説明

粉末状Ni,Co混合水酸化物およびその使用

【課題】本発明は、所定のBET表面積およびタップ密度を有する粉末状Ni,Co混合水酸化物を提供する。
【解決手段】本発明の粉末状Ni,Co混合水酸化物は、一般式NixCo1-x(OH)2[ここで0<x<1]の粉末状Ni,Co混合水酸化物であって、ASTM D 3663に従い測定された20m2/g未満のBET表面積及びASTM B 527に従い測定された2.4g/cm3超のタップ密度を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液から固体を沈殿させることにより化合物を製造するための装置及び方法に関するものであり、その際に、沈殿の際に形成される固体の粒子の物理的及び化学的な性質が極めてフレキシブルに及び互いに独立して調節されることができ、ひいてはテーラーメードの生成物が極めて高い空時収率で製造される。
【背景技術】
【0002】
工業的に重要な多くの固体化合物は、溶液からの沈殿により製造され、その際に溶剤として水、有機化合物、及び/又はそれらの混合物が考慮に値する。これは、例えば、急速に冷却させるか、沈殿させるべき化合物の溶解度を突然減少させることによるか、化合物がより溶けにくい別の溶剤を混合することによるか、又は溶剤に難溶の化合物が総じてまず最初に生じる化学反応により、達成されることができる。沈殿の際に均質な核形成により新たに生じる固相は、多くの小さな一次結晶子からなり、これらはアグロメレーションにより二次粒子を形成するか、又は既に存在している二次粒子に結合される。
【0003】
一次粒子及び二次粒子の性質には、所望の使用特性を達成するために、通例、厳密に定義された要件が課される。一次結晶子及びこれらから形成されるアグロメレートの性質は、もちろん、プロセスパラメーターに依存する。関連のあるプロセスパラメーターの数は、事情によっては相対的に大きくてよい。化学的−物理的なプロセスパラメーターには、例えば、温度、出発物質溶液の濃度、母液中の過剰の沈殿試薬の濃度、触媒の濃度、pH値、イオン強度等が含まれる。最も重要な、よりプロセス工学的なプラントパラメーターは、滞留時間、固体濃度、機械的エネルギー導入、反応器ジオメトリー、多様なタイプの撹拌機又はポンプを用いる混合の種類である。根本的なプロセス工学的な調節には、もちろん、バッチ式操作又は連続式操作の選択も含まれる。連続的な沈殿プロセスは、均一な生成物製造を可能にする。プロセスパラメーターについてはもちろん、ある範囲が存在し、これらの範囲内でプロセスパラメーターが調節されることができる。例えば、出発物質は、出発物質溶液への最大溶解度を有し、この溶解度を超えることはできない。このことから、生成物懸濁液中の最大限可能な固体濃度がもたらされる。しかしこれは、例えば、場合により沈殿反応の際に生じる中性塩の、母液への溶解限度によっても制限されうる。他方では、自然に出発物質濃度からもたらされるよりも低い中性塩濃度で操作することが必要でありうる。
【0004】
しばしば、一次粒子の性質に影響を及ぼすプロセスパラメーターの調節が、最適でないか又は二次粒子の望ましい性質にとって逆効果ですらあるという問題が生じる。技術は、一次粒子及び二次粒子の性質に受け入れられる妥協をもたらすプロセスパラメーターの調節を見出すことにある。
【0005】
故に、生成物特性の定義された調節を困難にする多数の副次的条件が存在する。さらにまた、かなりの生成物特性、例えば比表面積、多孔度、タップ密度、かさ密度、粒度分布、流動性、結晶子の大きさ等を、制限が存在せずにしばしば可能であるように思われるにも関わらず、達成されることができない。例えば、幾つかの金属水酸化物の場合に、比表面積が当該反応条件で、固体含量が増加するにつれて厳密に単調に低下することが観察されるが、しかし望ましい比表面積のために外挿された固体含量に調節されることができない、それというのも、この固体含量は自然に生じる固体含量を上回るからである。
【0006】
現代の再充電可能な高性能電池については、一例としてのみ挙げるが、通例、沈殿プロセスを通じて製造される純粋な又は混合された遷移金属水酸化物が、重要な成分又は前駆体を形成する。
【0007】
故に、例えばコバルト及び亜鉛でドープされた水酸化ニッケルは、ニッケル−金属水素化物もしくはニッケル−カドミウム蓄電池中の正極の活性成分である(非特許文献1)。公知のニッケル−金属水素化物電池には、例えば、今日では、球状粒子の形状の正極活物質の使用を必要とする発泡技術に基づく電極が通例使用される。
【0008】
同様に球状粒子は、ますます重要になっている再充電可能なリチウムイオン/ポリマー電池で使用される。しばらく前から、主に経済的な理由から、これまでリチウムイオン/ポリマー蓄電池中に含まれている高価なコバルト(LiCoO2の形の)を部分的に又はそれどころか完全に置換することが世界的に試みられてきた。このためには、とりわけ金属Ni、Mn及びAlの化合物、例えばLi(Ni,Co,Mn)O2又はLi(Ni,Co,Al)O2が集中的に研究されている。第一工程は、ここでは、共沈により合成され、場合により引き続きさらに被覆もされる相応する球状の水酸化物前駆体の製造にあり、ついで熱処理を通じて、リチウム成分の添加下に、それぞれの酸化物最終生成物へ変換される。
【0009】
電池タイプ、蓄電池の製造者及び用途に応じて、今日、多種多様な材料組成が使用され、かつ球状の水酸化物自体の製造者が、極めて多彩で多種多様な仕様と対比されることを知っており、これらの仕様はさらにまたそれ自体で化学的性質及び特に物理的性質についてしばしば極めて狭い許容限度を有する。
【0010】
この問題に、少しでも幾らか経済的に生産することができるように、かなりの数の異なる生産プラントを用いるのではなくて、むしろ1つの、極めてフレキシブルな、それぞれの要求に調節可能であるが、しかし極めて安定にかつ定義された方法で操作するプラント及び技術を用いるだけで対処できることは明らかである。通例、前記仕様において全ての本質的な化学的性質及びもちろん特に物理的性質、例えば粒度分布、タップ密度、比表面積及び微結晶質コンポジット(結晶子の大きさ)は厳密に予め定義されている。これらの全ての物質特性は、全ての系列のプロセスパラメーター(例えば出発物質濃度、中性塩濃度及び固体濃度、滞留時間、温度、エネルギー導入等)に依存し、かつこれらはもちろん、無条件に同じ意味で予め定義された生成物特性に作用するわけではない。故に、特別な挑戦は、及びこれは必要とされる経済性に関して、できるだけ、全般的に調節されることができる唯一のプラント系において、例えば水酸化物前駆体の、特定の性質の組合せを実現できることである。
【0011】
確かに、例えば物理的な理由から、同時に球状材料の多孔度及びタップ密度を最大限にすることは不可能である、それというのも、これら双方の性質は相反しているからである。しかしながら、ある限度内で変位しうる個々の生成物特性間の多数の依存が存在する。技術は、目下、プラントパラメーターの多様な組合せを見出すこと、及び電池性能にとって重要な、水酸化物電池前駆体の物理的な生成物特性の少なくとも部分的に独立した調節を可能にする、できるだけ1つのプラント技術を用いて実地上実現することにある。
【0012】
特許文献1には、球状水酸化ニッケルの連続的製造が記載されている。その際に、溢流口を備えた加熱された撹拌釜に、連続的にニッケル塩溶液、カセイアルカリ液及びアンモニア水溶液が添加される。10〜30時間後に、反応器系中で定常状態に達し、その後、一定品質を有する生成物が連続的に排出されることができる。反応器中の平均滞留時間は0.5〜5時間にわたる。この方法の場合に、懸濁液中の固体濃度及び母液中の中性塩濃度は、沈殿反応の化学量論を介して必然的に結び付いている。さらにまた、反応の際に生じる中性塩の温度依存性の溶解限度は、懸濁液中の最大限達成可能な固体濃度を決定する。中性塩濃度から独立しているか又は懸濁液中の極めて、例えば何倍も、高い固体濃度の達成は、特許文献1に記載の方法の場合にもちろん不可能である。
【0013】
特許文献2には、噴流型反応器(Treibstrahlreaktor)中でのアルカリ液の存在でのアミン錯体の分解による金属水酸化物の連続的な沈殿が開示されている。この場合に、出発物質は、撹拌反応器とは異なり、ノズルから生じるジェットにより、反応媒体と混合される。特許文献1に記載された懸濁液中の固体濃度の増加に関する制限は、特許文献2の明細書に記載されている方法に同じように当てはまる。
【0014】
特許文献3には、リチウム電池用の活物質、並びにそれらの製造が記載されている。前駆体化合物の沈殿のためには、澄明な母液の外部循環を有し、バッチ式に運転される装置が推奨され、前記母液は、反応器の上部領域からポンプ排出され、かつ沈降管へ側面で導通され、この管を経て前記母液は下から再び反応器へ返送される。この上方流によって、小さすぎる粒子が、沈降管を経て最終生成物用の捕集容器中へ達しうることが防止される。この捕集容器中へ、特定の最小サイズに達した粒子のみが沈降することができる。特許文献3に記載された沈殿による前駆体の製造方法は、プロセスパラメーターの互いに独立した調節を可能にしない。懸濁液からの微粒分級物の定義された排出による粒度分布の展開への直接的な干渉は、この方法を用いて不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平4-68249号公報
【特許文献2】欧州特許(EP-B1)第0658514号公報
【特許文献3】米国特許出願公開(US-A1)第2003/0054252号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Z. Kristallogr. 220 (2005) 306-315
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
故に、本発明の課題は、個々のプロセスパラメーター、例えば(出発物質の濃度、懸濁液中の固体含量、母液中の塩濃度)の範囲が、互いに独立して調節されることができる装置及び方法を提供し、ひいては存在する自由度を拡張しかつ新しい自由度を作り出すことにより、溶液からの沈殿による固体化合物の製造のために前記方法の最大のフレキシビリティーを達成することであった。本発明の課題は、沈殿プロセスの間の粒度分布の展開への制御された干渉を可能にする装置及び方法を提供することでもあった。本発明のさらなる課題は、技術水準により最大限達成可能な固体濃度を何倍にも高めることを可能にする装置及び方法を提供することにもあった。
【0018】
前記課題は、一体型傾斜板沈降装置(integriertem Schraegklaerer)を備えた反応器、以下に"一体型反応器−清澄器−系(Integriertes Reaktor-Klaerer-System)(IRKS)"と呼ぶ、である装置の構成、図1〜図3、及び一プロセスにおける別の装置(例えばフィルター、容器、ポンプ等)と組み合わせた中心ユニットとしてのIRKSの使用によって解決され、その際に、化合物の沈殿後に生成物及び母液からなる生成物懸濁液の形成下に、傾斜板沈降装置を経て母液及び粒子が除去されるので、粒度分布への制御された干渉及び何倍もの固体濃度の増加が達成される。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の対象は、それゆえ、一体型反応器−清澄器−系(IRKS)である。反応器は、平らな又は曲がった又は円錐形に構成された底部を有する、円筒形の装置、図4及び図5(6)、又は平行六面体形の装置、図1〜図3(1)であってよい。反応器の底部には、開口部が設けられていてよく、これを経て場合によりポンプを用いて、懸濁液が除去されることができ、かつ反応器へポンプ返送されることができる、図4及び図5(14)。均質な沈殿生成物を得るために、出発物質が、反応器中への進入の際に良好に混合されることが重要である。この反応器タイプは、撹拌反応器としても操作されることができる、図1〜図3。この場合に、通常、ディスク撹拌機、プロペラ撹拌機、傾斜羽根撹拌機、INTERMIG-撹拌機又は特殊な撹拌問題に適合された他の撹拌機が使用される。適した撹拌機の選択、配置及び寸法決定は、例えば、Zlokarnik, Ruehrtechnik, Theorie und Praxis, Springerverlag 1999に記載されている。撹拌反応器の設計は、粒度及び粒度分布、並びに反応器中の粒子の沈降挙動に決定的に影響を及ぼす。本発明によるIRKS中の沈殿プロセスは、生成物に依存して、室温で並びにより低い又はより高い温度で実施されることができる。本発明によるIRKS中での沈殿プロセス中の温度は、故に−20℃〜100℃であってよい。
【0020】
好ましくは、前記沈殿プロセスは、20〜90℃の温度で及び特に好ましくは30〜70℃の温度で実施される。例えば電池前駆体、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、Ni,Co混合酸化物もしくはNi,Co混合水酸化物のようなものの製造の際の特に良好な結果は、30〜70℃の範囲内の温度で達成される。プロセス温度は、必要な場合には、熱交換器を介して加熱もしくは冷却により調節され、かつ制御される、図10及び図11(4)。外部循環を用いて操作される場合には、熱交換器は、この中にも取り付けられることができる、図12(3)。
【0021】
傾斜板沈降装置は、反応器の任意の位置に存在していてよく、例えば反応器の上部に載置されていてよい、図3(4)及び図4(7)。前記構造の高さを減少させるために、傾斜板沈降装置はまた有利には反応器の下方に取り付けられていてよい、図1及び図2(4)及び図5(7)。IRKSは、溶液からの化合物の沈殿のために使用される。傾斜板沈降装置中で、母液は、固体の定義された微粒分級物と共に生成物懸濁液から分離される。数g/lの固体を含有するこの濁った液体は、大部分が反応器へ返送され、かつ生成物懸濁液と再び合一される。この濁った液体の一部を取り出すことにより、生成物懸濁液から微細含分が取り除かれ、粒度分布はより高いD50値へ変位される。傾斜板沈降装置のさらなる目的は、予め清浄化され、僅かにのみ固体を含有する液体を提供することにあり、この液体から単純な方法で澄明な母液が、ろ過によって分離されることができる。
【0022】
傾斜板沈降装置の分離性能を高めるために、1つ又はそれ以上のラメラ(Lamellen)、図1(3)、図3(3)、図4(8)及び図5(8)、が取り付けられることができ、それらの上で固体粒子は、これらが沈降によってラメラの表面に達した後に、下の方へ均質に混合された懸濁液中へ滑り落ちる。ラメラは、傾斜板沈降装置中でその床面に対して平行平面に配置されている。ラメラは、プラスチック、ガラス、木材、金属又はセラミックからなっていてよい長方形のプレートである。ラメラの厚さは、材料及び生成物に依存して10cmまでであってよい。好ましくは、0.5〜5cm、特に好ましくは0.5〜1.5cmの厚さを有するラメラが使用される。ラメラは、傾斜板沈降装置中に固定して取り付けられる。これらは、除去可能であってもよい、図6(21)及び図7(26)。この場合に、これらは、傾斜板沈降装置の内側に側面で取り付けられたレール系、図7(25)、又は溝、図6(22)を介して、傾斜板沈降装置中へ入れられる。前記レール系は、高さが調節可能に設計されていてもよく、それにより傾斜板沈降装置にラメラ間隔の選択に関して大きなフレキシビリティーが付与される。傾斜板沈降装置は、丸い断面を有する円筒形に又は四角形の断面を有する平行六面体形に構成されていてよい、図6(20)及び図7(24)。粒子の滑り落ちが傾斜板沈降装置の閉塞なく機能するために、傾斜板沈降装置の角度は水平面に対して20〜85゜、好ましくは40〜70゜及び特に好ましくは50〜60゜である。傾斜板沈降装置は、フレキシブルな結合部を介して反応器に取り付けられていてもよい。この実施態様の場合に、角度はプロセス中に可変に調節されることができる。
【0023】
好ましい一実施態様において、傾斜板沈降装置は、反応器の内部の流入部に、傾斜板沈降装置の入口面の開口部に対して平行平面に配置されているプレート、図2(5)及び図5(9)を有する。このプレートは、傾斜板沈降装置が流入領域内で高度に濃縮された懸濁液により閉塞しうることを防止する。
【0024】
本発明によるIRKSの機能様式をよりよく理解するために、以下に、図8に基づいて詳細な説明が挙げられる:
固体粒子(30)は、傾斜板沈降装置 図8中で、それらの形状及びサイズに応じて、一定速度で下の方へ沈降する。例えばストークス摩擦を前提とするならば、有効重力(effektive Gewichtskraft)によって引き起こされる球状粒子の沈降速度は、粒子直径の2乗に比例する。この速度は、目下、傾斜板沈降装置中の層流の速度の上方成分によって重なり合っている。沈降速度が液体流の上方成分よりも小さいか又は同じ量である全ての固体粒子は、ラメラ(31)の表面又は傾斜板沈降装置の床面までは沈降することはできず、かつ最終的に傾斜板沈降装置の溢流と共に排出される。
【0025】
粒子の沈降速度が液体流の上方成分よりも大きい量である場合には、粒子の下方運動は一定の沈降速度で生じる。そのように粒子が溢流と共に傾斜板沈降装置から排出されるかどうかは、液体の一定流量で、傾斜板沈降装置に入る際のラメラに対して垂直の粒子の間隔に、並びに傾斜板沈降装置の長さ及び傾斜角度(Anstellwinkel)に依存する。臨界粒子半径r0が存在することが容易にわかるので、r>r0を有する全ての粒子が、傾斜板沈降装置によって完全に保持される。図8中の直線(32)は、限界半径r0を有する粒子の軌跡(Bahn)を示す。半径がより大きい全ての粒子の軌跡は、水平面に対してより小さい角度を有し、故にラメラ又は床板上に確実に衝突する。これは、これらの粒子が保持されることを意味する。傾斜板沈降装置中の比、特に液体の流量を適合させることにより、傾斜板沈降装置を溢流で去る微粒子の粒子直径の上限は、故に調節されることができる。
【0026】
傾斜板沈降装置の溢流が、循環容器を経て撹拌反応器へ返送される限りは、全系では何も変わらない。ポンプを用いて、固体の微細含分により濁った液体量の一部を循環容器から取り出す場合には、微粒の定義された分率が排出され、かつ粒度分布の展開へ直接干渉することができる。これは、沈殿プロセスの制御のための新しい変更可能性であり、それにより粒度並びに粒度分布は、他のプラントパラメーターから独立して影響を与えられることができる。
【0027】
循環容器中へ入る際の固体濃度が典型的には反応器中の固体濃度0.5〜5%である濁った流れの前記の取り出しにより、反応器中の懸濁液の固体濃度ももちろん同時に高められる、それというのも、微粒含分の意図的な取り出しと共に、全系から不釣り合いに多く母液が取り出されるからである。これは通例望ましいが、しかし、反応器中の固体濃度が低い水準に保持されるべき場合及び他の物質流の調節により固体濃度の増加を十分に打ち消されることができない場合に望ましくない。量及び仕様に応じて、この微細含分は引き続き、再び生成物懸濁液と混合されることができる。反応器−清澄器−系中での分離が決定的である。
【0028】
この場合に、混濁物の固体濃度を高めるために、フィルタエレメント、図10(16)を経て、母液を循環容器から取り出し、かつ反応器へ直接ポンプ返送することが考えられる。同じ量の微粒を排出する際に、母液がより少なく取り除かれる。サイズが粒度分布のD50値の30%を越えない粒子が微粒と呼ばれる。循環容器中で前記系から母液をフィルタエレメントを介して取り出すことも有利でありうる。これにより、反応器中の固体含量を、第一に化学量論的な固体濃度の数倍(Mehrfaches)に高めることができ、かつ第二に場合により沈殿反応の際に生じる中性塩の濃度と固体濃度との間の切り離しを達成することができる。反応器中の固体対塩の濃度比は、母液の取り出しの可能性により、例えば一定の塩濃度での固体濃度の増加によってだけでなく、一定の固体濃度で反応器に塩不含の溶剤が添加され、かつ同時に等量の母液が、フィルタエレメントを介して前記系から取り出されることによっても、増加されることができる。
【0029】
本発明によるIRKSのフレキシビリティーの増加と同時に付加的な自由度の達成は、双方のパラメーター塩濃度及び固体含量の例で一般的な反応AX+BY→AY固体+BX溶解についてより詳細に説明される。AX及びBYは、出発物質溶液中の出発物質を表し、かつBXは母液中の溶解された塩を表す。AYは、不溶性固体として生じる生成物を表す。
【0030】
図9には、前記の反応のために存在している自由度を拡張し、かつ新しい自由度を作り出すことが略示的に示されている。その中で以下の意味を有する:
(40) − 技術的な限界、
(44) − 化学的な限界、
(41,43) − 経済的な限界。
【0031】
図9には、(1−2)として太字で印刷された区間は、技術水準により、双方のプロセスパラメーター母液中の中性塩濃度及び懸濁液中の固体濃度の変更のために入手されることができる範囲を示す。上方で、この直線は塩BXの溶解度により限定されており、下方で、最小固体含量の経済的な限界が存在する。反応の化学量論に基づいて、すなわち、技術水準に相応して、これらの双方のパラメーターに関して一次元の空間に制限されている。本発明によるIRKS及び本発明による方法を用いて、この一次元の範囲は二次元の範囲(42)に拡張されるので、最大固体濃度が数倍高められ、かつ同時に最小塩濃度が著しく減少されることができ、かつ固体濃度及び中性塩濃度について目下拡張された範囲から全ての組合せが調節されることができる。プロセス実施においてこれにより取得されるフレキシビリティーは、直接に納得できる。図中の垂直上方への運動は母液の取り出しに相当し、かつ固体濃度の相応する増加の結果となる。図中の水平左方への運動は、相応する量の母液の取り出しと同時の付加的な溶剤の供給に相当する。
【0032】
本発明によるIRKSは、開いた系並びに閉じた系で、操作されることができる。閉じた系は、例えば、図4及び図5(6)に及び図12(1)に示されている噴流型反応器である。この反応器の場合に、傾斜板沈降装置は、上部領域内に、図4(7)、並びに下部範囲内に、図5(7)、配置されていてよい。出発物質は、ここで、1つ又はそれ以上のノズルを介して、反応器の反応帯域中へ導入され、そこでこれらは強力混合もしくは均質化を受ける、図12(2)及び図4及び図5(11)。
【0033】
本発明によるIRKSは、バッチ式に行われる沈殿に使用されることができる。しかしながら好ましくは、このIRKSは連続式操作における沈殿プロセスに使用される。
【0034】
本発明は、さらに、沈殿による化合物の製造方法に関するものであり、前記方法において、個々のプロセスパラメーター、例えば(出発物質の濃度、懸濁液中の固体含量、母液中の塩濃度)は、沈殿中に互いに独立して調節され、こうして沈殿プロセス中の粒度分布の展開への制御された干渉が行われ、かつ最終的に定義された物理的性質を有するオーダーメードの生成物が特に経済的に及び極めて高い空時収率で製造される。
【0035】
本発明の対象は故に、次の工程からなる沈殿による化合物の製造方法である:
・少なくとも第一及び第二の出発物質溶液を準備する工程、
・少なくとも第一及び第二の出発物質溶液を請求項1記載の反応器中で合一する工程、
・反応器中に均質混合される反応帯域を発生させる工程、
・反応帯域中で化合物を沈殿させ、不溶性生成物及び母液からなる生成物懸濁液を製造する工程、
・沈殿された生成物から母液を、傾斜板沈降装置を介して部分的に分離する工程、
・沈殿生成物の濃度が化学量論的な濃度よりも高い沈殿生成物懸濁液を製造する工程、
・生成物懸濁液を反応器から取り出す工程、
・沈殿生成物をろ過、洗浄及び乾燥する工程。
【0036】
本発明による方法における出発物質溶液は、反応器中へ、ポンプ系を用いて導通される。これが撹拌反応器を備えた本発明によるIRKSである場合には、出発物質は、撹拌機を使用しながら混合される。IRKSが噴流型反応器の形で設計されている場合には、出発物質の混合は、ノズル、図12(2)から出てくるジェットにより行われる。出発物質のさらにより良好な混合を達成するために、付加的に空気又は不活性ガスも、反応器中へ導通されていてよい。均一な生成物品質を達成するために、出発物質が反応器の反応帯域中で均質に混合されていることが必要である。出発物質を混合するかもしくは均質化する間に既に、生成物及び母液が発生する沈殿反応が始まる。生成物懸濁液は、反応器下部中で所望の濃度まで豊富化される。生成物懸濁液の意図的な豊富化を達成するために、本発明による方法において、母液は、傾斜板沈降装置、図10(5)を介して、部分的に除去される。好ましくは、傾斜板沈降装置の溢流の取り出しによる母液の部分的な分離は、ポンプを用いて行われる。溢流の固体含量は、生成物懸濁液50%まで、好ましくは30%まで、特に好ましくは15%まで及び殊に好ましくは5%までを含有していてよい。溢流中の最大粒度は、沈殿プロセス中の粒度分布の展開の際に重要な役割を果たす。溢流中の粒子は微粒と呼ばれる。溢流中のこの最大粒度は、粒度分布のD50値の50%まで、好ましくは40%まで、特に好ましくは30%までであってよい。
【0037】
本発明による方法に従って、沈殿生成物の化学量論的に可能な濃度の何倍でありうる沈殿生成物懸濁液の濃度が達成される。これは、可能な化学量論値よりも20倍まで高くなりうる。懸濁液中の特に高い生成物濃度を達成するためには、大量の母液を部分的に除去することが必要である。それどころか95%までの母液が部分的に分離されることができる。部分的に分離すべき母液の量は、選択されたプロセスパラメーター、例えば出発物質濃度、母液の塩濃度並びに懸濁液の固体濃度に依存する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】撹拌反応器としての本願発明の装置の略示図。
【図2】撹拌反応器としての本願発明の装置の略示図。
【図3】撹拌反応器としての本願発明の装置の略示図。
【図4】噴流型反応器としての本願発明の装置の略示図。
【図5】噴流型反応器としての本願発明の装置の略示図。
【図6】傾斜板沈降装置の略示図。
【図7】傾斜板沈降装置の略示図。
【図8】本発明による傾斜板沈降装置の略示図。
【図9】AX+BY→AY固体+BX溶解の反応のために存在している自由度を拡張し、かつ新しい自由度を作り出すことを示す略示図。
【図10】本発明による方法の略示図。
【図11】本発明による方法の略示図。
【図12】本発明による方法の略示図。
【図13】例1により製造された本発明によるNi,Co混合金属水酸化物の、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影された画像。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明による方法は、図10に略示的に示されており、かつよりよい理解のために以下に次の通り目下議論される:
回転数の制御された撹拌機(2)、熱交換器(3)、場合により循環ポンプ(4)及び入口開口部に対して平行平面に配置された高さが調節可能なプレート(25)を有する傾斜板沈降装置取付物(5)を備えた撹拌反応器(1)に、連続的に定量ポンプ(6)〜(8)を用いて、出発物質溶液、場合により触媒溶液並びに溶剤は、本発明による一体型反応器−清澄器−系(IRKS)の均質混合される反応帯域中へ搬送される。生じる生成物懸濁液は、ポンプ(10)を用いて液位の調節装置を介して取り出されるか又は自由な溢流(11)を経て流出する。大きな粒子が製造される場合に、沈降の危険を予防するために、循環ポンプ(4)を運転することは有利でありうる。
【0040】
傾斜板沈降装置(5)の高さに依存して、場合により自己吸引する設計の、ポンプ(12)は、極めて低い濃度の微粒を有するこの液体から、撹拌機(14)が備えられた容器(13)中へ搬送し、かつそこから自由な溢流(15)から反応器(1)中へ返送されることができる。液体の体積流量及び傾斜板沈降装置取付物の寸法決定に依存して、分離サイズが存在するので、サイズがこの分離サイズを下回る粒子のみが、循環容器(13)中へ搬送される。ポンプ(12)を用いて取り出された全ての濁った流れが、自由な溢流(15)を経て返送される限りは、反応器(1)についてもちろん全く何も変わらない。これは、母液及び/又は固体粒子が前記系から取り出される際にはじめて行われる。以下に、まず最初に、母液の取り出しが記載される:
ポンプ(17)は、フィルタエレメント(16)、例えば十字流ろ過においても使用されるフィルターホースを経て、容器(13)から澄明な母液を取り出し、かつこれを第二の循環容器(18)中へ搬送する。この容器から、ポンプ(21)は、連続的に又は特定の時間間隔で試料溶液を母液の − 好ましくは自動的な − 分析に搬送する。例えばプローブ(21)を用いるpH値の測定及び制御による、連続的な監視は、清澄な母液を含有する循環容器(18)中で直接行われることもできる。本発明によるIRKSは、すなわち、単純な方法で、全ての沈殿の間の母液の組成を制御することを可能にし、これはもちろん、多く固体を含有する懸濁液中では極めて困難である。目下、循環容器(18)から、ポンプ(22)を経て母液が系から取り除かれる場合には、反応器(1)中の固体濃度は出発物質濃度から独立して調節されることができる。このようにして、懸濁液の固体濃度と、多くの沈殿反応の場合に副生物として生じる母液中の塩の濃度との間の切り離しも行われる。
【0041】
自然の固体濃度は、何倍も上昇されることができ、かつそれを用いて達成可能な空時収率は、常用の方法によって実現されることができないか又は極めて困難にのみ実現されることができる。例えば反応器(1)のポンプ(4)の循環へ接続される十字流ろ過を介しての母液の直接的な取り出しは、利用可能ではない、それというのも、高い固体濃度により絶えず閉塞が生じるかもしれないからであり、このことは自明である。
【0042】
例えばBaSO4がBa(OH)2溶液及び硫酸から沈殿する場合には、副生物として水が生じ、かつ切り離しは、プロセスパラメーターである出発物質溶液中のBaSO4及びH2SO4濃度及び生成物懸濁液中のBaSO4濃度に減る。例えば硫酸ニッケル溶液及びカセイソーダ液から水酸化ニッケルが沈殿する際に、硫酸ナトリウムが副生物として生じる。懸濁液の固体含量及び塩濃度は、目下互いに独立して調節されることができる。固体含量の増加は、今まさに記載されていた。塩濃度も、出発物質濃度から独立して調節される場合には、ポンプ(9)を用いて水を前記系へ搬送することができ、かつポンプ(22)を介して相応する量の母液を除去することができるので、例えば所定の固体濃度が得られたままである。
【0043】
本発明による方法並びに本発明による一体型反応器清澄器系IRKSの本質的な特徴は、前記系からポンプ(23)を介しての濁った流れの取り出しにより前記反応系から定義された分級物の微粒を除去することでもであり、こうして生成物の粒度分布の展開へ直接干渉する。さらに既に上記で、循環容器(13)中の固体粒子については、傾斜板沈降装置取付物(5)の寸法決定及びポンプ(12)の循環量により決定されている上限の粒度が存在することが記載されている。撹拌機(14)は、これらの微細な粒子が、前記液体中へ均質に分布されているようにする。それゆえ、全系から、ひいては反応器(1)からも微粒分級物の定義された除去は可能である。通例、微粒分級物は、全質量の数パーセントのみであるが、しかしそれらの割合は、反応器中で製造された固体の粒度分布の展開に決定的に影響を及ぼす。沈殿反応の際の粒子の成長機構への直接干渉は、技術水準による常用の方法を用いては不可能であり、かつここではじめて実現される。これからもたされる可能性は多様である。粒度分布のD50値の制御された変位だけでなく、分布の幅の調節も可能である。本プロセスは、それゆえ、これらの新しい自由度により、それ以外の反応条件下に可能であるよりも、より良好に制御されることができ、特に、より高い平均粒度を有する球状粒子が製造されることできる。
【0044】
図11に示された本発明による方法は、図10中の前記の方法とは、ここでは反応器に上部に配置されている傾斜板沈降装置を有する一体型反応器−清澄器−系が使用される点で相違する。図12は、沈殿反応が、噴流型反応器として設計されている閉じたIRKS(1)中で行われることによる本発明による方法を表す。
【0045】
本発明によるIRKS及び方法を用いて、多数の化合物が製造されることができ、それらの物理的性質、例えば粒度、粒度分布、かさ密度、粒度分布、タップ密度、粒子形状等に、かなり意図的に影響を及ぼすことができるので、プロセスの終了時にオーダーメードの生成物が得られる。そのような化合物は、例えばコバルト、ニッケル又は亜鉛の炭酸塩又は塩基性炭酸塩であり、これらに多様なドープ元素が添加されていてよい。本発明による方法は好ましくは、酸化亜鉛類、酸化銅類又は酸化銀類の製造にも適している。さらに、本発明によるIRKS及び方法は、酸化タンタル類、酸化ニオブ類、タンタル酸塩類及びニオブ酸塩類の製造に特に好適である。二酸化チタン、二酸化ジルコニウム及び二酸化ハフニウムは同様に製造されることができ、その際に前記酸化物は、他の原子価数の金属、例えば希土類元素、例えばイットリウム、イッテルビウム又はスカンジウムでドープされていてよい。二モリブデン酸アンモニウム、七モリブデン酸アンモニウム、二モリブデン酸塩、七モリブデン酸塩、パラタングステン酸塩、パラタングステン酸アンモニウム、球状タングステン酸及びモリブデン酸が同様に有利に、本発明による方法を用いて製造されることができる。
【0046】
希土類金属の酸化物は、同様に製造されることができる。IRKSは有利に、スピネル、ペロブスカイト及びルチル構造を有する固体化合物の製造に利用されることができる。難溶性のハロゲン化物及び硫化物は、本発明による方法によって同様に高い空時収率及び高いタップ密度で得ることができる。本発明による方法及びIRKSは、高度に濃縮された懸濁液中での多種多様な種類の均一なコーティングが実施されることができることによるコーティングされた生成物の製造に極めて特に適している。
【0047】
特に、この方法を用いて、電気化学セルにおける使用のための前駆体として及び/又は燃料電池の製造の際の電極材料として特に好適である化合物が製造されることができる。これらは、水酸化ニッケル類、又はオキシ水酸化ニッケル類であり、これらは1つ又はそれ以上の二価又は三価の金属、例えばCo、Zn、Mn、Al及び/又は三価の希土元素でドープされていてよく、しかしまた水酸化コバルト類又は例えば水酸化アルミニウム類の形での被覆が、基本成分、例えば水酸化ニッケル類上に、本発明によれは沈殿されることができる。定義された物理的性質を有するリン酸鉄リチウムは、同様にIRKSを通じて入手可能である。特に好ましくは、本発明による方法によって、一般式NixCo1-x(OH)2のニッケル−コバルト混合水酸化物が製造され、これらは電気化学セルにおける前駆体として及び/又は燃料電池の製造の際の電極材料として好ましくは使用される。
【0048】
故に、本発明の対象は、一般式NixCo1-x(OH)2[ここで0<x<1]の粉末状Ni,Co混合水酸化物であり、これらは、ASTM D 3663に従い測定された20m2/g未満のBET表面積及びASTM B 527に従い測定された2.4g/cm3超のタップ密度を有する。
【0049】
好ましくは、Ni,Co混合水酸化物は、15m2/g未満のBET表面積及び2.45g/cm3超のタップ密度、特に好ましくは15m2/g未満のBET表面積及び2.5g/cm3超のタップ密度及び殊に好ましくは15m2/g未満のBET表面積及び2.55g/cm3超のタップ密度を有する。
【0050】
本発明による粉末状Ni,Co混合水酸化物は、これらがASTM B 822によるMasterSizerを用いて決定される3〜30μm、好ましくは10〜20μmのD50値を有することによっても特徴付けられている。
【0051】
本発明によるNi,Co混合水酸化物は、球状の粒子形状並びに規則的な粒子形状で製造されることができる。本発明による好ましいNi,Co混合水酸化物は特に、形状係数が0.7超、特に好ましくは0.9超の値を有する粒子の球状の形状によって特徴付けられている。粒子の形状係数は、米国特許(US)第5476530号明細書の第7及び8欄及び図に挙げられた方法に従って決定されることができる。この方法は、粒子の球形度の尺度である粒子の形状係数を決定する。粒子の形状係数は、材料のSEM写真から決定されることもできる。形状係数は、粒子円周並びに粒子面積の評価及びそれぞれのサイズから誘導される直径を決定することにより決定される。前記の直径は、
U = U/π
A = (4A/π)1/2
から与えられる。
【0052】
粒子の形状係数fは、粒子円周U及び粒子面積Aから
【数1】

に従って誘導される。
【0053】
理想的な球状粒子の場合に、dA及びdUは大きさが同じであり、かつまさに1の形状係数となる。
【0054】
図13は、例1により製造された本発明によるNi,Co混合金属水酸化物の、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影された画像を例示的に示す。
【0055】
本発明による装置IRKS及び本発明による方法の使用は故に、従来の反応器系中での古典的な沈殿に比較してフレキシビリティーを著しく高め、かつこれからもたらされる利点は、多くの異なる化合物タイプに利用されることができる。本発明のこれらの利点は、次の通り要約されることができる:
a)沈殿にとって重要なプロセスパラメーター、例えば出発物質濃度、固体濃度及び中性塩濃度の切り離し、ひいてはオーダーメードの生成物設計の可能性を決定的に改善する新しい自由度の取得。
b)固体滞留時間及び母液滞留時間の切り離しによる、空時収率、ひいては生産速度の増加。
c)定義された量の微細分級物が前記系から取り出されることによる完全に新しい自由度の作り出し、それゆえ粒度分布に意図的に影響を及ぼすことができ、故に生じる生成物の性質に、その都度応用技術的に並びに最適に所定のプロフィールに関して影響を及ぼすことができる。
【0056】
本発明は、以下の例に基づいてより詳細に説明される。
【0057】
実施例に挙げられた生成物の物理的パラメーターは、次のように決定される:
・結晶子の大きさを、101−X線反射の半値幅から計算する。
・比表面積BETを、ASTM D 3663によって決定する。
・D50値を、MasterSizerを用いて測定された粒度分布から決定する。
・タップ密度を、ASTM B 527によって決定する。
・形状係数を、米国特許(US)第5476530号明細書からの方法に従って決定する。
【実施例】
【0058】
実施例
例1
図10に示されたIRKSに、NaOH 2g/l、NH3 13g/l、Na2SO4 130g/lを含有する水性の母液200lを充填する。引き続き、循環ポンプ(4)を5m3/hの体積流量で及びポンプ(2)を90l/hの体積流量で操作する。ポンプ(12)は、母液を傾斜板沈降装置(5)から循環容器(13)へ搬送し、そこから、この母液は自由な溢流(15)を経てIRKSへ返送される。溢流(15)からの液体が生じると直ちに、母液をフィルタエレメント(16)を介して循環容器(18)へ搬送するポンプ(17)を操作し、そこから、この母液は自由な溢流(19)を経て循環容器(13)中へ返送される。ポンプ(17)を90l/hの体積流量で操作する。撹拌機(14)を300rpmで及び撹拌機(2)を544rpmで操作し、かつ熱交換器(3)を用いて全ての系中で48℃の温度に調節した後に、まず最初に出発物質溶液用の定量ポンプを操作する。ポンプ(6)は、ニッケル101.9g/l及びコバルト18.1g/lを含有する金属硫酸塩溶液を25l/hの体積流量で搬送する。ポンプ(7)を用いて、750g/lの濃度を有するカセイソーダ液(NaOH)5.6l/hを計量供給する。ポンプ(8)は、25%アンモニア溶液3.1l/hを、及びポンプ(9)は脱塩水21.8l/hを、反応器中へ搬送する。引き続き、母液を前記系から取り出すポンプ(21)及び(22)のスイッチを入れる。ポンプ(21)は、46.9l/hを廃水処理設備に搬送し、その中でアンモニアも回収される。ポンプ(22)は、母液1l/hを自動分析装置に供給し、その中で1時間に3回、アンモニア含量及び過剰のカセイソーダ液が測定される。ポンプ(10)は、液位調節装置を介して、600g/lの固体含量を有する生じた生成物懸濁液を、反応器から後接続された吸引漏斗へ搬送し、その上でろ過し、かつ洗浄する。100時間後に、この反応器は定常状態に達した。その後24hかけて生じた生成物を、水400lで洗浄した後に、乾燥器中で80℃で恒量まで乾燥させる。次の生成物特性を有するNi,Co混合水酸化物(Ni,Co)(OH)2 115kgが得られる:
結晶子の大きさ:110Å
BET:6.3m2/g
50値:11.2μm
タップ密度:2.46g/cm3
【0059】
図13中のSEM写真は、形状係数が0.8である、製造されたNi,Co混合水酸化物の特別な球形度を示す。
【0060】
例2
図10に示されたIRKSに、NaOH 2g/l、NH3 13g/l、Na2SO4 130g/lを含有する水性の母液200lを充填する。引き続き、循環ポンプ(4)を5m3/hの体積流量で及びポンプ(2)を90l/hの体積流量で操作する。ポンプ(12)は、母液を傾斜板沈降装置(5)から循環容器(13)へ搬送し、そこから、この母液は自由な溢流(15)を経てIRKSへ返送される。溢流(15)からの液体が生じると直ちに、母液をフィルタエレメント(16)を介して循環容器(18)へ搬送するポンプ(17)を操作し、そこから、この母液は自由な溢流(19)を経て循環容器(13)中へ返送される。ポンプ(17)を90l/hの体積流量で操作する。撹拌機(14)を300rpmで及び撹拌機(2)を544rpmで操作し、かつ熱交換器(3)を用いて全ての系中で48℃の温度に調節した後に、まず最初に出発物質溶液用の定量ポンプを操作する。ポンプ(6)は、ニッケル101.9g/l及びコバルト18.1g/lを含有する金属硫酸塩溶液を25l/hの体積流量で搬送する。ポンプ(7)を用いて、750g/lの濃度を有するカセイソーダ液(NaOH)5.6l/hを計量供給する。ポンプ(8)は、25%アンモニア溶液3.1l/hを、及びポンプ(9)は脱塩水21.8l/hを、反応器中へ搬送する。引き続き、母液を前記系から取り出すポンプ(21)及び(22)のスイッチを入れる。ポンプ(21)は、15.4l/hを廃水処理設備に搬送し、その中でアンモニアも回収される。ポンプ(22)は、母液1l/hを自動分析装置に供給し、その中で1時間に3回、アンモニア含量及び過剰のカセイソーダ液が測定される。ポンプ(23)を用いて、1.5g/lの固体含量を有する濁った溶液32L/hをIRKS(循環容器(10))から除去する。ポンプ(10)は、液位調節装置を介して、600g/lの固体含量を有する生じた生成物懸濁液を、反応器から後接続された吸引漏斗へ搬送し、その上でろ過し、かつ洗浄する。100時間後に、この反応器は定常状態に達した。その後24hかけて生じた生成物を、水400lで洗浄した後に、乾燥器中で80℃で恒量まで乾燥させる。次の生成物特性を有するNi,Co混合水酸化物(Ni,Co)(OH)2 115kgが得られる:
結晶子の大きさ:108Å
BET:6.1m2/g
50値:15.2μm
タップ密度:2.54g/cm3
形状係数:0.9。
【0061】
例3
図11に示されたIRKSに、NaOH 5g/l、NH3 10g/l、Na2SO4 172g/lを含有する水性の母液200lを充填する。引き続き、循環ポンプ(4)を5m3/hの体積流量で及びポンプ(2)を90l/hの体積流量で操作する。ポンプ(12)は、母液を傾斜板沈降装置(5)から循環容器(13)へ搬送し、そこから、この母液は自由な溢流(15)を経てIRKSへ返送される。溢流(15)からの液体が生じると直ちに、母液をフィルタエレメント(16)を介して循環容器(18)へ搬送するポンプ(17)を操作し、そこから、この母液は自由な溢流(19)を経て循環容器(13)中へ返送される。ポンプ(17)を90l/hの体積流量で操作する。撹拌機(14)を300rpmで及び撹拌機(2)を480rpmで操作し、かつ熱交換器(3)を用いて全ての系中で45℃の温度に調節した後に、まず最初に出発物質溶液用の定量ポンプを操作する。ポンプ(6)は、ニッケル109.6g/l、コバルト2.84g/l及び亜鉛7.57g/lを含有する金属硫酸塩溶液を20.4l/hの体積流量で搬送する。ポンプ(7)を用いて、750g/lの濃度を有するカセイソーダ液(NaOH)4.62l/hを計量供給する。ポンプ(8)は、25%アンモニア溶液1.51l/hを、及びポンプ(9)は脱塩水8.29l/hを、反応器中へ搬送する。引き続き、母液を前記系から取り出すポンプ(21)及び(22)のスイッチを入れる。ポンプ(21)は、3.0l/hを廃水処理設備に搬送し、その中でアンモニアも回収される。ポンプ(22)は、母液1l/hを自動分析装置に供給し、その中で1時間に3回、アンモニア含量及び過剰のカセイソーダ液が測定される。ポンプ(23)を用いて、2.0g/lの固体含量を有する濁った溶液20.5L/hをIRKS(循環容器(10))から除去する。ポンプ(10)は、液位調節装置を介して、360g/lの固体含量を有する生じた生成物懸濁液を、反応器から後接続された吸引漏斗へ搬送し、その上でろ過し、かつ洗浄する。90時間後に、この反応器は定常状態に達した。その後24hかけて生じた生成物を、水400lで洗浄した後に、乾燥器中で80℃で恒量まで乾燥させる。次の生成物特性を有するNi,Co,Zn混合水酸化物(Ni,Co;Zn)(OH)2 93kgが得られる:
結晶子の大きさ:67Å
BET:10.1m2/g
50値:15.1μm
タップ密度:2.40g/cm3
形状係数:0.75。
【0062】
比較例1
図10に示されたIRKSに、NaOH 2g/l、NH3 13g/l、Na2SO4 130g/lを含有する水性の母液200lを充填する。引き続き、循環ポンプ(4)を5m3/hの体積流量で及びポンプ(2)を90l/hの体積流量で操作する。ポンプ(12)は、母液を傾斜板沈降装置(5)から循環容器(13)へ搬送し、そこから、この母液は自由な溢流(15)を経てIRKSへ返送される。溢流(15)からの液体が生じると直ちに、母液をフィルタエレメント(16)を介して循環容器(18)へ搬送するポンプ(17)を操作し、そこから、この母液は自由な溢流(19)を経て循環容器(13)中へ返送される。ポンプ(17)を90l/hの体積流量で操作する。撹拌機(14)を300rpmで及び撹拌機(2)を544rpmで操作し、かつ熱交換器(3)を用いて全ての系中で48℃の温度に調節した後に、まず最初に出発物質溶液用の定量ポンプを操作する。ポンプ(6)は、ニッケル101.9g/l及びコバルト18.1g/lを含有する金属硫酸塩溶液を4.01l/hの体積流量で搬送する。ポンプ(7)を用いて、750g/lの濃度を有するカセイソーダ液(NaOH)0.89l/hを計量供給する。ポンプ(8)は、25%アンモニア溶液0.50l/hを、及びポンプ(9)は脱塩水3.49l/hを、反応器中へ搬送する。引き続き、ポンプ(22)のスイッチを入れ、母液1l/hを前記系から取り出し、自動分析装置に供給し、その中で1時間に3回、アンモニア含量及び過剰のカセイソーダ液が測定される。ポンプ(10)は、液位調節装置を介して、96g/lの固体含量を有する生じた生成物懸濁液を、反応器から後接続された吸引漏斗へ搬送し、その上でろ過し、かつ洗浄する。100時間後に、この反応器は定常状態に達した。その後24hかけて生じた生成物を、水400lで洗浄した後に、乾燥器中で80℃で恒量まで乾燥させる。次の生成物特性を有するNi,Co混合水酸化物(Ni,Co)(OH)2 115kgが得られる:
結晶子の大きさ:106Å
BET:13.1m2/g
50値TGV:21.3μm
タップ密度:2.23g/cm3
【0063】
比較例2
図10に示されたIRKSに、NaOH 5g/l、NH3 10g/l、Na2SO4 172g/lを含有する水性の母液200lを充填する。引き続き、循環ポンプ(4)を5m3/hの体積流量で及びポンプ(2)を90l/hの体積流量で操作する。ポンプ(12)は、母液を傾斜板沈降装置(5)から循環容器(13)へ搬送し、そこから、この母液は自由な溢流(15)を経てIRKSへ返送される。溢流(15)からの液体が生じると直ちに、母液をフィルタエレメント(16)を介して循環容器(18)へ搬送するポンプ(17)を操作し、そこから、この母液は自由な溢流(19)を経て循環容器(13)中へ返送される。ポンプ(17)を90l/hの体積流量で操作する。撹拌機(14)を300rpmで及び撹拌機(2)を480rpmで操作し、かつ熱交換器(3)を用いて全ての系中で45℃の温度に調節した後に、まず最初に出発物質溶液用の定量ポンプを操作する。ポンプ(6)は、ニッケル109.6g/l、コバルト2.84g/l及び亜鉛7.57g/lを含有する金属硫酸塩溶液を6.69l/hの体積流量で搬送する。ポンプ(7)を用いて、750g/lの濃度を有するカセイソーダ液(NaOH)1.52l/hを計量供給する。ポンプ(8)は、25%アンモニア溶液1.51l/hを、及びポンプ(9)は脱塩水8.29l/hを、反応器中へ搬送する。引き続き、ポンプ(22)のスイッチを入れ、母液1l/hを、自動分析装置に供給し、その中で1時間に3回、アンモニア含量及び過剰のカセイソーダ液が測定される。ポンプ(10)は、液位調節装置を介して、120g/lの固体含量を有する生じた生成物懸濁液を、反応器から後接続された吸引漏斗へ搬送し、その上でろ過し、かつ洗浄する。90時間後に、この反応器は定常状態に達した。その後24hかけて生じた生成物を、水150lで洗浄した後に、乾燥器中で80℃で恒量まで乾燥させる。次の生成物特性を有するNi,Co,Zn混合水酸化物(Ni,Co;Zn)(OH)2 30.5kgが得られる:
結晶子の大きさ:63Å
BET:12.0m2/g
50値:11.9μm
タップ密度:2.21g/cm3
【符号の説明】
【0064】
図1(1) 平行六面体形の装置、 図1(3) ラメラ、 図1(4) 傾斜板沈降装置、
図2(1) 平行六面体形の装置、 図2(5) プレート、
図3(1) 平行六面体形の装置、 図3(3) ラメラ、 図3(4) 傾斜板沈降装置、
図4(6) 噴流型反応器、 図4(7) 傾斜板沈降装置、 図4(8) ラメラ、 図4(11) ノズル、 図4(14) ポンプ、
図5(6) 噴流型反応器、 図5(7) 傾斜板沈降装置、 図5(8) ラメラ、 図5(9) プレート、 図5(11) ノズル、 図5(14) ポンプ、
図6(20) 傾斜板沈降装置、 図6(21) ラメラ、 図6(22) 溝、
図7(24) 傾斜板沈降装置、 図7(26) ラメラ、 図7(25) レール系、
図8(30) 固体粒子、 図8(31) ラメラ、 図8(32) 直線、
図9(40) 技術的な限界、 図9(41)、(43) 経済的な限界、 図9(42) 二次元の範囲、 図9(44) 化学的な限界、
図10(1) 撹拌反応器、 図10(2) 撹拌機、 図10(3) 熱交換器、 図10(4) 循環ポンプ、 図10(5) 傾斜板沈降装置、 図10(6)〜(8) 定量ポンプ、 図10(9)、(10) ポンプ、 図10(11) 溢流、 図10(12) ポンプ、 図10(13) 循環容器、 図10(14) 撹拌機、 図10(15) 溢流、 図10(16) フィルタエレメント、 図10(17) ポンプ、 図10(18) 第二の循環容器、 図10(19) 溢流、 図10(21)、(22)、(23) ポンプ、 図10(25) プレート、
図11(2) ポンプ、 図11(3) 熱交換器、 図11(4) 循環ポンプ、 図11(5) 傾斜板沈降装置、 図11(6)〜(10) ポンプ、 図11(12) ポンプ、 図11(13) 循環容器、 図11(14) 撹拌機、 図11(15) 溢流、 図11(16) フィルタエレメント、 図11(17) ポンプ、 図11(18) 循環容器、 図11(19) 溢流、 図11(21)、(22)、(23) ポンプ、
図12(1) 噴流型反応器、 図12(2) ノズル、 図12(3) 熱交換器、 図12(5) 傾斜板沈降装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器中での沈殿により化合物を製造するための装置であって、前記反応器が、傾斜板沈降装置(Schraegklaerer)を有することを特徴とする、反応器中での沈殿により化合物を製造するための装置。
【請求項2】
傾斜板沈降装置の傾斜角が20〜85゜である、請求項1記載の装置。
【請求項3】
傾斜板沈降装置の傾斜角が40〜70゜である、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
傾斜板沈降装置が、床面に対して平行平面に取り付けられた1つ/複数のラメラを有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
傾斜板沈降装置が少なくとも1つのラメラを有する、請求項4記載の装置。
【請求項6】
傾斜板沈降装置が、内側側面で、少なくとも1つのレール対からなり、高さが調節可能なレール系を各々の側に有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
傾斜板沈降装置が、内側側面で、ラメラを収容するための少なくとも1つの溝を各々の側に有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
1つ/複数のラメラが、1つ/複数のレール上へ入れられる、請求項6記載の装置。
【請求項9】
1つ/複数のラメラが1つ/複数の溝中へ入れられる、請求項7記載の装置。
【請求項10】
ラメラが少なくとも0.5cmの厚さを有する、請求項4記載の装置。
【請求項11】
傾斜板沈降装置が、反応器の内面の流入部に、傾斜板沈降装置の入口面の開口部に対して平行平面に配置されているプレートを有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
沈殿により化合物を製造するための、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置の使用。
【請求項13】
次の工程からなる、沈殿により化合物を製造する方法:
・少なくとも第一及び第二の出発物質溶液を準備する工程、
・少なくとも第一及び第二の出発物質溶液を請求項1記載の反応器中で合一する工程、
・反応器中に均質混合される反応帯域を発生させる工程、
・反応帯域中で化合物を沈殿させ、不溶性生成物及び母液からなる生成物懸濁液を製造する工程、
・沈殿された生成物から母液を、傾斜板沈降装置を介して部分的に分離する工程、
・沈殿生成物の濃度が化学量論的な濃度よりも高い沈殿生成物懸濁液を製造する工程、
・生成物懸濁液を反応器から取り出す工程、
・沈殿生成物をろ過及び乾燥する工程。
【請求項14】
母液の部分的な分離を傾斜板沈降装置の溢流の直接的な取り出しにより行う、請求項13記載の方法。
【請求項15】
傾斜板沈降装置の溢流が、生成物懸濁液の固体含量の0〜50%を有する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
傾斜板沈降装置の溢流が、生成物懸濁液の固体含量の0〜30%を有する、請求項14記載の方法。
【請求項17】
傾斜板沈降装置の溢流が、生成物懸濁液の固体含量の0〜15%を有する、請求項14記載の方法。
【請求項18】
傾斜板沈降装置の溢流中の最大粒度が、粒度分布のD50値の30%である、請求項14から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
懸濁液中の沈殿生成物の濃度が、化学量論量の数倍(Vielfaches)である、請求項13記載の方法。
【請求項20】
母液の90%までを部分的に分離する、請求項13又は14記載の方法。
【請求項21】
請求項13により得ることができる無機化合物。
【請求項22】
一般式NixCo1-x(OH)2[ここで0<x<1]の粉末状Ni,Co混合水酸化物であって、ASTM D 3663に従い測定された20m2/g未満のBET表面積及びASTM B 527に従い測定された2.4g/cm3超のタップ密度を有することを特徴とする、粉末状Ni,Co混合水酸化物。
【請求項23】
ASTM D 3663により測定される15m2/g未満のBET表面積及びASTM B 822により測定される2.45g/cm3超のタップ密度を有する、請求項22記載の粉末状Ni,Co混合水酸化物。
【請求項24】
ASTM D 3663により測定される15m2/g未満のBET表面積及びASTM B 822により測定される2.5g/cm3超のタップ密度を有する、請求項22又は23記載の粉末状Ni,Co混合水酸化物。
【請求項25】
ASTM D 3663により測定される15m2/g未満のBET表面積及びASTM B 822により測定される2.55g/cm3超のタップ密度を有する、請求項22から24までのいずれか1項記載の粉末状Ni,Co混合水酸化物。
【請求項26】
ASTM B 822によりMasterSizerを用いて測定される3〜30μmのD50値を有する、請求項22から25までのいずれか1項記載の粉末状Ni,Co混合水酸化物。
【請求項27】
ASTM B 822によりMasterSizerを用いて測定される10〜20μmのD50値を有する、請求項22から26までのいずれか1項記載の粉末状Ni,Co混合水酸化物。
【請求項28】
粉末粒子が球状の形状を有する、請求項22から27までのいずれか1項記載の粉末状Ni,Co混合水酸化物。
【請求項29】
粉末粒子が、0.7より大きい形状係数を有する、請求項22から28までのいずれか1項記載の粉末状Ni,Co混合水酸化物。
【請求項30】
粉末粒子が、0.9より大きい形状係数を有する、請求項22から29までのいずれか1項記載の粉末状Ni,Co混合水酸化物。
【請求項31】
電気化学セルを製造するための、請求項22から30までのいずれか1項記載の粉末状Ni,Co混合水酸化物の使用。
【請求項32】
燃料電池を製造する際の電極材料としての、請求項22から30までのいずれか1項記載の粉末状Ni,Co混合水酸化物の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−18705(P2013−18705A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−198799(P2012−198799)
【出願日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【分割の表示】特願2009−502023(P2009−502023)の分割
【原出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(511125995)CSエナジーマテリアルズ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】