説明

粉末ガラスで充填された難燃性ポリアミド組成物

【課題】粉末ガラスで充填された難燃性ポリアミド組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、特定の粒度分布、幾何形状およびサイズを有する非繊維質未発泡粉末ガラスをベースとする難燃性組成物に関し、同様に、本発明の組成物の製造および任意のタイプの製品、好ましくは繊維、箔および成形品を製造するためのその使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の粒度分布、幾何形状および任意にはサイズを有する非繊維質未発泡粉末ガラスをベースとする難燃性組成物に関する。同様に本発明は、本発明の組成物の製造および任意のタイプの製品、好ましくは繊維、箔および成形品を製造するためのその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
大部分のプラスチックには、助剤だけでなく充填材および補強材料が提供され、その目的は、処理、加工および使用中の挙動を修正することにある。充填材および補強材料は、剛性、強度、耐熱性および寸法安定性などの特性を改善し、熱膨張を削減する。
【0003】
エンジニアリングにおける組成物にとって特に重要な充填材および補強材料は、鉱物またはガラス製、詳細にはガラス繊維、中空または充填されたガラスビーズ、ガラスフレークまたはエキスパンデットつまり発泡ガラスの形で使用されるホウケイ酸ガラスまたはケイ酸塩ガラス製のものである。
【0004】
(特許文献1)および(特許文献2)は、成形品を目的とし熱可塑性樹脂として特にポリアミドを、そして充填材として粉末ガラスを含む材料を開示している。
【0005】
(特許文献3)、(特許文献4)および(特許文献5)は全て、とりわけ、詳細には有利にも包装材の外部層内に添加可能である無機粒子状物質としての粉末ガラスを伴う1つまたは複数の(コ)ポリアミドに基づく熱可塑性構成要素で作製された食品包装材において、無機粒子のd50中央結晶粒サイズが10μm超、好ましくは15〜100μmの範囲内、特に好ましくは20〜75μmの範囲内にある食品包装材に関するものである。
【0006】
(特許文献6)は、粉末ガラスを充填材として同様に添加できるポリアミドまたはポリエステル系の吸着剤粒子を伴う粉末調合物について開示している。
【0007】
(特許文献7)は、タルクまたはガラスフレークなどの等方性充填材も添加して寸法安定性および反りを改善することのできる、半芳香族ポリアミド系の熱伝導性成分について開示している。
【0008】
しかしながら、ポリアミドなどの可燃性熱可塑性樹脂内での充填剤および補強材料の使用に付随する周知の欠点は、防火性能、詳細には自己消火性能に対する不利な効果にあり、結果として、UL94にしたがったまたはIEC60695−2−12(GWFI)グローワイヤー試験における特定の耐火分類を達成するためには難燃剤を使用するためのコストの増大が必要となる。
【0009】
一例を挙げると、(特許文献8)および(特許文献9)は、機械的特性および寸法安定性を最適化するために直径が1000μm未満で縦横比が5を超える粉末ガラスおよび/またはガラスフレークなどの非繊維質無機充填材および繊維質補強材料で構成された混合物が添加されるものの、難燃性に関しては結果として全く利点のない、とりわけポリエーテルイミド系の組成物について記載している。
【0010】
(特許文献10)は、難燃性パッケージおよびガラス繊維および/またはガラスフレークをベースとする無機充填材を伴う難燃性樹脂組成物について記載している。しかしながら、ここでは、充分な難燃効果(例えばUL94V−0)は、窒素含有環式化合物のみならずPPOおよび/またはPPSおよびリンエステルをも必要とする複雑な難燃性パッケージと同様に、滴下防止性能を改善するために特定のノボラックエポキシサイズ剤を具備している必要のある無機充填材を用いなければ達成できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第10329583A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10334875A1号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102004005642A1号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102004017350A1号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102004038162A1号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第102009022893A1号明細書
【特許文献7】国際公開第2006/135840A1号パンフレット
【特許文献8】国際公開第03/087226A1号パンフレット
【特許文献9】米国特許公開第2005/131105明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第1452567A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって本発明の目的は、匹敵する量の難燃剤について、従来のガラスおよび鉱物ベースの充填材および補強材料よりも自己消火性能に対する不利な効果が少ない充填材および補強材料を熱可塑性ポリアミド用に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
意外にも、以下でさらに詳述されている形態での非繊維質未発泡粉末ガラスをポリアミド系の組成物中で使用した場合、難燃剤の量が同程度であるならば、従来のガラスまたは鉱物ベースの充填材および補強材料を用いた場合に比べてこれらの組成物の防火性能に対する不利な効果は少なくなること、あるいは、以下でさらに詳述されるガラスが使用される場合、たとえ難燃剤の量または濃度がより少ないものであっても、達成可能な防火性能は、従来のガラスまたは鉱物ベースの充填材および補強材料で達成されると考えられる性能に匹敵するものであること、が現在発見されている。
【0014】
したがって、本発明は、
A)5〜95重量%、好ましくは20〜90重量%、特に好ましくは30〜80重量%の熱可塑性樹脂と;
C)10〜300μm、好ましくは20〜150μm、特に好ましくは35〜80μmのd90を有する、5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは15〜50重量%の非繊維質未発泡粉末ガラスと、
を含む組成物を提供する。
【0015】
本発明は、好ましくは、
A)5〜95重量%、好ましくは20〜90重量%、特に好ましくは30〜80重量%の熱可塑性ポリアミドと;
B)0.01〜40重量%のシアヌル酸メラミンと;
C)10〜200μm、好ましくは20〜150μm、特に好ましくは35〜80μmのd90を有する、5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは15〜40重量%の非繊維質未発泡粉末ガラスと、
を含む組成物を提供する。
【0016】
明確化を期して、本発明の範囲が、一般的用語または好ましい範囲で以下に列挙する定義およびパラメータのあらゆる所望の組合せを包含するということを指摘しておくべきである。
【0017】
1つの特に好ましい実施形態において、非繊維質未発泡粉末ガラスは、
C’)非繊維質未発泡粉末ガラスの量に基づいて好ましくは0.01重量%〜1.5重量%の量の少なくとも1つのアミノアルキルトリアルコキシシランでサイジングされている。
【0018】
特に好ましい一変形形態において、組成物は同様に、D)0.01〜60重量%、好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは2〜20重量%の少なくとも1つのハロゲン含有難燃剤または、シアヌル酸メラミンとは異なるハロゲンを含まない1つのさらなる難燃剤を、成分A)、B)およびC)またはA)、B)、C)およびC’)に追加して含むことができる。
【0019】
別の特に好ましい実施形態において、組成物は同様に、E)0.01〜50重量%、好ましくは1〜25重量%、きわめて特に好ましくは2〜20重量%の少なくとも1つのエラストマー改質剤を、成分A)〜D)に追加して、またはD)の代りに含むこともできる。
【0020】
別の特に好ましい実施形態において、組成物は同様に、F)0.01〜5重量%、きわめて特に好ましくは0.05〜3重量%(特に非常に好適であるのは0.1〜2重量%である)の少なくとも1つの潤滑剤および/または離型剤を、成分A)〜E)に追加して、またはD)および/またはE)の代りに含むこともできる。
【0021】
別の特に好ましい実施形態において、組成物は同様に、成分G)0.01〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、きわめて特に好ましくは2〜15重量%(特に非常に好適であるのは2〜6重量%である)の少なくとも1つの成分C)以外の充填材を、成分A)〜F)に追加して、またはD)、E)および/またはF)の代りに含むこともできる。
【0022】
別の特に好ましい実施形態において、組成物は同様に、H)(各々の場合において組成物全体に基づき)0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、きわめて特に好ましくは0.1〜5重量%の少なくとも1つのさらなる添加剤を、成分A)〜G)に追加して、またはD)、E)、F)および/またはG)の代りに含むこともできる。
【0023】
1つの特に好ましい実施形態において、成分割合の合計はつねに100重量%である。同様に、組成物がA)、B)およびC)のみ、また好ましくはA)、B)、C)およびC’)のみで構成されていることも可能である。
【0024】
本発明によると、組成物は成分A)として少なくとも1つの熱可塑性ポリアミドを含む。
【0025】
Hans Domininghaus(「Die Kunststoffe und ihre Eigenschaften」[Plastics and their Properties]5th edition(1998)、p.14中)によると、熱可塑性ポリアミド類は、加熱時に軟化しほぼあらゆる所望の方法で成形可能であり、その分子鎖が側枝を全く有していないかまたは可変的数の比較的短かいまたは比較的長い側枝を有するポリアミド類である。
【0026】
本発明にしたがって好ましいポリアミド類は、さまざまなプロセスによって製造可能であり、かつ非常に多様な単位から合成され得、特定の利用分野では、加工助剤、安定剤またはポリマーアロイパートナー好ましくはエラストマーを単独または組合せた形で備えていて材料に対して具体的に調整された特性組合せを提供できるようになっている。好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ABSという一定割合の他のポリマーのブレンドも同様に適切であり、ここでは、該当する場合に1つ以上の相溶化剤を使用することが可能である。例えば耐衝撃性に関して、エラストマーを添加することによってポリアミド類の特性、特に強化ポリアミド類の特性を改善することができる。考えられる多様な組合せにより、非常に多様な特性を有する極めて多くの製品を得ることができる。
【0027】
所望の最終製品に応じて異なるモノマー単位そしてそれぞれ所望の分子量を設定するためのさまざまな連鎖調節剤、または任意の意図された後続後処理のための反応基を有するモノマーを使用して、ポリアミド類調製のための非常に多くの手順が開示されてきた。
【0028】
ポリアミド類製造向けの工業的に適切なプロセスは、大部分が、メルト内の重縮合を用いて進行する。これに関連して、ラクタム類の加水分解重合も重縮合とみなされる。
【0029】
成分A)として使用するのに好ましいポリアミド類は、少なくとも5つの環成員または対応するアミノ酸を有するラクタム類および/またはジアミン類およびジカルボン酸類から出発することにより製造可能である半結晶性ポリアミド類である。
【0030】
使用可能な出発材料は、脂肪族および/または芳香族ジカルボン酸類、好ましくはアジピン酸、2,2,4−および2,4,4−トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、脂肪族および/または芳香族ジアミン類、好ましくはテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、異性体ジアミノジシクロヘキシルメタン類、ジアミノジシクロヘキシルプロパン類、ビスアミノメチルシクロヘキサン、フェニレンジアミン類、キシリレンジアミン類、アミノカルボン酸類、好ましくはアミノカプロン酸、そしてそれぞれ、対応するラクタム類である。言及されている複数のモノマーで構成されるコポリアミド類が含まれる。
【0031】
特に好ましくはカプロラクタム類が使用され、きわめて特に好ましくはε−カプロラクタムが使用される。
【0032】
他の特に適した材料は、PA6、PA66および他の脂肪族および/または芳香族ポリアミド類そしてそれぞれのコポリアミド類をベースとする配合材料の大部分であり、ここでこれらはポリマー鎖内の各ポリアミド基について3〜11個のメチレン基を有する。
【0033】
極めて特に好適であるのは、脂肪族ポリアミド類であり、詳細には極めて特に好適であるのはPA6およびPA66である。
【0034】
1つの好ましい実施形態において、本発明の組成物は、本発明に係る使用すべき熱可塑性ポリアミドのみならず、少なくとも1つのさらなる熱可塑性ポリマー、特に好ましくは少なくとも1つの他のポリアミドを含む。
【0035】
従来の添加剤、特に離型剤、安定剤および/または流動助剤を、熱可塑性ポリアミドと同時に1つの好ましい実施形態において追加で使用すべきポリマーとメルト中で混和させるか、あるいはこのポリマーの表面上に塗布することができる。
【0036】
成分A)の熱可塑性ポリアミド類のための出発材料は、合成経路例えば石油化学原料に由来する可能性があり、かつ/または化学的または生化学的プロセスを用いて再生可能な原料に由来する可能性もある。
【0037】
本発明の組成物は、成分B)として0.01〜40重量%のシアヌル酸メラミンを含む。シアヌル酸メラミンは、好ましくは等モル量のメラミンとシアヌル酸またはイソシアヌル酸の反応生成物である。これらの材料としては、とりわけ市販されている全てのタイプの製品が含まれる。ここでの例は、とりわけMelapur(登録商標)MC25およびMelapur(登録商標)MC50(BASF、Ludwigshafen、Germany)である。本発明に係る使用すべきシアヌル酸メラミンは好ましくは、0.1μm〜100μm、特に好ましくは0.1μm〜30μm、極めて特に好ましくは0.1μm〜7μmの平均粒径を有する粒子で構成され、公知の組成物で表面処理またはコーティングまたはサイジングされている可能性がある。これらの材料としては、好ましくは、モノマー、オリゴマーおよび/またはポリマーの形でシアヌル酸メラミンに適用されている可能性のある有機化合物がある。特に好適に使用可能なコーティング系は、ケイ素含有化合物、特に有機官能性シラン類またはオルガノシロキサン類をベースとするものである。同様に、無機成分を伴うコーティングを使用することも可能である。
【0038】
組成物は、成分C)として、d90が10〜200μm、好ましくは20〜150μm、特に好ましくは35〜80μmである粒度分布を有する非繊維質未発泡粉末ガラスを含む。ここで、d10が0.6〜10μm、好ましくは0.8〜6μm、特に好ましくは1.0〜5μmである非繊維質未発泡粉末ガラスを使用することが好ましい。きわめて特に好適であるのは、d50が3〜50μm、好ましくは5〜40μm、特に好ましくは7〜30μmである非繊維質未発泡粉末ガラスである。
【0039】
d10、d50およびd90値およびその決定ならびにその意味に関しては、Chemie Ingenieur Technik(72)pp.273−276、3/2000、Wiley−VCH Verlag GmbH、Weinheim、2000への参照が指示され、これによると、
d10は、粒子の10%の粒度より大きい粒度であり、
d50は、粒子の50%の粒度(中央値)より大きい粒度であり、
d90は、粒子の90%の粒子より大きい粒度である。
【0040】
このタイプの非繊維質未発泡粉末ガラスの平均粒度は好ましくは3〜60μmであり、特に好適であるのは15〜30μmである。
【0041】
ここで粒度分布および粒度についてのデータは、各々の場合において熱可塑性成形組成物中に取込む前の、表面積に基づく粒度として公知であるものに基づいている。それぞれのガラス粒子の表面積の直径は、ここでは架空の球形粒子(球)の表面積に関係づけされる。これは、レーザー掩蔽技術の原理(EyeTech(登録商標)ソフトウエアとACM−104測定セルを含むEye Tech(登録商標)、Ankersmid Lab、Oosterhout、Netherlands)を用いて、Ankersmid製の粒度分析装置を用いて達成される。
【0042】
非繊維質未発泡粉末ガラスの形状は非円筒形で粒子状であること、そして長さ:厚み比が5未満好ましくは3未満、特に好ましくは2未満であることが好ましい。
【0043】
本発明に基づく描写を目的として、エキスパンデッドガラスと呼ばれることも多い発泡ガラスは、例えば空気または二酸化炭素の気泡が内部に封入されているガラスである。本発明に係る使用すべき未発泡ガラスの場合と異なり、前記気体封入は、密度減少を導く。本発明に係る使用すべき未発泡非繊維質粉末ガラスは、可能性のあるいずれかの気体封入による密度減少を一切起こさない。
【0044】
本発明に基づく描写を目的として、繊維質ガラスは円筒形または楕円形の横断面および長さ:直径比(L/D比)が5を超えるガラスである。したがって、成分B)として使用すべき未発泡非繊維質粉末ガラスは同様に、繊維質ガラスに典型的であり、かつ長さ:直径比(L/D比)が5を超える円筒形または楕円形の横断面を含む幾何形状を有していないことも特徴としている。
【0045】
本発明に係る使用すべき未発泡非繊維質粉末ガラスは好ましくは、ミル好ましくはビーズミル内でのガラスの粉末と特に好ましくは後続するふるい分け(siftingまたはsieving)を介して得られる。あらゆる幾何形状の固化したガラスを出発材料として使用することができる。
【0046】
本発明に係る使用すべき非繊維質未発泡粉末ガラスを提供するための微粉末プロセス用の他の好ましい出発材料は、詳細にはガラス製品の製造中に所望されない副作物として発生するおよび/またはオフスペック製品として発生するガラス廃棄物である。これらの中には、詳細には窓ガラスまたはガラス瓶の製造中あるいは詳細にはメルトケークとして公知のものの形をしたガラス含有充填材および補強材料の製造中に発生し得る、詳細には廃棄ガラス、再利用ガラスおよび破損ガラスが含まれる。ガラスは色ガラスであり得るが、出発材料として好適であるのは、無色のガラスである。
【0047】
微粉末プロセスのための出発材料として使用可能なガラスは、原則として、例えばDIN1259−1中に記載されているガラスタイプのいずれかである。好適であるのはソーダ石灰ガラス、フロートガラス、石英ガラス、鉛クリスタルガラス、ホウケイ酸ガラスおよびEガラスであり、ここで特に好適であるのはソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスおよびEガラスであり、ここで極めて特に好適であるのはEガラスである。Eガラスの物理的データおよび構成に関しては、http://wiki.r−g.de/index.php?title=Glasfasernを参照してよい。したがって、本発明に係る特に好適に使用すべき非繊維質未発泡粉末Eガラスは、以下で言及する特徴の少なくとも1つを示す:
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
本発明に係る使用すべき未発泡非繊維質粉末ガラスの製造のために同様に特に好ましい他のタイプのガラスは、KOの含有量がガラスの全ての成分に基づいて2重量%以下であるガラスである。本発明に係る使用すべき未発泡非繊維質粉末ガラスは、例えば、VitroMinerals、Covington、GA、USAから購入可能である。それはCS−325、CS−500およびCS−600という仕様でCS Glass Powderとして公知のものとして供給される。(www.glassfillers.comまたはChris DeArmitt、Additives Feature、Mineral Fillers、COMPOUNDING WORLD、February 2011、pp.28−38またはwww.compoundingworld.comも参照のこと)。使用可能な別の代替物は、Lanxess Deutschland GmbH製のMF7900であり、これは、各々の場合において粒子の表面に基づいてd90が54μm、d50が14μm、d10が2.4μmそして平均粒度が21μmで、約0.1重量%のトリエトキシ(3−アミノプロピル)シランサイズ剤C’)を含むEガラスをベースとした非繊維質未発泡粉末ガラスである。
【0051】
本発明によると、使用すべき未発泡非繊維質粉末ガラスにはアミノアルキルトリアルコキシシランをベースとする表面改質剤またはサイズ剤が提供されていることが好ましい。変形実施形態または好ましい実施形態において、非繊維質未発泡粉末ガラスには、好ましくはグリシジル−、カルボキシ−、アルケニル−、アクリルオキシアルキル−および/またはメタクリルオキシアルキル−官能化されたトリアルコキシシランを用いてまたはこれらの水性加水分解物またはそれらの組合せを用いて、シランまたはシロキサン系の追加の表面改質剤またはサイズ剤が提供されている可能性がある。
【0052】
C’)として極めて特に好適であるのは、以下のものである:アミノアルキルトリアルコキシシラン、詳細にはアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシランを用いた、またはこれらの水性加水分解物を用いた(ここで詳細には極めて特に好適であるのはアミノプロピルトリエトキシシランである)表面改質剤である。
【0053】
未発泡非繊維質粉末ガラスC)に基づく表面コーティング用の成分C’)のアミノアルキルトリアルコキシシランの使用量は、0.01重量%〜1.5重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%そして特に好ましくは0.1〜0.5重量%である。
【0054】
微粉末プロセスのための出発ガラスは、表面改質剤またはサイズ剤で前処理されている可能性がある。同様に、本発明に係る使用すべき未発泡非繊維質粉末ガラスを、微粉末プロセス後に表面改質剤またはサイズ剤で処理することもできる。
【0055】
本発明に係る使用すべき未発泡非繊維質粉末ガラスのd90またはd50またはd10、あるいは平均粒度は、本発明の組成物を提供するためまたは本発明の組成物で作製された成形品を提供するための加工を理由として、または成形品内部において、当初使用された粉末粒子のものよりも小さいものであり得る。
【0056】
1つの好ましい実施形態において、本発明の組成物は、成分D)として、成分B)と同時にかつ成分B)とは異なる少なくとも1つのハロゲン含有難燃剤または1つのハロゲンを含まない難燃剤を含むことができる。使用可能な難燃剤は、モノ−およびオリゴマーリン酸およびホスホン酸エステル、ホスホン酸アミン類、ホスホネート類、ホスフィネート類、かつ特に好ましくは金属ジアルキルホスフィネート類、特にアルミニウムトリス[ジアルキルホスフィネート類]および亜鉛ビス[ジアルキルホスフィネート類]、ホスファイト類、ハイポホスファイト類、ホスフィンオキシド類およびホスファゼン類の群から選択されるリン含有難燃剤である。ここで好適であるのは、金属ジアルキルホスフィネートであり、ここで極めて特に好適であるのはアルミニウムトリス[ジアルキルホスフィネート]および亜鉛ビス[ジアルキルホスフィネート]である。
【0057】
窒素含有難燃剤を個別にまたは混合物の形で使用することが好ましい。特に、シュウ酸メラミン、第1リン酸メラミン、第2リン酸メラミンおよび第2ピロリン酸メラミン、縮合リン酸とメラミンの反応生成物およびリン酸または縮合リン酸とメラミン縮合物の反応生成物、特にポリリン酸メラミンと同様、塩基性アルミニウム化合物、塩基性マグネシウム化合物および/または塩基性亜鉛化合物とメラミンおよびポリリン酸との反応生成物と同様、シアヌル酸メラミンおよびホウ酸アミンネオペンチルグリコールに特に言及することができる。以下のものも同様に適している:グアニジン塩類、例えば炭酸グアニジン、第1シアヌル酸グアニジン、第1リン酸グアニジン、第2リン酸グアニジン、第1硫酸グアニジン、第2硫酸グアニジン、ホウ酸ペンタエリスリチルグアニジン、ホウ酸ネオペンチルグリコールグアニジン、リン酸尿素およびシアヌル酸尿素。同様にメラミン縮合物、詳細にはメレム、メラム、メロンまたはより縮合レベルの高いこのタイプの化合物、およびこれらと縮合リン酸との反応生成物を使用することも同様に可能である。以下のものも同様に適している:トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートおよびそれとカルボン酸との反応生成物、ベンゾグアナミンおよびそのアダクツおよびその塩、そして窒素上で置換されたその生成物と同様に、これらのもののアダクツおよび塩。使用可能なその他の窒素含有成分は、アラントイン化合物およびそれらとリン酸、ホウ酸またはピロリン酸との塩、と同様にグリコールウリル類およびこれらの塩である。
【0058】
無機窒素含有化合物、好ましくはアンモニウム塩、詳細にはポリリン酸アンモニウムを使用することも可能である。
【0059】
成分B)シアヌル酸メラミンに追加して特に好ましい窒素含有難燃剤は、ポリリン酸メラミンである。
【0060】
使用可能なハロゲン含有難燃剤は、個別にまたは混合物の形での共力剤を伴う市販の有機ハロゲン化合物である。ここで、特に好ましくは、以下の臭素化および塩素化化合物に言及してよい:エチレン−1,2−ビステトラブロモフタルイミド、エポキシ化テトラブロモビスフェノールA樹脂、テトラブロモビスフェノールAオリゴカーボネート、テトラクロロビスフェノールAオリゴカーボネート、ペンタブロモポリアクリレート、臭素化ポリスチレンおよびビス(ペンタブロモフェニル)エタン。適切な共力剤の例としては、アンチモン化合物、詳細にはアンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモンおよび五酸化アンチモンがある。
【0061】
同様に、ここで具体的に言及していない他の難燃性共力剤または難燃剤を使用することも可能である。これらの中には、純粋に無機のリン化合物、詳細には赤リン類またはリン酸ホウ素水和物が含まれる。さらに、脂肪族および芳香族スルホン酸の塩を使用すること、および鉱物難燃性添加剤、例えば水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムおよび炭酸Ca−Mg水和物(例えば独国特許出願公開第4236122号明細書)を使用することも同様に可能である。さらに酸素−、窒素−または硫黄−含有金属化合物、好ましくは酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化モリブデン、二酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、窒化チタン、窒化ホウ素、窒化マグネシウム、窒化亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウムおよびその混合物の群由来の難燃性共力剤を使用することが可能である。
【0062】
他の好ましい適切な難燃添加剤は、炭素形成材料、特に好ましくはフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリカーボネート類、ポリイミド類、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類およびポリエーテルケトン類と同様に滴下防止剤、詳細にはテトラフルオロエチレンポリマーである。
【0063】
難燃剤は、純粋な形でまたは、マスターバッチまたは圧密物として添加可能である。
【0064】
本発明の組成物の1つの好ましい実施形態において成分E)として使用すべきエラストマー改質剤は、とりわけ、
E.1 5〜95重量%、好ましくは30〜90重量%の少なくとも1つのビニルモノマー、
E.2 95〜5重量%、好ましくは70〜10重量%の、10℃未満、好ましくは0℃未満、特に好ましくは−20℃未満のガラス遷移温度を有する1つ以上のグラフト塩基類、
の1つ以上のグラフトポリマーを包含する。
【0065】
グラフト塩基E.2の中央粒度(d50)は一般に0.05〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.2〜1μmである。
【0066】
モノマーE.1は好ましくは、
E.1.1 50〜99重量%のビニル芳香族化合物類および/または環置換ビニル芳香族化合物類、詳細にはスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレンおよび/または(C1−C8)−メタクリル酸アルキル類、詳細にはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルと、
E.1.2 1〜50重量%のシアン化ビニル類、詳細には不飽和ニトリル類、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリル、および/または(C1−C8)−アルキル(メト)アクリル酸、詳細にはメタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、および/または詳細には不飽和カルボン酸類の誘導体、詳細には無水物類およびイミド類、詳細には無水マレイン酸およびN−フェニルマレイミドと、
の混合物である。
【0067】
好ましいモノマーE.1.1は、モノマースチレン、α−メチルスチレンおよびメタクリル酸メチルの少なくとも1つであり、好ましいモノマーE.1.2はモノマーアクリロニトリル、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸メチルの少なくとも1つである。
【0068】
特に好ましいモノマーは、E.1.1スチレンおよびE.1.2アクリロニトリルである。
【0069】
エラストマー改質剤中で使用すべきグラフトポリマー用に適したグラフト塩基E.2の例は、ジエンゴム類、EPDMゴム類、すなわち、エチレン/プロピレンそして該当する場合にはジエン系のゴム類と同様、アクリル酸ゴム類、ポリウレタンゴム類、シリコーンゴム類、クロロプレンゴム類およびエチレン/酢酸ビニルゴム類である。EPDMはエチレン−プロピレン−ジエンゴムを意味する。
【0070】
好ましいグラフト塩基E.2は、ジエンゴム類、詳細にはブタジエン、イソプレンなどをベースとするジエンゴム類であるかまたはジエンゴム類の混合物であるか、またはジエンゴム類または詳細にはE.1.1およびE.1.2にしたがった他の共重合可能なモノマーとこれらのゴムの混合物であるが、ここでE.2のガラス転移温度は10℃未満、好ましくは0℃未満、特に好ましくは−10℃未満であることが条件となる。
【0071】
特に好適なグラフト塩基E.2は、ABSポリマー(エマルジョンABS、バルクABSおよび懸濁液ABS)であり、ここでABSはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンを意味し、その例は独国特許出願公開第2035390号明細書(米国特許出願公開第3644574号明細書)または独国特許出願公開第2248242号明細書(=英国特許出願公開第1409275号明細書)中、またはUllmann、Enzyklopadie der Technischen Chemie [Encyclopaedia of Industrial Chemistry]、Vol19(1980)、pp.280ff中に記載のものである。グラフト塩基E.2のゲル含有量は好ましくは少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%(トルエン中で測定)である。
【0072】
エラストマー改質剤またはグラフトポリマーE)は遊離ラジカル重合を介して、例えばエマルジョン、懸濁液、溶液またはバルク重合を介して、好ましくはエマルジョンまたはバルク重合を介して製造される。
【0073】
他の特に適切なグラフトゴムは、米国特許出願公開第4937285号明細書に係る有機ヒドロペルオキシドとアスコルビン酸で構成された開始剤系を用いたレドックス開始を介して製造されるABSポリマーである。
【0074】
グラフトモノマーはグラフティング反応中に必ずしも全面的にグラフト塩基上にグラフトするわけではないことが公知であることから、グラフト塩基の存在下でグラフトモノマーの(共)重合を介して得られかつ処理中に付随して製造される生成物も同様に、本発明に係るグラフトポリマーである。
【0075】
同等に適したアクリレートゴム類は、好ましくはアクリル酸アルキル類で構成されたポリマーであるグラフト塩基E.2をベースとしているが、該当する場合他の重合可能なエチレン飽和モノマーをE.2に基づいて最高40重量%有する。好ましい重合可能なアクリル酸エステルの中には、C1−C8−アルキルエステル、好ましくはメチル、エチル、ブチル、n−オクチルおよび2−エチルヘキシルエステル;ハロアルキルエステル、好ましくはハロ−C1−C8−アルキルエステル、例えばアクリル酸クロロエチル、グリシジルエステルおよび前記モノマーの混合物も含まれる。ここで特に好適であるのは、コアとしてアクリル酸ブチルをそしてシェルとしてメタクリル酸メチル類を有するグラフトポリマー、詳細にはDow Corning Corporation、Midland Michigan、USA製のParaloid(登録商標)EXL2300である。
【0076】
架橋のためには、2つ以上の重合可能な2重結合を有するモノマーを共重合することができる。架橋用モノマーの好適な例は、3〜8個の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸類および3〜12個の炭素原子を有する不飽和一価アルコール類、または2〜4個のOH基と2〜20個の炭素原子を有する飽和ポリオール類のエステル、好ましくはジメタクリル酸エチレングリコール、メタクリル酸アリル;ポリ不飽和複素環式化合物、好ましくはシアヌル酸トリビニルおよびトリアリル;多官能性ビニル化合物、好ましくはジ−およびトリビニルベンゼン類;および同様にリン酸トリアリルおよびフタル酸ジアリルである。
【0077】
好ましい架橋用モノマーはメタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、フタル酸ジアリルおよび、少なくとも3個のエチレン不飽和基を有する複素環式化合物である。
【0078】
特に好ましい架橋用モノマーは、環状モノマーシアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリアリルベンゼン類である。架橋用モノマーの量は、グラフト塩基E.2に基づいて0.02〜5重量%、特に0.05〜2重量%である。
【0079】
少なくとも3個のエチレン不飽和基を有する環状架橋用モノマーの場合、量をグラフト塩基E.2の1重量%未満に制限することが有利である。
【0080】
該当する場合グラフト塩基E.2の調製のためにアクリル酸エステルと同時に使用できる好ましい「他の」重合可能なエチレン不飽和モノマーの例は、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリルアミド類、ビニルC−C−アルキルエーテル類、メタクリル酸メチル、グリシジルメタクリル酸、ブタジエンである。グラフト塩基E.2として好ましいアクリレートゴム類は、ゲル含有量が少なくとも60重量%であるエマルジョンポリマーである。
【0081】
E.2にしたがった他の好適なグラフト塩基は、独国特許出願公開第3704657号明細書(=米国特許第4859740号明細書)、独国特許出願公開第3704655号明細書(=米国特許第4861831号明細書)、独国特許出願公開第3631540号明細書(=米国特許第4806593号明細書)および独国特許出願公開第3631539号明細書(=米国特許第4812515号明細書)中に記載されているグラフティング目的で活性な部位を有するシリコーンゴム類である。
【0082】
グラフトポリマーをベースとするエラストマー改質剤と同時に、グラフトポリマーをベースとせずガラス転移温度が10℃未満、好ましくは0℃未満、特に好ましくは−20℃未満であるエラストマー改質剤を使用することも可能である。これらの中には、好ましくは、ブロックコポリマー構造を有するエラストマーと同様に、熱可塑性融解することのできるエラストマー、詳細にはEPMゴム類、EPDMゴム類および/またはSEBSゴム類(EPM=エチレン−プロピレンコポリマー、EPDM=エチレン−プロピレン−ジエンゴムおよびSEBS=スチレン−エテン−ブテン−スチレンコポリマー)も含まれ得る。
【0083】
本発明の組成物の1つの好ましい実施形態中で成分F)として使用すべき潤滑剤および/または離型剤は、好ましくは長鎖脂肪酸類、詳細にはステアリン酸またはベヘン酸、その塩、詳細にはステアリン酸Caまたはステアリン酸Znと同様にこれらのアミド誘導体類またはエステル誘導体類、詳細にはエチレンビステアリルアミド、モンタンロウ類と同様に低分子量ポリエチレンロウ類および低分子量ポリプロピレンロウ類である。本発明においては、モンタンロウ類は、28〜32個の炭素原子の鎖長を有する直鎖飽和カルボン酸類の混合物である。本発明によると、8〜40個の炭素原子を有する飽和または不飽和脂肪族カルボン酸類と2〜40個の炭素原子を有する飽和脂肪族アルコール類またはアミン類のエステルまたはアミド、あるいは8〜40個の炭素原子を有する飽和または不飽和脂肪族カルボン酸類の金属塩の群に由来する潤滑剤および/または離型剤を使用することが特に好ましく、ここで極めて特に好適であるのはエチレンビスステアリルアミド、ステアリン酸カルシウムおよび/またはジモンタン酸エチレングリコールであり、詳細にはここではClariant、Muttenz、Basle製のLicowax(登録商標)Eであり、詳細には極めて特に好適であるのはエチレンビスステアリルアミドである。
【0084】
別の好ましい実施形態において、組成物は、成分G)として、成分C)とは異なる少なくとも1つのさらなる充填材または補強材料を含むことができる。
【0085】
ここでは同様に、好ましくはタルク、雲母、ケイ酸塩、石英、二酸化チタン、ウェラストナイト、カオリン、非晶質シリカ類、ナノスケール鉱物類、特に好ましくはモンモリロナイトまたはナノベーマイト、炭酸マグネシウム、白亜、長石、硫酸バリウム、ガラスビーズをベースとする2つ以上の異なる充填材および/または補強材料、および/または炭素繊維および/またはガラス繊維をベースとする繊維質充填材および/または補強材料の混合物を使用することも同様に可能である。タルク、雲母、ケイ酸塩、石英、二酸化チタン、ウォラストナイト、カオリン、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、白亜、長石、硫酸バリウムおよび/またはガラス繊維をベースとする鉱物微粒子充填材を使用することが好ましい。タルク、ウォラストナイト、カオリンおよび/またはガラス繊維をベースとする鉱物微粒子充填材を使用することが特に好ましく、ここではガラス繊維を使用することが極めて特に好ましい。
【0086】
針状鉱物充填材の使用も同様にさらに特に好適である。本発明によると、針状鉱物充填材は、顕著な針状特性を有する鉱物充填材である。言及してよい好ましい例としては、針状ウォラストナイト類がある。鉱物の長さ:直径比は好ましくは2:1〜35:1、特に好ましくは3:1〜19:1、最も好ましくは4:1〜12:1である。発明力ある針状鉱物の平均粒度は、CILAS GRANULOMETERを用いて決定した場合、好ましくは20μm未満、特に好ましくは15μm未満であり、特に好適であるのは10μm未満である。
【0087】
1つの好ましい実施形態において、成分C)以外の充填材および/または補強材料は、好ましくはカップリング剤またはカップリング剤系、特に好ましくはシランをベースとするものを用いて表面改質されている可能性がある。しかしながら、前処理は不可欠ではない。詳細には、ガラス繊維が使用される場合、シランに追加して、ポリマー分散、塗膜形成剤、分岐剤および/またはガラス繊維加工助剤を使用することもできる。
【0088】
成分G)として極めて特に好適に本発明にしたがって使用すべきガラス繊維は、一般に7〜18μm、好ましくは9〜15μmの直径を有し、連続フィラメント繊維の形またはガラス短繊維または粉末ガラス繊維の形で添加される。成分C)とは異なる繊維質粉末ガラス繊維は、詳細にはビーズミル内で、連続フィラメント繊維またはガラス短繊維を追加の粉末プロセスに付すことによって得ることができる。前記繊維には適切なサイズ剤系および、好ましくはシランをベースとするカップリング剤またはカップリング剤系が提供されている可能性がある。
【0089】
前処理のためのシランをベースとする特に好ましいカップリング剤は、

(I) (X-(CH2)q)k-Si-(O-CrH2r+1)4-k

という一般式(I)のシラン化合物であり、式中
Xは、NH−、カルボキシ−、HO−または
【化1】

であり、
qは2〜10、好ましくは3〜4の整数であり、
rは1〜5、好ましくは1〜2の整数であり、かつ
kは1〜3の整数、好ましくは1である。
【0090】
特に好ましいカップリング剤はアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシランと同様に、置換基Xとしてグリシジルまたはカルボキシル基を含む対応するシラン類の群からのシラン化合物である。
【0091】
表面コーティングのための充填材に対し提供されるシラン化合物の量は一般的には、鉱物充填材に基づいて、0.05〜2重量%、好ましくは0.25〜1.5重量%そして具体的には0.5〜1重量%である。
【0092】
成分C)とは異なる成分G)の微粒子充填材のd90またはd50は、成形品内において、または組成物または組成物で作製された成形品を提供するための加工を理由として、当初使用された充填材のものよりも小さいものであり得る。成分G)のガラス繊維の長さ分布は、成形品内において、組成物または組成物で作製された成形品を提供するための加工を理由として、当初使用されたものよりも短いものであり得る。各々の場合において成形組成物全体に基づき、1〜30重量%、特に好ましくは2〜15重量%そして極めて特に好ましくは3〜7重量%の量のC)以外の充填材および補強材料を、成分G)として使用することが好ましい。
【0093】
本発明の組成物は同様に、成分H)としてさらなる添加剤を含むこともできる。本発明において、好ましい添加剤は、UV安定剤、ガンマ放射線安定剤、加水分解安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、乳化剤、核形成剤、可塑化剤、加工助剤、衝撃改質剤、染料および顔料である。添加剤は単独で、または混合物中でまたはマスターバッチの形で使用可能である。
【0094】
使用される好ましいUV安定剤は、置換レゾルシノール類、サリチレート類、ベンゾトリアゾール類およびベンゾフェノン類である。
【0095】
使用される好ましい着色剤は無機顔料、詳細には二酸化チタン、群青、酸化鉄、硫化亜鉛またはカーボンブラックと同様に、有機顔料、好ましくはフタロシアニン類、キナクリドン類、ペリレン類および染料、好ましくはニグロシンおよびアントラキノン類である。
【0096】
使用される好ましい熱安定剤は、立体障害フェノール類および/またはホスファイト類、ハイドロキノン類、芳香族第2級アミン類例えばジフェニルアミン類、置換レゾルシノール類、サリチレート類、ベンゾトリアゾール類およびベンゾフェノン類と同様、前記基のさまざまな置換成員またはこれらの混合物である。立体障害フェノール類を単独でまたはホスファイト類と組合せて使用することが特に好ましく、ここではN,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン(例えばBASF SE、Ludwigshafen、Germany製のIrganox(登録商標)1098)を使用することが極めて特に好ましい。
【0097】
使用される核形成剤は好ましくはフェニルホスフィン酸ナトリウムまたはフェニルホスフィン酸カルシウム、酸化アルミニウムまたは二酸化ケイ素を含み、極めて特に好ましくはタルクを含むが、このリストは網羅的なものではない。
【0098】
使用される好ましい流動助剤は、脂肪族アルコールの少なくとも1つのメタクリレートまたはアクリレートと少なくとも1つのα−オレフィンで作製されたコポリマーである。特に好適であるのは、ここでは、α−オレフィンがエテンおよび/またはプロペンで構成され、メタクリレートまたはアクリレートがアルコール成分として6〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基を含むコポリマーである。極めて特に好適であるのは、2−エチルヘキシルアクリレートである。構成と同時に、流動助剤としての本発明にしたがって適切なコポリマーの別の特徴は低分子量である。したがって、本発明にしたがって組成物を熱分解から保護するのに特に適した材料は、2.16kgの負荷で190℃で測定した場合のMFIが少なくとも100g/10分、好ましくは少なくとも150g/10分、特に好ましくは少なくとも300g/10分であるコポリマーである。MFIつまりメルトフローインデックスは、熱可塑性樹脂のメルトの流れを特徴づけるのに役立ち、ISO規格1133およびASTM規格D1238により網羅されている。本発明において、MFIまたはMFIに関係する全てのデータは、2.16kgのテスト重量で190℃で、ISO1133に基づくものであり、これにしたがって均一に測定または判定された。
【0099】
成分H)として使用するのに好適な可塑化剤は、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル、ヒドロカルボノイル類およびN−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミドである。
【0100】
しかしながら、本発明は同様に、本発明にしたがって記述される組成物から、射出成形または押出し加工を介して得ることのできる製品、好ましくは繊維、箔または成形品をも提供する。
【0101】
本発明は同様に、特殊プロセスGIT(ガスアシスト射出成形技術)、WIT(ウォーターアシスト射出成形技術)およびPIT(プロジェクティルアシスト射出成形技術)を含めた射出成形技術、異形押出加工プロセスおける押出し加工プロセス、ブロー成形プロセス、特に好ましくは標準押出ブロー成形、3D押出ブロー成形プロセスまたは真空ブロー成形プロセスにおける、本発明の製品を製造する目的での本発明の組成物の使用をも提供している。
【0102】
押出加工または射出成形を介して製品を製造するための本発明のプロセスは、230〜330℃、好ましくは250〜300℃の範囲内の溶融温度で、該当する場合には、2500bar以下の圧力、好ましくは2000bar以下の圧力、特に好ましくは1500bar以下の圧力そして極めて特に好ましくは750bar以下の圧力で作動する。
【0103】
射出成形プロセスの1つの特徴は、好ましくは顆粒形状の原料が、加熱された円筒形キャビティ内で溶融され(可塑化され)、温度制御されたキャビティ内部の圧力下で射出メルトの形で射出される。メルトがひとたび冷却(固化)されたならば、射出成形品は離型される。
【0104】
さまざまな段階は以下の通りである:
1.可塑化/溶融、
2.射出段階(投入手順)、
3.保持圧力段階(結晶化中の熱収縮を考慮に入れるため)、および
4.離型
【0105】
射出成形機は、挟持ユニット、射出ユニット、駆動および制御システムで構成されている。挟持ユニットは、金型用の固定および可動プラテン、エンドプラテンと同様、可動金型プラテン用タイバーおよび駆動機構も有している。(トグルアセンブリまたは油圧挟持ユニット)。
【0106】
射出ユニットは、電熱シリンダ、スクリュー駆動機構(モーター、ギヤボックス)およびスクリューおよび射出ユニットを移動させるための油圧システムを包含している。射出ユニットの機能は、粉末またはペレットの溶融、計量および射出、ならびに保持圧力の付加(収縮を考慮するため)から成る。スクリュー内部でのメルトの逆流(漏れ流れ)の問題は、逆止め弁を介して解決される。
【0107】
射出金型内部で、流入するメルトはこのとき分離され冷却され、所要コンポーネントはこうして製造される。このプロセスにはつねに、2つの2分割金型部分が必要とされる。射出成形プロセス内部のさまざまな機能的システムは、以下の通りである:
− ランナーシステム
− 造形用インサート
− ベント
− 機械マウントおよび動力取込み口
− 離型システムおよび動作伝達装置
− 温度制御機構。
【0108】
特殊射出成形プロセスGIT(ガスアシスト射出成形技術)、WIT(ウォーターアシスト射出成形技術)およびプロジェクティルアシスト射出成形技術(PIT)は、中空工作物を製造するための特殊な射出成形プロセスである。標準的射出成形プロセスとの1つの相異点は、材料が金型に投入される段階の終り近くでの、または材料の明確な一部分が射出金型に投入された後の特定の作業にある。プロセスに特定的な作業においては、射出機として公知の装置が使用されてプロセス媒体を溶融したプレフォーム内部に射出し、空隙を形成する。GITの場合、これはガス、一般には窒素であり、WITの場合にはこれは水である。PITの場合には、プロジェクティルがメルトの内部に発射されて、空隙を形成する。
【0109】
射出成形プロセスとは対照的に、押出プロセスでは、この場合ポリアミドであるプラスチックの連続的に造形されたストランドが押出機の中で使用され、ここで押出機は、熱可塑性成形品を製造するための機械である。さまざまなタイプの機器は、以下の通りである:
単軸スクリュー押出機および二軸スクリュー押出機ならびにそれぞれのサブグループ、
従来型単軸スクリュー押出機、搬送型単軸スクリュー押出機、
反転二軸スクリュー押出機および共回転二軸押出機。
【0110】
本発明において、異形材は、その全長にわたり同一の横断面を有するコンポーネントである。これらは、異形押出プロセスによって製造可能である。異形押出プロセスの基本ステップは以下の通りである:
1.押出機内での熱可塑性メルトの可塑化および提供、
2.押出し加工すべき異形材の横断面を有する較正器シェルを通した、熱可塑性メルトストランドの押出し加工、
3.較正用テーブル上での押出し加工済み異形材の冷却、
4.較正用テーブルの後ろの引取装置を用いた、異形材の前方輸送、
5.カッターシステム内での連続異形材の一定長切断、
6.一定長カットされた異形材の収集テーブル上での収集。
【0111】
ナイロン−6およびナイロン−6,6の異形押出し加工の説明は、Kunststoff−Handbuch[Plastics Handbook]3/4、Polyamide[Polyamides]、Carl Hanser Verlag、Munich 1998、pp.374−384に記されている。
【0112】
本発明の目的のためのブロー成形プロセスは、好ましくは押出ブロー成形、3D押出ブロー成形、真空ブロー成形プロセスおよび逐次共押出である。
【0113】
Thielen、Hartwig、Gust、「Blasformen von Kunststoffhohlkorpern」[Blowmoulding of hollow plastics]、Carl Hanser Verlag、Munich 2006、pp.15〜17によると、標準押出ブロー成形プロセスの基本ステップは、以下の通りである:
1.押出機内での熱可塑性メルトの可塑化および提供、
2.垂直方向下向きに流動させるためのメルトの偏向、および管状メルト「パリソン」の造形、
3.金型、つまり一般的に2つの半シェルで構成されたブロー金型を用いた、ヘッドの下に自由に懸垂したパリソンの閉込め、
4.ブロー成形用マンドレルまたは1つ以上のブロー成形用ピンの挿入、
5.プラスチックが冷却し硬化し成形部品の最終的形状をとるブロー成形用金型の冷却壁上へのプラスチックパリソンのブロー成形、
6.金型の開放およびブロー成形された部品の離型、
7.ブロー成形部品の両端部における、喰切られた「バリ」廃棄物の除去。
【0114】
他の下流側作業が後続してもよい。
【0115】
複雑な幾何形状および多軸屈曲を有するコンポーネントを製造するために、標準的押出ブロー成形を使用することもできる。しかしながら、このとき、結果として得られる製品は、喰切られた余剰材料を高い割合で含み、喰切り溶着部を伴う広い領域を有する。
【0116】
したがって、溶着部の喰切りを回避し、材料使用量を削減するために、3Dブロー成形とも呼ばれる3D押出ブロー成形は、完成品の横断面に適合された直径をもつパリソンを変形させ操作するための特定の装置を使用し、その後これを直接ブロー成形のキャビティ内に導入する。残留する喰切り縁部の程度は、完成品の端部で最小限に削減される(Thielen、Hartwig、Gust、「Blasformen von Kunststoffhohlkorpern」[Blowmoulding of hollow plastics]、Carl Hanser Verlag、Munich 2006、pp117〜122)。
【0117】
真空ブロー成形プロセスにおいて、パリソンは、管状ダイヘッドから閉鎖ブロー金型まで直接搬送され、空気流を用いてブロー金型を通して「吸引される」。パリソンの下端部がブロー金型からひとたび出現すると、挟持要素を使用してパリソンの上端部と下端部を喰切り、次にブロー成形および冷却手順が続く。(Thielen、Hartwig、Gust、「Blasformen von Kunststoffohhlkooerpern」[Blowmoulding of hollow plastics]、Carl Hanser Verlag、Munich 2006、p.123)。
【0118】
本発明の製品は、自動車産業、電気産業、エレクトロニクス産業、電気通信産業、またはコンピュータ産業、もしくはスポーツ、医療、家庭用品、建設産業または娯楽産業において使用される。
【実施例】
【0119】
本発明にしたがって記述された難燃性改善を実証するために、適切なプラスチック組成物を製造するのに配合をまず使用した。このために、個々の成分を二軸スクリュー押出機(Coperion Werner & Pfleiderer (Stuttgart、Germany)製のZSK25 Compounder)内で250〜310℃の温度で混合し、ストランドの形に押出し加工し、ペレット化可能になるまで冷却し、ペレット化した。乾燥させた後(一般に、真空オーブン内で70℃で2日間)、ペレットを250〜300℃の温度で加工してそれぞれの試験のための標準供試体を得た。
【0120】
第一に、組成物の難燃性を、UL94V方法(Underwriters Laboratories Inc.Standard of Safety、「Test for Flammability of Plastic Materials for Parts in Devices and Appliances」、p.14〜p.18、Northbrook 1998)によって決定した。標準供試体の厚みは0.75mmであった。
【0121】
厚み0.75および/または1.5mmのディスク上でIEC60695−2−12に準拠してグローワイヤー試験GWFI(グローワイヤー可燃性インデックス)に基づき耐グローワイヤー性を判定した。
【0122】
「ACM−104Liquid Flow(4×4mm)」セル内でAnkersmid Ltd、Oosterhout、Netherlandsのレーザーオプチック方法(「Eye Tech」)を使用することにより、粉末ガラス粒子について粒度を判定した。測定には約900秒かかった。評価は、ガラス粒子の表面積に基づくものである。
【0123】
実験では以下のものを使用した:
成分A:Durethan(登録商標)B26、Lanxess Germany GmbH、Leverkusen、Germany)
成分B:シアヌル酸メラミン(BASF、Ludwigshafen、Germany製のMelapur(登録商標)MC25)
成分C:Lanxess Germany GmbH、Leverkusen、Germany製のMF7900[各々の場合において粒子の表面積に基づいて、d90が54μm、d50が14μm、d10が2.4μmであり平均粒度が21μmである、トリエトキシ(3−アミノプロピル)シランサイズ剤C’)を約0.1重量%含むEガラスをベースとする非繊維質未発泡粉末ガラス]
成分E:衝撃改質剤(Paraloid(登録商標)EXL−2300、Dow Corning Corporation、Midland Michigan、USA)
成分F:離型剤(Clariant GmbH、Muttenz、Switzerland製のN,N’−エチレンビスステアリルアミドまたはLicowax(登録商標)E)
成分G1:ガラス短繊維CS7928、サイジングあり、Lanxess Germany GmbH、Leverkusen、Germany
成分G2:粉末ガラス短繊維MF7982、サイジングあり、Lanxess Germany GmbH、Leverkusen、Germany
成分G3:35μmの領域内の典型的粒度を有するガラスビーズ(アミノアルキルトリアルコキシシランサイズ剤0.2重量%)(Potters Industries Inc.、Valley Forge、USA製のPotters Spheriglass(登録商標)3000 CP 0302)
成分G4:顆粒化エキスパンデッドガラス(Poraver(登録商標)0.04、Bennert Poraver GmbH、Postbauer Heng、Germany)
成分G5:鉱物タルク粉末(Luzenac(登録商標)A60H、Luzenac Europe SAS、Toulouse、France)
成分G6:鉱物タルク粉末(Luzenac(登録商標)1445、Luzenac Europe SAS、Toulouse、France)
成分G7:鉱物ウォラストナイト(Nyglos M3、Nyco Minerals、New York、USA)
成分H1:熱安定剤(Irganox(登録商標)1098、BASF、Ludwigshafen、Germany)
【0124】
成分Fの性質および量は、発明力ある実施例および比較例の各々において同じである。
【0125】
【表3】

【0126】
表1中の例は、成分A)のみならず成分B)および成分C)としてシアヌル酸メラミンを含み、C’)でサイジングされた本発明の調合物1、2および3を比較例C1〜C6、すなわち本発明に係る使用すべき未発泡非繊維質粉末ガラスを含まない組成物と比較した場合、これらがV−0分類の形での防火性能に関して著しい利点を示すことを示している。
【0127】
【表4】

【0128】
表2中の例は、成分A)のみならず成分B)および成分C)としてシアヌル酸メラミンを含み、C’)でサイジングされた本発明の調合物4を比較例C7〜C9、すなわち本発明に係る使用すべき未発泡非繊維質粉末ガラスを含まない組成物と比較した場合、それが難燃剤(成分B)の濃度が低い場合でも、960℃のGWFI分類の形での防火性能に関して著しい利点を示すことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)5〜95重量%、好ましくは20〜90重量%、特に好ましくは30〜80重量%の熱可塑性樹脂と;
C)10〜300μm、好ましくは20〜150μm、特に好ましくは35〜80μmのd90を有する、5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは15〜50重量%の非繊維質未発泡粉末ガラスと、
を含む組成物。
【請求項2】
A)5〜95重量%の熱可塑性ポリアミドと;
B)0.01〜40重量%のシアヌル酸メラミンと;
C)10〜200μmのd90を有する5〜80重量%の非繊維質未発泡粉末ガラスと;
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分C)が、C’) 非繊維質未発泡粉末ガラスの量に基づいて好ましくは0.01重量%〜1.5重量%の量の、少なくとも1つのアミノアルキルトリアルコキシシランでサイジングされてもいることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
D) 成分B)とは異なる0.01〜60重量%の、少なくとも1つのハロゲン含有難燃剤または少なくとも1つのハロゲンを含まない難燃剤をも含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
E)0.01〜50重量%の少なくとも1つのエラストマー改質剤を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
F)0.01〜5重量%の少なくとも1つの潤滑剤および/または離型剤を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
G)0.01〜50重量%の成分C)以外の少なくとも1つの充填材を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
H)0.01〜20重量%の少なくとも1つのさらなる添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ポリアミド成分A)に加えて、少なくとも1つのさらなる熱可塑性ポリマー、好ましくは少なくとも1つの他のポリアミドを含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
成分C)として使用すべき前記非繊維質未発泡粉末ガラスが、5未満、好ましくは3未満、特に好ましくは2未満の直径:厚み比を有する非円筒形の微粒子形状のものであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
成分C)として使用すべき前記未発泡非繊維質粉末ガラスが、可能性のあるいずれかの気体封入による密度の減少を全く示さないことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
成分C)として使用すべき前記未発泡非繊維質粉末ガラスが、繊維質ガラスに典型的で、かつ長さ:直径比(L/D比)が5を超える円筒形または楕円形の横断面を含む幾何形状を示さないことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
成分C)がソーダ石灰ガラスまたはEガラス、好ましくはEガラスをベースとすることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
成分C)が、ガラスの全ての成分に基づくKOの含有量が2重量%以下であるタイプのガラスを使用することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
成分A)がPA6またはPA66を使用することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記非繊維質未発泡粉末ガラスの前記d10がさらに0.6〜10μmであることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記非繊維質未発泡粉末ガラスの前記d50がさらに3〜50μmであることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
射出成形または押出し加工を介して請求項1〜15に記載の成分から得ることのできる製品、好ましくは繊維、箔または成形品。
【請求項19】
自動車産業、電気産業、エレクトロニクス産業、電気通信産業またはコンピュータ産業、もしくはスポーツ、医療、家庭用品、建設産業または娯楽産業における、請求項18に記載の製品の使用。

【公開番号】特開2012−132010(P2012−132010A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−281053(P2011−281053)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】