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粉末飲料組成物
説明

粉末飲料組成物

【課題】
植物ステロールを高濃度に含有し、かつ飲食品の風味・服用性・外観等を損なわない方法での水分散性の改善が求められていた。特別な分散装置を要することなく容易に飲食品中に分散可能であり、風味、服用性、外観の良好な植物ステロールを高含有した組成物を提供する。
【解決手段】
(A)植物ステロール、(B)モノミリスチン酸デカグリセリン、(C)高度分岐環状デキストリンより構成される水分散性粉末状植物ステロール組成物。組成物中の植物ステロールの含量は60%以上が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分散性粉末状植物ステロール組成物に関する。詳細には、特別な分散装置を要することなく容易に飲食品中に分散可能であり、風味、服用性、外観の良好な植物ステロールを高含有した粉末状の植物ステロール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
植物ステロールとは、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等の、植物由来のステロールの総称である。植物ステロールは、穀物、キャベツ、レタス、菜種、ヤシなどの植物の細胞膜中に細胞膜構成成分として広く存在している。
【0003】
この植物ステロールは、血漿コレステロール濃度の低下作用を有することが古くから知られている。コレステロールが吸収されるには、まずコレステロールが胆汁酸ミセルへ可溶化されなければならないところ、植物ステロールとコレステロールが共存した場合、植物ステロールはコレステロールと競合的に胆汁酸ミセルへ可溶化してコレステロールの胆汁酸ミセルへの可溶化量が減少し、その結果としてコレステロールの吸収が妨害されるためである。
【0004】
高い血漿コレステロール濃度は循環器系疾患を引き起こすと考えられていることから、血漿コレステロール濃度の低下は消費者にとって重大な関心事となっている。
【0005】
しかしながら、十分な血漿コレステロール濃度低下作用を得るためには、1日当たり0.8グラムの植物ステロールを継続して摂取することが必要であり、通常の食事ではコレステロールの吸収を抑制するに足りる量を摂取することは困難である。
【0006】
そのため植物ステロールを効率的に摂取する方法として、植物ステロールを添加した飲料や各種食品が提案されている。日常的に摂取される食品に植物ステロールを添加することは、その保健効果を高めるとともに、植物ステロールの継続的摂取を容易とするので有意義である。
【0007】
しかし、植物ステロールは水や油に対する溶解度が極めて低く、融点も150℃前後と高いため、飲食品等への利用には大きな制約があった。例えば、植物ステロールは高融点の結晶であるために食品中で結晶によるざらつき感、粒状感などの耐え難い不快な食感を生じてしまったり、溶解度の低さから飲料に添加した場合には沈殿物となって分離して商品価値を大きく損ねてしまっていた。また融点以上に加熱しても放冷後には食品内部で再び結晶化して上記の不都合が生じてしまうし、そもそもそのような加熱をすることが出来ない食品も多くあるため、植物ステロールは飲食品等には殆ど利用されていなかった。
【0008】
そのため、飲食品への利用性を高めるべく、植物ステロールを高濃度に含有し、かつ飲食品の風味・服用性・外観等を損なわない方法での水分散性の改善が求められていた。
【0009】
今までにポリソルベートとデキストリンを用いて植物ステロールの水分散性を向上させる提案がなされているが、20重量%程度しか含有させることができず、さらにポリソルベートは日本においては使用量が制限されている乳化剤であるため,適用できる範囲に限りがある(特許文献1)。
また、ホスファチジルコリンとショ糖脂肪酸エステルを用いて植物ステロール含量が80重量%以上の水分散性組成物が提案されているが、レシチンに代表されるようにホスファチジルコリンを含有する乳化剤の風味によって、上記組成物を配合した飲食品の風味が損なわれる懸念がある(特許文献2)。
以上のように、植物ステロールを高濃度に含有し、かつ飲食品の風味・服用性・外観等を損なわない方法での水分散性の改善方法は確立されているとは言いがたいのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005-269941号公報
【特許文献2】特開2008-156322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、上記のような水に溶けにくい植物ステロールを水に容易に分散する粉末状の組成物とすることによって、水系の飲食品への使用を可能とし、かつ、添加された飲食品においても風味・服用性・外観等に悪影響を及ぼすことのない水分散性粉末状植物ステロール組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題解決のため鋭意研究した結果、モノミリスチン酸デカグリセリンと高度分岐環状デキストリンを添加して調製された粉末状の植物ステロール組成物が、特別な分散装置を要することなく容易に飲食品中に分散可能であり、かつ風味、服用性、外観が良好であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、
(1)(A)植物ステロール、(B)モノミリスチン酸デカグリセリン、及び(C)高度分岐環状デキストリンより構成される水分散性粉末状植物ステロール組成物、
(2)植物ステロール含量が60質量%以上である(1)記載の組成物、
(3)粉末飲料である(1)または(2)のいずれかに記載の組成物、
である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、特別な分散装置を要することなく容易に飲食品中に分散可能であり、風味、服用性、外観の良好である植物ステロール高含有の組成物、並びに該組成物を配合した粉末飲料を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における「植物ステロール」とは、すべての植物ステロール(phytosterol)を制限なく含むものである。例えば、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、ブラシカステロールなどが挙げられる。これらは1種または2種以上含有していてもよい。天然由来の植物ステロールは、例えば穀物、キャベツ、レタス、菜種、ヤシなどから得ることができる。
本発明における植物ステロール含量は、飲食物への配合量の観点からより高いことが望ましい。そのため植物ステロール含量は20%以上、とりわけ60%以上95%以下が好ましい。
【0016】
本発明における「高度分岐環状デキストリン」とは、枝作り酵素(1,4-α-D-glucan : 6-α-D-(1,4−α−D−glucano)−transferase, EC 2.4.1.18)をアミロペクチンに作用させて生産した環状構造を有するデキストリンをいう。すなわち、高度分岐環状デキストリンはα−1,4−グルコシド結合およびα−1,6−グルコシド結合を有する糖類に作用して、糖転移酵素を作用させ生成させた環状構造を有する平均分子量 約16万、ブドウ糖が900残基重合したグルカンをいう。
【0017】
このような分子内に環状構造を有する高度分岐環状デキストリンは、従来の澱粉加水分解物とは異なり、加水分解ではなく、転移酵素によって澱粉を分子内糖転移反応により低分子化して製造されたものであるため、還元末端が極めて少なくDE値は1以下である。本発明で使用する高度分岐環状デキストリンは、商業上入手可能であり、例えば、江崎グリコ株式会社製のクラスターデキストリンを挙げることができる。
【0018】
本発明の粉末飲料は、加水、もしくは液状物を加え溶解または分散させて飲用する粉末飲用に調製する粉末をいう。このような粉末飲料の例としては、インスタントコーヒー、インスタントココア、粉末乳飲料、粉末茶、青汁飲料、粉末ジュース、粉末スープなどが挙げられる。
本発明の粉末飲料は、湿式造粒法、凍結乾燥法、噴霧乾燥法など一般的な食品の製法により粉末状の組成物を製することできるが、なかでも噴霧乾燥法が好ましい。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
モノミリスチン酸デカグリセリン(日本サーファクタント製)10部及び高度分岐環状デキストリン(江崎グリコ製)30部を233.3部の精製水に加温溶解させた液に、植物ステロール(三栄源エフ・エフ・アイ製)60部を添加し、ホモミキサーを用いて十分に撹拌し、薬液を調製した。該液をスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し、粉末状の植物ステロール組成物を得た。粉末状の植物ステロール組成物の処方を表1に示した。
(比較例1)
【0020】
実施例1のモノミリスチン酸デカグリセリンをモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンに変えた以外は、実施例1 と同じ操作を行い、粉末状の植物ステロール組成物を得た。処方を表1に示した。
【0021】
【表1】

【0022】
(試験例1)
実施例1、比較例1で得た植物ステロール組成物952.4mgをそれぞれインスタントコーヒーミックス2170mgと混合し、目開き500μmの篩を通した後、100mLの熱湯を添加し、植物ステロール含有コーヒー飲料を得た。該飲料調製直後に、専門パネル4名で水面を観察し、飲料としての外観を評価した。試験例1における評価基準は以下の通りである。「0:浮遊物を認めない、1:わずかに浮遊物を認める、2:浮遊物を認めるが、商品として許容できる、3:明らかに浮遊物があり、商品として許容できない、4:おびただしい数の浮遊物を認める。」各パネルのスコアの平均値を表2に示した。
(試験例2)
試験例1で調製したコーヒー飲料を専門パネル4名で服用し、飲料としての風味を評価した。試験例2における評価基準は以下の通りである。「0:良好な風味である、1:風味に問題ない、2:風味に違和感を感じるが、商品として許容できる、3:不快な風味であり、商品として許容できない、4:著しく不快な風味である。」各パネルのスコアの平均値を表2に示した。
(試験例3)
試験例1で調製したコーヒー飲料を専門パネル4名で服用し、飲料服用時に感じるざらつきを評価した。試験例2における評価基準は以下の通りである。「0:ざらつきを感じない、1:わずかにざらつきを感じる、2:ざらつきを感じるが、商品として許容できる、3:明らかにざらつきを感じ、商品として許容できない、4:著しいざらつきを感じる。」各パネルのスコアの平均値を表2に示した。
【0023】
【表2】

【0024】
(結果)
各試験の結果、比較例1で得た組成物を添加したコーヒー飲料においては外観、風味、服用性が著しく損なわれており、日常的な飲用には適さないことがわかった。一方、実施例1で得た組成物を添加したコーヒー飲料においては外観、風味、服用性ともに良好であった。また、コーヒー飲料中において飲用の間安定に分散するものであった。よって、日常的な飲用に好ましいものであることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明によって、植物ステロールを高含有し、分散安定性が高く、かつ風味、服用性、外観の良好な水系飲食物を提供することが可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)植物ステロール、(B)モノミリスチン酸デカグリセリン、(C)高度分岐環状デキストリンより構成される水分散性粉末状植物ステロール組成物。
【請求項2】
植物ステロールの含量が60%以上である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
粉末飲料である請求項1または2のいずれかに記載の組成物。

【公開番号】特開2013−66458(P2013−66458A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−183969(P2012−183969)
【出願日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】