説明

粉粒タンク供給部の集塵装置

【課題】
貯留タンクから排出時に発生する土埃・塵埃を吸引すると共に、シャッタの開閉動作で発生する土埃・塵埃とシャッタ板の上面に溜まる粉粒物を取り除くことによって、たとえシャッタ板が結露した状態に至っても、シャッタ板付近を通風して乾燥することで、粉粒物と土埃・塵埃の固着を防止し、良好なシャッタの開閉動作を可能とする。
【解決手段】
粉粒タンク供給部には、搬送体上に粉粒物の排出量調整を行う調整板を備えた排出部と、搬送体の稼動方向下流側にシャッタ板とその駆動部と、シャッタ板の開状態でその表面に外気を通風できる吸引口を備えるシャッタケースからなるシャッタ部と、シャッタ部のシャッタケース下方には、排出部と空間をもって、シャッタケース内部の集塵空間と連通する集塵フードを備え、前記集塵空間には外部の吸引装置と連通するシャッタ吸引口を設けた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土又は大鋸屑等の粉粒物を貯留する粉粒タンクにおいて、粉粒タンクからベルトコンベア等への搬送体へ粉粒物を排出する粉粒タンクの供給部の集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒物、例えば土や大鋸屑などを貯留タンクから次の工程に搬送する場合、粉粒貯留タンク下端にベルトコンベア、スクリューコンベア等の搬送装置が使用され、特にベルトコンベアは搬送中の粉粒物の攪拌作用がないので、比較的搬送中の塵埃や土埃の発生が少なく、塵埃や土埃の飛散を伴わずに行うことができるため、多くの粉粒物の搬送に利用されている。
【0003】
しかしながら、貯留タンクからベルトコンベアに粉粒物を供給する部位においてはその限りではなく、各種の集塵装置が無ければ土埃や粉塵の飛散を防止できない状態である。例えば特開2002−316730公報(特許文献1)では、コンベア全体を容器で覆って、舞い上がる粉体の堆積を防止するものや、ベルトコンベア上に供給される部位の粉粒物の吹き洩れを防止する装置も特開平08−169530号公報(特許文献2)に記載されている。
【0004】
また、粉粒物の貯留タンクの下端には、特開平06−135551号公報(特許文献3)のように、シリンダの動作による開閉シャッタによって、粉粒物の排出の可否を行うことが通常となっている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−316730公報
【特許文献2】特開平08−169530号公報
【特許文献3】特開平06−135551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ベルトコンベアの搬送体上に粉粒物を排出する場合は、下方に行くに従ってその面積を減少させる逆四角錐形状に形成し、下端に開閉シャッタを配置した貯留タンクをベルトコンベア上に配置するのが通常であるので、開閉シャッタを開として粉粒物をベルトコンベア上に排出を開始した場合や、ベルトコンベアに粉粒物の排出量を調整するために設けられた排出量調節板に擦られて粉粒物から飛散する塵埃は前記特許文献、特に特許文献2に記載された集塵装置で収集が可能であるが、開閉シャッタの隙間や、シャッタ動作時のその隙間から発生する塵埃や、シャッタ板の上面に貼りついたまま又は溜まった状態の粉粒物の除去は前記文献の集塵装置では取り除くことができない。
【0007】
さらに、貯留タンクに投入されたばかりの粉粒物では、外気と温度差がある場合に、シャッタ自体が結露する可能性があり、シャッタ板が結露している状態でシャッタの動作を行った場合においては、その上面に粉粒物の一部や塵埃が貼りつきやすく、時間の経過とともにその粉粒物の一部や塵埃が固着してシャッタの開閉に支障をきたす現象が発生している。
【0008】
そこで本発明では、貯留タンクからベルトコンベアに粉粒物が排出されたときに発生する土埃・塵埃を吸引すると共に、シャッタの開閉動作で発生するシャッタ板と本体との隙間から発生する土埃・塵埃、そしてシャッタ板の上面に溜まる粉粒物や土埃・塵埃を吸引することによって、シャッタの開閉操作で発生する土埃と塵埃の飛散と堆積、シャッタ板上に溜まる粉粒物と土埃・塵埃を取り除くことによって、たとえシャッタ板が結露した状態に至っても、シャッタ板付近を通風して乾燥することで、粉粒物と土埃・塵埃の固着を防止し、良好なシャッタの開閉動作を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明における集塵装置は、請求項1ないし請求項3にかかわる粉粒タンク供給部の集塵装置を提案する。
【0010】
即ち、請求項1に係わる粉粒タンク供給部の集塵装置は、上部に粉粒物を貯留する貯留タンク、下部に粉粒物を搬送する搬送体を備え、貯留タンク内の粉粒物を搬送体に排出するシャッタ部を備えた粉粒タンクの供給部であって、供給部には供給部内を通過して搬送体の上面に排出する粉粒物から飛散する塵埃と、排出の開閉を行うシャッタ部から発生する土埃や塵埃及び、シャッタ板上面に溜まる粉粒物を吸引するように構成されたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に係わる粉粒タンク供給部の集塵装置は、請求項1記載の粉粒タンク供給部の集塵装置において、供給部には、搬送体上に粉粒物の排出量調整を行う調整板を備えた排出部と、搬送体の稼動方向下流側にシャッタ板とその駆動部と、シャッタ板の開状態でその表面に外気を通風できる吸引口を備えるシャッタケースからなるシャッタ部と、シャッタ部のシャッタケース下方には、排出部と空間をもって、シャッタケース内部の集塵空間と連通する集塵フードを備え、前記集塵空間には外部の吸引装置と連通するシャッタ吸引口を設けたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に係わる粉粒タンク供給部の集塵装置は、請求項1又は請求項2記載の粉粒タンク供給部の集塵装置において、シャッタ吸引口は、粉粒物を貯留する貯留タンクの上方に連通することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
貯留タンクからベルトコンベアに粉粒物が排出されたときに発生する土埃・塵埃と、シャッタの開閉動作で、シャッタ板とシャッタケースとの隙間から発生する土埃・塵埃の吸引をして、作業環境を良好にすると共に、シャッタ板の開動作によってその上面に溜たまっている粉粒物の除去と、さらにはシャッタ板の上面に前記ベルトコンベア上に粉粒物を排出した時と、シャッタ開動作で発生し浮遊する土埃・塵埃のシャッタ板上への堆積を防止して、たとえシャッタ板が結露した状態になっても、シャッタ板付近を通風して乾燥することで粉粒物や土埃・塵埃の固着を防止し、良好なシャッタの開閉動作を維持する効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の実施の形態を示す部分側面図である。図2は図1の実施の形態の作動状態を示す部分側面図、図3はシャッタ部の斜視図、図4は粉粒タンクの供給部の配置を示す斜視図、図5は本発明の第二の実施の形態を示す側面図である。
【実施例1】
【0015】
1は粉粒タンクであって、上方から土や大鋸屑を貯留する貯留タンク2と、シャッタ部5と排出部6を備える供給部4から構成され、この粉粒タンク1内の粉粒物を排出するために、若干の距離をもって搬送体3が備えられている。なおこの搬送体はベルトコンベア17であるとよい。
【0016】
貯留タンク2は四角柱の側板23に、下方に行くに従ってその面積を減らし、逆四角錐形状に形成した流し板22の下端には、極力距離を持たず、供給部4のシャッタ部5と排出部6が順に接続されていて、シャッタ部5は貯留タンク2内の粉粒物の排出の可否を行うシャッタ板8とそれを収めるシャッタケース10が搬送体3の稼動方向の下流側に向けて配置されている。そしてシャッタケース10の外部にはシャッタ板8を稼動させるための駆動部9が備えられていて、この駆動部はエアシリンダの往復動作やモータの回転による軸の移動で、シャッタ板8の開閉を行う。
【0017】
シャッタケース10は、貯留タンク2と排出部6の結合部付近に、吸引口16、18が設けられていてその配置位置は、シャッタ板8が開状態にある時にシャッタ板8の表面付近を外気が通風される部位に設けられている。
【0018】
さらにシャッタケース10の下端には、集塵フード12を備えていてこの集塵フード12はベルトコンベア17の稼動する前後方向に向けて吸引口20が備えられ、この吸引口20の一方はベルトコンベア17の排出部6に備えられる調整板7に隣接して調整板7と平行に開口している。
【0019】
排出部6の下端は、貯留タンク2の排出口の大きさと略同じ開口幅で開口していて、ベルトコンベア17の稼動方向に対する排出部6の前後の垂直面は、コンベアの表面から距離をもって配置され、後面にはベルトコンベア17上に粉粒物を排出する量を調整する調整板7が設けられていている。また前記排出部6の下端の左右の垂直面はベルトコンベア17のベルト幅から粉粒物が漏れ出ないように、ベルトと接触しながら又は、ベルトから微小の距離を持って配置され、場合によってはベルトと接触する弾性を有する規制板が備えられているとよい(図示せず)。
【0020】
シャッタケース10の内部と集塵フード12の内部の空間は連通して集塵空間11を形成していて、この集塵空間11はシャッタケース10と集塵フード12の間に設けられているシャッタ吸引口13から外部に設けられた吸引装置14にダクト21によって繋がれている。
【0021】
排出部6とシャッタケース10と集塵空間11と集塵フード12に囲まれた位置に、空間15が配置されていて、供給部4のいずれかの部分を取り外さなくてもベルトコンベア17への排出量を調整する調整板7の上下方向の移動と、それを固定するための固定ねじ19の調節ができると共に、この空間15から吸引口18、20が外気を吸引できるようになっている。
【0022】
貯留タンク2内に貯留される粉粒物αは、土や大鋸屑などの粒子の細かい粉粒物であるのでブリッチ現象を起こしやすく、特に下方に行くにしたがってその断面積を減らして中央部から排出する場合には、流し板22の斜面から垂直方向に伸びる側板24の長さが長いほどその部分で粉粒物αがブリッチを起こし排出できなくなる現象が発生する。例えばカットゲート式の開閉装置である場合は、逆四角錘形状の流し板22の下端にカットゲートを設けようとすると、どうしても側板24は流し板22から距離をもって配置されるため、側板24の垂直部分が長くなり、内部でブリッチ現象が発生する可能性が高くなる。そこで本発明では、図1・2に示すように、貯留タンク2の逆四角錐形状の流し板22の下端に配置される側板24の高さを極力設けずに、供給部4のシャッタ部5を取り付けている。このシャッタ部5はシャッタ板8の開閉によるものであるから、シャッタ板8と流し板22の距離を極力少なくすることができるので、シャッタ部5の位置で粉粒物αがブリッチを起こす可能性が少なくなる。
【0023】
貯留タンク2内に堆積した粉粒物αは、シャッタ部5の駆動部9が作動することによってシャッタ板8が開となり、粉粒物αを貯留タンク2内部から供給部4へと落下させる。粉粒物αは排出部6内を流下し、稼動している搬送体3のベルトコンベア17のベルト表面に達してコンベアの動作方向に搬送されていくが、調整板7のベルトコンベア17の表面からの距離によって、コンベア上の粉粒物の堆積量、即ち搬送量が決定される。
【0024】
シャッタ部5の開動作による粉粒物αの流下搬送に伴い、調整板7を通過した粉粒物からの土埃・塵埃βがベルトコンベア17上から発生する。またシャッタ板8が駆動部9によってシャッタケース10に引き込まれるとき、その隙間25から発生する土埃・塵埃β、そしてシャッタ板8上に付着又は隙間25の間隙を通り抜けてシャッタ板8上に粉粒物αが若干堆積したままシャッタケース10内にシャッタ板8が収納される場合がある。
【0025】
シャッタ板8上(図2 A面 以降A面という)は、隙間25によるはじめから堆積している粉粒物αや、隙間25から、そして調整板7を通過しベルトコンベア17上から発生する土埃・塵埃βが浮遊してA面やシャッタ板8の下のシャッタケース10底面(図2 B面 以降B面という)に堆積することで、シャッタ板8が開閉動作を良好にできなくなる場合が発生する。特にシャッタ板8が結露している場合など堆積している粉粒物αや土埃・塵埃βが固着してシャッタの開閉を不可能としてしまう。
【0026】
そこで本発明では、外部の吸引装置14に接続したダクト21をシャッタ吸引口13に接続し、集塵空間11と連通するシャッタケース10の内部と集塵フード12の内部を不圧として、ベルトコンベア17上から発生する土埃・塵埃βは集塵フード12の吸引口20から、そしてA面上に堆積する堆積する粉粒物αや土埃・塵埃βは吸引口16から、B面上又は隙間25から発生する土埃・塵埃βは吸引口18からそれぞれ外気を吸引して、それぞれの箇所からの土埃・塵埃βの発生を防止し、良好なシャッタの開閉を維持することができるほか、シャッタ板8表面にはシャッタケース10内で常に外気が吸引口16・18から流入するので、結露することが無くまた結露していてもすぐに乾燥して、土埃・塵埃等の固着を防止する効果も有する。
【0027】
そして、排出部6とシャッタケース10と集塵空間11と集塵フード12に囲まれた位置にある空間15は、調節板7の上下調節とそれを固定する固定ねじ19の締め緩め作業をいずれかの部品をとり外すことなく容易に行うことができるほか、調節板7に隣接する吸引口20と吸引口18の外気の供給空間となって、良好な土埃・塵埃βの吸引を行うことができる。
【実施例2】
【0028】
図5は、上記の構成の集塵空間11につながれたダクト21を、貯留タンク2上端の側板23からその内部に接続した状態を示している。貯留タンク2の上面には粉粒物αを貯留タンク2内に投入するための投入シュート27が接続されており、この投入口は図示していないが、バルブ等によって外部と連通しないようになっていて、さらに貯留タンク2の上面に設けられた排気口26に吸引装置14を備えた構成を示している。
【0029】
投入シュート27が外気と連通していないので、貯留タンク2内は吸引装置14によって負圧となり、ダクト21を通じて集塵空間11の吸引を行う。集塵空間11ではシャッタ板8のA面に堆積している比較的粒径が大きく比重の重い粉粒物を集塵空間11から吸引してしまう場合もあるので、貯留タンク2内に戻すことによって、再度搬送体3に供給し、機外に排出される粉粒物αの低減を図るものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態を示す部分側面図である。
【図2】図1の実施の形態の作動状態を示す部分側面図である。
【図3】シャッタ部を示す斜視図である。
【図4】粉粒タンクの供給部の配置を示す斜視図である。
【図5】本発明の第二の実施の形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 粉粒タンク
2 貯留タンク
3 搬送体
4 供給部
5 シャッタ部
6 排出部
7 調整板
8 シャッタ板
9 駆動部
10 シャッタケース
11 集塵空間
12 集塵フード
13 シャッタ吸引口
14 吸引装置
15 空間
16 吸引口
17 ベルトコンベア
18 吸引口
19 固定ねじ
20 吸引口
21 ダクト
22 流し板
23 側板
24 側板
25 隙間
26 排気口
27 投入シュート
α 粉粒物
β 土埃・塵埃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に粉粒物を貯留する貯留タンク、下部に粉粒物を搬送する搬送体を備え、貯留タンク内の粉粒物を搬送体に排出するシャッタ部を備えた粉粒タンクの供給部であって、
供給部には供給部内を通過して搬送体の上面に排出する粉粒物から飛散する塵埃と、排出の開閉を行うシャッタ部から発生する土埃や塵埃及び、シャッタ板上面に溜まる粉粒物を吸引するように構成されたことを特徴とする、粉粒タンク供給部の集塵装置。
【請求項2】
供給部には、搬送体上に粉粒物の排出量調整を行う調整板を備えた排出部と、
搬送体の稼動方向下流側にシャッタ部のシャッタ板とその駆動部と、シャッタ板の開状態でその表面に外気を通風できる吸引口を備えるシャッタケースからなるシャッタ部と、
シャッタケース下方には、排出部と空間をもって、シャッタケース内部の集塵空間と連通する集塵フードを備え、
前記集塵空間には外部の吸引装置と連通するシャッタ吸引口を設けたことを特徴とする、請求項1記載の粉粒タンク供給部の集塵装置。
【請求項3】
シャッタ吸引口は、粉粒物を貯留する貯留タンクの上方に連通することを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の粉粒タンク供給部の集塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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