50%、より好ましくは1%〜20%のみに延在する。流れの方向におけるこの部材の断面積は、この部材の近傍における流路の断面積(流れに対して垂直)の1〜25%とすることができる。好ましくは、この部材の断面積は、この部材の近傍における流路の断面積の3〜20%、より好ましくは5〜15%である。
【0038】
好ましくは、キャビティーが閉じている第1の位置とキャビティーが開いている第2の位置との間で移動可能な蓋部材を、キャビティーに付随させることができ、蓋部材は、流路の境界の一部を構成する。
【0039】
一部の状況では、例えば、1回の吸入で2つの別個の薬物を投与する必要がある場合は、第1の前記キャビティーの下流の流路に開口する第2の粉末貯蔵キャビティーを有することが望ましいであろう。上述の蓋部材は、第1の位置と第2の位置との間を移動するときに両方のキャビティーを閉じる、または開けることができる。
【0040】
本装置は、円の外周部に配置され複数の流路を備えることができ、流路が、流れ方向が前記円に対して径方向であるように配置され、少なくとも1つの前記粉末貯蔵キャビティーが、各流路に付随している。このようにして、都合が良い形状の複数回投与吸入器を提供することができる。キャビティーをディスク部材に設けることができ、ディスク部材は、未使用の粉末含有キャビティーにマウスピースを順次整合させるために、吸入器のマウスピースに対して回転可能に構成することができる。このような装置では、対称線が流路の流れの方向に沿っている台形の形状を有するキャビティー開口が好ましいであろう。この構成は、所定の大きさのディスクに装着できるキャビティーの数を最大限に増加させるのに役立ち得る。
【0041】
上記の複数回投与装置では、流路は、径方向外向きとすることができ、入口が装置の中心の近傍であり、マウスピースが周辺部に位置している。この場合は、台形状の開口を備えたキャビティーにおける流れの方向は、開口の小さい方の端部から大きい方の端部であり得る。別法では、装置は、周辺部の入口と中心に位置するマウスピースとを有することができ、この場合、台形状のキャビティーを横断する流れは、大きい方の端部から小さい方の端部である。
【0042】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための装置は、(a)開口を有する粉末貯蔵キャビティーと、(b)キャビティーが閉じている第1の位置とキャビティーが開いている第2の位置との間で移動可能な蓋部材とを備え、蓋部材が第2の位置にあるときは、蓋部材が流路の境界の一部を構成し、キャビティー開口が、流路の壁に存在し、流路が、キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、キャビティーの深さの50%〜150%であり、キャビティーの近傍の流路の最大高さが0.5mm〜4mmである。好ましくは、流れ方向におけるキャビティー開口の長さは、流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%である。
【0043】
一部の状況では、例えば、1回の吸入で2つの別個の薬物を投与する必要がある場合は、流路に開口する第2の粉末貯蔵キャビティーを有することが望ましいであろう。第2のキャビティーも、蓋部材が第1の位置にあるときは閉じ、蓋部材が第2の位置にあるときは開いている。
【0044】
別の態様では、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置は、流路と、開口を有する粉末貯蔵キャビティーとを備え、キャビティー開口が、流路の壁に存在し、流路が、キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、キャビティーの近傍の流路が、1mm2〜15mm2、好ましくは3mm2〜10mm2の範囲の断面積を有することを特徴とする。
【0045】
人間の患者によって使用される吸入器では、使用中の装置にわたる全圧力低下は、通常は2kPa〜6kPaである。キャビティーの一端から他端までの流路における圧力差は、吸入装置の他の部分における圧力損失のために僅かであるが、通常は0.1kPa〜5kPa、好ましくは0.5kPa〜2kPaである。上で言及した流路の寸法は、人間の患者に使用されるようにデザインされた吸入器では、この範囲の圧力低下をもたらし得る。
【0046】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置は、流路と、唯1つの開口を有する粉末貯蔵キャビティーとを備え、キャビティー開口が、流路の壁に存在し、流路が、キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、キャビティーの深さの50%〜150%であり、キャビティーのすぐ近傍の流路の最大高さが、0.5mm〜4mmであることを特徴とする。
【0047】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置は、流路と、唯1つの開口を有する粉末貯蔵キャビティーとを備え、キャビティー開口が、流路の壁に存在し、流路が、キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、キャビティーの深さの50%〜150%であり、キャビティーの近傍の流路が、1mm2〜15mm2、好ましくは3mm2〜10mm2の範囲の断面積を有することを特徴とする。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、上記の装置に充填される、以下に記載するリストから選択される化合物または組み合わせを含む剤形とすることができる。
【0049】
キャビティーの形状は、性能に対して重大な影響を与えると考えられる。せん断誘導キャビティー流の現象が、円筒回転流パターンを発生させる傾向にあるため、キャビティーの深さの少なくとも一部、例えば、キャビティーの少なくとも上半分(キャビティー開口からキャビティーの最も遠い位置までの垂直距離に基づいて、開口に近い方の半分)にわたって、平面図で概ね長方形または台形の形状のキャビティーは、回転キャビティー流を促進する。この平面図は、キャビティー開口の平面(定義された通り)に対して垂直な方向からキャビティーを見た図を指す。長方形または台形の開口の長手方向の対称線は、好ましくは、流路における気流の方向を向いている。
【0050】
せん断誘導キャビティー流を発生させるためには、キャビティーの開口は、理想的には、そのキャビティー開口に平行な平面におけるキャビティーの最大断面積と同程度、例えば、最大断面積の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは約100%である断面積を有するべきであると考えられる。
【0051】
キャビティーには、粉末充填レベル(粉末の表面が平らで、キャビティー開口と平行であるときの)とキャビティー開口との間にヘッドスペースを備えている。ヘッドスペースは、好ましくは1mm〜6mmである。
【0052】
本発明は、任意の前の段落に記載された装置に使用される、薬物粉末が充填された1つまたは複数のキャビティーを含む交換用マガジンにも関する。
【0053】
本発明はまた、一般に中実ディスクまたは環状体として形成することができる乾燥粉末吸入器用のキャビティーディスクにも関し、キャビティーディスクは、その表面に円形パターンに配置された複数の粉末含有キャビティーを備え、各キャビティーは、台形状の開口を有し、この開口は、除去可能なシールまたは蓋によって覆うことができ、各キャビティーは、キャビティーの深さの50%〜150%である径方向の長さを有する。
【0054】
好ましくは、各キャビティーの径方向における長さは、前記径方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%とすることができる。
【0055】
好ましくは、流れ方向に対するキャビティー(33)の下側の前縁および/または後縁は、0.5〜3mm、好ましくは1.5mm〜2.5mm、より好ましくは1.75mm〜2.25mmの半径を有することができる。
【0056】
本発明によると、どの前の段落に記載された装置も、1つまたは複数のキャビティーに薬物粉末を充填することができる。
【0057】
薬物粉末は、様々な活性成分を含むことができる。活性成分は、任意の治療薬または診断薬から選択することができる。例えば、活性成分は、抗アレルギー薬、気管支拡張薬(例えば、β2−(例えば、β2−アドレナリン受容体アゴニストまたはムスカリンアンタゴニスト)、気管支収縮剤、肺界面活性剤(pulmonary lung surfactant)、鎮痛薬、抗生物質、肥満細胞阻害剤、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗悪性腫瘍薬、麻酔薬、抗結核薬、造影剤、心血管薬、酵素、ステロイド、遺伝物質、ウイルスベクター、アンチセンス剤、タンパク質、ペプチド、非ステロイド性糖質コルチコイド受容体(GR受容体)アゴニスト、酸化防止剤、ケモカインアンタゴニスト(例えば、CCR1アンタゴニスト)、コルチコステロイド、CRTh2アンタゴニスト、DP1アンタゴニスト、ヒストンデアセチラーゼ誘導剤、IKK2阻害剤、COX阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、MPO阻害剤、p38阻害剤、PDE阻害剤、PPARγアンタゴニスト、プロテアーゼ阻害剤、スタチン、トロンボキサンアンタゴニスト、血管拡張薬、ENAC遮断薬(上皮ナトリウムチャネル遮断薬)、およびこれらの組み合わせとすることができる。
【0058】
この薬物粉末に含めることができる特定の活性剤の例として、
(i)酸化防止剤:−アロプリノールと、エルドステインと、マンニトールと、N−アセチルシステインコリンエステルと、N−アセチルシステインエチルエステルと、N−アセチルシステインと、N−アセチルシステインアミドと、ナイアシンと;
(ii)ケモカインアンタゴニスト:−BX471((2R)−1−[[2−[(アミノカルボニル)アミノ]−4−クロロフェノキシ]アセチル]−4−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−メチルピペラジン一塩酸塩)と、CCX634と、N−{2−[((2S)−3−{[1−(4−クロロベンジル)ピペリジン−4−イル]アミノ}−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)オキシ]−4−ヒドロキシフェニル}アセトアミド(特許文献11を参照されたい)と、2−{2−クロロ−5−{[(2S)−3−(5−クロロ−1’Η,3H−スピロ[1−ベンゾフラン−2,4’−ピペリジン]−1’−イル)−2−ヒドロキシプロピル]オキシ}−4−[(メチルアミノ)カルボニル]フェノキシ}−2−メチルプロパン酸(特許文献12を参照されたい)と、656933(N−(2−ブロモフェニル)−N’−(4−シアノ−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−7−イル)尿素)と、766994(4−({[({[(2R)−4−(3,4−ジクロロベンジル)モルフォリン−2−イル]メチル}アミノ)カルボニル]−アミノ}メチル)ベンズアミド)と、CCX−282と、CCX−915と、シアノビリンNと、E−921と、INCB−003284と、INCB−9471と、マラビロクと、MLN−3701と、MLN−3897と、T−487(N−{1−[3−(4−エトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イル]エチル}−N−(ピリジン−3−イルメチル)−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アセトアミド)と、ビクリビロックと;
(iii)コルチコステロイド:−ジプロピオン酸アルクロメタゾンと、アメロメタゾンと、ジプロピオン酸ベクロメタゾンと、ブデソニドと、プロピオン酸ブチキソコルトと、シクレソニドと、プロピオン酸クロベタゾールと、脱イソブチルシクレソニド(Desisobutyrylciclesonide)と、エチプレドノールジクロアセタート(Etiprednol dicloacetate)と、フルオシノロンアセトニドと、フロ酸フルチカゾンと、プロピオン酸フルチカゾンと、エタボン酸ロテプレドノール(局所的)と、フロ酸モメタゾンと;
(iv)DPIアンタゴニスト:−L888839とMK0525と;
(v)ヒストンデアセチラーゼ誘導物質:−ADC4022、アミノフィリン、メチルキサンチン、またはテオフィリン;
(vi)IKK2阻害剤:−2−{[2−(2−メチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−1H−インドール−5−カルボニル]−アミノ}−3−(フェニル−ピリジン−2−イル−アミノ)−プロピオン酸;
(vii)COX阻害剤:−セレコキシブと、ジクロフェナクナトリウムと、エトドラクと、イブプロフェンと、インドメタシンと、メロキシカムと、ニメスリドと、OC1768と、OC2125と、OC2184と、OC499と、OCD9101と、パレコキシブナトリウムと、ピセタノールと、ピロキシカムと、ロフェコキシブと、バルデコキシブと;
(viii)リポキシゲナーゼ阻害剤:−アジュレミン酸(Ajulemic acid)と、ダルブフェロンと、メシル酸ダルブフェロンと、デキシブプロフェンリシン(Dexibuprofen lysine)(一水和物)と、エタロシブナトリウム(Etalocib sodium)と、リコフェロン(Licofelone)と、リナゾラスト(Linazolast)と、ロナパレンと、マソプロコールと、MN−001と、テポキサリン(Tepoxalin)と、UCB−35440と、ベリフラポン(Veliflapon)と、ZD−2138と、ZD−4007と、ジレウトン((±)−1−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−1−ヒドロキシ尿素)と;
(ix)ロイコトリエン受容体アンタゴニスト:−アブルカスト(Ablukast)と、イラルカスト(Iralukast)(CGP45715A)と、モンテルカストと、モンテルカストナトリウムと、オンタゾラストと、プランルカストと、プランルカスト水和物(一ナトリウム塩)と、ベルルカスト(Verlukast)(MK−679)と、ザフィルルカストと;
(x)MPO阻害剤:−ヒドロキサム酸誘導体(N−(4−クロロ−2−メチル−フェニル)−4−フェニル−4−[[(4−プロパン−2−イルフェニル)スルホニルアミノ]メチル]ピペリジン−1−カルボキサミド)と、ピセアタンノールと、レスベラトロールと;
(xi)β2−アドレナリン受容体アゴニスト:−メタプロテレノールと、イソプロテレノールと、イソプレナリンと、アルブテロールと、サルブタモール(例えば、硫酸塩として)と、フォルモテロール(例えば、フマル酸塩として)と、サルメテロール(例えば、キシナホ酸塩として)と、テルブタリンと、オルシプレナリンと、ビトルテロール(例えば、メシル酸塩として)と、ピルブテロールと、インダカテロールと、サルメテロール(例えば、キシナホ酸塩として)と、バンブテロール(例えば、塩酸塩として)と、カルモテロールと、インダカテロール(CAS番号312753−06−3;QAB−149)と、ホルムアニリド誘導体、例えば、3−(4−{[6−({(2R)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}−ブチル)−ベンゼンスルホンアミド;3−(4−{[6−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシ−メチル)フェニル]エチル}アミノ)−ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミドと;GSK159797と、GSK159802と、GSK597901と、GSK642444と、GSK678007と;以下から選択される化合物:N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドと、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(3−クロロフェニル)エトキシ]プロパンアミドと、7−[(1R)−2−({2−[(3−{[2−(2−クロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)チオ]エチル}アミノ)−1−ヒドロキシエチル]−4−ヒドロキシ−1,3−ベンゾチアゾール−2(3H)−オンと、N−シクロヘキシル−N3−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、対イオンは、塩酸塩(例えば、一塩酸塩または二塩酸塩)、臭化水素酸塩(例えば、一臭化水素酸塩または二臭化水素酸塩)、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ナパジシル酸塩(ナフタレン−1,5−二硫酸塩またはナフタレン−1−(スルホン酸)−5−スルホン酸塩)、エジシル酸塩(エタン−1,2−二硫酸塩またはエタン−1−(スルホン酸)−2−スルホン酸塩)、D−マンデル酸塩、L−マンデル酸塩、桂皮酸塩、または安息香酸塩である)と;
(xii)ムスカリンアンタゴニスト:−臭化アクリジニウムと、グリコピロレート(例えば、R,R−、R,S−、S,R−、またはS,S−臭化グリコピロニウム)と、臭化オキシトロピウムと、ピレンゼピンと、テレンゼピンと、臭化チトロピウムと、3(R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]臭化オクタンと、(3R)−3−[(2S)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−チエン−2−イルアセトキシ]−1−(2−フェノキシエチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]臭化アクタン(actane bromide)と、第4級塩(例えば、[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−(3−フェノキシ−プロピル)−アンモニウム塩と、[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩と、(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(対イオンは、例えば、塩化物、臭化物、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、ナフタレンビスルホン酸塩(ナパジル酸塩またはヘミ−ナパジル酸塩)、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、またはコハク酸塩)と;
(xiii)p38阻害剤:−681323と、856553と、AMG548(2−[[(2S)−2−アミノ−3−フェニルプロピル]アミノ]−3−メチル−5−(2−ナフタレニル)−6−(4−ピリジニル)−4(3H)−ピリミジノン)と、Array−797と、AZD6703と、ドラマピモド(Doramapimod)と、KC−706と、PH797804と、R1503と、SC−80036と、SCIO469と、6−クロロ−5−[[(2S,5R)−4−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2,5−ジメチル(domethyl)−1−ピペラジニル]カルボニル]−N,N,1−トリメチル− −オキソ−1H−インドール−3−アセトアミドと、VX702と、VX745(5−(2,6−ジクロロフェニル)−2−(フェニルチオ)−6Η−ピリミド[1,6−b]ピリダジン−6−オン)と;
(xiv)PDE阻害剤:−256066と、アロフィリン(3−(4−クロロフェニル)−3,7−ジヒドロ−1−プロピル−1H−プリン−2,6−ジオン)と、AWD12−281(N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−ヒドロキシ−α−オキソ−1H−インドール−3−アセトアミド)と、BAY19−8004(Bayer)と、CDC−801(Calgene)と、Celgeneの化合物((βR)−β−(3,4−ジメトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−イソインドール−2−プロパンアミド)と、シロミラスト(シス−4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]−シクロヘキサンカルボン酸)と、2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−1−(7−メトキシスピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]−4−イル)エタノン(CAS番号185406−34−2))と、(2−(3,4−ジフルオロフェノキシ)−5−フルオロ−N−[シス−4−[(2−ヒドロキシ−5−メチルベンゾイル)アミノ]シクロヘキシル]−)−3−ピリジンカルボキサミド)と、(2−(3,4−ジフルオロフェノキシ)−5−フルオロ−N−[シス−4−[[2−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)ベンゾイル]アミノ]シクロヘキシル]−3−ピリジンカルボキサミド)と、CT2820と、GPD−1116と、イブジラストと、IC485と、KF31334と、KW−4490と、リリミラスト([2−(2,4−ジクロロベンゾイル)−6−[(メチルスルホニル)オキシ]−3−ベンゾフラニル])−尿素)と、(N−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−1−[3−(3−ピリジニルエチニル)フェニル]−)−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド)と、(N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−(ジフルオロメトキシ)−8−[(メチルスルホニル)アミノ])−1−ジベンゾフランカルボキサミド)と、ONO6126と、ORG20241(4−(3,4−ジメトキシフェニル)−N−ヒドロキシ−)−2−チアゾールカルボキシミドアミド)と、PD189659/PD168787(Parke−Davis)と、ペントキシフィリン(3,7−ジヒドロ−3,7−ジメチル−1−(5−オキソヘキシル)−)−1H−プリン−2,6−ジオン)と、化合物(5−フルオロ−N−[4−[(2−ヒドロキシ−4−メチル−ベンゾイル)アミノ]シクロヘキシル]−2−(チアン(thian)−4−イルオキシ)ピリジン−3−カルボキサミド)と、ピクラミラスト(3−(シクロペンチルオキシ)−N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−メトキシ−ベンズアミド)と、PLX−369(特許文献13)と、ロフルミラスト(3−(シクロプロピルメトキシ)−N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−(ジフルオロメトキシ)ベンズアミド)と、SCH351591(N−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−4−ピリジニル)−8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリンカルボキサミド)と、SelCID(TM)CC−10004(Calgene)と、T−440(Tanabe)と、Tetomilast(6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−チアゾリル]−2−ピリジンカルボン酸)と、トフィミラスト(Tofimilast)(9−シクロペンチル−7−エチル−6,9−ジヒドロ−3−(2−チエニル)−5H−ピラゾロ[3,4−c]−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン)と、TPI1100と、UCB101333−3(N,2−ジシクロプロピル−6−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)−5−メチル−4−ピリミジンアミン)と、V−11294A(Napp)と、VM554/VM565(Vernalis)と、ザルダベリン(6−[4−(ジフルオロメトキシ)−3−メトキシフェニル]−3(2H)−ピリダジノン)と;
(xv)PDE5阻害剤:−γグルタミル[s−(2−ヨードベンジル)システイニル]グリシンと、タダラフィルと、バルデナフィルと、シルデナフィルと、4−フェニル−メチルアミノ−6−クロロ−2−(1−イミダゾリル)−キナゾリンと、4−フェニル−メチルアミノ−6−クロロ−2−(3−ピリジル)−キナゾリンと、1,3−ジメチル−6−(2−プロポキシ−5−メタンスルホニルアミドフェニル)−1,5−ジヒドロピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オンと、1−シクロペンチル−3−エチル−6−(3−エトキシ−4−ピリジル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オンと;
(xvi)PPARγアゴニスト:−ピオグリタゾンと、塩酸ピオグリタゾンと、マレイン酸ロシグリタゾンと、マレイン酸ロシグリタゾン((−)−エナンチオマー、遊離塩基)と、マレイン酸ロシグリタゾン/塩酸メトホルミンと、テサグリタザル(Tesaglitizar)と;
(xvii)プロテアーゼ阻害剤:−α1−アンチトリプシンプロテイナーゼ阻害剤と、EPI−HNE4と、UT−77と、ZD−0892と、DPC−333と、Sch−709156と、ドキシサイクリンと;
(xviii)スタチン:−アトルバスタチンと、ロバスタチンと、プラバスタチンと、ロスバスタチンと、シンバスタチンと;
(xix)トロンボキサンアンタゴニスト:ラマトロバンとセラトロダストと;
(xx)血管拡張剤:−A−306552と、アンブリセンタンと、アボセンタンと、BMS−248360と、BMS−346567と、BMS−465149と、BMS−509701と、ボセンタンと、BSF−302146(アンブリセンタン)と、カルシトニン遺伝子関連ペプチドと、ダグルトリルと、ダルセンタンと、ファンドセンタンカリウムと、ファスジルと、イロプロストと、KC−12615(ダグルトリル)と、KC−12792 2AB(ダグルトリル)と、リポソームトレプロスチニルと、PS−433540と、シタクスセンタンナトリウム(Sitaxsentan sodium)と、フェルラ酸ナトリウム(Sodium Ferulate)と、TBC−11241(シタクスセンタン)と、TBC−3214(N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−[[(4−クロロ−3−メチル−5−イソキサゾリル)アミノ]スルホニル]−2−チオフェンカルボキサミド)と、TBC−3711と、トラピジルと、トレプロスチニルジエタノールアミンと、トレプロスチニルナトリウムと;
(xxi)ENAC:−アミロライドと、ベンザミルと、トリアムテレンと、552−02と、PSA14984と、PSA25569と、PSA23682と、AER002とが挙げられる。
【0059】
薬物粉末は、2つ以上の活性成分の組み合わせ、例えば、上記の(i)〜(xxi)に列記された2つ以上の特定の活性成分の組み合わせを含むことができる。
【0060】
一実施形態では、薬物粉末は、モメタゾン、臭化イプラトロピウム、チオトロピウムおよびその塩、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、レプロテロール、クレンブテロール、ロフレポニドおよび塩、ネドクロミル、クロモグリク酸ナトリウム、フルニソリド、ブデソニド、フマル酸フォルモテロール二水和物、テルブタリン、硫酸テルブタリン、サルブタモール塩基および硫酸塩、フェノテロール、3−[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−3H−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチルアミノ]−N−[2−[2−(4−メチルフェニル)エトキシ]エチル]プロパンスルホンアミド、塩酸塩、インダカテロール、臭化アクリジニウム、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、二臭化水素酸塩);N−シクロヘキシル−N3−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩);[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えば、ヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩);またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される活性成分を含む。
【0061】
薬物粉末に含めることができる活性成分の特定の組み合わせには、以下が含まれる:
(a)フォルモテロール(例えば、フマル酸塩)とブデソニド;
(b)フォルモテロール(例えば、フマル酸塩)とフルチカゾン;
(c)N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、二臭化水素酸塩)と[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えば、ヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);
(d)N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、二臭化水素酸塩)と(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩);
(e)N−シクロヘキシル−N3−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩)と[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えば、ヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);
(f)N−シクロヘキシル−N3−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩)と(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩)。
【0062】
薬物粉末は、微粉末活性成分粒子が、例えば、ラクトースなどの大きめの担体粒子に付着した規則混合物として製剤するのが好ましい。
【0063】
本発明によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向のキャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、キャビティー開口のすぐ近傍の最大流速が、少なくとも15m/s、好ましくは少なくとも20m/s、より好ましくは少なくとも30m/s、さらに好ましくは少なくとも40m/sまたは実に50m/sであることを特徴とする。流速は、好ましくは15m/s〜100m/s、より好ましくは20m/s〜80m/sとすることができる。
【0064】
本発明者らは、キャビティーの開口を横断するこの流速の流れを発生させることによって、効率的な内容物の排出と分散化をもたらすキャビティー内の回転流を生じせることができると考えている。もちろん、流路の断面を横断する流れの変動も存在し得る。
【0065】
好ましくは、ディスペンスの後にキャビティー内に残った活性薬剤成分(API)の質量は、ディスペンスする前のキャビティー内のAPIの全質量の0.1質量%〜10質量%、好ましくは1質量%〜8質量%、より好ましくは1質量%〜5質量%である。全粉末質量ではなくAPIの質量によって残存を測定するのが一般的である。本明細書で使用される用語「薬物粉末」は、API、担体粒子、および任意の他の成分を含む完全な粉末製剤を指す。
【0066】
本装置は、様々な粉末製剤の送達のプラットホームであること目的とする。したがって、特定の粉末は、本発明に適さない。本装置は、多数の標準製剤と実験製剤とで試験した。これらの製剤の一部は、本願の出願時には開発中であり、このような製剤の組成は、企業の機密情報であるため、本願にはこの情報を含めていない。しかしながら、本発明者らは、以下の実施例6に詳細に記載されている試験に基づいて、計算流体力学技術によってモデル化された流れにおける表面せん断応力、特にキャビティーの下半分(キャビティー開口の平面からキャビティーの最も深い位置までの垂直距離の半分に基づく)における平均表面せん断応力が、キャビティーの内容物の排出の有効な指標となると考える。内容物の排出は、製剤によって異なるが、本発明者らは、所定の製剤では、キャビティーの下半分における表面せん断応力が高ければ高いほど、通常は内容物の排出の効率が上昇すると考えている。
【0067】
本発明の代替の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、キャビティーの下半分における平均表面せん断応力が、少なくとも0.5Pa、好ましくは少なくとも1Pa、より好ましくは少なくとも1.5Paであり、これらの範囲の上限が、20Paまたは好ましくは15Paである。これは、ANSYS(登録商標)ソフトウエアFluent、バージョン6.3.26を使用するレイノルズ平均ナビエ・ストーク(RAND)乱流3次元定常計算流体力学(CFD)の計算を用いた、キャビティーにおける流れのコンピュータモデリングに基づいている。
【0068】
別の実施形態では、本発明は、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法を含み、この方法は、唯1つの開口を有する粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、キャビティーの深さの50%〜150%であり、キャビティー開口のすぐ近傍の最大流速が、少なくとも15m/s、好ましくは少なくとも20m/s、より好ましくは少なくとも30m/s、さらに好ましくは少なくとも40m/sまたは実に50m/sであることを特徴とする。流速は、好ましくは15m/s〜100m/s、より好ましくは20m/s〜80m/sとすることができる。
【0069】
本発明の代替の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、唯1つの開口を有する粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、キャビティー開口が、キャビティーの深さの50%〜150%の流れ方向における長さを有し、キャビティーの下半分における平均表面せん断応力が、少なくとも0.5Pa、好ましくは少なくとも1Pa、より好ましくは少なくとも1.5Paであり、これらの範囲の上限が、20Paまたは好ましくは15Paである。これは、ANSYS(登録商標)ソフトウエアFluent、バージョン6.3.26を使用するレイノルズ平均ナビエ・ストーク(RAND)乱流3次元定常計算流体力学(CFD)の計算を用いた、キャビティーにおける流れのコンピュータモデリングに基づいている。
【0070】
上で参照した計算流体力学技術を用いて計算することができる、キャビティーにおける流れの多数の他のパラメータも存在する。本発明者らは、これらのどのパラメータが、キャビティーの内容物排出効率の最適な指標であるかは分かっていない。以下で言及するパラメータも同様に、ANSYS(登録商標)ソフトウエアFluent、バージョン6.3.26を使用するRAND乱流3次元定常CFDの計算を用いたコンピュータモデルから導いた。
【0071】
したがって、本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、キャビティーの下半分における平均乱流運動エネルギーが、少なくとも3m2/s2、好ましくは少なくとも4m2/s2、より好ましくは5m2/s2である。これらの範囲の上限は、50m2/s2、好ましくは20m2/s2とすることができる。
【0072】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、キャビティーの下半分における平均渦度が、少なくとも2,000 1/s、好ましくは少なくとも4,000 1/s、より好ましくは少なくとも10,000 1/sである。これらの範囲の上限は、100,000 1/s、好ましくは50,000 1/s、より好ましくは20,000 1/sとすることができる。
【0073】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、キャビティーの下半分における平均流速が、少なくとも1.5m/s、好ましくは少なくとも3m/s、より好ましくは少なくとも4m/sである。これらの範囲の上限は、30m/s、好ましくは20m/s、より好ましくは10m/sとすることができる。
【0074】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、唯1つの開口を有する粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、キャビティー開口が、キャビティーの深さの50%〜150%の流れ方向における長さを有し、キャビティーの下半分における平均乱流運動エネルギーが、少なくとも3m2/s2、好ましくは少なくとも4m2/s2、より好ましくは少なくとも5m2/s2である。これらの範囲の上限は、50m2/s2、好ましくは20m2/s2である。
【0075】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、唯1つの開口を有する粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、キャビティー開口が、キャビティーの深さの50%〜150%の流れ方向における長さを有し、キャビティーの下半分における平均渦度が、少なくとも2,000 1/s、好ましくは少なくとも4,000 1/s、より好ましくは少なくとも10,000 1/sである。これらの範囲の上限は、100,000 1/s、好ましくは50,000 1/s、より好ましくは20,000 1/sとすることができる。
【0076】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、唯1つの開口を有する粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、キャビティー開口が、キャビティーの深さの50%〜150%の流れ方向における長さを有し、キャビティーの下半分における平均流速が、少なくとも1.5m/s、好ましくは少なくとも3m/s、より好ましくは少なくとも4m/sである。これらの範囲の上限は、30m/s、好ましくは20m/s、より好ましくは10m/sとすることができる。
【0077】
上のどの段落で定義したキャビティーにおける流れも、好ましくは、せん断誘導キャビティー流の現象のみによって生成される。
【0078】
好ましくは、上で定義した方法では、薬物粉末は、上に示したリストから選択される化合物または組み合わせを含む。
【0079】
定義
キャビティー開口のアスペクト比は、開口の垂直方向の長さ(台形の場合には、対称線の長さである)を平均幅で除した値として定義する。
【0080】
流路に関する用語「高さ」は、キャビティー開口が形成されている流路の壁から流路の反対側の壁までの垂直距離を指すものとする。
【0081】
流路に関する用語「幅」は、流路の任意の位置において、その位置における2つの側壁間の最短距離を指すものとする。
【0082】
用語「底部」は、キャビティー開口が形成されている流路の壁を意味するものとする。用語「天井部」は、底部の反対側の流路の壁を意味するものとする。
【0083】
流路に関する用語「側壁」は、底部と天井部との間に延在する流路の壁を意味するものとする。
【0084】
キャビティー開口の平面は、キャビティーと流路との間の境界であるキャビティーの縁によって定義される平面を意味するものとする。縁が、一平面に完全には存在しない場合は、キャビティー開口の平面は、縁に最も適合する平面を意味するものとする。
【0085】
用語「四角形」は、4つの直線の辺を有する形状を意味するものであるが、この用語は、本明細書に明記されるフィレット半径を有する角を除外しないものとする。
【0086】
キャビティーに関する用語「深さ」は、キャビティー開口の平面からキャビティーの最も深い点までの垂直距離を意味するものとする。
【0087】
キャビティーの最大長さは、キャビティー開口の平面に平行な平面で測定される、流れ方向におけるキャビティーの最も長い長さとして定義するものとする。
【0088】
本明細書において、「上の」と「下の」などの表現が装置に関して使用される場合は、キャビティーの開口またはキャビティーが上を向くような装置の向きを想定している。
【0089】
用語「薬物粉末」は、任意の活性薬剤成分に加えて、限定されるものではないが、任意の担体、希釈剤、またはコーティングを含むあらゆる粉末製剤を意味するものとする。
【0090】
ここで、添付の図面を参照して、実施形態と実施例を用いて、例示目的でより詳細に本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、第1の実施形態の流路領域の略断面図である。
【図2】図2は、第2の実施形態の流路領域の略断面図である。
【図3a】図3aは、工程の流れを示す、図1の流路領域の一部の略斜視図である。
【図3b】図3bは、工程の流れを示す、図1の流路領域の一部の略斜視図である。
【図3c】図3cは、工程の流れを示す、図1の流路領域の一部の略斜視図である。
【図3d】図3dは、工程の流れを示す、図1の流路領域の一部の略斜視図である。
【図4】図4は、第1の実施形態全体の平面図である。
【図5】図5は、第1の実施形態のキャビティーディスクと支持体との組立分解斜視図である。
【図6】図6は、キャビティーディスクと2つのキャビティーとを示している、第3の実施形態の一部の側断面図である。
【図7】図7は、実施例1に使用される特許文献7の吸入器の流路のコンピュータモデルの斜視図である。
【図8】図8は、図7のコンピュータ流路モデルの側面図である。
【図9】図9は、実施例2に使用される本発明による吸入器の流路のコンピュータモデルの斜視図である。
【図10】図10は、図7と図8との流路と本発明による流路とにおける粉末引き込みのコンピュータモデリングの結果を示すグラフである。
【図11a】図11aは、本発明による流路のコンピュータモデルの側面図である。
【図11b】図11bは、図11aに示されているキャビティーの平面図である。
【図12】図12は、キャビティーの4つの異なる形状についての粉末の残存を示す棒グラフである。
【図13】図13は、2つの代替のデザインのキャビティーと9つの異なる粉末製剤とについて粉末の残存の程度を示すグラフである。
【図14a】図14aは、本発明による装置の代替の流路モデルの側面図である。
【図14b】図14bは、本発明による装置の代替の流路モデルの斜視図である。
【図15a】図15aは、流路の高さが高い装置の代替の流路モデルの側面図である。
【図15b】図15bは、流路の高さが高い装置の代替の流路モデルの斜視図である。
【図16】図16は、第3の実施形態のキャビティーディスクの変更を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
実施例1(従来技術)
図7および図8は、特許文献7(上述)に記載されている装置の流路のコンピュータモデルを示している。このモデルは、この先行特許(図1〜図4a)に記載されている主な実施形態に基づいている。この装置は、平らな円筒状のフローチャンバー101を備え、その底部には、吸入用の粉末が入った標準的なサイズ4の製剤カプセルの別個の部分102が配設されている。6つの空気吸入口103が、チャンバーの周囲の半分に均等に下端部の近傍に配設されている。吸入口103の対称的に反対側には、吸入口103よりも直径の大きいマウスピース104が存在する。
【0093】
一部の寸法は、特許文献7に示されている。例えば、吸入口の直径は、2mm(段落6の19行目を参照)であると述べられ、標準的なサイズ4のカプセルの使用は、段落7の15行目に示されている。サイズ4のカプセルは、約5mmの基部内径と約7mmの基部長さとを有する。残りの寸法は、文章に示されている値にしたがって縮尺された図4aから得た。
【0094】
このモデルを用いて、計算流体力学技術、特に、ANSYS(登録商標)ソフトウエアFluent(登録商標)、バージョン6.3.26を使用するレイノルズ平均ナビエ・ストーク(RANS)乱流3次元定常計算流体力学(CFD)を用いて装置内の流れをシミュレーションした。
【0095】
特許文献7では、装置にわたる圧力低下は、4.7cmH2O(約0.46kPa)であり、28.3L/分の流量を生じさせると述べられている。CFDシミュレーションでは、この圧力低下は、21.9L/分の流量を生じさせ、これは、特許文献7で報告された結果に対する、シミュレーションした結果のかなり良好な相関性を表している。特許文献7による標的流量により近い流量を得るためには、このモデルでは0.76kPaの圧力低下が必要であった。
【0096】
吸入器デザインの試験に用いられる現在の標準圧力差は、4kPaであり、これは正常な患者が発生させやすい圧力差である。弱い患者は、約2kPaを発生させることができ、元気な患者は、約6kPaを発生させる。
【0097】
以下の表は、異なる圧力と対応する体積流量での4組の結果を示している。4kPaの圧力が、現在の標準試験条件であるため、4kPaの圧力を使用した。上記の理由から0.46kPaと0.76kPaとを使用し、以下の実施例2の考察で説明する理由から0.17kPaを使用した。以下の表1で1〜8が付けられた、次に示す多数のパラメータを各ケースで計算した。
【0098】
パラメータ1:キャビティー全体におけるキャビティー表面の平均せん断応力(Pa)
パラメータ2:キャビティーの下半分におけるキャビティー表面の平均せん断応力(Pa)
パラメータ3:キャビティー全体における平均流速(ms−1)
パラメータ4:キャビティーの下半分における平均流速(ms−1)
パラメータ5:キャビティー全体における平均渦度(1/s)
パラメータ6:キャビティーの下半分における平均渦度(1/s)
パラメータ7:キャビティー全体における平均乱流運動エネルギー(m2/s2)
パラメータ8:キャビティーの下半分における平均乱流運動エネルギー(m2/s2)
【0099】
本発明者らは、キャビティーの下半分(キャビティー開口の平面からキャビティーの底部までの垂直距離の半分に基づいた)についての、キャビティーの壁における平均表面せん断応力が、このモデルを効率的に空にする最適な指標であると見なす。壁せん断応力は、以下の通り定義する:
w ν/n
式中、 は分子粘性であり、v/nは、壁における法線速度勾配である。
【0100】
表1では、ΔPは、圧力差(kPa)であり、Qは、体積流量(L/分)である。
【0101】
表1
【0102】
実施例2−本発明による装置のCFDモデリング
本発明による装置のコンピュータモデルを、実施例1に使用したソフトウエアと同じソフトウエアを用いて作成した。吸入器全体は、特許文献7に記載されている装置よりも自動化された機能を有し、より複雑である。また、吸入器内に2つの流路が存在し、1つが粉末キャビティーの上を通り、もう1つがバイパス路である。キャビティーの上を通る流路は、従来技術の流路よりもやや蛇行しており、流路がキャビティーに達する前に適度かつ相当な圧力低下が生じ得る。例えば、通常の使用では、全流路のキャビティーまでの部分で0.01〜2.0kPaの圧力低下が生じ得る。これは、好ましくは、範囲の下限、例えば、0.1〜1.0kPaである。
【0103】
これらの理由から、2つの吸入器間の全体の圧力と体積流量等とに基づいた単純な比較は、実際のところ最適な試験ではない。それにもかかわらず、吸入器全体を、空気吸入口とマウスピースとの間の圧力差4kPaで分析し、結果を以下の表2の1行目に示す。表2の残りの結果は、特許文献7に記載されている装置の非常に単純な流路に相当する流路の部分についての結果である。
【0104】
モデル化流路が図9に示されている。この流路は、粉末キャビティーを空にすることに関する流路の重要な部分を正確に表している。キャビティーは、41で示され、キャビティーの上の流路は、42で示されている。キャビティーの寸法は、以下の表3の列「A」に示されている。キャビティー近傍の流路は、高さが1.5mmであり、幅が、流れの方向Fにおける上流端部で3.1mm、下流端部で5.1mmである。キャビティーの上流側の流路42の底部の部分43は傾斜している。乱流誘導障害物または突出部44、いわゆる「撹拌部」が、この底部から突き出ている。この機能構造の目的は、流路42内の流れの乱流を増大させ、この乱流を、キャビティー41のせん断誘導流に加えることである。この例では、結果は、撹拌部44を備えていても備えていなくても得られた;これは、表に示されている。
【0105】
実施例1で使用される同じ8つのパラメータを、本発明による装置について計算した。以下の表2の番号が付された列は、表1の番号が付された列に相当する。
【0106】
8つの結果のうちの4つは、キャビティー全体におけるパラメータ平均であり、残りの4つは、キャビティーの下半分のみにおける平均である。図9のキャビティーの下に半分下がった位置にある線45は、キャビティーの上半分と下半分の分割を示している。線45は、キャビティー開口の平面からキャビティーの底部までの垂直距離の半分に位置する。
【0107】
第1行の結果は、吸入器全体のコンピュータモデルにおける標準的な4kPaの圧力低下についてのものである。約1kPaのこの圧力低下は、吸入器モデルの他の部分における「損失」であった。したがって、第1行の結果において、図9に示されている流路にわたる圧力低下は、約3kPaと見なすことができる。第1行の結果に使用したモデルは、バイパス路を備える、すなわち、図9に示されている流路の短い部分についての他の結果と比較すると体積流量が非常に多い。図9の流路だけを通る体積流量は、カッコ内に示されている。
【0108】
残りの結果は、図9の流路のみにわたる所定の圧力低下についてのものである。流路のこの部分は、特許文献7の装置との比較を可能な限り正確にするために選択した。これらのケースの3つでは、撹拌部が流路に設けられている。1つのケースでは、撹拌部が設けられていない。
【0109】
表2
【0110】
表1では、ΔPは、圧力差(kPa)であり、Qは、体積流量(L/分)である。
【0111】
結果を比較すると、特許文献7のキャビティーよりも本発明による装置のキャビティーで格段にエネルギーの大きい流れが誘導されることが一目瞭然である。表1と表2との4行目では、特許文献7に示されている0.46kPaの圧力低下を適用している。キャビティーの下半分における平均表面せん断応力(パラメータ2)は、本発明による装置では0.37Paであり、特許文献7による装置では僅か0.06Paである。この差は、キャビティーを空にする効率の最適な指標であると本発明者らが見なす上述のパラメータにおいて、因数が6よりも大きい。
【0112】
各ケースで、吸入器全体にわたって4kPaの圧力低下が適用された各表の1行目を比較すると、本発明による吸入器の他の部分でも圧力損失が起こり得、かつ流れの多くがバイパス路を通過し得るという事実にもかかわらず、本発明による吸入器と特許文献7の装置とのパラメータ2の値がそれぞれ、3.46Paと1.72Paとであり、因数が2よりも大きい。
【0113】
表2の3行目では、撹拌機能構造を備えていない流路にわたって1.5kPaの圧力低下を適用している。この結果、流量が約12.9L/分であり、キャビティーの下半分の平均表面せん断応力が3.57Paである。特許文献7の装置における同様の流量は、僅か0.02Paのキャビティーの下半分の平均表面せん断応力しか発生させない。
【0114】
実施例3
異なるCFDモデル化技術、ANSYS(登録商標)ソフトウエアCFX(登録商標)、リリース11.0を使用するRANS乱流3次元非定常多層CFDを利用して、特にキャビティーを空にすることに関する結果を得るために、キャビティー内の気流における粉末の運動をモデル化した。このソフトウエアは、粒径が50ミクロンの分散粒子モデルを用いて相間運動量移動をシミュレーションした。
【0115】
撹拌部を備えていない実施例2/図9の流路を、実施例1の流路(特許文献7の装置のCFDモデル)と比較した。12L/分の同じ流量を各流路に適用し、このモデルでは、キャビティーを、初めにその全容積の2/3まで粉末で満たした。
【0116】
シミュレーションは、気流の開始後の最初の100ミリ秒の間行った。図10の結果のグラフから分かるように、100ミリ秒後、本発明による流路におけるキャビティーは、実質的に空であったが、特許文献7の装置のキャビティーは、粉末の元の質量の90%以上が残っていた。シミュレーションが延長されれば、後により多くの粉末が特許文献7の装置において気流に引き込まれ得るが、この実施例は、本発明による装置または流路におけるキャビティーを空にする速度が、特許文献7のキャビティーを空にする速度よりも格段に速いことを少なくとも実証した。吸入器の分野では、通常は、可能な限り短時間で粉末を引き込むことが望ましいと考えられている。
【0117】
実施例4
図11aと図11bとを参照すると、本発明による流路が示されている。実施例2で参照したCFDモデルにおけるキャビティーの様々な寸法を変更した。これらの寸法は、図11aと図11b、および以下の表3にも示されている。図11bに、フィレット半径が207で示され、図11aに、後半径が203、前(下流)半径が204、長さが201、深さが202で示されている。図11bに、後の幅の半分が205、前の幅の半分が206で示されている。キャビティーの上を通る流路は210で示され、キャビティーは211で示されている。流れの方向は、矢印Fで示されている。キャビティーの1つの代替形状が、図11cと図11dとに示され、一致する参照番号は、形状の等しい機能構造を示している。合計6つのデザインを試験した。
【0118】
実施例1および2と同じソフトウエアを用いて分析を行った。このモデルは、撹拌部(図11aでは参照番号212)を備えていた。各形状について、キャビティーの下半分における平均表面せん断応力を計算した。この結果を以下の表3に示す。
【0119】
表3
【0120】
この結果から、キャビティーの形状の変更が、平均せん断応力に有意な影響を与え得ることが分かる。デザインAは、図11aと図11bとに示されている。これは、図9にも示されているデザインである。このデザインは、キャビティーの物理的モデルにおける粉末の流れの高速画像化を用いて開発した。この形状は、全体の割合(長さ、深さ、幅)がほぼ等しい単純な立方形よりもキャビティーをかなり良好に空にすると判断した。しかしながら、表3に示されているCFDの結果は、形状をさらに改良することによってかなり良好な性能が可能であることを予期せず示している。
【0121】
デザインAを変更して平面図におけるアスペクト比を増加させる、すなわち幅に対する長さを増加させると、キャビティーの下半分における表面せん断応力が実質的に増大するようである。さらに、前の半径(すなわち、下流の半径)を大きくすると、著しい効果が得られるようである。これらの変更は、例えば、図11cと図11dとに示されているデザインBで確認することができる。
【0122】
キャビティーの形状の最適化の研究は継続しているが、現在では、最高の形状は、1.75mm〜2.25mmの前の半径と後の半径との両方を有すると考えられる。
【0123】
実施例5
実施例4のデザインA、B、C、およびFの物理的プロトタイプを、高速プロトタイプ作成技術によって作成した。次いで、これらのモデルを、一方は非常に排出しにくく、他方はそれほど排出しにくくない2つの異なる粉末製剤で満たして試験した。各デザインに1.5kPaの圧力をかけて、非常に弱い人間の患者の吸入に等しい、プロトタイプを通る気流を生じさせた。キャビティーに残った活性薬剤成分(API)の質量百分率として表される空にする数値を、各デザインに対して決定した。
【0124】
この結果が図12に示されている。影付きの棒は、排出しにくい製剤の結果を示し、影の付いていない棒は、それほど排出しにくくない製剤の結果を示している。API粉末の残存率の著しい減少は、デザインAとデザインBとの間で見られ、表3のCFDの結果に一致している。しかしながら、デザインCのCFDの計算における平均表面せん断応力の値がデザインBよりも高いという事実にもかかわらず、残存率の増加が、デザインBからデザインCで見られた。デザインFは、CFDの計算から表面せん断応力がより高いが、デザインBに大まかに類似した残存率を示した。
【0125】
本発明者らは、デザインCおよびF、特にデザインCの物理的プロトタイプが下手に作成され、これが、デザインBと比較して残存率が増加した主な理由であると考えている。表3から、デザインCおよびFは(実際は、デザインDおよびEも)、「逆テーパー形」を有し、これらの上流端部は、下流端部よりも広く、この形状は、現在の複数回投与吸入器デザインに適していない(以下の第3の実施形態の説明を参照)ことが分かる。この理由から、デザインC〜Fを用いた研究が、少なくとも現在は停止されており、デザインBに注意が向けられている。しかしながら、適切に製造されて充填されれば、デザインC〜Fは、デザインBよりも粉末の残存率が低いと、なお本発明者らは考えている。これらの「逆テーパー形」デザイン(C〜F)は、異なるデザインの吸入器でも有用であり得る。
【0126】
実施例6
実施例5の試験と同様の試験を、デザインAおよびBのプロトタイプを用いて、9つの異なる標準粉末製剤と実験用粉末製剤とを使用して行った。
【0127】
図13は、デザインAおよびBのキャビティーにおける粉末の残存率のプロットを示している。図から分かるように、各製剤に対して、デザインBは、低めの粉末残存率を示した。
【0128】
両方のキャビティーの形状で、流路の部分にわたる圧力低下が1.5kPaであった。元のデザインのキャビティーの下半分における平均表面せん断応力(実施例4で計算)は2.08Paであり、第2の形状(実施例4による)の同じ数値は3.46kPaであった。本発明者らは、この結果が、キャビティーの下半分における平均表面せん断応力が空にする効率に相関するという仮説を裏付けていると考えている。
【0129】
実施例7
装置の性能に対する流路の高さの影響を評価するために、本発明による装置の僅かに異なる流路のコンピュータモデルを作成した。通路の高さが1.5mmのモデルと通路の高さが10mmのモデルとがそれぞれ、図14aと図14bおよび図15aと図15bに示されている。通路の幅は、各モデルとも同じであり、下流方向に僅かに広がっており、最も狭い点で3.1mmで、最も広い点で5.1mmであった。流路52の上流部53は、平らな「底部」54(すなわち、キャビティーが形成されている流路の壁)を有するようにデザインが変更されていた。この理由は、「天井」の高さ(すなわち、「底部」から反対側の壁までの距離55)が増大するモデルで傾斜した底部が続いていると、流れが、上方に案内され、流路の底部から離れることを見出したためである。上流の流路の傾斜は、キャビティーの上の流路の高さが低い(例えば、約1.5mm)の場合は比較的影響が小さいが、本発明者らは、増加する流路の高さの影響は、流路が、キャビティー開口を横断するように流れを案内し続ける(開口から離れる方向に案内するのとは対照的)場合にのみ、正確な評価を行うことができると考えている。
【0130】
多数の異なる流路の高さがモデル化され、それぞれがデザインAのキャビティー51を備えていた(上記の実施例5および6を参照)。
【0131】
CFDの計算は、いずれのケースでも、通路を通過する25L/分の体積流量に基づいて行った。キャビティーの下半分の平均表面せん断応力は、いずれのケースでも、実施例1および2で使用したソフトウエアと同じソフトウエアを用いて、同じ定義を適用して計算した。この結果を、以下の表4に示す。
【0132】
表4
【0133】
表から分かるように、流路の高さの増加の結果として、キャビティーの下半分における平均表面せん断応力が大幅に低下している。本発明者らは、これは、主に、キャビティーを横断する気流の速度の低下によるものであると考えている。
【0134】
現行のデザインでは、許容差を妥当な範囲内に維持し、かつ製造が容易な装置を有するために、流路の高さは1.5mmである。しかしながら、装置の空にする効率をさらに上げる必要がある場合には、流路の高さをさらに低くすることによって容易にこれを達成できると本発明者らは考えている。1mm、さらには0.5mmの流路の高さも考えられる。
【0135】
これらの結果を補間すると、高さが4mmの流路のキャビティーの下半分における平均表面せん断応力値は、グラフの3mmの値と5mmの値との間に引かれた直線に基づくと約0.5Paであろう。これは、等しい条件下で、特許文献7の装置で生成される表面せん断応力値に対してかなりの改善を表している。
【0136】
実施例8
単純な立方形キャビティーとカプセル形キャビティーとのCFDによる検討を行い、立方形キャビティーが、カプセル形キャビティーよりも有望な結果を示すことが分かった。空にする速度は、カプセル形キャビティーでやや遅いことが分かっている。立方形キャビティー内の流れは、実質的に2次元であることが分かっているが、カプセル形キャビティー内の流れは、3次元であることが分かっている。カプセル形キャビティー内の3次元の流れは、キャビティーの中心線の下流とその近傍で粒子密度が高くなることが分かっている。主な差は、円筒流パターンを促進する能力においてである。
【0137】
カプセル形キャビティーは、円筒流パターンの生成を許容しないと考えられる。
【0138】
ここで、本発明を限定するものではない多数の実施形態を図1〜図6と図16を参照して説明する。
【0139】
本発明の第1の実施形態は、図4に概略的に示されている。これは、複数回投与吸入装置であり、使用者が、この装置から粉末形態である薬物を服用量吸入することができる。装置1は、ハウジング23とマウスピース3とを備えている。マウスピース3は、マウスピースカバー24の線形運動によって露出させることができる。この実施形態の変更形態(不図示)では、マウスピースカバーは、ハウジングによって枢動可能に支持されている。
【0140】
本発明に関連した、装置1の内部の必須の部品は、図1と、図3と、図4と、図5とに示されている。ハウジング23の内部は、複数のキャビティー5を備えたディスク形構造18である。キャビティーディスク18は、キャビティー・ディスク・ホルダー19内に回転可能に支持されている。キャビティー5は、ディスクの外周部に環状パターンで配置されている。ディスク18は、大きい中心孔26を有し、この孔26は、吸入のたびにディスクを回転させて新たなキャビティーを露出させる機構(不図示)と空気吸入口の通路(不図示)とを含む吸入装置の他の構成要素を収容する。別個の流路(不図示)が、各キャビティー5の上に設けられ、ディスク18の上面25が、流路の下面を形成する。
【0141】
図1は、第1の実施形態のキャビティー5と近接した流路4とを概略的に示している。流路の高さは、13で示されている。キャビティー5は、立方形であり、キャビティー開口20は、キャビティー5の側面が流路の下側壁または「底部」7と交差しているリム6を有する。キャビティーは、薬物粉末2を含んでいる。キャビティーは、そのキャビティー5内での円筒気流パターンを可能にする形状であると有利である。キャビティー内の円筒流パターンは、キャビティーのほぼ中心において、流れの方向に対して直角な軸の周りに発生する。キャビティーの側面は、底部7に対して垂直である。
【0142】
ここで、図1と図3とを参照して、装置1の全機能を詳細に説明する。流路4の一部は、平らな底部7(すなわち、装置が正常な向きにあるときの流路の下側壁)を有する。底部7は、粉末含有キャビティー5に開口した開口20を有する。気流が、流路に沿った流れ方向Fに開口20を横断すると、せん断誘導キャビティー流の現象によってキャビティー5内に円筒循環流が発生する。粉末粒子は、このエネルギーの大きいやや乱流の循環流で撹拌され、キャビティーの側面に衝当もする。エネルギーの大きい流れの中に粒子の引き込まれることとキャビティー5の側面への粒子の衝当との両方が、分散化に寄与し、製剤が吸入に適した状態になると考えられる。本発明者らは、循環流に引き込まれる粉末粒子は、外側に飛ばされる(または、詳細には、流れに対して接線方向に移動する)傾向にあるため、キャビティーから出て、流路4の気流に引き込まれることになる。
【0143】
キャビティー5とキャビティー開口20とはそれぞれ、流路4の流れ方向Fにおいて5mmの長さ10を有する。キャビティーの深さ22も5mmである。
【0144】
キャビティー5の上部(すなわち、キャビティー開口の平面)から初期の状態における平らな粉末粒子層の上部との間の距離11は1mmである。この距離は、キャビティーのヘッドスペース11と呼ばれる。キャビティー内の粉末の深さは9で示されている。
【0145】
側断面では、キャビティーは正方形であり、キャビティーの内側の角が、本質的にシャープである、すなわち下側前(下流)縁16と下側後(上流)縁17がシャープである。第1の実施形態の変更形態(不図示)では、内側の角は、生成される循環流の回転運動をある程度案内するために約0.5mmの半径を有し得る。
【0146】
図3a〜図3dは、キャビティー5を空にするのを概略的に示している。患者の吸入(不図示)によって生じる圧力低下の影響で、空気が流路4に沿って移動する。吸入器全体では、この圧力低下は、2〜6kPaであろう。図3に示されている流路の部分における圧力低下は、0.5kPa〜5kPaであろう。
【0147】
図3aは、粉末が満たされたキャビティー5の初期の状態を示している。流路4に沿った気流が、流れ方向Fで始まり、キャビティー5が空になり始める。図3bでは、粉末2の一部が、キャビティー5を離れ、キャビティー5内での循環流の増大が始まり、これは、キャビティー5が下流端部で空になり始めることから分かる。図3cから分かるように、粉末レベルは、徐々に下方に、そして上流方向に侵食される。図3aの初期状態から図3dの最終状態になるまでにかかる時間は、流れの速度よび正確な粉末組成にもよるが、この実施形態での通常の時間は、恐らく約300ミリ秒である。
【0148】
ここで、本発明の第2の実施形態を図2を参照して説明する。第1の実施形態から変更された唯1つの態様は、キャビティーの形状である。この実施形態の参照数字は、等しい機能構造については第1の実施形態と同じである。
【0149】
第2の実施形態では、キャビティー5の平行な前壁と後壁とは、垂直方向(キャビティー開口に対して垂直)に対して鋭角をなしている。キャビティー開口20はなお、キャビティー5の近傍の流路4の流路底部7に整合している。流路4に対する壁の傾斜は、キャビティー内の循環流に引き込まれた粒子が流路4に逃げるのを困難にすると考えられる。したがって、本発明者らは、第2の実施形態では、薬物粉末2がエネルギーの大きい循環流に引き込まれて壁と接触/衝当する時間が増加するため、分散化の程度が増大し得ると考えている。他方、空になる時間は、第2の実施形態の方が長いであろう。図2では、キャビティーは、流れの方向(矢印F)に傾斜して示されているが、第2の実施形態の変更形態では、キャビティーを反対方向に傾斜させる、すなわち負の値となる図2の角度にすることができる。
【0150】
粉末が、下側の上流と下流の角/縁にキャビティーによって保持され得ることが分かった。これを解消するために、第2の実施形態では、キャビティー5の下側の前(下流)縁17は、約0.5mmの半径を有するが、下側の後(上流)縁16は、約1mmの半径を有する。
【0151】
ここで、複数回投与乾燥粉末吸入器30の一部の断面を示す図6を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。ハウジング部材31は、吸入器ハウジングの他の構成要素(不図示)と共に、吸入器の様々な構成要素を収容している。しかしながら、本発明に関係する構成要素のみが、図6に示されている。
【0152】
キャビティーディスク32は、多数の粉末含有キャビティー33を有する。使用の際は、第1の実施形態と同様に、装置の縁に配置されたマウスピース(不図示)に個々のキャビティーを整合させるために、ディスク32が回転する。図6に示されていない構成要素の中には、キャビティーディスクを支持して前進させるための機構が含まれる。
【0153】
初期の状態では密封部材36によってキャビティーを密封している蓋部材35が、各キャビティー33に付随している。空気吸入口34が、ケーシング31に設けられており、患者がマウスピースを介して吸入すると、この吸入口34から空気が吸引される。空気は、図6の矢印Bで示されている経路に沿って装置内を流れる。気流が装置に進入すると、その時点でマウスピースに整合しているキャビティーに関連した蓋部材35の引き上げが開始される。開始と蓋引き上げ機構とは、図6には図示されていない。
【0154】
図6の左側の蓋部材35は、開いた位置で示されている。蓋部材35は、現在開いているキャビティー33の上部を横断する通路37の上壁、すなわち天井となっていることが分かるであろう。流路の下壁、すなわち底部は、キャビティーディスク32の上面によって形成されている。流路37の側壁は、開いた蓋部材35の両側の閉じている蓋部材35によって形成されている。閉じた蓋部材35は、例として図6の右側に示されているが、ディスク32の全外周部に多数の閉じた蓋部材35が存在することを理解されたい。この実施形態の変更形態では、流路37の側壁は、蓋部材35間に延在する別個の壁部材(不図示)によって形成しても良い。
【0155】
上記の記載から分かるように、キャビティー33は、キャビティーの開口を横断する流路37を気流が通過するとほぼ同時に開く。かなり概略的に39で示されている循環流は、せん断誘導キャビティー流の現象によってキャビティー内に誘導される。キャビティー内の粉末38が循環流39に引き込まれ、この時に粉末38が分散化され、続いて分散化された粉末が、流路37を通る気流に引き込まれ、マウスピースを介して患者に送られる。
【0156】
各キャビティーは、流れ方向の長さが4.5mmであり、深さが5mmであり、流れ方向にテーパー(平面図において)であり、平均幅が2.3mmである。キャビティーは、2.5mmの深さまで粉末で満たされ、2.5mmのヘッドスペースが残されている。円筒循環流の発生を助けるためにキャビティーの上流の下縁に大きい半径(2mm)が設けられている。小さい1mmの半径が、下流の下縁に設けられている。
【0157】
本装置は、上方を向いたキャビティー開口に使用することを目的とする。しかしながら、キャビティーは、装置内に気流が既に存在するときに限り開くため、粉末が重力によってキャビティーから落ちる機会を得る前に、循環せん断誘導流がキャビティー内に誘導されると考えられる。実際、装置の性能は、向きに殆ど無関係であることが分かっている。
【0158】
第3の実施形態の変更形態では、キャビティーは、デザインB(実施例4を参照されたい)の形状を有する。この形状のキャビティーを有する、変更された第3の実施形態のキャビティーディスクは、図16に示されている。参照番号は、図6の参照番号に対応している。
【0159】
本発明の第4の実施形態(不図示)は、入口とマウスピースとを備えた単純な円筒プラスチックケース内に薬物粉末が入った1つのキャビティーを含む単回吸入装置である。キャビティーは、第3の実施形態のキャビティーの1つと同じ形状を有し、キャビティーの上の流路は、同じ寸法を有する。流路は、空気吸入口とマウスピースとに連通している。蓋部材の代わりに、キャビティーは、吸入器のハウジングの外部に延在する、引き剥がすことができるホイルストリップで密封されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビティー内に含められた薬物粉末を気流に引き込むための装置および方法に関する。本発明はまた、粉末含有キャビティーを備えた医療ディスペンサーにも関する。
【背景技術】
【0002】
肺に粉末薬物を投与する様々な装置が存在し、このような装置は、例えば、空気などの圧縮ガスである推進剤、または液化ガス推進剤を利用して粉末薬物をディスペンスして分散させる。
【0003】
また、肺に粉末薬物を投与するための多数の既知の呼吸作動式吸入装置が存在し、このような装置は、マウスピースを備え、このマウスピースを介して薬物が吸入される。特許文献1、2、3、および4に、より複雑な装置が開示されており、このような装置では、完全なカプセルが装置に挿入されるため、吸入の前に薬物の漏出が防止され、薬物へのアクセスは、ディスペンス装置内のカプセルを刺入する、またはカプセルを半分に切断することによって行われる。吸入時に、空気がカプセル内に流入する、またはカプセルを通り、内部の粉末が気流に放出され、口に向かって流れる。
【0004】
特許文献5に、粉末薬物が、吸入によって生じる気流に引き込まれるのに適した位置に放出されるように、カプセルを半分ずつに引き離すことによって粉末薬物へのアクセスが行われる装置が開示されている。
【0005】
特許文献6は、呼吸作動式乾燥粉末吸入器に正確な用量の薬物を常に供給するための事前定量アセンブリに関する。このアセンブリは、呼吸作動式乾燥粉末吸入器の渦チャンバーの乾燥粉末供給ポートに空気を供給するための乾燥粉末送達路を画定しているキャップと、事前定量された乾燥粉末を保持する複数のレザバーを有するマガジンとを備えている。マガジンおよびキャップの一方は、レザバーをキャップの送達路内に順次配置するためにマガジンおよびキャップの他方に対して移動可能である。吸入器の出口ポートで呼吸によって誘導される低い圧力によって気流が生じ、この気流が、アセンブリの乾燥粉末送達路を通り、吸入器を使用する患者による吸入用の送達路内に配置されたレザバーから乾燥粉末を引き込む乾燥粉末供給ポートに至る。送達路は、レザバーを通りレザバーから乾燥粉末を引き込む流れを生じさせるためにレザバー近傍の送達路にベンチュリを備えている。
【0006】
特許文献7(Baumら)に、吸入装置が記載されており、この吸入装置では、粉末薬物へのアクセスが、カプセルを半分ずつに引き離すことによって行われ、カプセルの下半分が装置の直立位置に維持され、カプセルの開口端部が、ディスク形吸入チャンバーの下面と面一になる。チャンバーの周囲半分には、多数の空気吸入口が存在し、これらの空気吸入口の反対側には、マウスピースにつながった大きめの空気の出口が存在する。吸入時に、空気が、チャンバーを通り、カプセルの開口部を横断する。これは、ビンの口に息を吹き付けることによって音を生じさせる効果に類似した、カプセルの共鳴効果をもたらし得ると述べられている。
【0007】
特許文献8(Boehringer)に粉末吸入装置が開示されており、この吸入装置では、粉末キャビティーが、出口開口の部分で狭まっている空気流路の下面に開口している空気の出口を備えている。キャビティーは、流路に開口していない空気吸入口も備えている。出口近傍の流路が狭められてベンチュリが形成されており、これにより、使用者の吸入によって気流が生じるとこの部分の圧力が低下する。したがって、空気は、入口からキャビティーに吸引されて出口を通り、流路に至る。
【0008】
特許文献9(Baxter)に、インスリンに適した単回投与吸入器が開示されている。薬物は、丸形または楕円形の開口を備えたキャビティー内に貯蔵される。キャビティーは、流れ方向におけるその長さよりも寸法が大きい深さを有する。入口からマウスピースへの流路は、キャビティーの上部を横断し;流路の底部と天井部は、滑らかに湾曲し、キャビティーの上流側と下流側で広がっており、キャビティーに近接した流路の部分が最も狭い。「誘導キャビティー流」が、キャビティー内で生じるため、粉末がキャビティーから出て気流に入ると述べられている。
【0009】
特許文献10(Mannkind)に、薬物貯蔵キャビティーの深さが、その流れ方向の長さよりも寸法が大きい、インスリンに適した単回投与吸入器が開示されている。このキャビティーは、1つの以上の出口孔が形成された蓋を備え、入口が、キャビティーの下流の上部壁に形成されている。使用の際は、空気が入口の中に吸引され、循環気流が生じ、蓋の出口孔(複数可)から上方に抜ける。
【0010】
多数の従来技術の装置があるにもかかわらず、デザインがシンプルで低価格であり、小型で操作が単純であるが、粉末のキャビティーを効率的に空にすることもできる装置、特にマルチキャビティー吸入器が要望されている。着実かつ効率的な内容物の排出は、1つには、高価な薬物が装置に残って無駄にしないために重要であるが、より重要なことは、残った粉末が装置を汚染し、装置の次の使用者が誤って吸引するのを防止することである。
【0011】
投与される前に粉末を効率的に分散化させる装置も要望されている。粉末粒子のかなりの部分が特定の空気力学的サイズの範囲にする分散化プロセスが望ましい。これは、粉末粒子の分級(classifying)と呼ばれる場合が多い。分散化を可能にする様々な方法が、従来技術に記載されている。例えば、蛇行した流路は、粒子が流路の壁に衝当するため分散化を引き起こし得る。別法では、粉末キャビティーまたはレザバーの下流の流路に障害物を配置することができる。振動または振盪も考えられ得る。上述の特許文献7は、吸入時に迅速に移動して粉末成分をほぐして、極度に密着した粉末または圧縮された粉末の分散化を容易にするカプセルを提供する。
【0012】
流路の下流に分散化機能構造を利用する装置は、薬物粉末がこれらの下流の機能構造に蓄積し得るため、使用中に詰まる、または汚染されることがある。もちろん、不正確な量の薬物粉末を投与するリスクを低下または排除することが望ましい。粉末が下流の分散化機能構造に蓄積した場合、何回かの投与によって蓄積された粉末が、これらの下流の機能構造から突然解離して(例えば、装置が落下した場合)、患者がかなりの過量摂取をするリスクがある。
【0013】
本発明の目的は、少なくとも上記の問題の一部またはすべてを緩和することである。
【0014】
乾燥粉末吸入装置は、粒子を引き込んでキャビティーを効率的に空にするために、流れが誘導される浅いキャビティーを有する傾向にある。特に大用量の粉末の場合、浅いキャビティーの使用は、比較的大きな面積を占有し得るため、比較的大きい装置となり得る。
【0015】
本発明者らは、驚くべきことに、装置のデザインパラメータを最適化して粉末キャビティーにおけるせん断誘導キャビティー流の現象を最大化することによって比較的深いキャビティーを非常に効率的に空にできることを見出した。本発明者らは、キャビティーおよびキャビティーの上の流路について、多種多様なキャビティーの形状および幾何学的パラメータを調べ、計算流体力学技術と物理的プロトタイプの両方を用いてこれらのキャビティーを空にして粉末を分散化する効率を比較した。
【0016】
せん断誘導キャビティー流の概念は、一般的には、キャビティー内の回転流がキャビティー開口を横断する流体の流れの通過によって生じ得るというものである(キャビティー内に流れを案内すること、または気流を使用してキャビティー開口の上のベンチュリ効果によって圧力を下げ、開口から流体の流れを吸引することとは異なる)。流れは、円筒パターンで回転する傾向にある。
【0017】
上で参照した特許文献7に、気流が標準的な製剤カプセルの分離された下半分の開口を横断して粉末を引き込む装置が記載されている。本発明の発明者らは、一部のせん断誘導キャビティー流が、この従来の装置で生じることがあり、この現象が、報告された結果をある程度説明すると考えている。しかしながら、本発明者らは、キャビティーの形状は、せん断誘導キャビティー流の特徴である円筒状に回転する流れのパターンの発生を許容できないと考えている。
【0018】
上で参照した特許文献9(Baxter)は、せん断誘導流動の現象を使用しているようであるが、本発明者らは同様に、キャビティーおよび/または流路の形状が最適ではないだろうと考えている。
【0019】
単純に粉末が回転流に引き込まれるのではなく、粉末含有キャビティー内での円筒回転流の発生により、キャビティーが迅速かつ効率的に空になり得ることはやや直観にそぐわない。しかしながら、本発明の発明者らは、粉末は、回転流に引き込まれて長時間留まるのではなく、回転流からキャビティーの上の直線流に迅速に移り得ることを見出した。
【0020】
本発明者らは、好ましくは比較的深いキャビティーにおけるせん断誘導キャビティー流の効果が、流路のデザイン、キャビティーの形状、圧力低下、流速、または体積流量などの1つ以上のパラメータを操作することによって最適化できることを見出した。本発明者らは、驚くべきことに、キャビティーを迅速に空にするだけではなく、キャビティー内の粉末の分散化または分級を、せん断誘導キャビティー流の現象を利用することによって深いキャビティーでも非常に効率的に達成できることを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】英国特許第1,521,000号明細書
【特許文献2】英国特許第1,520,062号明細書
【特許文献3】英国特許第1,472,650号明細書
【特許文献4】英国特許第1,502,150号明細書
【特許文献5】米国特許第4,210,140号明細書
【特許文献6】米国特許第6,655,381B2号明細書
【特許文献7】米国特許第4,446,862号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2009114220号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第20090084379号明細書
【特許文献10】国際公開第2009/152477号パンフレット
【特許文献11】国際公開第2003/051839号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2008/010765号パンフレット
【特許文献13】国際公開第2006/026754号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置は、流路と、開口を有する粉末貯蔵キャビティーとを備え、キャビティー開口が、流路の壁に存在し、この流路が、キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、キャビティー開口が、長方形または台形などの四角形の形状を有し、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%である。
【0023】
キャビティー開口のフィレット半径は、0.001mm〜0.5mm、好ましくは0.01mm〜0.3mmとすることができる。本発明者らは、この形状のキャビティー開口が、例えば、円形または楕円形の開口よりも、せん断誘導キャビティー流の特徴である円筒流パターンを効率的に促進し得ると考えている。キャビティー開口は、好ましくは、1.5〜4.0、より好ましくは1.8〜3.5、さらに好ましくは2.6〜3.2の範囲のアスペクト比を有することができる。
【0024】
大きい方の寸法を、好ましくは、流路の流れの方向に合わせる。
【0025】
好ましくは、流れ方向におけるキャビティー開口の長さは、キャビティーの深さの105%〜140%、より好ましくは110%〜135%とすることができる。本発明者らは、これが、キャビティーにおけるせん断誘導流を促進し得ると考えている。
【0026】
流路は、好ましくは、キャビティー内に流れが案内されないように形成され、例えば、キャビティー開口を、流路の平らな壁に形成することができ、好ましくは、キャビティー開口の反対側に平行な壁も備える。
【0027】
本発明者らは、上で明記した形状と寸法を有する吸入器は、人間の患者による使用では、正しい特徴をもつ気流を生じさせて、キャビティー内の粉末を効率的に空にして分散化することができると考えている。好ましくは、キャビティーの近傍の流路の最大高さは、0.5〜4mm、好ましくは0.5mm〜3mm、より好ましくは1mm〜2mmとすることができる。
【0028】
好ましくは、流路は、キャビティー開口を横断する実質的に一方向の流れを発生させるように配置することができる。これは、例えば、扇形(平面図において)である特許文献7に記載されているキャビティーを横断する流れとは対照的である。この流れは、扇形の対称軸に沿っていると言える全体方向を有するが、「一方向」と表現することができない。さらに、10mm以上である特許文献7のキャビティーの近傍の流路の高さは、流れにおける実質的に垂直方向の偏差を許容し得る。
【0029】
好ましくは、キャビティーの領域における流路の最大幅(以下の定義を参照)は、2mm〜6mmとすることができる。したがって、キャビティーの近傍の流路の断面積は、1mm2〜20mm2、好ましくは3mm2〜10mm2の範囲とすることができる。
【0030】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置は、流路と、開口を有する粉末貯蔵キャビティーとを備え、キャビティー開口が、流路の壁に存在し、流路が、キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、キャビティーのすぐ近傍の流路の最大高さが、0.5mm〜4mmであることを特徴とする。
【0031】
せん断誘導キャビティー流を促進し得ると本発明者らが考える別の因子には、流れ方向に対するキャビティーの下側の前縁および/または後縁の形状が含まれる。これらは、1〜3mm、好ましくは1.5mm〜2.5mmの半径を有する(これは、上述したキャビティー開口のフィレット半径およびキャビティーの垂直方向の角/縁とは異なる)。
【0032】
キャビティー自体は、好ましくは3mm〜10mm、好ましくは4mm〜6mmである以下に定義する深さを有することができる。流れ方向における最大長さは、3mm〜10mm、好ましくは4mm〜7mmとすることができる。キャビティーの平均幅は、1mm〜5mm、好ましくは1.5mm〜3mmとすることができる。乾燥粉末吸入器に含める薬物粉末の適切な量の決定はもちろん、本発明者らは、これらの寸法が、効率的な内容物の排出と分散化とを促進すると考えている。
【0033】
本発明者らによる最初の研究は、単純な立方形のキャビティーを用いて行った(例えば、図1を参照されたい)。このようなキャビティーの物理的モデルを形成し、粉末で満たし、試験し、この結果を高速ビデオ技術で記録した。図3a〜図3dに示されているキャビティーと同様のキャビティーを空にするのを観察した。性能を改善する試みでは、下側の上流縁における大きな半径(約2mmのオーダー)が、空にするプロセスの最中に粉末の侵食パターンを反映するため、この大きな半径を有するようにキャビティーの形状を変更した。これは、キャビティーを空にするのを改善することが分かった。
【0034】
計算流体力学技術(以下に詳述)を用いたさらなる研究により、キャビティーの上流と下流の両方の下側の縁に大きい半径を有する、現在最も良く知られているキャビティーの形状がもたらされた。
【0035】
好ましくは、流れを乱す部材を、流路壁から突出させることができ、この流れを乱す部材は、その最も上流部が、キャビティーの1mm〜20mm、好ましくは2mm〜10mm、より好ましくは3mm〜7mm上流に位置している。本発明者らは、1つまたは複数のこの流れを乱す部材が、キャビティーを横断する流れにおける乱流を増加させることができ、これにより、キャビティーに誘導される回転流の乱流を増加させることができると考えている。本発明者らは、これは、粉末のキャビティーを空にする効率を上昇させ得ると考えている。
【0036】
様々なデザインの流れを乱す部材を用いた計算流体力学技術を使用した研究により、著しい性能の向上がもたらされ得ることが確認された。この部材の正確な形状と横方向の位置は、影響を与え得るが、極めて重要ではない。
【0037】
流れを乱す部材は、キャビティー開口が形成されている壁(すなわち、流路の「底部」から)から突出させることができる。この部材は、流路の全高さにわたって、または流路の全幅にわたって延在しても良いが、好ましくは、流路の幅および/または高さの1%〜50%、より好ましくは1%〜20%のみに延在する。流れの方向におけるこの部材の断面積は、この部材の近傍における流路の断面積(流れに対して垂直)の1〜25%とすることができる。好ましくは、この部材の断面積は、この部材の近傍における流路の断面積の3〜20%、より好ましくは5〜15%である。
【0038】
好ましくは、キャビティーが閉じている第1の位置とキャビティーが開いている第2の位置との間で移動可能な蓋部材を、キャビティーに付随させることができ、蓋部材は、流路の境界の一部を構成する。
【0039】
一部の状況では、例えば、1回の吸入で2つの別個の薬物を投与する必要がある場合は、第1の前記キャビティーの下流の流路に開口する第2の粉末貯蔵キャビティーを有することが望ましいであろう。上述の蓋部材は、第1の位置と第2の位置との間を移動するときに両方のキャビティーを閉じる、または開けることができる。
【0040】
本装置は、円の外周部に配置され複数の流路を備えることができ、流路が、流れ方向が前記円に対して径方向であるように配置され、少なくとも1つの前記粉末貯蔵キャビティーが、各流路に付随している。このようにして、都合が良い形状の複数回投与吸入器を提供することができる。キャビティーをディスク部材に設けることができ、ディスク部材は、未使用の粉末含有キャビティーにマウスピースを順次整合させるために、吸入器のマウスピースに対して回転可能に構成することができる。このような装置では、対称線が流路の流れの方向に沿っている台形の形状を有するキャビティー開口が好ましいであろう。この構成は、所定の大きさのディスクに装着できるキャビティーの数を最大限に増加させるのに役立ち得る。
【0041】
上記の複数回投与装置では、流路は、径方向外向きとすることができ、入口が装置の中心の近傍であり、マウスピースが周辺部に位置している。この場合は、台形状の開口を備えたキャビティーにおける流れの方向は、開口の小さい方の端部から大きい方の端部であり得る。別法では、装置は、周辺部の入口と中心に位置するマウスピースとを有することができ、この場合、台形状のキャビティーを横断する流れは、大きい方の端部から小さい方の端部である。
【0042】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための装置は、(a)開口を有する粉末貯蔵キャビティーと、(b)キャビティーが閉じている第1の位置とキャビティーが開いている第2の位置との間で移動可能な蓋部材とを備え、蓋部材が第2の位置にあるときは、蓋部材が流路の境界の一部を構成し、キャビティー開口が、流路の壁に存在し、流路が、キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、キャビティーの深さの50%〜150%であり、キャビティーの近傍の流路の最大高さが0.5mm〜4mmである。好ましくは、流れ方向におけるキャビティー開口の長さは、流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%である。
【0043】
一部の状況では、例えば、1回の吸入で2つの別個の薬物を投与する必要がある場合は、流路に開口する第2の粉末貯蔵キャビティーを有することが望ましいであろう。第2のキャビティーも、蓋部材が第1の位置にあるときは閉じ、蓋部材が第2の位置にあるときは開いている。
【0044】
別の態様では、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置は、流路と、開口を有する粉末貯蔵キャビティーとを備え、キャビティー開口が、流路の壁に存在し、流路が、キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、キャビティーの近傍の流路が、1mm2〜15mm2、好ましくは3mm2〜10mm2の範囲の断面積を有することを特徴とする。
【0045】
人間の患者によって使用される吸入器では、使用中の装置にわたる全圧力低下は、通常は2kPa〜6kPaである。キャビティーの一端から他端までの流路における圧力差は、吸入装置の他の部分における圧力損失のために僅かであるが、通常は0.1kPa〜5kPa、好ましくは0.5kPa〜2kPaである。上で言及した流路の寸法は、人間の患者に使用されるようにデザインされた吸入器では、この範囲の圧力低下をもたらし得る。
【0046】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置は、流路と、唯1つの開口を有する粉末貯蔵キャビティーとを備え、キャビティー開口が、流路の壁に存在し、流路が、キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、キャビティーの深さの50%〜150%であり、キャビティーのすぐ近傍の流路の最大高さが、0.5mm〜4mmであることを特徴とする。
【0047】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置は、流路と、唯1つの開口を有する粉末貯蔵キャビティーとを備え、キャビティー開口が、流路の壁に存在し、流路が、キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、キャビティーの深さの50%〜150%であり、キャビティーの近傍の流路が、1mm2〜15mm2、好ましくは3mm2〜10mm2の範囲の断面積を有することを特徴とする。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、上記の装置に充填される、以下に記載するリストから選択される化合物または組み合わせを含む剤形とすることができる。
【0049】
キャビティーの形状は、性能に対して重大な影響を与えると考えられる。せん断誘導キャビティー流の現象が、円筒回転流パターンを発生させる傾向にあるため、キャビティーの深さの少なくとも一部、例えば、キャビティーの少なくとも上半分(キャビティー開口からキャビティーの最も遠い位置までの垂直距離に基づいて、開口に近い方の半分)にわたって、平面図で概ね長方形または台形の形状のキャビティーは、回転キャビティー流を促進する。この平面図は、キャビティー開口の平面(定義された通り)に対して垂直な方向からキャビティーを見た図を指す。長方形または台形の開口の長手方向の対称線は、好ましくは、流路における気流の方向を向いている。
【0050】
せん断誘導キャビティー流を発生させるためには、キャビティーの開口は、理想的には、そのキャビティー開口に平行な平面におけるキャビティーの最大断面積と同程度、例えば、最大断面積の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは約100%である断面積を有するべきであると考えられる。
【0051】
キャビティーには、粉末充填レベル(粉末の表面が平らで、キャビティー開口と平行であるときの)とキャビティー開口との間にヘッドスペースを備えている。ヘッドスペースは、好ましくは1mm〜6mmである。
【0052】
本発明は、任意の前の段落に記載された装置に使用される、薬物粉末が充填された1つまたは複数のキャビティーを含む交換用マガジンにも関する。
【0053】
本発明はまた、一般に中実ディスクまたは環状体として形成することができる乾燥粉末吸入器用のキャビティーディスクにも関し、キャビティーディスクは、その表面に円形パターンに配置された複数の粉末含有キャビティーを備え、各キャビティーは、台形状の開口を有し、この開口は、除去可能なシールまたは蓋によって覆うことができ、各キャビティーは、キャビティーの深さの50%〜150%である径方向の長さを有する。
【0054】
好ましくは、各キャビティーの径方向における長さは、前記径方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%とすることができる。
【0055】
好ましくは、流れ方向に対するキャビティー(33)の下側の前縁および/または後縁は、0.5〜3mm、好ましくは1.5mm〜2.5mm、より好ましくは1.75mm〜2.25mmの半径を有することができる。
【0056】
本発明によると、どの前の段落に記載された装置も、1つまたは複数のキャビティーに薬物粉末を充填することができる。
【0057】
薬物粉末は、様々な活性成分を含むことができる。活性成分は、任意の治療薬または診断薬から選択することができる。例えば、活性成分は、抗アレルギー薬、気管支拡張薬(例えば、β2−(例えば、β2−アドレナリン受容体アゴニストまたはムスカリンアンタゴニスト)、気管支収縮剤、肺界面活性剤(pulmonary lung surfactant)、鎮痛薬、抗生物質、肥満細胞阻害剤、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗悪性腫瘍薬、麻酔薬、抗結核薬、造影剤、心血管薬、酵素、ステロイド、遺伝物質、ウイルスベクター、アンチセンス剤、タンパク質、ペプチド、非ステロイド性糖質コルチコイド受容体(GR受容体)アゴニスト、酸化防止剤、ケモカインアンタゴニスト(例えば、CCR1アンタゴニスト)、コルチコステロイド、CRTh2アンタゴニスト、DP1アンタゴニスト、ヒストンデアセチラーゼ誘導剤、IKK2阻害剤、COX阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、MPO阻害剤、p38阻害剤、PDE阻害剤、PPARγアンタゴニスト、プロテアーゼ阻害剤、スタチン、トロンボキサンアンタゴニスト、血管拡張薬、ENAC遮断薬(上皮ナトリウムチャネル遮断薬)、およびこれらの組み合わせとすることができる。
【0058】
この薬物粉末に含めることができる特定の活性剤の例として、
(i)酸化防止剤:−アロプリノールと、エルドステインと、マンニトールと、N−アセチルシステインコリンエステルと、N−アセチルシステインエチルエステルと、N−アセチルシステインと、N−アセチルシステインアミドと、ナイアシンと;
(ii)ケモカインアンタゴニスト:−BX471((2R)−1−[[2−[(アミノカルボニル)アミノ]−4−クロロフェノキシ]アセチル]−4−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2−メチルピペラジン一塩酸塩)と、CCX634と、N−{2−[((2S)−3−{[1−(4−クロロベンジル)ピペリジン−4−イル]アミノ}−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)オキシ]−4−ヒドロキシフェニル}アセトアミド(特許文献11を参照されたい)と、2−{2−クロロ−5−{[(2S)−3−(5−クロロ−1’Η,3H−スピロ[1−ベンゾフラン−2,4’−ピペリジン]−1’−イル)−2−ヒドロキシプロピル]オキシ}−4−[(メチルアミノ)カルボニル]フェノキシ}−2−メチルプロパン酸(特許文献12を参照されたい)と、656933(N−(2−ブロモフェニル)−N’−(4−シアノ−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−7−イル)尿素)と、766994(4−({[({[(2R)−4−(3,4−ジクロロベンジル)モルフォリン−2−イル]メチル}アミノ)カルボニル]−アミノ}メチル)ベンズアミド)と、CCX−282と、CCX−915と、シアノビリンNと、E−921と、INCB−003284と、INCB−9471と、マラビロクと、MLN−3701と、MLN−3897と、T−487(N−{1−[3−(4−エトキシフェニル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−2−イル]エチル}−N−(ピリジン−3−イルメチル)−2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]アセトアミド)と、ビクリビロックと;
(iii)コルチコステロイド:−ジプロピオン酸アルクロメタゾンと、アメロメタゾンと、ジプロピオン酸ベクロメタゾンと、ブデソニドと、プロピオン酸ブチキソコルトと、シクレソニドと、プロピオン酸クロベタゾールと、脱イソブチルシクレソニド(Desisobutyrylciclesonide)と、エチプレドノールジクロアセタート(Etiprednol dicloacetate)と、フルオシノロンアセトニドと、フロ酸フルチカゾンと、プロピオン酸フルチカゾンと、エタボン酸ロテプレドノール(局所的)と、フロ酸モメタゾンと;
(iv)DPIアンタゴニスト:−L888839とMK0525と;
(v)ヒストンデアセチラーゼ誘導物質:−ADC4022、アミノフィリン、メチルキサンチン、またはテオフィリン;
(vi)IKK2阻害剤:−2−{[2−(2−メチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−1H−インドール−5−カルボニル]−アミノ}−3−(フェニル−ピリジン−2−イル−アミノ)−プロピオン酸;
(vii)COX阻害剤:−セレコキシブと、ジクロフェナクナトリウムと、エトドラクと、イブプロフェンと、インドメタシンと、メロキシカムと、ニメスリドと、OC1768と、OC2125と、OC2184と、OC499と、OCD9101と、パレコキシブナトリウムと、ピセタノールと、ピロキシカムと、ロフェコキシブと、バルデコキシブと;
(viii)リポキシゲナーゼ阻害剤:−アジュレミン酸(Ajulemic acid)と、ダルブフェロンと、メシル酸ダルブフェロンと、デキシブプロフェンリシン(Dexibuprofen lysine)(一水和物)と、エタロシブナトリウム(Etalocib sodium)と、リコフェロン(Licofelone)と、リナゾラスト(Linazolast)と、ロナパレンと、マソプロコールと、MN−001と、テポキサリン(Tepoxalin)と、UCB−35440と、ベリフラポン(Veliflapon)と、ZD−2138と、ZD−4007と、ジレウトン((±)−1−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−1−ヒドロキシ尿素)と;
(ix)ロイコトリエン受容体アンタゴニスト:−アブルカスト(Ablukast)と、イラルカスト(Iralukast)(CGP45715A)と、モンテルカストと、モンテルカストナトリウムと、オンタゾラストと、プランルカストと、プランルカスト水和物(一ナトリウム塩)と、ベルルカスト(Verlukast)(MK−679)と、ザフィルルカストと;
(x)MPO阻害剤:−ヒドロキサム酸誘導体(N−(4−クロロ−2−メチル−フェニル)−4−フェニル−4−[[(4−プロパン−2−イルフェニル)スルホニルアミノ]メチル]ピペリジン−1−カルボキサミド)と、ピセアタンノールと、レスベラトロールと;
(xi)β2−アドレナリン受容体アゴニスト:−メタプロテレノールと、イソプロテレノールと、イソプレナリンと、アルブテロールと、サルブタモール(例えば、硫酸塩として)と、フォルモテロール(例えば、フマル酸塩として)と、サルメテロール(例えば、キシナホ酸塩として)と、テルブタリンと、オルシプレナリンと、ビトルテロール(例えば、メシル酸塩として)と、ピルブテロールと、インダカテロールと、サルメテロール(例えば、キシナホ酸塩として)と、バンブテロール(例えば、塩酸塩として)と、カルモテロールと、インダカテロール(CAS番号312753−06−3;QAB−149)と、ホルムアニリド誘導体、例えば、3−(4−{[6−({(2R)−2−[3−(ホルミルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}−ブチル)−ベンゼンスルホンアミド;3−(4−{[6−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシ−メチル)フェニル]エチル}アミノ)−ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミドと;GSK159797と、GSK159802と、GSK597901と、GSK642444と、GSK678007と;以下から選択される化合物:N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドと、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(3−クロロフェニル)エトキシ]プロパンアミドと、7−[(1R)−2−({2−[(3−{[2−(2−クロロフェニル)エチル]アミノ}プロピル)チオ]エチル}アミノ)−1−ヒドロキシエチル]−4−ヒドロキシ−1,3−ベンゾチアゾール−2(3H)−オンと、N−シクロヘキシル−N3−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、対イオンは、塩酸塩(例えば、一塩酸塩または二塩酸塩)、臭化水素酸塩(例えば、一臭化水素酸塩または二臭化水素酸塩)、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ナパジシル酸塩(ナフタレン−1,5−二硫酸塩またはナフタレン−1−(スルホン酸)−5−スルホン酸塩)、エジシル酸塩(エタン−1,2−二硫酸塩またはエタン−1−(スルホン酸)−2−スルホン酸塩)、D−マンデル酸塩、L−マンデル酸塩、桂皮酸塩、または安息香酸塩である)と;
(xii)ムスカリンアンタゴニスト:−臭化アクリジニウムと、グリコピロレート(例えば、R,R−、R,S−、S,R−、またはS,S−臭化グリコピロニウム)と、臭化オキシトロピウムと、ピレンゼピンと、テレンゼピンと、臭化チトロピウムと、3(R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]臭化オクタンと、(3R)−3−[(2S)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−チエン−2−イルアセトキシ]−1−(2−フェノキシエチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]臭化アクタン(actane bromide)と、第4級塩(例えば、[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−(3−フェノキシ−プロピル)−アンモニウム塩と、[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩と、(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(対イオンは、例えば、塩化物、臭化物、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、ナフタレンビスルホン酸塩(ナパジル酸塩またはヘミ−ナパジル酸塩)、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、またはコハク酸塩)と;
(xiii)p38阻害剤:−681323と、856553と、AMG548(2−[[(2S)−2−アミノ−3−フェニルプロピル]アミノ]−3−メチル−5−(2−ナフタレニル)−6−(4−ピリジニル)−4(3H)−ピリミジノン)と、Array−797と、AZD6703と、ドラマピモド(Doramapimod)と、KC−706と、PH797804と、R1503と、SC−80036と、SCIO469と、6−クロロ−5−[[(2S,5R)−4−[(4−フルオロフェニル)メチル]−2,5−ジメチル(domethyl)−1−ピペラジニル]カルボニル]−N,N,1−トリメチル− −オキソ−1H−インドール−3−アセトアミドと、VX702と、VX745(5−(2,6−ジクロロフェニル)−2−(フェニルチオ)−6Η−ピリミド[1,6−b]ピリダジン−6−オン)と;
(xiv)PDE阻害剤:−256066と、アロフィリン(3−(4−クロロフェニル)−3,7−ジヒドロ−1−プロピル−1H−プリン−2,6−ジオン)と、AWD12−281(N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−ヒドロキシ−α−オキソ−1H−インドール−3−アセトアミド)と、BAY19−8004(Bayer)と、CDC−801(Calgene)と、Celgeneの化合物((βR)−β−(3,4−ジメトキシフェニル)−1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−イソインドール−2−プロパンアミド)と、シロミラスト(シス−4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]−シクロヘキサンカルボン酸)と、2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−1−(7−メトキシスピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,1’−シクロペンタン]−4−イル)エタノン(CAS番号185406−34−2))と、(2−(3,4−ジフルオロフェノキシ)−5−フルオロ−N−[シス−4−[(2−ヒドロキシ−5−メチルベンゾイル)アミノ]シクロヘキシル]−)−3−ピリジンカルボキサミド)と、(2−(3,4−ジフルオロフェノキシ)−5−フルオロ−N−[シス−4−[[2−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)ベンゾイル]アミノ]シクロヘキシル]−3−ピリジンカルボキサミド)と、CT2820と、GPD−1116と、イブジラストと、IC485と、KF31334と、KW−4490と、リリミラスト([2−(2,4−ジクロロベンゾイル)−6−[(メチルスルホニル)オキシ]−3−ベンゾフラニル])−尿素)と、(N−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−1−[3−(3−ピリジニルエチニル)フェニル]−)−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミド)と、(N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−(ジフルオロメトキシ)−8−[(メチルスルホニル)アミノ])−1−ジベンゾフランカルボキサミド)と、ONO6126と、ORG20241(4−(3,4−ジメトキシフェニル)−N−ヒドロキシ−)−2−チアゾールカルボキシミドアミド)と、PD189659/PD168787(Parke−Davis)と、ペントキシフィリン(3,7−ジヒドロ−3,7−ジメチル−1−(5−オキソヘキシル)−)−1H−プリン−2,6−ジオン)と、化合物(5−フルオロ−N−[4−[(2−ヒドロキシ−4−メチル−ベンゾイル)アミノ]シクロヘキシル]−2−(チアン(thian)−4−イルオキシ)ピリジン−3−カルボキサミド)と、ピクラミラスト(3−(シクロペンチルオキシ)−N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−メトキシ−ベンズアミド)と、PLX−369(特許文献13)と、ロフルミラスト(3−(シクロプロピルメトキシ)−N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−4−(ジフルオロメトキシ)ベンズアミド)と、SCH351591(N−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−4−ピリジニル)−8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリンカルボキサミド)と、SelCID(TM)CC−10004(Calgene)と、T−440(Tanabe)と、Tetomilast(6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)−4−チアゾリル]−2−ピリジンカルボン酸)と、トフィミラスト(Tofimilast)(9−シクロペンチル−7−エチル−6,9−ジヒドロ−3−(2−チエニル)−5H−ピラゾロ[3,4−c]−1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン)と、TPI1100と、UCB101333−3(N,2−ジシクロプロピル−6−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)−5−メチル−4−ピリミジンアミン)と、V−11294A(Napp)と、VM554/VM565(Vernalis)と、ザルダベリン(6−[4−(ジフルオロメトキシ)−3−メトキシフェニル]−3(2H)−ピリダジノン)と;
(xv)PDE5阻害剤:−γグルタミル[s−(2−ヨードベンジル)システイニル]グリシンと、タダラフィルと、バルデナフィルと、シルデナフィルと、4−フェニル−メチルアミノ−6−クロロ−2−(1−イミダゾリル)−キナゾリンと、4−フェニル−メチルアミノ−6−クロロ−2−(3−ピリジル)−キナゾリンと、1,3−ジメチル−6−(2−プロポキシ−5−メタンスルホニルアミドフェニル)−1,5−ジヒドロピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オンと、1−シクロペンチル−3−エチル−6−(3−エトキシ−4−ピリジル)−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オンと;
(xvi)PPARγアゴニスト:−ピオグリタゾンと、塩酸ピオグリタゾンと、マレイン酸ロシグリタゾンと、マレイン酸ロシグリタゾン((−)−エナンチオマー、遊離塩基)と、マレイン酸ロシグリタゾン/塩酸メトホルミンと、テサグリタザル(Tesaglitizar)と;
(xvii)プロテアーゼ阻害剤:−α1−アンチトリプシンプロテイナーゼ阻害剤と、EPI−HNE4と、UT−77と、ZD−0892と、DPC−333と、Sch−709156と、ドキシサイクリンと;
(xviii)スタチン:−アトルバスタチンと、ロバスタチンと、プラバスタチンと、ロスバスタチンと、シンバスタチンと;
(xix)トロンボキサンアンタゴニスト:ラマトロバンとセラトロダストと;
(xx)血管拡張剤:−A−306552と、アンブリセンタンと、アボセンタンと、BMS−248360と、BMS−346567と、BMS−465149と、BMS−509701と、ボセンタンと、BSF−302146(アンブリセンタン)と、カルシトニン遺伝子関連ペプチドと、ダグルトリルと、ダルセンタンと、ファンドセンタンカリウムと、ファスジルと、イロプロストと、KC−12615(ダグルトリル)と、KC−12792 2AB(ダグルトリル)と、リポソームトレプロスチニルと、PS−433540と、シタクスセンタンナトリウム(Sitaxsentan sodium)と、フェルラ酸ナトリウム(Sodium Ferulate)と、TBC−11241(シタクスセンタン)と、TBC−3214(N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−[[(4−クロロ−3−メチル−5−イソキサゾリル)アミノ]スルホニル]−2−チオフェンカルボキサミド)と、TBC−3711と、トラピジルと、トレプロスチニルジエタノールアミンと、トレプロスチニルナトリウムと;
(xxi)ENAC:−アミロライドと、ベンザミルと、トリアムテレンと、552−02と、PSA14984と、PSA25569と、PSA23682と、AER002とが挙げられる。
【0059】
薬物粉末は、2つ以上の活性成分の組み合わせ、例えば、上記の(i)〜(xxi)に列記された2つ以上の特定の活性成分の組み合わせを含むことができる。
【0060】
一実施形態では、薬物粉末は、モメタゾン、臭化イプラトロピウム、チオトロピウムおよびその塩、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、レプロテロール、クレンブテロール、ロフレポニドおよび塩、ネドクロミル、クロモグリク酸ナトリウム、フルニソリド、ブデソニド、フマル酸フォルモテロール二水和物、テルブタリン、硫酸テルブタリン、サルブタモール塩基および硫酸塩、フェノテロール、3−[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−3H−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチルアミノ]−N−[2−[2−(4−メチルフェニル)エトキシ]エチル]プロパンスルホンアミド、塩酸塩、インダカテロール、臭化アクリジニウム、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、二臭化水素酸塩);N−シクロヘキシル−N3−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩);[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えば、ヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩);またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される活性成分を含む。
【0061】
薬物粉末に含めることができる活性成分の特定の組み合わせには、以下が含まれる:
(a)フォルモテロール(例えば、フマル酸塩)とブデソニド;
(b)フォルモテロール(例えば、フマル酸塩)とフルチカゾン;
(c)N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、二臭化水素酸塩)と[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えば、ヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);
(d)N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、二臭化水素酸塩)と(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩);
(e)N−シクロヘキシル−N3−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩)と[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えば、ヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);
(f)N−シクロヘキシル−N3−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩)と(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩)。
【0062】
薬物粉末は、微粉末活性成分粒子が、例えば、ラクトースなどの大きめの担体粒子に付着した規則混合物として製剤するのが好ましい。
【0063】
本発明によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向のキャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、キャビティー開口のすぐ近傍の最大流速が、少なくとも15m/s、好ましくは少なくとも20m/s、より好ましくは少なくとも30m/s、さらに好ましくは少なくとも40m/sまたは実に50m/sであることを特徴とする。流速は、好ましくは15m/s〜100m/s、より好ましくは20m/s〜80m/sとすることができる。
【0064】
本発明者らは、キャビティーの開口を横断するこの流速の流れを発生させることによって、効率的な内容物の排出と分散化をもたらすキャビティー内の回転流を生じせることができると考えている。もちろん、流路の断面を横断する流れの変動も存在し得る。
【0065】
好ましくは、ディスペンスの後にキャビティー内に残った活性薬剤成分(API)の質量は、ディスペンスする前のキャビティー内のAPIの全質量の0.1質量%〜10質量%、好ましくは1質量%〜8質量%、より好ましくは1質量%〜5質量%である。全粉末質量ではなくAPIの質量によって残存を測定するのが一般的である。本明細書で使用される用語「薬物粉末」は、API、担体粒子、および任意の他の成分を含む完全な粉末製剤を指す。
【0066】
本装置は、様々な粉末製剤の送達のプラットホームであること目的とする。したがって、特定の粉末は、本発明に適さない。本装置は、多数の標準製剤と実験製剤とで試験した。これらの製剤の一部は、本願の出願時には開発中であり、このような製剤の組成は、企業の機密情報であるため、本願にはこの情報を含めていない。しかしながら、本発明者らは、以下の実施例6に詳細に記載されている試験に基づいて、計算流体力学技術によってモデル化された流れにおける表面せん断応力、特にキャビティーの下半分(キャビティー開口の平面からキャビティーの最も深い位置までの垂直距離の半分に基づく)における平均表面せん断応力が、キャビティーの内容物の排出の有効な指標となると考える。内容物の排出は、製剤によって異なるが、本発明者らは、所定の製剤では、キャビティーの下半分における表面せん断応力が高ければ高いほど、通常は内容物の排出の効率が上昇すると考えている。
【0067】
本発明の代替の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、キャビティーの下半分における平均表面せん断応力が、少なくとも0.5Pa、好ましくは少なくとも1Pa、より好ましくは少なくとも1.5Paであり、これらの範囲の上限が、20Paまたは好ましくは15Paである。これは、ANSYS(登録商標)ソフトウエアFluent、バージョン6.3.26を使用するレイノルズ平均ナビエ・ストーク(RAND)乱流3次元定常計算流体力学(CFD)の計算を用いた、キャビティーにおける流れのコンピュータモデリングに基づいている。
【0068】
別の実施形態では、本発明は、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法を含み、この方法は、唯1つの開口を有する粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、キャビティーの深さの50%〜150%であり、キャビティー開口のすぐ近傍の最大流速が、少なくとも15m/s、好ましくは少なくとも20m/s、より好ましくは少なくとも30m/s、さらに好ましくは少なくとも40m/sまたは実に50m/sであることを特徴とする。流速は、好ましくは15m/s〜100m/s、より好ましくは20m/s〜80m/sとすることができる。
【0069】
本発明の代替の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、唯1つの開口を有する粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、キャビティー開口が、キャビティーの深さの50%〜150%の流れ方向における長さを有し、キャビティーの下半分における平均表面せん断応力が、少なくとも0.5Pa、好ましくは少なくとも1Pa、より好ましくは少なくとも1.5Paであり、これらの範囲の上限が、20Paまたは好ましくは15Paである。これは、ANSYS(登録商標)ソフトウエアFluent、バージョン6.3.26を使用するレイノルズ平均ナビエ・ストーク(RAND)乱流3次元定常計算流体力学(CFD)の計算を用いた、キャビティーにおける流れのコンピュータモデリングに基づいている。
【0070】
上で参照した計算流体力学技術を用いて計算することができる、キャビティーにおける流れの多数の他のパラメータも存在する。本発明者らは、これらのどのパラメータが、キャビティーの内容物排出効率の最適な指標であるかは分かっていない。以下で言及するパラメータも同様に、ANSYS(登録商標)ソフトウエアFluent、バージョン6.3.26を使用するRAND乱流3次元定常CFDの計算を用いたコンピュータモデルから導いた。
【0071】
したがって、本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、キャビティーの下半分における平均乱流運動エネルギーが、少なくとも3m2/s2、好ましくは少なくとも4m2/s2、より好ましくは5m2/s2である。これらの範囲の上限は、50m2/s2、好ましくは20m2/s2とすることができる。
【0072】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、キャビティーの下半分における平均渦度が、少なくとも2,000 1/s、好ましくは少なくとも4,000 1/s、より好ましくは少なくとも10,000 1/sである。これらの範囲の上限は、100,000 1/s、好ましくは50,000 1/s、より好ましくは20,000 1/sとすることができる。
【0073】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、流れ方向におけるキャビティー開口の長さが、(i)キャビティーの深さの50%〜150%であり、かつ(ii)流れ方向におけるキャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、キャビティーの下半分における平均流速が、少なくとも1.5m/s、好ましくは少なくとも3m/s、より好ましくは少なくとも4m/sである。これらの範囲の上限は、30m/s、好ましくは20m/s、より好ましくは10m/sとすることができる。
【0074】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、唯1つの開口を有する粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、キャビティー開口が、キャビティーの深さの50%〜150%の流れ方向における長さを有し、キャビティーの下半分における平均乱流運動エネルギーが、少なくとも3m2/s2、好ましくは少なくとも4m2/s2、より好ましくは少なくとも5m2/s2である。これらの範囲の上限は、50m2/s2、好ましくは20m2/s2である。
【0075】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、唯1つの開口を有する粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、キャビティー開口が、キャビティーの深さの50%〜150%の流れ方向における長さを有し、キャビティーの下半分における平均渦度が、少なくとも2,000 1/s、好ましくは少なくとも4,000 1/s、より好ましくは少なくとも10,000 1/sである。これらの範囲の上限は、100,000 1/s、好ましくは50,000 1/s、より好ましくは20,000 1/sとすることができる。
【0076】
本発明の別の実施形態によると、1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法は、唯1つの開口を有する粉末含有キャビティーの開口を、空気の流れを横断させるステップを含み、キャビティー開口が、キャビティーの深さの50%〜150%の流れ方向における長さを有し、キャビティーの下半分における平均流速が、少なくとも1.5m/s、好ましくは少なくとも3m/s、より好ましくは少なくとも4m/sである。これらの範囲の上限は、30m/s、好ましくは20m/s、より好ましくは10m/sとすることができる。
【0077】
上のどの段落で定義したキャビティーにおける流れも、好ましくは、せん断誘導キャビティー流の現象のみによって生成される。
【0078】
好ましくは、上で定義した方法では、薬物粉末は、上に示したリストから選択される化合物または組み合わせを含む。
【0079】
定義
キャビティー開口のアスペクト比は、開口の垂直方向の長さ(台形の場合には、対称線の長さである)を平均幅で除した値として定義する。
【0080】
流路に関する用語「高さ」は、キャビティー開口が形成されている流路の壁から流路の反対側の壁までの垂直距離を指すものとする。
【0081】
流路に関する用語「幅」は、流路の任意の位置において、その位置における2つの側壁間の最短距離を指すものとする。
【0082】
用語「底部」は、キャビティー開口が形成されている流路の壁を意味するものとする。用語「天井部」は、底部の反対側の流路の壁を意味するものとする。
【0083】
流路に関する用語「側壁」は、底部と天井部との間に延在する流路の壁を意味するものとする。
【0084】
キャビティー開口の平面は、キャビティーと流路との間の境界であるキャビティーの縁によって定義される平面を意味するものとする。縁が、一平面に完全には存在しない場合は、キャビティー開口の平面は、縁に最も適合する平面を意味するものとする。
【0085】
用語「四角形」は、4つの直線の辺を有する形状を意味するものであるが、この用語は、本明細書に明記されるフィレット半径を有する角を除外しないものとする。
【0086】
キャビティーに関する用語「深さ」は、キャビティー開口の平面からキャビティーの最も深い点までの垂直距離を意味するものとする。
【0087】
キャビティーの最大長さは、キャビティー開口の平面に平行な平面で測定される、流れ方向におけるキャビティーの最も長い長さとして定義するものとする。
【0088】
本明細書において、「上の」と「下の」などの表現が装置に関して使用される場合は、キャビティーの開口またはキャビティーが上を向くような装置の向きを想定している。
【0089】
用語「薬物粉末」は、任意の活性薬剤成分に加えて、限定されるものではないが、任意の担体、希釈剤、またはコーティングを含むあらゆる粉末製剤を意味するものとする。
【0090】
ここで、添付の図面を参照して、実施形態と実施例を用いて、例示目的でより詳細に本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、第1の実施形態の流路領域の略断面図である。
【図2】図2は、第2の実施形態の流路領域の略断面図である。
【図3a】図3aは、工程の流れを示す、図1の流路領域の一部の略斜視図である。
【図3b】図3bは、工程の流れを示す、図1の流路領域の一部の略斜視図である。
【図3c】図3cは、工程の流れを示す、図1の流路領域の一部の略斜視図である。
【図3d】図3dは、工程の流れを示す、図1の流路領域の一部の略斜視図である。
【図4】図4は、第1の実施形態全体の平面図である。
【図5】図5は、第1の実施形態のキャビティーディスクと支持体との組立分解斜視図である。
【図6】図6は、キャビティーディスクと2つのキャビティーとを示している、第3の実施形態の一部の側断面図である。
【図7】図7は、実施例1に使用される特許文献7の吸入器の流路のコンピュータモデルの斜視図である。
【図8】図8は、図7のコンピュータ流路モデルの側面図である。
【図9】図9は、実施例2に使用される本発明による吸入器の流路のコンピュータモデルの斜視図である。
【図10】図10は、図7と図8との流路と本発明による流路とにおける粉末引き込みのコンピュータモデリングの結果を示すグラフである。
【図11a】図11aは、本発明による流路のコンピュータモデルの側面図である。
【図11b】図11bは、図11aに示されているキャビティーの平面図である。
【図12】図12は、キャビティーの4つの異なる形状についての粉末の残存を示す棒グラフである。
【図13】図13は、2つの代替のデザインのキャビティーと9つの異なる粉末製剤とについて粉末の残存の程度を示すグラフである。
【図14a】図14aは、本発明による装置の代替の流路モデルの側面図である。
【図14b】図14bは、本発明による装置の代替の流路モデルの斜視図である。
【図15a】図15aは、流路の高さが高い装置の代替の流路モデルの側面図である。
【図15b】図15bは、流路の高さが高い装置の代替の流路モデルの斜視図である。
【図16】図16は、第3の実施形態のキャビティーディスクの変更を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
実施例1(従来技術)
図7および図8は、特許文献7(上述)に記載されている装置の流路のコンピュータモデルを示している。このモデルは、この先行特許(図1〜図4a)に記載されている主な実施形態に基づいている。この装置は、平らな円筒状のフローチャンバー101を備え、その底部には、吸入用の粉末が入った標準的なサイズ4の製剤カプセルの別個の部分102が配設されている。6つの空気吸入口103が、チャンバーの周囲の半分に均等に下端部の近傍に配設されている。吸入口103の対称的に反対側には、吸入口103よりも直径の大きいマウスピース104が存在する。
【0093】
一部の寸法は、特許文献7に示されている。例えば、吸入口の直径は、2mm(段落6の19行目を参照)であると述べられ、標準的なサイズ4のカプセルの使用は、段落7の15行目に示されている。サイズ4のカプセルは、約5mmの基部内径と約7mmの基部長さとを有する。残りの寸法は、文章に示されている値にしたがって縮尺された図4aから得た。
【0094】
このモデルを用いて、計算流体力学技術、特に、ANSYS(登録商標)ソフトウエアFluent(登録商標)、バージョン6.3.26を使用するレイノルズ平均ナビエ・ストーク(RANS)乱流3次元定常計算流体力学(CFD)を用いて装置内の流れをシミュレーションした。
【0095】
特許文献7では、装置にわたる圧力低下は、4.7cmH2O(約0.46kPa)であり、28.3L/分の流量を生じさせると述べられている。CFDシミュレーションでは、この圧力低下は、21.9L/分の流量を生じさせ、これは、特許文献7で報告された結果に対する、シミュレーションした結果のかなり良好な相関性を表している。特許文献7による標的流量により近い流量を得るためには、このモデルでは0.76kPaの圧力低下が必要であった。
【0096】
吸入器デザインの試験に用いられる現在の標準圧力差は、4kPaであり、これは正常な患者が発生させやすい圧力差である。弱い患者は、約2kPaを発生させることができ、元気な患者は、約6kPaを発生させる。
【0097】
以下の表は、異なる圧力と対応する体積流量での4組の結果を示している。4kPaの圧力が、現在の標準試験条件であるため、4kPaの圧力を使用した。上記の理由から0.46kPaと0.76kPaとを使用し、以下の実施例2の考察で説明する理由から0.17kPaを使用した。以下の表1で1〜8が付けられた、次に示す多数のパラメータを各ケースで計算した。
【0098】
パラメータ1:キャビティー全体におけるキャビティー表面の平均せん断応力(Pa)
パラメータ2:キャビティーの下半分におけるキャビティー表面の平均せん断応力(Pa)
パラメータ3:キャビティー全体における平均流速(ms−1)
パラメータ4:キャビティーの下半分における平均流速(ms−1)
パラメータ5:キャビティー全体における平均渦度(1/s)
パラメータ6:キャビティーの下半分における平均渦度(1/s)
パラメータ7:キャビティー全体における平均乱流運動エネルギー(m2/s2)
パラメータ8:キャビティーの下半分における平均乱流運動エネルギー(m2/s2)
【0099】
本発明者らは、キャビティーの下半分(キャビティー開口の平面からキャビティーの底部までの垂直距離の半分に基づいた)についての、キャビティーの壁における平均表面せん断応力が、このモデルを効率的に空にする最適な指標であると見なす。壁せん断応力は、以下の通り定義する:
w ν/n
式中、 は分子粘性であり、v/nは、壁における法線速度勾配である。
【0100】
表1では、ΔPは、圧力差(kPa)であり、Qは、体積流量(L/分)である。
【0101】
表1
【0102】
実施例2−本発明による装置のCFDモデリング
本発明による装置のコンピュータモデルを、実施例1に使用したソフトウエアと同じソフトウエアを用いて作成した。吸入器全体は、特許文献7に記載されている装置よりも自動化された機能を有し、より複雑である。また、吸入器内に2つの流路が存在し、1つが粉末キャビティーの上を通り、もう1つがバイパス路である。キャビティーの上を通る流路は、従来技術の流路よりもやや蛇行しており、流路がキャビティーに達する前に適度かつ相当な圧力低下が生じ得る。例えば、通常の使用では、全流路のキャビティーまでの部分で0.01〜2.0kPaの圧力低下が生じ得る。これは、好ましくは、範囲の下限、例えば、0.1〜1.0kPaである。
【0103】
これらの理由から、2つの吸入器間の全体の圧力と体積流量等とに基づいた単純な比較は、実際のところ最適な試験ではない。それにもかかわらず、吸入器全体を、空気吸入口とマウスピースとの間の圧力差4kPaで分析し、結果を以下の表2の1行目に示す。表2の残りの結果は、特許文献7に記載されている装置の非常に単純な流路に相当する流路の部分についての結果である。
【0104】
モデル化流路が図9に示されている。この流路は、粉末キャビティーを空にすることに関する流路の重要な部分を正確に表している。キャビティーは、41で示され、キャビティーの上の流路は、42で示されている。キャビティーの寸法は、以下の表3の列「A」に示されている。キャビティー近傍の流路は、高さが1.5mmであり、幅が、流れの方向Fにおける上流端部で3.1mm、下流端部で5.1mmである。キャビティーの上流側の流路42の底部の部分43は傾斜している。乱流誘導障害物または突出部44、いわゆる「撹拌部」が、この底部から突き出ている。この機能構造の目的は、流路42内の流れの乱流を増大させ、この乱流を、キャビティー41のせん断誘導流に加えることである。この例では、結果は、撹拌部44を備えていても備えていなくても得られた;これは、表に示されている。
【0105】
実施例1で使用される同じ8つのパラメータを、本発明による装置について計算した。以下の表2の番号が付された列は、表1の番号が付された列に相当する。
【0106】
8つの結果のうちの4つは、キャビティー全体におけるパラメータ平均であり、残りの4つは、キャビティーの下半分のみにおける平均である。図9のキャビティーの下に半分下がった位置にある線45は、キャビティーの上半分と下半分の分割を示している。線45は、キャビティー開口の平面からキャビティーの底部までの垂直距離の半分に位置する。
【0107】
第1行の結果は、吸入器全体のコンピュータモデルにおける標準的な4kPaの圧力低下についてのものである。約1kPaのこの圧力低下は、吸入器モデルの他の部分における「損失」であった。したがって、第1行の結果において、図9に示されている流路にわたる圧力低下は、約3kPaと見なすことができる。第1行の結果に使用したモデルは、バイパス路を備える、すなわち、図9に示されている流路の短い部分についての他の結果と比較すると体積流量が非常に多い。図9の流路だけを通る体積流量は、カッコ内に示されている。
【0108】
残りの結果は、図9の流路のみにわたる所定の圧力低下についてのものである。流路のこの部分は、特許文献7の装置との比較を可能な限り正確にするために選択した。これらのケースの3つでは、撹拌部が流路に設けられている。1つのケースでは、撹拌部が設けられていない。
【0109】
表2
【0110】
表1では、ΔPは、圧力差(kPa)であり、Qは、体積流量(L/分)である。
【0111】
結果を比較すると、特許文献7のキャビティーよりも本発明による装置のキャビティーで格段にエネルギーの大きい流れが誘導されることが一目瞭然である。表1と表2との4行目では、特許文献7に示されている0.46kPaの圧力低下を適用している。キャビティーの下半分における平均表面せん断応力(パラメータ2)は、本発明による装置では0.37Paであり、特許文献7による装置では僅か0.06Paである。この差は、キャビティーを空にする効率の最適な指標であると本発明者らが見なす上述のパラメータにおいて、因数が6よりも大きい。
【0112】
各ケースで、吸入器全体にわたって4kPaの圧力低下が適用された各表の1行目を比較すると、本発明による吸入器の他の部分でも圧力損失が起こり得、かつ流れの多くがバイパス路を通過し得るという事実にもかかわらず、本発明による吸入器と特許文献7の装置とのパラメータ2の値がそれぞれ、3.46Paと1.72Paとであり、因数が2よりも大きい。
【0113】
表2の3行目では、撹拌機能構造を備えていない流路にわたって1.5kPaの圧力低下を適用している。この結果、流量が約12.9L/分であり、キャビティーの下半分の平均表面せん断応力が3.57Paである。特許文献7の装置における同様の流量は、僅か0.02Paのキャビティーの下半分の平均表面せん断応力しか発生させない。
【0114】
実施例3
異なるCFDモデル化技術、ANSYS(登録商標)ソフトウエアCFX(登録商標)、リリース11.0を使用するRANS乱流3次元非定常多層CFDを利用して、特にキャビティーを空にすることに関する結果を得るために、キャビティー内の気流における粉末の運動をモデル化した。このソフトウエアは、粒径が50ミクロンの分散粒子モデルを用いて相間運動量移動をシミュレーションした。
【0115】
撹拌部を備えていない実施例2/図9の流路を、実施例1の流路(特許文献7の装置のCFDモデル)と比較した。12L/分の同じ流量を各流路に適用し、このモデルでは、キャビティーを、初めにその全容積の2/3まで粉末で満たした。
【0116】
シミュレーションは、気流の開始後の最初の100ミリ秒の間行った。図10の結果のグラフから分かるように、100ミリ秒後、本発明による流路におけるキャビティーは、実質的に空であったが、特許文献7の装置のキャビティーは、粉末の元の質量の90%以上が残っていた。シミュレーションが延長されれば、後により多くの粉末が特許文献7の装置において気流に引き込まれ得るが、この実施例は、本発明による装置または流路におけるキャビティーを空にする速度が、特許文献7のキャビティーを空にする速度よりも格段に速いことを少なくとも実証した。吸入器の分野では、通常は、可能な限り短時間で粉末を引き込むことが望ましいと考えられている。
【0117】
実施例4
図11aと図11bとを参照すると、本発明による流路が示されている。実施例2で参照したCFDモデルにおけるキャビティーの様々な寸法を変更した。これらの寸法は、図11aと図11b、および以下の表3にも示されている。図11bに、フィレット半径が207で示され、図11aに、後半径が203、前(下流)半径が204、長さが201、深さが202で示されている。図11bに、後の幅の半分が205、前の幅の半分が206で示されている。キャビティーの上を通る流路は210で示され、キャビティーは211で示されている。流れの方向は、矢印Fで示されている。キャビティーの1つの代替形状が、図11cと図11dとに示され、一致する参照番号は、形状の等しい機能構造を示している。合計6つのデザインを試験した。
【0118】
実施例1および2と同じソフトウエアを用いて分析を行った。このモデルは、撹拌部(図11aでは参照番号212)を備えていた。各形状について、キャビティーの下半分における平均表面せん断応力を計算した。この結果を以下の表3に示す。
【0119】
表3
【0120】
この結果から、キャビティーの形状の変更が、平均せん断応力に有意な影響を与え得ることが分かる。デザインAは、図11aと図11bとに示されている。これは、図9にも示されているデザインである。このデザインは、キャビティーの物理的モデルにおける粉末の流れの高速画像化を用いて開発した。この形状は、全体の割合(長さ、深さ、幅)がほぼ等しい単純な立方形よりもキャビティーをかなり良好に空にすると判断した。しかしながら、表3に示されているCFDの結果は、形状をさらに改良することによってかなり良好な性能が可能であることを予期せず示している。
【0121】
デザインAを変更して平面図におけるアスペクト比を増加させる、すなわち幅に対する長さを増加させると、キャビティーの下半分における表面せん断応力が実質的に増大するようである。さらに、前の半径(すなわち、下流の半径)を大きくすると、著しい効果が得られるようである。これらの変更は、例えば、図11cと図11dとに示されているデザインBで確認することができる。
【0122】
キャビティーの形状の最適化の研究は継続しているが、現在では、最高の形状は、1.75mm〜2.25mmの前の半径と後の半径との両方を有すると考えられる。
【0123】
実施例5
実施例4のデザインA、B、C、およびFの物理的プロトタイプを、高速プロトタイプ作成技術によって作成した。次いで、これらのモデルを、一方は非常に排出しにくく、他方はそれほど排出しにくくない2つの異なる粉末製剤で満たして試験した。各デザインに1.5kPaの圧力をかけて、非常に弱い人間の患者の吸入に等しい、プロトタイプを通る気流を生じさせた。キャビティーに残った活性薬剤成分(API)の質量百分率として表される空にする数値を、各デザインに対して決定した。
【0124】
この結果が図12に示されている。影付きの棒は、排出しにくい製剤の結果を示し、影の付いていない棒は、それほど排出しにくくない製剤の結果を示している。API粉末の残存率の著しい減少は、デザインAとデザインBとの間で見られ、表3のCFDの結果に一致している。しかしながら、デザインCのCFDの計算における平均表面せん断応力の値がデザインBよりも高いという事実にもかかわらず、残存率の増加が、デザインBからデザインCで見られた。デザインFは、CFDの計算から表面せん断応力がより高いが、デザインBに大まかに類似した残存率を示した。
【0125】
本発明者らは、デザインCおよびF、特にデザインCの物理的プロトタイプが下手に作成され、これが、デザインBと比較して残存率が増加した主な理由であると考えている。表3から、デザインCおよびFは(実際は、デザインDおよびEも)、「逆テーパー形」を有し、これらの上流端部は、下流端部よりも広く、この形状は、現在の複数回投与吸入器デザインに適していない(以下の第3の実施形態の説明を参照)ことが分かる。この理由から、デザインC〜Fを用いた研究が、少なくとも現在は停止されており、デザインBに注意が向けられている。しかしながら、適切に製造されて充填されれば、デザインC〜Fは、デザインBよりも粉末の残存率が低いと、なお本発明者らは考えている。これらの「逆テーパー形」デザイン(C〜F)は、異なるデザインの吸入器でも有用であり得る。
【0126】
実施例6
実施例5の試験と同様の試験を、デザインAおよびBのプロトタイプを用いて、9つの異なる標準粉末製剤と実験用粉末製剤とを使用して行った。
【0127】
図13は、デザインAおよびBのキャビティーにおける粉末の残存率のプロットを示している。図から分かるように、各製剤に対して、デザインBは、低めの粉末残存率を示した。
【0128】
両方のキャビティーの形状で、流路の部分にわたる圧力低下が1.5kPaであった。元のデザインのキャビティーの下半分における平均表面せん断応力(実施例4で計算)は2.08Paであり、第2の形状(実施例4による)の同じ数値は3.46kPaであった。本発明者らは、この結果が、キャビティーの下半分における平均表面せん断応力が空にする効率に相関するという仮説を裏付けていると考えている。
【0129】
実施例7
装置の性能に対する流路の高さの影響を評価するために、本発明による装置の僅かに異なる流路のコンピュータモデルを作成した。通路の高さが1.5mmのモデルと通路の高さが10mmのモデルとがそれぞれ、図14aと図14bおよび図15aと図15bに示されている。通路の幅は、各モデルとも同じであり、下流方向に僅かに広がっており、最も狭い点で3.1mmで、最も広い点で5.1mmであった。流路52の上流部53は、平らな「底部」54(すなわち、キャビティーが形成されている流路の壁)を有するようにデザインが変更されていた。この理由は、「天井」の高さ(すなわち、「底部」から反対側の壁までの距離55)が増大するモデルで傾斜した底部が続いていると、流れが、上方に案内され、流路の底部から離れることを見出したためである。上流の流路の傾斜は、キャビティーの上の流路の高さが低い(例えば、約1.5mm)の場合は比較的影響が小さいが、本発明者らは、増加する流路の高さの影響は、流路が、キャビティー開口を横断するように流れを案内し続ける(開口から離れる方向に案内するのとは対照的)場合にのみ、正確な評価を行うことができると考えている。
【0130】
多数の異なる流路の高さがモデル化され、それぞれがデザインAのキャビティー51を備えていた(上記の実施例5および6を参照)。
【0131】
CFDの計算は、いずれのケースでも、通路を通過する25L/分の体積流量に基づいて行った。キャビティーの下半分の平均表面せん断応力は、いずれのケースでも、実施例1および2で使用したソフトウエアと同じソフトウエアを用いて、同じ定義を適用して計算した。この結果を、以下の表4に示す。
【0132】
表4
【0133】
表から分かるように、流路の高さの増加の結果として、キャビティーの下半分における平均表面せん断応力が大幅に低下している。本発明者らは、これは、主に、キャビティーを横断する気流の速度の低下によるものであると考えている。
【0134】
現行のデザインでは、許容差を妥当な範囲内に維持し、かつ製造が容易な装置を有するために、流路の高さは1.5mmである。しかしながら、装置の空にする効率をさらに上げる必要がある場合には、流路の高さをさらに低くすることによって容易にこれを達成できると本発明者らは考えている。1mm、さらには0.5mmの流路の高さも考えられる。
【0135】
これらの結果を補間すると、高さが4mmの流路のキャビティーの下半分における平均表面せん断応力値は、グラフの3mmの値と5mmの値との間に引かれた直線に基づくと約0.5Paであろう。これは、等しい条件下で、特許文献7の装置で生成される表面せん断応力値に対してかなりの改善を表している。
【0136】
実施例8
単純な立方形キャビティーとカプセル形キャビティーとのCFDによる検討を行い、立方形キャビティーが、カプセル形キャビティーよりも有望な結果を示すことが分かった。空にする速度は、カプセル形キャビティーでやや遅いことが分かっている。立方形キャビティー内の流れは、実質的に2次元であることが分かっているが、カプセル形キャビティー内の流れは、3次元であることが分かっている。カプセル形キャビティー内の3次元の流れは、キャビティーの中心線の下流とその近傍で粒子密度が高くなることが分かっている。主な差は、円筒流パターンを促進する能力においてである。
【0137】
カプセル形キャビティーは、円筒流パターンの生成を許容しないと考えられる。
【0138】
ここで、本発明を限定するものではない多数の実施形態を図1〜図6と図16を参照して説明する。
【0139】
本発明の第1の実施形態は、図4に概略的に示されている。これは、複数回投与吸入装置であり、使用者が、この装置から粉末形態である薬物を服用量吸入することができる。装置1は、ハウジング23とマウスピース3とを備えている。マウスピース3は、マウスピースカバー24の線形運動によって露出させることができる。この実施形態の変更形態(不図示)では、マウスピースカバーは、ハウジングによって枢動可能に支持されている。
【0140】
本発明に関連した、装置1の内部の必須の部品は、図1と、図3と、図4と、図5とに示されている。ハウジング23の内部は、複数のキャビティー5を備えたディスク形構造18である。キャビティーディスク18は、キャビティー・ディスク・ホルダー19内に回転可能に支持されている。キャビティー5は、ディスクの外周部に環状パターンで配置されている。ディスク18は、大きい中心孔26を有し、この孔26は、吸入のたびにディスクを回転させて新たなキャビティーを露出させる機構(不図示)と空気吸入口の通路(不図示)とを含む吸入装置の他の構成要素を収容する。別個の流路(不図示)が、各キャビティー5の上に設けられ、ディスク18の上面25が、流路の下面を形成する。
【0141】
図1は、第1の実施形態のキャビティー5と近接した流路4とを概略的に示している。流路の高さは、13で示されている。キャビティー5は、立方形であり、キャビティー開口20は、キャビティー5の側面が流路の下側壁または「底部」7と交差しているリム6を有する。キャビティーは、薬物粉末2を含んでいる。キャビティーは、そのキャビティー5内での円筒気流パターンを可能にする形状であると有利である。キャビティー内の円筒流パターンは、キャビティーのほぼ中心において、流れの方向に対して直角な軸の周りに発生する。キャビティーの側面は、底部7に対して垂直である。
【0142】
ここで、図1と図3とを参照して、装置1の全機能を詳細に説明する。流路4の一部は、平らな底部7(すなわち、装置が正常な向きにあるときの流路の下側壁)を有する。底部7は、粉末含有キャビティー5に開口した開口20を有する。気流が、流路に沿った流れ方向Fに開口20を横断すると、せん断誘導キャビティー流の現象によってキャビティー5内に円筒循環流が発生する。粉末粒子は、このエネルギーの大きいやや乱流の循環流で撹拌され、キャビティーの側面に衝当もする。エネルギーの大きい流れの中に粒子の引き込まれることとキャビティー5の側面への粒子の衝当との両方が、分散化に寄与し、製剤が吸入に適した状態になると考えられる。本発明者らは、循環流に引き込まれる粉末粒子は、外側に飛ばされる(または、詳細には、流れに対して接線方向に移動する)傾向にあるため、キャビティーから出て、流路4の気流に引き込まれることになる。
【0143】
キャビティー5とキャビティー開口20とはそれぞれ、流路4の流れ方向Fにおいて5mmの長さ10を有する。キャビティーの深さ22も5mmである。
【0144】
キャビティー5の上部(すなわち、キャビティー開口の平面)から初期の状態における平らな粉末粒子層の上部との間の距離11は1mmである。この距離は、キャビティーのヘッドスペース11と呼ばれる。キャビティー内の粉末の深さは9で示されている。
【0145】
側断面では、キャビティーは正方形であり、キャビティーの内側の角が、本質的にシャープである、すなわち下側前(下流)縁16と下側後(上流)縁17がシャープである。第1の実施形態の変更形態(不図示)では、内側の角は、生成される循環流の回転運動をある程度案内するために約0.5mmの半径を有し得る。
【0146】
図3a〜図3dは、キャビティー5を空にするのを概略的に示している。患者の吸入(不図示)によって生じる圧力低下の影響で、空気が流路4に沿って移動する。吸入器全体では、この圧力低下は、2〜6kPaであろう。図3に示されている流路の部分における圧力低下は、0.5kPa〜5kPaであろう。
【0147】
図3aは、粉末が満たされたキャビティー5の初期の状態を示している。流路4に沿った気流が、流れ方向Fで始まり、キャビティー5が空になり始める。図3bでは、粉末2の一部が、キャビティー5を離れ、キャビティー5内での循環流の増大が始まり、これは、キャビティー5が下流端部で空になり始めることから分かる。図3cから分かるように、粉末レベルは、徐々に下方に、そして上流方向に侵食される。図3aの初期状態から図3dの最終状態になるまでにかかる時間は、流れの速度よび正確な粉末組成にもよるが、この実施形態での通常の時間は、恐らく約300ミリ秒である。
【0148】
ここで、本発明の第2の実施形態を図2を参照して説明する。第1の実施形態から変更された唯1つの態様は、キャビティーの形状である。この実施形態の参照数字は、等しい機能構造については第1の実施形態と同じである。
【0149】
第2の実施形態では、キャビティー5の平行な前壁と後壁とは、垂直方向(キャビティー開口に対して垂直)に対して鋭角をなしている。キャビティー開口20はなお、キャビティー5の近傍の流路4の流路底部7に整合している。流路4に対する壁の傾斜は、キャビティー内の循環流に引き込まれた粒子が流路4に逃げるのを困難にすると考えられる。したがって、本発明者らは、第2の実施形態では、薬物粉末2がエネルギーの大きい循環流に引き込まれて壁と接触/衝当する時間が増加するため、分散化の程度が増大し得ると考えている。他方、空になる時間は、第2の実施形態の方が長いであろう。図2では、キャビティーは、流れの方向(矢印F)に傾斜して示されているが、第2の実施形態の変更形態では、キャビティーを反対方向に傾斜させる、すなわち負の値となる図2の角度にすることができる。
【0150】
粉末が、下側の上流と下流の角/縁にキャビティーによって保持され得ることが分かった。これを解消するために、第2の実施形態では、キャビティー5の下側の前(下流)縁17は、約0.5mmの半径を有するが、下側の後(上流)縁16は、約1mmの半径を有する。
【0151】
ここで、複数回投与乾燥粉末吸入器30の一部の断面を示す図6を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。ハウジング部材31は、吸入器ハウジングの他の構成要素(不図示)と共に、吸入器の様々な構成要素を収容している。しかしながら、本発明に関係する構成要素のみが、図6に示されている。
【0152】
キャビティーディスク32は、多数の粉末含有キャビティー33を有する。使用の際は、第1の実施形態と同様に、装置の縁に配置されたマウスピース(不図示)に個々のキャビティーを整合させるために、ディスク32が回転する。図6に示されていない構成要素の中には、キャビティーディスクを支持して前進させるための機構が含まれる。
【0153】
初期の状態では密封部材36によってキャビティーを密封している蓋部材35が、各キャビティー33に付随している。空気吸入口34が、ケーシング31に設けられており、患者がマウスピースを介して吸入すると、この吸入口34から空気が吸引される。空気は、図6の矢印Bで示されている経路に沿って装置内を流れる。気流が装置に進入すると、その時点でマウスピースに整合しているキャビティーに関連した蓋部材35の引き上げが開始される。開始と蓋引き上げ機構とは、図6には図示されていない。
【0154】
図6の左側の蓋部材35は、開いた位置で示されている。蓋部材35は、現在開いているキャビティー33の上部を横断する通路37の上壁、すなわち天井となっていることが分かるであろう。流路の下壁、すなわち底部は、キャビティーディスク32の上面によって形成されている。流路37の側壁は、開いた蓋部材35の両側の閉じている蓋部材35によって形成されている。閉じた蓋部材35は、例として図6の右側に示されているが、ディスク32の全外周部に多数の閉じた蓋部材35が存在することを理解されたい。この実施形態の変更形態では、流路37の側壁は、蓋部材35間に延在する別個の壁部材(不図示)によって形成しても良い。
【0155】
上記の記載から分かるように、キャビティー33は、キャビティーの開口を横断する流路37を気流が通過するとほぼ同時に開く。かなり概略的に39で示されている循環流は、せん断誘導キャビティー流の現象によってキャビティー内に誘導される。キャビティー内の粉末38が循環流39に引き込まれ、この時に粉末38が分散化され、続いて分散化された粉末が、流路37を通る気流に引き込まれ、マウスピースを介して患者に送られる。
【0156】
各キャビティーは、流れ方向の長さが4.5mmであり、深さが5mmであり、流れ方向にテーパー(平面図において)であり、平均幅が2.3mmである。キャビティーは、2.5mmの深さまで粉末で満たされ、2.5mmのヘッドスペースが残されている。円筒循環流の発生を助けるためにキャビティーの上流の下縁に大きい半径(2mm)が設けられている。小さい1mmの半径が、下流の下縁に設けられている。
【0157】
本装置は、上方を向いたキャビティー開口に使用することを目的とする。しかしながら、キャビティーは、装置内に気流が既に存在するときに限り開くため、粉末が重力によってキャビティーから落ちる機会を得る前に、循環せん断誘導流がキャビティー内に誘導されると考えられる。実際、装置の性能は、向きに殆ど無関係であることが分かっている。
【0158】
第3の実施形態の変更形態では、キャビティーは、デザインB(実施例4を参照されたい)の形状を有する。この形状のキャビティーを有する、変更された第3の実施形態のキャビティーディスクは、図16に示されている。参照番号は、図6の参照番号に対応している。
【0159】
本発明の第4の実施形態(不図示)は、入口とマウスピースとを備えた単純な円筒プラスチックケース内に薬物粉末が入った1つのキャビティーを含む単回吸入装置である。キャビティーは、第3の実施形態のキャビティーの1つと同じ形状を有し、キャビティーの上の流路は、同じ寸法を有する。流路は、空気吸入口とマウスピースとに連通している。蓋部材の代わりに、キャビティーは、吸入器のハウジングの外部に延在する、引き剥がすことができるホイルストリップで密封されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置であって、流路(4;37;42;52;210)と、開口(20)を有する粉末貯蔵キャビティー(5;33;41;51;211)とを備え、前記キャビティー開口が、前記流路の壁(7;54)に存在し、前記流路が、前記キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、(i)前記キャビティー開口が、長方形または台形などの四角形の形状を有し、(ii)流れ方向(F)における前記キャビティー開口の長さ(201)が、(i)前記キャビティーの深さ(202)の50%〜150%であり、かつ(iii)前記流れ方向における前記キャビティーの最大長さの少なくとも80%である、装置。
【請求項2】
前記キャビティー開口(20)が、0.001mm〜0.5mm、好ましくは0.01mm〜0.3mmのフィレット半径を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記開口(20)が、1.5〜4.0、好ましくは1.8〜3.5、より好ましくは2.6〜3.2の範囲のアスペクト比を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記流れ方向(F)における前記キャビティー開口の前記長さ(201)が、前記キャビティーの深さ(202)の105%〜140%、好ましくは110%〜135%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記キャビティーの近傍の前記流路(4;37;42;52;210)の最大高さが、0.5mm〜4mm、好ましくは0.5mm〜3mm、より好ましくは1mm〜2mmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記流路(4;37;42;52;210)が、前記キャビティー開口を横断する実質的に単一方向の流れを発生させるように配置されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記キャビティーの領域における前記流路(4;37;42;52;210)の最大幅が、2mm〜6mmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記流れ方向に対する前記キャビティー(5;33;41;51;211)の下側の前縁および/または後縁(17、16)が、0.5mm〜3mm、好ましくは1.5mm〜2.5mm、より好ましくは1.75mm〜2.25mmの半径を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
流れを乱す部材(44、212)が、流路壁から突出し、前記流れを乱す部材が、その最も上流部が、前記キャビティー(5;33;41;51;211)の1mm〜20mm、好ましくは2mm〜10mm、より好ましくは3mm〜7mm上流に位置していることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記流れを乱す部材(44;212)が、前記キャビティー開口が形成されている壁から突出していることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記キャビティー(33)が閉じている第1の位置と前記キャビティーが開いている第2の位置との間で移動可能であり、かつ前記流路(37)の境界の一部を構成する蓋部材(35)が、前記キャビティーに付随していることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記キャビティーの下流で、第2の粉末貯蔵キャビティーが、前記流路に開口していることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
複数の流路(37)が、円の外周部に配置され、前記流路が、前記流れ方向が前記円に対して径方向であるように配置され、少なくとも1つの前記粉末貯蔵キャビティー(33)が、前記各流路に位置していることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記1つまたは複数のキャビティー内に薬物粉末(38)が充填されている、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記薬物粉末が、モメタゾン、臭化イプラトロピウム、チオトロピウムおよびその塩、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、レプロテロール、クレンブテロール、ロフレポニドおよび塩、ネドクロミル、クロモグリク酸ナトリウム、フルニソリド、ブデソニド、フマル酸フォルモテロール二水和物、テルブタリン、硫酸テルブタリン、サルブタモール塩基および硫酸塩、フェノテロール、3−[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−3H−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチルアミノ]−N−[2−[2−(4−メチルフェニル)エトキシ]エチル]プロパンスルホンアミド、塩酸塩、インダカテロール、臭化アクリジニウム、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、二臭化水素酸塩);N−シクロヘキシル−N3−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩);[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えば、ヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩);またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される活性成分を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための装置であって、(a)1つの開口を有する粉末貯蔵キャビティー(33)と、(b)前記キャビティーが閉じている第1の位置と前記キャビティーが開いている第2の位置との間で移動可能な蓋部材(35)とを備え、前記蓋部材が前記第2の位置にあるときは、前記蓋部材が流路(37)の境界の一部を構成し、前記キャビティー開口が、前記流路の壁に存在し、前記流路が、前記キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、(i)前記キャビティー開口が、長方形または台形などの四角形の形状を有し、(ii)流れ方向における前記キャビティー開口の長さが、前記キャビティーの深さの50%〜150%である、装置。
【請求項17】
前記キャビティーの下流で、第2の粉末貯蔵キャビティーが、前記流路(37)に開口し、前記第2のキャビティーが、前記蓋部材(35)が前記第1の位置にあるときは閉じ、前記蓋部材が前記第2の位置にくると開くことを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記1つまたは複数のキャビティー内に薬物粉末(38)が充填されている、請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記薬物粉末が、モメタゾン、臭化イプラトロピウム、チオトロピウムおよびその塩、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、レプロテロール、クレンブテロール、ロフレポニドおよび塩、ネドクロミル、クロモグリク酸ナトリウム、フルニソリド、ブデソニド、フマル酸フォルモテロール二水和物、テルブタリン、硫酸テルブタリン、サルブタモール塩基および硫酸塩、フェノテロール、3−[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−3H−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチルアミノ]−N−[2−[2−(4−メチルフェニル)エトキシ]エチル]プロパンスルホンアミド、塩酸塩、インダカテロール、臭化アクリジニウム、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、二臭化水素酸塩);N−シクロヘキシル−N3−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩);[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えば、ヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩);またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される活性成分を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置であって、流路(4;37;42;52;210)と、開口(20)を有する粉末貯蔵キャビティー(5;33;41;51;211)とを備え、前記キャビティー開口が、前記流路の壁(7;54)に存在し、前記流路が、前記キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向(F)における前記キャビティー開口の長さ(201)が、(i)前記キャビティーの深さ(202)の50%〜150%であり、かつ(ii)前記流れ方向における前記キャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、前記キャビティーの近傍の前記流路が、1mm2〜20mm2、好ましくは3mm2〜10mm2の範囲の断面積を有することを特徴とする、装置。
【請求項21】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置であって、流路(4;37;42;52;210)と、唯1つの開口(20)を有する粉末貯蔵キャビティー(5;33;41;51;211)とを備え、前記キャビティー開口が、前記流路の壁(7;54)に存在し、前記流路が、前記キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向(F)における前記キャビティー開口の長さ(201)が、前記キャビティーの深さ(202)の50%〜150%であり、前記キャビティーの近傍の前記流路が、1mm2〜20mm2、好ましくは3mm2〜10mm2の範囲の断面積を有することを特徴とする、装置。
【請求項22】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置であって、流路(4;37;42;52;210)と、唯1つの開口(20)を有する粉末貯蔵キャビティー(5;33;41;51;211)とを備え、前記キャビティー開口が、前記流路の壁(7;54)に存在し、前記流路が、前記キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向(F)における前記キャビティー開口の長さ(201)が、前記キャビティーの深さ(202)の50%〜150%であり、前記キャビティーのすぐ近傍の前記流路の最大高さが、0.5mm〜4mmであることを特徴とする、装置。
【請求項23】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法であって、請求項1〜22のいずれか1項に記載の装置の粉末含有キャビティー(5;33;41;51;211)の前記開口(20)を、空気の流れを横断させるステップを含む、方法。
【請求項24】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法であって、粉末含有キャビティー(5;33;41;51;211)の前記開口(20)を、空気の流れを横断させるステップを含み、流れ方向(F)における前記キャビティー開口の長さ(201)が、(i)前記キャビティーの深さ(202)の50%〜150%であり、かつ(ii)前記流れ方向における前記キャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、前記キャビティー開口のすぐ近傍の流速が、少なくとも15m/sであることを特徴とする、方法。
【請求項25】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法であって、唯1つの開口を有する粉末含有キャビティー(5;33;41;51;211)の前記開口(20)を、空気の流れを横断させるステップを含み、前記キャビティー開口が、前記キャビティーの深さの50%〜150%の流れ方向における長さを有し、前記キャビティー開口のすぐ近傍の流速が、少なくとも15m/sであることを特徴とする、方法。
【請求項26】
前記キャビティー開口のすぐ近傍の流速が、少なくとも20m/s、好ましくは少なくとも20m/s、より好ましくは少なくとも30m/s、さらに好ましくは少なくとも40m/s、または実に50m/sであることを特徴とする、請求項23〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
ディスペンス後の前記キャビティーにおける残存粉末が、ディスペンス前の前記キャビティーにおける粉末の総質量の0.1質量%〜10質量%、好ましくは1質量%〜8質量%、より好ましくは1質量%〜5質量%であることを特徴とする、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記キャビティーの下半分における平均表面せん断応力が、少なくとも0.5Pa、好ましくは少なくとも1Pa、より好ましくは少なくとも1.5Paであることを特徴とする、請求項23〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記キャビティーの下半分における平均乱流運動エネルギーが、少なくとも3m2/s2、好ましくは少なくとも4m2/s2、より好ましくは少なくとも5m2/s2であることを特徴とする、請求項23〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記キャビティーの下半分における平均渦度が、少なくとも2,000 1/s、好ましくは少なくとも4,000 1/s、より好ましくは少なくとも10,000 1/sである、ことを特徴とする、請求項23〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記キャビティーの下半分における平均流速が、少なくとも1.5m/s、好ましくは少なくとも3m/s、より好ましくは少なくとも4m/sであることを特徴とする、請求項23〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記キャビティー内の流れが、せん断誘導キャビティー流の現象のみによって生じることを特徴とする、請求項23〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記薬物粉末が、モメタゾン、臭化イプラトロピウム、チオトロピウムおよびその塩、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、レプロテロール、クレンブテロール、ロフレポニドおよび塩、ネドクロミル、クロモグリク酸ナトリウム、フルニソリド、ブデソニド、フマル酸フォルモテロール二水和物、テルブタリン、硫酸テルブタリン、サルブタモール塩基および硫酸塩、フェノテロール、3−[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−3H−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチルアミノ]−N−[2−[2−(4−メチルフェニル)エトキシ]エチル]プロパンスルホンアミド、塩酸塩、インダカテロール、臭化アクリジニウム、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、二臭化水素酸塩);N−シクロヘキシル−N3−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩);[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えば、ヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩);またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される活性成分を含むことを特徴とする、請求項23〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の装置に使用する交換用マガジンであって、薬物粉末が充填された1つまたは複数のキャビティーを備えた、交換用マガジン。
【請求項35】
乾燥粉末吸入器用のキャビティーディスク(32)であって、前記ディスク上に環状パターンに配置された複数の粉末含有キャビティー(33)を備え、前記各キャビティーが、除去可能なシールまたは蓋(35)によって覆われ得る台形の開口を有し、前記各キャビティーが、前記キャビティーの深さの50%〜150%である径方向における長さを有する、キャビティーディスク。
【請求項36】
前記各キャビティー(33)の径方向における前記長さが、前記径方向における前記キャビティーの最大長さの少なくとも80%である、請求項35に記載のキャビティーディスク。
【請求項37】
流れ方向に対する前記キャビティー(33)の下側の前縁および/または後縁が、0.5mm〜3mm、好ましくは1.5mm〜2.5mm、より好ましくは1.75mm〜2.25mmの半径を有する、請求項35または36に記載のキャビティーディスク。
【請求項1】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置であって、流路(4;37;42;52;210)と、開口(20)を有する粉末貯蔵キャビティー(5;33;41;51;211)とを備え、前記キャビティー開口が、前記流路の壁(7;54)に存在し、前記流路が、前記キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、(i)前記キャビティー開口が、長方形または台形などの四角形の形状を有し、(ii)流れ方向(F)における前記キャビティー開口の長さ(201)が、(i)前記キャビティーの深さ(202)の50%〜150%であり、かつ(iii)前記流れ方向における前記キャビティーの最大長さの少なくとも80%である、装置。
【請求項2】
前記キャビティー開口(20)が、0.001mm〜0.5mm、好ましくは0.01mm〜0.3mmのフィレット半径を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記開口(20)が、1.5〜4.0、好ましくは1.8〜3.5、より好ましくは2.6〜3.2の範囲のアスペクト比を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記流れ方向(F)における前記キャビティー開口の前記長さ(201)が、前記キャビティーの深さ(202)の105%〜140%、好ましくは110%〜135%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記キャビティーの近傍の前記流路(4;37;42;52;210)の最大高さが、0.5mm〜4mm、好ましくは0.5mm〜3mm、より好ましくは1mm〜2mmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記流路(4;37;42;52;210)が、前記キャビティー開口を横断する実質的に単一方向の流れを発生させるように配置されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記キャビティーの領域における前記流路(4;37;42;52;210)の最大幅が、2mm〜6mmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記流れ方向に対する前記キャビティー(5;33;41;51;211)の下側の前縁および/または後縁(17、16)が、0.5mm〜3mm、好ましくは1.5mm〜2.5mm、より好ましくは1.75mm〜2.25mmの半径を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
流れを乱す部材(44、212)が、流路壁から突出し、前記流れを乱す部材が、その最も上流部が、前記キャビティー(5;33;41;51;211)の1mm〜20mm、好ましくは2mm〜10mm、より好ましくは3mm〜7mm上流に位置していることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記流れを乱す部材(44;212)が、前記キャビティー開口が形成されている壁から突出していることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記キャビティー(33)が閉じている第1の位置と前記キャビティーが開いている第2の位置との間で移動可能であり、かつ前記流路(37)の境界の一部を構成する蓋部材(35)が、前記キャビティーに付随していることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記キャビティーの下流で、第2の粉末貯蔵キャビティーが、前記流路に開口していることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
複数の流路(37)が、円の外周部に配置され、前記流路が、前記流れ方向が前記円に対して径方向であるように配置され、少なくとも1つの前記粉末貯蔵キャビティー(33)が、前記各流路に位置していることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記1つまたは複数のキャビティー内に薬物粉末(38)が充填されている、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記薬物粉末が、モメタゾン、臭化イプラトロピウム、チオトロピウムおよびその塩、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、レプロテロール、クレンブテロール、ロフレポニドおよび塩、ネドクロミル、クロモグリク酸ナトリウム、フルニソリド、ブデソニド、フマル酸フォルモテロール二水和物、テルブタリン、硫酸テルブタリン、サルブタモール塩基および硫酸塩、フェノテロール、3−[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−3H−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチルアミノ]−N−[2−[2−(4−メチルフェニル)エトキシ]エチル]プロパンスルホンアミド、塩酸塩、インダカテロール、臭化アクリジニウム、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、二臭化水素酸塩);N−シクロヘキシル−N3−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩);[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えば、ヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩);またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される活性成分を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための装置であって、(a)1つの開口を有する粉末貯蔵キャビティー(33)と、(b)前記キャビティーが閉じている第1の位置と前記キャビティーが開いている第2の位置との間で移動可能な蓋部材(35)とを備え、前記蓋部材が前記第2の位置にあるときは、前記蓋部材が流路(37)の境界の一部を構成し、前記キャビティー開口が、前記流路の壁に存在し、前記流路が、前記キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、(i)前記キャビティー開口が、長方形または台形などの四角形の形状を有し、(ii)流れ方向における前記キャビティー開口の長さが、前記キャビティーの深さの50%〜150%である、装置。
【請求項17】
前記キャビティーの下流で、第2の粉末貯蔵キャビティーが、前記流路(37)に開口し、前記第2のキャビティーが、前記蓋部材(35)が前記第1の位置にあるときは閉じ、前記蓋部材が前記第2の位置にくると開くことを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記1つまたは複数のキャビティー内に薬物粉末(38)が充填されている、請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記薬物粉末が、モメタゾン、臭化イプラトロピウム、チオトロピウムおよびその塩、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、レプロテロール、クレンブテロール、ロフレポニドおよび塩、ネドクロミル、クロモグリク酸ナトリウム、フルニソリド、ブデソニド、フマル酸フォルモテロール二水和物、テルブタリン、硫酸テルブタリン、サルブタモール塩基および硫酸塩、フェノテロール、3−[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−3H−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチルアミノ]−N−[2−[2−(4−メチルフェニル)エトキシ]エチル]プロパンスルホンアミド、塩酸塩、インダカテロール、臭化アクリジニウム、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、二臭化水素酸塩);N−シクロヘキシル−N3−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩);[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えば、ヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩);またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される活性成分を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置であって、流路(4;37;42;52;210)と、開口(20)を有する粉末貯蔵キャビティー(5;33;41;51;211)とを備え、前記キャビティー開口が、前記流路の壁(7;54)に存在し、前記流路が、前記キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向(F)における前記キャビティー開口の長さ(201)が、(i)前記キャビティーの深さ(202)の50%〜150%であり、かつ(ii)前記流れ方向における前記キャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、前記キャビティーの近傍の前記流路が、1mm2〜20mm2、好ましくは3mm2〜10mm2の範囲の断面積を有することを特徴とする、装置。
【請求項21】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置であって、流路(4;37;42;52;210)と、唯1つの開口(20)を有する粉末貯蔵キャビティー(5;33;41;51;211)とを備え、前記キャビティー開口が、前記流路の壁(7;54)に存在し、前記流路が、前記キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向(F)における前記キャビティー開口の長さ(201)が、前記キャビティーの深さ(202)の50%〜150%であり、前記キャビティーの近傍の前記流路が、1mm2〜20mm2、好ましくは3mm2〜10mm2の範囲の断面積を有することを特徴とする、装置。
【請求項22】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための乾燥粉末吸入装置であって、流路(4;37;42;52;210)と、唯1つの開口(20)を有する粉末貯蔵キャビティー(5;33;41;51;211)とを備え、前記キャビティー開口が、前記流路の壁(7;54)に存在し、前記流路が、前記キャビティー開口を横断するように空気の流れを案内するように配置され、流れ方向(F)における前記キャビティー開口の長さ(201)が、前記キャビティーの深さ(202)の50%〜150%であり、前記キャビティーのすぐ近傍の前記流路の最大高さが、0.5mm〜4mmであることを特徴とする、装置。
【請求項23】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法であって、請求項1〜22のいずれか1項に記載の装置の粉末含有キャビティー(5;33;41;51;211)の前記開口(20)を、空気の流れを横断させるステップを含む、方法。
【請求項24】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法であって、粉末含有キャビティー(5;33;41;51;211)の前記開口(20)を、空気の流れを横断させるステップを含み、流れ方向(F)における前記キャビティー開口の長さ(201)が、(i)前記キャビティーの深さ(202)の50%〜150%であり、かつ(ii)前記流れ方向における前記キャビティーの最大長さの少なくとも80%であり、前記キャビティー開口のすぐ近傍の流速が、少なくとも15m/sであることを特徴とする、方法。
【請求項25】
1回投与量の薬物粉末を輸送する気流をディスペンスするための方法であって、唯1つの開口を有する粉末含有キャビティー(5;33;41;51;211)の前記開口(20)を、空気の流れを横断させるステップを含み、前記キャビティー開口が、前記キャビティーの深さの50%〜150%の流れ方向における長さを有し、前記キャビティー開口のすぐ近傍の流速が、少なくとも15m/sであることを特徴とする、方法。
【請求項26】
前記キャビティー開口のすぐ近傍の流速が、少なくとも20m/s、好ましくは少なくとも20m/s、より好ましくは少なくとも30m/s、さらに好ましくは少なくとも40m/s、または実に50m/sであることを特徴とする、請求項23〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
ディスペンス後の前記キャビティーにおける残存粉末が、ディスペンス前の前記キャビティーにおける粉末の総質量の0.1質量%〜10質量%、好ましくは1質量%〜8質量%、より好ましくは1質量%〜5質量%であることを特徴とする、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記キャビティーの下半分における平均表面せん断応力が、少なくとも0.5Pa、好ましくは少なくとも1Pa、より好ましくは少なくとも1.5Paであることを特徴とする、請求項23〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記キャビティーの下半分における平均乱流運動エネルギーが、少なくとも3m2/s2、好ましくは少なくとも4m2/s2、より好ましくは少なくとも5m2/s2であることを特徴とする、請求項23〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記キャビティーの下半分における平均渦度が、少なくとも2,000 1/s、好ましくは少なくとも4,000 1/s、より好ましくは少なくとも10,000 1/sである、ことを特徴とする、請求項23〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記キャビティーの下半分における平均流速が、少なくとも1.5m/s、好ましくは少なくとも3m/s、より好ましくは少なくとも4m/sであることを特徴とする、請求項23〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記キャビティー内の流れが、せん断誘導キャビティー流の現象のみによって生じることを特徴とする、請求項23〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記薬物粉末が、モメタゾン、臭化イプラトロピウム、チオトロピウムおよびその塩、サルメテロール、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、レプロテロール、クレンブテロール、ロフレポニドおよび塩、ネドクロミル、クロモグリク酸ナトリウム、フルニソリド、ブデソニド、フマル酸フォルモテロール二水和物、テルブタリン、硫酸テルブタリン、サルブタモール塩基および硫酸塩、フェノテロール、3−[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−3H−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチルアミノ]−N−[2−[2−(4−メチルフェニル)エトキシ]エチル]プロパンスルホンアミド、塩酸塩、インダカテロール、臭化アクリジニウム、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−3−[2−(1−ナフチル)エトキシ]プロパンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、二臭化水素酸塩);N−シクロヘキシル−N3−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N−(2−{[2−(4−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7−イル)エチル]アミノ}エチル)−β−アラニンアミドまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、ジ−D−マンデル酸塩);[2−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−エチル]−[2−((R)−シクロヘキシル−ヒドロキシ−フェニル−メチル)−オキサゾール−5−イルメチル]−ジメチル−アンモニウム塩(例えば、ヘミ−ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩);(R)−1−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−3−((S)−2−フェニル−2−ピペリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−1−アゾニア−ビシクロ[2.2.2]オクタン塩(例えば、臭化物またはトルエンスルホン酸塩);またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される活性成分を含むことを特徴とする、請求項23〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の装置に使用する交換用マガジンであって、薬物粉末が充填された1つまたは複数のキャビティーを備えた、交換用マガジン。
【請求項35】
乾燥粉末吸入器用のキャビティーディスク(32)であって、前記ディスク上に環状パターンに配置された複数の粉末含有キャビティー(33)を備え、前記各キャビティーが、除去可能なシールまたは蓋(35)によって覆われ得る台形の開口を有し、前記各キャビティーが、前記キャビティーの深さの50%〜150%である径方向における長さを有する、キャビティーディスク。
【請求項36】
前記各キャビティー(33)の径方向における前記長さが、前記径方向における前記キャビティーの最大長さの少なくとも80%である、請求項35に記載のキャビティーディスク。
【請求項37】
流れ方向に対する前記キャビティー(33)の下側の前縁および/または後縁が、0.5mm〜3mm、好ましくは1.5mm〜2.5mm、より好ましくは1.75mm〜2.25mmの半径を有する、請求項35または36に記載のキャビティーディスク。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図15a】
【図15b】
【図16】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図15a】
【図15b】
【図16】
【公表番号】特表2012−531961(P2012−531961A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518513(P2012−518513)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050749
【国際公開番号】WO2011/002406
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050749
【国際公開番号】WO2011/002406
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】
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