説明

粉状内容物詰まり防止機構および粉状内容物詰まり防止機構を備えたエアゾール式製品

【課題】噴射操作の終了時まで粉状内容物を噴射するエアゾール連続噴射機構において、ハウジングなどでの残留粉状内容物の固化を防止し、また、残留済みの固化粉状内容物を以後の噴射動作で細かくして粉状内容物詰まりを減らすエアゾール連続噴射機構を提供する。
【解決手段】ハウジング3の内容物流入口3bの周りに環状溜まり空間域3c(パウダー溜まり)を設け、ハウジング内部の残留粉状内容物Aを混合液の状態で収容して、当該残留粉状内容物が乾燥固化しにくいようにした。また、チューブ7,筒状起立部3aの通路部および、環状溜まり空間域3cなどに残留していた固化粉状内容物が、以後の噴射動作によって下開口鞘状部2cの天井部分や環状溜まり空間域3cの底面部分と衝突することにより細かくなるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射操作の間、噴射剤の作用に基づく容器内部の粉状内容物(パウダー)の外部空間域への噴射動作が、その途中で終ることなしに最後まで継続するエアゾールタイプの原液噴射機構を対象にしたものである。すなわち定量噴射エアゾールタイプの原液噴射機構は本発明の対象外である。
【0002】
特に、この原液噴射機構の正立作動モード終了後(静止モード)にハウジング内部の残留原液中の液体分がハウジングの原液流入口から容器本体の方へいわば逆流し、その結果、原液流入口周りのハウジング底面部分やその下流側のステム通路部などに残留したままの粉状内容物がハウジング内部の液相分の減少により乾燥して固化しやすくなる、ことを防止した粉状内容物詰まり防止機構に関する。
【0003】
また、仮にハウジング底面部分やその上流側通路部,下流側通路部に固化粉状内容物が残留したとしても、これを次の作動モード設定時に、ハウジング内部のU字状縦断面径路の部分で細分化し、さらにはハウジング内部に容器本体から直に流入する気相噴射剤で拡散・細分化して、これによりハウジング底面部分などの固化粉状内容物を細かくしてから外部空間域へと積極的に流出させる粉状内容物詰まり防止機構に関する。
【0004】
噴射対象の粉状内容物には、例えばタルク,酸化亜鉛,二硫化モリブデン,窒化ケイ素,樹脂粉末をはじめとして、後述のように各種のものがある。
【0005】
なお、本明細書では「原液」を、
・粉状内容物および分散媒,溶媒からなる狭義の混合液
・この狭義の混合液および液相噴射剤(液化ガス,気化ガス溶解分)からなる広義の混合液
の両者を含む語として用いる。
【0006】
また、操作ボタンの噴射口の側を「前」、これとは反対側を「後」と記載し、「上」,「下」についてはエアゾール式製品の正立状態における上下関係を用いる。すなわち、図1〜図3の左側が「前」、右側が「後」であり、図1および図2の「上」,「下」を用いる。
【背景技術】
【0007】
本件出願人は、ハウジング内部の原液流入口の周りに環状溜まり空間域(パウダー溜まり)を設けた形の定量噴射エアゾールタイプの原液噴射機構を提案ずみである(後述の特許文献1参照)。
【0008】
この環状溜まり空間域を設けた原液定量噴射機構は、その静止モードへの復帰後にハウジング底面部分の残留粉状内容物が原液流入口からその上流側へ落下しないようにすることを前提としている。
【0009】
すなわち、作動モード終了にともないハウジング内部の定量空間域に収容され、次回の噴射対象そのものとなる粉状内容物が当該定量空間域からいわばこぼれる程度を小さくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−267462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように提案済みの定量噴射エアゾールタイプの原液噴射機構は、ハウジングの原液流入口の周りに環状溜まり空間域を設け、静止モードにおいてハウジング内部の定量空間域に収容済みの次回噴射対象原液が当該定量空間域からその下方の容器本体側へ極力流出しないようにするといった考えに基づくもので、所定の効果を奏している。
【0012】
本発明は、このようなエアゾール定量噴射におけるハウジングの内容物流入口周りの環状溜まり空間域(パウダー溜まり)を、通常のエアゾール連続噴射機構、すなわち噴射操作の間ずっと噴射動作が継続する原液噴射機構に適用すれば、当該環状溜まり空間域の残留粉状内容物の固化防止を図ることができるという新たな視点に立脚したものである。
【0013】
また、ステムに形成した下開口鞘状部を作動モードの際にハウジングの環状溜まり空間域の底面近くまで入り込ませて原液通過用のU字状縦断面径路を設定し、さらには正立使用時に容器本体内部の気相噴射剤をハウジングの常開孔部からステム通路部に流入させている。
【0014】
これにより、環状溜まり空間域やその上流側通路部などに残留している固化粉状内容物をU字状縦断面径路などのいわば壁部分との衝突作用(特に流れ方向が略反転する部分との衝突作用)で細かくし、さらにはハウジングの常開孔部の下流側通路部などに残留している固化粉状内容物を原液や気相噴射剤などの拡散作用で細かくして、例えばハウジングへの原液注入用チューブから外部空間域への噴射孔にいたる通路部全体での粉状内容物詰まりの減少化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)噴射操作の間、噴射剤の作用に基づく容器内部の粉状内容物の外部空間域への噴射動作が、その途中で終ることなしに最後まで継続する粉状内容物噴射機構において、
前記噴射操作と連動し、かつ、バルブ作用を呈する原液通過孔部(例えば後述の孔部2b),その下流側の原液通路部(例えば後述の下通路部2a)および、下側の下開口鞘状部(例えば後述の下開口鞘状部2c)を備えたステム(例えば後述のステム2)と、
容器本体側に取り付けられて、前記下開口鞘状部を含むステム下側部分を収容し、かつ、自らの内下面側に容器本体からの原液流入用の筒状起立部(例えば後述の筒状起立部3a)を備え、当該筒状起立部の外側に、流入済みの原液が収容される環状溜まり空間域(例えば後述の環状溜まり空間域3c)を設定したハウジング(例えば後述のハウジング3)と、
前記ハウジングに保持されて前記原液通過孔部との間で前記バルブ作用を呈する環状弁部材(例えば後述のガスケット5)と、
前記ハウジングに配設されて前記ステムを上方向に付勢する弾性部材(例えば後述のコイルスプリング6)と、を有し、
前記ステムの下開口鞘状部および前記ハウジングの筒状起立部は、
当該ステムが、前記噴射操作により前記弾性部材の弾性力に抗する形で作動モード位置へ駆動されたとき、
当該下開口鞘状部の天井部分が当該筒状起立部の上端部分から離間したまま、前記環状溜まり空間域に当該下開口鞘状部が入り込んで、その内側から外側へと続くU字状縦断面の径路〔例えば後述の筒状起立部3aの外周面と下開口鞘状部2cの内周面との間の縦通路,ハウジング底面部分のリブ状部3d同士の間の径方向通路および、下開口鞘状部2cの外周面とハウジング内周面との間の縦通路(ハウジング内周面のリブ状部3d同士の間の縦通路)〕が設定され、
当該筒状起立部から当該ハウジングに流入する原液が当該径路を通って、その先の前記原液通過孔部へと移動する、
態様でそれぞれ形成されている。
(2)上記(1)において、
前記ハウジングの周面部分に、
正立使用時の作動モードでは容器本体の気相噴射剤をハウジング内部に流入させ、倒立使用時の作動モードでは容器本体の原液をハウジング内部に流入させるための常開状態の流入孔部を形成する。
【0016】
このような構成からなる粉状内容物詰まり防止機構および、当該粉状内容物詰まり防止機構を備えたエアゾール式製品を本発明の対象としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以上の課題解決手段により、
(11)通常のエアゾール連続噴射機構において、その静止モードのときにハウジングの原液流入口周りの環状溜まり空間域(パウダー溜まり)に残留する粉状内容物の固化防止を図る、
(12)ハウジングへの原液注入用チューブから外部空間域への噴射孔にいたる通路部全体での粉状内容物詰まりの減少化を図る、
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の、連続噴射タイプのエアゾール式製品における正立状態での静止モードを示す説明図である。
【図2】図1の正立状態での作動モードを示す説明図である。
【図3】図1のエアゾール式製品の倒立状態での静止モードを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図3を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0020】
図1〜図3で用いるアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば上通路部1a)は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば操作ボタン1)の一部であることを示している。
【0021】
図1および図2において、
Aは正立静止モードのハウジング内部の環状溜まり空間域(パウダー溜まり)に残留する粉状内容物(図1参照),
Bは正立作動モードの容器本体内部の原液,液相噴射剤などが外部空間域に噴射されるときの原液流出径路(図2参照),
Cは正立作動モードの容器本体内部の気相噴射剤がハウジングに流入して原液(粉状内容物)を拡散させるときの気相噴射剤流路(図2参照),
をそれぞれ示している。
【0022】
また、図1〜図3において、
1は作動モード設定用の周知の操作ボタン,
1aは操作ボタン中央部の上下方向に形成されて原液が通過する鞘状の上通路部,
1bは当該上通路部の内周面から前方向に形成された外部空間域への噴射口,
2は上通路部1aの下端側に嵌合した状態のステム,
2aはステム中央部の上下方向に形成されて原液などが通過する鞘状の下通路部,
2bは当該下通路部の周面部分に形成されて後述のガスケット5とともにハウジング内部の原液への周知のバルブ作用を呈する一対の孔部,
2cは当該ステムの外底面部およびこれに連続する環状垂下部からなる下開口鞘状部,
2dは当該下開口鞘状部の天井部分の外縁側に形成された環凹状部,
をそれぞれ示している。
【0023】
また、
3はステム2の下側部分を収容するハウジング,
3aは当該ハウジングの内底面中央に形成されて原液が通過する筒状起立部,
3bは当該筒状起立部の上端側であって容器本体内部の原液が流入する上端開口部(原液流入口),
3cは当該ハウジングの下側内周面と筒状起立部3aの外周面との間に形成された環状溜まり空間域(パウダー溜まり),
3dは当該環状溜まり空間域の内面部分およびこれの上方に続くハウジング内周面部分の上下方向,径方向にそれぞれ連続形成された複数のリブ状部,
3eは当該各リブ状部の内側上下方向部分の同じ高さ位置に形成されて後述のコイルスプリング6を受けるための段部,
3fは当該ハウジングの上端側に形成されたマウンティングキャップ取付け用の大径上筒状部,
3gは当該大径上筒状部の内側に形成された環突状部,
3hは当該ハウジングの周面部分に複数形成されて気相噴射剤流路Cの流入部に相当する常開孔部,
3jは筒状起立部3aの直下に形成されたチューブ取付け用の小径下筒状部,
をそれぞれ示している。
【0024】
また、
4は容器本体(図示省略)に取り付けられてハウジング3の大径上筒状部3fを係合保持する周知のマウンティングキャップ,
5はハウジング3の大径上筒状部3f,環突状部3gおよびマウンティングキャップ4に係合保持されてステム2の孔部2bとの間で周知のバルブ作用を呈するガスケット(環状ステムラバー),
6はステム2の環凹状部2dとハウジング3の段部3eとの間に配設されて当該ステムおよびこれと一体の操作ボタン1を上方の静止モード位置に付勢する周知のコイルスプリング,
7はハウジング3の小径下筒状部3jに嵌合状態で取り付けられた原液流入用の周知のチューブ,
をそれぞれ示している。
【0025】
ここで、操作ボタン1,ステム2,ハウジング3,チューブ7などはポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0026】
また、ガスケット5はゴム製のものであり、コイルスプリング6は金属製,プラスチック製のものであり、マウンティングキャップ4は金属性のものである。
【0027】
図示の粉状内容物詰まり防止機構の特徴は、
(21)作動モード設定時、ステム2の下開口鞘状部2cの下端部分が環状溜まり空間域3cの底面近くまで移動し、これによりハウジング3の筒状起立部3aの内部(原液通路部)とステム2の下通路部2aとがU字状縦断面径路を介して連通するようにし、
(22)ハウジング3の周面部分に、正立使用時には容器本体内部の気相噴射剤が流入し、倒立使用時には容器本体内部の原液が流入する常開孔部3hを設けた、
ことである。
【0028】
なお、上記(21)のU字状縦断面径路は、
・筒状起立部3aの外周面と下開口鞘状部2cの内周面との間の縦通路
・これに続く、ハウジング底面部分のリブ状部3d同士の間の径方向通路
・これに続く下開口鞘状部2cの外周面とハウジング内周面との間の縦通路(ハウジング内周面のリブ状部3d同士の間の縦通路)
により形成される。
【0029】
図1の正立使用静止モードでは、操作ボタン1およびステム2がコイルスプリング6により上方向へ付勢されて、当該ステムの孔部2bはガスケット5の作用によりハウジング3の内部空間域から遮断されている。
【0030】
このとき、ハウジング3の環状溜まり空間域3cには、前回の噴射操作終了後にハウジング内部に残留した粉状内容物Aが原液の形で収容されている。
【0031】
すなわちこの粉状内容物Aは原液中の液体分といわば混在している。そのため、ハウジング内部の粉状内容物Aが乾燥して固化するようなことは生じにくい。
【0032】
図2の正立使用作動モードでは、
(31)操作ボタン1の押下げ操作によりステム2が下動して、その孔部2bがガスケット5の下方に位置し、
(32)ステム2の下開口鞘状部2cの下端部分がハウジング3のリブ状部3dのいわば横方向の底部分(表面最下部分)に当接し、かつ、ハウジング3の上端開口部3bがこれと対向する下開口鞘状部2cの天井部分から離間しており、
(33)容器本体内部の原液が、「チューブ7−筒状起立部3a−上端開口部3b−U字状縦断面径路−孔部2b−下通路部2a−上通路部1a−噴射口1b」を経て外部空間域に流出し、
(34)容器本体内部の気相噴射剤が、常開孔部3hからハウジング3の内部に流入する(気相噴射剤流路C参照)。
【0033】
なお、原液噴射通路の一部を形成するU字状縦断面径路は、上述したように筒状起立部3aの外周面と下開口鞘状部2cの内周面との間の縦通路,ハウジング底面部分のリブ状部3d同士の間の径方向通路および、下開口鞘状部2cの外周面とハウジング内周面との間の縦通路(ハウジング内周面のリブ状部3d同士の間の縦通路)からなる。
【0034】
このU字状縦断面径路を通る上記(33)の原液噴射動作にともない、チューブ7,筒状起立部3aの通路部および、環状溜まり空間域3cなどに残留していた固化粉状内容物がそれぞれ下流側へと移動する。
【0035】
この移動する固化粉状内容物は、U字状縦断面径路のいわば壁部分との衝突作用、特に流れ方向が略反転する下開口鞘状部2cの天井部分や環状溜まり空間域3cの底面部分との衝突作用で細かくされる。
【0036】
また、この原液噴射動作および上記(34)の気相噴射剤の流入動作にともない、ハウジング3の内部に残留していた固化粉状内容物が拡散して細かくされる。
【0037】
図3の倒立静止モードでは、
(41)正立静止モードのときと同じようにステム2の孔部とハウジング3の内部とが連通しない状態に設定され、
(42)ハウジング内部には常開孔部3hから容器本体の原液が流入済みで、下開口鞘状部2cなどに粉状内容物が収容され、
(43)容器本体の気相噴射剤収容空間域とチューブ7とが連通している。
【0038】
この倒立静止モードの操作ボタン1を図示上方向に押圧操作すると、正立使用時と同じようにステム2の孔部とハウジング3の内部とが連通する。
【0039】
この連通動作により、ハウジング内部および容器本体内部の原液が「(常開孔部3h)−孔部2b−下通路部2a−上通路部1a」を経て噴射口1bから外部空間域に噴射される。
【0040】
また、下開口鞘状部2cに収容されていた粉状内容物はチューブ7から流入する気相噴射剤の作用により上記U字状縦断面径路を通って孔部2bへと流れる。
【0041】
そして、この気相噴射剤のガス作用に基づいて正立作動モードのときと同じように、チューブ7,筒状起立部3aの通路部および下開口鞘状部2cなどの残留固化粉状内容物が、U字状縦断面径路のいわば壁部分との衝突作用で細かくされる。
【0042】
本発明が以上の実施形態に限定されないことは勿論であって、例えばトリガレバータイプやチルトタイプ(傾動タイプ)などの各種操作ボタンを用いるエアゾール式製品にも適用できる。
【0043】
また、コイルスプリングに代えて板バネ,竹の子バネ,ぜんまいバネなどの各種弾性部材を用いてもよい。
【0044】
本発明が適用されるエアゾール式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0045】
容器本体に収納する内容物は、液状,クリーム状,ゲル状など種々の形態のものを用いることができ、内容物に配合される成分としては例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などが挙げられる。
【0046】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0047】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0048】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0049】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0050】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,ヒドロキシエチルセルロース,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0051】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0052】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0053】
内容物噴射用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【0054】
A:正立作動モードにおける環状溜まり空間域の残留粉状内容物(図1参照)
B:正立作動モードにおける原液流出径路(図2参照)
C:正立作動モードにおける気相噴射剤流路(図2参照)
【0055】
1:操作ボタン
1a:上通路部
1b:噴射口
2:ステム
2a:下通路部
2b:孔部
2c:下開口鞘状部
2d:環凹状部
【0056】
3:ハウジング
3a:筒状起立部
3b:上端開口部(原液流入口)
3c:環状溜まり空間域(パウダー溜まり)
3d:リブ状部
3e:段部
3f:大径上筒状部
3g:環突状部
3h:常開孔部
3j:小径下筒状部
【0057】
4:マウンティングキャップ
5:ガスケット(環状ステムラバー)
6:コイルスプリング
7:チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射操作の間、噴射剤の作用に基づく容器内部の粉状内容物の外部空間域への噴射動作が、その途中で終ることなしに最後まで継続する粉状内容物噴射機構において、
前記噴射操作と連動し、かつ、バルブ作用を呈する原液通過孔部,その下流側の原液通路部および、下側の下開口鞘状部を備えたステムと、
容器本体側に取り付けられて、前記下開口鞘状部を含むステム下側部分を収容し、かつ、自らの内下面側に容器本体からの原液流入用の筒状起立部を備え、当該筒状起立部の外側に、流入済みの原液が収容される環状溜まり空間域を設定したハウジングと、
前記ハウジングに保持されて前記原液通過孔部との間で前記バルブ作用を呈する環状弁部材と、
前記ハウジングに配設されて前記ステムを上方向に付勢する弾性部材と、を有し、
前記ステムの下開口鞘状部および前記ハウジングの筒状起立部は、
当該ステムが、前記噴射操作により前記弾性部材の弾性力に抗する形で作動モード位置へ駆動されたとき、
当該下開口鞘状部の天井部分が当該筒状起立部の上端部分から離間したまま、前記環状溜まり空間域に当該下開口鞘状部が入り込んで、その内側から外側へと続くU字状縦断面の径路が設定され、
当該筒状起立部から当該ハウジングに流入する原液が当該径路を通って、その先の前記原液通過孔部へと移動する、
態様でそれぞれ形成されている、
ことを特徴とする粉状内容物詰まり防止機構。
【請求項2】

前記ハウジングの周面部分に、
正立使用時の作動モードでは容器本体の気相噴射剤をハウジング内部に流入させ、倒立使用時の作動モードでは容器本体の原液をハウジング内部に流入させるための常開状態の流入孔部を形成した、
ことを特徴とする請求項1記載の粉状内容物詰まり防止機構。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の粉状内容物詰まり防止機構を備え、かつ、噴射剤および内容物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−166787(P2012−166787A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26538(P2011−26538)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】