説明

粉末洗剤組成物

【課題】洗剤収容容器上への粉末粒子の溶け残りを発生させることなく、低温下、あるいは低温水使用の洗濯場面で、収容容器に粒子が残らない粉末洗剤組成物を提供すること。
【解決手段】単核性洗剤粒子を含有してなる粉末洗剤組成物であって、該単核性洗剤粒子が、(a)アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属硫酸塩、(b)ゼオライト及び(c)高分子化合物を含有するベース顆粒〔(A)成分〕、R1O−[(C24O)m/(AO)n]H〔式中、R1は炭素数8〜22の鎖式炭化水素基であり、AOは炭素数3〜5のオキシアルキレン基である。m、nは平均付加モル数であって、mは13〜24の数であり、nは1〜3の数である。〕で表される非イオン界面活性剤〔(B)成分〕並びに表面改質剤〔(D)成分〕と任意の陰イオン界面活性剤(脂肪酸又はその塩を除く)〔(C)成分〕を含有してなる単核性洗剤粒子である、粉末洗剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単核性洗剤粒子を含有してなる洗剤組成物に関する。特には低温水使用時に洗濯機の洗剤収容容器内に形成されるペースト状の洗剤残留物の量が少ない、分散性に優れた衣料用粉末洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人類が与える地球環境への影響が懸念されており、化石燃料による二酸化炭素排出量の低減が早急なる解決課題として挙げられている。政府は化石燃料に依存したエネルギー政策からの転換が求められ、環境負担の少ない電気エネルギーの発電方法を模索している。これらの問題は、電力不足問題も伴って洗濯環境に与える影響も大きく、節水、節電をテーマとした洗剤や洗濯機が開発されてきている。
【0003】
洗剤に関しては、濯ぎ性に優れる洗浄基材を用いることで、濯ぎ回数を減らすことが可能な衣料用洗剤が開発されている。例えば特許文献1には、非イオン界面活性剤としてオキシエチレン基の平均付加モル数の大きい界面活性剤と陰イオン界面活性剤とを特定比率で併用することで、繊維への吸着性が少なく、且つ洗浄力に優れる洗浄剤及び洗濯方法が提案されている。
【0004】
また洗濯機に関しては、衣料に対して水の少ないドラム式洗濯機の普及率が増加している。しかしながら、粉末洗剤の場合、洗濯に使用する水の低減に伴い、投入した洗剤組成物の全てが溶けきらないといった新たな問題が発生している。特にドラム式洗濯機においては、設けられている洗剤収容容器内に洗剤成分がペースト化した溶け残りが発生することがある。縦型洗濯機にも予約洗濯時に用いる洗剤収容容器が設けられているが、容器内に流れる洗濯水量がペースト化しても溶ける程多量なため、それほど問題にはならなかった。しかし、容器を流れる水量の少ないドラム式洗濯機の場合、洗剤収容容器への給水量が少ないため、容器内にペースト状の塊として溶け残りが発生するリスクが高くなってしまう。特に冬場等の低温水を用いた時にそのリスクが高くなる。
【0005】
これまでのドラム式洗濯機は、容器外への水漏れの不安から、洗剤収容容器内への給水量を減らしていたが、例えば容器から溢れた水を回収する通路を設けることで、多量の水でも溢れる不安をなくし、その結果、給水量を増やし容器内の溶け残りリスクを低減している(例えば特許文献2参照)。また粒子自体の溶解性に対しては、水に溶解する過程において粒子径の1/10以上の径の気泡を粒子内部から放出し得る洗剤粒子や、粉末がペースト化しても低温の水でも良く溶けるといった粒子が提案されている(特許文献3、4参照)。更に特許文献3、5及び6には、非イオン界面活性剤として脂肪族アルコールにエチレンオキシドを付加させ、次にプロピレンオキシドを付加させ、その後再びエチレンオキシドを付加させて得られるアルキレンオキシ基の付加順序がEO−PO−EO型のポリオキシアルキレンアルキルエーテル型の非イオン界面活性剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−32456号公報
【特許文献2】特開2010−104775号公報
【特許文献3】WO99/29830号パンフレット
【特許文献4】特開2001−59100号公報
【特許文献5】特開2008−138029号公報
【特許文献6】特開2009−46635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
溶解性の高い粉末粒子は、洗濯水が粉末粒子に対して高水量下では、水により、粉末が溶解し、分散するが、毎回洗濯後にトレー上に残る水と粉末粒子により、わずかに溶けてできたペーストが形成される場合がある。このようなペーストが長時間放置されると、溶解性の高い粉末粒子を用いた場合であっても粒子が分散せずに溶け残ってしまう場合がある。近年、洗剤収容容器への給水量の多い構造に改良したドラム式洗濯機に関しても、容器上にペースト化した洗剤溶け残りが発生するリスクは高くなってしまう。
【0008】
本発明は、節水に適したオキシエチレン基の平均付加モル数の大きい非イオン界面活性剤を洗浄基材として含有する粉末洗剤組成物に関し、洗剤収容容器上への粉末粒子の溶け残りを発生させることなく、低温下、あるいは低温水使用の洗濯場面で、収容容器に粒子が残らない粉末洗剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題に対し、本発明者らは、ベース顆粒に特定の非イオン界面活性剤を担持させた結果、上記要求が満たされることを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、
単核性洗剤粒子中に、下記の(A)成分を20〜80質量%、(B)成分を5〜30質量%及び(D)成分を含有し、(C)成分の量が(C)成分/(B)成分の質量比として0/100〜40/60である単核性洗剤粒子を含有する、粉末洗剤組成物。
〔(A)成分は以下の(a1)成分を5〜78質量%、(a2)成分を10〜90質量%及び(a3)成分を0.5〜20質量%含有するベース顆粒:
(a1)アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属硫酸塩から選ばれる一種以上の無機塩
(a2)ゼオライト
(a3)カルボン酸基を有する構成単位を含んで構成される高分子化合物、
(B)成分は下記一般式(1):
1O−[(C24O)m/(AO)n]H (1)
〔式中、R1は炭素数8〜22の鎖式炭化水素基であり、AOは炭素数3〜5のオキシアルキレン基である。m、nは平均付加モル数であって、mは13〜24の数であり、nは1〜3の数である。「/」はC24O基及びAO基がランダム又はブロックのいずれかに結合したものであってもよいことを示す。〕で表される非イオン界面活性剤、
(C)成分は陰イオン界面活性剤(脂肪酸又はその塩を除く)、及び
(D)成分は表面改質剤。〕
に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
前記式(1)で表される非イオン界面活性剤、及び好ましくはさらに陰イオン界面活性剤を含有する単核性洗剤粒子を用いることにより、溶解性に優れた粉末洗剤組成物を得ることができる。特に洗剤収容容器上のように洗濯時に流れる水が低量でも容器上への洗剤残りを低減できる効果が達成される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における単核性洗剤粒子は、(A)成分、(B)成分及び(D)成分を含有するものであり、さらに任意成分ではあるが、その配合が制限された(C)成分を含有するものである。以下に、単核性洗剤粒子を構成する各成分について説明する。
【0013】
[(A):ベース顆粒]
ベース顆粒(A)は単核性洗剤粒子の核を構成する粒子であり、(a1)アルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属硫酸塩、(a2)ゼオライト及び(a3)カルボン酸基を有する構成単位を含んで構成される高分子化合物を含有する、噴霧乾燥された粒子である。このような(A)成分は、(a1)成分〜(a3)成分、さらには必要に応じて(a4)成分及び(a5)成分から選ばれる一種以上の成分を含有する水性スラリーを噴霧乾燥することによって得ることができる。噴霧乾燥することで得られるベース顆粒は、多孔質の粒子であり、更には乾燥方法又はスラリー組成条件によっては内部に空洞を有する。多孔質であること、更には粒子内部に空洞を有することで、ベース顆粒は液状の界面活性剤を担持することができる。以下、各成分について説明する。
【0014】
<(a1)成分:アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属硫酸塩>
(a1)成分としてのアルカリ金属炭酸塩には、一般的なアルカリ金属炭酸塩以外に、アルカリ金属の重炭酸塩やアルカリ金属の炭酸水素塩等も包含される。(a1)成分は一種類の塩から構成されていても良く、二種類以上の塩から構成されていても良い。
【0015】
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムカリウム等が挙げられる。アルカリ金属の重炭酸塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
【0016】
(a1)成分としてのアルカリ金属硫酸塩には、一般的なアルカリ金属硫酸塩以外に、アルカリ金属の亜硫酸塩、アルカリ金属の硫酸水素塩等も包含される。アルカリ金属硫酸塩としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等が挙げられる。アルカリ金属の亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。アルカリ金属の硫酸水素塩としては、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム等が挙げられる。
【0017】
上記の各塩の中で、入手が容易な点から炭酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムが好ましい。
【0018】
アルカリ金属炭酸塩とアルカリ金属硫酸塩とは(a1)成分として併用することがより好ましい。併用する場合は質量比で、アルカリ金属炭酸塩/アルカリ金属硫酸塩=20/30〜60/50であることが好ましい。噴霧乾燥後、アルカリ金属炭酸塩とアルカリ金属硫酸塩とは複塩であるバーカイトを形成してもよい。
【0019】
(a1)成分はベース顆粒中に5〜78質量%、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜60質量%含有される。皮脂汚れの洗浄力の観点から(a1)成分は5質量%以上であることが好ましく、洗剤粒子の溶解性の観点から(a1)成分は78質量%以下であることが好ましい。
【0020】
<(a2)成分:ゼオライト>
(a2)成分のゼオライトとは一般に知られている結晶性アルミノケイ酸塩である。その構造体としてP型、A型、X型、Y型ゼオライトがあり、本発明ではいずれのものも使用できるが、A型ゼオライトが好ましい。ゼオライトは、水中のカルシウムイオン等を捕捉するイオン交換能、耐ケーキング性、及び界面活性剤のシミ出し抑制のために配合される。かかる観点から、(a2)成分はベース顆粒中に10〜90質量%、好ましくは20〜75質量%、より好ましくは25〜70質量%含有される。
【0021】
<(a3)成分:カルボン酸基を有する構成単位を含んで構成される高分子化合物>
(a3)成分の高分子化合物としては、カルボン酸基を有するモノマー由来の高分子化合物、天然高分子化合物にカルボン酸基を付与することで得られるカルボキシルアルキルセルロース(好ましくカルボキシメチルセルロース)、モノマー重合体に後からカルボン酸基を導入して得られる高分子化合物等が挙げられるが、本発明でいう高分子化合物には、モノマーの重合体のみならず、天然物も含み、カルボン酸基を高分子化合物に後から付加して得られるものも包含される。重合性不飽和結合を有するカルボン酸又はその塩といったモノマー由来の構成単位を含んで構成される高分子化合物が洗浄力の観点から好ましい。具体的にはアクリル酸、メタアクリル酸、ヒドロキシアクリル酸、マレイン酸またはそれらの塩などのモノマー由来の構造単位を有する高分子化合物である。
【0022】
本発明における(a3)成分は、重合性不飽和結合を有するカルボン酸又はその塩といったモノマー以外に、該モノマーと重合可能な他のモノマーとの共重合によって得られる高分子化合物であってもよい。また後からカルボン酸基を導入する場合は、カルボン酸基が導入されない構成単位を有していてもよい。高分子化合物を構成している構成単位の中でのカルボン酸基を有する構成単位の割合は、高分子化合物を構成している全構成単位の80〜100モル%であることが好ましく、90〜100モル%であることがより好ましい。
【0023】
本発明に用いる高分子化合物としては、アクリル酸−マレイン酸コポリマー又はその塩(Na、K、NH4等との塩)や、ポリアクリル酸又はその塩(Na、K、NH4等との塩)がより好ましく、更にはポリアクリル酸又はその塩がより好ましい。該高分子化合物の中和度、すなわち全構成単位中でのカルボン酸基のカルボン酸塩が占める割合は20モル%〜100モル%が好ましく、40〜100モル%がより好ましい。高分子化合物の中和度は、例えば噴霧乾燥するためのスラリーのアルカリ性の程度を変えることによって、調整することができる。
【0024】
(a3)成分の重量平均分子量としては1千〜10万が好ましく、2千〜8万がより好ましく、5千〜5万がさらに好ましい。(a3)成分は一種類の高分子化合物から構成されていても良く、二種類以上の高分子化合物から構成されていても良い。
【0025】
(a3)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、アセトニトリルと水の混合溶液(リン酸緩衝液)を展開溶媒とし、ポリエチレングリコールを標準物質として測定することができる。
【0026】
(a3)成分はベース顆粒中に好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは3〜10質量%、さらに好ましくは3〜5質量%含有される。ベース顆粒の硬度を保つ観点から(a3)成分は0.5質量%以上であることが好ましく、残存するペーストの量を少なくする観点から20質量%以下であることが好ましい。なお(a3)成分の質量%は(a3)成分が酸型と仮定したときの数値である。
【0027】
<(a4)水溶性無機塩>
ベース顆粒には、(a1)成分以外の水溶性無機塩、例えば塩化ナトリウム等のアルカリ金属の塩化物、2号ケイ酸ナトリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩、トリポリリン酸ナトリウム等のリン酸塩等が含まれていてもよい。アルカリ金属塩としては、塩化ナトリウム等が挙げられる。
【0028】
(a4)成分を用いる場合、ベース顆粒中のその含有量としては1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましい。(a4)成分は一種類の水溶性無機塩から構成されていても良く、二種類以上の水溶性無機塩から構成されていても良い。
【0029】
<(a5)界面活性剤>
(A)成分中の無機粒子の分散性を高めるために、後述する(B)成分及び(C)成分を担持させる前に、ベース顆粒内に界面活性剤が(a5)成分として含有されていてもよい。
【0030】
(a5)成分の界面活性剤としては、炭素数が8〜22のアルキル基又はアルケニル基部と、非イオン性、陰イオン性及び陽イオン性のいずれかの親水性基部とを有する界面活性剤を挙げることができる。(a5)成分は一種類の界面活性剤から構成されていても良く、二種類以上の界面活性剤から構成されていても良い。
【0031】
陰イオン性の親水性基部を有する界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩又は脂肪酸塩等の陰イオン界面活性剤を挙げることができる。なお、塩としてはアルカリ金属塩が好ましい。
【0032】
非イオン性の親水性基部を有する界面活性剤としては、オキシエチレン基が平均10モル以上の場合、そのうちの平均1〜5モルがオキシプロピレン基で置換されていてもよいポリオキシエチレン基の平均付加モル数が3〜12のポリオキシエチレンアルキルエーテル、平均糖縮合度が1〜5のアルキルグリコシド、平均縮合度が2〜5のポリグリセリルモノアルキルエーテル及びオキシエチレン基の平均付加モル数が5〜20のポリオキシエチレンメチルエーテル脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤を挙げることができる。
【0033】
その他、洗剤に配合することが知られている陽イオン界面活性剤や両性界面活性剤を(a5)成分の界面活性剤として挙げることができる。
【0034】
本発明では、粉末洗剤の嵩密度を調整する観点から、ベース顆粒中に含有される(a5)成分としては陰イオン界面活性剤が好ましい。
【0035】
ベース顆粒中の(a5)成分の量は0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%がより好ましい。
【0036】
ベース顆粒には、本発明の効果を大きく損なわない程度の、又は(B)成分及び(C)成分の担持を妨げない程度の、前記の(a1)〜(a5)成分以外に洗剤分野のベース顆粒に含有できることが知られている成分が含有されていてもよい。かかる成分としては、蛍光染料等を挙げることができる。
【0037】
調製されたベース顆粒には、原料成分の結晶水に由来する水以外の水はできるだけ含まれないことが好ましいが、スラリーを乾燥する際の熱エネルギーと本効果の影響を考慮した上で適宜決定することが好ましい。
【0038】
ベース顆粒は上記成分等から構成されるが、そのためにはスラリーを調製する必要がある。スラリーとしては、例えば次のような組成が好ましい。
【0039】
(a1)アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属硫酸塩から選ばれる1種以上の無機塩:1〜40質量%
(a2)ゼオライト:5〜50質量%
(a3)カルボン酸基を有する構成単位を含んで構成される高分子化合物:0.1〜10質量%
(a4)水溶性無機塩:0〜10質量%
(a5)界面活性剤:0〜10質量%
水:残部
【0040】
ベース顆粒を調製するためのスラリーを噴霧乾燥する際の条件(温度、噴霧乾燥装置、噴霧方法、乾燥方法等)は、公知の条件であればよく、特に限定はない。
【0041】
本発明に用いられるベース顆粒の物性を以下に例示する。
【0042】
本発明のベース顆粒は多孔質性であることから、液状の界面活性剤又は界面活性剤組成物を担持することができる。ベース顆粒の担持能は、好ましくは20mL/100g以上、より好ましくは30mL/100g以上である。この範囲において、ベース顆粒同士の凝集が抑制され、洗剤粒子中の粒子の単核性を維持するのに好適である。
【0043】
ベース顆粒の担持能は次のようにして測定される。内部に攪拌翼を備える内径5cm×高さ15cmの円筒型混合槽に試料100gを入れる。該攪拌翼を350rpmで攪拌させながら、25℃のポリオキシエチレンラウリルエーテル(平均エチレンオキシド付加モル数6)を、10mL/minの速度で槽内に投入する。攪拌に要する動力が最も高くなった時の、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの投入量を試料(ベース顆粒)の担持能とする。
【0044】
ベース顆粒の担持能は、ベース顆粒と、(B)成分及び(C)成分とを混合する時の温度を制御することで調整することができる。かかる観点から、界面活性剤を添加するためのノズルや混合機には、温度を制御するためのジャケット等の部材を備えたものが好ましい。
【0045】
ベース顆粒の嵩密度は、200〜1000g/Lが好ましく、300〜1000g/Lがより好ましく、400〜1000g/Lがさらに好ましく、500〜800g/Lがよりさらに好ましい。嵩密度は、JIS K 3362(1995年)に規定された方法で測定する。
【0046】
ベース顆粒の平均粒径は、150〜500μmが好ましく、180〜300μmがより好ましい。平均粒径の測定は次のようにして行うことができる。
目開き125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmの9段の篩と受け皿を用いて、受け皿上に目開きの小さな篩から順に積み重ねる。最上部の目開き2000μmの篩の上から100gの顆粒を添加し、蓋をしてロータップ型ふるい振とう機(株式会社平工製作所製、タッピング156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け5分間振動させる。その後、それぞれの篩及び受け皿上に残留した粒子の質量を測定し、各篩上の粒子の質量割合(%)を算出する。受け皿から順に目開きの小さな篩上の粒子の質量割合を積算していく。質量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、またaμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとした時、受け皿からaμmの篩までの重量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の重量頻度をd%とした場合、平均粒径は次の式から求められる。
【0047】
【数1】

【0048】
ベース顆粒の含水率は、より小さい方が好ましい。ベース顆粒の含水率の測定方法としては、後述の単核性洗剤粒子の含水率の測定方法と同じ方法を採用することができる。
【0049】
ベース顆粒の粒子強度は特に限定されないが、例えば、50〜2000kg/cm2が好ましい。ベース顆粒の粒子強度の測定方法としては、後述の単核性洗剤粒子の粒子強度の測定方法と同じ方法を採用することができる。
【0050】
単核性洗剤粒子中の(A)成分の割合は、20〜80質量%、好ましくは35〜75質量%、より好ましくは40〜70質量%である。活性剤の吸油能の観点から(A)成分は20質量%以上であることが好ましく、洗浄性の観点から(A)成分は80質量%以下であることが好ましい。
【0051】
本発明における単核性洗剤粒子は、前記のベース顆粒(A)と、特定の非イオン界面活性剤(B)、好ましくはさらに陰イオン界面活性剤(但し、脂肪酸又はその塩を除く)(C)とを混合することで、界面活性剤をベース顆粒に担持ないし付着させ、次いで、得られた混合物を表面改質剤(D)で処理することによって得られる。
【0052】
[(B)成分:非イオン界面活性剤]
本発明の粉末洗剤組成物には、(B)成分として下記一般式(1)の構造の非イオン界面活性剤を含有する。(B)成分は一種類の非イオン界面活性剤から構成されていても良く、二種類以上の非イオン界面活性剤から構成されていても良い。
【0053】
1O−[(C24O)m/(AO)n]H (1)
〔式中、R1は炭素数8〜22の鎖式炭化水素基であり、AOは炭素数3〜5のオキシアルキレン基である。m、nは平均付加モル数であって、mは13〜24の数であり、1〜3の数である。「/」はC24O基及びAO基がランダム又はブロックのいずれかに結合したものであってもよいことを示す。〕
【0054】
1は炭素数8〜22の鎖式炭化水素基であり、炭素数8〜18のものが好ましく、8〜16のものがより好ましい。R1は直鎖の炭化水素基がより好ましく、アルキル基及びアルケニル基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましい。さらに、酸素原子に結合するR1の炭素原子が第一炭素原子であってもよい。このようなアルキル基は天然油脂由来の脂肪族アルコールを原料として用いることで導入することができる。式(1)中のR1−O−の酸素原子に結合するR1の炭素原子が第一原子であるものは、第二炭素原子による化合物よりも洗浄力に優れるため、好ましい。よって、R1としては第一炭素原子を有する直鎖アルキル基がより好ましい。かかる直鎖アルキル基の具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられる。
【0055】
式(1)の化合物を得る方法は、特に限定されるものではないが、炭素数8〜22のアルコールにエチレンオキシドを付加反応させること、あるいはエチレンオキシドと炭素数3〜5のアルキレンオキシドを付加反応させることによって得ることができる。
【0056】
式(1)中のmはエチレンオキシドの付加反応後のオキシエチレン基の平均付加モル数である。mは濯ぎ性、洗浄性能の点から、好ましくは14以上であり、好ましくは20以下である。nは炭素数3〜5のアルキレンオキシドの付加反応後のAOで示されるオキシアルキレン基の平均付加モル数である。洗浄性能の点から1以上であり、3以下である。
【0057】
式(1)中のAOであるオキシアルキレン基は、アルキレンオキシドの付加反応によりメチル分岐、エチル分岐ないしプロピル分岐した構造を有していてもよい。AOは、プロピレンオキシドを付加反応させて得られるオキシプロピレン基(以下、POと表記する場合がある)であることが好ましい。
【0058】
本発明では、特にAOはPO基であって、PO基の平均付加モル数nが1〜3、特には1〜2であって、且つオキシエチレン基の平均付加モル数mが13〜24、更には13〜22、更には14〜20である化合物を(B)成分として用いることが好ましい。かかる化合物は、PO基を有しない化合物と比較して繊維吸着性が低いことから、濯ぎ性に優れ、かつ洗浄力に優れた洗剤組成物を製造できるため、好ましい。
【0059】
式(1)で示される(B)成分としては、下記一般式(1−1)〜(1−5)の化合物であってもよい。
【0060】
(1−1):R1O−(AO)n−(EO)m
(1−2):R1O−(EO)m−(AO)n
(1−3):R1O−[(EO)m1・(AO)n]−(EO)m2
(1−4):R1O−(EO)m1−[(AO)n・(EO)m2]H
(1−5):R1O−(EO)m1−(AO)n−(EO)m2
【0061】
式(1−1)において、「/」は、(B)成分のC24O基であるオキシエチレン基(以下、EOと表記する場合がある)及びAO基の関係がランダム結合でもブロック結合でもいずれでもよいことを意味している。式(1−3)及び(1−4)における「・」とは、EO基及びAO基の関係がランダム結合でもブロック結合でもいずれでもよいことを意味している。AOのnは複数のブロック体として分かれてもよい。一般式(1−1)〜(1−5)で示される化合物は、R1−OHに対するアルキレンオキシドの反応割合及び反応順序を考慮することで調製することができる。さらに上記の式(1−3)〜(1−5)で示される化合物において、m1、n、m2はそれぞれ平均付加モル数であって、m1+m2=13〜24、好ましくは13〜22、より好ましくは14〜20の数であり、nは1〜3、好ましくは1〜2の数である。
【0062】
本発明では一般式(1−2)、(1−4)及び(1−5)で示される化合物が、濯ぎ性の点からより好ましい。その理由としては、前記のようにR1O−の近い位置にAOが存在する構造の場合、AOは疎水性基であることからR1である鎖式炭化水素基が延長された構造になり、疎水性が高まったことで濯ぎ性が低下することが原因であると考えられる。繊維への吸着性が少なく、且つ洗浄力を得る観点から、(B)成分はとしては一般式(1−5)で示される化合物がより好ましい。
【0063】
一般式(1−5)で示される化合物は、R1−OHで表される化合物(R1は炭素数8〜22の炭化水素基、好ましくは前記R1と同じ)1モル当りにエチレンオキシドをm1モル付加させた後、炭素数3〜5のアルキレンオキシドをnモル付加させた後、更にエチレンオキシドをm2モル付加させて得られることができる非イオン界面活性剤である。本発明において、式(1−5)で示される化合物としては、連続するAO基中にPO基が末端に位置せず、かつR1に結合していないものが好ましく、さらにm1とm2との関係からは、m1/(m1+m2)=0.2〜0.8であるものがより好ましく、0.3〜0.7であるものがさらに好ましい。
【0064】
式(1−5)で示される化合物の好ましい例としては、下記一般式(1−5−1)で示されるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
1O−(EO)m1−(PO)n−(EO)m2−H (1−5−1)
〔式中、R1は炭素数8〜22の鎖式炭化水素基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基である。m1、n、m2はそれぞれ平均付加モル数であって、m1+m2=14〜20の数であり、nは1〜2の数である。〕
【0065】
式(1−5−1)で表される化合物において、R1が直鎖の炭素数12〜14のアルキル基が好ましく、m1+m2=14〜20の数であり、nは1〜2の数であって、m1=3〜12好ましく、6〜9がより好ましい。m2=3〜12が好ましく、6〜9がより好ましい。
【0066】
単核性洗剤粒子中に(B)成分は、5〜30質量%、好ましくは5〜20質量%含有される。洗浄性の観点から(B)成分は5質量%以上であることが好ましく、ベース顆粒の吸油能の観点から(B)成分は30質量%以下であることが好ましい。
【0067】
[(C)成分:陰イオン界面活性剤(脂肪酸又はその塩を除く)]
本発明においては、単核性洗剤粒子を構成する成分として脂肪酸又は脂肪酸塩以外の陰イオン界面活性剤を用いないか、あるいは洗浄性能を向上させる観点から用いる場合であっても、低温溶解性の観点からその量を制限する。このような陰イオン界面活性剤、即ち(C)成分としては、下記(c1)〜(c4)のものが例示できるが、洗浄性能、安定性、溶解性の点で、(c1)及び(c2)のものが好ましく、(c1)のものがより好ましい。(C)成分は一種類の陰イオン界面活性剤から構成されていても良く、二種類以上の陰イオン界面活性剤から構成されていても良い。
【0068】
(c1)平均炭素数10〜20のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩。
(c2)平均炭素数10〜20の直鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコール由来のアルキル基又は分岐アルコール由来のアルキル基を有し、オキシアルキレン基の平均付加モル数が1〜5であり、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基を含み、平均付加モル数0.2〜2モルの範囲でオキシプロピレン基を含んでいてもよい、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩。
(c3)平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸エステル塩。
(c4)平均炭素数10〜20の直鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコール由来のアルキル基又は分岐アルコール由来のアルキル基を有し、オキシアルキレン基の平均付加モル数が1〜5であり、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基を含み、平均付加モル数0.2〜2モルの範囲でオキシプロピレン基を含んでいてもよい、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩。
【0069】
(c1)〜(c4)においてはアルカリ金属塩が好ましいが、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましい。
【0070】
単核性洗剤粒子中に(C)成分を含有させることは任意であるが、その量としては、好ましくは1〜12質量%であり、より好ましくは2〜10質量%である。洗浄性の観点から(C)成分は1質量%以上であることが好ましく洗剤粒子の流動性の観点から(C)成分は12質量%以下であることが好ましい。更に、単核性洗剤粒子中の(C)成分/(B)成分の質量比としては、0/100〜40/60であるが、低温溶解性の観点から、0/100を超える事が好ましく、40/60以下がより好ましく、5/95以上がより好ましく、10/90以上が更に好ましく、そして35/65以下が好ましく、30/70以下がより好ましい。
【0071】
〔混合方法〕
単核性洗剤粒子を得る上で、まずは(A)成分のベース顆粒を調製する。次いで、(B)成分の非イオン界面活性剤と(C)成分の陰イオン界面活性剤を別々にベース顆粒と混合するか、又は(B)成分と(C)成分とが混合された界面活性剤組成物をベース顆粒と混合することによって、ベース顆粒に該界面活性剤を担持ないし付着させることができる。本発明では、(B)成分及び(C)成分を界面活性剤組成物として配合することが好ましい。
【0072】
界面活性剤又は界面活性剤組成物とベース顆粒を混合するための混合機は例えば、界面活性剤を添加するためのノズルや混合機内の温度を制御するためにジャケットを備えたものが好ましい。
【0073】
また混合時の機内温度は、ベース顆粒の崩壊を実質的に抑制しながら界面活性剤又は界面活性剤組成物とベース顆粒とを効率的に混合できる温度が好ましい。例えば、混合する界面活性剤又は界面活性剤組成物の流動点以上が好ましく、流動点の10℃以上がより好ましく、流動点の20℃以上が特に好ましい。例えば、70〜80℃が好ましい温度である。また、混合時間は2〜10分程度が好ましい。機内温度の調整はジャケット等に冷水や温水を流すことにより行うことができる。そのため、混合に用いる装置はジャケットを備えた構造のものが好ましい。
【0074】
界面活性剤又は界面活性剤組成物とベース顆粒の混合方法としては、回分式でも連続式でもよい。回分式で混合する場合、予めベース顆粒を混合機に仕込んだ後、界面活性剤又は界面活性剤組成物を添加することが好ましい。供給する界面活性剤又は界面活性剤組成物の温度は、界面活性剤又は界面活性剤組成物の安定性の観点から、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下である。
【0075】
また連続式で混合を行う場合、一般に連続式混合に使用されている連続式混合機を用いれば、特に限定されないが、例えば上記の混合機のうちで連続型の装置を用いてベース顆粒と界面活性剤又は界面活性剤組成物を混合させてもよい。
【0076】
なお所望により、界面活性剤又は界面活性剤組成物と混合する際に、ベース顆粒以外の粉体原料も配合することができる。その配合量は、溶解性の点から、ベース顆粒100質量部に対して好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
【0077】
本明細書で言う、ベース顆粒以外の粉体原料としては、具体的には、ゼオライト、クエン酸又はその塩、エチレンジアミン四酢酸又はその塩等の金属イオン封鎖能を示す基剤、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムに代表されるアルカリ金属炭酸塩等のアルカリ能を示す基剤、層状ケイ酸ナトリウムに代表される結晶性ケイ酸塩等の金属イオン封鎖能及びアルカリ能のいずれも有する基剤、非晶質シリカ、非晶質アルミノケイ酸塩、粘土鉱物等の吸油性剤、ゼオライト、ベントナイト等の粉末物性改善剤、硫酸ナトリウムなどの増量剤(希釈剤という場合もある)などが挙げられる。かかる粉体原料を所望によりベース顆粒と併用することで、例えばゼオライトやベントナイトなどの粉末物性改善剤は、界面活性剤又は界面活性剤組成物の高配合化及び混合機内への混合物の付着の低減が達成され、またアルカリ金属炭酸塩の場合は、アルカリ性の向上を高めることで、洗浄力の向上を図ることができる。
【0078】
また、単核性洗剤粒子としての物性を低下させない程度に、蛍光染料、香料成分及び消泡成分を配合してもよい。
【0079】
このようなベース顆粒に界面活性剤又は界面活性剤組成物を添加する前に添加された粉体原料は、本発明の粉末洗剤組成物中では、(A)成分、(B)成分及び(D)成分、並びに好ましくは(C)成分を含有して形成される単核性洗剤粒子とは異なる粒子として存在してもよい。
【0080】
〔(D)成分:表面改質剤〕
界面活性剤又は界面活性剤組成物をベース顆粒に担持させて得られた混合物と、(D)成分の表面改質剤とを混合することにより、流動性と耐ケーキング性が向上した単核性洗剤粒子を得ることができる。このような表面改質処理により、単核性洗剤粒子の表面は(D)成分で覆われた状態となる。
【0081】
表面改質剤は、単核性洗剤粒子の被覆率の向上、単核性洗剤粒子の流動性と耐ケーキング性の向上の点から、その1次粒子の平均粒径が20μm以下のものが好ましい。本発明では150μm未満の粒子の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、「LA920」)を用いて、エタノールを分散媒として、超音波3分照射後の粒度分布を相対屈折率1.5で測定したときの体積中位粒径(D50)の値を平均粒径とする。
【0082】
表面改質剤はアルミノケイ酸塩が望ましく、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、ベントナイト、トリポリリン酸ナトリウム、タルク、クレイ、非晶質シリカ誘導体、結晶性シリケート化合物等のシリケート化合物のような無機微粉体や、1次粒子が20μm以下の金属石鹸も用いることができる。(D)成分は一種類の表面改質剤から構成されていても良く、二種類以上の表面改質剤から構成されていても良い。
【0083】
また、表面改質剤が高いイオン交換能やアルカリ能を有することが、洗浄力の点で好ましい。
【0084】
(D)成分の使用量としては、流動性及び使用感の点で、界面活性剤をベース顆粒に担持することで得られた混合物100質量部に対して好ましくは0.5〜40質量部、より好ましくは1〜30質量部である。
【0085】
界面活性剤又は界面活性剤組成物をベース顆粒に担持させて得られた混合物を表面改質剤で処理する前に、脂肪酸又は脂肪酸塩などで表面処理を行うことで、得られる単核性粒子の粉末物性が更に改善されるので、このような処理を行うことは好ましい。また脂肪酸又は脂肪酸塩の配合は、消泡効果の観点からも好ましい。このような処理によって配合される脂肪酸及び/又は脂肪酸塩の量は、粉末洗組成物中に脂肪酸に換算して好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%である。単核性粒子中の前記(C)成分と脂肪酸との合計した質量が、(C)成分として規定された範囲及び(C)/(B)の比率内にあることがより好ましい。
【0086】
〔単核性洗剤粒子〕
以上のようにして単核性洗剤粒子が得られる。
本発明における単核性洗剤粒子とは、(A)成分、(B)成分及び(D)成分を含有し、任意の(C)成分の含有率を制限した粒子であるが、かかる単核性洗剤粒子の好ましい一例としては、(A)成分であるベース顆粒に、(B)成分である非イオン界面活性剤又は(B)成分と(C)成分の陰イオン界面活性剤とを担持又は付着させた粒子を、(D)成分である表面改質剤で被覆し構造を有する粒子である。
【0087】
本発明における該単核性洗剤粒子としては、(A)ベース顆粒を20〜80質量%、(B)非イオン界面活性剤を5〜30質量%、(C)陰イオン界面活性剤を1〜12質量%、(D)表面改質剤を含有するものが好ましい。(C)/(B)は質量比で0/100〜を超えて40/60以下であるものが好ましい。単核性洗剤粒子には、その他、単核性洗剤粒子に添加可能な洗剤成分を、例えば(B)及び(C)の界面活性剤と一緒に添加したり、或いはその途中又は界面活性剤投入後に添加したり、或いは表面改質後に粒子に添加することができる。かかる洗剤成分としては例えば蛍光染料、香料、消泡剤等を挙げることができる。
【0088】
〔単核性洗剤粒子の物性〕
本発明において、単核性洗剤粒子とは、ベース顆粒を核として製造された洗剤組成物であって、実質的に1個の洗剤粒子の中に1個のベース顆粒を核として有する洗剤粒子をいう。かかる単核性洗剤粒子は粒子間の凝集が抑制されているため、所望の粒径範囲外の粒子(凝集粒子)が生成することなく、粒径分布がシャープであるという利点を有する。
【0089】
本明細書において、単核性洗剤粒子とは、下式で定義される洗剤粒子の粒子成長度が1.5以下、好ましくは1.3以下の洗剤粒子である。
粒子成長度=〔洗剤粒子の平均粒径〕/〔(A)成分の平均粒径〕
【0090】
洗剤粒子の平均粒径は、(A)成分の平均粒径と同じ方法で測定される。
【0091】
単核性洗剤粒子の平均粒径は160μm以上であり、170〜500μmが好ましく、180〜350μmがより好ましい。
【0092】
単核性洗剤粒子の嵩密度は、300〜1000g/Lが好ましく、500〜1000g/Lがより好ましく、600〜1000g/Lが更に好ましく、650〜850g/Lが特に好ましい。嵩密度は、JIS K3362:2008により規定された方法により測定する。
【0093】
単核性洗剤粒子の担持能は20mL/100g以上が好ましく、40mL/100g以上がより好ましい。単核性洗剤粒子の担持能はベース顆粒の担持能と同じ方法で求められる。
【0094】
単核性洗剤粒子の粒子強度は50〜2000kg/cm2が好ましく、100〜1500kg/cm2がより好ましく、150〜1000kg/cm2がさらに好ましい。単核性洗剤粒子の担持能は次のようにして求められる。
【0095】
粒子強度の測定法は以下の通りである。内径3cm×高さ8cmの円柱状の容器に試料20gを入れ、30回タッピング(筒井理化学器機(株)、TVP1型タッピング式密充填嵩密度測定器、タッピング条件;周期36回/分、60mmの高さから自由落下)を行う。タッピング操作終了直後の試料高さを測定し、初期試料高さとする。その後、加圧試験機にて容器内に保持した試料の上端面全体を10mm/minの速度で加圧し、荷重−変位曲線の測定を行う。該曲線における変位率が5%以下での直線部における傾きに初期試料高さをかけ、得られる値を加圧面積で除した値を粒子強度とする。
【0096】
単核性洗剤粒子の含水率は20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましく、5%がさらに好ましい。単核性洗剤粒子の含水率は次のようにして求められる。秤量皿に試料3gを入れ、105℃の電気乾燥器内で2時間乾燥させる。乾燥後の試料を秤量する。乾燥前後の試料の重量から含水率を算出し、百分率で表す。
【0097】
[粉末洗剤組成物]
本発明の粉末洗剤組成物は、前記の単核性洗剤粒子のみから構成されていてもよいが、その他の洗浄助剤粒子や機能性粒子(以下、あわせて、洗剤添加用粒子という。)をさらに含有したものであってもよい。洗剤添加用粒子は一種類の成分から構成されていても良く、二種類以上の成分から構成されていても良い。
【0098】
これら洗浄助剤粒子や機能性粒子としては、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ及びリパーゼ等を含有する酵素粒子、過炭酸塩や過ホウ酸塩等の過酸化水素放出粒子或いは漂白剤粒子、アルカノイルオキシベンゼンスルホン酸塩、アルカノイルオキシベンゼンカルボン酸、TAED等の漂白活性化剤粒子、シリコーン等を担持させた消泡粒子、香料成分を主に含有する香料粒子、粘土鉱物を含む柔軟剤粒子、デンス灰等のアルカリ剤の粒子、層状シリケート等を挙げることができる。各洗剤添加用粒子はそれぞれの特徴基材の安定性や粉末物性、例えばケーキング性や染み出し性、強度のために公知の技術を施した粒子を配合するべきであり、それらは洗剤の特徴や、使用目的に合った割合で添加される。
【0099】
粉末洗剤組成物が洗剤添加用粒子を含有する場合、単核性洗剤粒子100質量部に対して好ましくは0質量部を超えて30質量部以下の、より好ましくは5〜30質量部の、より好ましくは10〜25質量部の、さらに好ましくは10〜20質量部の洗剤添加用粒子を混合すればよい。単核性洗剤粒子と洗剤添加用粒子を混合した後に蛍光染料や香料等を添加してもよく、溶融させたポリエチレングリコール等を噴霧して粉立ちを抑えることも可能である。
【0100】
なおプロテアーゼやセルラーゼ等の酵素粒子、過炭酸ナトリウム(PC)や過ホウ酸ナトリウム(PB)等の漂白剤粒子等を配合する場合は、単核性洗剤粒子とは別の粒子として、全ての工程が完了した後に添加してもよい。
【0101】
<本発明の概要>
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の組成物等を開示する。
〔1〕単核性洗剤粒子中に、下記の(A)成分を20〜80質量%、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは35〜75質量%、さらに好ましくは40〜70質量%、(B)成分を5〜30質量%、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは5〜20質量%、及び(D)成分を含有し、(C)成分の量が(C)成分/(B)成分の質量比として0/100〜40/60である単核性洗剤粒子を含有する、粉末洗剤組成物。
〔(A)成分は以下の(a1)成分を5〜78質量%、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは20〜60質量%、(a2)成分を10〜90質量%、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは20〜75質量%、さらに好ましくは25〜70質量%、並びに(a3)成分を0.5〜20質量%、好ましくは3質量%以上、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3〜10質量%、さらに好ましくは3〜5質量%含有するベース顆粒:
(a1)アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属硫酸塩から選ばれる1種以上の無機塩
(a2)ゼオライト
(a3)カルボン酸基を有する構成単位を含んで構成される高分子化合物、
(B)成分は下記一般式(1):
1O−[(C24O)m/(AO)n]H (1)
〔式中、R1は炭素数8〜22の鎖式炭化水素基であり、AOは炭素数3〜5のオキシアルキレン基である。m、nは平均付加モル数であって、mは13〜24の数であり、nは1〜3の数である。「/」はC24O基及びAO基がランダム又はブロックのいずれかに結合したものであってもよいことを示す。〕で表される非イオン界面活性剤、
(C)成分は陰イオン界面活性剤(脂肪酸又はその塩を除く)、及び
(D)成分は表面改質剤であって、界面活性剤をベース顆粒に担持することで得られた混合物100質量部に対して該(D)成分を好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは0.5〜40質量部、さらに好ましくは1〜30質量部含有する。〕
〔2〕単核性洗剤粒子が(C)成分としての陰イオン界面活性剤(但し、脂肪酸又はその塩を除く)をさらに好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは1〜12質量%、さらに好ましくは2〜10質量%含有し、該単核性洗剤粒子中の(C)成分/(B)成分の質量比が0/100を超えて40/60以下、好ましくは5/95以上、より好ましくは10/90以上、好ましくは35/65以下、より好ましくは30/70以下であり、また0〜40/60、さらには5/95〜35/65である、前記〔1〕に記載の粉末洗剤組成物。
〔3〕洗剤添加用粒子をさらに含有する粉末洗剤組成物であって、該洗剤添加用粒子の含有量が単核性洗剤粒子100質量部に対して0質量部を超えて30質量部以下、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは5〜30質量部、さらに好ましくは10〜25質量部、さらに好ましくは10〜20質量部である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の粉末洗剤組成物。
【0102】
〔4〕(B)成分が下記一般式(1−5−1):
1O−(EO)m1−(PO)n−(EO)m2−H (1−5−1)
〔式中、R1は炭素数8〜22の鎖式炭化水素基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基である。m1、n、m2はそれぞれ平均付加モル数であって、m1+m2=14〜20の数であり、nは1〜3の数である。〕で表される非イオン界面活性剤である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の粉末洗剤組成物。
〔5〕m又はm1+m2が14〜20の数である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の粉末洗剤組成物。
〔6〕(A)成分を構成する(a3)成分の高分子化合物がポリアクリル酸又はその塩である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の粉末洗剤組成物。
〔7〕単核性洗剤粒子が、(A)成分であるベース顆粒に、(B)成分である非イオン界面活性剤又は(B)成分と(C)成分の陰イオン界面活性剤とを担持又は付着させ、その後(D)成分である表面改質剤で被覆された構造を有する、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の粉末洗剤組成物。
【実施例】
【0103】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら制限されるものではない。
【0104】
<溶け残り評価方法>
粉末洗剤組成物の溶け残りの評価は、下記のペースト残存率の測定によって行う。
【0105】
測定対象の粉末洗剤組成物40gを3gの水を入れた船型のプラスチック製トレー(縦10cm×横6cm×高さ2.5cm)に振りまき、室温(25℃)で1時間放置することで、トレー底部にペーストを形成させる。次いでトレーを反転させることによって、ペースト形成に関与していない粉末を取り除いた後、形成されたペーストの量(g)を測定する。このペーストの量を「生成ペースト量」とする。
【0106】
次いで、トレーを40°傾けた後、水圧0.06MPa、水量120mL/秒のシャワーから水温5℃の水を20秒間かける。シャワーの穴からトレーの底面までの距離は、約5cmに合わせる。次いでトレーを反転させて水を除いた後、トレーを秤量してトレー上に残ったペーストの量(g)を測定する。このペーストの量を「残存ペースト量」とする。ペースト残存率(%)は、下記の式から算出する。
【0107】
【数2】

【0108】
ペースト残存率が小さいほど、粉末洗剤組成物の溶け残りが少ないことを意味する。本発明においては、粉末洗剤組成物のペースト残存率として40%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。
【0109】
実施例1〜4及び比較例1〜3
<ベース顆粒1の製造>
水410質量部を、攪拌翼を供えた1m3の混合槽に入れ、水温を45℃にした後、硫酸ナトリウム110質量部、亜硫酸ナトリウム8質量部、蛍光染料2質量部を添加して、10分間攪拌した。
【0110】
次いで、炭酸ナトリウム120質量部、40質量%のポリアクリル酸ナトリウム水溶液150質量部を添加して10分間攪拌し、さらに塩化ナトリウム40質量部、結晶性アルミノケイ酸塩(ゼオライト)160質量部を添加し、15分間攪拌して、スラリー水分50質量%の均質なスラリーを得た。このスラリーの最終温度は50℃であった。
【0111】
285℃の窒素ガスを噴霧乾燥塔の塔下部より供給しながら、スラリーをポンプで噴霧乾燥塔(向流式)に供給し、塔頂付近に設置した圧力噴霧ノズルから噴霧圧2.5MPaで噴霧を行った。窒素ガスは塔頂から98℃で排出された。得られたベース顆粒1の含水率は3%、平均粒径は290μm、嵩密度は510g/L、担持能は65mL/100g、粒子強度は350kg/cm2であった。得られたベース顆粒1の組成を表1に示す。
【0112】
【表1】

【0113】
<単核性洗剤粒子の製造>
表2及び表3の組成に従った割合で、レディゲミキサー(松坂技研株式会社製、容量20L、ジャケット付)に、表1に記載されたベース顆粒1を投入し、主軸(攪拌翼の回転数:150rpm)の攪拌を開始した。ジャケットには80℃の温水を流した。表2に示される界面活性剤又は界面活性剤組成物を80℃に昇温した後、該ミキサーに界面活性剤又は界面活性剤組成物を2分間かけて投入し、その後5分間攪拌を行った。ここで投入される界面活性剤組成物とはアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)と非イオン界面活性剤とからなる混合物であった。また、LASとしては純分が86質量%のものを用いた。
【0114】
次に、表2及び表3に示される量となるように結晶性アルミノケイ酸塩(ゼオライト)を投入し、攪拌を30秒間行った。次いで、ベントナイトを投入して、同条件の攪拌をさらに30秒間行った後、排出し、下記の実施例及び比較例で示される単核性洗剤粒子を得た。なお、実施例1における単核性洗剤粒子の粒子成長度は1.2であり、比較例1における単核性洗剤粒子の粒子成長度は1.2であった。
【0115】
得られた単核性洗剤粒子そのものを粉末洗剤組成物として、各例の粉末洗剤組成物についてのペースト残存率を比較した。粉末洗剤組成物の組成とペースト残存率の結果を表2及び表3に示す。
【0116】
【表2】

【0117】
【表3】

【0118】
上記のように、本発明品は5℃という低温の水と接触した場合でも、ペースト残存率が低く、溶解性に優れたものであることが分かった。一方、比較例は本発明品よりもペースト残存率が明らかに高く、低温の水に対する溶解性に劣るものであることが分かった。なお、比較例1においては、(B)成分の非イオン界面活性剤の代わりに構造の異なる非イオン界面活性剤1を用いたことが、比較例2及び3においては、(C)成分の陰イオン界面活性剤を特定比率以上配合することが、このような結果の一因となったものと推定される。
【0119】
配合例1〜4
表4に配合例1〜4として、単核性洗剤粒子及び洗剤添加用粒子を含有する場合の本発明の粉末洗剤組成物を示す。粉末洗剤組成物の製造に際し、先の実施例1記載の単核性洗剤粒子に、表4に記載の洗剤添加用粒子をドライブレンドすることによって、これらの粉末洗剤組成物を調製する。
【0120】
なお、デンス灰を配合する場合、本配合例のようにドライブレンドすることで配合しても良く、あるいは、デンス灰をベース顆粒と混合することで配合しても良い。後者の場合、続けて界面活性剤組成物を担持させ、表面改質剤が添加されることとなり、この場合、界面活性剤組成物の一部は、デンス灰の表面に被覆ないし付着した状態になっていてもよい。また、表面改質剤もデンス灰の表面に付着ないし被覆した状態になっていてもよい。
【0121】
【表4】

【0122】
ベース顆粒2〜5の調製及び配合例5〜10
ベース顆粒1と同様にして、表5に示されるベース顆粒2〜5を調製する。次いで、実施例1と同様にして、これらのベース顆粒を用いて本発明品である配合例5〜10の粉末洗剤組成物を調製する(表6)。表6に示される蛍光染料は、界面活性剤組成物の添加時に添加する。
【0123】
【表5】

【0124】
【表6】

【0125】
以下に、上記実験に用いられた化合物を説明する。
ゼオライト:平均粒子径3.5μmのA型ゼオライト
ポリアクリル酸塩:重量平均分子量が10000のポリアクリル酸のNa塩
蛍光染料:「チノパールCBS−X」(チバガイギー社製)
非イオン界面活性剤1:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数が6の化合物)
非イオン界面活性剤2:ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンアルキルエーテル(一般式(1−5−1)において、R1:直鎖1級アルコール由来の炭素数12〜14のアルキル基、m1=m2=9、n=2の化合物)
非イオン界面活性剤3:ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンアルキルエーテル(一般式(1−5−1)において、R1:直鎖1級アルコール由来の炭素数12〜14のアルキル基、m1=m2=7、n=1.5の化合物)
LAS:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アルキル基の炭素数が12〜14のもの)
【0126】
ベントナイト:ラウンドロジルDGA212(ズード・ケミ社製)
層状ケイ酸塩:結晶性層状ケイ酸ナトリウム(製品名プリフィード6N((株)トクヤマシルテック製)顆粒
粘土造粒物:粘土造粒物は次のようにして調製した。容量2Lのヘンシェルミキサーに、Na/Ca質量比率が0.02、水分25質量%のベントナイトの粘土鉱石100質量部と炭酸ナトリウム1.0質量部を投入して回転数1600rpmにて3分間混合した。得られた混合物を押し出し造粒器(スクリーン径:2mmφ)にて造粒した。次に、この造粒物を80℃の乾燥機にて水分12質量%まで乾燥させ、次いで、乳鉢にて125μmの篩を通過するまで粉砕した。この粉砕物100質量部をヘンシェルミキサーに投入し、回転数1600rpmにて混合中に水を25質量部添加して、30秒間混合した。この混合物を80℃の乾燥機にて水分12質量%まで乾燥させ、次いで、オーバーサイズ(1410μm以上)とアンダーサイズ(180μm以下)をカットして粘土造粒物とした。
【0127】
過炭酸ナトリウム:炭酸ナトリウム・過酸化水素付加物(過炭酸ナトリウム)、特開2000−256699号公報の段落0019に記載の漂白剤
漂白活性化剤粒子:ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム造粒物(特開2000−256699号公報の段落0018記載の漂白活性化剤)
酵素粒子:「セルラーゼK」(特開昭63−264699号公報記載)、「カンナーゼ24TK」(ノボザイム社製)、「サビナーゼ18T」(ノボザイム社製)を3:1:2の質量比で使用
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の粉末洗剤組成物の溶け残り量は少ないので、用いる水の量が少ないドラム式洗濯機での粉末洗剤組成物として好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単核性洗剤粒子中に、下記の(A)成分を20〜80質量%、(B)成分を5〜30質量%及び(D)成分を含有し、(C)成分の量が(C)成分/(B)成分の質量比として0/100〜40/60である単核性洗剤粒子を含有する、粉末洗剤組成物。
〔(A)成分は以下の(a1)成分を5〜78質量%、(a2)成分を10〜90質量%及び(a3)成分を0.5〜20質量%含有するベース顆粒:
(a1)アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属硫酸塩から選ばれる一種以上の無機塩
(a2)ゼオライト
(a3)カルボン酸基を有する構成単位を含んで構成される高分子化合物、
(B)成分は下記一般式(1):
1O−[(C24O)m/(AO)n]H (1)
〔式中、R1は炭素数8〜22の鎖式炭化水素基であり、AOは炭素数3〜5のオキシアルキレン基である。m、nは平均付加モル数であって、mは13〜24の数であり、nは1〜3の数である。「/」はC24O基及びAO基がランダム又はブロックのいずれかに結合したものであってもよいことを示す。〕で表される非イオン界面活性剤、
(C)成分は陰イオン界面活性剤(脂肪酸又はその塩を除く)、及び
(D)成分は表面改質剤。〕
【請求項2】
単核性洗剤粒子が(C)成分としての陰イオン界面活性剤(但し、脂肪酸又はその塩を除く)をさらに含有し、該単核性洗剤粒子中の(C)成分/(B)成分の質量比が0/100を超えて40/60以下である、請求項1に記載の粉末洗剤組成物。
【請求項3】
洗剤添加用粒子をさらに含有する粉末洗剤組成物であって、該洗剤添加用粒子の含有量が単核性洗剤粒子100質量部に対して0質量部を超えて30質量部以下である、請求項1又は2に記載の粉末洗剤組成物。
【請求項4】
(B)成分が下記一般式(1−5−1):
1O−(EO)m1−(PO)n−(EO)m2−H (1−5−1)
〔式中、R1は炭素数8〜22の鎖式炭化水素基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基である。m1、n、m2はそれぞれ平均付加モル数であって、m1+m2=14〜20の数であり、nは1〜3の数である。〕で表される非イオン界面活性剤である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末洗剤組成物。
【請求項5】
単核性洗剤粒子が、(A)成分であるベース顆粒に、(B)成分である非イオン界面活性剤又は(B)成分と(C)成分の陰イオン界面活性剤とを担持又は付着させ、その後(D)成分である表面改質剤で被覆された構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の粉末洗剤組成物。

【公開番号】特開2013−104000(P2013−104000A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249228(P2011−249228)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】