説明

粉末状材料を分離偏析させずに搬送することを可能にする方法

潜在的な流動化によって粉末状材料を搬送することを可能にする方法であり、供出区域と供給対象区域との間に、ガスの通流を目的とした下部導管(6)と粉末状材料の通流を目的とした上部導管(7)とを備えた「エア式搬送管」(3)が設置され、下部導管(6)および上部導管(7)がガスの通過できる多孔質の隔壁(5)によって隔てられており、また、上部導管(7)には粉末状材料が充填され、下部導管(6)には上部導管(7)における粉末状材料の潜在的な流動化を可能にする圧力でガスが供給され、上部導管(7)が少なくとも一つの平衡用カラム(4.1、4.2)を備えている。この方法において、ボイドの最大割合に対応する気泡発生最小臨界速度は事前に決定され、流動化圧力は、前記ガスの流動化速度が前記気泡発生最小臨界速度の0.8〜1.5倍の間、好ましくは前記気泡発生最小臨界速度の0.9〜1.3倍の間に含まれるような値に調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状材料を搬送することを可能にする搬送方法に関するものであり、ほぼ水平な搬送管を用いて、供出区域、典型的には粉末状材料の貯蔵区域から、その元となる貯蔵区域から離れており、前記粉末状材料を供給されるようになっている区域まで、搬送するものである。この搬送方法は、より特定的には、粒度分布および密度分布が必ずしも一様ではないが、供出区域では均質であり、供給対象区域には最初の混合物とほぼ同等の良好な均質性で放出されるべき粒子の混合物で構成された粉末状材料を、ほぼ水平の搬送管の中で搬送することを可能にする搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉末状材料を長い距離に渡って搬送することを可能にする多くの装置が記述されてきている。それらの大半は流動層による搬送技術を用いている。米国特許第3268264号明細書では粉末状材料の搬送を可能にする一つの方法が記載されており、その方法では、供出区域と供給対象区域との間に、ほぼ水平な搬送手段を少なくとも一つ備えた閉じた装置が設置され、その搬送手段は、ガスの通流を目的とした下部導管と、粉末状材料の通流を目的とした上部導管とを備えており、前記下部導管および前記上部導管は、前記ガスが通過できる多孔質の隔壁によって隔てられおり、前記下部導管は少なくとも一つのガスの供給管を備えている。下部導管には、前記上部導管において前記粉末状材料を流動化させることのできる圧力でガスが供給される。このような装置は火力発電所に供給するための粉末状石炭の搬送を目的としており、エア式搬送管に沿って変動可能な流動化圧力をかけることを可能にする、下部導管における区域分割システムを記載している。この文献に記載されている利用条件では、かなり高い流動化用ガスの流量によって、流動化された材料は乱流状態で流れることになる。
【0003】
また、仏国特許発明第2534891号明細書(ALUMINIUM PECHINEY)によって、少ない流量の流動化用ガスで粉末状材料を潜在的に流動化させ、その結果、粉末状材料が「超高密度相」と呼ばれる状態に維持されることのできる装置が知られている。このような装置では、ほぼ水平な搬送管により、超高密度相にある前記材料を供出区域から供給対象区域まで搬送することができる。この仏国特許発明第2534891号明細書の装置は、主として、上部導管が少なくとも一つの平衡用カラムを備え、そのカラムの開放された上端部が前記閉鎖装置の外部と連通し、粉末状材料を充填されるという点で、米国特許第3268264号明細書の装置とは区別される。カラムにおける充填の高さは上部導管にかかる圧力を均衡させる。こうして粉末状材料は潜在的な流動化状態におかれる。つまり、ガス+粉末状材料の混合物は液体のように振る舞い、粉末状材料の消費がなければ動かないままであり、供給対象区域にボイドが生じるとすぐに、連続的で微細な崩落が前記ボイドから貯蔵区域まで起こり、結果として、粉末状材料は、供給対象区域の需要にちょうど必要なだけ、制御された流れで通流する。空気は他の超高密度相での搬送方法と比べて弱い圧力で供給され、ガスの移動は粒子の移動のように低速で行われ、このことによって、材料の摩耗ならびに製品の損耗を抑えることが可能となっている。平衡用カラムは、好ましくは垂直に取り付けられる。この平衡用カラムの断面は、Sが前記多孔質隔壁の全面積であるとき、好ましくはS/20とS/200の間に含まれる。
【0004】
欧州特許出願公開第1086035号明細書(ALUMINIUM PECHINEY)では、上部導管の上部において圧力下にあるガスの気泡が形成されるように上部導管を設けることで、先行技術の方法が改良されている。結果として、作動はより安定する。つまり、平衡用カラムの一つにおいて通気が起こらないときあるいは不完全なときに、エア式搬送管が完全に詰まる危険性が低くなっているのである。典型的には、堰体を形成し、上部導管の天井部分で気泡を「固定」する隔壁が、前記上部導管の天井部分に設置される。これら堰体の高さは上部導管の高さの半分より低い。典型的には、その堰体の高さは前記上部導管の高さのおよそ10分の1である。好ましくは、上部導管の天井は、堰体を形成する前記隔壁によって画定される所与の気泡に装置の平衡用カラムが連動するように設けられる。
【0005】
先行特許文献に記載されているような、超高密度層での潜在的な流動化による搬送装置は、大規模に、とりわけアルミニウムの溶融塩電解を行う近年の設備の槽に供給するために利用されている。この装置の利点はよく知られている。すなわち、
−ホッパーを常に満たされた状態に維持できるようにする、槽への連続的な供給、
−低いシステム維持費、
−比較的低い、流動化に必要な空気圧(密相での空気搬送用6バールと比較して0.1バール)、
−材料の摩耗および製品の損耗または凝集を抑える、低速でのアルミナの移動である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前掲のすべての利点を有していても、この装置は、いくつかの格別な予防策が取られなければ、いくつかの不都合を呈することもある。すなわち、
−最適化されていない流動化用ガスの消費、したがって最適化されていないエネルギーの消費、
−平衡用カラムによる大量の飛散、つまりアルミナのリサイクル、
−もっとも細かな粒子が優先的に飛散することによる粒子の分離偏析のおそれ、である。
【0007】
他方では、電解の作業場では、単一の貯蔵区域から供給すべき区域の数が多い(数十)。さらに、貯蔵区域と供給対象区域との間の距離も長い(数百メートル)。これらの制約に応えるために、本出願人は、一連の連続した搬送手段で構成された、欧州特許第0179055号明細書に示した装置であって、一次搬送手段が貯蔵区域を一連の二次搬送手段に接続し、各二次搬送手段が一つの槽に割り当てられ、槽の上部構造に統合されたホッパーに供給する側面穿孔部を備えている装置を提案した。これらすべてが一つのエア式搬送管ネットワークを構成し、このネットワークによって、数百メートル、典型的には400メートルから800メートルにわたってアルミナを超高密度層で搬送することが可能となる。しかしながら、本出願人は、このような距離では、特定の箇所での分離偏析の現象の出現を避けることが難しい場合があることを確認した。
【0008】
アルミナ搬送の枠組みで特異的に見られるこの問題のほかに、本出願人は、さまざまな粒度サイズの粒子の均質な混合物からなる粉末状材料、さらには、やはりさまざまな密度の粒子の均質な混合物からなる材料が分離偏析することなくこのようなエア式搬送管内を通流できる条件をより良く定義しようとした。換言すれば、本出願人は、前記材料が供給対象区域にたどり着いた時に同一の粒度分布または同一の密度分布を有するようになる、このような粉末状材料の潜在的流動化による搬送の最適な条件を定義しようとした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の対象は、潜在的流動化によって粉末状材料を搬送することを可能にする方法であり、該方法において、供出区域、典型的には前記粉末状材料の貯蔵区域と、供給対象区域との間に、「エア式搬送管」である、ほぼ水平な搬送手段を少なくとも一つ備えた閉じた装置が設置され、該搬送手段は、ガスの通流を目的とした下部導管と、粉末状材料の通流を目的とした上部導管とを備え、前記下部導管および前記上部導管が、前記ガスの通過できる多孔質の隔壁によって隔てられ、前記下部導管がガスの供給装置に接続されており、
また、該方法において、上部導管には前記粉末状材料が充填され、下部導管には、流動化圧力と呼ばれる、前記上部導管内における前記粉末状材料の潜在的流動化を可能にする圧力でガスが供給され、前記上部導管は少なくとも一つの平衡用カラムを備え、該平衡用カラムの上端部は開放されており、該平衡用カラムの下端部が前記上部導管と連通していることで、粉末状材料が前記平衡用カラム内に、上部導管にかかる圧力を均衡させる高さまで入るようになっており、
前記方法は、ボイドの割合が最大となる、ガスの流動化速度に等しい基準となる流動化速度が事前に決定されることと、前記上部導管における前記ガスの流動化速度が、基準となる前記流動化速度の0.8〜1.5倍の間、好ましくは基準となる前記流動化速度の0.9〜1.3倍の間に収まるような値に流動化圧力が調整されることを特徴としている。
【0010】
用いられる装置は、粉末状材料については供出区域および供給対象区域を介してしか外部と連通せず、流動化用ガスについては好ましくは単一の吸気搬送管と、平衡用カラムの開口端部とを介してしか外部と連通しない閉鎖装置である。この装置は、水平または、典型的には水平に対して10°未満、好ましくは5°未満の傾斜で軽く傾いているエア式搬送管タイプの、一連の搬送手段または搬送手段のネットワークで構成することができるという意味で、ほぼ水平の搬送手段を少なくとも一つ備えている。
【0011】
本発明による方法に特に適合化された粉末状材料は、容易に流動化できる材料であり、該材料の粒子は全体的に凸状の形状を有し、1に近い形状係数(フェレ径の比)、典型的には0.5と2の間に含まれる形状係数と、たとえば中位径D50によって表され、典型的には15ミクロンと500ミクロンの間に含まれるサイズを有している。また、この材料は一様または多様な粒度分布を有することもできる。また、該材料は、さまざまな化学組成および/または密度をした材料の混合物であってもよい。流動化に対する適性にしたがった粉末の分類を可能にすることを目的とした1973年のGeldartによる発表を援用すれば、つまり、材料を、横軸にその平均サイズdpの対数をとり、縦軸にはその平均の密度ρsと流動化用ガスの密度ρgとの間の差の対数をとる点で表すなら、本方法が図1に示された線影をつけた区域に属す材料にとりわけ良好に適用されることを指摘することができ、該区域は、以下の10個の頂角を有する多角形にほぼ対応している。すなわち、L(10;5);M(100;4);N(300;2);O(500;1);P(500;0.15);Q(100;0.15);R(60;0.2);S(30;0.5);T(20;1);U(15;1)であり、横軸は括弧内の左に示した値の対数であって、μmで表示した粒子のサイズに対応し、縦軸は括弧内の右に示した値の対数であって、kg/dm3で表示した密度の差に対応している。実際、1未満の密度を有する粒子がほとんど見られないため、本発明による方法の実施に最も適合化された粉末の領域は、多角形LMNOU、すなわち以下の不等式で限定される区域として定義することができる。
a)Y≧0
b)Y+3.969X−4.668≧0
c)Y+0.097X−0.796≦0
d)Y+0.631X−1.864≦0
e)Y+1.357X−3.662≦0
ここに、dpがマイクロメートルで表示されているときX=log10(dp)であり、ρsおよびρgがkg/dm3で表示されているときY=log10(ρs−ρg)である。
【0012】
容易に流動化できる粉末の特性は、
・空気の速度が流動化の最小速度よりも顕著に速いときに、流動化速度の増加および気泡発生の出現を伴う、層の強い膨張として現れる粒子の流動化と、
・流動化が中断されたときの緩やかな脱気、つまり、かなりの間これらの粉末が流動的な状態にとどまることと、
・ホッパーのドレイン時に噴射する傾向、つまり閉鎖弁を通る流体タイプの流出、とによって示される。電解によるアルミニウムの製造に用いられるアルミナはこのカテゴリの一部である。
【0013】
容易に流動化できる粉末の流動化状態を特性化するために、以下で「流動化用カラム」と呼ぶ垂直シリンダーと同等視できるカラムの内部において、水平の多孔質隔壁の上に前記粉末の層を堆積させた。上昇方向で層を通過するようにガスを通流させ、その上昇速度を徐々に上げた。実用上では、実際はガスの流量を変動させる。このとき、以下の連続する現象を観察することができた。
・最も低速については、個体粒子の層は目に見える動きのないままグリッド上にとどまった。さらに速度を上げると、粒子の振動が観察された。
・速度Umf(流動化の最小速度)から、層の膨張が確認された。このように、粒子層の固定状態と流動化された状態との間の移行へと達した。以下では、流動化された状態に達することを可能にするガスの上昇速度を流動化速度と呼ぶこととする。
・さらにガスの上昇速度を上げると、粒子層は膨張を続けた。このとき流動化された状態を描写することができる。粒子は互いに独立している。これら粒子は小さい振幅の無秩序な動きにかけられている。流体に対する全体のスライド移動はまったく確認できない。粒子層の上部表面は実質的に鮮明かつ水平である。粒子層は液体と同等視することができる。
・ガスの一定の上昇速度から、気泡発生現象(粒子層において流体の空洞が生じ、その空洞が増大、合体し、表面に上がっていく)によって粒子層の中で不均質性が現れる。このとき、流体の表面の様相は沸騰した液体の様相である。沸騰流動化の状態である。
・さらにガスの速度が上がると、形が不規則になった気泡のサイズおよび数が徐々に増大し、これら気泡がその伴流の中に次第に多くの固体粒子を巻き込むようになる。つまり、乱流流動化の状態である。
・粒子の自由落下の終端速度と呼ばれる一定速度を超えると、ガス流に巻き込まれた粒子が浮流状態を離れる。つまり、掃気現象である。この現象の応用は、粉末状固体の従来的な機械的搬送、典型的には空気スライドと呼ばれる搬送手段を用いた搬送である。
【0014】
エア式搬送管の上部導管内部を占めることになる状態を制御する、低い流動化速度に戻ろう。本発明によると、経験的あるいは半経験的に、ボイドの割合の最大量に対応するガスの流動化の平均速度に等しい、基準となる流動化速度が事前に決定される。この決定は、たとえば前述した流動化用カラムを用いて行うことができる。
【0015】
ボイドの割合は浮流体の見掛け密度に直接関連している。ボイドの割合は、粒子の見掛け密度と、粒子の見掛け密度に対するパーセンテージで表示された浮流体の密度との間の差として定義される。
【0016】
言い換えれば、ボイドの割合εLFは、εLF=(ρs−ρLF)/ρsという関係式によって決定され、ここで、ρsは粒子の見掛け密度であり、浮流体の密度ρLFは、(粒子の質量)/(浮流体の体積)=mp/hLFSという関係式によって与えられる。任意の浮流体について、質量mpが定数、カラムの断面Sが定数であるとき、ボイドの割合は主として前記カラムにおいて流動層がとる高さhLFによって決まる。したがって、ボイドの最大割合は、浮流体の最小の見掛け密度に対応する。
【0017】
図2は、ガスの上昇速度Ufに応じた金属加工用アルミナの流動層の高さHを流動化用カラム内で測定した例を示している。流動層の高さ、したがってその体積が、ここでは3mm/sに近く、最小の流動化速度Umfと同等視できる上昇速度の一定の値から顕著に増大し始め、最大に達し、次に、ここではおよそ7mm/sであり、気泡の出現にほぼ対応し、そのため「気泡発生最小臨界速度」と呼ばれる値Umbから下がり始め、そして、沸騰流動化の局面の残りすべての間、ほぼ一定の横ばい状態に達することが確認できる。結果は二つの形で表されている。すなわち、上昇速度に応じた流動層の高さを示す菱形と縦軸の左の軸と、流動化速度に応じたボイドの割合を示す四角形と縦軸の右の軸である。
【0018】
図3は、図2と同じ結果を示しているが、流動化速度に応じた見掛け密度で表示されている。最小値の近傍において、曲線の形は、前記最小値の両側で多少非対称的ではあっても平らになっていることが確認できる。このことによって、見掛け密度がほとんど変動せず、最小値に近い区域を定義することができる。第一の区域は最小の見掛け密度より最大でも1.025倍超の見掛け密度に対応し、0.8Umbと1.5Umbの間に含まれる流動化速度によって決定される。より範囲の狭い区域は、最小の見掛け密度より最大でも1.012倍に等しい見掛け密度に対応し、気泡発生最小臨界速度Umbの0.9〜1.3倍の間に含まれる流動化速度によって決定される。
【0019】
これらの観察は「静的な」膨張層について行われたものであり、エア式搬送管内でほぼ水平な動く超高密度層に移して考えることができる。換言すれば、本発明によると、粉末状材料の潜在的な流動化による最適な搬送を行うためには、気泡発生最小臨界速度がエア式搬送管における流動層の全体的な水平移動とは独立していると考え、流動層の見掛け密度の最も小さな値に対応する、この気泡発生最小臨界速度に近い流動化速度が上部導管内で確立されるような流動化圧力がかけられる。
【0020】
実際、本発明によると、エア式搬送管の形状に頼ることのない単純な流動化用カラムで観察されるような、「静的な」膨張層で定義される値の領域内で流動化速度が求められる。層は、浮流体が水平のいかなる全体移動も受けないという意味で「静的」と呼ばれる。基準となる流動化速度は、ボイドの割合が最大となるガスの流動化速度に等しく、気泡発生最小臨界速度と呼ばれる。この基準となる流動化速度は、主として材料の物理的特性に関連しており、膨張層の容器の幾何学的特性には依存していない。求められる速度の領域は、既に見たように、ボイドの割合がほとんど変動せず、その値が最小値に等しいかまたは非常に近い範囲に対応する。本出願人は、これらの条件がエア式搬送管におけるピストンタイプの流れを得るためには最適であることを確認した。
【0021】
したがって、エア式搬送管の詳細な幾何学的形状とは独立に定義される流動化速度を求めることができる。とはいえ、本発明による方法は、エア式搬送管が、浮流体が占めることのできる上部導管のすべての地点で粉末状材料の潜在的な流動化が起こるように構成されたときにのみ良好な結果を出すことができる。
【0022】
上部導管におけるガスの流動化速度は、上部導管のガスの速度の上昇方向の垂直成分の平均である。この流動化速度は、適合化されたあらゆる手段で、たとえば既知の透過性のグリッドおよび熱線流速計を用いて測定することができる。以下に示す好ましい実施態様では、その流動化速度は、下部導管に注入されるガスの流量を測定し、その値を、下部導管を上部導管から隔てている多孔質の隔壁の面積で割ることによってより簡単に定義することができる。
【0023】
エア式搬送管は好適には互いに接続された複数のセクターに分割され、これらセクターのそれぞれが平衡用カラムを備え、各セクターにおいて、上部導管の天井は、欧州特許出願公開第1086035号明細書におけるように、圧力下にあるガスの気泡によって占められている。したがって、これらのセクターの形状を適切に決定することで、流動化用カラム内で膨張している「静的な」層とほとんど同じ流動化条件を課すこと、つまり、浮流体のところで主として垂直なガスの速度を課すことができ、ガスの速度の水平成分は、下部導管および圧力下にある気泡の中、特に平衡用カラムの近傍でのみゼロから大きくはずれることになる。
【0024】
したがって、ガスは水平方向に粒子を移動させずに、浮流体を膨張させることにのみ作用し、気泡に直接入り、平衡用カラムによって排出される。このとき、粒子の水平の動きは供給および下からの抜き取りによってのみ創出され、平衡用カラムはセクターごとに、エア式搬送管全体の加圧を確保する役割を果たす。
【0025】
これらの条件において、浮流体は実質的に液体のように振る舞い、固体粒子の搬送に関連する充填の消失は非常に小さい。この充填の消失は、粒子の動きと上部導管の隔壁に対する浮流体の摩擦条件とに強く依存している。しかし、この充填の消失はほとんど流動化の条件からは独立している。したがって、流動化ガスを過剰に消費することなく、特に高い粉末状材料の質量流量に達することができる。たとえば、金属加工用アルミナのような材料では、およそ10mm/sの流動化速度によって、およそ70kg/m2sの質量流量に達する、あるいは超えることができるのに対して、このような流量は、従来の空気圧力式搬送では、およそ15m/sのガスの速度、すなわち150倍ものガスの消費量を必要とすることになる。
【0026】
各セクターについて、上部導管の長さ、前記セクターに接続された平衡用カラムの高さおよび断面は、好適には、搬送すべき材料の流量を考慮して、上部導管の内部が気泡発生開始に近い流動化条件にあり、カラムの内部が乱流状態の条件にあるように決定され、カラム出口でのガスの速度は、粒子の動きが粉末状材料の許容できない損失を引き起こすこととなる一定の限界を超えてはならない。他方で、隣り合う二つのセクターの下部導管の部分は互いに接続されているが、典型的には絞りによって一定の充填量が失われるようになっており、それにより、上部導管のガスの圧力が各セクターにおいて、流動化速度が求められる領域内、つまり、気泡発生最小臨界速度の0.8〜1.5倍(好ましくは0.9〜1.3倍)の間にとどまる圧力に対応するようにする。
【0027】
本出願人が確認したことには、浮流体の見掛け密度の最小値に対応する状態に近い流動化状態を求めることで、多い流量で粉末を搬送できるだけではなく、特に、エア式搬送管内でピストンタイプの流れ、つまり、摩擦効果を除けば、入断面にあるすべての粒子が同一の軸方向の速度にかけられる流れを創出し、それにより、浮流体の各断面が、供出区域と供給対象区域との間で、粒子のサイズおよび密度の同じ分布を維持するようにすることもできるのである。これは分布のヒストグラムの保持ということであり、空間的分布ではないのであり、なぜなら、重力が行程のすべてにおいて介入することができるため、最も重い粒子、したがって最も密度が高く、かつ/または、最も大きな粒子は下部にまとまる傾向があり、その結果、断面が当初の均質性を保持しなくなることもあるのである。それでもやはり、分離偏析のないまま、すなわち、ある特定のサイズまたは密度の粒子がエア式搬送管の任意の場所に堆積することはないままである。この結果は、かなり長い距離にわたる、多様な粉末または異なる特性を有する粉末の混合物の搬送を必要とする多くの用途にとって重要であり、この結果は以下の各実施例において説明することにする。
【0028】
基準となる流動化速度は、既に見たように、粉末状材料の物理的特性に関連した気泡発生最小臨界速度に対応する。この流動化速度は、たとえば流動化用カラムを用いて経験的に決定することができる。また、この流動化速度は、先行文献による公式に基づき、いくつかの定数を再調整した後に、半経験的に決定することもできる。
【0029】
たとえば、Abrahamsen他(Powder Technology, Vol.26, Issue 1, May−June 1980)によって提案された経験式を用いることができ、この経験式は、一方では粒子の特性寸法(メートルで表示されるdp)に応じて、他方ではガスの密度ρg(m3/kg表示)ならびに動的粘性μg(Pa・s表示)に応じて気泡発生最小臨界速度を与えるものである。
【0030】
【数1】

【0031】
本出願人は、金属加工用アルミナについて、中位径D90を粒子の特性サイズdpとして捉えればこの式によって、気泡発生最小臨界速度Umb(m/sで表示される)を良好な精度で算定できることを確認した。
【0032】
他方で、本出願人は、各平衡用カラムが、好ましくは、上部導管内で求められる流動化速度によって、カラム内で、乱流流動化状態に達するように構成されなければならないことを確認し、そのような乱流流動化状態において層は急速に行き来する気相および固相の小さな要素によって構成され、層の表面は区別し辛く、このとき層の下部は上部よりも顕著に密度が高い。このように構成されると、平衡用カラムは、それら平衡用カラムが接続されるエア式搬送管の各セクターに充填する本物の供給源のように振る舞う。換言すれば、浮流体の液体的な振る舞いとの類似性を追求すると、それら平衡用カラムは、前記エア式搬送管の全体に沿って設置された給水塔のように振る舞う。他方、カラム出口でのガスの速度は、大量の微細粒子が装置外に運び出されることを避けるように制限されなければならない。また、前記速度を落とし、運び出された粒子の一部を回収するように、前記カラムの上により大きな直径をした膨張ポットを置くことができる。
【0033】
図1はGeldart(Powder Technology,Vol.7,issue 5,May 1973,285−292)によって行われた分類であり、流動化に対する適性によって粉末を分類するために、非常に広く用いられている分類を示している。その分類では、粒子の密度およびサイズに応じて粉末を分類する。つまり、クラスAは「噴射性」と呼ばれる、容易に流動化できる粉末に相当し、クラスBは砂質粉末と呼ばれる、どちらかと言えば容易に流動化できる粉末に相当し、クラスCは流動化するのが難しい凝集性の微細粉末に相当し、そしてクラスDは不規則な流動化となる粒状粉末に相当する。
【0034】
線影を付した領域はクラスA、クラスCの小さな部分およびクラスBの小さな部分に対応し、これらは二つともクラスAの隣にあり、つまり、本発明の方法による搬送に特に適合化された粉末状材料はカテゴリAのすべての噴射性粉末、クラスCの凝集性と呼ばれる粉末のうち最も大きく、許容される最小のサイズは、材料の密度が高いためにそれだけ小さいもの、そして、クラスBの砂質と呼ばれる粉末のうち最も細かく、許容される最大サイズは、材料の密度が高いためにそれだけ小さいものである。
【0035】
特許要件については、この線影を付した領域は実験観察の結果であり、多角形LMNOPQRSTUで表され、この多角形は、実際には不等式の集合で定義される多角形LMNOUに限定されるのだが、これらの境界はその集合が数学的定式化を想定させるほど厳密な境界でないこと、そしてこの集合が、そのように画定された区域の近傍付近も指すものとして考える必要があることが理解されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】Geldartによって行われた分類で、流動化に対する適性によって粉末を分類するために、非常に広く用いられている分類を示している。
【図2】金属加工用アルミナ、つまり、溶融塩電解によるアルミニウムの製造を目的としたアルミナについて得られた結果を示している。
【図3】金属加工用アルミナ、つまり、溶融塩電解によるアルミニウムの製造を目的としたアルミナについて得られた結果を示している。
【図4】装置の垂直断面の概略図であり、ここでは、水平のエア式搬送管を具備し、一次搬送手段または二次搬送手段の一部分を代表することができ、貯蔵装置を排出手段に接続している。
【図5】本発明による方法の枠組みで用いられ、複数のセクターに分割されたエア式搬送管を示す概略図である。
【図6】分離偏析のない搬送を可能にする最適な条件を決定するための、本発明による方法の枠組みで用いられた試作のエア式搬送管を示す概略図である。
【図7】図6の試作で行われたトレーサの定量結果を示している。
【実施例1】
【0037】
(図4および図5参照)
図4に示した装置は、搬送管2によって流動化を行うエア式搬送管3、すなわち、空気スライドタイプの搬送手段に接続された上方にある搬送すべき材料の貯蔵タンク1と、平衡用カラム4.1および4.2と、エア式搬送管の排出手段9とで構成されており、その排出手段は、制御配分システム10によって、供給対象区域11へ粉末状材料を移動させる。
【0038】
上方の貯蔵用タンク1は、粉末状材料12をばらで含んでおり、この粉末状材料は大気圧にかけられている。このタンクは搬送管2を介して水平の搬送手段のエア式搬送管3の端部の一方に搭載されている。搬送手段のエア式搬送管3は細長く、多孔質の隔壁5で構成され、この隔壁は、下部導管6と、粉末状材料が通流する上部導管7とを隔てている。
【0039】
流動化用ガスGはガス導管8から下部導管6に導入され、その下部導管において、その流動化用ガスは流動化圧力pfにかけられている。このガスは、スクリーンとも呼ばれる多孔質の隔壁5を通過し、そして、搬送手段のエア式搬送管の上部導管7に充填されている粉末状材料を通過する。ガスは、平衡用カラム4.1および4.2の開放された上端部から排出される。充填レベル15.1および15.2は、圧力高h1およびh2に対応し、これら圧力高が上部導管におけるガスの圧力を均衡化する。
【0040】
上部導管7の天井は圧力下にある気泡B1およびB2によって占められており、それら気泡の容積は空間内において、
・上部導管7の上部壁体14、
・鉄板の堰体50、
・平衡用カラム4.1および4.2の貫入部40.1および40.2、そして、
・粉末状材料12の上部レベル13、
によって完全に画定されている。
【0041】
図4は、流動化用ガスGの通流がどのように起こるのか概略的に示しており、その流動化用ガスは、網となる多孔質の隔壁5を通過し、そして、堰体50の両側の平衡用カラム4.1および4.2に向かう。
【0042】
材料は、ここでは速度に関連するベクトルusによって表されている、水平方向の全体の移動によって動かされる。ガスは多孔質の隔壁5を通過し、全体的に上昇する動きで浮流体12’を通るように流れる。本発明の好ましい実施態様では、エア式搬送管は、浮流体が占める空間のところでのガスの速度Ufがほぼ垂直となるようにサイズを決定される。
【0043】
エア式搬送管は排出手段9を備え、この排出手段は粉末状材料の水平の動きを垂直の動きに、または、エア式搬送管が一次搬送手段であるときには二次搬送手段に供給することを可能にする大きく傾斜した動きに、エア式搬送管が二次搬送手段であるときには電解槽の上部構造に統合されたホッパーに供給することを可能にする大きく傾斜した動きに変換する。ホッパーの下部には、所望の量のアルミナを槽に導入できるようにする、制御された配分システム10が備えられている。
【0044】
図5はn個のセクターに分割されたエア式搬送管を表しており、各セクターは一つの気泡Bi(i=1からn)と一つの平衡用カラムDi(i=1からn)に関連付けられている。
【0045】
エア式搬送管の終わりで、気泡Bnは排出手段9に接続されている。堰体50.nは実際、最後の平衡用カラム4.nの下流に位置する、搬送手段であるエア式搬送管の端部の隔壁90と一体となっている。エア式搬送管3の端部90の近傍に位置する圧力センサ80によって、気泡Bn内の圧力を測定することができ、その圧力は、セクターのそれぞれにおいて、充填物の消失(かなり小さく、主として隔壁に沿った粒子の摩擦に起因する)が積み重なるという理由のために、最も小さな気泡の圧力となっている。この値を知ることによって、流動化圧力pfを調整することができる。
【0046】
隣り合う二つのセクターの下部導管部分は互いにつながっているが、典型的には絞りによって一定の充填量が失われるようにすることによって、上部導管内のガスの圧力が各セクターにおいて、流動化速度が求められる領域内、つまり気泡発生最小臨界速度の0.8〜1.5倍(好ましくは0.9〜1.3倍)の間にとどまる圧力に対応するようになっている。
【実施例2】
【0047】
(図6および図7参照、ピストン流れの証明)
ピストン流れを得る最適な条件を定義するために、図6に概略的に示した試作の搬送手段であるエア式搬送管3’を用いた。
【0048】
エア式搬送管3’は、長さおよそ5メートル、300mm(高さ)対160mm(幅)の断面をした上部導管7’を備えている。上部導管7’は所与の透過性を持つスクリーン5’によって下部導管6’と隔てられている。
【0049】
ロータメータである流量計によって下部導管に供給されている空気Gの全流量を知ることができる。圧力pfは測定され、記録される。平衡用カラム4’は5mの高さでは326mmの内径を有し、エア式搬送管に50mm貫入している。上部導管7’への平衡用カラム4’のこの貫入により、上部導管7’の天井を二つの気泡B’1およびB’2に分割する堰体が形成される。アルミナの供給カラム1’はおよそ6メートルの高さを有している。
【0050】
搬送すべき材料はALUMINIUM PECHINEYの金属加工用アルミナAR75である。選択したトレーサは、染色後のこの同一の粉末AR75に由来する。このトレーサはエア式搬送管内にあるAR75と完全に混合可能であり、試験したアルミナと完全に同一のレオロジー特性を有している。定量方法は白さテストを行うことからなる。この方法によって、非常に微量のマーカーを的確、容易かつ単純に定量し、この量を最初にエア式搬送管内に加えられた量と比較することが可能となる。
【0051】
マーカーの既知の量を圧力下で(Iで表示)上部導管7’の上部、固体の供給カラム1’のすぐ後に注入する。詳細なサンプリング(5秒ごと)を、エア式搬送管の水平部分の出口に位置する穿孔部の真ん中で採取することで行った(Oで表示)。染色したアルミナを用いて検定曲線を作成した。これらの曲線により、AR75の中にある染色されたアルミナのパーセンテージが素早くかつ簡単に判定される。この情報によって、アルミナの滞留時間およびエア式搬送管における通流モードを判断することができる。
【0052】
固体およびガスの複数の流量についてトレース実験を行った。図7は観察された結果の典型である。この図7は、トレーサの濃度の経時的な推移を示しており、初期の濃度に対するトレーサの濃度のパーセンテージで表示されている。選択された曲線は42kg/s/m2の固体流量と10mm/sの流動化速度に対応する。第一期(I)では、トレーサ濃度のいかなる変化も見られない。曲線の第二部分(II)では、トレーサの通過に関連するピークが観察される。比較的急激な上昇はピストン流れの特性である。観察される遅れは、注入地点から採取地点までのトレーサの物理的移動に関連している。トレーサの濃度は、この試作で用いられた固体のリサイクルシステムのために初期の値には戻っていない。トレーサの注入区域での局在化と採取区域での局在化は、浮流体の断面内での混合が起こったこと、つまり、エア式搬送管の軸に垂直な面において、すなわち粒子全体の移動方向に向かう粒子の移動が起こったことを示している。
【実施例3】
【0053】
(さまざまな粉末状材料に対するさまざまな気泡発生最小臨界速度。)
気泡発生最小臨界速度をさまざまな粉末状材料について判定した。
【0054】
−金属加工用アルミナ。
試験したアルミナはALUMINIUM PECHINEYによってAR75の名称で市販されているアルミナである。流動化用カラム内で測定した気泡発生最小臨界速度は7mm/sに近く、Abrahmsenの公式によって計算した気泡発生最小臨界速度は10mm/sに近い。
【0055】
−砂。
試験した砂は以下の特性を有する。
・ρs=2409kg/m3
・D10=170μm、
・D50=302μm、
・D90=503μm。
この砂はGeldartの分類のクラスBに属する。D50を粒子の特性的なサイズとすると、この材料は図1の多角形LMNOPQRSTUの境界MNに近い。流動化用カラム内で測定した気泡発生最小臨界速度は流動化の最小速度に非常に近い。その速度は、65mm/sに近い。Abrahmsenの公式によって計算された最小臨界速度は75mm/sに近い。
【0056】
−塩。
試験した塩は、塩化ナトリウムである。その塩は、以下の特性を有している。
・ρs=2082kg/m3
・D10=116μm、
・D50=425μm、
・D90=761μm。
この塩もまた、Geldartの分類のクラスBに属している。D50を粒子の特性的なサイズとすると、この材料は図1の多角形LMNOPQRSTUの内部にあり、線分MNに近い。流動化用カラム内で測定した気泡発生最小臨界速度は流動化の最小速度に非常に近い。その速度はおよそ100mm/sである。Abrahmsenの公式によって計算された最小臨界速度は125mm/sに近い。
ナトリウムおよび塩素を製造する枠組みにおいて電解槽に供給するために塩化ナトリウムも搬送される限り、潜在的な流動化を用い、特許請求に関係する流動化速度の状態で作動するこのような搬送手段であるエア式搬送管は特に利点があることが明らかである。
【0057】
−三種類のポルトランド・セメント。
これらは、典型的にはシリカ、アルミナおよび炭酸カルシウムを含有するさまざまなミネラルの混合物であり、機械的手法で粉状にされると、水の作用で凝固するものである。三種類を試験した。これらは以下の特性を有している。
1)粗セメント:ρs=2780kg/m3、D10=2.0μm;D50=15.3μm;D90=94.7μm。
この材料はクラスCに属している。
2)細かいセメント:ρs=3090kg/m3、D10=3.3μm;D50=18.2μm;D90=47.1μm。
この材料はクラスAとクラスCの間の境界区域に属している。
3)極めて細かなセメント:ρs=3130kg/m3、D10=2.2μm;D50=11.6μm;D90=28.5μm。
この材料はクラスCに属している。
【0058】
流動化用カラムで行った試験によって、流動化の最小速度を判定することが可能となり、この速度は、アルミナについて得られた速度に類似し、それぞれ3.3mm/s、3mm/sおよび4.3mm/sに近い。
【0059】
上記の実施例で記述しかつ図6に示したタイプの試作のエア式搬送管で行った試験は、三タイプの粉末が、およそ28〜30mm/sの流動化用ガスの速度から水平の搬送管を流れ始めることを示している。このタイプの材料について、dp=D90を用いたAbrahmsenの公式を適用することによっては、流動化速度として求めるべき値の範囲を満足できるように算出することはできないことが確認された。
【符号の説明】
【0060】
1 貯蔵用タンク
2 搬送管
3 エア式搬送管
4.1、4.2 平衡用カラム
5 隔壁
6 下部導管
7 上部導管
8 ガス導管
9 排出手段
10 制御配分システム
11 供給対象区域
12 粉末状材料
14 上部壁体
50 堰体
80 圧力センサ
G 流動化用ガス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】米国特許第3268264号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2534891号明細書
【特許文献3】欧州特許第0179055号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1086035号明細書
【非特許文献】
【0062】
【非特許文献1】Abrahamsen他(Powder Technology, Vol.26, Issue 1, May−June 1980)
【非特許文献2】Geldart(Powder Technology,Vol.7,issue 5,May 1973,285−292)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状材料を潜在的な流動化によって搬送することを可能にする方法であり、供出区域、典型的には前記粉末状材料の貯蔵区域と供給対象区域との間に、「エア式搬送管」(3)である、ほぼ水平の搬送手段を少なくとも一つ備えた閉じた装置が設置され、該搬送手段がガスの通流を目的とした下部導管(6)と粉末状材料の通流を目的とした上部導管(7)とを備え、前記下部導管および前記上部導管が前記ガスの通過できる多孔質の隔壁(5)によって隔てられ、前記下部導管が少なくとも一つのガスの供給管(8)を備えており、
また該方法において、上部導管(7)には前記粉末状材料が充填され、下部導管(6)には前記上部導管における前記粉末状材料の潜在的な流動化を可能にする圧力でガスが供給され、前記上部導管が少なくとも一つの平衡用カラム(4.1、4.2)を備えており、該平衡用カラムは上端部が開放されており、粉末状材料が充填され、充填の高さによって上部導管にかかる圧力を均衡させるものであり、
ボイドの割合が最大となるガスの流動化速度に等しい、「気泡発生最小臨界速度」である、基準となる流動化速度が事前に決定されることと、前記上部導管内での前記ガスの流動化速度が、前記気泡発生最小臨界速度の0.8〜1.5倍の間、好ましくは前記気泡発生最小臨界速度の0.9〜1.3倍の間に含まれるような値に調整されることを特徴とする、粉末状材料の搬送方法。
【請求項2】
前記粉末状材料が、一様または多様で、噴射質または砂質タイプの容易に流動化できる粉末状材料であり、粒子がほぼ1に近い形状係数、典型的には0.5〜2の間に含まれる形状係数をした全体的に凸状の形状を有し、典型的には15〜500ミクロンの間に含まれるD50を有する粉末状材料を搬送することを可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の粉末状材料の搬送方法。
【請求項3】
前記粉末状材料が、典型的には中位径D50によって表される粒子の特性サイズdpと、平均密度ρsが、dpがマイクロメートルで表されるときにX=log10(dp)、ρsおよびρgがkg/dm3で表され、ρgが流動化用ガスの密度であるときにY=log10(ρs−ρg)である以下の不等式、
a)Y≧0、
b)Y+3.969X−4.668≧0、
c)Y+0.097X−0.796≦0、
d)Y+0.631X−1.864≦0、
e)Y+1.357X−3.662≦0、
によって定義される領域に属する粉末状材料を搬送するために適用されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の粉末状材料の搬送方法。
【請求項4】
前記流動化用カラムにおいて、前記粉末状材料と前記流動化用ガスの混合物から生じる浮流体の膨張を観察し、前記浮流体が占める最大容積に対応する流動化速度を記録することによって、前記気泡発生最小臨界速度が事前に決定される、請求項1〜3のいずれか一つに記載の粉末状材料の搬送方法。
【請求項5】
前記流動化速度が、ガスの速度の上昇方向である垂直成分を上部導管の複数の場所で測定し、測定された値の平均を採用することで決定される、請求項1〜4のいずれか一つに記載の粉末状材料の搬送方法。
【請求項6】
前記互いに接続された複数のセクターに分割されたエア式搬送管が用いられ、該セクターのそれぞれが平衡用カラムを備え、該セクターのそれぞれにおいて、上部導管の天井が圧力下にあるガスの気泡によって占められ、セクターの長さ、該セクターに接続される平衡用カラムの高さと断面が、ガスの速度が浮流体のところでは主として垂直となるように定義され、水平成分が、下部導管内と圧力下にある気泡の中でのみゼロから大きくはずれている、請求項1〜5のいずれか一つに記載の粉末状材料の搬送方法。
【請求項7】
前記流動化の前記平均速度が、下部導管に注入されたガスの流量を、下部導管と上部導管を隔てている多孔質の隔壁の面積で割ることで決定される、請求項6に記載の粉末状材料の搬送方法。
【請求項8】
前記上部導管における流動化速度が請求項1に記載の求められる領域に属すとき、平衡用カラム内で乱流流動化状態に達するように各セクターに接続される各平衡用カラムが構成されている、請求項6または請求項7に記載の粉末状材料の搬送方法。
【請求項9】
前記少なくとも一つの平衡用カラムの上に膨張ポットが置かれる、請求項8に記載の粉末状材料の搬送方法。
【請求項10】
前記粉末状材料が金属加工用アルミナであり、前記気泡発生最小臨界速度が、密度ρgがm3/kgで表され、ガスの動的粘性μgがPa・sで表され、Umbがm/sで表され、メートルで表される粒子の特性サイズdpが中位径D90に対応しているとき、
【数1】

という経験式を用いることで事前に決定される、請求項1に記載の粉末状材料の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−533632(P2010−533632A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516533(P2010−516533)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000903
【国際公開番号】WO2009/010667
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(591094930)アルカン・インターナショナル・リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】ALCAN INTERNATIONAL LIMITED
【Fターム(参考)】