説明

粉末印刷装置及び粉末印刷方法

【課題】粘着性を持つ固形化粧料に粉末で鮮明な模様を印刷するための印刷方法を提供する。
【解決手段】スクリーン印刷部(2)により、転写基板(1)表面に粉末で鮮明な模様を形成させ、表面に印刷を施した該転写基板を設置した上に、転写部(3)により、印刷を施す固形化粧料を正確に位置決めして押し付け転写させ、固形化粧料に粉末のみで鮮明な模様を形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口紅等の粘着性のある柔らかい面を持つ固形化粧料に粉末のみで鮮明な模様を形成するための印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、曲面への印刷ではパッド印刷で行うことが多い。しかし一般的なパッド印刷であるとゴム硬度5度以下の柔らかいパッドの使用は困難であると同時に、パッドより柔らかい面への印刷には使用できないため、ゴム硬度5度以下の柔らかい成形物にパッド印刷は適さなかった。
また粉末のみの印刷においては静電印刷方法を用いた特開2000−236845号公報(特許文献1)があるが、曲面への印刷では模様に歪が生じ綺麗な印刷が不可能であった。
また、特開平6−107523号公報(特許文献2)には様々な転写基板を用いた印刷法が提示されているが、いずれも印刷インキに相当する着色塗材はスラリー状にして流動性をもたせており、粉末のみで印刷する方法ではない。
【0003】
【特許文献1】特開2000−236845号公報
【特許文献2】特開平6−107523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、口紅等の粘着性のある柔らかい面を持つ固形化粧料に粉末のみで鮮明な模様を形成するための印刷方法・装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するものである。
即ち本発明は、転写基板(1)と、該転写基板表面に粉末で鮮明な模様を形成するためのスクリーン印刷部(2)と、表面に印刷を施した該転写基板を設置した上に、印刷を施す固形化粧料を正確に位置決めして押し付け転写させる転写部(3)から構成される、固形化粧料に粉末のみで鮮明な模様を形成させることを特徴とする印刷装置、並びに
スクリーン印刷部(2)により、転写基板(1)表面に粉末で鮮明な模様を形成させ、表面に印刷を施した該転写基板を設置した上に、転写部(3)により、印刷を施す固形化粧料を正確に位置決めして押し付け転写させ、固形化粧料に粉末のみで鮮明な模様を形成させることを特徴とする印刷方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は以下のような利点を有する。
スラリー状の流動性のある印刷インキによる印刷媒体ではなく、粉末のみで微細な文字や図形を含む模様を鮮明に形成することができるので、比較的簡単な装置で粘着性のある柔らかい面をもつ固形化粧料に印刷することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の好ましい実施形態を、以下に詳細に説明する。
本発明で印刷の対象となる固形化粧料は平面状のものでもかまわないが、特に通常の手法では鮮明な印刷が困難である、棒状(円柱状)、球面状等の曲面を持ち、粘着性のある柔らかい固形化粧料、例えば口紅、スティックファンデーション等に特に有効である。これら固形化粧料は、油性であっても水性であっても適用できる。本発明で言う柔らかい固形化粧料は、一般にゴム硬度5度以下に相当するものである。
【0008】
模様を形成させる印刷用粉末としては、無機顔料、有機顔料、パール材、ラメ材、金属粉末など製品の用途に従い適正のある粉末であれば特に限定されない。印刷された印刷用粉末は固形化粧料の表面の粘着性で付着し表面の油分、水分と融合して安定した状態となる。印刷用粉末の粒径は、0.1μm〜200μmのものが好ましいが、転写基板に鮮明な模様を形成できるものであれば特に限定されない。
【0009】
転写基板は、極柔らかい素材がよく、低硬度のシリコーンゴム、平滑面を持つ発泡ウレタン、また発泡体の表面にラテックス、ポリエチレン、ウレタンなどのフィルムを貼り平滑面をもたせたものなど、印刷を施す柔らかい固形化粧料より更に柔らかく(硬度が小さく)、表面が平滑なものであれば何れのものも使用できる。
【0010】
また、スクリーン印刷部や、表面に印刷を施した該転写基板を設置した上に、印刷を施す固形化粧料を正確に位置決めして押し付け転写させる転写部については、通常、かかる印刷法に用いる装置をそのまま適用することができる。
【実施例】
【0011】
以下、本発明について粘着性のある柔らかい面を持つ固形化粧料として口紅を例に図1から図3を用いて説明する。図1の転写基板(1)には発泡ウレタンの表面にラテックスのフィルムを貼り合わせたものを使用する。スクリーン(2)は一般的にスクリーン印刷で用いられる版を使用するが、模様に相当する部分以外はマスクされている。転写基板(1)はスクリーン(2)の下に近づけるか密着させる。
【0012】
スクリーン(2)の上に印刷用粉末としてパール材をのせ、手動ブラシ(4)でスクリーン上を擦ることでメッシュの下に設置した転写基板(1)上に模様の部分のみ粉が押し付けられ印刷される。通常転写基板上に印刷された粉末模様は衝撃を与えず転写部に移動させるが、粉末の種類、転写基板の選択により、印刷模様を乱さずに自由に転写部に移動できる。
【0013】
印刷を施す粘着性の柔らかい面を持つ固形化粧料(6)である口紅をホルダー(5)に正確に位置決めし固定する
【0014】
図2に示すように転写基板(1)の上からホルダーに固定した印刷を施す固形化粧料の口紅(6)をホルダーごと押し付ける。転写基板(1)は充分柔らかいので口紅の表面になじみ、転写基板上の模様を形成した粉末は鮮明な状態で口紅の表面に転写される。
転写された粉末の模様は口紅の表面に含まれる油分となじみ定着される。
転写されたイメージを図3に示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のスクリーン部概要を説明する斜視図
【図2】本発明の転写部概要を説明する斜視図
【図3】本発明で印刷された口紅の概観斜視図
【符号の説明】
【0016】
(1)転写基板
(2)スクリーン
(3)転写部
(4)手動ブラシ
(5)ホルダー
(6)固形化粧料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写基板(1)と、該転写基板表面に粉末で鮮明な模様を形成するためのスクリーン印刷部(2)と、表面に印刷を施した該転写基板を設置した上に、印刷を施す固形化粧料を正確に位置決めして押し付け転写させる転写部(3)から構成される、固形化粧料に粉末のみで鮮明な模様を形成させることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
スクリーン印刷部(2)により、転写基板(1)表面に粉末で鮮明な模様を形成させ、表面に印刷を施した該転写基板を設置した上に、転写部(3)により、印刷を施す固形化粧料を正確に位置決めして押し付け転写させ、固形化粧料に粉末のみで鮮明な模様を形成させることを特徴とする印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−37303(P2010−37303A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204471(P2008−204471)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(595137022)東色ピグメント株式会社 (9)
【Fターム(参考)】