説明

粉末組成物

より低量のネオペンチルグリコール(NPG)を含むポリオールから得られたポリエステル(PE)から調製されたバインダーを含有する熱硬化性及び/又は放射線硬化性粉末が記載される。この粉末は、欠陥のない滑らかなコートを形成し、通常のNPGに富んだPEによる汚染に耐性をもつ。粉末は、共反応することができるブレンドであって、(i)40〜98重量%(w/w)の少なくとも1種のOH、COOH、又はエチレン性の官能性(fn)PE(酸価又はOH価10〜100mgKOH/g、T>40℃)、ただしPEは、70〜100重量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はイソフタル酸(IPA)と0〜30%(w/w)の別のポリ酸とを含むポリ酸を、0〜85%(w/w)のNPGと15〜100%(w/w)の別の多価ポリオールとを含むポリオールと反応させることにより得られる;(ii)2〜60%(w/w)の少なくとも1種のグリシジル若しくはイソシアナート官能性ポリフェノキシ樹脂;ポリエポキシ及び/若しくはβ−ヒドロキシアルキルアミド架橋剤、又はエチレン性官能性オリゴマー;並びに(iii)0.2〜5%(w/w)の少なくとも1種のCOOH又はOH官能性アクリル系コポリマー(10〜100mgKOH/gの値;T>400C、及び数平均分子量(M)1000〜15000)、及び/又は少なくとも1種のグリシジル若しくはイソシアナート官能性アクリル系コポリマー(官能基1当量当たりアクリル系コポリマー150から1000gの官能基当量、T>40℃、及びM 1000から15000、及び/又はT>400C及びM 1000から15000の非官能性アクリル系コポリマーの上記共反応することができるブレンドのバインダーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序論
本発明は、欠陥が実質的にないコーティングをもたらす粉末状の組成物(熱硬化性粉末及び放射線硬化性粉末)の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末状の組成物には多数の利点があるので、多くの物品をコーティングするためのペイント及びワニスとして幅広く使用されている。これらは、取扱いが困難な有機溶媒を用いた組成物より好ましく、また物品上には物品と直接接触している粉末しか保持されておらず、過剰な粉末はいずれも、原理的には完全に回収可能で且つ再使用可能であるので、無駄が少ししかない。粉末には、一般にその特性を所期の使用に適合させるように有機バインダー、充填剤、顔料、触媒、及び様々な添加剤が含まれている。
【0003】
バインダーには、1種又は複数の官能基を含むポリエステル(カルボキシ官能性ポリエステルなど)と、そのポリエステルの官能基と反応することができる官能基を有する1種以上の化合物(トリグリシジルイソシアヌレート及び/又はグリシジル官能性アクリル系コポリマーなど)との混合物を含有するものを含めて様々なタイプがある。
【0004】
粉末ワニス及びペイントを調製するのに適したポリエステルは、今までに多数の論文及び特許に記載されている。これらのポリエステルは、通常芳香族ジカルボン酸、主にテレフタル酸(TPA)及びイソフタル酸(IPA)、並びに場合によって小さい割合の脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸と、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール(NPG)、1,6−ヘキサンジオール、及び/又はトリメチロールプロパン(TMP)などの様々なポリオールとから調製される。
【0005】
一般に、これらのポリエステルを調製するのに使用されるポリオールには、得られたポリエステル及びそれを含有する粉末組成物の薄膜形成能力を改善するためのNPGが高い割合(典型的には、>85重量%)で含有されている。これによって、表面欠陥のないコーティングになる。NPGは高価である。したがって、より入手可能な価格でやはり表面欠陥なしであり得る粉末組成物を調製するには、NPGの使用量を低減し、より安価な多価アルコール(例えば、エチレングリコールやジエチレングリコールなど)の使用割合を増大することによって、ポリエステル成分を調製することが望ましい。エチレングリコールやジエチレングリコールなどのグリコールの割合を増大させたポリオール混合物からポリエステルを生成すると、コーティングの表面欠陥が増大する。
【0006】
それにもかかわらず、エチレングリコール及びジエチレングリコールがより豊富に含まれているポリオールから生成されたポリエステルが複数の刊行物に記載されている。
【0007】
従来技術
特開平11−228676(JP1999−228676)では、耐候性及び耐溶媒性が改善された粉末コーティングのための樹脂組成物が特許請求されている。ポリエステルは、13から85mgKOH/gの酸価(AN)を有するカルボキシ官能性であり、70から100モル%のIPA及び0から30モル%の別のジカルボン酸の二酸成分と、70から100モル%のエチレングリコール及び0から30モル%の別の脂肪族ジオールとのグリコール成分とを含む。硬化剤は、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤又はトリグリシジルイソシアヌレートである。
【0008】
米国特許第4065438号では、エポキシ樹脂との反応によりコーティング生成物を製造するのに使用される酸性ポリエステル樹脂を生成する方法が特許請求されている。前記ポリエステルは、40〜200mgKOH/gのOHを有するプレポリマーの反応により生成され、前記プレポリマーは、反応混合物の全重量に対して25から35重量%に対応する量で使用される少なくとも1種の2価脂肪族アルコール、さらに詳細にはエチレングリコールと、35から50重量%の量で使用されるTPA、8から15重量%の量で使用されるトリメリト酸、5から30重量%の量で使用されるIPAとの反応により調製され、したがってヒドロキシ官能性プレポリマーが得られ、IPA及び場合によってアジピン酸と反応して、50から100mgKOH/gのANを有するカルボン酸官能性ポリエステルになる。ポリエステルは、2〜3の官能性を有する。(例1、3、4、5、6)に示すポリエステルはすべて、唯一のジオールとしてのエチレングリコール、TPA、IPA、及び無水トリメリト酸を主成分とする。ポリエステルと、ポリエステル樹脂に対して等量又は優勢な量で存在しているビスフェノールAエポキシ樹脂とから構成されたバインダーから得られた粉末により、コーティングが得られるが、これらは均一な様相及び特に短い硬化時間を特徴とする。
【0009】
国際公開第03/082996号では、エチレングリコールに富んだ多価アルコールから得られたポリエステルを含む粉末において、表面欠陥を低減する試みが行われている。粉末に、トリアルキルアミン又はホスフィン又はテトラアルキルアンモニウム又はホスホニウムハライドが組成物中のポリエステルの量に対して0.1から3重量%の量で添加されている。この添加剤は表面欠陥を除去すると述べられているが、粉末の摩擦帯電性(tribo−chargeability)、硬化速度、及びフローにも影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
より低量のNPGを含むポリオールから生成されたポリエステルを含有する粉末を用いて、表面欠陥のないコーティングを提供する課題を解決するこれまでの試みは、粉末が汚染の影響を受けやすく、且つ/又は望ましくない添加剤の使用など他の課題があるので満足のいくものではない。したがって、一般用途で使用するのに入手可能であり、欠陥のない表面を形成することができ、汚染に耐性をもつような粉末コーティングを提供することが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
今回、驚くべきことに、本明細書に記載される課題の一部又はすべてを、本明細書に記載される本発明によって解決できることがわかった。
【0012】
したがって、概して本発明によれば、バインダーとして、
(A)(より低量のネオペンチルグリコール(NPG)を含むポリオールから得られた)第1の官能性を含むポリエステルと、
(B)第2の官能性を場合によって含む少量(好ましくは、バインダーの約10重量%まで)のアクリル系コポリマーと、
(C)任意(optional)の付加的材料と
の混合物を含む粉末組成物であって、
(I)第1の官能性はカルボキシであり、第2の官能性が存在する場合それは、カルボキシ基及び/又はグリシジル基から選択され、付加的材料は、ポリエステルのカルボキシと反応することができる官能基を有する架橋剤を含み、或いは
(II)第1の官能性はヒドロキシであり、第2の官能性が存在する場合それは、ヒドロキシ基及び/又はイソシアナート基から選択され、付加的材料は、ポリエステルのヒドロキシと反応することができる官能基を有する架橋剤を含み、或いは
(III)第1の官能性と、第2の官能性が存在する場合それは、エチレン性不飽和基であり、付加的材料が存在する場合それは、エチレン性不飽和基を有する1種又は複数のオリゴマーを含み、粉末組成物は放射線硬化性である
粉末組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ポリエステル(A)は、より低量のネオペンチルグリコール(NPG)を含むポリオールから得られることが有利である。ポリエステル(A)は、85重量%までのネオペンチルグリコール(NPG)を含むポリオールから調製されることが有利である。
【0014】
第2の官能性を場合によって含むアクリル系コポリマーは、少量で使用されることが有利である。アクリル系コポリマーは、バインダーに対して10重量%までの量で使用されることが有利である。一般には9%未満、有利には8重量%未満、好ましくは7重量%未満、より好ましくは6重量%未満のアクリル系コポリマーが使用される。少なくとも0.2重量%、好ましくは少なくとも0.3重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、又は、ことによると少なくとも1.5重量%のアクリル系コポリマーが使用されることが有利である。
【0015】
一般に、アクリル系コポリマーは、(バインダーに対して)0.2から5重量%、好ましくは0.3から5重量%、より好ましくは0.2から3.5重量%、最も好ましくは0.3から3重量%の量で使用される。
【0016】
アクリル系コポリマーは、
(A)30から100モル%(好ましくは30から95モル%)の、メチル(メタ)アクリレート及び/若しくはエチル(メタ)アクリレート、並びに/又は(メタ)アクリロイル基含有モノマーと異なるエチレン性不飽和モノマーと、
(B)0から60モル%(好ましくは、5から60モル%)の、1種又は複数の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマー((シクロ)アルキル基は3から20個の炭素原子を含み、前記(シクロ)アルキル基は、好ましくはプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、トリデシル、シクロヘキシル、イソボルニル、又はジヒドロジシクロペンタジエニルから選択されることを特徴とする)と、
(C)エチレン性不飽和二重結合、並びにカルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシ基、及び/又はイソシアナート基から選択される官能基を有する、0から45モル%のモノマーと
から構成される(或いは得られる)ことが有利である。
【0017】
場合によって(optionally;任意に)、メチル(メタ)アクリレート及び/又はエチル(メタ)アクリレートはハロゲン化されている。
【0018】
好ましくは、使用されるアクリル系コポリマーモノマーは、少なくとも60モル%の、前記メチル(メタ)アクリレート及び/若しくはエチル(メタ)アクリレート、並びに/又は(メタ)アクリロイル基含有モノマーと異なる前記エチレン性不飽和モノマーを含む。
【0019】
本発明の実施形態において、アクリル系コポリマーは前記第2の官能性を含む。しかし、アクリル系コポリマーは前記第2の官能性を含まないことが有利である。アクリル系コポリマーは、架橋反応に関与する官能基を含まないことが有利である。アクリル系コポリマーは、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシ基、及び/又はイソシアナート基から選択される基を含まないことが有利である。
【0020】
場合によって、追加の又は付加的材料をポリエステル(A)及びアクリル系コポリマー(B)に混合させる。付加的(又は追加の)(additional(or further))とは、(C)が、(B)及び(A)でないことを意味するのが有利である。
【0021】
本発明の一実施形態は、バインダーとして、(より低量のNPGを含むポリオールから得られた)カルボキシル官能性ポリエステルと、カルボキシル基及び/又はグリシジル基官能基を場合によって含む少量のアクリル系コポリマーと、ポリマー(単数又は複数)のカルボン酸基と反応することができる官能基を有する架橋剤との混合物を含む粉末組成物を提供する。
【0022】
好ましくは、本発明のこの第1の実施形態は、共反応することができるバインダーとして、
(a)約40重量%から約98重量%の、40℃を超えるガラス転移温度を有する少なくとも1種のカルボキシル官能性ポリエステルであって、
(i)ポリ酸に対して約70から約100重量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はイソフタル酸(IPA)と、ポリ酸に対して0から約30重量%の別のポリ酸構成要素とを含むポリ酸成分、及び
(ii)ポリオールに対して0から約85重量%のネオペンチルグリコール(NPG)と、ポリオールに対して約15から約100重量%の別の多価ポリオールとを含むポリオール
の反応から得られる上記ポリエステル:
(b)約0.2から約5重量%の、数平均分子量1000から15000を有する少なくとも1種のアクリル系コポリマーであって、カルボキシ官能基(単数又は複数)及び/又はグリシジル官能基(単数又は複数)を場合によって含むコポリマー;
(c)約2から約60重量%の、少なくとも1種のグリシジル官能性ポリフェノキシ樹脂並びに/又はポリエポキシ及び/若しくはβ−ヒドロキシアルキルアミド架橋剤;
を含む熱硬化性粉末コーティング組成物
(ここで、別段の記載のない限り、上記の重量百分率は、(a)成分と(b)成分と(c)成分との全重量に対して算出され、合計100%になるように選択される)を提供する。
【0023】
より好ましくは、本発明のこの第1の実施形態は、共反応することができるバインダーとして、
(a)約40%から約96重量%の、40℃を超えるガラス転移温度を有する少なくとも1種のカルボキシル官能性ポリエステルであって、
(i)ポリ酸に対して約70から約100重量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はイソフタル酸(IPA)と、ポリ酸に対して0から約30重量%の別のポリ酸構成要素とを含むポリ酸成分、及び
(ii)ポリオールに対して0から約80重量%のネオペンチルグリコール(NPG)と、ポリオールに対して約20から約100重量%の別の多価ポリオールとを含むポリオール
の反応から得られる上記ポリエステル:
(b)約0.3から約5重量%の、数平均分子量1000から15000を有する少なくとも1種のアクリル系コポリマーであって、カルボキシ官能基(単数又は複数)及び/又はグリシジル官能基(単数又は複数)を場合によって含むコポリマー;
(c)約3から約60重量%の、少なくとも1種のグリシジル官能性ポリフェノキシ樹脂並びに/又はポリエポキシ及び/若しくはβ−ヒドロキシアルキルアミド架橋剤;
を含む熱硬化性粉末コーティング組成物
(ここで、別段の記載のない限り、上記の重量百分率は、(a)成分と(b)成分と(c)成分との全重量に対して算出され、合計100%になるように選択される)を提供する。
【0024】
本発明の別の第2の実施形態は、バインダーとして、(より低量のNPGを含むポリオールから得られた)ヒドロキシ官能性ポリエステルと、ヒドロキシ基及び/又はイソシアナート基官能基を場合によって含む少量のアクリル系コポリマーと、ポリマー(単数又は複数)のヒドロキシ基と反応することができる官能基を有する架橋剤との混合物を含む粉末組成物を提供する。
【0025】
好ましくは、本発明のこの第2の実施形態は、共反応することができるバインダーとして、
(a)約40重量%から約96重量%の、40℃を超えるガラス転移温度を有する少なくとも1種のヒドロキシ官能性ポリエステルであって、
(i)ポリ酸に対して約70から約100重量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はイソフタル酸(IPA)と、ポリ酸に対して0から約30重量%の別のポリ酸構成要素とを含むポリ酸成分、及び
(ii)ポリオールに対して0から約85重量%のネオペンチルグリコール(NPG)と、ポリオールに対して約15から約100重量%の別の多価ポリオールとを含むポリオール
の反応から得られる上記ポリエステル:
(b)約0.2から約5重量%の、数平均分子量1000から15000を有する少なくとも1種のアクリル系コポリマーであって、ヒドロキシ官能基(単数又は複数)及び/又はイソシアナート官能基(単数又は複数)を場合によって含むコポリマー;
(c)約3から約60重量%、より好ましくは約4から約60重量%、はるかにより好ましくは約5から約60重量%の、少なくとも1種のブロック又は非ブロックイソシアナート架橋剤;
を含む熱硬化性粉末コーティング組成物
(ここで、別段の記載のない限り、上記の重量百分率は、(a)成分と(b)成分と(c)成分との全重量に対して算出され、合計100%になるように選択される)を提供する。
【0026】
より好ましくは、本発明のこの第2の実施形態は、共反応することができるバインダーとして、
(a)約40重量%から約96重量%の、40℃を超えるガラス転移温度を有する少なくとも1種のヒドロキシ官能性ポリエステルであって、
(i)ポリ酸に対して約70から約100重量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はイソフタル酸(IPA)と、ポリ酸に対して0から約30重量%の別のポリ酸構成要素とを含むポリ酸成分、及び
(ii)ポリオールに対して0から約80重量%のネオペンチルグリコール(NPG)と、ポリオールに対して約20から約100重量%の別の多価ポリオールとを含むポリオール
の反応から得られる上記ポリエステル:
(b)約0.3から約5重量%の、数平均分子量1000から15000を有する少なくとも1種のアクリル系コポリマーであって、ヒドロキシ官能基(単数又は複数)及び/又はイソシアナート官能基(単数又は複数)を場合によって含む上記コポリマー;
(c)約3から約60重量%の、少なくとも1種のブロック又は非ブロックイソシアナート架橋剤
を含む熱硬化性粉末コーティング組成物
(ここで、別段の記載のない限り、上記の重量百分率は、(a)成分と(b)成分と(c)成分との全重量に対して算出され、合計100%になるように選択される)を提供する。
【0027】
本発明のさらに他の第3の実施形態は、バインダーとして、エチレン性不飽和基含有ポリエステルと、不飽和官能基を場合によって含む少量のアクリル系コポリマーと、場合によって、エチレン性不飽和基を有する1種又は複数のオリゴマーとの混合物を含む放射線硬化性粉末組成物を提供する。
【0028】
好ましくは、本発明のこの第3の実施形態は、共反応することができるバインダーとして、
(a)約70重量%から約99重量%の、35℃を超えるガラス転移温度を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有ポリエステルであって、
(i)ポリ酸に対して約70から約100重量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はイソフタル酸(IPA)と、ポリ酸に対して0から約30重量%の別のポリ酸構成要素とを含むポリ酸成分、及び
(ii)ポリオールに対して0から約80重量%のネオペンチルグリコール(NPG)と、ポリオールに対して約20から約100重量%の別の多価ポリオールとを含むポリオール、
(iii)場合によって、ポリイソシアナート、
(iv)エチレン性不飽和二重結合、並びにカルボキシ基又はイソシアナート基と反応することができる少なくとも1種の官能基を有するモノマー
の反応から得られる上記ポリエステル:
(b)約0.3から約5重量%の、数平均分子量1000から15000を有する少なくとも1種のアクリル系コポリマーであって、エチレン性不飽和官能基(単数又は複数)を場合によって含むコポリマー;
(c)約0から約30重量%の、少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有オリゴマー
を含む放射線硬化性粉末コーティング組成物
(ここで、別段の記載のない限り、上記の重量百分率は、(a)成分と(b)成分と(c)成分との全重量に対して算出され、合計100%になるように選択される)を提供する。
【0029】
他の好適な通常の材料を、本発明の組成物及び/又はバインダーに(例えば、本明細書に記載される実施形態のいずれにでも)添加してもよい。こうした材料は、本明細書に記載される付加的材料又は配合物の当業者に周知であるはずの他の材料でもよい。例えば、フローモジュレーター(flow modulators)を本発明の組成物に添加することが有利である。
【0030】
本発明の組成物は顕著なフローを有することがわかり、これを使用すると、良好な機械的諸特性を有し、且つ塗布及び硬化後に欠陥が全くない滑らかなコーティングを調製することができる。
【0031】
粉末組成物を製造する方法がさらに提供される。前記方法は、
(a)(A)ポリエステル(より低量のNPGを含むポリオールから得られた)、ただしポリエステルは第1の官能性を含む;
(B)第2の官能性を場合によって含む少量のアクリル系コポリマー;及び
(C)場合によって、付加的材料;
をブレンドして、バインダー混合物を生成するステップと、
(b)追加の材料をバインダー混合物に場合によって添加して、配合物を生成するステップと、
(c)ステップ(b)による配合物を均質化及び/又は粉砕して、粉末組成物を生成するステップと
を含む。
【0032】
さらに具体的には、
(a)(A)ポリエステル、ただしポリエステルは第1の官能性を含む;
(B)第2の官能性を場合によって含むアクリル系コポリマー;及び
(C)任意の付加的材料;
をブレンドして、バインダー混合物を生成するステップと、
(b)追加の材料をバインダー混合物に場合によって添加して、配合物を生成するステップと、
(c)ステップ(b)による配合物を均質化及び/又は粉砕して、粉末組成物を生成するステップと
を含む、粉末組成物を製造する方法が提供される。
【0033】
(a)本発明の粉末組成物を物品及び/又は基材に塗布して、その上にコーティングを形成するステップと、
(b)コーティングを熱硬化及び/又は放射線硬化するステップと
を含む、前記物品及び/又は前記基材を本発明の粉末組成物で被覆する方法が、さらに提供される。
【0034】
さらに別の態様は、前記方法で被覆された物品及び/又は基材に関する。本発明は、本発明の組成物で被覆された物品及び/又は基材をさらに提供する。
【0035】
表面欠陥が低減されたコーティング組成物を調製するためのバインダーにおける本発明のアクリル系コポリマーの使用が、さらに提供される。前記バインダーは、記載されたポリエステル(A)と、ことによると、架橋剤とすることができる追加の材料(C)とをさらに含む。
【0036】
本発明は、表面欠陥が低減された粉末コーティング組成物を調製する(のに使用される)バインダーも提供する。前記バインダーは、(A)記載されたポリエステルと、(B)本発明のアクリル系コポリマーと、ことによると、架橋剤とすることができる追加の材料(C)との混合物を含む。
【0037】
本発明の全体にわたって、ポリエステル(単数又は複数)、アクリル系コポリマー(単数又は複数)、及び追加の材料(単数又は複数)は、ここまで記載されたもの又は後に記載されるもののうちいずれであってもよい。
【0038】
本発明の組成物において使用されるアクリル系コポリマーは、フロープロモーターとして通常の粉末組成物に添加されるアクリル系ポリマーと区別されなければならない。こうしたポリマー添加剤が使用されて、表面に移動したときコーティングを平らにする。しかし、本出願人は、こうした添加剤は、より低量のNPGから調製されたポリエステルを使用すると、汚染に影響されやすいという課題を解決しないことがわかった。
【0039】
定義
本明細書では、文脈上からそうでないことが記載されていない限り、以下の通り下記の特性を測定した。
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される数平均分子量(Mとも表示される)(単位:ダルトン)である。
分当たり20℃の加熱勾配でASTM D3418に従って示差走査熱量測定法(DSC)で測定されるガラス転移温度(Tとも表示される)。
粘度は、ASTM D4287−88に従って指定された温度においてブルックフィールド法で測定された円錐/平板粘度(単位:mPa.s)である。
ANは、材料1グラムを中和するのに必要とされたKOHの量(単位:mg)として測定された材料の酸価を示す。
【0040】
本明細書では、「放射線硬化性」は、例えば化学線及び/若しくは紫外線(UV)光を(場合によって、光開始剤などの別の材料の存在下で)並びに/又は電離放射線(電子ビームなど)を照射したとき重合する材料を表す。化学線は、光化学作用を生じることができる電磁放射線であるが、一般材料の媒質においてイオンを生じるには不十分なエネルギーしかもたず、通常185ナノメートルを超える波長を有する。UV光は、180から400ナノメートル(1.8から4.0×10−7メートル)の波長を有する放射エネルギーである。電離放射線は、一般材料においてイオンを生じることができる粒子又は電磁エネルギー(ガンマ線又はX線など)であり、通常約10電子ボルト又は16×10−19ジュールを超えるエネルギーを有する。電子ビーム(eビーム)は、典型的には加速用高電圧源により金属性フィラメントから生じた電子のビームである。放射線重合を実現する好ましい方法は、UV光及び/又はeビームを含む。重合メカニズムは、放射線によって誘導することができる好適な任意の方法とすることができる(例えば、フリーラジカル重合法、カチオン重合法など)。
【0041】
本明細書において使用されるポリマー科学の他の通常の用語(ポリマー、モノマー、オリゴマーなど)は、例えばPure Appl. Chem., Vol, 68, No.12, pp. 2287−2311, 1996(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)で定義されるように、IUPACによって推奨される意味を有するものとする。
【0042】
本明細書では、「含む(comprising)」という用語は、次に続くリストは、非網羅的であり、必要に応じて、他の何らかの好適な付加的な項目、例えば1種又は複数のさらなる特徴(単数又は複数)、成分(単数又は複数)、材料(単数又は複数)、及び/又は置換基(単数又は複数)を含んでもよく、又は含まなくてもよいことを意味するものと理解されよう。
【0043】
ポリエステル
本発明の第1の実施形態を調製するのに使用されるカルボキシル官能性ポリエステルは、好ましくは約10から約100mgKOH/g、より好ましくは約15から約90mgKOH/g、最も好ましくは約20から約70mgKOH/gの酸価(AN)を有することができる。
【0044】
本発明の第2の実施形態を調製するのに使用されるヒドロキシ官能性ポリエステルは、好ましくは約10から約450mgKOH/g、より好ましくは約15から約400mgKOH/g、最も好ましくは約20から約350mgKOH/gのヒドロキシ価(OHN)を有することができる。
【0045】
本発明の第3の実施形態を調製するのに使用されるエチレン性不飽和基を含むポリエステルは、ポリエステル1グラム当たり二重結合が、好ましくは0.2から6.0ミリ当量、より好ましくは0.4から4.0ミリ当量、最も好ましくは0.5から2.5ミリ当量の不飽和度を有することができる。
【0046】
本発明において使用されるポリエステル(カルボキシ官能性ポリエステル、ヒドロキシ官能性ポリエステル、又はエチレン性不飽和ポリエステルなど)が非晶質であることも好ましい。より好ましくは、本発明において使用されるポリエステルは、以下の特性の1つ又は複数をさらに特徴とすることもできる:
約1100から約15000ダルトン、より好ましくは約1600から約8500ダルトンのM;40から80℃のT;及び/又は175℃における約5mPa.sから200℃における約15000mPa.sの粘度。
【0047】
ポリエステルは、カルボキシ官能性である場合、(バインダーに対して)好ましくは約40から約98重量%、より好ましくは約40から約96重量%の量で存在する。ポリエステルは、ヒドロキシ官能性である場合、(バインダーに対して)好ましくは約40から約96重量%、より好ましくは約40から約95重量%の量で存在する。ポリエステルは、不飽和である場合、(バインダーに対して)約70重量%から約99重量%の量で存在することが有利である。
【0048】
調製
ポリ酸
本発明において使用されるポリエステルを調製するのに使用される酸は、好ましくは約70から約100重量%のTPA及び/又はIPAと、0から約30重量%の、1種又は複数の脂肪族二酸、脂環式二酸、及び/又は芳香族二酸から選択することができる別のポリ酸とを含んでもよい。より好ましくは、こうした他のポリ酸は、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、トリメリト酸、若しくはピロメリト酸、それらの対応する無水物のいずれか、及び/又はそれらの任意の混合物を含んでもよい。最も好ましくは、アジピン酸及び/又は無水トリメリト酸を使用して、本明細書に記載される多価アルコールと反応させて、本発明の組成物中のポリエステル成分を調製する。
【0049】
ポリオール
ポリエステルを調製するのに使用されるポリオールは、好ましくはポリオールに対して約0から85重量%のNPGと、ポリオールに対して100から15重量%の、より好ましくは1種又は複数の(シクロ)脂肪族グリコールから選択することができるグリコールなどの別の多価アルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ネオペンチルグリコールのヒドロキシピバリン酸エステル、グリセロール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、及び/又はそれらの混合物とを含む。最も好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセロール、及び/又はトリメチロールプロパンを使用して、本明細書に記載される酸と反応させて、本発明の組成物中のポリエステル成分を調製する。
【0050】
本発明において使用されるポリエステルを調製するのに使用されるポリオールは、好ましくは約0から80重量%のNPGと、100から20重量%の、より好ましくは1種又は複数の(シクロ)脂肪族グリコールから選択することができるグリコールなどの別の多価アルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ネオペンチルグリコールのヒドロキシピバリン酸エステル、グリセロール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、及び/又はそれらの混合物とを含むことができる。最も好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセロール、及び/又はトリメチロールプロパンを使用して、本明細書に記載される酸と反応させて、本発明の組成物中のポリエステル成分を調製する。
【0051】
ポリオールは、(0から)75重量%まで、70重量%まで、より好ましくは65重量%まで、60重量%まで、ことによると55重量%まで、50重量%まで、又は45重量%までのNPGを含むことが有利である。より好ましくは、ポリエステルを調製するのに使用されるポリオールは、50重量%以下のNPGを含む。好ましくは、ポリオールは、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、ことによると少なくとも45重量%、少なくとも50重量%、又は少なくとも55重量%の前記他の多価アルコールを含む(好ましいアルコールについては、上記及び下記を参照のこと)。
【0052】
最も好ましくは、前記他の多価アルコールは、エチレングリコール及び/又はジエチレングリコールであり、ことによるとプロパンジオール、グリセロール、及び/又はトリメチロールプロパンと組み合わせる。
【0053】
ポリオールは、少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、ことによると少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、さらには少なくとも90重量%のエチレングリコール及び/又はジエチレングリコールを含むことが有利である。
【0054】
不飽和モノマー
本発明において使用されるポリエステルは、エチレン性不飽和基を含むモノマー(第3の実施形態(a)(iv)など)から調製してもよい。好ましくは、こうしたモノマーは、カルボン酸基又はイソシアナート基と反応することができる官能基も含むことができる。より好ましいモノマーは、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、メチルグリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、アクリルグリシジルエーテル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−、3−、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートから選択される。
【0055】
ポリイソシアナート
本発明において使用されるポリエステルは、ポリイソシアナート(第3の実施形態(a)(iii)など)から調製してもよい。好ましいポリイソシアナートは、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチル−シクロヘキサン(イソホロンジイソシアナート、IPDI)、テトラメチルキシレンジイソシアナート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、α,α’−ジメチル−メタ−イソプロペニルベンジルイソシアナート(TMI)の共重合生成物、2,4−ジイソシアナトトルエン、本明細書におけるジイソシアナートの高級同族体、及び/又はそれらの好適な混合物(2,4−ジイソシアナトジフェニルメタンとの技術的混合物;2,4−ジイソシアナトトルエンと2,6−ジイソシアナトトルエンの技術的混合物など)から選択される。
【0056】
エステル化
本明細書に記載されるポリエステルは、当技術分野で周知である通常のエステル化技法を使用して調製することができ、単一の反応ステップ又は複数の反応ステップで調製することができる。ポリエステルを調製するのに使用される装置も、撹拌機、不活性ガス(窒素)入口、熱電対、水冷冷却器に連結させた蒸留塔、水分離器、及び真空連結管を装備した反応器など通常のものとすることができる。反応物質の0.01から1.50重量%の量の標準的なエステル化触媒、例えば酸化ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、トリオクタン酸n−ブチルスズ、テトラ−n−ブチルチタナート、硫酸、及び/又はスルホン酸など、当業者に周知である通常のエステル化条件を使用してもよい。しかし、場合によって、はるかに少ない触媒が使用され、又は少しの触媒も使用することができない。エステル化時に、色安定化剤、Irganox 1010(Ciba)若しくはCyanox 1790(Cytec)などのフェノール系酸化防止剤、又はトリブチルホスファイトなどのホスホナイト型及びホスファイト型安定化剤などの他の任意の材料を、反応物質の0から1重量%の量で添加することもできる。
【0057】
ポリエステル化は、一般に温度を130℃から約190〜280℃に徐々に上げて、最初は常圧下で、次いで必要なときには各プロセスステップの終わりに減圧下で実施され、これらの操作条件は所望のヒドロキシ価及び/又は酸価を有するポリエステルが得られるまで維持される。エステル化度は、反応の過程において生成した水の量、及び得られたポリエステルの特性、例えばヒドロキシ価、酸価、分子量、又は粘度を決定することによって求められる。
【0058】
ポリエステルがまだ溶融状態であるうちに、架橋触媒を場合によって添加することができる。これらの触媒は、硬化時に熱硬化性粉末組成物の架橋を加速するために添加する。ポリエステルがカルボキシ官能性であるとき(第1の実施形態など)、好ましい触媒としては、とりわけアミン(例えば、2−フェニルイミダゾリン)、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン)、アンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウムブロミド又はテトラプロピルアンモニウムクロリド)、ホスホニウム塩(例えば、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド又はテトラプロピルホスホニウムクロリド)が挙げられる。ポリエステルがヒドロキシ官能性であるとき(第2の実施形態など)、好ましい触媒としては、とりわけスズ触媒(例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ又はマレイン酸ジブチルスズ、及びビスマス触媒(例えばオクタン酸ビスマス)が挙げられる。しかし、場合によって本明細書に列挙される任意の触媒を使用して、本明細書に記載されるいずれの実施形態についても調製することができる。これらの触媒は、ポリエステルの重量に対して0から5%の量で使用されることが好ましい。
【0059】
本発明において使用されるポリエステルがカルボキシ基又はヒドロキシ基を含み、エチレン性不飽和基も含むとき、重縮合が完了した後、好ましくは反応混合物を約100℃〜約160℃の温度に放冷し、ラジカル重合禁止剤(フェノチアジン、又はヒドロキノンタイプの禁止剤など)を添加してもよい。禁止剤は、ポリエステルの重量に対して0.01から1%の量で添加することができる。上記の窒素入口は、酸素入口で置き換えることもできる。
【0060】
ヒドロキシ官能性ポリエステルが本発明において使用されるとき、実質的に当量のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートをそれに添加してもよい。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートをすべて添加すると、次いで当量のジイソシアナートを混合物にゆっくりと添加してもよい。ヒドロキシ/イソシアナート反応用の触媒を場合によって使用することができる。こうした触媒の例としては、有機スズ化合物が挙げられる。これらの触媒は、ポリエステルの重量に対して0から1%の量で使用されることが好ましい。
【0061】
カルボキシ官能性ポリエステルが本発明において使用されるとき、実質的に当量のグリシジル(メタ)アクリレートをそれに添加してもよい。酸/エポキシ反応用の触媒を場合によって使用することができる。こうした触媒の例としては、アミン、ホスフィン、アンモニウム塩、又はホスホニウム塩が挙げられる。これらの触媒は、ポリエステルの重量に対して0.05から1%の量で使用されることが好ましい。
【0062】
反応の進行度は、得られたポリエステルの特性、例えばヒドロキシ価、酸価、不飽和度、及び/又は遊離グリシジル(メタ)アクリレート若しくはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの含有量の決定により監視することができる。
【0063】
架橋剤
ポリエステル樹脂がカルボキシル官能化されているとき、硬化剤は、一般にポリエポキシ化合物又はβ−ヒドロキシアルキルアミド含有化合物から選択される。
【0064】
本発明において使用してもよい好ましい架橋剤は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はフェノールノボラック型若しくはクレゾールノボラック型エポキシなど、グリシジル基含有ポリフェノキシ樹脂である。
【0065】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応から調製され、過剰なエピクロロヒドリンによって、エポキシ樹脂の数平均分子量が決まる。(さらなる情報については、参照により本明細書に組み込まれるW.G.Potter: Epoxide Resins,Springer−Verlag,New York 1970,Y.Tanaka,A.Okada,I.Tomizuka in C.A.May,Y.Tanaka(eds.): Epoxy Resins Chemistry and Technology,Marcel Dekker,New York 1973,chapter 2,pp.9−134を参照のこと)。フェノールノボラック型及びクレゾールノボラック型エポキシは、ホルムアルデヒドとフェノール又はクレゾールとの酸触媒縮合によって調製される。ノボラックとエピクロロヒドリンとのエポキシ化によって、ノボラック型エポキシが得られる。HexionのEpikote 1055、HuntsmanのAraldite GT7004又はAraldite ECN9699、DowのD.E.R.664、HexionのEpon 2002など、市販のエポキシ樹脂は、グリシジル基含有ポリフェノキシ化合物の典型例である。
【0066】
トリグリシジルイソシアヌレート(例えばAraldite PT810という商品名でHuntsmanから市販されているもの)及び/又はAraldite PT910という商品名でHuntsmanから市販されているエポキシ樹脂など、他の好ましいポリエポキシ化合物は室温において固体であり、1分子当たり少なくとも2個のエポキシ基を含む。
【0067】
好ましいβ−ヒドロキシアルキルアミドは、少なくとも1種、好ましくは2種のビス(β−ヒドロキシアルキル)アミド基を含む。より好ましいβ−ヒドロキシアルキルアミドとして、Primid XL552、Primid QM1260、及びPrimid SF 4510という商品名でEMSから市販されているもの、さらに米国特許第4727111号、米国特許第4788255号、米国特許第4076917号、EP0322834及びEP0473380に記載されているものもある。
【0068】
ポリエステル樹脂がヒドロキシ官能化されているとき、硬化剤は、一般に当技術分野で周知であるブロック又は非ブロックイソシアナート架橋剤から選択される。
【0069】
ブロックポリイソシアナート架橋性化合物の例としては、Huls B1530、Ruco NI−2、Cargill 2400、及びAdditol P 932として市販されているε−カプロラクタムでブロックされたイソホロンジイソシアナート、又はCargill 2450として市販されているε−カプロラクタムでブロックされたトルエン−2,4−ジイソシアナート、又はAdditol P 965として市販されているε−カプロラクタムでブロックされたジフェニルメタン−ジイソシアナート、並びにフェノールでブロックされたヘキサメチレンジイソシアナートをベースにするものが挙げられる。
【0070】
使用してもよいブロックポリイソシアナート化合物の別のクラスは、イソホロンジイソシアナートの1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオンダイマー及びジオールの付加物であり、付加物形成時においてNCOとOH−基との比は約1:0.5から1:0.9であり、ジアゼチジンジオンとジオールとのモル比は2:1から6:5であり、付加物中の遊離イソシアナート基の含有量は8重量パーセントを超えず、付加物は約500から4000の分子量及び約70から130℃の融点を有する。こうした付加物は、Huls BF1540という名称で市販されている。
【0071】
エチレン性官能性オリゴマー
(例えば、第3の実施形態(c)において使用される)好ましいエチレン性不飽和オリゴマーは、下記から選択することができる:
トリメチロールプロパンジアリルエーテル又はペンタエリトリトールトリアリルエーテルとポリカルボン酸若しくは無水物とのエステルなど、アリルエーテルエステル基含有オリゴマー、例えば無水トリメリト酸のトリメチロールプロパンジアリルエーテルジエステル及びトリエステル、又はアジピン酸のペンタエリトリトールトリアリルエーテルジエステル;
アリル基及びウレタン基を含むオリゴマー、例えばアリルアルコール、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアリルエーテルとイソホロンジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートとの反応から得られたもの;
トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレートなどのオリゴマー;
ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルジメタノールジビニルエーテル、ブチルジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル基含有オリゴマー;
ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル、又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアナート及び場合によってヒドロキシ官能性オリゴマー(このオリゴマーは、ポリエーテル、ポリエステル、又はポリカーボネートである)との反応から調製された、それぞれビニルエーテル及び/若しくはアリルエーテル並びに/又は(メタ)アクリレート末端基と、場合によってポリエーテル、ポリエステル、又はポリカーボネート主鎖とを有するポリウレタンオリゴマー;
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート及びトリメタクリレート;
それらの好適な混合物。
【0072】
アクリル系ポリマー
本発明において使用される好ましいアクリル系コポリマーは、さらに以下の特性のうち1つ又は複数も特徴とすることができる:約1000から約15000ダルトン、より好ましくは約3000から約10000ダルトンのM、及び/又は室温における約3mPasから200℃における50000mPas、より好ましくは100℃における100mPasから200℃における30000mPa.s、最も好ましくは170℃における60mPasから200℃における約10000mPasの粘度。
【0073】
本発明のさらに他の一実施形態において、アクリル系コポリマーは、−60から100℃、より好ましくは−40から80℃、最も好ましくは25から65℃のガラス転移温度(T)を有することができる。
【0074】
本発明のさらなる他の実施形態において、アクリル系コポリマーは、−60から100℃、より好ましくは−60から40℃、最も好ましくは−40から20℃のガラス転移温度(T)を有することができる。
【0075】
アクリル系コポリマーは、室温において液体でも、固体でもよい。
【0076】
本発明のアクリル系コポリマーは、ポリエステルの官能基と同様の官能基又はポリエステルの官能基と反応することができる官能基を有してもよい。
【0077】
カルボキシル官能性ポリエステルが使用されるとき、本発明において有用なアクリル系コポリマーは、カルボキシル官能基及び/又はグリシジル官能基を場合によって含む。カルボキシ官能基とグリシジル官能基の両方が存在する場合、両官能基は異なるポリマーに存在してもよく、又は同じポリマーに含まれていることも可能である。
【0078】
これらのアクリル系コポリマーも、架橋反応に関与しない基の例であるヒドロキシ基及び/又はイソシアナート基及び/又はエチレン性不飽和基などの他の基を含むことができる。好ましくは、こうした基は、ヒドロキシ基及び/又はエチレン性不飽和基から選択される。好ましいこうした基はヒドロキシル基である。
【0079】
ヒドロキシ官能性ポリエステルが使用されるとき、本発明において有用なアクリル系コポリマーは、ヒドロキシ官能基及び/又はイソシアナート官能基を場合によって含む。ヒドロキシ官能基とイソシアナート官能基の両方が存在する場合、両官能基は異なるポリマーに存在してもよく、又は同じポリマーに含まれていることも可能である。
【0080】
これらのアクリル系コポリマーも、架橋反応に関与しない基の例であるカルボキシ基及び/又はグリシジル基及び/又はエチレン性不飽和基などの他の基を含むことができる。
【0081】
エチレン性不飽和基含有ポリエステルが使用されるとき、本発明において有用なアクリル系コポリマーは、エチレン性不飽和基を場合によって含む。
【0082】
これらのアクリル系コポリマーも、架橋反応に関与しない基の例であるカルボキシ基及び/又はグリシジル基及び/又はヒドロキシ基及び/又はイソシアナート基などの基を(その中に)含むことができる。
【0083】
任意のカルボキシ官能性アクリル系コポリマー(単数又は複数)は、約5から約100mgKOH/g、好ましくは約10から約100mgKOH/g、より好ましくは約10から約90mgKOH/g、最も好ましくは約20から約90mgKOH/gのANを有する。
【0084】
本発明において使用されるカルボキシ官能性アクリル系コポリマーを調製するのに使用してもよい通常のカルボキシ官能性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、及びシトラコン酸、並びにイタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のモノアルキルエステル、並びに/又はそれらの任意の混合物を含む。
【0085】
任意のグリシジル官能性アクリル系コポリマー(単数又は複数)は、エポキシ1当量当たりアクリル系コポリマー約150から約1000g、より好ましくは約250から約800gのエポキシ当量を特徴とする。
【0086】
本発明において使用されるグリシジル官能性アクリル系コポリマーを調製するのに使用してもよい好都合なグリシジル官能性モノマーは、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、メチルグリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、アクリルグリシジルエーテル、及び/又はそれらの任意の混合物を含む。
【0087】
任意のヒドロキシ官能性アクリル系コポリマー(単数又は複数)は、約5から約250mgKOH/g、通常約10から約200mgKOH/g、有利なことには約10から約180mgKOH/gのヒドロキシ価(OHN)を有することができる。
【0088】
より好ましい、任意のヒドロキシ官能性アクリル系コポリマー(単数又は複数)は、約10から約100mgKOH/g、はるかにより好ましくは約20から約90mgKOH/gのヒドロキシ価(OHN)を有する。
【0089】
本発明において使用されるヒドロキシ官能性アクリル系コポリマーを調製するのに使用してもよい好都合なヒドロキシ官能性モノマーは、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−及び3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−及び3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−、3−、及び4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−、3−、及び4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=5)、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=10)、並びに/又はそれらの任意の混合物を含む。
【0090】
任意のイソシアナート官能性アクリル系コポリマー(単数又は複数)は、イソシアナート1当量当たりアクリル系コポリマー約250から約1100g、より好ましくは約350から約700gのイソシアナート当量を特徴とする。
【0091】
本発明において使用されるイソシアナート官能性アクリル系コポリマーを調製するのに使用してもよい好都合なイソシアナート官能性モノマーは、2−イソシアナトエチルメタクリレート、メタクリロイルイソシアナート、1−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−3−(1−メチルエテニル)ベンゼン、及び/又はそれらの任意の混合物を含む。
【0092】
任意のエチレン性不飽和基含有アクリル系コポリマーは、アクリル系コポリマー1グラム当たり二重結合0.35から3.5ミリ当量、好ましくは0.5から2.5ミリ当量の不飽和度を有し、それに応じて2ステッププロセスで調製される。第1のステップにおいて調製された、アクリル系コポリマーの官能基と反応することができる官能基を有する(メタ)アクリロイル基含有モノマーを、第2のステップにおいて官能基を有するアクリル系コポリマーと反応させる。
【0093】
したがって、第1のステップにおいて調製されたアクリル系コポリマーがグリシジル基を含有する場合、例えばアクリル酸又はメタクリル酸と反応させてもよい。逆に、アクリル系コポリマーが、例えばアクリル酸又はメタクリル酸によって導入されたカルボキシル基を含有する場合、グリシジル又はβ−メチルグリシジルアクリレート若しくはメタクリレートと反応させてもよい。アクリル系コポリマーがイソシアナト基を含有する場合、ヒドロキシエチルアクリレート又はメタクリレートなどと反応させてもよい。
【0094】
他の共重合可能なモノマーも使用することができ、こうしたモノマーは、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、シンナミル(メタ)アクリレート、クロチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、メタリル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、及びクロトン酸のエステル;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及びシトラコン酸のジエステル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルクロリド、ビニリデンフルオリドエチレン、プロピレン、アルキル置換スチレン、クロロ置換スチレン、C4〜20オレフィン、α−オレフィン、及び/又はそれらの任意の混合物
から選択することができる。
【0095】
アクリル系コポリマーがカルボキシ官能基、グリシジル官能基、及び/又は(メタ)アクリロイル官能基を含むとき、他の共重合可能なモノマーは、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−及び3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−及び3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−、3−、及び4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−、3−、及び4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=5)、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=10)、2−イソシアナトエチルメタクリレート、メタクリロイルイソシアナート、1−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−3−(1−メチルエテニル)ベンゼン、並びに/又はそれらの任意の混合物から選択することもできる。
【0096】
アクリル系コポリマーがヒドロキシ官能基、イソシアナート官能基、及び/又は(メタ)アクリロイル官能基を含むとき、他の共重合可能なモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、及びシトラコン酸、並びにイタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のモノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、メチルグリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、アクリルグリシジルエーテル、並びに/又はそれらの混合物から選択することもできる。
【0097】
本発明のアクリル系コポリマーは、(A)30から100モル%の、(場合によってハロゲン化された)メチル(メタ)アクリレート及び/又は(場合によってハロゲン化された)エチル(メタ)アクリレート、及び/又は(メタ)アクリロイル基含有モノマーと異なるエチレン性不飽和モノマーと、(B)0から60モル%の、1種又は複数の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマー(ここで(シクロ)アルキル基は3から20個の炭素原子を含み、前記(シクロ)アルキル基は、好ましくはプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、トリデシル、シクロヘキシル、イソボルニル、又はジヒドロジシクロペンタジエニルから選択されることを特徴とする)と、(C)0から45モル%のモノマーであって、エチレン性不飽和二重結合、並びにカルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシ基、及び/又はイソシアナート基から選択される官能基を有するモノマーとから構成される(又は得られる)ことが有利である。
【0098】
ハロゲン化エチル(メタ)アクリレートの例は、トリフルオロ−エチル−メタクリレート(MATRIFE)である。
【0099】
エチル(メタ)アクリレート、より好ましくはエチルアクリレートの量は、60モル%未満、好ましくは40モル%未満、より好ましくは20モル%未満、最も好ましくは10モル%未満、又はさらには5モル%未満であることが有利である。ことによると、アクリル系コポリマーは、いずれのエチル(メタ)アクリレートも含まず、さらに具体的にはエチルアクリレートを含んでいない。
【0100】
アクリル系コポリマーは、化合物(A)として、30から100モル%の前記メチル(メタ)アクリレート及び/又は前記(メタ)アクリロイル基含有モノマーと異なるエチレン性不飽和モノマーを含むことが有利である。
【0101】
前記メチル(メタ)アクリレート及び/又は前記エチル(メタ)アクリレート(存在する場合)及び/又は前記(メタ)アクリロイル基含有モノマーと異なるエチレン性不飽和モノマーの量は、好ましくは少なくとも40モル%、少なくとも50モル%、より好ましくは少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも85モル%である。
【0102】
好ましくは、これらの化合物の量は、最大99モル%、最大98モル%、より好ましくは最大97モル%、最も好ましくは最大96モル%である。本明細書では、下限のいずれかと上限のいずれかを組み合わせることができる。
【0103】
好ましい範囲は、30から98モル%、30から95モル%、より好ましくは60から95モル%である。
【0104】
本発明の目的に適した(メタ)アクリロイル基含有モノマーと異なるエチレン性不飽和モノマーの例は、スチレン(スチレン及び/又はα−メチル−スチレンなど)及び/又はジイソプロピルマレエートである。
【0105】
好ましくは、本発明のアクリル系コポリマーは、メチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチル−スチレン、及び/又はMATRIFEの少なくとも1つを含む。より好ましくは、アクリル系コポリマーは、メチル(メタ)アクリレート、α−メチル−スチレン、及び/又はスチレンの少なくとも1つを、ことによるとMATRIFE及び/又はジイソプロピルマレエートと組み合わせて含む。
【0106】
3から20個の炭素原子を含む(シクロ)アルキル基を有する1種又は複数の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマーの量は、0から60モル%、好ましくは0から50モル%、より好ましくは0から40モル%であることが有利である。
【0107】
好ましくは、こうした(シクロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマーの量は少なくとも5モル%である。本明細書では、上限のいずれかと下限のいずれかを組み合わせることができる。
【0108】
本発明のアクリル系コポリマーは、0から45モル%のモノマーであって、エチレン性不飽和二重結合、並びに、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシ基、及び/又はイソシアナート基から選択される官能基を有するモノマーを含むことが有利である。前記量は、最大40モル%、好ましくは最大35モル%、より好ましくは最大30モル%であることが有利である。本発明のアクリル系コポリマーが官能性である(さらに具体的には、前記第2の官能性を含む)場合、この量は、好ましくは少なくとも2モル%、より好ましくは少なくとも5モル%である。アクリル系コポリマーが非官能性である場合、この量は0モル%である。本明細書では、下限のいずれかと上限のいずれかを組み合わせてもよい。
【0109】
本発明のアクリル系コポリマーは、好ましくは(A)30から95モル%の、メチル(メタ)アクリレート及び/又はエチル(メタ)アクリレート及び/又は、(メタ)アクリロイル基含有モノマーと異なるエチレン性不飽和モノマーと、(B)5から60モル%の、1種又は複数の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマー(ここで(シクロ)アルキル基は3から20個の炭素原子を含み、前記(シクロ)アルキル基は、好ましくはプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、トリデシル、シクロヘキシル、イソボルニル、又はジヒドロジシクロペンタジエニルから選択されることを特徴とする)と、(C)0から45モル%のモノマーであって、エチレン性不飽和二重結合、並びにカルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシ基、及び/又はイソシアナート基から選択される官能基を有するモノマーとから構成されることが有利である。
【0110】
本発明のアクリル系コポリマーは、好ましくは(A)60から95モル%の、メチル(メタ)アクリレート及び/又はエチル(メタ)アクリレート、及び/又は(メタ)アクリロイル基含有モノマーと異なるエチレン性不飽和モノマーと、(B)0から50モル%、より好ましくは5から50モル%の、1種又は複数の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマー(ここで(シクロ)アルキル基は3から20個の炭素原子を含み、前記(シクロ)アルキル基は、好ましくはプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、トリデシル、シクロヘキシル、イソボルニル、又はジヒドロジシクロペンタジエニルから選択されることを特徴とする)と、(C)0から45モル%、より好ましくは0から30モル%のモノマーであって、エチレン性不飽和二重結合、並びに、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシ基、及び/又はイソシアナート基から選択される官能基を有するモノマーとから構成される(又は得られる)。
【0111】
アクリル系コポリマーの構成要素(A)、(B)、(C)の(総)量は、100モル%を超えないことが有利であり、好ましくは100モル%に等しい。
【0112】
ポリエステル(単数又は複数)の官能性に応じた好ましい官能基については、下記を参照のこと。
【0113】
(本発明のいずれの実施形態においても)アクリル系コポリマーは、定義される第2の官能性を含んでも、含まなくてもよい。(前記第2の官能性に加えて、好ましくはその代わりに)、アクリル系コポリマーは、他の基を含んでもよい(例えば、ポリエステルがカルボキシル官能性であるときヒドロキシル基を含んでもよい)。アクリル系コポリマーは、官能性、官能基を含まないことが有利である。
【0114】
アクリル重合
アクリル系コポリマーは、いずれの通常の重合技法によっても、有機溶媒中、塊、乳濁液、又は溶液として調製することができる。好適な溶媒としては、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、及び/又はキシレンが挙げられる。モノマーは、モノマーの0.1から4.0重量%を表す量のラジカル重合開始剤(過酸化ベンゾイル、ジブチルペルオキシド、アゾ−ビス−イソブチロニトリルなど)の存在下で共重合することができる。
【0115】
分子量及びその分布の良好な制御を実現するために、好ましくはn−ドデシルメルカプタン、t−ドデカンチオール、イソ−オクチルメルカプタンなどのメルカプタンタイプの連鎖移動剤、又は四臭化炭素、ブロモトリクロロメタンなどのハロゲン化炭素タイプの連鎖移動剤を反応の過程において添加することができる。連鎖移動剤は、共重合において使用されるモノマーの10重量%までの量で使用することができる。
【0116】
重合は、通常の条件及び装置で実施することができる。一般に、撹拌機、凝縮器、不活性ガス(例えば、窒素)入口及び出口、並びに定量ポンプフィードシステムを装備した円柱状二重壁反応器を使用して、アクリル系コポリマーを調製する。したがって、重合が、例えば溶液中で実施されるとき、不活性ガス(窒素、二酸化炭素など)雰囲気下で有機溶媒を反応器に導入し、還流温度に加熱し、次いで必要とされるモノマーの均質な混合物、ラジカル重合開始剤、及び必要に応じて連鎖移動剤を、溶媒に数時間にわたって徐々に添加することができる。反応混合物を、撹拌しながら指示された温度に何時間か維持することができる。続いて、得られたコポリマーから、必要に応じて溶媒を真空中で除去することができる。
【0117】
場合によって、官能化されたアクリル系コポリマーを、エチレン性不飽和基とアクリル系コポリマーの官能基と反応させることができる官能基とを両方含む第2のモノマーと反応させる第2のステップを行うことができる。この第2のステップは、(メタ)アクリロイル基を含むアクリル系コポリマーを調製するのに必要とされる(この場合、第2のモノマーは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を含む)。
【0118】
第2のステップ反応は、第1のステップで上述されたようにバルクでも、溶媒中でも実施することができる。官能基を保有するアクリル系コポリマーと、反応物質の0.01から1重量%の割合でラジカル重合禁止剤と、場合によって反応物質の0.01から1重量%の割合で触媒とを含有する反応混合物に、50〜180℃の温度でモノマーをゆっくりと添加する。反応混合物を連続的に数時間撹拌する。反応の進行を滴定によって追跡する。第2の反応ステップが完了すると、好ましくは薄膜蒸発器を使用して、真空中でエチレン性官能性アクリル系コポリマーを溶媒から分離する。
【0119】
粉末組成物
上述された成分に加えて、他の通常の材料:フローコントロール剤(flow control agents)(例えば、Resiflow PV5(Worlee)、Modaflow及びAdditol(Cytec Surface Specialities)、Acronal 4F(BASF))、Solplus L300やL400(Lubrizol)などの分散剤、ベンゾイン(BASF)などの脱気剤; tribo 添加剤(Additol P 950(Cytec Surface Specialities)など)、UV光吸収剤(Tinuvin 900(Ciba)、ヒンダードアミン光安定化剤、例えばTinuvin 144(Ciba)又はCyasorb UV3853(Cytec)など)、抗酸化剤(Irganox 1010(Ciba)など)、他の安定化剤(Tinuvin 312及び1130(Ciba)及び/又はホスホナイト若しくはホスファイト安定化剤など)などを本発明の組成物に添加することができる。本発明の粉末コーティング組成物は、少なくとも1種のフローコントロール剤(上記に列挙されたもの又は当技術分野で公知のもののいずれか)を含むことが有利である。顔料含有系及びクリアラッカーは両方とも、調製することができ、種々の染料及び顔料を使用して、本発明の組成物を調製することができる。有用な顔料及び染料の例は、金属酸化物(二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛など)、金属水酸化物、金属粉末、スルフィド、スルフェート、カーボネート、アンモニウムシリケートなどのシリケート、カーボンブラック、タルク、チャイナクレー、重晶石、紺青色、鉛青色、有機赤色、及び/又は有機栗色である。
【0120】
本発明による組成物の成分は、ミキサー又はブレンダー(例えば、ドラムミキサー)中でドライブレンドすることによって混合してもよい。次いで、このプレミックスを、BUSS−Ko−Kneterなどの単軸押出機又はPRISM若しくはAPVなどの二軸押出機で、70から150℃の範囲の温度において均質化してもよい。押出物は、冷却すると、10から150μmの範囲の粒径の粉末に粉砕することができる。静電コロナガン又は摩擦ガン(TRIBO gun)などの粉体ガンの使用により、粉末状の組成物を基材に被着させてもよい。流動床技法などの周知の粉体被着の代替方法も使用することができる。被着した後、粉末を120〜250℃の温度に加熱し、粒子の流動及び融着を引き起こして、基材表面に欠陥のないコーティングを形成してもよい。
【0121】
本発明の他の多くの変形形態は、当業者に自明であり、こうした変形は、本発明の広い範囲内で考えられる。本発明のさらなる実施形態、態様、及びその好ましい特徴は、本願の特許請求の範囲に記載されている。本発明のいくつかの特徴は、明確にするため別々の実施形態の文脈に記載されているが、組み合わされて単一の実施形態として提供されることもあり得ることを理解されたい。逆に、本発明の様々な特徴が、簡潔にするため単一の実施形態の文脈に記載されているが、別々に、又はいずれかの好適な副次的組合せとして提供されることもあり得る。
【0122】
例えば、「Powder Coatings− Chemistry and technology, T.A. Misev, 1991 J. Wiley & Sons Ltd」(その内容、特に42から82、131から162、及び224から284の節は、参照により本明細書に組み込まれる)における粉末組成物中で使用される他の通常の用語及び材料は、当業者に周知である。
【実施例】
【0123】
次に、以下の非限定的な実施例を参照して、本発明を詳細に説明するが、それらは例示のためのものにすぎない。
【0124】
(例1)(ポリエステル)
撹拌機、水冷凝縮器に連結させた蒸留塔、窒素用入口、及び温度調節器に取り付けた温度計を装備した通常の四ッ口丸底フラスコに、14.55部のジエチレングリコール、18.07部のエチレングリコール、及び1.53部のペンタエリトリトールを投入する。フラスコの内容物を、窒素下で撹拌しながら、約140℃の温度に加熱し、その時点で70.13部のテレフタル酸及び0.10部のモノブチルスタンノン酸を添加する。理論量の水の約95%が蒸留され、透明なヒドロキシ官能化プレポリマーが得られるまで、240℃、大気圧下で反応を継続する。このプレポリマーを200℃に保持し、次のステップにおいて、10.81部のイソフタル酸を添加し、次いで混合物を230℃に徐々に加熱する。230℃で2時間経過した後、反応混合物が透明になると、0.09部のトリブチルホスファイトを添加し、反応容器の圧力を50mmHgに徐々に下げる。230℃、圧力50mmHgで3時間経過した後、AN 50mgKOH/g、粘度=200℃において4500mPa.sの生成物が得られる。ポリエステルを180℃で静置し、0.98部のジメチルラウリルアミンを添加する。30分撹拌した後、反応器の内容物を取り出す。
【0125】
(例2及び3)(ポリエステル)
表1に示された材料を使用して、例1と同様にして、例2及び3を調製した。得られたポリエステルの特性も表1に記載する。
【表1】

【0126】
(例4)(アクリル系コポリマー)
撹拌機、水冷凝縮器、窒素用入口、及び温度調節器に取り付けた熱電対を装備した5lの二重壁フラスコに、マレイン酸ジイソプロピル(17.62部)を添加する。次いで、窒素をマレイン酸ジイソプロピルに通してパージしながら、フラスコの内容物を加熱し、連続的に撹拌する。170℃の温度において、1.1部のジtert−ブチルペルオキシドと、48.75部のスチレンと、23.35部のブチルアクリレートと、9.83部のアクリル酸との混合物を、蠕動ポンプを用いて5時間で添加する。次の特性を有するカルボキシル基含有アクリル系コポリマーが得られるまで、反応を170℃で継続する。AN(mgKOH/g)=76;粘度=170℃において7500mPa.s;M=3400;重量平均分子量(M)=12800;T=55℃。
【0127】
(例5)(アクリル系コポリマー)
例4と同様にして、二重壁フラスコにマレイン酸ジイソプロピル(44部)を添加する。次いで、窒素を溶媒に通してパージしながら、フラスコの内容物を加熱し、連続的に撹拌する。170℃の温度において、1.10部のジtert−ブチルペルオキシドと、109部のスチレンと、25部のイソ−ボルニル−アクリレートと、71.00部のグリシジルメタクリレートとの混合物を、蠕動ポンプを用いて約6時間でフラスコに供給する。添加が完了すると、170℃でさらに2時間反応を継続する。次いで、わずかな真空を10分間かけて、未反応モノマーを除去し、その後、樹脂を吐出し、次の特性が得られる:
ブルックフィールド170℃(円錐/平板)5090mPa.s
Mn 2500
Mw 7500
エポキシ当量 515g/当量
(DSC、20℃/分) 50℃
【0128】
(例6〜10)(粉末組成物)
次いで、上記で調製された樹脂を、最初に種々の成分をドライブレンドし、次いでPRISM二軸押出機(16mm、L/D 15/1)を押出温度85℃で使用して、溶融物を均質化することによって、(下記の表2に記載された処方の)白色粉末にフォーミュレートする。次いで、均質化された混合物を冷却し、Alpine粉砕機で粉砕する。次いで、粉末を篩にかけ、10〜110μmの粒径の画分を選択して、コーティング及び試験を行う。
【表2】

【0129】
処方中のバインダーは、例1から3のポリエステルの1つと、例4及び5のアクリル系コポリマーの1つと、カルボキシ官能性ポリエステル及びアクリル系コポリマーと反応する官能基を有する硬化剤とを含む(詳細は下記の表3に記載されている)。
【0130】
試験結果
このようにして得られた粉末を、GEMA−Volstatic PCG 1スプレーガンを使用して、静電蒸着法で冷間圧延鋼(厚さ0.8mm)上に被着する。コーティング被膜の厚さが約80μmに到達すると、パネルを換気オーブンに移し、硬化を温度180℃で15分間進行させる。
【0131】
仕上げコーティングのためのペイント特性を下記の表3に記載する。
カラム1:処方のID番号
カラム2:非晶質ポリエステルのタイプ及び量
カラム3:アクリル系コポリマーのタイプ及び量
カラム4:硬化剤のタイプ及び量
PT810=Araldite 810(Huntsman)=トリグリシジルイソシアヌレート
EP3003=Epikote 3003(Hexion)ビスフェノールA型エポキシ樹脂
XL552=Primid XL552(EMS)=N,N,N’,N’−テトラキス−(2−ヒドロキシエチル)−アジパミド
カラム5:目視評価で、10は、非常に滑らかで高光沢のコーティングを表し、0は、60°の光沢値が低下した強いオレンジピールのコーティングを表す。
カラム6:ピンホールやクレーターなどのコーティング欠陥の程度
M0は欠陥がないことを示し、M5は欠陥が多数あることを示し、
G0は欠陥が小さいことを示し、G5は欠陥が大きいことを示す。
カラム7:本発明の粉末をCrylcoat 2425−0(Cytec)をベースにした0.1%のTGIC粉末で汚染した後である点以外は、カラム8と同様のコーティング欠陥の程度
【表3】


例6から10のコーティングはすべて、180℃で15分間硬化した後に顕著な可とう性(ASTM D2794に準拠して、DI/RI=200/200kg.cm)を示す。
【0132】
(比較例1〜4)
比較のために、上記で調製された例1から3のポリエステル樹脂を、上述と同じ方法で、下記の表4に記載された白色粉末にフォーミュレートする。やはり上述したように、コーティングを調製し、試験する。
【表4】

【0133】
これらの比較例のバインダーは、硬化剤及びポリエステルを含有するが、アクリル系コポリマーを含有しない。さらに詳細については、下記の表5に記載する。
【表5】

【0134】
結果の比較
0%から72重量%までのNPGを含むポリオールから調製されたカルボキシル官能性非晶質ポリエステルを含むバインダーから得られた、硬化後の粉末コーティングには、架橋剤を使用してもやはり多くの表面欠陥(クレーター、フィッシュアイ、及びピンホールなど)が含まれていることが、表5からわかる。これは、従来技術から予想され得ることである。
【0135】
しかし、非常に驚くべきことに、表5のバインダー系に少量のアクリル系コポリマーを添加したのと同一のバインダー系を使用した本発明の粉末から、欠陥のない素晴らしく滑らかなコーティングが得られることが、表3の結果からわかる。これらの結果から、本発明の粉末が、通常の粉末コーティング配合物による汚染に対して全く影響されないこともわかる。
【0136】
(例11)(ヒドロキシル官能性ポリエステル)
撹拌機、水冷凝縮器に連結させた蒸留塔、窒素用入口、及び温度調節器に取り付けた温度計を装備した通常の四ッ口丸底フラスコに、229.35部のエチレングリコールと、118.15部のジエチレングリコールと、22.11部のトリメチロールプロパンとの混合物を投入する。130℃の温度において、672.43部のテレフタル酸、123.34部のイソフタル酸、及び0.80部のブチルスタンノイック(butyl stannoic)を添加する。理論量の水の約95%が蒸留され、透明なポリエステルが得られるまで、220℃、大気圧下で反応を継続する。次いで、50mmHgの真空を徐々にかける。230℃及び50mmHgで3時間経過した後、次の特性が得られる;
AN 3.5mgKOH/g
OHN 27mgKOH/g
ブルックフィールド200℃(円錐/平板) 10300mPa.s
【0137】
このようにして得られたポリエステルに、6.00部のジラウリン酸ジブチルスズを200℃で添加する。
【0138】
(例12)(不飽和ポリエステル)
撹拌機、水冷凝縮器に連結させた蒸留塔、窒素用入口、及び温度調節器に取り付けた温度計を装備した通常の四ッ口丸底フラスコに、239.34部のネオペンチルグリコールと、92.10部のエチレングリコールと、36.82部のジエチレングリコールと、10.43部のトリメチロールプロパンとの混合物を投入する。
【0139】
130℃の温度において、640.03部のテレフタル酸、及び0.70部のブチルスタンノン酸を添加する。理論量の水の約95%が蒸留され、次の特性を有する透明なヒドロキシ官能化プレポリマーが得られるまで、220℃、大気圧下で反応を継続する。
AN 6mgKOH/g
OHN 55mgKOH/g
【0140】
210℃に置かれている第1のステップのプレポリマーに、79.74部のフマル酸を添加する。210℃で2時間経過した後、次の特性が得られるまで、50mmHgの真空を徐々にかける:
AN 35.5mgKOH/g
OHN 3mgKOH/g
ブルックフィールド175℃(円錐/平板) 3790mPa.s
【0141】
続いて、カルボキシル官能化ポリエステルを150℃に冷却し、0.58部のジ−t−ブチルヒドロキノンを4.73部のエチルトリフェニルホスホニウムブロミドと一緒に添加すると共に、47.97部のグリシジルメタクリレートをゆっくりと供給する。次の特性が得られるまで、混合物を酸素下150℃で1時間撹拌する:
AN 14.3mgKOH/g
OHN 23mgKOH/g
ブルックフィールド200℃ 3300mPa.s
Tgクエンチ(DSC、20°/分) 47℃
【0142】
(例13)(非官能性アクリル系コポリマー)
例4と同様に窒素を穏やかにオーバーフローさせた条件下で、392.16重量部のn−ブチルアセテートを二重壁フラスコに投入する。
【0143】
次いで、窒素を溶媒に通してパージしながら、フラスコの内容物を加熱し、連続的に撹拌する。125℃の温度において、別の98.04部のn−ブチルアセテートに可溶化させた9.80部のtert−ブチルペルオキシベンゾエートを、蠕動ポンプを用いて215分で反応器に供給する。
【0144】
開始剤添加を開始して5分後に、98.04部のスチレン、95.49部のブチルアクリレート、140.10部のn−ブチルメタクリレート、156.57部のメチルメタクリレート、及び9.80部のn−ドデシルメルカプタンを、蠕動ポンプを用いて約180分でフラスコに供給する。添加が完了すると、125℃でさらに100分間反応を継続する。次いで、ロータリーエバポレータを用いて、反応混合物を175℃、600ミリバールの減圧で30分間加熱して、ストリッピングを行う。このようにして30分後、温度は175℃に維持するが、圧力は、次の特性を有するアクリル系コポリマーが得られるまでさらに90分間50ミリバールに下げる:
ブルックフィールド200℃(円錐/平板) 8300mPa.s
Mn 7560
Mw 19202
Tg(DSC、20℃/分) 51℃
【0145】
(例14〜15)(粉末組成物)
次いで、例11のヒドロキシル官能性ポリエステル及び例12の不飽和ポリエステルを、下記(表6)に記載された処方に従って粉末にフォーミュレートする。量:相対重量
【表6】


B1530:ブロックイソホロンジイソシアナート(Vestagon)
**Modaflow
***Modaflow P6000
【0146】
試験結果
上述したように、コーティングを調製し、試験する。(ヒドロキシル官能性ポリエステルのため)200℃で18分間の硬化スケジュールを用いた後、及び(不飽和ポリエステルのため)140℃で3分間溶融し(中赤外及び対流)、3m/分で照射(H+Vバルブ、それぞれ160W)した後、それぞれDI/RI=200/200kg.cm(例14)及びDI/RI=100/80kg.cm(例15)の良好な可とう性と、良好な耐MEK性(両方とも、MEK摩擦(MEK−rubs)>200回)とが得られた。比較例について、同じ硬化スケジュールにかけると、同様の特性が得られた。これらの比較例のバインダーは、硬化剤及びポリエステルを含有するが、アクリル系コポリマーを含有しない。
【0147】
もう一度、欠陥のない素晴らしく滑らかなコーティングが本発明の粉末から得られるが、比較例による粉末からは得られない。
【0148】
(例16)(非官能性アクリル系コポリマー)
例4と同様に窒素を穏やかにオーバーフローさせた条件下で、395.06重量部のn−ブチルアセテートを二重壁フラスコに投入する。
【0149】
次いで、窒素を溶媒に通してパージしながら、フラスコの内容物を加熱し、連続的に撹拌する。125℃の温度において、別の98.77部のn−ブチルアセテートに可溶化させた12.35部のtert−ブチルペルオキシベンゾエートを、蠕動ポンプを用いて215分で反応器に供給する。
【0150】
開始剤添加を開始して5分後に、87.15部のスチレン、65.66部のn−ブチルメタクリレート、341.02部のメチルメタクリレートを、蠕動ポンプを用いて約180分でフラスコに供給する。添加が完了すると、125℃でさらに100分間反応を継続する。次いで、ロータリーエバポレータを用いて、反応混合物を175℃、600ミリバールの減圧で30分間加熱して、ストリッピングを行う。このようにして30分後、温度は175℃に維持するが、圧力は、次の特性を有するアクリル系コポリマーが得られるまでさらに90分間50ミリバールに下げる:
ブルックフィールド200℃(円錐/平板) 6800mPa.s
Mn 7690
Mw 21530
Tg(DSC、20℃/分) 87℃
【0151】
(例17)(非官能性アクリル系コポリマー)
撹拌機、水冷凝縮器、窒素用入口、及び温度調節器に取り付けた熱電対を装備した5lの二重壁フラスコに、マレイン酸ジイソプロピル(10.6部)を添加する。次いで、窒素をマレイン酸ジイソプロピルに通してパージしながら、フラスコの内容物を加熱し、連続的に撹拌する。170℃の温度において、0.5部のジtert−ブチルペルオキシドと、12.7部のスチレンと、5.9部のブチルアクリレートと、70.8部のメチルメタクリレートとの混合物を、蠕動ポンプを用いて8時間で添加する。次の特性を有するアクリル系コポリマーが得られるまで、反応を170℃で継続する。粘度=170℃において4500mPa.s;Tg=40℃。
【0152】
(例18)(非官能性アクリル系コポリマー)
撹拌機、水冷凝縮器、窒素用入口、及び温度調節器に取り付けた熱電対を装備した5lの二重壁フラスコに、マレイン酸ジイソプロピル(10.6部)を添加する。次いで、窒素をマレイン酸ジイソプロピルに通してパージしながら、フラスコの内容物を加熱し、連続的に撹拌する。170℃の温度において、0.5部のジtert−ブチルペルオキシドと、13.5部のブチルアクリレートと、75.8部のメチルメタクリレートとの混合物を、蠕動ポンプを用いて5時間で添加する。次の特性を有するアクリル系コポリマーが得られるまで、反応を170℃で継続する。粘度=170℃において12000mPa.s;Tg=37℃。
【0153】
上記例6及び例7で例示されたように、例16から18のアクリル系コポリマーを、より低量のNPGから調製された同じ又は別のカルボキシ官能性ポリエステルを用いて粉末にフォーミュレートした。それらを用いて得られたコーティングは、素晴らしく滑らかであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダーとして、
(A)85重量%までのネオペンチルグリコールを含むポリオールから調製された、第1の官能性を含むポリエステルと、
(B)第2の官能性を含んでもよい、バインダーの10重量%までの量のアクリル系コポリマーと、
(C)任意の付加的材料と
の混合物を含む粉末組成物であって、
(I)第1の官能性はカルボキシであり、第2の官能性が存在する場合それは、カルボキシ及び/又はグリシジルから選択され、付加的材料は、ポリエステルのカルボキシと反応することができる官能基を有する架橋剤を含み、或いは
(II)第1の官能性はヒドロキシであり、第2の官能性が存在する場合それは、ヒドロキシ基及び/又はイソシアナート基から選択され、付加的材料は、ポリエステルのヒドロキシと反応することができる官能基を有する架橋剤を含み、或いは
(III)第1の官能性と、第2の官能性が存在する場合それは、エチレン性不飽和基であり、付加的材料が存在する場合それは、エチレン性不飽和基を有する1種又は複数のオリゴマーを含み、粉末組成物は放射線硬化性である
上記粉末組成物。
【請求項2】
ポリエステル(A)が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ネオペンチルグリコールのヒドロキシピバリン酸エステル、グリセロール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、及び/又はそれらの混合物のうちの1つ又は複数から選択される別の多価アルコールをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アクリル系コポリマーが、(A)30から100モル%のメチル(メタ)アクリレート及び/又はエチル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリロイル基含有モノマーと異なるエチレン性不飽和モノマーと、(B)0から60モル%の1種又は複数の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマー((シクロ)アルキル基は3から20個の炭素原子を含み、好ましくはプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、トリデシル、シクロヘキシル、イソボルニル、又はジヒドロジシクロペンタジエニルから選択されることを特徴とする)と、(C)エチレン性不飽和二重結合、並びにカルボキシル、グリシジル、ヒドロキシ、及び/又はイソシアナート基から選択される官能基を有する、0から45モル%のモノマーとから得られる、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
アクリル系コポリマーが、(A)30から95モル%のメチル(メタ)アクリレート及び/又はエチル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリロイル基含有モノマーと異なるエチレン性不飽和モノマーと、(B)5から60モル%の1種又は複数の(シクロ)アルキル(メタ)アクリレートモノマー((シクロ)アルキル基は3から20個の炭素原子を含み、好ましくはプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル、トリデシル、シクロヘキシル、イソボルニル、又はジヒドロジシクロペンタジエニルから選択されることを特徴とする)と、(C)エチレン性不飽和二重結合、並びにカルボキシル、グリシジル、ヒドロキシ、及び/又はイソシアナート基から選択される官能基を有する、0から45モル%のモノマーとから構成される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アクリル系コポリマー中の化合物(単数又は複数)(A)の量が少なくとも60モル%である、請求項1から4までのいずれか一項に記載の粉末組成物。
【請求項6】
アクリル系コポリマーが、バインダーに対して0.3から5重量%の量で存在する、請求項1から5までのいずれか一項に記載の粉末組成物。
【請求項7】
ポリオールが、0から80重量%のNPGと20から100重量%の別の多価アルコールとから調製される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の粉末組成物。
【請求項8】
他のアルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセロール、及び/又はトリメチロールプロパンから選択される、請求項1から7までのいずれか一項に記載の粉末組成物。
【請求項9】
ポリオールが、ネオペンチルグリコールを50重量%以下で含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載の粉末組成物。
【請求項10】
アクリル系コポリマーが前記第2の官能性を含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載の粉末組成物。
【請求項11】
アクリル系コポリマーが前記第2の官能性を含まない、請求項1から10までのいずれか一項に記載の粉末組成物。
【請求項12】
ポリエステルが非晶質である、請求項1から11までのいずれか一項に記載の粉末組成物。
【請求項13】
(A)ポリエステルがカルボキシ官能基を含み、
(B)アクリル系コポリマーが、カルボキシ官能基及び/又はグリシジル官能基を場合によって含み、
(C)付加的材料が、ポリマー(単数又は複数)のカルボン酸基と反応することができる官能基を有する架橋剤を含む、
請求項1から12までのいずれか一項に記載の粉末組成物。
【請求項14】
ポリエステルがカルボキシ官能基を含み、且つアクリル系コポリマーがヒドロキシル基及び/又はエチレン性不飽和基を含む、請求項1から13までのいずれか一項に記載の粉末組成物。
【請求項15】
共反応することができるバインダーとして、
(a)40重量%から96重量%の、40℃を超えるガラス転移温度を有する少なくとも1種のカルボキシル官能性ポリエステルであって、
(i)ポリ酸に対して70から100重量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はイソフタル酸(IPA)と、ポリ酸に対して0から30重量%の別のポリ酸構成要素とを含むポリ酸成分、及び
(ii)ポリオールに対して0から80重量%のNPGと、ポリオールに対して20から100重量%の別の多価ポリオールとを含むポリオール
の反応から得られる上記ポリエステル;
(b)0.3から5重量%の、数平均分子量1000から15000を有する少なくとも1種のアクリル系コポリマーであって、カルボキシ官能基(単数又は複数)及び/又はグリシジル官能基(単数又は複数)を含んでもよいコポリマー;
(c)3から60重量%の、少なくとも1種のグリシジル官能性ポリフェノキシ樹脂、並びに/又はポリエポキシ及び/若しくはβ−ヒドロキシアルキルアミド架橋剤
を含み、
ここで、別段の記載のない限り、上記の重量百分率は、(a)成分と(b)成分と(c)成分との全重量に対して算出され、合計100%になるように選択される、請求項1から14までのいずれか一項に記載の熱硬化性粉末コーティング組成物。
【請求項16】
(A)ポリエステルがヒドロキシ官能基を含み、
(B)アクリル系コポリマーが、ヒドロキシ官能基及び/又はイソシアナート官能基を場合によって含み、
(C)付加的材料が、ポリマー(単数又は複数)のヒドロキシ基と反応することができる官能基を有する架橋剤を含む、
請求項1から15までのいずれか一項に記載の粉末組成物。
【請求項17】
共反応することができるバインダーとして、
(a)40重量%から96重量%の、40℃を超えるガラス転移温度を有する少なくとも1種のヒドロキシ官能性ポリエステルであって、
(i)ポリ酸に対して70から100重量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はイソフタル酸(IPA)と、ポリ酸に対して0から30重量%の別のポリ酸構成要素とを含むポリ酸成分、及び
(ii)ポリオールに対して0から80重量%のNPGと、ポリオールに対して20から100重量%の別の多価ポリオールとを含むポリオール
の反応から得られる上記ポリエステル;
(b)0.3から5重量%の、数平均分子量1000から15000を有する少なくとも1種のアクリル系コポリマーであって、ヒドロキシ官能基(単数又は複数)及び/又はイソシアナート官能基(単数又は複数)を含んでもよいコポリマー;
(c)3から60重量%の、少なくとも1種のブロック又は非ブロックイソシアナート架橋剤
を含み、
ここで、別段の記載のない限り、上記の重量百分率は、(a)成分と(b)成分と(c)成分との全重量に対して算出され、合計100%になるように選択される、請求項1から16までのいずれか一項に記載の熱硬化性粉末コーティング組成物。
【請求項18】
(A)ポリエステルがエチレン性不飽和基を含み、
(C)付加的材料が、エチレン性不飽和基を含む1種又は複数のオリゴマーを含む、
請求項1から17までのいずれか一項に記載の放射線硬化性粉末組成物。
【請求項19】
共反応することができるバインダーとして、
(a)70重量%から99重量%の、35℃を超えるガラス転移温度を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有ポリエステルであって、
(i)ポリ酸に対して70から100重量%のテレフタル酸(TPA)及び/又はイソフタル酸(IPA)と、ポリ酸に対して0から30重量%の別のポリ酸構成要素とを含むポリ酸成分、
(ii)ポリオールに対して0から80重量%のNPGと、ポリオールに対して20から100重量%の別の多価ポリオールとを含むポリオール、
(iii)任意に、ポリイソシアナート、及び
(iv)エチレン性不飽和二重結合、並びにカルボキシ基又はイソシアナート基と反応することができる少なくとも1種の官能基を有するモノマー
の反応から得られる上記ポリエステル;
(b)0.3から5重量%の、数平均分子量1000から15000を有する少なくとも1種のアクリル系コポリマーであって、エチレン性不飽和官能基(単数又は複数)を含んでもよいコポリマー;
(c)0から30重量%の、少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有オリゴマー
を含み、
ここで、別段の記載のない限り、上記の重量百分率は、(a)成分と(b)成分と(c)成分との全重量に対して算出され、合計100%になるように選択される、請求項1から18までのいずれか一項に記載の放射線硬化性粉末コーティング組成物。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれか一項に記載の粉末組成物を製造する方法であって、
(a)(A)請求項1から19までのいずれか一項に記載のポリエステルであって、第1の官能性を含むポリエステル;
(B)請求項1から19までのいずれか一項に記載の第2の官能性を含んでもよいアクリル系コポリマー;及び
(C)任意の付加的材料
をブレンドして、バインダー混合物を生成するステップと、
(b)任意に、追加の材料をバインダー混合物に添加して、配合物を生成するステップと、
(c)ステップ(b)による配合物を均質化及び/又は粉砕して、粉末組成物を生成するステップと
を含む上記方法。
【請求項21】
請求項1から19までのいずれか一項に記載の粉末組成物で、物品及び/又は基材を被覆する方法であって、
(a)請求項1から19までのいずれか一項に記載の粉末組成物を前記物品及び/又は基材に塗布して、その上にコーティングを形成するステップと、
(b)コーティングを熱硬化及び/又は放射線硬化するステップと
を含む上記方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法で被覆された物品及び/又は基材。
【請求項23】
表面欠陥が低減された粉末コーティング組成物を調製するためのバインダーであって、このバインダーは、請求項1から22までのいずれか一項に記載のポリエステル(A)と、請求項1から22までのいずれか一項に記載のアクリル系コポリマー(B)と、任意に、請求項1から22までのいずれか一項に記載の追加の材料(C)との混合物を含む、上記バインダー。

【公表番号】特表2011−511860(P2011−511860A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544707(P2010−544707)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/051045
【国際公開番号】WO2009/095460
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(509282295)サイテック イタリー、エス.アール.エル. (2)
【Fターム(参考)】