説明

粉末化アロマ製品、及びその製造方法、並びにその使用方法

【課題】アロマオイル等を粉末化し、適宜に水溶化又は油脂類に可溶化させることができるため、極めて多種多様の商品に適用することができる粉末化アロマ製品、及びその製造方法、並びに使用方法を提供する。
【解決手段】本発明の粉末化アロマ製品は、アロマオイル(香油)及びエッセンシャルオイル(精油)から選ばれる一種以上の芳香油成分に、洗浄用クレンジングオイル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンポリ脂肪酸エステル、ステアリン酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれる一種以上の水分散性付与成分を加えた混合物を、ヒドロキシプロピル化デンプン、多孔質水溶性デンプン、ポリデキストロース、水溶性デキストリンから選ばれる一種以上の粉末状態の包接成分に添加してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アロマオイル等を粉末化し、適宜に水溶化又は油脂類に可溶化させることができるため、極めて多種多様の商品に適用することができる粉末化アロマ製品、及びその製造方法、並びにその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アロマオイルAroma Oil(香油)は、エッセンシャルオイルEssential Oil(精油)を高級アルコール類(ホホバ油、流動パラフィン、液状ワックスなど)や適当な有機溶剤(エチルアルコール水溶液などの揮発性で人体に害の無いものか、害があってもきわめて安全と認められるもの。例えばイソプロピルアルコールなど)を用いて希釈して香気を調整して使用する。或いはデフューザー(噴霧器)や香炉などの器具を使い芳香を楽しんだり、或いはフレグランス効果を得るために化粧品として体に直接使用される油製品である。
エッセンシャルオイル(精油)は、植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから抽出した天然の素材であり、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質である,と(社)日本アロマ環境協会では定義している。
そして、これらの特有の香りと機能を持つアロマオイルやエッセンシャルオイルを利用して、幸福感を味わったり、或いは健康維持に役立てたりするアロマテラピーが、近年の女性の生活空間に盛んに利用され、癒し効果や日常の生活の中でのストレスに対する緩和効果、空間演出にも利用され、希釈オイルにしてマッサージオイルとしての利用などあらゆる可能性を秘めている。最近では、ある種のアロマの香りが認知症などの改善に役立つということについての研究もなされ、医学的な治療の補助的手段としても注目されつつある(日本痴呆学会誌第19巻第1号(2005年4月発行)原著論文)。
また、香水を、「天然の動植物から採取されたエッセンス(精油)又は人工的に再生した合成香料を調合したものをアルコールで希釈した液体」と定義すると、香油は、「天然の動植物から採取されたエッセンス(精油)又は人工的に再生した合成香料を調合したものを油脂等の油性成分で希釈した液体」と定義することもできる。
【0003】
従来、このようなアロマオイルを、アロマテラピー以外の使用手段で生活に取り入れようとする手段(方法)としては、前述のように化粧品中に配合する他、粘着剤組成物中にアロマオイルを添加する方法(特許文献1など)や、美顔用マスクやパッド中にアロマオイルを含ませる方法(特許文献2など)も提案されている。
また、アロマオイルを空気中に散布する手段(方法)も、例えば特許文献3〜5などに提案されている。特許文献3には、湯水と別にアロマオイルを霧状に噴出するミスト噴出装置が提案され、特許文献4には、貯水容器をアロマオイル容器と交換可能とした霧状圧縮空気供給装置が提案され、カラープリンターの排気ファンにアロマオイルを供給する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−197086号公報
【特許文献2】特開2009−51762号公報
【特許文献3】特開2010−5171号公報
【特許文献4】特開2009−269号公報
【特許文献5】特開2007−240991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1,2の提案は、何れも生活用品や美容用品にアロマオイルを混入したり、含浸したりしてその揮発性による空気中への拡散を計るに過ぎず、揮発性が高すぎると、使用する以前に揮発してしまい、揮発性が低すぎると、所望の効果が得られなかった。
また、前記特許文献3〜5の提案は、何れもアロマオイルを霧状化して空気中に噴出させるか、排気中に混入するものに過ぎず、霧状化の精度及び噴出濃度が極めて重要であって、消費量が膨大となったり、所望の効果を必要最低限の量にて有効に得るには、極めて調整が困難であった。
【0006】
そこで、本発明者らは、水中分散性に優れた油性組成物として、拡散芳香性アロマ製品、及びそれを用いた拡散芳香方法を提案(特願2010−51697)した。この既出願の油性組成物は、効率よくアロマオイルの香気を加湿器やスチーマーの設置場所の空間に拡散することができた。
尤も、この既出願の油性組成物である拡散芳香性アロマ製品は、上述のように専ら加湿器やスチーマーを利用してのアロマオイルの空間拡散を念頭に開発したものであるから、それ以外の用途への適用の拡大を図るものではなかった。
そのため、本発明は、より手軽に使用でき、しかもより広い汎用性を備えるように、水溶化(乳化)や油脂類との分散性を併せ持った粉末形態とした粉末化アロマ製品を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、アロマオイル(香油)及びエッセンシャルオイル(精油)から選ばれる一種以上の芳香油成分に、洗浄用クレンジングオイル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンポリ脂肪酸エステル、ステアリン酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれる一種以上の水分散性付与成分を加えた混合物を、ヒドロキシプロピル化デンプン、多孔質水溶性デンプン、ポリデキストロース、水溶性デキストリンから選ばれる一種以上の粉末状態の包接成分に添加してなることを特徴とする粉末化アロマ製品に関するものである。
また、この粉末化アロマ製品では、芳香油成分に、水分散性付与成分と、油脂類とを加えた混合物を、粉末状態の包接成分に添加してなるようにしてもよい。
なお、粉末化形態だけを考えるのであれば、油脂吸着剤として働く素材に吸着させればよいことであるが、本発明のように水に対して可溶化したり油脂に対して簡単に分散又は可溶化するといった2つの機能をもたせることができない。また、アロマオイル等の機能である香気を簡単に感じたり、香気を持続的感じさせることができない。
【0008】
また、本発明は、前記粉末化アロマ製品の製造方法をも提案するものであり、アロマオイル(香油)及びエッセンシャルオイル(精油)から選ばれる一種以上の芳香油成分に、洗浄用クレンジングオイル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンポリ脂肪酸エステル、ステアリン酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれる一種以上の水分散性付与成分を加えて均一に混合する第1の工程と、得られた混合物を、ヒドロキシプロピル化デンプン、多孔質水溶性デンプン、ポリデキストロース、水溶性デキストリンから選ばれる一種以上の粉末状態の包接成分に添加する第2の工程と、からなることを特徴とする。
なお、この製造方法では、第1の工程において、芳香油成分に、水分散性付与成分と、油脂類とを加えて混合し、第2の工程において、得られた混合物を、粉末状態の包接成分に添加して均一な粉末にしてもよい。
【0009】
さらに、本発明は、前記構成の粉末化アロマ製品を、水又は油脂類に溶解又は分散した状態として用いることを特徴とする粉末化アロマ製品の使用方法をも提案するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の粉末化アロマ製品は、適宜に水又は油脂類に溶解又は分散させることができるため、極めて多種多様の商品に適用することができる。例えばオイルマッサージの後に水に溶かした液状物を肌に馴染ませたり、ホームエステのセットとして、クリーム状又は乳液状とし、手軽にアロママッサージに利用できる。その際、何種類かの粉末アロマ製品を用意しておき、好みの香りを選んで使用したり、主材に混合して使用することもでき、美容室ではシャンプーやリンスとして、ネイルサロンでは、手のケアを施す際のクリームや乳液などの液状などとして配合して使用できる。このような各種の皮膚や頭髪以外にも、衣類に洗濯洗剤の香りつけとしてもよいし、或いは既出願の油性組成物と同様に、加湿器やスチーマーの水補給タンクに滴下した際に均一に水中に分散させることができるため、装置を作動させることで装置の設置場所で香気成分を持続的に拡散させることも可能である。
しかも、本発明の粉末状アロマ製品を構成する芳香油成分以外の成分である水分散性付与成分と包接成分、更には油脂類を使用する場合にも、食品にも認可されている成分を用いているため、極めて安全性が高く、皮膚の弱い幼児から老人まで安心して適用できる。
【0011】
さらに、本発明の粉末化アロマ製品は、吸湿によって水分を得ると、水分散性付与成分の乳化作用と芳香油成分との性質によって包接成分(粉末)から芳香油成分が徐々に放出され、より長く、従来の2倍近く継続的に香気を楽しむことができる。
この性質を利用して、発汗作用による不快臭や違和臭を改善する薬品類に効果的に利用できる。また、殺菌消臭作用のあるアロマオイルを利用することによって、わきの下の汗取りパット、靴底敷き、生理用品、オムツなどにも利用できる。さらに、粉末を固めて錠剤化したり、或いは他の練りこみ製品などに本発明の粉末化アロマ製品を混合することでの汎用性も可能である。その他、携帯が自由にできるので、アクセサリーなどに粉末化アロマ製品を入れるポケット部分を設けて持ち歩けば、いつでも好きな香りを選択して携帯できる。
【0012】
本発明の粉末化アロマ製品の製造方法は、第1の工程にて、芳香油成分を界面活性剤等の水分散性付与成分と均一混合し、第2の工程にて、均一混合物を乾燥状態の包接成分に添加混合して均一化させるものである。したがって、この製造方法を構成する第1の工程も第2の工程も特別な設備や薬品、或いは特殊な技能を要することなく容易に実施できるため、極めて実用的価値が高いものである。
なお、芳香油成分に、水分散性付与成分と油脂類とを加えて混合してもよい。
【0013】
本発明の粉末化アロマ製品の使用方法は、前記粉末化アロマ製品を水溶化するか、又は油脂類に可溶化した状態として用いるので、従来のアロマオイルの多くの用途に全く同様に用いられることは言うまでもなく、それ以外にも多くの用途に用いることができる。
例えば多くの水溶液状、オイル状、クリーム状等の化粧品類の製品中に配合できるが、使用者が用いようとする1回分の化粧品に使用直前に配合して用いることもでき、その日の気分に応じて香気を選択して配合、使用することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の粉末化アロマ製品は、アロマオイル及びエッセンシャルオイルから選ばれる一種以上の芳香油成分に、洗浄用クレンジングオイルや、モノグリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤から選ばれる一種以上の水分散性付与成分を加えた混合物、或いは更に油脂類を加えた混合物を、ヒドロキシプロピル化デンプン、多孔質水溶性デンプン、ポリデキストロース、水溶性デキストリンから選ばれる一種以上の粉末状態の包接成分に添加してなる。
以下に、芳香油成分、水分散性付与成分、包接成分、油脂類のそれぞれについて説明する。
【0015】
・芳香油成分;
本発明における芳香油成分は、アロマオイル及びエッセンシャルオイルから選ばれる一種以上であり、極めて多種類のオイルから適宜に組み合わせて用いることができる。既に市販されているアロマオイルは、複数のエッセンシャルオイル(精油)を組み合わせて配合されたものもあり、相性、香りや効用に応じ、また使用する際の気分等に応じて適宜に選択することができる。
【0016】
・水分散性付与(乳化剤)成分;
本発明における水分散性付与成分は、前記芳香油成分に水分散性を持たせる(乳化させる)成分として配合されるものであり、市販に購入できる化粧品の洗浄用クレンジングオイルやモノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンポリ脂肪酸エステル、ステアリン酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの界面活性剤の中から適宜に一種以上を使用すればよい。
この水分散性付与成分は、前記芳香油成分100重量部に対して50〜300重量部添加することが望ましく、より望ましくは75〜200重量部を配合する。
なお、洗浄用クレンジングオイルについて、その配合例を以下に示す。
〔通常の洗浄用クレンジングオイル成分の例〕
エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ジオレイン酸ポリグリセリル−10、水、イソノナン酸イソノニル、セスキカプリル酸ポリグリセリル−2、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、没食子酸エピガロカテキン、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トコフェロール、塩化デカリニウム、フェノキシエタノール
【0017】
・包接成分;
本発明における包接成分は、前記芳香油成分に水分散性付与成分を加えた混合物、或いは更に油脂類を加えた混合物を少量づつこの包接成分粉末に加えて練りこむようにして混合して均一な粉末化アロマ製品とするものであり、ヒドロキシプロピル化デンプン、多孔質水溶性デンプン、ポリデキストロース、水溶性デキストリンから選ばれる一種以上が用いられ、粉末(乾燥)状態で用いられる。
この包接成分は、前記芳香油成分100重量部に対して50〜400重量部、より望ましくは、100〜200重量部を配合する。
なお、既出願の油状組成物であるアロマ製品では、デンプン、シクロデキストリン、及びデキストリンから選ばれる一種以上の包接成分を、予め水に溶かした水溶液の状態で使用し、しかも芳香油成分100重量部に対して1〜20重量部、即ち最大でも20重量部を添加するものに過ぎなかった。
これに対し、本発明における包接成分は、乾燥粉末状態で用いるものであり、しかも前記芳香油成分に水分散性付与成分を加えた混合物を十分に包接できるように芳香油成分100重量部に対して最小でも50重量部、50〜400重量部配合するので、粉末化状態を維持することができる。
本発明の包接成分のうち、特に多孔質水溶性デンプン及びポリデキストロース、水溶性デキストリンは、粉末化アロマ製品を速やかに水溶化し、しかも油脂分(芳香油成分も含む)を包接する能力が高く、既出願で用いたデンプンやシクロデキストリンより1.5〜3倍包接する能力を有する。これに対し、既出願で用いたデンプンやシクロデキストリンは、基本的に水に対して難溶性又は不溶性という物性である。
このように本発明における包接成分は、芳香油成分や油脂類を包接してしかも水溶性であり、更に油脂に対するなじみを良くするために選択したものである。
【0018】
・油脂類;
本発明における油脂類は、他の芳香油成分や水分散性付与(乳化剤)成分、包接成分のように必須成分ではないが、飽和脂肪酸類からなるトリグリセライド(代表的な油脂としては、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルやMCT(中鎖トリグリセリン脂肪酸エステル))で酸化安定性に優れた化粧品用油脂類やホホバ油、オレンジラッフィー(深海魚)より製造した液状ワックスなどの高級アルコールに代表される液状ワックス類やスクワランなどの油状物質で皮膚浸透性に優れた油脂類を使用することができる。前述のように特に望ましくは、乾燥工程を施すことなく気化(蒸散)する性状を備える油脂類を用いる。
【0019】
これらの本発明の粉末化アロマ製品は、まず第1の工程として、芳香油成分を界面活性剤等の水分散性付与成分を加えて混合し、或いはさらに油脂類を加えて均一な混合物とし、第2の工程として、この混合物を粉末状態の前記包接成分に添加して包接させるものである。
【0020】
得られた粉末化アロマ製品は、粉末状であるため、取り扱い性に優れ、芳香油成分の香気の維持時間を維持すること(徐放性を付与すること)を可能とすると共に包接成分の結晶化(粒状化)により粉末化されたものであり、適宜に水溶化又は油脂類に可溶化させることができるため、極めて多種多様の商品に適用することができる。
例えば使用例としては、以下のものが考えられる。
ホームエステのセットとして、(オイル、粉末アロマ、その他備品)手軽にアロママッサージもしくは、新感覚のパックとして使用する。
アロマの種類を変更した複数種類の粉末状アロマ製品を用意しておき、好みの香りを選んだ後に、主材(マッサージオイル)に混合して使用する。
美容室ではシャンプーに、ネイルサロンでは手のケアを施す際のクリームや液などを、前述と同様に使用し、客の好みにより選択できるサービスとして用いる。
家庭用の洗濯の際に、洗濯洗剤に粉末状アロマ製品を添加してもよいし、粉末状アロマ製品を水に溶かした物を布に付けても、シミや油分は付かずに香りのみ残る。
しかも、これらの様々な使用において、アロマオイル以外の成分は、食品で使われている材料を使用しているため、肌の弱い幼児からお年寄りまで、特に生まれたばかりの赤ちゃんにも安心して使うことができる。
【実施例1】
【0021】
〔実施例1〕
水分散性付与(乳化剤)成分として「ポエムJ−0381V」(理研ビタミン社製デカグリセリンオレート)2.4gと、「ポエムJ−0081HV」(理研ビタミン社製デカグリセリンステアレート)1.9gとを混合し、該乳化成分におよそ1:1の割合でアロマオイル(マンダリンオレンジ20滴+ローマンカモミール+20滴+ローズマリー20滴)60滴(1滴:0.05ml)を加えて十分に撹拌することにより、均一な油状の混合物を得た。これを、「ライテス」(ダニスコ社製ポリデキストロース)2gと、「oilQ」(日澱化学社製多孔質吸油性デンプン)4gと、「ロンフード」(日澱化学社製多孔質吸油性デンプン)4gとを混ぜ合わせた粉末状態の包接成分に少しつつ添加、混合し、粉末状アロマ製品を得た。
得られた粉末状アロマ製品は、水にゆっくり溶け、溶けた水は白く濁り、やや沈殿物が残った。水溶液部分も、溶け残った沈殿物も、手に付けるとしっとりした。香りの持続力に関しては、翌朝まで持続した。
【0022】
〔実施例2;アルコール未添加粉末〕
水分散性付与成分として「ポエムJ−0381V」(前出、デカグリセリンオレート)2gに、アロマオイル(ローズマリー30滴+レモン30滴)60滴(1滴:0.05ml)と、さらに油脂類としてホホバ油1.5mlを加えて十分に混ぜ合わせることにより、均一な混合物を得た。これを、「ライテス」(前出、ポリデキストロース)2g、「ロンフード」(前出、多孔質吸油性デンプン)4gを混ぜ合わせた粉末状態の包接成分に少しつつ添加、混合し、粉末状アロマ製品を得た。
得られた粉末状アロマ製品は、水にすぐに溶け、溶けた水は白く濁り、やや沈殿物が残った。水溶液部分も、溶け残った沈殿物も、手に付けるとしっとりした。
スクワランなど油分を肌に馴染ませた後に水に溶かした液を塗ると油分が浸透し、しっとりすると共にベトベト感が無くなった。
【0023】
〔実施例3;アルコール添加粉末〕
水分散性付与成分として「ポエムJ−0381V」(前出、デカグリセリンオレート)4gにアロマオイル(ラベンダー30滴+オレンジ30滴)60滴(1滴:0.05ml)と、さらに油脂類としてホホバ油1.75ml、エタノール3mlを混ぜ合わせることにより、均一な乳化混合物を得た。これを、「ライテス」(前出、ポリデキストロース)2g、「ロンフード」(前出、多孔質吸油性デンプン)4gを混ぜ合わせた粉末状態の包接成分に少しつつ添加、混合し、粉末状アロマ製品を得た。なお、エタノールは、蒸散(揮発)するため、特に加熱等を必要としなかった。
得られた粉末状アロマ製品は、水にすぐに溶け、溶けた液は白く濁り、やや沈殿物が残った。液部分も、溶け残った沈殿物も、手に付けるとしっとりした。香りの持続力に関しては、翌朝まで持続した。
また、得られた粉末状アロマ製品を水に溶解し、その水溶液に布を浸し、更に取り出した布を水で流して乾燥しても香りは持続した。油分は残っていなかった。
【0024】
なお、アロマオイルは、前述のようにエッセンスオイルを油脂等の油性成分で希釈した液体と定義できるので、これらの実施例1〜3は、芳香油成分としてアロマオイルを用いた実施例でもあるし、エッセンシャルオイルを用いた実施例でもある。
【0025】
前記実施例1〜3にて得られた粉末状アロマ製品を以下に示す用途に用いた。
用途1;得られた粉末状アロマ製品を水に溶かし、部屋の芳香剤として用いた。従来のアロマオイルより香りが継続的に長持ちし、およそ2倍近く長い時間、香りを楽しめた。
用途2;得られた粉末状アロマ製品をキャンドルを作る際に混合して用いた。キャンドルに火を灯して燃やすことで、アロマオイルの香りを楽しむことができた。
用途3;洗髪後のリンス仕上げの後に水で溶かした粉末化アロマ製品を少量髪につけてブラッシングした。髪のつやが出て、キューティクルの保護やアロマオイルの香りを楽しむことができた。
【0026】
なお、従来のアロマ商品としては、以下に示す比較例1などが市販されているが、本発明品のように手軽に水溶液にしたり、油脂に分散したりペースト状にすることが出来ないし、携帯するにも不便であった。
【0027】
〔比較例1;市販製品成分組成(製品名マジックボール)〕
脱イオン化水、PEG−45ヤシ核グリセリン脂肪酸エステル、PEG−6カプリン酸/カブリル酸グリセリン脂肪酸エステル、エッセンシャルオイル(精油)、リシノ−ル酸亜鉛、1.3−シデシル−2−メチル−イミダゾリウムクロライド、ココペタインアミドアンフォプロピネイト、エトキシ化ノニルフェニル複合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アロマオイル及びエッセンシャルオイルから選ばれる一種以上の芳香油成分に、洗浄用クレンジングオイル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンポリ脂肪酸エステル、ステアリン酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれる一種以上の水分散性付与成分を加えた混合物を、ヒドロキシプロピル化デンプン、多孔質水溶性デンプン、ポリデキストロース、水溶性デキストリンから選ばれる一種以上の粉末状態の包接成分に添加してなることを特徴とする粉末化アロマ製品。
【請求項2】
芳香油成分に、水分散性付与成分と、油脂類とを加えた混合物を、粉末状態の包接成分に添加してなることを特徴とする請求項1に記載の粉末化アロマ製品。
【請求項3】
アロマオイル及びエッセンシャルオイルから選ばれる一種以上の芳香油成分に、洗浄用クレンジングオイル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンポリ脂肪酸エステル、ステアリン酸グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれる一種以上の水分散性付与成分を加えて均一に混合する第1の工程と、得られた混合物を、ヒドロキシプロピル化デンプン、多孔質水溶性デンプン、ポリデキストロース、水溶性デキストリンから選ばれる一種以上の粉末状態の包接成分に添加する第2の工程と、からなることを特徴とする粉末化アロマ製品の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の粉末化アロマ製品を、水又は油脂類に溶解又は分散した状態として用いることを特徴とする粉末化アロマ製品の使用方法。

【公開番号】特開2012−229300(P2012−229300A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96975(P2011−96975)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(510065724)
【出願人】(510065735)
【Fターム(参考)】