説明

粉末化粧料の製造装置及び製造方法

【課題】 スラリー状の化粧料の容器外へのはみ出し防止、生産性の向上を図る。
【解決手段】 プレス機5の化粧料ヘッド5dを下降させシート材6を介して容器1内のスラリー状の化粧料Sa,Sbをプレスするにあたって、枠体5bの下降によりシート材6におけるスラリー状の化粧料Sa,Sbの周囲の部分を押えておくことで、このスラリー状の化粧料Sa,Sbの周囲を押えている枠体5b及びシート材6により、スラリー状の化粧料Sa,Sbの容器1外へのはみ出しを防止すると共に、このようにスラリー状の化粧料Sa,Sbの容器1外へのはみ出しを防止できることから、化粧料ヘッド5dを迅速に下降させて、生産性を向上し、加えて、化粧料ヘッド5dのプレスにより、化粧料中に含まれる溶剤をシート材6を通じて絞り出し、後工程で必要とされる溶剤吸引工程・乾燥工程を低減又は無くし、生産性を一層向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末化粧料の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉末化粧料と溶剤とを混合して成るスラリー状の化粧料を、充填工程で容器(中皿とも称す)内に充填し、この充填工程の後工程のプレス工程で、容器内のスラリー状の化粧料を濾紙や不織布等を介しプレス機でプレスして圧縮成形し、乾燥工程を経て、容器内に所定の粉末化粧料を成形する粉末化粧料の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−306412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記公報記載の技術では、プレス機のプレスにより、スラリー状の化粧料が容器外にはみ出してしまうという問題がある。ここで、スラリー状の化粧料が容器外にはみ出ないように、プレス機のプレス部の下降速度を遅くすることが考えられるが、生産性が低下してしまう。また、工程の短縮も求められている。
【0004】
また、上記製造方法では、濾紙や不織布等(以下シート材と呼ぶ)を容器の上側に離間して配置し、プレス機によるプレス後に当該シート材を移動させ新しいシート材部分を容器上に位置させて次のプレスを行うのが一般的であるが、この場合、プレス後にプレス機のプレス部が上昇すると、シート材におけるスラリー状の化粧料に対して密着していた部分が、プレス前のシート材の位置(上方位置)に戻ろうとして瞬間的に上方に大きく変位し、この大きな変位に対応した大きな力が上方に働く結果、化粧料の表面がシート材により引き剥がされて不良品となったり、シート材と共に容器が共上がりして自動化に支障を来したりし、生産性が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、スラリー状の化粧料の容器外へのはみ出しを防止すること、生産性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による粉末化粧料の製造装置は、容器内に充填されたスラリー状の化粧料をシート材を介してプレスするプレス機を備え、このプレス機のプレスにより容器内に所定の粉末化粧料を成形する粉末化粧料の製造装置であって、シート材は、スラリー状の化粧料が充填された容器の上側に配置され、プレス機は、スラリー状の化粧料に対して上下動し下降することでシート材を介してスラリー状の化粧料をプレスする化粧料ヘッドと、スラリー状の化粧料の周囲に対して上下動し下降することでシート材におけるスラリー状の化粧料の周囲の部分を押える枠体と、を具備したことを特徴としている。
【0007】
また、本発明による粉末化粧料の製造方法は、容器内に充填されたスラリー状の化粧料をシート材を介してプレス機によりプレスし、容器内に所定の粉末化粧料を成形する粉末化粧料の製造方法であって、プレス機は、スラリー状の化粧料に対して上下動する化粧料ヘッドと、スラリー状の化粧料の周囲に対して上下動する枠体と、を具備し、化粧料ヘッド、枠体と容器との間にシート材を配置し、枠体と化粧料ヘッドとを同時又は非同時に下降させ、枠体によりシート材におけるスラリー状の化粧料の周囲の部分を押え、この枠体によるシート材の押えと同時又は押え後に、化粧料ヘッドによりシート材を介してスラリー状の化粧料をプレスすることを特徴としている。
【0008】
このような粉末化粧料の製造装置及び製造方法によれば、プレス機の化粧料ヘッドが下降しシート材を介して容器内のスラリー状の化粧料をプレスするにあたって、枠体の下降によりシート材におけるスラリー状の化粧料の周囲の部分を押えておくことで、このスラリー状の化粧料の周囲を押えている枠体及びシート材により、スラリー状の化粧料の容器外へのはみ出しが防止される。また、このように、スラリー状の化粧料の容器外へのはみ出しが防止されるため、化粧料ヘッドの迅速な下降が可能とされ、生産性が向上される。また、化粧料ヘッドのプレスにより、化粧料中に含まれる溶剤がシート材を通じて絞り出され、後工程で必要とされる溶剤吸引工程・乾燥工程を低減又は無くすことが可能とされ、生産性が一層向上される。
【0009】
ここで、化粧料ヘッドの下降速度を、枠体の下降速度より遅くすることができる。このようにすると、上記した化粧料ヘッドの迅速な下降を図りつつ、化粧料ヘッドの下降速度が枠体の下降速度より遅いため、スラリー状の化粧料の容器外へのはみ出しが一層防止される。
【0010】
また、本発明による粉末化粧料の製造方法は、容器内に充填されたスラリー状の化粧料をシート材を介してプレス機によりプレスし、容器内に所定の粉末化粧料を成形する粉末化粧料の製造方法であって、シート材は、スラリー状の化粧料が充填された容器の上側に離間して配置され、プレス機は、スラリー状の化粧料に対して上下動し下降することでシート材を介してスラリー状の化粧料をプレスする化粧料ヘッドと、スラリー状の化粧料の周囲に対して上下動し下降することでシート材におけるスラリー状の化粧料の周囲の部分を押える枠体と、を具備し、枠体により、シート材におけるスラリー状の化粧料の周囲の部分を押えた状態で、プレス後の化粧料ヘッドを上昇させ、その後、枠体を上昇させることを特徴としている。
【0011】
このような粉末化粧料の製造方法によれば、プレス機の化粧料ヘッドが下降しシート材を介して容器内のスラリー状の化粧料をプレスした後に当該化粧料ヘッドを上昇させるにあたって、枠体がシート材におけるスラリー状の化粧料の周囲の部分を押えているため、シート材におけるスラリー状の化粧料に対して密着していた部分は、プレス前のシート材の位置より下方で、枠体により押えられているシート材の上下方向位置まで戻ることになる。従って、シート材の上方への変位は少なく且つ小さな力しか上方に働かない結果、化粧料の表面がシート材により引き剥がされて不良品となったり、シート材と共に容器が共上がりして自動化に支障を来したりすることが防止され、生産性が向上される。
【発明の効果】
【0012】
このように本発明によれば、スラリー状の化粧料の容器外へのはみ出しを防止すること、生産性を向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明による粉末化粧料の製造装置及び製造方法の好適な実施形態について図1〜図6を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る粉末化粧料の製造方法の充填工程を表す説明図であり、充填機及び容器を示す縦断面図、図2は、図1の充填工程に続くプレス工程で用いられる製造装置を容器、搬送用治具と共に示す分解斜視図、図3は、図2の装置によるプレス工程中の搬入工程を表す説明図であり、プレス機及びシート材並びに容器を示す縦断面図、図4は、図3に続くプレス工程中のシート材押圧工程を表す説明図であり、プレス機及びシート材並びに容器を示す縦断面図、図5は、図4に続くプレス工程中の化粧料押圧工程を表す説明図であり、プレス機及びシート材並びに容器を示す縦断面図、図6は、充填工程、プレス工程を経て成形された粉末化粧料を容器と共に示す斜視図である。
【0014】
本実施形態の粉末化粧料の製造方法は、スラリー状の化粧料を準備する準備工程と、このスラリー状の化粧料を容器内に充填する充填工程と、この容器内に充填されたスラリー状の化粧料をプレスし容器内に所定の粉末化粧料を成形するプレス工程と、を備えている。
【0015】
準備工程では、粉末化粧料を構成する多種の粉末を混合し、この混合物に油分を添加して例えばミキサ等で十分撹拌し、これに溶剤を加え混練することで、所定の粘性を有するスラリー状の化粧料(スラリー状物)を得る。
【0016】
ここで、上記粉末としては、例えば、タルク、マイカ、セリサイト、金属石鹸、無機顔料、有機顔料、パール材、防腐剤等が、また、油分としては、トリ2―エチルヘキサン酸グリセリル、ワセリン、スクワラン、吸着精製ラノリン、メチルポリシロキサン、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸オクチル、メチルポリシロキサン、界面活性剤等が、また、溶剤としては一般的な溶剤であれば構わないが、例えば、軽質イソパラフィン、イオン交換水等が、各々製品に応じて適宜用いられる。なお、本実施形態では、容器内に多色の粉末化粧料を形成すべく、上記無機顔料、有機顔料の色を変え互いに色の異なるスラリー状の化粧料を用意する。
【0017】
充填工程では、先の準備工程で用意したスラリー状の化粧料を、図1に示す充填機2を用い例えばコンパクト等の容器(中皿とも称す)1内に充填する。
【0018】
ここで、容器1は、図1及び図6に示すように、上部が開放された有底円筒形状に構成され、図1及び図2に示すように、搬送用治具3の収容孔3aに収容され、図1に示すように、搬送用治具3と共に搬送ベルト4上に配置される。この容器1の上面と搬送用治具3の上面はほぼ面一とされている。そして、搬送ベルト4は所定の搬送経路を移動し、当該搬送ベルト4の移動により容器1は先ず充填工程に送られる。
【0019】
充填工程で用いられる充填機2は、上記スラリー状の化粧料を吐出するノズル2aを所定位置に支持するノズル支持体2xを備えている。ノズル2aは、形成されることになる粉末化粧料の色模様(図6参照)に対応した本数が設けられ、各ノズル2aは、図1に示すように、形成されることになる粉末化粧料の色模様の上方に各々が位置するようにノズル支持体2xに支持されている。
【0020】
そして、充填工程では、先の準備工程で用意した各色のスラリー状の化粧料を、各色に対応するノズル2aから各々吐出して、搬送ベルト4の移動によりノズル2a下の所定位置に位置する容器1内に充填する。本実施形態では、三色のスラリー状の化粧料が吐出されて容器1内に充填される。図1に示すように、スラリー状の化粧料Sa,Sb、Sc(Scに関しては図6参照)が充填された容器1は搬送ベルト4の移動によりプレス工程に送られる。
【0021】
プレス工程では、先の充填工程で容器1内に充填されたスラリー状の化粧料Sa,Sb、Scを、図2に示すプレス機5を用いシート材6を介してプレスする。ここで、プレス機5について説明する。
【0022】
プレス機5は、図2及び図3に示すように、スラリー状の化粧料Sa,Sb、Scをプレスするためのプレスヘッド5a及びシート材6を押えるための枠体5bを備えている。
【0023】
プレスヘッド5aは、上部の化粧料ヘッドベース5cの下部に化粧料ヘッド5dを有するもので、化粧料ヘッド5dがスラリー状の化粧料Sa,Sb、Scをプレスするプレス部として機能する。化粧料ヘッドベース5cは矩形板状に構成され、図3に示すように、その上面に例えば油圧又は空圧シリンダ等の第一アクチュエータ(不図示)の上下動軸5pが連結され、この上下動軸5pが上下動することでプレスヘッド5aが上下動する。
【0024】
化粧料ヘッド5dは、化粧料ヘッドベース5cの中央下面に下方に突出するように設けられている。この化粧料ヘッド5dは、図2及び図3に示すように、円柱形状に構成され、その外径は、容器1内に進入し得るように容器1の内径より若干小さくされている。そして、搬送ベルト4の移動により容器1が所定位置に搬送されると、当該容器1と同軸上の上方に化粧料ヘッド5dが位置するように構成されている。
【0025】
枠体5bは、矩形板状の上部5fの中央に下方に突出する円柱形状の凸部を具備し、これらの凸部及び上部5fの中央を上下方向に貫通する貫通孔5gを備えることで、全体形状が枠体形状に構成されている。この枠体5bと化粧料ヘッド5とは同軸上に位置し、図3に示すように、枠体5bの貫通孔5gを化粧料ヘッド5dが挿通する状態(化粧料ヘッド5dを枠体5bが取り囲む状態)とされている。この円柱形状の凸部に貫通孔5gが形成された円筒状の下部5hが、シート材押えとして機能するもので、下部5hの内径(貫通孔5gの径)は、容器1の内径とほぼ同じとされ、下部5hの外径は、容器1の外径より多少大径とされている。
【0026】
また、枠体5bの上面には、例えば油圧又は空圧シリンダ等の第二アクチュエータ(不図示)の上下動軸5qが連結され、当該上下動軸5qは、上記化粧料ヘッドベース5cに上下方向に貫通するように設けられている貫通孔5eを挿通して上方に延在し、この上下動軸5qが上下動することで枠体5bが上下動する。この第二アクチュエータ及び上記第一アクチュエータは、作動速度、作動時間、作動タイミング等が以下の工程で説明するように所定に制御される。
【0027】
シート材6は、化粧料ヘッド5d、枠体5bと容器1との間に配置されている。このシート材6は、ここでは、例えば濾紙や不織布等の吸湿性の高いものが用いられ、未使用のシート材が図示右側の従動軸7にロール状に巻回されると共に、その端部が図示左側の駆動軸8に巻回され、シート材6における駆動軸8と従動軸7との間の部分が多少下方に弛むようにしてセットされている。このシート材6は、プレス工程でのプレス等の所定の処理が終了したら、搬送ベルト4の移動により送られて来る次の容器1に対する処理を行うべく、使用済みのシート材部分(容器1に対向している部分)が駆動軸8に所定に巻き取られると共に、従動軸7に巻回されている未使用のシート材部分が繰り出される。
【0028】
このような構成を有するプレス機5によるプレス工程について以下詳説する。このプレス工程は、搬入工程、シート材押圧工程、化粧料押圧工程を備えている。
【0029】
先ず、搬入工程では、図3に示すように、搬送ベルト4の移動により、容器1が化粧料ヘッド5d、枠体5bと同軸上に位置する所定位置に搬送される。
【0030】
次のシート材押圧工程では、第二アクチュエータが駆動され上下動軸5qが下降して、図4に示すように、枠体5bが下降する。この枠体5bの下降に従いシート材6が下方に押圧されて下降し(従動軸7及び駆動軸8は下降せず、従動軸7と駆動軸8との間のシート材部分が下降する)、枠体5bの下部5hが、シート材6を介して、容器1の上面(容器枠上面)及び搬送用治具3の上面を押圧し、シート材6におけるスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scの周囲の部分が押えられる。この時、シート材6におけるスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scに対面する部分は、当該スラリー状の化粧料Sa,Sb,Scに接触又は近接した状態にある。
【0031】
次の化粧料押圧工程では、第一アクチュエータが駆動され上下動軸5pが下降して、図5に示すように、プレスヘッド5aが下降する。このプレスヘッド5a(化粧料ヘッド5d)の下降速度は、ここでは、枠体5bの下降速度より遅く設定されている。そして、プレスヘッド5aの下降により、化粧料ヘッド5dがシート材6を介してスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scを所定の圧力でプレスする。
【0032】
この化粧料ヘッド5dによるプレスの際にあっては、枠体5bの下降によりシート材6におけるスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scの周囲の部分が予め押えられているため、このスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scの周囲を押えている枠体5b(下部5h)及びシート材6により、スラリー状の化粧料Sa,Sb,Scが容器1外へはみ出すことは無く、化粧料ヘッド5dによる綺麗なプレスが行われる。
【0033】
そして、この化粧料ヘッド5dによるプレス時にあっては、当該プレスにより、化粧料中に含まれる溶剤がシート材6を通じて絞り出される。この時、シート材6は吸湿性の高いものとされているため、溶剤が一層良好に絞り出されてシート材6に吸収される。
【0034】
この化粧料ヘッド5dによるプレスが所定に成されたら、先ず、第一アクチュエータが駆動され上下動軸5pが上昇してプレスヘッド5aが上昇し図4に示す初期位置に戻される。この時、図4に示すように、枠体5bがシート材6におけるスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scの周囲の部分を押えた状態にあるため、シート材6におけるスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scに対して密着していた部分(図5においてスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scに対して密着していたシート材6の部分)は、プレス前のシート材6の位置(図3に示す位置)ではなく当該位置より下方で、枠体5bにより押えられているシート材6の上下方向位置(図4に示すように容器1の上面及び搬送用治具3の上面とほぼ同じ位置)まで戻ることになる。
【0035】
従って、シート材6の上方への変位は図3に示す位置まで戻る場合に比すと少なく且つ小さな力しか上方に働かない。このため、化粧料の表面がシート材6により引き剥がされたり、シート材6と共に容器1が共上がりしてしまうことが防止されている。
【0036】
斯くの如くプレスヘッド5aが上昇したら、今度は第二アクチュエータが駆動され上下動軸5qが上昇して枠体5bが上昇し、この枠体5bの上昇に従いシート材6が上昇し、図3に示す初期位置に戻される。その結果、図6に示すように、容器1内に所定の多色模様の粉末化粧料Mが成形される。
【0037】
この後、シート材6は、今回のプレスで使用済みとなったシート材部分が駆動軸8に所定に巻き取られると共に、従動軸7に巻回されている未使用のシート材部分が繰り出される。一方、搬送ベルト4は所定に移動し、今回成形された多色模様の粉末化粧料Mを有する容器1が次工程に搬送されると共に、次の容器1が、化粧料ヘッド5d、枠体5bと同軸上に位置する所定位置に搬送され、以降は同様な処理が繰り返される。
【0038】
このように、本実施形態においては、化粧料ヘッド5dが下降しシート材6を介して容器1内のスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scをプレスするにあたって、枠体5bの下降によりシート材6におけるスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scの周囲の部分を押えておくことで、このスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scの周囲を押えている枠体5b及びシート材6により、スラリー状の化粧料Sa,Sb,Scの容器1外へのはみ出しが防止されるようになっている。また、このように、スラリー状の化粧料Sa,Sb,Scの容器1外へのはみ出しが防止されるため、化粧料ヘッド5d(プレスヘッド5a)の迅速な下降が可能とされ、生産性の向上が図られている。また、化粧料ヘッド5dのプレスにより、化粧料中に含まれる溶剤がシート材6を通じて絞り出されるため、後工程で必要とされる溶剤吸引工程・乾燥工程を低減又は無くすことが可能とされ、生産性の一層の向上が図られている。
【0039】
また、上記した化粧料ヘッド5dの迅速な下降を図りつつ、化粧料ヘッド5dの下降速度が、枠体5bの下降速度より遅く設定されているため、スラリー状の化粧料Sa,Sb,Scの容器1外へのはみ出しが一層防止されている。
【0040】
また、プレス機5の化粧料ヘッド5dが下降しシート材6を介して容器1内のスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scをプレスした後に当該化粧料ヘッド5dを上昇させるにあたって、枠体5bがシート材6におけるスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scの周囲の部分を押えているため、シート材6の上方への変位は少なく且つ小さな力しか上方に働かない結果、化粧料の表面がシート材6により引き剥がされて不良品となったり、シート材6と共に容器1が共上がりして自動化に支障を来したりすることが防止され、生産性の一層の向上が図られている。
【0041】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、多色のスラリー状の化粧料を用意し多色の粉末化粧料を容器1内に成形する場合を述べているが、一色のスラリー状の化粧料を用意し一色の粉末化粧料を容器1内に成形する場合にも勿論適用可能である。
【0042】
また、上記実施形態においては、容器1を有底円筒形状としているが、有底角筒形状や有底楕円筒形状等であっても良く、この場合には、これらの形状に合わせて、化粧料ヘッド5d、枠体5bの貫通孔5g、搬送用治具3の収容孔3a等の形状を変えれば良い。
【0043】
また、上記実施形態においては、枠体5bによりシート材6を押えた後に、化粧料ヘッド5dによりシート材6を介してスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scをプレスするようにしているが、枠体5bによるシート材6の押えと、化粧料ヘッド5dによるシート材6を介してのスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scに対するプレスとは同時であっても良い。
【0044】
また、上記実施形態においては、枠体5bを下降させてから化粧料ヘッド5dを下降させるようにしているが、同時に下降させるようにしても、また、化粧料ヘッド5dを下降させてから枠体5bを下降させるようにしても良く、要は、枠体5bと化粧料ヘッド5dとを同時又は非同時に下降させ、枠体5bによるシート材6の押えと同時又は押え後に、化粧料ヘッド5dによるシート材6を介してのスラリー状の化粧料Sa,Sb,Scに対するプレスを行えれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る粉末化粧料の製造方法の充填工程を表す説明図であり、充填機及び容器を示す縦断面図である。
【図2】図1の充填工程に続くプレス工程で用いられる製造装置を容器、搬送用治具と共に示す分解斜視図である。
【図3】図2の装置によるプレス工程中の搬入工程を表す説明図であり、プレス機及びシート材並びに容器を示す縦断面図である。
【図4】図3に続くプレス工程中のシート材押圧工程を表す説明図であり、プレス機及びシート材並びに容器を示す縦断面図である。
【図5】図4に続くプレス工程中の化粧料押圧工程を表す説明図であり、プレス機及びシート材並びに容器を示す縦断面図である。
【図6】充填工程、プレス工程を経て成形された粉末化粧料を容器と共に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1…容器、3…搬送用治具、4…搬送ベルト、5…プレス機、5a…プレスヘッド、5b…枠体、5c…化粧料ヘッドベース、5d…化粧料ヘッド、5h…枠体の下部、6…シート材、M…所定の粉末化粧料、Sa,Sb,Sc…スラリー状の化粧料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に充填されたスラリー状の化粧料をシート材を介してプレスするプレス機を備え、このプレス機のプレスにより前記容器内に所定の粉末化粧料を成形する粉末化粧料の製造装置であって、
前記シート材は、前記スラリー状の化粧料が充填された容器の上側に配置され、
前記プレス機は、
前記スラリー状の化粧料に対して上下動し下降することで前記シート材を介して前記スラリー状の化粧料をプレスする化粧料ヘッドと、
前記スラリー状の化粧料の周囲に対して上下動し下降することで前記シート材における前記スラリー状の化粧料の周囲の部分を押える枠体と、を具備したことを特徴とする粉末化粧料の製造装置。
【請求項2】
容器内に充填されたスラリー状の化粧料をシート材を介してプレス機によりプレスし、前記容器内に所定の粉末化粧料を成形する粉末化粧料の製造方法であって、
前記プレス機は、前記スラリー状の化粧料に対して上下動する化粧料ヘッドと、前記スラリー状の化粧料の周囲に対して上下動する枠体と、を具備し、
前記化粧料ヘッド、前記枠体と前記容器との間に前記シート材を配置し、
前記枠体と前記化粧料ヘッドとを同時又は非同時に下降させ、
前記枠体により前記シート材における前記スラリー状の化粧料の周囲の部分を押え、この枠体による前記シート材の押えと同時又は押え後に、前記化粧料ヘッドにより前記シート材を介して前記スラリー状の化粧料をプレスすることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。
【請求項3】
前記化粧料ヘッドの下降速度を、前記枠体の下降速度より遅くしたことを特徴とする請求項2記載の粉末化粧料の製造方法。
【請求項4】
容器内に充填されたスラリー状の化粧料をシート材を介してプレス機によりプレスし、前記容器内に所定の粉末化粧料を成形する粉末化粧料の製造方法であって、
前記シート材は、前記スラリー状の化粧料が充填された容器の上側に離間して配置され、
前記プレス機は、前記スラリー状の化粧料に対して上下動し下降することで前記シート材を介して前記スラリー状の化粧料をプレスする化粧料ヘッドと、前記スラリー状の化粧料の周囲に対して上下動し下降することで前記シート材における前記スラリー状の化粧料の周囲の部分を押える枠体と、を具備し、
前記枠体により、前記シート材における前記スラリー状の化粧料の周囲の部分を押えた状態で、プレス後の化粧料ヘッドを上昇させ、その後、前記枠体を上昇させることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−63170(P2007−63170A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−250091(P2005−250091)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)
【Fターム(参考)】