説明

粉末洗浄剤組成物

【課題】アルカリ金属珪酸塩とアルミノ珪酸塩とを含有する粉末洗浄剤組成物において、アルカリ金属珪酸塩とアルミノ珪酸塩が合一して形成される水不溶分の発生を低減できる粉末洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】平均粒径が1〜1000μmのアルカリ金属珪酸塩(a1)の表面に、表面処理剤(a2)が存在して複合化されているアルカリ金属珪酸塩粒子(A)と、平均粒径が0.1〜50μmのアルミノ珪酸塩(B)とを含有する粉末洗浄剤組成物であって、(a2)が、融点45℃〜90℃、分子量200〜700、透湿率0〜2%、20℃の水100gに対する溶解度0.5g以下の非イオン性有機化合物及び/又は陽イオン性有機化合物である、粉末洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉末洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ金属珪酸塩は、古くから洗浄剤用のビルダー等に利用されている。その特徴はゼオライトなどのアルミノ珪酸塩系の洗浄剤用ビルダーと異なり、水に対して溶解性を持つことである。このため洗浄後のすすぎ性が良好で、衣類への残留性が低い等の利点がある。またアルカリ緩衝能を有している点もアルミノ珪酸塩にはない機能である。
【0003】
しかしその反面、アルカリ金属珪酸塩は高温多湿条件下で長期間保存した場合に吸湿する。その結果、粒子が潮解し粒子同士が固結し、ケーキングの原因となる。また、アルカリ金属珪酸塩粒子をアルミノ珪酸塩などの水不溶性の成分を含有する洗浄剤組成物に配合した場合、高温多湿下で保存すると、アルカリ金属珪酸塩とアルミノ珪酸塩が合一化し、水に不溶な粗大粒子を形成し、洗浄剤組成物のとけ残りの原因となる。
【0004】
この点を改善すべく、特許文献1は、結晶性アルカリ金属珪酸塩粒子を、実質的に水を含まない有機物質で表面処理することで、固結防止を図る工夫を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−208218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、固結防止に関しては効果を有するものの、保存によるアルミノ珪酸塩の合一による水不溶分の防止に関して、必ずしも効果が認められるものではなかった。
【0007】
本発明の課題は、アルカリ金属珪酸塩とアルミノ珪酸塩とを含有する粉末洗浄剤組成物であって、アルカリ金属珪酸塩とアルミノ珪酸塩が合一して形成される水不溶分の発生を低減できる粉末洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、平均粒径が1〜1000μmのアルカリ金属珪酸塩(a1)〔以下、(a1)成分という〕の表面に、非イオン性有機化合物(a2−1)〔以下、(a2−1)成分という〕及び/又は陽イオン性有機化合物(a2−2)〔以下、(a2−2)成分という〕を含む表面処理剤(a2)〔以下、(a2)成分という〕が存在して複合化されているアルカリ金属珪酸塩粒子(A)〔以下、(A)成分という〕と、
平均粒径が0.1〜50μmのアルミノ珪酸塩(B)〔以下、(B)成分という〕とを含有する粉末洗浄剤組成物であって、
(a2−1)成分又は(a2−2)成分のそれぞれは分子量が200〜700、20℃の水100gに対する溶解度が0.5g以下であり、
(a2)成分の融点が45℃〜90℃、透湿率が0〜2%である、粉末洗浄剤組成物に関する。
本発明において、複合化や複合粒子でいう“複合”とは、アルカリ金属珪酸塩とその他化合物、特には有機性化合物、又は有機性化合物及び無機性化合物とが、互いに付着ないし吸着又は吸収等され固体を形成していることを指す。
本発明ではアルカリ金属珪酸塩の表面、場合によっては表面から内部にかけて(a2)による表面処理剤が付着ないし吸着又は吸収されて1つの粒子を形成している場合を主に指す。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アルカリ金属珪酸塩粒子とアルミノ珪酸塩とが共存しても、保存による水不溶分の生成が少ない粉末洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<(a1)成分>
本発明の粉末洗浄剤組成物に用いられるアルカリ金属珪酸塩は、無水物の組成が、下記式(1)で表される、平均粒径が1〜1000μmの非晶質または結晶質の粉体が挙げられる。
xM2O・ySiO2・zMeO (1)
(式中、MはNa及び/又はKを示し、MeはCa及び/又はMgを示し、y/x=0.5〜4.0、z/x=0〜1.0、MeO中のMg/Ca=0〜10である。)
【0011】
一般式(1)の化合物は、1質量%までの量の他の元素及び/又は化合物を含んでも良い。他の元素及び/又は化合物は、アルミニウム、鉄、チタンやその酸化物などが例示される。
【0012】
(a1)成分は、イオン交換能、アルカリ緩衝能、保存安定性を一段と向上させる観点から、上記一般式(1)において、y/x=1.0〜3.5であるものが好ましい。このような組成のアルカリ金属珪酸塩として、例えば、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、粉末1号珪酸ナトリウム、粉末2号珪酸ナトリウム等が挙げられる。
【0013】
また、(a1)成分として好適なものとして、イオン交換能の高い結晶性アルカリ珪酸塩である、特許第2525318号明細書に記載の合成無機ビルダーや特開平8−26717号公報、特公平1−41116号公報に記載の水軟化剤が挙げられる。
【0014】
これらのうちで、上記一般式(1)中、y/x=2.0、Z=0の結晶性層状珪酸塩が特に好ましく用いられる。このような結晶性層状珪酸塩としては、株式会社トクヤマシルテックが市販している「プリフィード」が入手可能であり特に好適に用いられる。
【0015】
本発明では、(a1)成分の平均粒径は、水に対する溶解性の観点から、1〜1000μmである。平均粒径の下限は、接触させる(a2)成分の量を最小にする観点から、1μm以上であり、10μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。また、平均粒径の上限は、溶解性をよくする観点から、1000μm以下であり、800μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましく、200μm以下が特に好ましい。
【0016】
(a1)成分の含有量は、洗浄性能の観点から、組成物中、0.5質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましい。粉末洗浄剤組成物を水に溶解させた場合のpHを適切にする観点から、組成物中、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下が特に好ましい。
【0017】
<(a2)成分>
本発明の粉末洗浄剤組成物に含有されるアルカリ金属珪酸塩粒子表面には、(a2)成分である表面処理剤が存在し、該表面処理剤は、疎水性の非イオン性有機化合物〔(a2−1)成分〕及び/又は疎水性の陽イオン性有機化合物〔(a2−2)成分〕を含む。表面処理剤(a2)の融点は45℃〜90℃、透湿率が0〜2%である。(a2)成分は(a2−1)成分及び/又は(a2−2)からなる、或いは(a2−1)成分及び/又は(a2−2)成分及び後述する任意の界面活性剤(a2−3)からなることが好ましい。
【0018】
また(a2)成分に含まれる(a2−1)成分の疎水性の非イオン性有機化合物又は(a2−2)成分の疎水性の陽イオン性有機化合物は、それぞれ分子量が200〜700であり、本発明の疎水性の規定として、20℃の水(蒸留水)100gに対する溶解度が0.5g以下である。
更に(a2)成分の融点及び透湿率の規定を達成する上で、(a2−1)成分及び(a2−2)成分も(a2)成分と同様の性質を有することが好ましく、融点は45℃〜90℃、透湿カップを用いた透湿率が0〜2%である。なお(a2−1)成分について、「非イオン性」とは、水に溶解してイオンに乖離する物性を有しないものであることをいう。
(a2−1)成分及び(a2−2)成分の分子量の制限は、(B)成分であるアルミノ珪酸塩が(A)成分のアルカリ金属珪酸塩とによって生じる水不溶分形成(以下、合一化という場合もある)の抑制及び、アルカリ金属珪酸塩粒子自体の溶解性の両立の観点、更には後述する任意成分の界面活性剤(a2−3)との相溶性の観点からこの分子量範囲が好ましい。
【0019】
表面処理剤として、例えば高分子化したハイドロカーボンを用いた場合、それを配合した粉末洗浄剤組成物は、アルカリ金属珪酸塩の保存安定性を高めることで、本発明の課題であるアルミノ珪酸塩成分との合一により形成される水不溶分の低減には寄与するものの、アルカリ金属珪酸塩自体の溶解性を著しく低下させるため、(A)成分自体が水不溶分となってしまう。
従って、本発明では(A)成分が洗濯工程で溶解することが必須で、そのためには(a2)成分は、本発明の洗浄剤組成物に配合されている界面活性剤と相溶することで、洗濯工程でアルカリ金属珪酸塩表面から脱離し、アルカリ珪酸塩の溶解を促すような挙動をとらなければならない。
また溶解度の制限は高湿度下で保存した際の(a2)成分により形成された被膜の安定性の観点から意味を持っている。溶解度の高い(a2)成分を用いた場合、高湿度下では、被膜が溶解してしまい、(a1)成分の防御が不完全になってしまい、本発明の効果が得られなくなってしまう。
また融点は(a2)成分の性質を満たす上で(a2−1)成分及び(a2−2)成分も同様な範囲あることが好ましい。該範囲に設定することで気温の急激な変化によるアルカリ金属珪酸塩の吸湿を抑制することができる。
【0020】
本発明で特徴的なものとして、透湿率の規定がある。本発明ではJIS L1099:2006に記載された仕様の透湿カップを用いて、薄膜化した(a2)成分を透過する透湿量を測定し、そこから透湿率を求めるものである。具体的には実施例の評価方法を参照できる。なお吸湿量の測定方法は、繊維やプラスチックフィルム等の水蒸気透過性の測定として一般的に知られた評価方法であって、前記JISで規定された透湿カップは、例えば安田精機製作所より「透湿カップ」として市販されおり、容易に入手することができる。
【0021】
本発明の透湿率の規定は、(a2)成分によるアルカリ金属珪酸塩が空気中の湿気から遮断する程度を示すものであるが、(a2)成分の分子量や溶解度によって決まる物性値ではなく、分子密度、分子内の疎水基や浸水基の配列やパッキング性などによって決まる物性値である。
透湿率2%以下は、本発明の課題であるアルカリ金属珪酸塩とアルミノ珪酸塩の合一による水不溶分を防止するために最低限必要な数値であり、疎水性の要件だけでは不十分であることから設定された。例えばステアリン酸は、分子量が284.5、溶解度が0.5未満であるが、透湿率が2.65%であるため水不溶分の抑制が不十分である。
(a2−1)成分及び(a2−2)成分は、疎水性の低分子化合物でかつ、透湿性が低いものを選択することで、後述する(a2−3)成分との組合せにおいて、高温、高湿度下での保存安定性と洗濯時の分散溶解性がバランスされた洗浄剤組成物として優れている。
【0022】
(a2)成分の表面処理剤に含まれる(a2−1)成分及び/又は(a2−2)成分としては、実質的に水を含まないものを用いることが望ましい。なお「実質的に水を含まない」とは、カールフィッシャー法で水分含量1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下のものをいう。
【0023】
(a2−1)成分及び(a2−2)成分としては、アルコール、脂肪酸アルコールエステル、アンモニウム塩及びアミンから選ばれる少なくとも1種が好適に用いられる。更にはアルコール、脂肪酸アルコールエステル及びアミンから選ばれる1種以上、特には保存後の水溶分を少なくする観点から、アルコール及び/又はアミンがより好適に用いられる。アルカリ金属珪酸塩は実質的に塩基であることから、該表面においてアミンは非イオン性有機化合物に近い性質を示し上に、吸湿性の観点からも好ましい。
よって、(a2)成分は、アルコール、脂肪酸アルコールエステル及びアミンから選ばれる少なくとも1種、特にはアルコール及び/又はアミンを含有する表面処理剤が好ましい。
【0024】
アルコールとしては、炭素数が12〜22の脂肪族アルコールが好ましく、炭素数が12〜22の脂肪族1価アルコールがより好ましく、特に炭素数が18のステアリルアルコールが好適に用いられる。
【0025】
脂肪酸アルコールエステルとしては、炭素数12〜22の脂肪酸と炭素数12〜22のアルコールとのエステルが好ましく、中でも炭素数18の脂肪酸と炭素数18のアルコールとのエステルが好ましく、特にステアリン酸ステアリルが好適に用いられる。
【0026】
アミンとしては、炭素数が16〜22の炭化水素基が窒素原子に直接結合したのアミンが挙げられ、炭素数16〜22のアルキル基が窒素原子に1つ又は2つ結合した1級もしくは2級アミンが好適に用いられ、炭素数16〜22のアルキル基1つと16未満の炭化水素基1つが同じ窒素原子に結合した2級アミンであってもよく、中でも、炭素数18〜22のアルキル基を1つ有するモノアルキルアミン(特には、ステアリルアミン)や炭素数18〜22のアルキル基を2つ有するジアルキルアミン(特には、ジステアリルアミン)が好適に用いられる。
【0027】
(a2−1)成分及び/又は(a2−2)成分は単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
【0028】
(a2)成分中の(a2−1)及び/又は(a2−2)成分が占める割合は、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、最も好ましくは90質量%以上であって、上限値は100質量%以下である。
また、後述の(a2−3)成分を含有する場合は、(a2)成分中の(a2−1)及び/又は(a2−2)成分と、(a2−3)成分とが占める割合は、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、最も好ましくは90質量%以上であって、上限値は100質量%以下である。
【0029】
表面処理剤(a2)には(a2−1)成分及び/又は(a2−2)成分以外に、粉末洗浄剤組成物の水への溶解性を向上させる目的で、(a2−1)成分又は(a2−2)成分に該当しない界面活性剤(a2−3)〔以下、(a2−3)成分という〕を含有しても良い。
(a2−3)成分の界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群より選択される1種以上のものが挙げられる。
これらのうちで、陰イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤が好ましく、特に水を含まず(a2−1)成分や(a−2)成分との相溶性が良い非イオン界面活性剤がより好ましい。
非イオン界面活性剤としては、炭素数が12〜18、エチレンオキサイドの付加モル数が3〜25のポリオキシエチレンアルキルエーテルが例示され、中でも炭素数が12〜16、エチレン付加モル数が8〜23のものが好適に用いられる。
【0030】
(a2)成分中の(a2−3)成分の含有量は、前記(a2)成分の融点と透湿率の範囲を満たす範囲で含有されるが、本発明では(a2)成分の溶解性の観点から、(a2−1)成分、(a2−2)成分及び(a2−3)成分の合計中、0.5質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が特に好ましい。
また、(a2)成分の透湿性を維持する観点から、(a2−1)成分、(a2−2)成分及び(a2−3)成分の合計中、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下が特に好ましい。
【0031】
(a2)成分は、45℃〜90℃の融点を有しており、かつ、透湿率が低いことが特徴である。すなわち、夏場など気温の高い時期でも、(a1)成分の表面をコートした(a2)成分が固着することなく安定して存在し、なおかつ、湿気を通過しにくいものが(a1)成分を保護し、アルミノ珪酸塩との反応による合一化を防ぐことから好ましい。
【0032】
(a2)成分の融点は、高温での保存安定性や固結性の観点から、45℃以上であり、48℃以上がより好ましく、50℃以上が特に好ましい。また、ハンドリング性の観点から、90℃以下であり、85℃以下が好ましく、80℃以下が特に好ましい。なお(a2−1)成分及び(a2−2)成分も同じ融点範囲に入る化合物が好ましい。
【0033】
(a2)成分は、保存安定性の観点から、透湿率が、0〜2%、好ましくは0.01〜1.8%、より好ましくは、0.05〜1.5%である。この透湿率は、後述の実施例の方法で測定されたものである。なお(a2−1)成分及び(a2−2)成分も同じ透湿率の範囲に入る化合物が好ましい。
【0034】
(a2)成分を構成している(a2−1)成分及び/又は(a2−2)成分もまた、上記のような融点や透湿性を発現するのに好適であることから、それぞれは分子量が200〜700の化合物であり、好ましくは250〜550である。
【0035】
(a2)成分の構成成分である(a2−1)成分及び/又は(a2−2)成分は、20℃の水(蒸留水)100gに対する溶解度が0.5g以下の疎水性の化合物である。
【0036】
保存安定性の観点から、(a1)成分と(a2)成分の質量比は、(a2)/(a1)で、好ましくは0.01以上、より好ましくは、0.1以上更に好ましくは0.2以上で、0.3以上がもっとも好ましい。また、この質量比は、溶解性の観点から、好ましくは0.7以下、より好ましくは、以下、0.6以下、0.5以下が特に好ましい。よって、この質量比は、0.01〜0.7が好ましい。
【0037】
<(A)成分>
(A)成分であるアルカリ金属珪酸塩粒子は、(a2)成分が(a1)成分のアルカリ金属珪酸塩の表面に存在し、複合化されている。
【0038】
(A)成分は、(a1)成分を(a2)成分で表面処理することによって得られる。「表面処理」とは、(a1)成分の表面に(a2)成分を接触させることをいう。(a2)成分は必ずしも(a1)成分表面を覆わなくとも効果が得られるが、保存安定性の面から、表面を(a2)成分で完全に被覆した状態が好ましい。
なお、(a2)成分が完全に被覆した状態とは、ESCAなどの表面分析装置によって、複合粒子表面に(a1)成分の構成元素である、Siなどが検出されない状態のことをいう。融点が高く、水蒸気の透湿性が低い(a2)成分で(a1)成分表面を被覆すれば、従来よりも高い保存安定性のものを得ることができる。本発明では、(A)成分として、(a1)成分が(a2)成分により被覆されたアルカリ金属珪酸塩粒子を使用できる。
【0039】
(A)成分は、表面処理された個々の粒子が凝集したものであっても表面処理による効果が充分に発揮されるため、かかる凝集物も本発明の(A)成分の範疇に含まれる。また、(a1)成分の微粒子が凝集して集まった凝集粒子に、(a2)成分を表面処理した粒子も本発明の(A)成分として使用できる。特に、アルカリ金属珪酸塩の微粒子を造粒して得られたアルカリ金属珪酸塩の顆粒〔(a1)成分〕に(a2)成分を表面処理する方法が、見かけ上表面積の小さなアルカリ金属珪酸塩粒子に表面処理ができるため、比較的少量の(a2)成分で保存安定性を向上できる点で好ましい。
よって、本発明では、(A)成分が、(a1)成分を(a2)成分により凝集させたアルカリ金属珪酸塩粒子であってよい。
【0040】
具体的な表面処理の手法としては、(a2)成分を融点以上に加熱し溶融させて、そこに(a1)成分を投入し均一混合し冷却するか、あるいは(a2)成分の融液を(a1)成分にスプレーしながら均一混合して冷却する方法で行う。また、(a2)成分の粉末と(a1)成分の粉末を混合しながら過熱し、(a2)成分を溶かしながら処理する手法でも良い。
上記のような処理をするには、加熱冷却装置を備えた、混合機や造粒機が好適に用いられる。また、(a2)成分の粉末と(a1)成分の粉末を混合し粉砕するなど機械力を加えることにより表面処理することもできる。このような処理には、粉砕機が一般的に使用できるが、圧縮粉砕し造粒を行うローラーコンパクターのような造粒装置を用いてもよい。
【0041】
得られた(A)成分の平均粒径は、微粉による粉立ちを防止する観点から、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、100μm以上が特に好ましい。溶解性の観点から、1000μm以下が好ましく、800μm以下がより好ましく、500μm以下が特に好ましい。
【0042】
<(B)成分>
アルミノ珪酸塩は、保存により吸湿したアルカリ金属珪酸塩と反応しやすく、その結果、水不溶分を形成する。アルミノ珪酸塩とアルカリ金属珪酸塩とが配合された粉末洗浄剤組成物では、このような水不溶分が形成されると、溶解性の低下による残留物の発生や洗浄力の低下が懸念されるため、その解決が望まれる。本発明は、この課題を解決したものである。
【0043】
(B)成分のアルミノ珪酸塩粒子は、非晶質、結晶質いずれのものでも良い。アルミノ珪酸塩粒子の組成としては、無水物の一般式がxM2O・ySiO2・Al23・zMeO(ただし、Mはアルカリ金属、Meはアルカリ土類金属を表し、x=0.2〜4、y=0.5〜6、z=0〜0.1)であるのが好ましい。より好ましくは、上記組成中MがNa、Kであり、原料入手の簡便さやコストの点からNaが特に好ましい。MeはCaおよび/またはMgが好ましい。また、x=0.6〜3がより好ましい。y=0.9〜5がより好ましい。上記組成のアルミノ珪酸塩粒子は非晶質でも結晶質でも良いが、アルカリ金属珪酸塩(a1)成分との反応性が低い結晶質のものが好ましい。また、結晶水を有していても良い。
【0044】
これらのうち、特に、無水物の前記一般式がx=1、y=2、z=0で表される結晶質のアルミノ珪酸塩粒子、すなわち4Aゼオライトが特に好適に用いられる。
【0045】
(B)成分の平均粒径は、0.1〜50μmであり、水への分散性の観点から、好ましくは0.5〜20μmである。また、(B)成分の含有量は、組成物中、1〜40質量%、更に10〜40質量%が好ましい。
【0046】
<粉末洗浄剤組成物>
本発明の粉末洗浄剤組成物は、(B)成分を含有するベース洗剤に、(A)成分を混合する手法で調製することができる。(B)成分を含有するベース洗剤100質量部に対して、(A)成分を好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは4質量部以上混合することが好ましい。また、粉末洗浄剤組成物の保存安定性の観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下混合することが好ましい。
【0047】
ベース洗剤は、(B)成分のアルミノ珪酸塩の他に、通常添加される洗剤成分、例えば、各種の界面活性剤、ビルダー、酵素、漂白剤(過炭酸塩、過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、再汚染防止剤(カルボキシメチルセルロース等)、柔軟化剤、還元剤(亜硫酸塩等)、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)、香料等を含有することができる。また、市販されている洗浄剤そのものでも、(B)成分に該当するアルミノ珪酸塩が含有されていればベース洗剤として使用できる。
【0048】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、(B)成分を(A)成分とは別粒子で含有することが、(A)成分と(B)成分の反応を抑える観点から好ましい。
【0049】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、洗浄性能と保存安定性の観点から、(a1)成分を好ましくは0.5〜40質量%、より好ましくは2〜35質量%、更に好ましくは5〜30質量%含有する。また、洗濯水の硬度成分を除去する観点と(B)成分の衣類への残留性の観点から、(B)成分を好ましくは1〜40質量%、より好ましくは2〜35質量%、更に好ましくは5〜30質量%含有する。
また、(a1)成分の保存安定性と溶解性の観点から、(a2−1)成分、(a2−2)成分及びこれら以外の界面活性剤を合計で好ましくは1〜60質量%、より好ましくは2〜50質量%、更に好ましくは3〜40質量%含有する。この界面活性剤には、(A)成分の表面処理に用いられるもの(例えば(a2−3)成分や)と、これとは別に用いられるものとが含まれる。
また、洗浄性能の観点から、(e)アルカリ金属炭酸塩を好ましくは0〜60質量%、より好ましくは2〜50質量%、更に好ましくは5〜40質量%含有する。
【0050】
本発明の粉末洗浄剤組成物は、(a1)成分の保存安定性の観点から、(a1)成分と(a2)成分の質量比は、(a2)/(a1)で、好ましくは0.01〜0.7、好ましくは0.2〜0.7、更に好ましくは0.25〜0.7である。
【0051】
本発明の粉末洗浄剤組成物の用途は特に限定されず、衣料用洗剤、食器用洗剤、住居用洗剤、自動車用洗剤、身体用洗剤、歯ミガキ、金属用洗浄剤等として好適に用いられ、特には衣料用洗剤として使用されることが好ましい。
【実施例】
【0052】
下記の実施例及び比較例で調製した粉末洗浄剤組成物における、平均粒径、融点、透湿率、保存前の水不溶分量、保存後の水不溶分量は以下の方法により、測定ないし算出した。
【0053】
(1)平均粒径
平均粒径は、本発明では125μm以下のものとそれを越えるものを篩によって分け、次の2つの方法によって測定した。粒子が混ざっている場合は、それぞれで得られた平均粒径を、125μm篩を通過するかどうか(通過する場合をパス、通過しない場合をオンとした)によって分けた質量比率から更に平均した値を平均粒径とした。
(1−1)平均粒径(125μm篩のパス粒子の場合)
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、「LA950」)を用いて、屈折率1.30のエタノールを分散媒として、超音波1分照射後の粒度分布を屈折率1.54で測定したときの体積中位粒径(D50)の値を平均粒径とした。
【0054】
(1−2)平均粒径(125μm篩のオン粒子の場合)
目開き125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmの9段の篩と受け皿を用いて、受け皿上に目開きの小さな篩から順に積み重ねた。
最上部の2000μmの篩の上から100gの顆粒を添加し、蓋をしてロータップ型ふるい振とう機(株式会社平工製作所製、タッピング156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け5分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留した粒子の質量を測定し、各篩上の粒子の質量割合(%)を算出した。
受け皿から順に目開きの小さな篩上の粒子の質量割合を積算していき、合計が50%となる粒径を平均粒径とした。
【0055】
(2)表面処理剤の融点
JIS K4101:1993「有機中間物一般試験方法」の項目5.1.4に記載の方法により測定した。試料は内径0.8〜1.2mm、肉厚0.2〜0.3mm、長さ約150mmで、一端を閉じた硬質ガラス製のものを用いた。資料は毛管内に落とされ弾ませて固く詰め3mmの層にしたものを用いた。昇温条件はJIS記載の通りに行った。最終的に得られた融点温度は、小終点1位の数字は四捨五入した。
【0056】
(3)表面処理剤の透湿率
(3−1)試料の作製
ステンレス製バット(20cm×16cm×3cm)に表面処理剤20gを入れ、105℃で溶融させた。溶融液の表面に、105mm×150mm×厚さ84μmの紙(坪量64g/m2、透湿率28%、未塗工PPC用紙)を置いて、紙表面に表面処理剤を付着させた。その後、紙を表面処理剤から離して、表面処理剤が固化するまで平らな場所に放置した。
表面処理剤が固化した後、マイクロメーターで厚さを測定した。表面処理剤の膜厚が80から120μmの範囲のものを選び、直径70mmの円形に切り抜き試験用試料とした。この場合、試験用試料の表面被覆剤の量は0.35±0.1gになる物を用いる。なお本発明において表面処理剤を塗布する台紙は、厚さ70〜120μm、透湿率が25〜35%のものを用いるものとする。このような台紙として市販のPPC用紙を用いることができる。
【0057】
(3−2)透湿率の測定
JIS L 1099:2006「繊維製品の透湿度測定方法」に規定されている透湿カップ[内径60mm、深さ22mmの円柱カップであって、開口部の円周に透湿率を測定するためのシートを平面リングと介して挟めるように15mm幅のリング状平面部を有するもの、本発明では市販のNo.401透湿カップ(安田精機製作所製)を使用した。]内に乳鉢で粉末状に粉砕した無水塩化カルシウムを10g入れ、リング状ゴムパッキンをセットした。
ゴムパッキンの上に、先ほど切り抜いた直径70mmの試験用試料を表面処理剤の被膜が付着している側を下にして載せ、その上に、試験用試料を固定するための直径90mm及び内径60mmの平面状アルミリングを載せて、ねじでしっかりと固定した。
このものの質量を測定し、記録した(初期質量)。その後、50℃、70%の湿度下で4.5時間静置し、再び質量を測定した(静置後質量)。そして静置後質量(g)−初期質量(g)を透湿量(g)として求めた。
一方で試験用試料であるシートを挟まない場合に同様にして透湿量を求めたところ8.4gであった。それを透湿率100%とした時の各試験用試料の透湿量の割合を透湿率とした。
【0058】
(4)粉末洗浄剤組成物の水不溶分
(4−1)調製直後の水不溶分
5℃にした水道水を1リットルビーカー(内径105mm、高さ150mmの円筒型、例えば岩城硝子株式会社製)の中に満たし、5℃の水温をウオーターバスにて一定に保った状態で、攪拌子(長さ35mm、直径8mm、例えば型式:ADVANTEC社製、テフロン(登録商標)丸型細型)にて水深に対する渦巻きの深さが略1/3となる回転数(1000rpm)で攪拌した。0.833gとなるように秤量した洗浄剤組成物を攪拌下に水中に投入・分散させ攪拌を続けた。
投入から10分後にビーカー中の洗浄剤組成物分散液を予め乾燥重量を測定しておいた(以下、質量既知という場合もある)200メッシュの標準篩(目開き74μm、篩の直径100mm)で濾過し、篩上に残留した含水状態の洗浄剤組成物を篩と共に質量既知の開放容器に回収した。尚、濾過開始から篩を回収するまでの操作時間を10±2秒とした。
回収した洗浄剤組成物の溶残物を篩及び回収容器ごと105℃に加熱した電気乾燥機にて1時間乾燥し、その後、シリカゲルを入れたデシケーター(25℃)内で30分間保持して冷却した。
冷却後、乾燥した洗浄剤組成物の溶残物と篩と回収容器の合計の質量を測定し、次式によって洗浄剤組成物の水不溶分(質量%)を算出した。
水不溶分(質量%)=(T/S)×100
S:洗浄剤組成物の投入質量(g)
T:上記攪拌条件にて得られた水溶液を上記篩に供したときに、篩上の残存する洗浄剤組成物の溶残物の乾燥質量(g)
【0059】
(4−2)保存後の水不溶分
洗浄剤組成物12gを量り採り、温度50℃、湿度70%の条件で4日間保存した。その後、温度25℃、湿度50%で2日間保存した。保存後の洗浄剤組成物を用いて、(5−1)と同様の方法で保存後の水不溶分を算出した。
【0060】
(ベース洗剤の調製例)
攪拌翼を有した混合槽に水を加え、水温が55℃に達した後に、塩化ナトリウム(やき塩、日本製塩製)、硫酸ナトリウム、を添加した。これを15分間攪拌した後に、炭酸ナトリウムを添加し、添加終了後にポリアクリル酸ナトリウム水溶液〔平均分子量1.5万、花王(株)製〕を添加した。
これを更に15分間攪拌した後に、アルミノ珪酸塩〔水澤化学工業(株)、商品名:シルトンB(平均粒径5μm)〕を添加した。これを30分間攪拌してスラリーを得た。このスラリーの最終温度は60℃であった。
【0061】
このスラリーを噴霧乾燥塔に供給し、噴霧圧力2.45MPaで塔頂より噴霧を行うことにより、ベース顆粒群1を調製した。得られたベース顆粒群1の組成は、塩化ナトリウム8質量%、ポリアクリル酸ナトリウム12質量%、炭酸ナトリウム28質量%、硫酸ナトリウム26質量%、アルミノ珪酸塩26質量%で構成されていた。
【0062】
一方、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール及び水からなる70℃の活性剤混合液を調製した。組成は、非イオン界面活性剤39質量%、陰イオン界面活性剤46質量%、ポリエチレングリコール2質量%及び水13質量%で構成されていた。
【0063】
次に、ベース顆粒群1に界面活性剤等を添加することにより、洗剤粒子群を得た。即ち、レディゲミキサー〔松阪技研(株)製、容量20L、ジャケット付き〕に上記ベース顆粒群1を36質量部投入し、主軸(100rpm)の攪拌を開始した。そこに、上記活性剤混合液20質量部を3分間で投入し、5分間攪拌を行った。
更に、このミキサーにパルミチン酸〔花王(株)製、商品名:ルナックP−95〕1質量部を30秒間で添加し、その後3分間攪拌を行った。
更にこのミキサーにソーダ灰24質量部とアルミノ珪酸塩12質量部、を投入し、表面被覆を行い、目開き1180μmの篩を用いて洗剤粒子群を分級し、1180μm未満の粒径の洗剤粒子群を得た。
【0064】
次に、この洗剤粒子群にアルミノ珪酸塩5質量部、香料0.4質量部、及び酵素0.4質量部(花王(株)製、商品名:セルラーゼK、ノボ社製、商品名:カンナーゼ24TK、ノボ社製、商品名:サビナーゼ6.0Tを3:1:2の質量比で使用)をロータリーキルンでアフターブレンドを行い、目開き2000μmの篩を用いて洗剤粒子群を分級し、2000μm未満の粒径の洗剤粒子群を得た。これをベース洗剤とした。
【0065】
実施例1
300mLビーカーに表面処理剤1〔ステアリルアリルアルコール、カルコール8098(花王(株)製)〕を4g添加し、105℃で過熱溶解させた。
次に平均粒径12μmの粒子集まって構成されている平均粒径779μmのプリフィード(トクヤマシルテック(株)製)20gを添加し、よく撹拌した。プリフィードの表面が表面処理剤1で均一に濡れ表面処理剤1が十分にまざった時点で、氷をいれた水中にビーカーの底部を入れ、プリフィードと疎水性非イオン性有機化合物の混合物を冷却しながらかきまぜた。
表面処理剤1が固化して顆粒がほぐれて流動性が十分になった時点で撹拌をやめ、篩いでふるって355μm〜1000μmのあいだに捕集された顆粒(平均粒径660μm)を複合粒子とした。
得られた複合粒子1.2gとベース洗剤21.8gとをよく混合して、洗浄剤組成物を得、調製直後および保存後の水不溶分の測定を行った。評価結果を表1に示す。
【0066】
実施例2
表面処理剤1の量を6gにした以外は実施例1と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0067】
実施例3
表面処理剤1の量を8gにした以外は実施例1と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0068】
実施例4
ステアリルアルコール(実施例1と同じもの)5.6gと非イオン性界面活性剤〔エマルゲン120(花王(株)製)〕2.4gを300gビーカーに添加し105℃で溶融し混合し、表面処理剤2を得た。これを表面処理剤として使った以外は実施例3と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0069】
実施例5
表面処理剤として、表面処理剤3〔ステアリルアミン、ファーミン80(花王(株)製)〕を用いた以外は実施例1と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0070】
実施例6
表面処理剤として、表面処理剤3〔ステアリルアミン、ファーミン80(花王(株)製)〕を用いた以外は実施例2と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0071】
実施例7
表面処理剤として、表面処理剤3〔ステアリルアミン、ファーミン80(花王(株)製)〕を用いた以外は実施例3と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0072】
実施例8
ステアリルアミン(実施例5同じもの)5.6gと非イオン性界面活性剤〔エマルゲン120(花王(株)製)〕2.4gを300gビーカーに添加し105℃で溶融し混合し、表面処理剤4を得た。これを表面処理剤として使った以外は実施例4と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0073】
実施例9
表面処理剤として、表面処理剤5〔ステアリン酸ステアリル、エキセパールSS(花王(株)製)〕を用いた以外は実施例1と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0074】
実施例10
表面処理剤として、表面処理剤5〔ステアリン酸ステアリル、エキセパールSS(花王(株)製)〕を用いた以外は実施例2と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0075】
実施例11
表面処理剤として、表面処理剤5〔ステアリン酸ステアリル、エキセパールSS(花王(株)製)〕を用いた以外は実施例3と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0076】
実施例12
ステアリン酸ステアリル(実施例9と同じもの)5.6gと非イオン性界面活性剤〔エマルゲン120(花王(株)製)〕2.4gを300gビーカーに添加し105℃で溶融し混合し、表面処理剤6を得た。これを表面処理剤として使った以外は実施例4と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0077】
実施例13
表面処理剤として、表面処理剤7〔ジステアリルアミン、ファーミンD86(花王(株)製)〕を用いた以外は実施例1と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0078】
実施例14
表面処理剤として、表面処理剤7〔ジステアリルアミン、ファーミンD86(花王(株)製)〕を用いた以外は実施例2と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0079】
実施例15
表面処理剤として、表面処理剤7〔ジステアリルアミン、ファーミンD86(花王(株)製)〕を用いた以外は実施例3と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0080】
実施例16
ジステアリルアミン(実施例1と同じもの)5.6gと非イオン性界面活性剤〔エマルゲン120(花王(株)製)〕2.4gを300gビーカーに添加し105℃で溶融し混合し、表面処理剤8を得た。このものを疎水性非イオン性有機化合物として使った以外は実施例4と同様の手法で複合粒子および洗浄剤組成物を得、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0081】
比較例1
プリフィードを篩いを用いて355μmから1000μmの範囲の粒度にそろえた。このもの1.2gとベース洗剤21.8gをよく混合し、洗浄剤組成物を得、調製直後および保存後の水不溶分の測定を行った。評価結果を表1に示す。
【0082】
比較例2
表面処理剤として、比較表面処理剤1〔ポリエチレングリコール(K−PEG6000、花王(株)製、融点63℃、透湿率3.32%〕を用いた以外は実施例1と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0083】
比較例3
表面処理剤として、比較表面処理剤1〔ポリエチレングリコール(K−PEG6000、花王(株)製、融点63℃、透湿率3.32%〕を用いた以外は実施例3と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0084】
比較例4
表面処理剤として、比較表面処理剤2〔ラウリン酸(ルナックL98、花王(株)製、融点43℃、透湿率3.27%〕を用いた以外は実施例3と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0085】
比較例5
表面処理剤として、比較表面処理剤3〔パルミチン酸、ルナックP95、花王(株)製、融点62℃、透湿率3.02%〕を用いた以外は実施例1と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0086】
比較例6
表面処理剤として、比較表面処理剤3〔パルミチン酸、ルナックP95、花王(株)製、融点62℃、透湿率3.02%〕を用いた以外は実施例3と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0087】
比較例7
表面処理剤として、比較表面処理剤4〔ステアリン酸(ルナックS98、花王(株)製、融点68℃、透湿率3.65%)〕を用いた以外は実施例3と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0088】
比較例8
表面処理剤として、比較表面処理剤5〔ラウリルアミン(ファーミン20D、花王(株)製、融点27℃、透湿率21.57%)〕を用いた以外は実施例3と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0089】
比較例9
表面処理剤として、比較表面処理剤6〔セチルアミン(和光純薬工業(株)製、融点46℃、透湿率8.93%)〕を用いた以外は実施例3と同様に洗浄剤組成物を調製し、水不溶分の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
* 処理量は、アルカリ金属珪酸塩に対する質量%である。
なお、表には、(a2−1)成分、(a2−2)成分に該当しない成分も、便宜的にそれらの欄に示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が1〜1000μmのアルカリ金属珪酸塩(a1)〔以下、(a1)成分という〕の表面に、非イオン性有機化合物(a2−1)〔以下、(a2−1)成分という〕及び/又は陽イオン性有機化合物(a2−2)〔以下、(a2−2)成分という〕を含む表面処理剤(a2)〔以下、(a2)成分という〕が存在して複合化されているアルカリ金属珪酸塩粒子(A)〔以下、(A)成分という〕と、
平均粒径が0.1〜50μmのアルミノ珪酸塩(B)〔以下、(B)成分という〕とを含有する粉末洗浄剤組成物であって、
(a2−1)成分又は(a2−2)成分のそれぞれは分子量が200〜700、20℃の水100gに対する溶解度が0.5g以下であり、
(a2)成分の融点が45℃〜90℃、透湿率が0〜2%である、粉末洗浄剤組成物。
【請求項2】
(a2)成分が、(a2−1)成分又は(a2−2)成分として、アルコール、脂肪酸アルコールエステル及びアミンから選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、請求項1記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項3】
(a2)成分が、(a2−1)成分又は(a2−2)成分に該当しない界面活性剤(a2−3)を含有する、請求項1又は2に記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項4】
(A)成分の平均粒径が1〜1000μmである、請求項1〜3何れか1項に記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項5】
(A)成分が、(a1)成分が(a2)成分により被覆されたアルカリ金属珪酸塩粒子である、請求項4に記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項6】
(A)成分が、(a1)成分を(a2)成分により凝集させたアルカリ金属珪酸塩粒子である、請求項4に記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項7】
(A)成分と(B)成分とを、別の粒子として含有する、請求項1〜6何れか1項に記載の粉末洗浄剤組成物。
【請求項8】
(a1)成分を0.5〜40質量%、(B)成分を1〜40質量%、(a2−1)成分、(a2−2)成分及びこれら以外の界面活性剤を合計で1〜60質量%、(e)アルカリ金属炭酸塩を0〜60質量%含有し、(a1)成分と(a2)成分の質量比が、(a2)/(a1)で、0.01〜0.7である、請求項1〜7何れか1項に記載の粉末洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2011−231282(P2011−231282A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105148(P2010−105148)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】