説明

粉末供給装置、噴射加工システム、および電極材料の製造方法

【課題】粉末の供給量を安定させた粉末供給装置を提供する。
【解決手段】粉末供給円盤45の一部を覆うカバー部材50に形成された粉末排出通路5
1および第一の気体供給通路52はそれぞれ、カバー部材50と粉末供給円盤45との間
隙部GPを介して互いに対向するとともに、当該間隙部GPに位置する受容部47の底面
に沿って延びるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末供給装置および噴射加工システムに関し、さらには、これらを利用した
電極材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミクロンサイズの粉末をドライ環境で一定量ずつ供給する粉末供給装置は、様々な方式
のものが製品化されている。例えば、スパイラルスプリング方式や、ドラム式、圧送・吸
引式の粉末供給装置(例えば、特許文献1を参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−65246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の粉末供給装置では、ミクロンサイズの粉末を微少量で一定量ずつ
供給する場合、粉末が有する凝集性等の特性により、粉末を安定して供給することが難し
かった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、粉末の供給量を安定させた粉
末供給装置、噴射加工システム、負極の製造方法および正極の製造方法を提供することを
目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的達成のため、本発明の態様の粉末供給装置は、粉末を貯留する貯留槽と
、外周部上面側に前記貯留槽に貯留された粉末を受容する受容部が形成された円盤状の粉
末供給円盤と、前記粉末供給円盤の回転対称軸を中心に前記粉末供給円盤を回転駆動する
回転駆動部と、前記粉末供給円盤の一部を覆って、前記粉末供給円盤との間に、前記粉末
供給円盤の回転に応じて前記受容部に受容された粉末が通過可能な間隙部を形成するカバ
ー部材と、前記間隙部に第一の気体を供給する第一の気体供給通路と、前記間隙部に連通
し、前記第一の気体により前記受容部から脱離した粉末を排出する粉末排出通路とを備え
、前記粉末排出通路および前記第一の気体供給通路はそれぞれ、前記間隙部を介して互い
に対向するとともに、前記間隙部に位置する前記受容部の底面に沿って延びるように形成
される。
【0007】
なお、上述の粉末供給装置は、前記粉末排出通路の出口端が内部に開口する粉末供給ポ
ートと、前記粉末供給ポートの内部に第二の気体を供給する第二の気体供給通路とを備え
ることが好ましい。
【0008】
また、上述の粉末供給装置において、前記粉末供給ポートは略円形断面を有し、前記第
二の気体供給通路が、前記略円形断面と同軸の気体供給ノズルをもって前記粉末供給ポー
トに開口することが好ましい。
【0009】
また、上述の粉末供給装置において、前記受容部が前記粉末供給円盤の外周部上面側に
テーパ状に形成され、前記粉末排出通路が前記間隙部の斜め下方に延びる直線状に形成さ
れるとともに、前記第一の気体供給通路が前記間隙部の斜め上方に延びる直線状に形成さ
れることが好ましい。
【0010】
また、上述の粉末供給装置において、前記貯留槽は、前記粉末供給円盤を回転可能に保
持するとともに前記カバー部材が設けられる円板保持槽と、前記円板保持槽の上方に設け
られて粉末が貯留される粉末保持槽とを有し、前記粉末保持槽の内部に、前記粉末保持槽
に貯留された粉末を移動させる羽根部材が回転可能に配設され、前記粉末保持槽の底部に
、前記受容部の上方に位置して穴部が形成されており、前記羽根部材の回転により、前記
粉末保持槽に貯留された粉末が前記穴部から落下して前記受容部に受容されることが好ま
しい。
【0011】
また、本発明の態様の噴射加工システムは、粉末を供給する粉末供給装置と、前記粉末
供給装置から供給された粉末を、気体の噴流に混合させて基材に噴射し衝突させることで
、前記基材の表面に膜を形成する噴射加工装置とを備え、前記粉末供給装置として本発明
の態様の粉末供給装置を用いている。
【0012】
なお、上述の噴射加工システムにおいて、前記噴射加工装置が前記粉末供給装置に直結
されることが好ましい。
【0013】
また、本発明の態様の電極材料の製造方法は、二次電池に用いられる電極材料の製造方
法であって、粉末供給装置を用いて、活物質を含む粉末を供給し、前記粉末供給装置から
供給された粉末を、気体の噴流に混合させて電極基材に噴射し衝突させることで、前記電
極基材の表面に膜を形成し、前記粉末供給装置として本発明の態様の粉末供給装置を用い
ている。
【0014】
なお、上述の電極材料の製造方法において、前記活物質がシリコン(Si)であること
が好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、粉末の供給量が微少な場合でも、粉末を安定して供給することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】供給パイプおよび第三槽の断面図である。
【図2】第1実施形態に係る噴射加工システムの概要構成図である。
【図3】第1実施形態に係る粉末供給装置の平面図である。
【図4】供給パイプおよび第三槽の斜視図である。
【図5】(a)は第1実施形態の粉末供給装置による粉末噴射量の経時変化を示すグラフであり、(b)は従来の粉末供給装置による粉末噴射量の経時変化を示すグラフである。
【図6】(a)は第1実施形態の粉末供給装置による平均噴射量の経時変化を示すグラフであり、(b)は従来の粉末供給装置による平均噴射量の経時変化を示すグラフである。
【図7】(a)はリチウムイオン二次電池の概要構成図であり、(b)はリチウムイオン二次電池用負極の概要構成図(断面図)である。
【図8】リチウムイオン二次電池に用いられる負極(もしくは正極)の製造方法を示すフローチャートである。
【図9】(a)は第2実施形態に係る噴射加工システムの概要構成図であり、(b)は(a)中の矢印IX−IXに沿った断面図である。
【図10】第2実施形態に係る噴射加工装置の近傍を示す拡大断面図である。
【図11】第2実施形態に係る粉末供給円盤の斜視図である。
【図12】第2実施形態に係るノズルユニットの斜視図である。
【図13】図12中の矢印XIII−XIIIから見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。第1実施形態に係る噴射加工シス
テム1を図2に示しており、この噴射加工システム1は、粉末(固体微粒子)PWを供給
する粉末供給装置10と、粉末供給装置10から供給された粉末PWを、気体の噴流に混
合させて基材(例えば、後述の電極基材131)に噴射し衝突させることで、基材の表面
に膜を形成する噴射加工装置60とを備えて構成される。粉末供給装置10は、箱状の筐
体部11と、筐体部11の上部に支持されて粉末PWを貯留する貯留槽20と、貯留槽2
0に貯留された粉末PWを外部の噴射加工装置60に供給する粉末供給ポート55とを備
えて構成される。
【0018】
図2における筐体部11の内部右側には、貯留槽20に設けられた第一羽根車22を回
転駆動する第一ステッピングモータ12が配設される。第一ステッピングモータ12の回
転軸12aは、鉛直上方に延びて、その先端部が第一モータカップリング15と連結され
る。図2における筐体部11の内部中央には、貯留槽20に設けられた第二羽根車32を
回転駆動する第二ステッピングモータ13が配設される。第二ステッピングモータ13の
回転軸13aは、鉛直上方に延びて、その先端部が第二モータカップリング16と連結さ
れる。図2における筐体部11の内部左側には、貯留槽20に設けられた粉末供給円盤4
5を回転駆動する第三ステッピングモータ14が配設される。第三ステッピングモータ1
4の回転軸14aは、鉛直上方に延びて、その先端部が第三モータカップリング17と連
結される。
【0019】
貯留槽20は、図2および図3に示すように、最上段に位置する第一槽21と、第一槽
21の下側(図2における左下側)に位置する第二槽31と、第二槽31の下側(図2に
おける左下側)に位置する第三槽41とから構成される。第一槽21は、粉末PWを貯留
可能な有底円筒状に形成され、その内部で粉末PWを攪拌するための第一羽根車22を回
転可能に保持している。第一羽根車22は、複数の羽根部材を有して構成され、第一羽根
車22の回転対称軸中心に回転することで、第一槽21に貯留された粉末PWを攪拌して
移動させることができるようになっている。第一羽根車22の下側中央部には、第一槽2
1の底部を貫通して上下に延びる第一駆動軸23の上端部が連結されている。第一駆動軸
23の下端部は第一モータカップリング15と連結され、これにより、第一ステッピング
モータ12の回転駆動力が第一モータカップリング15および第一駆動軸23を介して第
一羽根車22に伝達される。第一槽21の底部外周側には、第二槽31の上方に位置して
穴部25が形成されており、第一羽根車22(羽根部材)の回転により、第一槽21に貯
留された粉末PWがこの穴部25から落下して第二槽31に貯留されるようになっている

【0020】
第二槽31は、粉末PWを貯留可能な有底円筒状に形成され、その内部で粉末PWを攪
拌するための第二羽根車32を回転可能に保持している。第二羽根車32は、複数の羽根
部材を有して構成され、第二羽根車32の回転対称軸中心に回転することで、第二槽31
に貯留された粉末PWを攪拌して移動させることができるようになっている。第二羽根車
32の下側中央部には、第二槽31の底部を貫通して上下に延びる第二駆動軸33の上端
部が連結されている。第二駆動軸33の下端部は第二モータカップリング16と連結され
、これにより、第二ステッピングモータ13の回転駆動力が第二モータカップリング16
および第二駆動軸33を介して第二羽根車32に伝達される。第二槽31の底部外周側に
は、第三槽41の粉末供給円盤45に形成された受容部47の上方に位置して円弧状の穴
部35が形成されており、第二羽根車32(羽根部材)の回転により、第二槽31に貯留
された粉末PWがこの穴部35から落下して粉末供給円盤45の受容部47に受容される
ようになっている。
【0021】
また、第二槽31の内部には、第二槽31に貯留された粉末PWの高さを検出する高さ
検出器(図示せず)が配設されている。高さ検出器の高さ検出信号は、図示しないコント
ローラに出力され、当該コントローラは、高さ検出器に検出された第二槽31内の粉末P
Wの高さが所定の高さより低い場合に、第一羽根車22を回転させて第一槽21から第二
槽31へ粉末PWを落下させるように第一ステッピングモータ12の作動を制御する。こ
れにより、第二槽31内の粉末PWの高さを所定の範囲内に保つことができるため、第二
槽31内の粉末PWの密度(自重)がほぼ一定となり、受容部47に受容される粉末の量
(体積および密度)を常に一定に保つことができる。なお、第二ステッピングモータ13
および第三ステッピングモータ14の作動も、上述のコントローラ(図示せず)により制
御される。
【0022】
第三槽41は、粉末供給円盤45を受容可能な容器状に形成され、その内部で粉末供給
円盤45を回転対称軸中心に回転可能に保持している。粉末供給円盤45は、第三槽41
の内部で上方を向く円盤状に形成される。粉末供給円盤45の下側中央部には、第三槽4
1の底部を貫通して上下に延びる第三駆動軸46の上端部が連結されている。第三駆動軸
46の下端部は第三モータカップリング17と連結され、これにより、第三ステッピング
モータ14の回転駆動力が第三モータカップリング17および第三駆動軸46を介して粉
末供給円盤45に伝達される。粉末供給円盤45の外周部上面側には、第二槽31から穴
部35を通して第三槽41へ落下した粉末PWを受容するテーパ状の受容部47が形成さ
れる。また、粉末供給円盤45の外周部上面側に複数の仕切壁48が形成され、この仕切
壁48によって受容部47が複数のポケット状に仕切られる。
【0023】
第三槽41には、第三槽41の一部を覆うように天井部42が形成され、この天井部4
2に、粉末供給円盤45の外周部近傍を覆うカバー部材50が取り付けられる。カバー部
材50は、図1および図4に示すように、第三槽41の外周部と天井部42とに跨るブロ
ック状に形成され、粉末供給円盤45との間に、粉末供給円盤45の回転に応じて受容部
47に受容された粉末PWが通過可能な間隙部GPを形成するように構成される。なお、
間隙部GPの断面形状は、粉末供給円盤45の仕切壁48の形状に合わせた直角三角形と
なる。カバー部材50の下部には、間隙部GPを通過する粉末PWを粉末供給ポート55
に導く粉末排出通路51が形成される。粉末排出通路51は、間隙部GPから斜め下方に
延びる直線状に形成され、間隙部GPと粉末供給ポート55とを連通させるようになって
いる。すなわち、粉末排出通路51は、カバー部材50の下部、第三槽41の側部、およ
び粉末供給ポート55の側部に跨って形成され、粉末排出通路51の入口端部が間隙部G
Pに開口するとともに、粉末排出通路51の出口端部が粉末供給ポート55の内部に開口
することになる。
【0024】
一方、カバー部材50の上部には、上述の間隙部GPに気体を供給する第一の気体供給
通路52が形成される。第一の気体供給通路52の上流側は上下に延びる直線状に形成さ
れ、第一の気体供給通路52の上端部に、第一の気体供給通路52内に気体を供給する第
一の気体供給装置54が接続される。第一の気体供給通路52の下流側は、間隙部GPか
ら斜め上方に延びる直線状に形成され、第一の気体供給通路52が途中で折れ曲がる構成
となっている。このように、第一の気体供給通路52の下流側と粉末排出通路51はそれ
ぞれ、間隙部GPを介して互いに対向するとともに、間隙部GPに位置する受容部47の
底面に沿って延びるように形成される。
【0025】
これにより、第一の気体供給装置54から供給される第一の気体は、第一の気体供給通
路52を通って間隙部GPに達し、第一の気体供給通路52の開口部に位置する粉末PW
に衝突する。その結果、第一の気体供給通路52の開口部に位置する粉末PWは受容部4
7から切り出され(脱離し)、第一の気体とともに粉末排出通路51から粉末供給ポート
55に導かれる。このとき、第一の気体供給通路52と粉末排出通路51はそれぞれ受容
部47の底面に沿って延びるように形成されているので、受容部47の粉末PWが第一の
気体から受ける力は受容部47の底面に沿って粉末排出通路51の方向へ向かうことにな
り、粉末PWは別段の障害を受けることなく全量が粉末排出通路51に排出される。また
、粉末供給円盤45は、第二糟31の穴部35から気体供給通路52に向かって常に一定
の角速度で回転しているため、第一の気体供給通路52の開口部には常に一定速度で粉末
PWが供給される。その結果、粉末供給円盤45の回転方向の前端部に位置する粉末PW
が連続的に切り出され(脱離し)、一定の排出速度(単位時間当たりの排出量、以下同じ
)で粉末排出通路51に排出されて、粉末の定量供給が実現される。なお、第一の気体供
給通路52の下流側と粉末排出通路51の延伸方向断面はともに、上下に細長く延びた長
方形断面であるため、粉末PWの前端部が常に平面状に維持されるので、受容部47の粉
末PWが予期しない崩壊等を起こすことが抑制され、粉末の安定供給が可能になる。また
、第一の気体供給装置54が供給する第一の気体は、例えば、空気や、窒素ガス、アルゴ
ンガス、ネオンガス、ヘリウムガス等であり、粉末PWの種類等に応じて適宜選択される

【0026】
粉末供給ポート55は、図1に示すように、内部空間の断面が略円形である上下に延び
る管状に形成され、上端部が気体供給ノズル56を介して粉末供給ポート55内に気体を
供給する第二の気体供給装置59と接続されるとともに、下端部が外部に繋がる接続パイ
プ57(図2を参照)と接続されるようになっている。気体供給ノズル56は、粉末供給
ポート55の内部で上下に延びる短い管状に形成されており、気体供給ノズル56の上部
が粉末供給ポート55の上部と嵌合して、粉末供給ポート55と同軸に配設されるように
なっている。気体供給ノズル56の上端部は第二の気体供給装置59と接続され、気体供
給ノズル56の内部に、第二の気体供給装置59から供給される気体を通過させる第二の
気体供給通路56aが形成される。また、気体供給ノズル56は、粉末供給ポート55の
中腹部(および下部)の内径よりも小さい外径を有しており、気体供給ノズル56の下部
が粉末供給ポート55の内部(中腹部)における粉末排出通路51の開口部近傍に位置す
るようになっている。
【0027】
これにより、第二の気体供給装置59から供給される第二の気体は、気体供給ノズル5
6内の第二の気体供給通路56aを通って粉末供給ポート55内に達し、前述した第一の
気体によって粉末排出通路51から粉末供給ポート55内に導かれた粉末PWとともに、
粉末供給ポート55および接続パイプ57を通って外部(噴射加工装置60)に導かれる
。なおこのとき、気体供給ノズル56から粉末供給ポート55内に噴出される気体のエジ
ェクタ効果も作用して、粉末排出通路51内の粉末PWが粉末供給ポート55側に吸引さ
れるようになっている。また、第二の気体供給装置59が供給する第二の気体は、例えば
、空気や、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、ヘリウムガス等であり、粉末PWの種
類等に応じて適宜選択される。
【0028】
接続パイプ57は、図2に示すように、基端部が粉末供給ポート55と接続されるとと
もに、先端部が噴射加工装置60(外部装置)と接続され、粉末供給ポート55から供給
される粉末PWを噴射加工装置60に導く。この噴射加工装置60は、パウダー・ジェッ
ト・デポジション(Powder Jet Deposition)法により成膜を行う噴射加工装置であり
、図2に示すように、ノズルユニット61と、加速用のガスをノズルユニット61に供給
する加速ガス供給ユニット65と、ノズルユニット61に対して基材を相対移動させる移
動ユニット(図示せず)と、加速ガス供給ユニット65によるガス供給や移動ユニットに
よる基材の相対移動を制御する制御ユニット(図示せず)などを備え、ノズルユニット6
1に供給された粉末(固体微粒子)PWがノズル内部を流れるガス流により分散・加速さ
れてノズル先端から基材(例えば、後述の電極基材131)に噴射されるように構成され
る。
【0029】
ノズルユニット61は、ベースとなるノズルブロック62と、先端部がノズルブロック
62から突出して固定された矩形中空パイプ状の噴射ノズル63と、上下方向の開口寸法
が噴射ノズル63よりも小さい矩形中空パイプ状をなし、先端側が噴射ノズル63の基端
側から同一軸上に挿入された粉末供給ノズル(図示せず)とを有して構成される。すなわ
ち、噴射ノズル63の基端部と粉末供給ノズルの先端部とは一部重なって配設され、この
重複部に、上下方向の流路幅が0.05〜0.3mm程度のスリット状の加速ガス噴流路(
図示せず)が形成される。なお、噴射ノズル63および粉末供給ノズル(図示せず)は、
セラミックス等の耐食性材料を用いて形成される。
【0030】
ノズルブロック62には、噴射ノズル63の基端側で上述した上下の加速ガス噴流路と
繋がる加速ガス導入路(図示せず)が形成され、これらの加速ガス導入路に加速ガス供給
ユニット65が接続される。加速ガス供給ユニット65が供給する気体は、例えば、空気
や、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、ヘリウムガス等であり、粉末(固体微粒子)
PWの種類等に応じて適宜選択される。また、ノズルブロック62には、粉末供給ノズル
の基端側と繋がる粉末供給路(図示せず)が形成され、この粉末供給路に接続パイプ57
が接続される。
【0031】
以上のように構成される噴射加工システム1において、粉末供給装置10では、第一ス
テッピングモータ12の回転駆動によって、第一羽根車22(羽根部材)が図3における
時計回り(もしくは反時計回り)に回転すると、第一槽21に貯留された粉末(固体微粒
子)PWが攪拌されつつ移動し、第一槽21の穴部25から落下して第二槽31に貯留さ
れる。次に、第二ステッピングモータ13の回転駆動によって、第二羽根車32(羽根部
材)が図3における反時計回り(もしくは時計回り)に回転すると、第二槽31に貯留さ
れた粉末PWが攪拌されつつ移動し、第二槽31の穴部35から落下して粉末供給円盤4
5の受容部47に受容される。
【0032】
次に、第三ステッピングモータ14の回転駆動によって、粉末供給円盤45が図3にお
ける時計回り(もしくは反時計回り)に回転すると、粉末供給円盤45の受容部47に受
容された粉末PWは、粉末供給円盤45とともに回転移動してカバー部材50と粉末供給
円盤45との間隙部GPに到達する。ここで、図1に示すように、第一の気体供給装置5
4からカバー部材50の第一の気体供給通路52に供給された第一の気体は、当該第一の
気体供給通路52を通って間隙部GPに達し、このとき間隙部GPを通過する粉末PWを
粉末排出通路51側に切り出して(押し出して)、切り出した粉末PWとともに粉末排出
通路51から粉末供給ポート55に導かれる。さらに、第二の気体供給装置59から気体
供給ノズル56に供給された第二の気体は、当該気体供給ノズル56内の第二の気体供給
通路56aを通って粉末供給ポート55内に達し、前述した第一の気体によって粉末排出
通路51から粉末供給ポート55内に導かれた粉末PWとともに、粉末供給ポート55お
よび接続パイプ57を通って噴射加工装置60に導かれる。このとき、気体供給ノズル5
6から粉末供給ポート55内に噴出される気体のエジェクタ効果も作用して、粉末排出通
路51内の粉末PWが粉末供給ポート55側に吸引されて、気体供給ノズル56からの気
体と混合した状態で噴射加工装置60に供給される。
【0033】
ここで、第1実施形態の粉末供給装置10と従来の粉末供給装置との性能比較を行った
結果を図5および図6に示す。図5(a)は、第1実施形態の粉末供給装置10による粉
末噴射量(総供給量)の経時変化を示すグラフであり、図5(b)は、従来の粉末供給装
置による粉末噴射量(総供給量)の経時変化を示すグラフである。なお、実験に用いた粉
末PWはアルミナ粉末である。図5からわかるように、第1実施形態の粉末供給装置10
は、従来の粉末供給装置と比較して、粉末噴射量(総供給量)の経時変化が線形(特に、
供給量が0.05g/sec〜0.3g/secでの線形性が高いグラフ)であり、粉末PWの
供給量が微少な場合でも、粉末PWを一定の供給量で供給することができる。また、従来
の粉末供給装置では、同じ条件でN=4回測定を行ったが、測定結果のばらつきが大きく
、第1実施形態の粉末供給装置10は、従来の粉末供給装置と比較して、粉末噴射量(総
供給量)の再現性も高い。
【0034】
図6(a)は、第1実施形態の粉末供給装置による平均噴射量(供給量)の経時変化を
示すグラフであり、図6(b)は、従来の粉末供給装置による平均噴射量(供給量)の経
時変化を示すグラフである。なお、平均噴射量(供給量)は30秒あたりの平均である。
図6からわかるように、第1実施形態の粉末供給装置10は、従来の粉末供給装置と比較
して、供給量が0.05g/sec〜0.3g/secの範囲で、平均噴射量(供給量)のばら
つきが小さく、特に、0.1g/secでの平均噴射量(供給量)が非常に安定している。
【0035】
このように、第1実施形態の粉末供給装置10によれば、粉末供給円盤45の一部を覆
うカバー部材50に形成された粉末排出通路51および第一の気体供給通路52はそれぞ
れ、カバー部材50と粉末供給円盤45との間隙部GPを介して互いに対向するとともに
、当該間隙部GPに位置する受容部47の底面に沿って延びるように形成されるため、間
隙部GPに位置する受容部47に受容された粉末PWを、第一の気体供給通路52から供
給される気体の流れる方向と同じ方向に切り出して(押し出して)粉末排出通路51から
粉末供給ポート55に導くことができ、粉末PWの供給量が微少な場合でも、粉末PWを
安定して供給することができる。
【0036】
さらに、粉末供給円盤45の回転方向の前端部に位置する粉末PWが連続的に切り出さ
れ(脱離し)、一定の排出速度で粉末排出通路51に排出されるため、湿度や凝集性の影
響を受けにくく、凝集性の高い粉末でその供給量が微少な場合でも、粉末PWを安定して
供給することができる。また、粉末供給円盤45の回転数や、受容部47の形状、粉末排
出通路51および第一の気体供給通路52の断面の寸法等を変えることにより、粉末PW
の供給量を容易にコントロールすることができる。
【0037】
また、第二の気体供給通路56aが、粉末供給ポート55の略円形断面と同軸の気体供
給ノズル56をもって粉末供給ポート55内に開口するため、第一の気体供給通路52か
ら供給される気体により粉末PWを粉末排出通路51から粉末供給ポート55へ押し込む
効果と、気体供給ノズル56から粉末供給ポート55内に噴出される気体のエジェクタ効
果(吸引効果)とが相まって、粉末PWを粉末排出通路51から粉末供給ポート55へ、
途中経路での滞留や付着・堆積を生じることなく、効率的に導くことができる。さらに、
粉末排出通路51から粉末供給ポート55へ導かれた粉末PWは、上述の押し込み効果と
エジェクタ効果(吸引効果)による壁面への衝突、および粉末排出通路51から粉末供給
ポート55への急激な拡管による乱流により、気体供給ノズル56から噴出する気体と混
合されるため、粉末PWの分散性を向上させることができる。また、気体供給ノズル56
から噴出する気体の圧力を容易に変えることができるとともに、当該圧力の許容範囲も大
きいため、粉末供給ポート55より下流側の影響(例えば、接続パイプ57および外部装
置での圧力損失等)を受けることなく、柔軟に対応することができる。
【0038】
また、受容部47が粉末供給円盤45の外周部上面側にテーパ状に形成され、粉末排出
通路51が間隙部GPの斜め下方に延びる直線状に形成されるとともに、第一の気体供給
通路52が間隙部GPの斜め上方に延びる直線状に形成されるため、間隙部GPに位置す
る受容部47に受容された粉末PWを、より効率的に、第一の気体供給通路52から供給
される気体の流れる方向と同じ方向に切り出して(押し出して)粉末排出通路51から粉
末供給ポート55に導くことができる。
【0039】
また、第二羽根車32の回転により、第二槽31に貯留された粉末PWが穴部35から
落下して受容部47に受容されるように構成されるため、第二羽根車32の回転数等を調
節することで、粉末PWを受容部47に隙間なく充填することができる。
【0040】
以上のようにして、粉末供給装置10から噴射加工装置60に粉末(固体微粒子)PW
が供給されると、噴射加工装置60では、粉末供給装置10において気体と混合した粉末
PWがノズルブロック62の粉末供給路(図示せず)および粉末供給ノズル(図示せず)
を通って、噴射ノズル63内に到達する。このとき、制御ユニット(図示せず)により加
速ガス供給ユニット65の作動を制御し、加速ガス供給ユニット65からノズルユニット
61に供給される加速ガスの圧力・流量を制御することにより、粉末供給装置10から供
給されて噴射ノズル63内に到達した粉末PWが加速ガスにより加速されて噴射ノズル6
3の先端から基材(例えば、後述の電極基材131)に向けて噴射される。
【0041】
具体的には、加速ガス供給ユニット65からノズルブロック62の加速ガス導入路(図
示せず)に所定圧力(〜2MPa)で加速ガスを供給すると、供給した加速ガスは加速ガ
ス噴流路(図示せず)を通って噴射ノズル63内に噴射され、噴射ノズル63の先端から
噴出する。このとき、噴射ノズル63における加速ガス噴流路の出口領域では、粉末供給
ノズル(図示せず)との断面積差によるエジェクタ効果等により、粉末供給ノズルの出口
前方に大きな乱流が発生し、粉末供給ノズルを通過する粉末PWは、粉末供給ノズルの出
口前方で加速ガス噴流路から噴出する加速ガスの乱流に巻き込まれて分散されるとともに
、ガス流に加速されて噴射ノズル63の先端から基材(例えば、後述の電極基材131)
に向けて噴射される。
【0042】
第1実施形態の噴射加工システム1によれば、粉末(固体微粒子)PWの供給量が微少
な場合でも、粉末PWを安定して供給できる粉末供給装置10を備えているため、粉末P
Wの噴射量が微少な場合でも、粉末PWの噴射量を一定に保つことができ、効率的で安定
的な加工を行うことができる。
【0043】
以上、パウダー・ジェット・デポジション(Powder Jet Deposition)法により成膜を
行う噴射加工システム1について説明したが、ノズルユニット61の断面形状は矩形に限
られるものではなく、円形(真円あるいは長円)や多角形、あるいは円形(矩形)ノズル
を千鳥配列するなど適宜な形状にすることができる。また、第一の気体供給装置54およ
び第二の気体供給装置59から供給されるガスや、加速ガス供給ユニット65からノズル
ユニット61に供給される加速ガスは、前述したように、基材や粉末PWなど加工対象に
応じて適宜選択することができる。これらのガスを同種のガスあるいは異なる種類のガス
とすることや、成膜加工の進行に伴いガスの種類や混合比率を変化させることなども任意
である。なお、使用するガスを第18族元素ガス、または窒素ガスのような不活性ガスを
用いることにより、粉末PWの付着プロセスでの酸化作用を抑止することができる。また
、ヘリウムに代表されるように質量の小さいガスを用いれば、粉末PWの衝突速度を高速
化することができ、空気を用いれば、成膜コストを低減することができる。
【0044】
次に、以上のような構成の噴射加工システム1により、電極基材の表面に活物質を有す
る膜を成膜することで、リチウムイオン二次電池の負極を製造する方法について説明する
。そこでまず、リチウムイオン二次電池の一例について図7を参照しながら説明する。図
7(a)に示すように、リチウムイオン二次電池101は、正極102および負極103
と、正極102と負極103との間に設けられたセパレータ104と、これらを収容する
ラミネートフィルム105とを備えて構成される。正極102、セパレータ104、およ
び負極103は、それぞれ薄板状に形成されるとともにこの順で複数積層された状態で、
電解液(図示せず)とともにラミネートフィルム105内に封入される。この状態で、正
極102が正極端子リード106を介してラミネートフィルム105の外部に露出する正
極タブ107と電気的に接続されるとともに、負極103が負極端子リード108を介し
てラミネートフィルム105の外部に露出する負極タブ109と電気的に接続される。
【0045】
正極102には、例えば、集電体であるアルミ箔にコバルト酸リチウムなどのリチウム
遷移金属酸化物を正極活物質として付着形成した公知の正極が用いられる。そして、正極
102は、セパレータ104を挟んで負極103と対向し、電解液(図示せず)を介して
負極103と接続される。なお、電解液(図示せず)として、例えば、プロピレンカーボ
ネートやエチレンカーボネート等の公知の溶媒にLiClO4やLiPF6等の公知の電解
質(非水電解質)を溶かしたものが用いられる。
【0046】
負極103は、図1(b)に示すように、集電体である電極基材131と、正極102
と対向する電極基材131の一方もしくは両方の表面に成膜された活物質を有する膜13
2とを有して構成される。電極基材131は、例えば、導電性の高い銅箔を用いて薄板状
に形成される。活物質を有する膜132は、負極活物質となるシリコン(Si:ケイ素)
および銅とシリコンの合金であるCu3Siと、結合材となる銅(Cu)とからなり、表
面に凹凸が形成される。
【0047】
以上のように構成されるリチウムイオン二次電池101の負極103を製造するには、
まず、図8のフローチャートにも示すように、前述の粉末供給装置10を用いて、シリコ
ンと銅を含む粉末(固体微粒子)PWを噴射加工装置60に供給する(ステップS101
)。次に、噴射加工装置60を用いて、常温かつ常圧の環境下において音速以下の噴射速
度で粉末PWを噴射し、集電体である電極基材131上に負極材料の膜132を形成する
(ステップS102)。すなわち、パウダー・ジェット・デポジション法を用いた成膜が
行われる。これにより、加温装置、超音速ノズルや減圧設備等を用いない簡明かつ自由度
の高い構成で、安定した固体材料膜を形成することができる。
【0048】
なお、このような負極材料の成膜に使用される粉末(固体微粒子)PWは、リチウム化
合物の形成能が高い活物質としてのシリコン(Si:ケイ素)と、導電性を有する銅(C
u)を原料として、メカニカルアロイング(Mechanical Alloying)により形成される。
ここで、「リチウム化合物の形成能が高い材料」とは、リチウムとの合金または金属間化
合物を形成しやすい材料をいう。メカニカルアロイングは、機械的プロセスで合金化を行
う粉末の製造方法であり、高エネルギーのボールミル等により原料粉末の混合物に機械的
エネルギーを与え、破砕と冷間圧延の繰り返しにより固体のままで合金化が行われる。本
実施形態では、ボールミル等によりシリコンと銅の混合粉末に機械的エネルギーを与え、
破砕と冷間圧延の繰り返しにより合金化することで、シリコンと、銅と、銅(Cu)とシ
リコン(Si)の合金であるCu3Siの3相を含む粉末(固体微粒子)PWが生成され
る。
【0049】
このときの粉末PWの噴射速度は、主としてノズルユニット61に供給される加速ガス
の種類及び圧力を制御することにより設定され、例えば、加速ガスが空気の場合には、5
0〜300m/sec程度の音速以下の速度で噴射される。加速ガスとともに噴射された粉
末PWは、ノズル先端から0.5〜2mm程度の距離に配置された電極基材131の被付着
面(粉末PWが衝突して付着する面をいい、成膜前における電極基材(集電体)131の
表面、成膜中における付着した電極材料の膜面をいう)に衝突して付着する。このとき、
粉末PWを噴射させながらノズルユニット61と電極基材131とを相対移動させること
により、常温かつ常圧下で、電極基材131上に負極材料の膜132が形成される。
【0050】
本実施形態のリチウムイオン二次電池101に用いられる負極103の製造方法によれ
ば、粉末(固体微粒子)PWの供給量が微少な場合でも、粉末PWを安定して供給できる
粉末供給装置10が用いられるため、粉末PWの噴射量が微少な場合でも、粉末PWの噴
射量を一定に保つことができ、少ない粉末PWの噴射量で、電極基材131上に負極材料
の膜132を効率的、安定的に形成することができる。
【0051】
なお、上述の実施形態において、リチウムイオン二次電池101の負極103に形成さ
れた膜132は、シリコンと、銅と、銅とシリコンの合金とから構成されているが、これ
に限られるものではなく、例えば、シリコンと、ニッケル(Ni)と、ニッケルとシリコ
ンの合金とから構成されてもよい。このような構成でも、上述の実施形態の場合と同様の
効果を得ることができる。なお、ニッケルとシリコンの合金は、NiSi、NiSi2
およびNiSiとNiSi2の混合物のうち少なくとも一種類からなることが好ましい。
【0052】
また、上述の実施形態において、噴射加工システム1により、電極基材の表面に活物質
を有する膜を成膜することで、リチウムイオン二次電池101の負極103を製造する方
法について説明したが、これに限られるものではなく、リチウムイオン二次電池101の
正極102を製造することも可能である。例えば、負極103の場合と同様に、まず、粉
末供給装置10を用いて、リチウム系の合金材料を含む粉末(固体微粒子)PWを噴射加
工装置60に供給し(ステップS101)、噴射加工装置60を用いて、常温かつ常圧の
環境下において音速以下の噴射速度で粉末PWを噴射することで、電極基材上に正極材料
の膜を形成することができる(ステップS102)。このような正極102の製造方法に
よれば、負極103を製造する場合と同様の効果を得ることができる。
【0053】
なお、正極用の電極基材(図示せず)は、例えば、導電性の高いアルミ箔を用いて薄板
状に形成される。また、正極材料(膜の材料)として、例えば、正極活物質となるコバル
ト酸リチウム(LiCoO2)を用いることができる。さらに、コバルト酸リチウムに限
らず、LiNiO2、LiMn24、LiMnO2、LixTiS2、Lix25、V2Mo
8、MoS2、LiFePO4等を用いることができる。
【0054】
また、上述の実施形態において、リチウムイオン二次電池101をラミネート型に形成
しているが、これに限られるものではなく、例えば、円筒型や、角型、セル型等であって
もよい。
【0055】
また、上述の実施形態において、リチウムイオン二次電池101に用いる正極材料およ
び負極材料の製造方法を例示的に説明したが、本発明の態様の噴射加工システムは、パウ
ダー・ジェット・デポジション法により成膜可能な材料であれば、他の構成の二次電池用
電極材料や一次電池用電極材料、燃料電池電極材料の製造にも同様に用いることができる

【0056】
また、上述の実施形態において、貯留槽20は、第一槽21と、第二槽31と、第三槽
41とを有して構成されているが、これに限られるものではなく、粉末PWの種類等によ
っては、第一槽21を設けなくてもよい。さらには、第二槽31も設けずに、第三槽41
に粉末PWを貯留させるような構成であってもよい。また、第三槽41は、上述の天井部
42やカバー部材50等を用いた構成に限らず、粉末供給円盤45の外周部に一定量の粉
末PWを充填可能な構成であればよい。
【0057】
また、上述の実施形態において、粉末供給ポート55の内部に気体供給ノズル56が設
けられているが、これに限られるものではなく、粉末PWの種類等によっては、気体供給
ノズル56および第二の気体供給装置59を設けなくてもよい。
【0058】
続いて、噴射加工システムの第2実施形態について説明する。第2実施形態の噴射加工
システム201は、図9に示すように、粉末(固体微粒子)PWを供給する粉末供給装置
210と、粉末供給装置210から供給された粉末PWを、気体の噴流に混合させて基材
(例えば、前述の電極基材131)に噴射し衝突させることで、基材の表面に膜を形成す
る噴射加工装置260とを備えて構成される。なお、図9および図10において、粉末P
Wの記載を省略している。第2実施形態の粉末供給装置210は、箱状の筐体部211と
、筐体部211の上部に支持されて粉末PWを貯留する貯留槽220と、貯留槽220に
貯留された粉末PWを外部の噴射加工装置260に供給する粉末供給ポート255とを備
えて構成される。
【0059】
筐体部211の上部背面側(図9における筐体部211の上部右側)には、貯留槽22
0に設けられた羽根車222および粉末供給円盤245を回転駆動する電気モータ212
が配設される。電気モータ212の回転軸212aは、鉛直下方に延びて、その先端部が
歯車機構213と連結される。歯車機構213は、第1歯車214と、第2歯車215と
、第3歯車216と、第4歯車217とを有して構成される。
【0060】
第1歯車214は、電気モータ212の回転軸212aの下端部に結合され、第2歯車
215と噛合される。第2歯車215は、筐体部211の内部に配設された中間軸218
に回転自在に取り付けられ、第1歯車214および第3歯車216と噛合される。第3歯
車216は、羽根車222と繋がる羽根車駆動軸223の下端部に結合され、第2歯車2
15および第4歯車217と噛合される。第4歯車217は、粉末供給円盤245と繋が
る円盤駆動軸246の下端部に結合され、第3歯車216と噛合される。これにより、電
気モータ212の回転駆動力が歯車機構213を介して羽根車222および粉末供給円盤
245に伝達される。
【0061】
貯留槽220は、上側に位置する上槽221と、上槽221の下側(図9における左下
側)に位置する下槽231とから構成される。上槽221は、粉末PWを貯留可能な有底
円筒状に形成され、その内部で粉末PWを攪拌するための羽根車222を回転可能に保持
している。羽根車222は、複数の羽根部材を有して構成され、羽根車222の回転対称
軸中心に回転することで、上槽221に貯留された粉末PWを攪拌して移動させることが
できるようになっている。羽根車222の下側中央部には、上槽221の底部を貫通して
上下に延びる羽根車駆動軸223の上端部が連結されている。羽根車駆動軸223の下端
部に第3歯車216が結合され、これにより、電気モータ212の回転駆動力が第1〜第
3歯車214〜216および羽根車駆動軸223を介して羽根車222に伝達される。上
槽221の底部外周側には、図10に示すように、下槽231の粉末供給円盤245に形
成された受容部247の上方に位置して円弧状の穴部225が形成されており、羽根車2
22(羽根部材)の回転により、上槽221に貯留された粉末PWがこの穴部225から
落下して粉末供給円盤245の受容部247に受容されるようになっている。
【0062】
下槽231は、粉末供給円盤245を受容可能な容器状に形成され、その内部で粉末供
給円盤245を回転対称軸中心に回転可能に保持している。粉末供給円盤245は、下槽
231の内部で上方を向く円盤状に形成される。粉末供給円盤245の下側中央部には、
下槽231の底部を貫通して上下に延びる円盤駆動軸246の上端部が連結されている。
円盤駆動軸246の下端部に第4歯車217が結合され、これにより、電気モータ212
の回転駆動力が第1〜第4歯車214〜217および円盤駆動軸246を介して粉末供給
円盤245に伝達される。粉末供給円盤245の外周部上面側には、上槽221から穴部
225を通して下槽231へ落下した粉末PWを受容するテーパ状の受容部247が形成
される。また、図11に示すように、粉末供給円盤245の外周部上面側に複数の仕切壁
248が形成され、この仕切壁248によって受容部247が複数のポケット状に仕切ら
れる。
【0063】
下槽231には、粉末供給円盤245の上部および外周部を覆うカバー部材250が取
り付けられる。カバー部材250は、図10に示すように、下槽231の天井部と外周部
の一部を構成するブロック状に形成され、粉末供給円盤245との間に、粉末供給円盤2
45の回転に応じて受容部247に受容された粉末PWが通過可能な間隙部GP´を形成
するように構成される。なお、間隙部GP´の断面形状は、粉末供給円盤245の仕切壁
248の形状に合わせた直角三角形となる。カバー部材250の側下部には、間隙部GP
´を通過する粉末PWを粉末供給ポート255に導く粉末排出通路251が形成される。
粉末排出通路251は、間隙部GP´から斜め下方に延びる直線状に形成され、間隙部G
P´と粉末供給ポート255とを連通させるようになっている。すなわち、粉末排出通路
251の入口端部が間隙部GP´に開口するとともに、粉末排出通路251の出口端部が
粉末供給ポート255の内部(後述の粉末供給通路256)に開口する。
【0064】
一方、カバー部材250の上部には、上述の間隙部GP´に気体を供給する第一の気体
供給通路252が形成される。第一の気体供給通路252の上流側は、上下に延びるよう
に形成され、上流端部に設けられた気体供給ポート253を介して、第一の気体供給通路
252内に気体を供給する第一の気体供給装置254と接続される。第一の気体供給通路
252の下流側は、間隙部GP´から斜め上方に延びる直線状に形成され、第一の気体供
給通路252が途中で折れ曲がる構成となっている。このように、第一の気体供給通路2
52の下流側と粉末排出通路251はそれぞれ、間隙部GP´を介して互いに対向すると
ともに、間隙部GP´に位置する受容部247の底面に沿って延びるように形成される。
【0065】
これにより、第一の気体供給装置254から供給される第一の気体は、第一の気体供給
通路252を通って間隙部GP´に達し、第一の気体供給通路252の開口部に位置する
粉末PWに衝突する。その結果、第一の気体供給通路252の開口部に位置する粉末PW
は受容部247から切り出され(脱離し)、第一の気体とともに粉末排出通路251から
粉末供給ポート255内に導かれる。このとき、第一の気体供給通路252と粉末排出通
路251はそれぞれ受容部247の底面に沿って延びるように形成されているので、受容
部247の粉末PWが第一の気体から受ける力は受容部247の底面に沿って粉末排出通
路251の方向へ向かうことになり、粉末PWは別段の障害を受けることなく全量が粉末
排出通路251に排出される。また、粉末供給円盤245は、上槽221の穴部225か
ら気体供給通路252に向かって常に一定の角速度で回転しているため、第一の気体供給
通路252の開口部には常に一定速度で粉末PWが供給される。その結果、粉末供給円盤
245の回転方向の前端部に位置する粉末PWが連続的に切り出され(脱離し)、一定の
排出速度で粉末排出通路251に排出されて、粉末の定量供給が実現される。なお、第一
の気体供給通路252の下流側と粉末排出通路251の延伸方向断面はともに、上下に細
長く延びた長方形断面であるため、粉末PWの前端部が常に平面状に維持されるので、受
容部247の粉末PWが予期しない崩壊等を起こすことが抑制され、粉末の安定供給が可
能になる。なお、第一の気体供給装置254が供給する第一の気体は、第1実施形態の場
合と同様であり、粉末PWの種類等に応じて適宜選択される。
【0066】
粉末供給ポート255は、略水平方向に延びる管状に形成され、下槽231の側部に取
り付けられる。粉末供給ポート255の先端部には、噴射加工装置260のノズルユニッ
ト261が直結される。粉末供給ポート255の内部中央には、略水平方向(粉末供給ポ
ート255の長手方向)に延びる粉末供給通路256が形成され、ノズルユニット261
の粉末供給ノズル264の内部と粉末排出通路251とを連通させる。粉末排出通路25
1の出口端部と粉末供給ノズル264の入口端部とが滑らかに繋がるように、粉末供給通
路256を囲む面が錐面状の曲面で構成されている。粉末供給ポート255の基端側内部
には、粉末供給通路256の基端部から上下に延びる第二の気体供給通路257が形成さ
れ、第二の気体供給通路257内に気体を供給する第二の気体供給装置259と接続され
る。なお、図10において、2つの第二の気体供給装置259が設けられているが、2つ
の第二の気体供給通路257がそれぞれ1つの第二の気体供給装置259と接続される構
成であってもよい。
【0067】
これにより、第二の気体供給装置259から供給される第二の気体は、粉末供給ポート
255の第二の気体供給通路257を通って粉末供給通路256に達し、前述した第一の
気体によって粉末排出通路251から粉末供給通路256に導かれた粉末PWとともに、
粉末供給通路256を通って外部(噴射加工装置260のノズルユニット261)に導か
れる。なお、第二の気体供給装置259が供給する第二の気体は、第1実施形態の場合と
同様であり、粉末PWの種類等に応じて適宜選択される。
【0068】
第2実施形態の噴射加工装置260は、第1実施形態の噴射加工装置60と同様の構成
であり、図10に示すように、ノズルユニット261や加速ガス供給ユニット265など
を備えて構成される。ノズルユニット261は、図12〜図13に示すように、ベースと
なるノズルブロック262と、先端部がノズルブロック262から突出して固定された矩
形中空パイプ状の噴射ノズル263と、噴射ノズル263の基端側に同一軸上に配設され
た矩形中空パイプ状の粉末供給ノズル264とを有して構成される。粉末供給ノズル26
4の外形寸法は、噴射ノズル263の開口寸法よりも小さく、図13に示すように、粉末
供給ノズル264の先端部が僅かに噴射ノズル263の基端側に挿入される。この噴射ノ
ズル263と粉末供給ノズル264との間隙部に、噴射ノズル263内に供給される加速
ガスの噴出口が形成される。
【0069】
ノズルブロック262の内部には、図13に示すように、上述した加速ガスの噴出口に
繋がって上下左右に延びる4つの加速ガス導入路262aが形成される。4つの加速ガス
導入路262aはそれぞれ、各加速ガス導入路262aの上流端部に設けられた加速ガス
供給ポート266を介して加速ガス供給ユニット265と接続される。加速ガス供給ユニ
ット265が供給する気体は、第1実施形態の場合と同様であり、粉末(固体微粒子)P
Wの種類等に応じて適宜選択される。なお、図10および図13において、複数の加速ガ
ス供給ユニット265が設けられているが、4つの加速ガス導入路262aがそれぞれ1
つの加速ガス供給ユニット265と接続される構成であってもよい。噴射ノズル263お
よび粉末供給ノズル264は、セラミックス等の耐食性材料を用いて形成される。そして
、噴射ノズル263の基端部に粉末供給ノズル264が接続され、粉末供給ノズル264
の基端部に粉末供給装置210の粉末供給ポート255が接続される。
【0070】
以上のように構成される噴射加工システム201において、粉末供給装置210では、
電気モータ212の回転駆動によって、羽根車222(羽根部材)が回転すると、上槽2
21に貯留された粉末(固体微粒子)PWが攪拌されつつ移動し、上槽221の穴部22
5から落下して粉末供給円盤245の受容部247に受容される。
【0071】
このとき、電気モータ212の回転駆動によって、羽根車222と反対方向に粉末供給
円盤245が回転し、粉末供給円盤245の受容部247に受容された粉末PWは、粉末
供給円盤245とともに回転移動してカバー部材250と粉末供給円盤245との間隙部
GP´に到達する。ここで、図10に示すように、第一の気体供給装置254からカバー
部材250の第一の気体供給通路252に供給された第一の気体は、当該第一の気体供給
通路252を通って間隙部GP´に達し、このとき間隙部GP´を通過する粉末PWを粉
末排出通路251側に切り出して(押し出して)、切り出した粉末PWとともに粉末排出
通路251から粉末供給ポート255内の粉末供給通路256に導かれる。さらに、第二
の気体供給装置259から粉末供給ポート255内の第二の気体供給通路257に供給さ
れた第二の気体は、当該第二の気体供給通路257を通って粉末供給通路256に達し、
前述した第一の気体によって粉末排出通路251から粉末供給通路256に導かれた粉末
PWとともに、粉末供給通路256を通って噴射加工装置260に導かれる。
【0072】
以上のようにして、粉末供給装置210から噴射加工装置260に粉末(固体微粒子)
PWが供給されると、噴射加工装置260では、粉末供給装置210において気体と混合
した粉末PWがノズルユニット261の粉末供給ノズル264を通って、噴射ノズル26
3内に到達する。このとき、制御ユニット(図示せず)により加速ガス供給ユニット26
5の作動を制御し、加速ガス供給ユニット265からノズルユニット261の噴射ノズル
263に供給される加速ガスの圧力・流量を制御することにより、粉末供給装置210か
ら供給されて噴射ノズル263内に到達した粉末PWが加速ガスにより加速されて噴射ノ
ズル263の先端から基材(例えば、前述の電極基材131)に向けて噴射される。
【0073】
このように、第2実施形態の噴射加工システム201および粉末供給装置210によれ
ば、第1実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。さらに、噴射加工装置260
のノズルユニット261が粉末供給装置210の粉末供給ポート255に直結されるため
、粉末供給装置210から噴射加工装置260までの管路の長さを最小限に抑えることが
でき、粉末PWの噴射量を変化させる際の応答性および安定性を向上させることができる
。なお、ノズルユニット261は、粉末供給ポート255を介さずに、粉末供給装置21
0の粉末排出通路251に直接接続される構成であってもよい。
【0074】
また、第2実施形態の噴射加工システム201により、第1実施形態の場合と同様にし
て、リチウムイオン二次電池の負極(または正極)を製造することができ、第1実施形態
の場合と同様の効果を得ることができる。
【0075】
なお、上述の第2実施形態において、ノズルユニット261の断面形状は矩形に限られ
るものではなく、円形(真円あるいは長円)や多角形、あるいは円形(矩形)ノズルを千
鳥配列するなど適宜な形状にすることができる。また、第一の気体供給装置254および
第二の気体供給装置259から供給されるガスや、加速ガス供給ユニット265からノズ
ルユニット261に供給される加速ガスは、第1実施形態の場合と同様に、基材や粉末P
Wなど加工対象に応じて適宜選択することができる。
【0076】
また、上述の各実施形態において、受容部47(247)に仕切壁48(248)が設
けられているが、これに限られるものではなく、粉末PWの種類等によっては、仕切壁4
8(248)を設けなくてもよい。
【0077】
また、上述の各実施形態において、受容部47(247)は、粉末供給円盤45(24
5)の外周部上面側にテーパ状に形成されているが、これに限られるものではなく、緩や
かに凹んだ曲面状に形成されてもよい。なおこの場合、粉末排出通路および気体供給通路
は、受容部の底面に沿って曲線状に延びるように形成してもよい。
【0078】
また、上述の各実施形態において、粉末供給装置10(210)は、パウダー・ジェッ
ト・デポジション法により成膜を行う噴射加工装置60(260)に粉末PWを供給して
いるが、これに限られるものではなく、例えば、セラミックス等の粉末をキャリアガスと
ともにプラズマ中に供給し、当該プラズマにより蒸気化された粉末を容器中に配置された
試料に溶射して蒸着させる溶射装置に対して、キャリアガスを用いた粉末の微量供給を行
うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 噴射加工システム(第1実施形態)
10 粉末供給装置
20 貯留槽
21 第一槽(粉末保持槽) 31 第二槽(粉末保持槽)
32 第二羽根車(羽根部材) 35 穴部
41 第三槽(円盤保持槽)
45 粉末供給円盤 47 受容部
50 カバー部材
51 粉末排出通路 52 第一の気体供給通路
55 粉末供給ポート
56 気体供給ノズル(56a 第二の気体供給通路)
60 噴射加工装置
101 リチウムイオン二次電池
102 正極 103 負極
131 電極基材 132 膜
GP 間隙部 PW 粉末
201 噴射加工システム(第2実施形態)
210 粉末供給装置
220 貯留槽
221 上槽(粉末保持槽)
222 羽根車 225 穴部
231 下槽(円盤保持槽)
245 粉末供給円盤 247 受容部
250 カバー部材
251 粉末排出通路 252 第一の気体供給通路
255 粉末供給ポート 257 第二の気体供給通路
260 噴射加工装置
GP´ 間隙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末を貯留する貯留槽と、
外周部上面側に前記貯留槽に貯留された粉末を受容する受容部が形成された円盤状の粉
末供給円盤と、
前記粉末供給円盤の回転対称軸を中心に前記粉末供給円盤を回転駆動する回転駆動部と

前記粉末供給円盤の一部を覆って、前記粉末供給円盤との間に、前記粉末供給円盤の回
転に応じて前記受容部に受容された粉末が通過可能な間隙部を形成するカバー部材と、
前記間隙部に第一の気体を供給する第一の気体供給通路と、
前記間隙部に連通し、前記第一の気体により前記受容部から脱離した粉末を排出する粉
末排出通路とを備え、
前記粉末排出通路および前記第一の気体供給通路はそれぞれ、前記間隙部を介して互い
に対向するとともに、前記間隙部に位置する前記受容部の底面に沿って延びるように形成
されることを特徴とする粉末供給装置。
【請求項2】
前記粉末排出通路の出口端が内部に開口する粉末供給ポートと、
前記粉末供給ポートの内部に第二の気体を供給する第二の気体供給通路とを備えること
を特徴とする請求項1に記載の粉末供給装置。
【請求項3】
前記粉末供給ポートは略円形断面を有し、
前記第二の気体供給通路が、前記略円形断面と同軸の気体供給ノズルをもって前記粉末
供給ポートに開口することを特徴とする請求項2に記載の粉末供給装置。
【請求項4】
前記受容部が前記粉末供給円盤の外周部上面側にテーパ状に形成され、
前記粉末排出通路が前記間隙部の斜め下方に延びる直線状に形成されるとともに、前記
第一の気体供給通路が前記間隙部の斜め上方に延びる直線状に形成されることを特徴とす
る請求項1から3のいずれか一項に記載の粉末供給装置。
【請求項5】
前記貯留槽は、前記粉末供給円盤を回転可能に保持するとともに前記カバー部材が設け
られる円板保持槽と、前記円板保持槽の上方に設けられて粉末が貯留される粉末保持槽と
を有し、
前記粉末保持槽の内部に、前記粉末保持槽に貯留された粉末を移動させる羽根部材が回
転可能に配設され、
前記粉末保持槽の底部に、前記受容部の上方に位置して穴部が形成されており、
前記羽根部材の回転により、前記粉末保持槽に貯留された粉末が前記穴部から落下して
前記受容部に受容されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の粉末供
給装置。
【請求項6】
粉末を供給する粉末供給装置と、
前記粉末供給装置から供給された粉末を、気体の噴流に混合させて基材に噴射し衝突さ
せることで、前記基材の表面に膜を形成する噴射加工装置とを備え、
前記粉末供給装置が請求項1から5のいずれか一項に記載の粉末供給装置であることを
特徴とする噴射加工システム。
【請求項7】
前記噴射加工装置が前記粉末供給装置に直結されることを特徴とする請求項6に記載の
噴射加工システム。
【請求項8】
二次電池に用いられる電極材料の製造方法であって、
粉末供給装置を用いて、活物質を含む粉末を供給し、
前記粉末供給装置から供給された粉末を、気体の噴流に混合させて電極基材に噴射し衝
突させることで、前記電極基材の表面に膜を形成し、
前記粉末供給装置が請求項1から5のいずれか一項に記載の粉末供給装置であることを
特徴とする電極材料の製造方法。
【請求項9】
前記活物質がシリコン(Si)であることを特徴とする請求項8に記載の電極材料の製
造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−72491(P2012−72491A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187316(P2011−187316)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】