説明

粉末状ポリカルボン酸系セメント分散剤の製造方法

【課題】効率的に、粉末状のポリカルボン酸系セメント分散剤を製造する手段を提供する。
【解決手段】単量体の濃度が高い条件下で重合反応を進行させて、溶媒含有量が少ない重合体組成物を得る。具体的には、化学式1で表される単量体と(メタ)アクリル酸(塩)とからなる混合物および溶媒の全質量に対する単量体の濃度が50〜100質量%の条件下で、単量体を重合する段階と、形成された重合体を冷却して、固化させる段階と、固化した重合体を粉砕する段階とを含む、粉末状ポリカルボン酸系セメント分散剤の製造方法。


(R:HまたはCH、RO:C2〜4のオキシアルキレン、R:HまたはC1〜5の炭化水素基、kは0〜2、nは2〜300)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント分散剤の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、粉体状のポリカルボン酸系セメント分散剤を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートは、近代社会において不可欠な材料の一つとなっており、ビル、家屋、橋梁、トンネルなど各種用途に広く用いられている。通常、コンクリートは、セメント、水、および骨材を含むコンクリート組成物を硬化させることによって形成される。コンクリート組成物中には、これらの材料の他に、コンクリート組成物の流動性、空気連行性、硬化物の耐凍結融解性などの各種性能を高めるために、各種混和剤が配合される。
【0003】
混和剤の一つとして、セメント分散剤が知られている。コンクリートは、一般に水の含有量が少ないほど耐久性が向上するため、コンクリート組成物中における水の配合量が少ない方が好ましい。しかし、水の配合量が少なすぎると、コンクリート組成物の流動性が確保できず、作業性が低下してしまう。セメント分散剤は、コンクリート組成物中における水の配合量を減少させる機能を有し、この問題の解決に寄与する。
【0004】
セメント分散剤の1つとして、ポリカルボン酸系セメント分散剤が知られている。ポリカルボン酸系セメント分散剤は、通常、液状品として使用されているが、輸送コストなどを考慮すると、粉体状であることが好ましい。
【0005】
粉体状のポリカルボン酸系セメント分散剤の製造方法としては、所定の単量体を含む水溶液中で重合反応を進行させ、形成されたポリカルボン酸系重合体を含む水溶液を乾燥して粉体化する手法が知られている(特許文献1参照)。ポリカルボン酸系重合体を含む水溶液の乾燥手段としては、噴霧乾燥法や薄膜乾燥法が開示されている。また、これらの乾燥法の代替手段として、ドラムドライヤーなどの支持体上に薄膜を形成し、薄膜の粘着性を低減した後、薄膜を粉体化する手法が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、工業レベルでの製造においては、より効率的な製造方法を採用し、製品の競争力を高めることが求められる。
【0007】
さらに、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体および(メタ)アクリル酸を含有する単量体混合物を高濃度で反応させ、粉体化する(メタ)アクリル酸系セメント分散剤の製造方法は知られている(特許文献3参照)。しかしながら、この方法は、必須成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体を使用しているため、粉体品を得るためには、製造方法や構造、ポリマー中の組成が限定され、粉体化を容易に行なうことが困難である。
【特許文献1】特開2002−167255号公報
【特許文献2】特開2001−190942号公報
【特許文献3】特開2002−212243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、効率的に、粉末状のポリカルボン酸系セメント分散剤を製造する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、下記化学式1で表される単量体の少なくとも1種以上と、化学式2で表される単量体2の少なくとも1種以上とを含有する単量体組成物を、単量体および溶媒の全質量に対する単量体の濃度が50〜100質量%の条件下で、単量体を重合する段階と、
形成された重合体を冷却して、固化させる段階と、
固化した重合体を粉砕する段階と、
を含む、粉末状ポリカルボン酸系セメント分散剤の製造方法により達成される。
【0010】
【化1】

【0011】
(ただし、式中、Rは、水素原子またはメチル基であり、ROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、Rは水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基であり、kは0〜2の整数であり、また、nは2〜300の整数である。)
【0012】
【化2】

【0013】
(ただし、式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Mは水素原子、一価金属、二価金属、アンモニウム基または有機アミン基である。)
【発明の効果】
【0014】
単量体濃度が高い条件下で重合反応を進行させることによって、水分含有量が少ない重合体が得られる。このため、得られた重合体を乾燥して、粉末状のポリカルボン酸系セメント分散剤を製造するために必要な手間を軽減し、製造効率を向上させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の製造方法について、工程順に詳細に説明する。
【0016】
まず、ポリカルボン酸系セメント分散剤の原料となる単量体を含む組成物20を準備する。単量体としては、好ましくは、化学式1で表される単量体の1種以上、および化学式2で表される単量体の1種以上が用いられる。
【0017】
【化3】

【0018】
は、水素原子またはメチル基である。
【0019】
Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。オキシアルキレン基の具体例としては、メチレンオキサイド(−CHO−)、エチレンオキサイド(−CHCHO−)、トリメチレンオキサイド(−CHCHCHO−)、テトラメチレンオキサイド(−CHCHCHCHO−)、プロピレンオキサイド(−CHCH(CH)O−、−CH(CH)CHO−)が挙げられる。nが2以上の場合には、2種以上のオキシアルキレン基が分子中に含まれてもよい。セメントへの分散性を考慮すると、ROは、好ましくはエチレンオキサイドである。
【0020】
は水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基である。炭素数1〜5の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、sec−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、1−エチル−n−プロピル基などが挙げられる。セメントへの分散性を考慮すると、Rは、好ましくは水素またはメチル基である。
【0021】
kはメチレン(−CH−)の繰り返し数を表し、0〜2の整数である。
【0022】
nは、ROの繰り返し数を表し、2〜300の整数である。高い減水性能を発現させるためには、オキシアルキレン基が多く導入される方が、一般に好ましい。また、重合によって得られる重合体を乾燥して、粉体状のポリカルボン酸系セメント分散剤を得る場合には、オキシアルキレン基が長い方が、乾燥しやすい傾向がある。ただし、オキシアルキレン基を数多く導入しようとすると、重合反応の制御が困難になる虞がある。これらを考慮すると、nは、好ましくは2〜100の整数であり、より好ましくは50〜100の整数である。
【0023】
化学式1で表される単量体の具体例としては、アリルアルコール、メタリルアルコール、ビニルアルコール、3−ブテン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等の不飽和アルコールにアルキレンオキシドを2〜300モル付加して得られる不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加化合物、不飽和アルコールのアルキレンオキシド付加物の末端基を炭素数1〜5のアルキル基で置換した化合物などが挙げられる。これらの2種以上が併用されてもよい。
【0024】
化学式1で表される単量体は、市販されている化合物を用いてもよいし、自ら合成して準備してもよい。合成の際には、既に得られている知見が適宜参照される。例えば、不飽和アルコールにアルキレンオキサイドを付加させる際には、アリルアルコール、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等の不飽和アルコールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加させればよい。アルキレンオキシド付加の条件は特に限定されないが、好ましくは、80〜155℃の範囲内であり、より好ましくは90〜150℃の範囲内である。
【0025】
本発明の製造方法においては、単量体の1つとして、化学式2で表される単量体の少なくとも1種も用いられる。
【0026】
【化4】

【0027】
は水素原子またはメチル基である。
【0028】
Mは水素原子、一価金属、二価金属、アンモニウム基、または有機アミン基である。一価金属の具体例としては、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。二価金属の具体例としては、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。有機アミン基としては、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。好ましくは、有機アミン基が含む炭素原子数は1〜5個である。
【0029】
化学式2で表される化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸アンモニウムなどが挙げられる。これらの2種以上が併用されてもよい。化学式2で表される単量体は、市販されている化合物を用いてもよいし、自ら合成して準備してもよい。
【0030】
必要に応じて、1種または2種以上の他の単量体を併用してもよい。他の単量体の例としては、下記のものが好適である。
【0031】
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜4のアルコールとのハーフエステル;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド、ジアミド;上記アルコールやアミンに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのハーフエステル、ジエステル;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2〜18のグリコール又はこれらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールとのハーフエステル、ジエステル。
【0032】
マレアミド酸と炭素原子数2〜18のグリコール又はこれらのグリコールの付加モル数2〜300のポリアルキレングリコールとのハーフアミド;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパシジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート類;トリエチレングリコールジマレート、ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類。
【0033】
ビニースルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びにそれらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等不飽和モノカルボン酸系類、並びにそれらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩。
【0034】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルクロトネート、エチルクロトネート、プロピルクロトネート等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜4のアルコールとのエステル;メチル(メタ)アクリルアミドのように不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのアミド類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等のビニル芳香族類;1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;ブタジエン、イソプレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等のジエン類;(メタ)アクリルアミド、(メク)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の不飽和シアン類。
【0035】
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;トリアリルシアヌレート等のシアヌレート類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類;ジメチルアミノエチル(メク)アクリレート等の不飽和アミノ化合物類。
【0036】
ポリジメチルシロキサンプロビルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレート)等のシロキサン誘導体;2−アクリロイロキシエチルホスフェート、2−メタクリロイロキシエチルホスフェート等の不飽和リン酸エステル類。
【0037】
ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンへキサミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミンとマロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバチン酸、又はこれらと炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物等の二塩基酸又は二塩基酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステルとの縮合物に更に(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等の不飽和エポキシ化合物等とを特定の割合で縮合させたポリアマイドポリアミンにアルキレンオキシドを特定量付加させた化合物;ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン等のポリアルキレンイミンの活性水素にエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加した化合物と(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物又は(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等の不飽和エポキシ化物との縮合物等の窒素原子を有するカチオン性単量体。
【0038】
単量体を含む組成物には、重合開始剤が含まれうる。重合開始剤としては、光重合開始剤や熱重合開始剤が用いられ、好ましくは光重合開始剤が用いられる。つまり、単量体および光重合開始剤を含む組成物を準備し、ここに光重合開始剤に応じた光を照射することによって、重合反応を進行させる。
【0039】
本発明のように、単量体の濃度が高い条件下で重合反応を進行させると、得られるポリカルボン酸系重合体の分子量分布がブロードになり、セメント分散剤としての性能が低下する虞がある。本発明者らは、この問題をする手段として、光重合開始剤を用いた重合が有効であることを見出した。光重合開始剤を用いて重合を実施すると、例えば80質量%といった高濃度で重合反応を進行させても、シャープな分子量分布を持つ、セメント分散剤としての性能に優れる重合体が得られる。
【0040】
光重合開始剤を用いる他の効果としては、重合反応時間の短縮が挙げられる。熱重合開始剤を用いて重合反応を進行させる場合、重合時間が長くなる傾向があるが、光重合開始剤を用いて重合反応を進行させることによって、重合時間を比較的短くすることが可能である。このため、ポリカルボン酸系重合体の固化を、ベルト上で進行させることが容易になる。
【0041】
さらに他の効果として、単量体の反応率の向上が挙げられる。光重合開始剤を用いて重合反応を進行させた場合、未反応の単量体の残存量が少ない重合体が得られる。そして、単量体の残存量が少ないポリカルボン酸系セメント分散剤を用いることによって、セメント分散剤に起因する臭気の発生や、揮発する化合物に起因する生体への悪影響を防止でき、作業環境が向上する。
【0042】
光重合開始剤としては、特に限定されないが、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとベンゾフェノンとの共融混合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンと1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとの液状混合物、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンとの混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドと1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとの混合物、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドと1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとの混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどのベンゼン環含有化合物、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2−ハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、1,1’−アゾビス(1−アミジノ−1−シクロプロピルエタン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノ−4−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−N−フェニルアミノアミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−エチルアミノ−2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(1−アリルアミノ−1−イミノ−2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−N−シクロヘキシルアミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノプロパン)及びその塩酸、硫酸、酢酸塩等、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及びそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−1,1’−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕等のアゾ系重合開始剤などが挙げられる。光重合開始剤の使用量は、単量体の使用量や光重合開始剤の種類に応じて適宜制御されればよいが、通常、使用される単量体の合計量に対して0.01〜5質量、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。
【0043】
熱重合開始剤としては、特に限定されないが、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジーt−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化カリウム、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
【0044】
熱重合開始剤の使用量は、単量体の使用量や重合開始剤の種類に応じて適宜制御されればよいが、通常その量は使用される全単量体に対し、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。
【0045】
重合反応系には、必要に応じて溶媒が添加される。溶媒の具体例としては、前記のとおりである。
【0046】
重合反応系には、必要に応じて溶媒が添加される。溶媒の具体例としては、特に限定されないが、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物等が挙げられる。原料単量体及び得られるポリカルボン酸の溶解性を考慮すると、水および/または炭素数1〜4の低級アルコールを用いることが好ましく、脱溶媒工程を省略できる利点を考慮すると、水を用いることがより好ましい。
【0047】
本発明においては、単量体の濃度が高い条件下で単量体を重合させる。具体的には、単量体および溶媒の全質量に対する単量体の濃度が、50〜100質量%であり、好ましくは60〜100質量%であり、より好ましくは70〜100質量%である。単量体濃度が100質量%とは、溶媒を用いずに重合反応を進行させることを意味する。なお、単量体濃度は、重合反応系に加えられる化合物および溶媒の全質量に対する、単量体化合物の総質量として定義される量である。
【0048】
単量体の配合比についても、特に限定されないが、セメント分散剤としての機能を考慮すると、ポリオキシアルキレンがある程度存在していることが好ましい。具体的には、化学式1で表される単量体は、単量体の全モル数に対して、好ましくは10〜50モル%、より好ましくは15〜40モル%含まれる。化学式2で表される単量体は、単量体の全モル数に対して、好ましくは50〜90モル%、より好ましくは60〜82モル%含まれる。ただし、化学式1で表わされる単量体と化学式2で表わされる単量体との合計量は100モル%である。また、その他の単量体の量は、前記合計100モル%に対し、0〜50モル%、好ましくは0〜40モル%、より好ましくは0〜30モル%である。
【0049】
含まれる重合開始剤に応じて適切な措置を採ることによって、重合反応を開始させる。光重合開始剤が配合されている場合には、所定の波長の光が単量体を含む組成物に照射される。熱重合開始剤が配合されている場合には、単量体を含む組成物が加熱される。
【0050】
重合時間は、特に限定されず、重合反応の方式、単量体の濃度、単量体の種類などに応じて適宜選択されればよい。光重合を採用した場合には、熱重合を用いる場合に比べて、重合時間を大幅に短縮可能である。
【0051】
重合温度は、使用する開始剤や単量体の種類に応じて制御される。好ましくは、光重合開始剤を用いて、低温で重合反応を進行させる。これにより、重合時の熱によるポリカルボン酸系重合体の劣化が防止され、また、使用される熱エネルギー量が減少する。具体的には、重合温度は、好ましくは30〜80℃、好ましくは40〜70℃である。
【0052】
重合反応を進行させた後、必要に応じて、重合体を含む組成物中の溶媒を除去する。溶媒の除去方法は、特に限定されない。減圧雰囲気下に組成物を曝すことによって溶媒を除去してもよいし、熱風を組成物に吹き付けることによって強制的に乾燥させてもよい。ただし、重合体を含む組成物を加熱して強制的に溶媒を除去する際には、熱による重合体の劣化が生じないように留意することが好ましい。また、工程の簡略化および熱による重合体の劣化を考慮すると、溶媒含有量を少なくして、溶媒除去工程が存在しないことが好ましい。
【0053】
溶媒を除去した後、または溶媒除去工程を省略した場合には、重合した後、形成された重合体を冷却して、固化させる。冷却手段は、特に限定されないが、ベルトを用いて重合を進行させる場合、冷風を重合体に供給する手法が用いられうる。チューブ内で重合反応を進行させる実施形態を採用する場合には、チューブより重合体を含む液滴を自然落下させて、自然落下中に冷却させてもよい。また、チューブより放出される液滴よりも温度の低いベルトや金属板に液滴を落下させて、重合体を冷却してもよい。冷却温度や冷却時間は、重合体の固化状況に応じて適宜決定されればよい。
【0054】
固化した重合体を粉砕することによって、粉末状ポリカルボン酸系セメント分散剤を得る。重合体の粉砕手段は、特に限定されず、例えば、ピンミル、ハンマーミルなどの高速回転式粉砕機;コーヒーミルなどのスクリューミル;ロールミルなどが挙げられる。粉砕手段は、製造スケールや所望する粒径などに応じて選択されるとよい。
【0055】
得られるポリカルボン酸系分散剤は、好ましくは、化学式1で表される単量体に由来する繰り返し単位、および化学式2で表される単量体に由来する繰り返し単位を有する。つまり、ポリカルボン酸系セメント分散剤は、好ましくは化学式3および化学式4で表される繰り返し単位を有する。
【0056】
【化5】

【0057】
、RO、R、k、n、R、およびMの定義については、既に説明した通りであるため説明を省略する。
【0058】
ポリカルボン酸系分散剤の重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは5,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000である。この範囲内であると、高い減水性能およびスランプロス防止性能を有しやすい。
【0059】
ポリカルボン酸系セメント分散剤を粉末状で得る場合には、つぎの方法を行なうことが好ましい。例えば図1は、単量体および形成される重合体を搬送する水平方向に移動するベルトを用いてポリカルボン酸系セメント分散剤を連続的に製造する方法を示す模式図である。
【0060】
水平方向に移動するベルト(例えばエンドレスベルト)10に、単量体を含む組成物20が供給される。組成物20は、単量体以外に、溶媒や重合開始剤などの他成分を含んでいてもよい。供給された組成物20は、ベルト10の移動によって搬送される。所定の位置において、重合開始剤の種類に応じて光60や熱60などが組成物20に加えられ、重合反応が進行する。重合開始剤として光重合開始剤が含まれている場合には、通常、ベルト10上を移動する組成物20の上方から光を照射する。重合開始剤として光重合開始剤と熱重合開始剤を併用する場合には、組成物20の周囲やベルト内部に配置された熱源から熱を供給する。
【0061】
ベルト10上を移動する組成物20において、重合反応が進行し、セメント分散剤として機能するポリカルボン酸系重合体を含む組成物30が形成される。組成物30の形状は、単量体の濃度や重合体の種類よって異なり、液状であったり、ゲル状であったりする。
【0062】
粉末状のポリカルボン酸系セメント分散剤を得るためには、粉砕するために、ポリカルボン酸系セメント分散剤を固化させる必要がある。このとき、組成物20における単量体濃度が低いと、ポリカルボン酸系重合体を含む組成物30は水などの溶媒を多量に含み、組成物30に含まれる水を除去するために、多量の熱エネルギーが必要となる。しかしながら、熱エネルギーの大量消費は、製造コストを上昇させる原因となる。また、多量に含まれる溶媒を除去するために設置される、特別な装置や工程も、製造コストを上昇させる原因となる。さらに、溶媒を除去する際の熱によって、ポリカルボン酸系重合体が劣化し、セメント分散剤としての性能が低下してしまう問題も生じうる。この点、本発明の製造方法は、組成物20における単量体濃度が高いため、組成物30に含まれる溶媒量が少ない。このため、上述の問題を除去可能である。
【0063】
組成物30の固化は、溶媒70を除去し、その後、組成物を冷却することによって達成されうる。本発明の製造方法においては、溶媒を除去せずに、組成物30を冷却することによって、組成物30を固化させることも可能である。
【0064】
組成物30を固化することによって得られた、ポリカルボン酸系重合体40をスクレーパー80でかり取り、さらに粉砕することによって、粉末状ポリカルボン酸系セメント分散剤50が製造される。本発明においては、特開2001−190942号公報に開示されているような、薄膜を粉体化する方法に比べて、ポリカルボン酸系重合体40がある程度の厚みを有するように製造することが可能である。このため、粉末状ポリカルボン酸系セメント分散剤の製造効率を上昇させることが可能であり、また、薄膜となりづらい組成物を用いてセメント分散剤を製造することも可能である。
【0065】
水平方向に移動するベルトを用いてポリカルボン酸系セメント分散剤を連続的に製造する場合、好ましくは、単量体を重合する段階、および形成された重合体を固化させる段階は、単量体および重合体を搬送するベルト上において連続的に行われることが、製造の効率化のためには好ましい。溶媒を多量に含む組成物30を固化させる場合には、溶媒の除去や重合体の固化にある程度の時間がかかるため、ベルト上で固化まで進行させることは困難であった。本発明の製造方法においては、重合体を冷却して比較的容易に固化させることが可能であるため、ポリカルボン酸系重合体の固化を、ベルト上で進行させることも可能である。ベルト上でポリカルボン酸系重合体を固化させることによって、乾燥や冷却
のための装置を簡略化でき、製造装置の占有面積が小さくなる。また、ポリカルボン酸を固化させることによって、ベルトから重合体を採取する作業が簡便になりうる。乾燥や冷却のための装置を、重合装置とは別に設置する場合であっても、それらの装置にかかる負荷が軽減される。自然冷却により重合体を固化させる場合であっても、冷却に要する時間を短縮でき、製造効率を向上させうる。
【0066】
また、光60や熱60を加え得られた重合体を水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムなどの塩基で中和し、乾燥、固化、粉砕して粉末状ポリカルボン酸系重合体を得ることができる。例えば、光60や熱60を加え、液状の重合体を得た後、一旦回収し(固化する前に80のスクレーパーなどで得られた粘調な液状重合体をかりとる)、羽根付の釜やニーダーなどに移し、攪拌しながら水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム水溶液を加え中和する。前記塩基は粉末のものであってもよい。中和後、再びベルト上に液状重合体を戻し、固化、粉砕を行い、粉末状ポリカルボン酸系重合体を得ることも可能である。
【0067】
なお、本願においては、ベルトを用いた連続重合について主に説明するが、本発明の技術的範囲がベルト重合に限定されるわけではない。例えば、単量体および形成された重合体が搬送されるチューブ内において、重合反応が連続的に行われてもよい。また、連続重合でなく、バッチ重合によって、ポリカルボン酸系セメント分散剤が製造されてもよい。ただし、工業的な量産を考慮すると、連続重合を用いることが好ましい。
【0068】
ベルトまたはチューブを用いる連続重合であっても、バッチ重合であっても、使用される装置については、本発明においては特に限定されず、既に得られている知見が適宜参照されうる。例えば、ベルトを用いた連続重合の際には、特開2003−231720号公報に開示されている知見が参照されうる。
【0069】
なお、上記装置は、必要個所、例えば単量体の重合域を密閉して不活性ガス、例えば窒素ガスでシールするか、あるいは該不活性ガスを流通させることが好ましい。
【0070】
続いて、本発明の製造方法について、工程順に詳細に説明する。
【0071】
まず、ポリカルボン酸系セメント分散剤の原料となる単量体を含む組成物20を準備する。単量体としては、好ましくは、化学式1で表される単量体の1種以上、および化学式2で表される単量体の1種以上が用いられる。また、前記のように必要により他の単量体を併用してもよい。
【0072】
単量体を含む組成物20には、重合開始剤が含まれうる。重合開始剤としては、光重合開始剤が用いられ、熱重合開始剤を併用してもよく、好ましくは光重合開始剤が用いられる。つまり、単量体および光重合開始剤を含む組成物を準備し、ここに光重合開始剤に応じた光を照射することによって、重合反応を進行させる。光重合開始剤は、前記のとおりである。
【0073】
本発明のように、単量体の濃度が高い条件下で重合反応を進行させると、得られるポリカルボン酸系重合体の分子量分布がブロードになり、セメント分散剤としての性能が低下する虞がある。本発明者らは、この問題をする手段として、光重合開始剤を用いた重合が有効であることを見出した。光重合開始剤を用いて重合を実施すると、例えば80質量%といった高濃度で重合反応を進行させても、シャープな分子量分布を持つ、セメント分散剤としての性能に優れる重合体が得られる。
【0074】
セメント分散剤はコンクリート組成物に配合される。その際に用いられるセメントや骨材の種類は、特に限定されない。例えば、セメントとして、普通ポルトランドセメント、アルミナセメント、各種混合セメント等の水硬セメントが用いられる。
【0075】
ポリカルボン酸系重合体は、コンクリート組成物に配合されるが、2種以上のポリカルボン酸系重合体が、セメント分散剤として配合されてもよい。コンクリート組成物中には、他の添加剤が配合されてもよい。例えば、他のセメント分散剤、空気連行剤(AE剤)、セメント湿潤剤、膨張材、防水剤、遅延剤、急結剤、水溶性高分子物質、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、硬化促進剤、消泡剤等が、配合されうる。
【0076】
本発明のセメント分散剤と他の添加剤との組合せについての好適な実施形態としては、次の(1)〜(7)が挙げられる。
【0077】
(1)<1>本発明のセメント分散剤、および<2>オキシアルキレン系消泡剤の2成分を必須とする組み合わせ。オキシアルキレン系消泡剤としては、ポリオキシアルキレン類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類等が使用可能である。この中では、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類が特に好適である。<2>オキシアルキレン系消泡剤の配合質量比は、<1>セメント分散剤に対して0.01〜20質量%の範囲が好ましい。
【0078】
(2)<1>本発明のセメント分散剤、<2>オキシアルキレン系消泡剤、および<3>AE剤の3成分を必須とする組み合わせ。オキシアルキレン系消泡剤としては、ポリオキシアルキレン類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類等が使用可能である。この中では、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類が特に好適である。AE剤としては、樹脂酸石鹸、アルキル硫酸エステル類、アルキルリン酸エステル類が特に好適である。<2>オキシアルキレン系消泡剤の配合質量比は、<1>セメント分散剤に対して0.01〜20質量%が好ましい。<3>AE剤の配合質量比は、セメントに対して0.001〜2質量%が好ましい。
【0079】
(3)<1>本発明のセメント分散剤、<2>炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、(メタ)アクリル酸系単量体と、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体(特公昭59−18338号公報、特開平7−223852号公報、特開平9−241056号公報等に記載)、ならびに<3>オキシアルキレン系消泡剤の3成分を必須とする組み合わせ。<1>セメント分散剤と<2>共重合体との配合質量比は、5/95〜95/5の範囲が好ましく、10/90〜90/10の範囲がより好ましい。<3>オキシアルキレン系消泡剤の配合質量比は、<1>セメント分散剤と<2>共重合体との合計量に対して0.01〜20質量%の範囲が好ましい。
【0080】
(4)<1>本発明のセメント分散剤、および<2>遅延剤の2成分を必須とする組み合わせ。遅延剤としては、グルコン酸(塩)、クエン酸(塩)等のオキシカルボン酸類、グルコース等の糖類、ソルビトール等の糖アルコール類、アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類等が使用可能である。<1>セメント分散剤と<2>遅延剤との配合質量比は、50/50〜99.9/0.1の範囲が好ましく、70/30〜99/1の範囲がより好ましい。
【0081】
(5)<1>本発明のセメント分散剤、および<2>促進剤の2成分を必須とする組み合わせ。促進剤としては、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム等の可溶性カルシウム塩類、塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物類、チオ硫酸塩、ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩類等が使用可能である。<1>セメント分散剤と<2>促進剤との配合質量比は、10/90〜99.9/0.1が好ましく、20/80〜99/1がより好ましい。
【0082】
(6)<1>本発明のセメント分散剤、および<2>材料分離低減剤の2成分を必須とする組み合わせ。材料分離低減剤としては、非イオン性セルロースエーテル類等の各種増粘剤、部分構造として炭素原子数4〜30の炭化水素鎖からなる疎水性置換基と炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖とを有する化合物等が使用可能である。<1>セメント分散剤と<2>材料分離低減剤との配合質量比は、10/90〜99.99/0.01が好ましく、50/50〜99.9/0.1がより好ましい。この組み合わせのセメント組成物は、高流動コンクリート、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材として好適である。
【0083】
(7)<1>本発明のセメント分散剤、および<2>分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤の2成分を必須とする組み合わせ。スルホン酸系分散剤としては、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系の分散剤などが使用可能である。<1>セメント分散剤と<2>分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との質量配合比は、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。
【0084】
ポリカルボン酸系重合体の配合量は、特に限定されないが、セメント質量に対して、好ましくは0.01〜1.0質量%、より好ましくは0.02〜0.5質量%である。この程度の量を配合することによって、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各種の好ましい効果がもたらされる。
【0085】
コンクリート組成物を作製する方法は、特に限定はされず、従来のセメント組成物と同様の方法が用いられうる。例えば、セメント、水、および必要に応じて他の配合材料を混合する際に、セメント分散剤またはセメント分散剤を含む液体を配合して混合する方法;セメント、水、および必要に応じて他の配合材料を予め混合しておき、得られた混合物にセメント分散剤またはセメント分散剤を含む液体を添加混合する方法などが挙げられる。
【実施例】
【0086】
(実施例1)
内径5cm、容量250mlのプラスチック製容器に、窒素導入管、排気管、および温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。ここに、純水33.0g、化学式1で表される単量体としてエチレンオキサイドの平均付加モル数が50モルであるポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル(IPN−50)116.27g、化学式2で表される単量体としてアクリル酸(AA)15.51g、連鎖移動剤としてメルカプトプロピオン酸0.90g、および光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製ダロキュアTM)1.52gを入れた。混合液をマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで十分に窒素置換した。この溶液における、単量体の濃度は、単量体および溶媒の全質量に対して80質量%であった。
【0087】
この溶液を、窒素置換されている直径200mmのポリテトラフルオロエチレン製重合容器にフィードし、22W/mの紫外線を30分間照射し、重合反応を進行させ、ポリカルボン酸系セメント分散剤として作用する共重合体(1)を得た。共重合体(1)の重量平均分子量は28100、分散度は2.28であった。
【0088】
得られた重合体に0.5時間120℃の熱風を当てることにより、重合体中に含まれる水を除去した。冷風を当てて重合体を冷却して、重合体を固化させた後、卓上ミルを用いて、固化した重合体を15700rpmで30秒間粉砕し、粉末状のポリカルボン酸系セメント分散剤(1)を得た。結果を表1に示す。
【0089】
セメント分散剤(1)の特性を調べる目的で、モルタル試験を実施した。モルタル配合は、太平洋普通ポルトランドセメント(482g)、JIS R5201規定の標準砂(1350g)、および水(217g)とした。モルタルフローは、JIS R5201(1997)の10.4.3項の練り混ぜ方法に準じたミキサー、練り混ぜ方法を使用し、JIS R5201(1997)のフロー試験に従って測定した。セメント分散剤(1)の製造条件および評価を表1に示す。
【0090】
(実施例2)
内径5cm、容量250mlのプラスチック製容器に、窒素導入管、排気管および温度計を装備したシリコンゴム栓を装着した。ここに、化学式1で表される単量体としてエチレンオキサイドの平均付加モル数が50モルであるポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル(IPN−50)66.77gを60℃に加熱して溶融したのち、化学式2で表される単量体としてアクリル酸(AA)9.02g、連鎖移動剤としてメルカプトプロピオン酸0.16g、および光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製ダロキュアTM)1.52gを入れた。混合液をマグネティックスターラーで攪拌しながら、溶存酸素量が0.5ppm以下になるまで十分に窒素置換した。この溶液における、単量体の濃度は、単量体および溶媒の全質量に対して100質量%であった。
【0091】
この溶液を、窒素置換されている直径200mmのテフロン(登録商標)製重合容器にフィードし、22W/mの紫外線を30分間照射し、重合反応を進行させ、ポリカルボン酸系セメント分散剤として作用する共重合体(2)を得た。共重合体(2)の重量平均分子量は37000、分散度は2.3であった。
【0092】
得られた重合体に冷風を当てて重合体を冷却して、重合体を固化させた後、卓上ミルを用いて、固化した重合体を15700rpmで30秒間粉砕し、粉末状のポリカルボン酸系セメント分散剤(2)を得た。結果を表1に示す。
【0093】
セメント分散剤(2)の特性を調べる目的で、実施例1と同様の方法でモルタル試験を実施した。セメント分散剤(2)の製造条件および評価を表1に示す。
【0094】
(実施例3)
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応器を準備した。ここに、純水70.45gおよび3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキシドを平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)146.19g仕込み、水溶液を攪拌しながら反応容器内を窒素置換して窒素雰囲気下で60℃まで加熱した。内温が60℃で安定したところで、過酸化水素0.23gと水11.38gとを含む過酸化水素水溶液を添加した。次に、アクリル酸19.75gを3時間、並びに水44.77g(L−アスコルビン酸および3−メルカプトプロピオン酸溶解水)にL−アスコルビン酸0.30g、3−メルカプトプロピオン酸0.72gを溶解させた水溶液を3.5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて60℃に温度を維持し、重合反応を終了した。重合終了後、水酸化ナトリウムで中和し、60質量%の重合体水溶液を得た。本発明で得られた重合体(3)の重量平均分子量は37000、分散度は1.9であった。
【0095】
得られた重合体に1時間120℃の熱風を当てることにより、重合体中に含まれる水を除去した。冷風を当てて重合体を冷却して、重合体を固化させた後、卓上ミルを用いて、固化した重合体を15700rpmで30秒間粉砕し、粉末状のポリカルボン酸系セメント分散剤(3)を得た。結果を表1に示す。
【0096】
セメント分散剤(3)の特性を調べる目的で、実施例1と同様の方法でモルタル試験を実施した。セメント分散剤(3)の製造条件および評価を表1に示す。
【0097】
(実施例4)
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応器に、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキシドを平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)96.0g、アクリル酸12.97g、3−メルカプトプロピオン酸0.54gを仕込み、反応容器内を窒素置換して窒素雰囲気下で70℃まで加熱した。内温が70℃で安定したところで、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1.09gを添加し、70℃に温度を維持し、4.5時間かけて重合反応を進行させ、ポリカルボン酸系セメント分散剤として作用する共重合体(4)を得た。共重合体(4)の重量平均分子量38000、分散度は2.4であった。得られた共重合体の濃度は、全質量に対して100質量%である。
【0098】
得られた重合体に冷風を当てて重合体を冷却して、重合体を固化させた後、卓上ミルを用いて、固化した重合体を15700rpmで30秒間粉砕し、粉末状のポリカルボン酸系セメント分散剤(4)を得た。結果を表1に示す。
【0099】
(実施例5)
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応器を準備した。ここに、水64.62g、モノマーとして3−メチル−3−ブテン−1−オール(3M3BIO)にエチレンオキシド(EO)を平均20個付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル120.00gを仕込み、水溶液を攪拌しながら反応容器内を窒素置換して、窒素雰囲気で58℃まで加熱した。内温が58℃で安定したところで、過酸化水素0.60gと水29.32gとを含む過酸化水素水溶液を添加した。次に、モノマーとしてアクリル酸(AA)22.74gおよび水9.74gからなる水溶液を3時間、ならびに水51.55gにL−アスコルビン酸0.78g、3−メルカプトプロピオン酸0.65gを溶解させた水溶液を3.5時間かけて、それぞれ滴下した。その後、さらに1時間重合反応液の温度を58℃に維持して重合反応を進行させた。重合終了後の重合成分の濃度は49質量%であった。得られたポリカルボン酸系ポリマー組成物2の重合平均分子量は31000、pHは3.2であった。得られたポリカルボン酸系ポリマー組成物について、後述する粉末化を試み、粉末化可能か否かを評価した。
【0100】
なお、上記実施例においては、主として反応器内で回分式で重合を行なっているが、図1の装置を用いて連続式に重合を行なってもよいことはもちろんである。
【0101】
(比較例1)
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管および還流冷却器を備えたガラス製反応器に、水116.91g、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキシドを平均50モル付加した不飽和ポリアルキレングリコールエーテル(IPN−50)38.97g、アクリル酸5.27gを仕込み、水溶液を攪拌しながら反応容器内を窒素置換して窒素雰囲気下で60℃まで加熱した。内温が60℃で安定したところで、過酸化水素0.06gと水12.38gとを含む過酸化水素水溶液を添加した。次に、水46.77g(L−アスコルビン酸および3−メルカプトプロピオン酸溶解水)にL−アスコルビン酸0.08g、3−メルカプトプロピオン酸0.19gを溶解させた水溶液を添加し、60℃に温度を維持し、4.5時間かけて重合を進行させた。重合終了後、水酸化ナトリウムで中和し、20質量%の比較共重合体(1)の水溶液を得た。本発明で得られた比較共重合体(1)の重量平均分子量は29000、分散度は1.8であった。
【0102】
得られた重合体に2時間120℃の熱風を当てることにより、重合体中に含まれる水を除去した。冷風を当てて重合体を冷却して、重合体を固化させた後、卓上ミルを用いて、固化した重合体を15700rpmで30秒間粉砕し、粉末状のポリカルボン酸系セメント分散剤(4)を得た。結果を表1に示す。
【0103】
セメント分散剤(4)の特性を調べる目的で、実施例1と同様の方法でモルタル試験を実施した。セメント分散剤(4)の製造条件および評価を表1に示す。
【0104】
(測定条件)
各評価項目は、以下の条件で測定した。
【0105】
(重量平均分子量)
機種:Waters LCM1
検出器:Waters 410示差屈折検出器
解析ソフト:Waters Millenium Ver.2.18
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合液に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に30%水酸化ナトリウムでpH6に調整した溶離液
溶離液流速:0.8ml/min
カラム温度:35℃
カラム:東ソー株式会社製 TSKgel GuardColumnSWXL+G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
標準物質:ポリエチレングリコール、重量平均分子量(Mw)272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470
(共重合体の分散度)
前記分子量測定装置(LCM1)を用いてサンプルを測定した後、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを、前記解析ソフト(Waters Millenium Ver.2.18)を用いて算出し、Mw/Mnより分散度を求めた。
【0106】
【表1】

【0107】
表1に示すように、単量体濃度が高い条件下で重合反応を進行させることによって、形成された重合体から溶媒を除去する手間が軽減される。また、単量体濃度以外の条件が同様である実施例1と比較例1との比較からは、光重合を採用することによって、単量体濃度が高い条件であっても、分散度が低く、空気連行性に優れる重合体が得られることがわかる。つまり、本発明を用いることによって、セメント分散剤としての特性に優れる重合体を、効率的に製造することが可能である。
【0108】
(比較例2)
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、および還流冷却器を備えたガラス製反応器を準備した。ここに、水100.01gを仕込み、水を攪拌しながら反応容器内を窒素置換して、窒素雰囲気で80℃まで加熱した。内温が80℃で安定したところで、モノマーとして、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(MPEGMA;エチレンオキシドの平均付加数:25個)112.59gおよびメタクリル酸(MAA)22.41g、ならびに水33.40gおよび3−メルカプトプロピオン酸1.24gを混合した。得られたモノマー水溶液169.99gを4時間、および過硫酸アンモニウム1.55gを溶かした水溶液30gを5時間かけて、それぞれ滴下した。その後、さらに1時間重合反応液の温度を80℃に維持して重合反応を進行させた。重合終了後の重合成分の濃度は47質量%であった。得られたポリカルボン酸系ポリマー組成物5の重合平均分子量は23000、pHは2.2であった。得られたポリカルボン酸系ポリマー組成物について、後述する粉末化を試み、粉末化可能か否かを評価した。
【0109】
ポリカルボン酸系ポリマー組成物を、直径13cmのガラス製シャーレに、乾燥した後の固形分が20gになるように供給した。これを、50℃、50Torr(約6.7×103Pa)の環境下に24時間放置して、水分を除去した。乾燥後、得られた固体をデシケータ中に1日間放置し、乳鉢を用いて結果物を粉砕した。粉砕した粉末を16メッシュのふるいにかけ、一定の粒度分布を持つ粉末状セメント分散剤を得た。
【0110】
上記過程による粉末化が可能か否かを評価した。結果を表2に示す。評価は、乾燥後のポリマーが粉砕でき、粉末状のセメント分散剤が得られたものを○、水あめ状や粘着性のあるフィルム状になり粉砕できなかったものを×とした。
【0111】
【表2】

【0112】
表に示すように、本発明で規定される構造を有するポリマーは、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体を使用したポリマーに比べて、構造を限定されることなく、粉体化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】単量体および形成される重合体を搬送する、水平方向に移動するベルトを用いてポリカルボン酸系セメント分散剤を連続的に製造する方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0114】
10…ベルト、
20…単量体を含む組成物、
30…ポリカルボン酸系重合体を含む組成物、
40…ポリカルボン酸系重合体、
50…粉末状ポリカルボン酸系セメント分散剤、
60…光および/または熱、
80…スクレーパー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される単量体の少なくとも1種以上と、化学式2で表される単量体2の少なくとも1種以上とを含有する単量体組成物を、単量体および溶媒の全質量に対する単量体の濃度が50〜100質量%の条件下で、単量体を重合する段階と、
形成された重合体を冷却して、固化させる段階と、
固化した重合体を粉砕する段階と、
を含む、粉末状ポリカルボン酸系セメント分散剤の製造方法。
【化1】

(ただし、式中、Rは、水素原子またはメチル基であり、ROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、Rは水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基であり、kは0〜2の整数であり、また、nは2〜300の整数である。)
【化2】

(ただし、式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Mは水素原子、一価金属、二価金属、アンモニウム基または有機アミン基である。)
【請求項2】
前記重合する段階、および前記固化させる段階は、前記単量体および前記重合体が搬送されるベルト上において連続的に行われる請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
化学式1において、nは2〜100である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記単量体は、光重合開始剤を用いて重合される請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
単量体の全モル数に対して化学式1で表される単量体が10〜50モル%であり、かつ化学式2で表される単量体が50〜90モルである請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
重合温度が30〜80℃である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−97007(P2006−97007A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−249998(P2005−249998)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】