説明

粉状体供給装置

【課題】粉状体を外部に飛散させることなく混練装置に粉状体を供給できるようにした粉状体供給装置を提供する。
【解決手段】上部に開放された導入部3と、下部に漸縮状に形成された導出部4と、前記導入部3と前記導出部4との間に設けられた破袋部10,11とを備える筒体1を有し、前記導入部3から袋詰めされた粉状体を導入して前記導出部4から導出し、混練装置Pの上面が開口した筒状の混練槽に粉状体を供給する粉状体供給装置において、前記導出部4の周囲に下方に向けて取り付けられた複数の噴霧ノズル13と、前記噴霧ノズル13に給水を行う給水管14とを有する給水部6と、前記導出部4と前記噴霧ノズル13とを内部に臨ませて前記混練槽を被うように設けられた蓋部2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメントや耐火材などの粉状体をミキサー等の混練装置に供給するための粉状体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレコンパックと称される大形の袋で搬入されたセメントをミキサーに供給するセメント供給装置としては、上面が開放され下方が漸縮状で開放部分に鋭利状の破袋部を設けたセメントの収納箱体と、収納箱体の下端において収納箱体内と導出部とを連通するスクリュウコンベアと、スクリュウコンベアに内装されたスクリュウを回転駆動する駆動装置とからなるものが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、従来のセメント供給装置では、導出部から導出されたセメントは重力によってミキサーの混練槽に供給されるが、その際、導出部とミキサーとの間でセメントが飛散してしまい、飛散したセメント粉塵によって作業環境が悪化するという不都合があった。
【特許文献1】実用新案登録第3037145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の不都合な点に鑑み、粉状体を外部に飛散させることなく混練装置に粉状体を供給できるようにした粉状体供給装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の粉状体供給装置は、上部に開放された導入部と、下部に漸縮状に形成された導出部と、前記導入部と前記導出部との間に設けられた破袋部とを備える筒体を有し、前記導入部から袋詰めされた粉状体を導入して前記導出部から導出し、混練装置の上面が開口した筒状の混練槽に粉状体を供給する粉状体供給装置において、前記導出部の周囲に下方に向けて取り付けられた複数の噴霧ノズルと、前記噴霧ノズルに給水を行う給水管とを有する給水部と、前記導出部と前記噴霧ノズルとを内部に臨ませて前記混練槽を被うように設けられた蓋部とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の粉状体供給装置によれば、導出部の周囲に下方に向けて取り付けられた複数の噴霧ノズルから霧状の水滴が噴霧される。これにより、導出部から混練装置の混練槽に供給される粉状体を、霧状の水滴と混合させて水滴の流れに従って混練槽内に落下させることができ、粉状体の浮遊を防止することができる。また、混練装置の混練槽を被うように蓋部が設けられていることから、導出部から混練槽に供給される粉状体の一部が浮遊した場合や混練装置において混練の間に粉状体の一部が浮遊した場合であっても、外部に粉状体が飛散することを防止することができる。さらに、混練槽を被った蓋部の内部は霧状の水滴で満たされているので、浮遊した粉状体を霧状の水滴に吸収させて速やかに混練槽内に落下させることができる。
【0007】
また、本発明の粉状体供給装置は、前記蓋部の内部に臨ませた吸入口と、前記吸入口に接続され前記蓋部の外部に空気を吸引する吸引ファンと、前記吸引ファンにより吸引された空気を浄化するフィルタとを有する排気手段を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の粉状体供給装置によれば、排気手段は、蓋部の内部に臨ませた吸入口から、混練装置の混練槽と蓋部との間の空気と吸引してフィルタによって該空気を浄化させる。これにより、導出部から混練装置の混練槽に供給される粉状体の一部が浮遊した場合や混練装置において混練の間に粉状体の一部が浮遊した場合であっても、外部に粉状体が飛散することを確実に防止することができる。
【0009】
さらに、本発明の粉状体供給装置において、前記蓋部は、前記混練槽を被った際に、前記混練槽の側壁に沿って内方に位置する鍔部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の粉状体供給装置によれば、混練装置の混練槽を被う蓋部は、混練槽の側壁に沿って内方に位置する鍔部を備える。これにより、浮遊した粉状体を吸収した霧状の水滴が蓋部に付着した場合であっても、該水滴は鍔部を伝って混練槽に滴り落ちるため、粉状体を吸収した水滴が外部に漏れ出ることを防止することができる。
【0011】
また、本発明の粉状体供給装置において、前記給水部は、前記導入部に導入される粉状体の重量に応じた水量を前記噴霧ノズルから噴霧することを特徴とする。
【0012】
本発明の粉状体供給装置によれば、混練装置の混練槽に供給される粉状体の重量が大きい場合であっても、粉状体の重量に応じて噴霧ノズルから噴霧される霧状の水滴の量を多くすることで、粉状体を飛散させることなく混練槽に粉状体を供給できる。また、混練に必要な水量を噴霧ノズルから供給することで混練作業を簡素化することもできる。
【0013】
さらに、本発明の粉状体供給装置において、前記破袋部は、前記筒体の径方向に放射状に設けられ先端が鋭利な底部切断刃と、前記筒体の内壁から内方に突出して設けられた刀状の側部切断刃とからなることを特徴とする。
【0014】
本発明の粉状体供給装置によれば、粉状体が詰められた袋体は、導入部から導入されると底部が底部切断刃によって破断されるとともに、側部が側部切断刃によって破断される。これにより、粉状体が詰められた袋体の形状や導入部へ導入の仕方にかかわらず、円滑かつ袋体に残粉を残すことなく筒体に粉状体を導入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1は本実施形態の粉状体供給装置の模式図であり、図2は本実施形態の粉状体供給装置の給水部と導出部とを下方から見た状態を示す模式図であり、図3は本実施形態の粉状体供給装置の使用状態を示す側面図であり、図4は本実施形態の粉状体供給装置で蓋部を開けた状態を示す正面図であり、図5は本実施形態の粉状体供給装置で蓋部を開けた状態を示す平面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の粉状体供給装置は、円筒状の形状の筒体1と蓋部2とからなり、筒体1は、上部が開放された導入部3と下部が漸縮状に形成された導出部4とからなる。蓋部2は、導出部4の先端部分に設けられた逆椀状の形状であって、前方部分のみがヒンジ部2aを介して立ち上がり開閉自在に構成されている。蓋部2の内部には、外周内方位置に突出して設けられた鍔部5(図4参照)と、中央部分に設けられた給水部6(図2参照)とを有している。鍔部5は、蓋部2が閉じられて混練装置P(図3参照)の上面を被った際、混練槽の内周に沿って混練槽の側壁上端よりも下方に配設される。
【0017】
また、蓋部2の外部には、蓋部2に接続された排気手段7と、給水部6と排気手段7との制御を行う操作パネル8(図3参照)が設けられている。そして、筒体1と蓋部2と給水部6と排気手段7と操作パネル8とはフレーム9によって一定の高さとなるように固定されている。
【0018】
筒体1の内部には、筒体1に溶接して形成された先端が鋭利な底部切断刃10(図3及び図5参照)が放射状に設けられている。この底部切断刃10は、側面視で山形の板状の刃を十文字に2枚組み合わせて形成されている。さらに、筒体1の内壁には、該内壁から突出するように刀状の側部切断刃11(図3及び図5参照)が設けられている。また、筒体1の内壁には、赤外線の変化から物体の有無を検知する物体検知センサ12(図3及び図5参照)が設けられている。
【0019】
給水部6は、図2に示すように、複数の噴霧ノズル13と噴霧ノズル13に給水を行う給水管14とを有し、導出部4の先端部分の周囲に噴霧方向が下向きとなるように取り付けられている。そして、給水管14の一端は、流量センサと一体に構成された電磁弁15を介して水道管等に接続されている。
【0020】
排気手段7は、蓋部2の内部に臨ませて開口された吸入口16と、吸入口16から吸入ダクト17を介して接続されたフィルタ18と吸引ファン20と、吸引ファン20からの排気を行う排気ダクト21からなる。フィルタ18は、フィルタボックス18a内に設置され、フィルタボックス18aの側面に設けられた把手18bから交換可能に構成されている。また、吸引ファン20には、操作パネル8を介して駆動用電源が供給されるようになっている。
【0021】
操作パネル8は、噴霧ノズル13から一定量の噴霧を行う給水ボタン22と、噴霧を中止する給水中止ボタン23と、吸引ファン20による排気を行う排気ボタン24と、排気を中止する排気中止ボタン25と、図示しない制御部とからなる。給水ボタン22と給水中止ボタン23とは、制御部を介して給水管14に接続された電磁弁15に接続されており、電磁弁15を介して給水量の調整が行われる。尚、給水量は、導入される粉状体の重量に合わせて設定が可能であり、予め混練に必要な一定の値に設定しておく。
【0022】
一方、排気ボタン24と排気中止ボタン25とは、制御部を介して吸引ファン20へ駆動用電源の供給をON/OFFするスイッチング手段によって構成されている。尚、制御部はタイマー機能を備え、排気ボタン24により吸引ファン20へ駆動用電源の供給をONさせた後、一定時間の経過後に自動的に吸引ファン20へ駆動用電源の供給をOFFする。また、制御部は、物体検知センサ12と接続されており、物体検知センサ12による検知結果に連動して、電磁弁15を介した噴霧と吸引ファン20による排気を開始する。
【0023】
次に、以上の構成を有する粉状体供給装置の使用法について図3〜5を用いて説明する。
【0024】
まず、作業者は、図3に示すように、蓋部2の前方部分を開いた状態とした上で、上面が開口した混練装置Pを蓋部2の後方位置まで押し込む。そして、作業者は、蓋部2の前方部分を閉じる。これにより、蓋部2の鍔部5は、混練装置Pの混練槽の側壁の内方に配置され、混練装置Pの設置が完了する。そして、作業者は、混練装置PのスクリューS(図5参照)を回転させる。
【0025】
次に、作業者は、袋体Qで搬入されたセメントや耐火材等の粉状体の重量を確認する。その重量が予定された重量(例えば200kg)であることを確認した上で、操作パネル8の給水ボタン22と排気ボタン24を押す。これにより、操作パネル8の制御部は、物体検知手段12の検知結果をモニターして、袋体Qの導入部3からの導入を待機する。
【0026】
続いて、作業者は、袋体Qを、フォークリフトR等を用いて吊り上げた上で、筒体1の導入部3に降ろす。これにより、操作パネル8の制御部は、物体検知手段12を介して袋体Qの導入を検知して、給水管14を介して噴霧ノズル13から霧状の水滴を噴霧するとともに、吸引ファン20を作動させて混練装置Pの混練槽を被った蓋部2の内部の排気を開始する。同時に、袋体Qの底面部が底部切断刃10で破かれるとともに側部が側部切断刃11によって破かれて、袋体Q内に収納されていた粉状体が筒体1の内部に導入される。
【0027】
このようにして、筒体1の内部に導入された粉状体は、重力に従って導出部4に下降して導出部4から混練装置Pの混練槽に供給される。このとき、図4に模式的に示すように、導出部4の周囲に設けられた複数の噴霧ノズル13から下方に向けて霧状の水滴が噴霧されている。これにより、導出部4から混練装置Pの混練槽に供給される粉状体は、霧状の水滴と混合されて水滴の流れに従って混練槽内に落下するため、粉状体の浮遊を防止することができる。また、混練槽を被った蓋部の内部は霧状の水滴で満たされているので、浮遊した粉状体を霧状の水滴に吸収させて速やかに混練槽内に落下させることができる。さらに、混練装置Pの混練槽を被う蓋部1は、混練槽の側壁に沿って内方に位置する鍔部5を備えるため、浮遊した粉状体を吸収した霧状の水滴が蓋部2に付着した場合であっても、該水滴は鍔部5を伝って混練槽に滴り落ち、粉状体を吸収した水滴が外部に漏れ出ることを防止することができる。またさらに、吸引ファン20によって、混練装置Pの混練槽を被った蓋部2の内部の空気が吸引され、フィルタ18によって該空気が浄化されて排気されているため、導出部4から混練装置Pの混練槽に供給される粉状体の一部が浮遊した場合であっても、外部に粉状体が飛散することを確実に防止することができる。
【0028】
続いて、導出部4から混練装置Pの混練槽に供給された粉状体は、図5に模式的に示すように、混練装置PのスクリューSの回転により混練される。そして、混練作業が行われている間も引続き一定時間、噴霧ノズル13から霧状の水滴が噴霧されるとともに、吸引ファン20により混練装置Pの混練槽を被った蓋部2の内部の空気が吸引されて浄化される。このため、混練装置Pにおける混練の間に粉状体の一部が浮遊した場合であっても、外部に粉状体が飛散することを確実に防止することができる。尚、混練装置Pの混練槽を被う蓋部2は、上述のように、混練槽の側壁に沿って内方に位置する鍔部5を備えているため、粉状体の混練物が蓋部2に付着しても、該混練物は鍔部5を伝って混練槽に滴り落ち、混練物が外部に漏れ出ることもない。
【0029】
そして、噴霧ノズル13へ一定量の給水が行われると操作パネル8の制御部は、電磁弁15を介して給水を中止する。これにより、混練に必要な一定量の注水を噴霧ノズル13から行うことができ、混練作業を簡素化することができる。また、吸引ファン20は、操作パネル8の制御部により噴霧ノズル13への給水が終了した後、数分後に駆動用電源の供給がOFFされて排気を終了する。尚、作業者は、混練の状態により操作パネル8の給水ボタン22と給水中止ボタン23とを操作することよって注水を行い、混練具合の微調整を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態の粉状体供給装置の模式図。
【図2】本実施形態の粉状体供給装置の給水部と導出部とを下方から見た状態を示す模式図。
【図3】本実施形態の粉状体供給装置の使用状態を示す側面図。
【図4】本実施形態の粉状体供給装置で蓋部を開けた状態を示す正面図。
【図5】本実施形態の粉状体供給装置で蓋部を開けた状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0031】
1…筒体、 2…蓋部、 3…導入部、 4…導出部、 5…鍔部、 6…給水部、 7…排気手段、 8…操作パネル、 10…底部切断刃、 11…側部切断刃、 13…噴霧ノズル、 14…給水管、 16…吸入口、 18…フィルタ、 20…吸引ファン、 P…混練装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開放された導入部と、下部に漸縮状に形成された導出部と、前記導入部と前記導出部との間に設けられた破袋部とを備える筒体を有し、前記導入部から袋詰めされた粉状体を導入して前記導出部から導出し、混練装置の上面が開口した筒状の混練槽に粉状体を供給する粉状体供給装置において、
前記導出部の周囲に下方に向けて取り付けられた複数の噴霧ノズルと、前記噴霧ノズルに給水を行う給水管とを有する給水部と、
前記導出部と前記噴霧ノズルとを内部に臨ませて前記混練槽を被うように設けられた蓋部とを備えることを特徴とする粉状体供給装置。
【請求項2】
前記蓋部の内部に臨ませた吸入口と、前記吸入口に接続され前記蓋部の外部に空気を吸引する吸引ファンと、前記吸引ファンにより吸引された空気を浄化するフィルタとを有する排気手段を備えることを特徴とする請求項1記載の粉状体供給装置。
【請求項3】
前記蓋部は、前記混練槽を被った際に、前記混練槽の側壁に沿って内方に位置する鍔部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の粉状体供給装置。
【請求項4】
前記給水部は、前記導入部に導入される粉状体の重量に応じた水量を前記噴霧ノズルから噴霧することを特徴とする請求項1,2又は3記載の粉状体供給装置。
【請求項5】
前記破袋部は、前記筒体の径方向に放射状に設けられ先端が鋭利な底部切断刃と、前記筒体の内壁から内方に突出して設けられた刀状の側部切断刃とからなることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の粉状体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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