説明

粉粒体コンテナ用内袋

【課題】粉粒体コンテナ用内袋において、内袋の耐久性を上げ、かつ排出作業を円滑に行えるようする。
【解決手段】コンテナによって輸送される粉粒体を収容するためにそのコンテナの内部に設置される内袋10である。この内袋10は、布帛の少なくとも片面に合成樹脂層を積層した可撓性シートによって成形されている。内袋10の内部の底面12に、可撓性シートの合成樹脂層よりも剛性の高い底敷きシート36が敷設されている。底敷きシート36におけるコンテナ外への粉粒体の排出側を除く任意の辺の縁部に、垂直の立ち上がり部38を形成することができる。内袋10には、この立ち上がり部38を覆うラップ部39を設けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉粒体コンテナ用内袋に関し、特に、粉粒体を輸送する箱状のコンテナであって長手方向の一端にドアを有するコンテナに内装される、粉粒体コンテナ用内袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流方法を合理化する一環として、化学製品、プラスチックス、穀類あるいは肥料等のバルク輸送が盛んに行われている。その輸送手段の一つとして、一般に使用されている箱型の大型コンテナの内部に内袋を装着させ、その内袋に内容物を充填し、輸送し、コンテナ本体を約30度にダンプアップ(傾斜)させることによりコンテナの後扉より排出することが行われている。このようなものであると、内袋において廉価なフィルム成形品を使用し、かつ一般的なコンテナを流用するため、輸送コストの低減が可能である。
【0003】
例えば、押出成形されて両端を溶接された管形フィルムにて作られた内袋が提案されている(特許文献1)。この内袋をコンテナへ固定するために、固定バーが使用される。
また、袋体の長手方向に沿った側部の上縁部と、その短手方向に沿った頂部の縁部とに、懸吊具を所定間隔で順次配設した内袋が提案されている(特許文献2)。
【0004】
しかし、特許文献1、2に記載された内袋は、廉価な可撓性合成樹脂製のフィルムあるいは薄いシートを使用して成形されたものであって、それ自体に積載貨物の荷重に耐える強度がなく、変形あるいは破断しやすい材料である。このため、耐久性が低く、数回程度の使用で交換及び廃棄することを要する。
【0005】
また、コンテナ壁面は補強のために波板形状であるものが多く、しかもコンテナ内部の高さは約2.5mあり、積載貨物である粉粒体の充填後には充填物の高さが2m以上となる。前記の可撓性の合成樹脂製フィルムあるいは薄いシートから成形された内袋においては、内袋内面に受ける荷重を通常はコンテナ壁に負担させるために、内袋の大きさを当該コンテナの内部寸法よりも大きなものとして使用せざるを得ない。即ちコンテナ内面の寸法が内袋よりも小さく内袋寸法が余るために、壁面と底面にシワを発生させつつコンテナへ固定せざるを得ない。このため、特に内袋底面に発生したシワが原因で、このシワの部分に粉粒体が引っ掛かって、30度にダンプアップしても貨物の全量が排出されず、最後には人による作業で残量を排出しなければならない。
【0006】
この問題点を解決すべく、輸送コンテナの内袋の素材として、スリップ剤を配合したことにより非常にスリップ性の高い素材を開発して、トラックの荷台に載っている大型コンテナの傾斜角が30度未満の状態で内容物としての合成樹脂ペレットを滑り落とすことができるという提案がなされている(特許文献3)。この素材は、スリップ剤を配合した合成樹脂組成物からなる合成樹脂製フィルムもしくはシートにて形成されている。あるいは、該合成樹脂フィルムもしくはシートと、他の合成樹脂製フィルムもしくはシートまたは合成樹脂製織布もしくは合成樹脂製フラットヤーンクロスとを積層したものである。また特許文献3には、合成樹脂ペレットを輸送するためのコンテナの内袋を保護し、かつ合成樹脂ペレットを排出するときに内袋の後部にかかる圧力を支える目的で、内袋支持具を用いることが記載されている。
【0007】
しかしながら、前記のようなスリップ剤を配合した合成樹脂フィルムもしくはシートは、厚さ30〜500μmの範囲のものが好ましく、低密度ポリエチレンが特に好ましいとされているが、スリップ剤のブリードアウト物が積載貨物へのコンタミネーションとなるという問題点がある。また、低密度ポリエチレンが柔軟な樹脂であるために、積載貨物の充填時における衝撃摩耗についての耐久性に問題があり、摩耗断片が発生することがある。発生した摩耗断片はコンタミネーションとなることが問題である。さらに、内袋の底面も柔軟な合成樹脂からなるフィルムもしくはシートで形成されているため、積載貨物の自重によって内袋底面に積載貨物自体が圧着され、このため排出時に30度にダンプアップされても全量が排出できず、排出残が発生する。またこのような柔軟で低剛性の合成樹脂フィルムもしくはシートにおいては特に底面にシワが発生しやすく、積載貨物の排出時に30度にダンプアップさせてもこのシワに充填物が引っ掛ることも原因となって、全量を排出することができず排出残が発生する。すると、これらの排出残を手で掻き出すなどの作業を要する問題がある。
【0008】
また、内袋をコンテナ内へ架装する時に、内袋外壁面とコンテナ壁面とを接着剤等にて貼り合わせることで、内袋を所定位置に取り付けることが一般に行われている(特許文献4)。しかし、このようにしても底面のシワが消えるわけではなく、特に排出時のダンプアップにともなう内袋の排出方向へのズレによって底面にさらにシワが発生して、排出残が発生する問題点がある。
【0009】
以上のように、コンテナ内袋の底面に軟質で低剛性の可撓性合成樹脂フィルムあるいはシートを適用させることは、全量を排出させる上で問題がある。
またコンテナ本体は金属壁で構成されている為、いったん内袋を装着すると、ドア側開口部以外の内袋の状態を確認することは、内袋の装着を外さない限り不可能である。このため、内袋に摩擦等による擦れや破れがなどの破損が発生しても発見できず、異物混入のおそれがある。
【0010】
他方、クリーニング容易性や排出性など改善のために、内袋を構成する部材の一部分をスライドファスナー等の接離手段によって接合、分離自在とすることで、反復利用可能としたコンテナ内袋が提案されている(特許文献5)。しかしながら、スライドファスナーなどの部材は充填、排出時などに破損しやすく、その破損部材が貨物粉粒体に異物として混入する恐れが多分にある。したがって、このような構成は、点検のための大きい開口部を構成する材料としては採用し難いものである。
【特許文献1】特開昭49−70776号公報
【特許文献2】特開昭58−112982号公報
【特許文献3】特開2003−128183号公報
【特許文献4】特公昭57−2591号公報
【特許文献5】特開平11−165790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、粉粒体コンテナ用内袋において、内袋の耐久性を上げ、かつ排出作業を円滑に行えるようすることを課題とする。
また本発明は、粉粒体コンテナ用内袋において、内袋に生じた破損等の異常を早期に発見できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題は、コンテナによって輸送される粉粒体を収容するために前記コンテナの内部に設置される内袋であって、布帛の少なくとも片面に合成樹脂層を積層した可撓性シートによって成形されているとともに、前記内袋の内部の底面に前記合成樹脂層よりも剛性の高い底敷きシートが敷設されていることを特徴とするコンテナ用内袋により解決することができる。
【0013】
本発明では、上記コンテナ用内袋において、底敷きシートにおけるコンテナ外への粉粒体の排出側を除く任意の辺の縁部に垂直の立ち上がり部が形成され、かつ内袋にこの立ち上がり部を覆うラップ部が設けられていることが好適である。
【0014】
また本発明では、上記コンテナ用内袋において、内袋の天面に、この内袋の内部に粉粒体を充填するための開閉自在の充填口が形成されているとともに、コンテナのドア側に対応した内袋の面に、この内袋の内部の粉粒体を排出するための排出口と、内袋に人が出入りできる大きさの点検口とが、各々独立に開閉自在に形成されていることが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内袋が布帛の少なくとも片面に合成樹脂層を積層した可撓性シートによって成形されているとともに、内袋の内部の底面に合成樹脂層よりも剛性の高い底敷きシートが敷設されているため、内袋の耐久性を改善することができ、しかも内袋の底面に敷設した底敷きシートによって粉粒体を内袋から残なく排出することができて作業の簡易性、効率を向上させることができる。
【0016】
また、底敷きシートにおけるコンテナ外への粉粒体の排出側を除く任意の辺の縁部に垂直の立ち上がり部が形成され、かつ内袋にこの立ち上がり部を覆うラップ部が設けられていることで、粉粒体が底敷きシートと内袋の底面との間に入り込んでしまうことを確実に防止できる。
【0017】
また、粉粒体を排出するための排出口とは別に点検口を設けたため、内袋をコンテナに装着したままで内袋内部に人が出入りでき、このため内袋をコンテナより外すこと無く容易に点検でき、安全に長期間繰り返して使用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の実施の形態の粉粒体コンテナ用内袋を示す。この内袋10はシートにて構成されており、このシートは、布帛の少なくとも片面に軟質合成樹脂層が積層され、かつこの合成樹脂層が内袋10の内面に露出するように配置された可撓性シートにて形成されている。これにより、長期の繰り返し使用に必要な耐久性を付与することができる。布帛は、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、またはそれらを混合した繊維から選んだ、織布、編布、不織布を適宜使用することができる。なかでも、ポリエステルまたはナイロンを使用した平織物が好ましい。布帛に積層する軟質合成樹脂は、軟質塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタン樹脂、シリコーンゴム、弗素系エラストマー、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなど、シートに可撓性を付与できる軟質の樹脂から選択することができる。なかでも、高周波溶着縫製による成形が可能な、軟質塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタン樹脂が好ましい。内容物へのコンタミネーションを避ける観点から、積載貨物としての粉粒体の種類と同種の軟質樹脂を用いることもできる。
【0019】
前述の積層構造の可撓性シートの厚みは、0.5mm以上かつ2.0mm以下であることが、内袋10の強度の面で好ましい。0.5mmよりも薄い場合は強度が不足し、2.0mmよりも厚い場合は、可撓性シートが硬くなりコンテナ内部への装着等架装の取り扱いが困難となる。
【0020】
具体的には、内袋10を構成する可撓性シートとして、ポリエステル平織り布の両面にエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を積層した厚み0.75mmのシートを、好適に用いることができる。
【0021】
そして、このような可撓性シートを使用して、接合部を高周波ウェルダー溶着にて縫製することで、天面11と、底面12と、前後の端面13、14と、左右の側面15、16とを持つ六面体状の内袋10を構成することができる。
【0022】
図7は、この袋体10をトラック1のコンテナ2の内部に装着した状態を示す。3は、コンテナ2の内部に粉粒体を充填するときの充填ハッチで、コンテナ2の天板に形成されている。4は、コンテナ2を開閉するためのドアで、コンテナ2の後端に設けられている。そして、図1に示す六面体状の内袋10は、コンテナ2の内部寸法と略同寸法として成形されている。
【0023】
図1に示すように、内袋10の外面には、この内袋10をコンテナ2の内部に装着するための複数のループベルト18が設けられている。図示を省略した取付金具や取付ベルトをこのループベルト18に通すことによって、ループベルト18がコンテナに固定され、内袋10がコンテナに装着される。
【0024】
内袋10の天面11には、同様のシートにて形成された円筒状の充填口19が設けられている。この充填口19は、コンテナ2の充填ハッチ2に対応する位置において、内袋10から突出するような形態で設けられている。充填口19には、この充填口19を開閉するための結束ベルト20が設けられている。
【0025】
図1および特に図2において詳細に示すように、図7におけるコンテナ2のドア4に対応した、内袋10の後端面14の下端部には、同様のシートにて形成された筒状の排出口21と筒状の点検口22とが、並んで突出した状態で設けられている。
【0026】
排出口21は先細りの漏斗状の形状とされ、その先端開口部23が内袋10の後端面14の中央部付近に位置するようにされている。内袋10から一度に大量の粉粒体の排出が行われないよう、先端開口部23の大きさは、たとえばタテ200mm、ヨコ250mm程度に形成することが好適である。なお、先端開口部23の寸法は、これ以外にも、排出先の搬送処理能力に応じて、適宜設定することができる。
【0027】
点検口22は、作業者が内袋10の内部に入ることができるように、ストレートな筒状に形成されたものである。すなわち、内袋10の中の粉粒体の排出が終わった後に、作業者が点検口22から内袋10の内部へ立ち入り、内袋10に擦れや破れ等の破損が無いかなどの点検作業を行うことができるようにされている。この点検口22は、作業者がスムーズに出入りが可能な寸法として、開口の大きさをたとえばタテ300mm、ヨコ800mmとすることができる。なお、点検口22は、内袋10の中の粉粒体を排出するときにも用いることができる。
【0028】
排出口21と点検口22とには、これら排出口21や点検口22を開閉するための結束ベルト24が設けられている。なお、これら排出口21や点検口22は上述のように内袋10の後端面14の下端部に設けられており、これによって結束ベルト24を用いた開閉作業を地上にて行うことができるようにされている。
【0029】
図7および図3に示すように、ドア4が設けられているコンテナ2の後端の開口には、ドア4を開いたときに、粉粒体を収容した内袋10が膨れ出さないように、内袋支持枠28が、着脱可能な状態で設けられている。この内袋支持枠28は横方向の複数の支えバー25を有し、これらの支えバー25は、排出口21および点検口22よりも上側の位置において、互いに上下に間隔をおいた状態で設けられている。そして内袋10の後端面14には、この後端面14をそれぞれの支えバー25に装着するために、それぞれの支えバー25に対応した位置に、それぞれ複数の結束ベルト26が設けられている。
【0030】
内袋10に粉粒体を充填して輸送するときには、シートにて形成された排出口21および点検口22は、結束ベルト24にて開口が閉じられた状態で、コンテナ2の内側となる位置までたたみ込まれる。そして、内袋10の後端面14には、このたたみ込まれた状態を維持するための複数の押さえベルト27が設けられている。すなわち、押さえベルト27をセットすることで、たたみ込まれた排出口21および点検口22がコンテナ2から後方へ突出することを防止可能とされている。このように押さえベルト27を設けることで、排出口21および点検口22がコンテナ2から後方へ突出してドア4の開閉に支障をきたすことを防止する役割を果たす。また押さえベルト27は、結束ベルト24と同時に用いられることで排出口21および点検口22を二重に閉じることができ、これにより排出口21および点検口22から内袋10の内部への異物の混入を防止する効果を高めることも可能である。
【0031】
図1および図6に示すように、内袋10の後端面14の横隅部には、積載貨物としての粉粒体の排出時に内袋10内部が減圧状態となることを防止するための、空気供給管29が、内袋10の内外を連通する形で設けられている。この空気供給管29は、内袋10の内部に設けられた上下方向の本体部30と、本体部30の上端に設けられた上向きの内側開口部31と、本体部30の下端から内袋10のシートを貫通して内袋10の外部に向けて横向きに貫通した外側開口部32とを有した構成である。
【0032】
内袋10の後端面14には、空気供給管29の外側開口部32の外周を包み込むように覆うことができる筒状のカバー33が、内袋10と同じシートによって内袋10と一体的に設けられている。34は結束ベルトで、外側開口部32よりも先端側の位置でカバー33を開閉することが可能である。
【0033】
図1に示すように、内袋10の内部には、その底面12を覆うように、底敷きシート36が設けられている。この底敷きシート36は、図1および図5に示すように、内袋10の底面12とほぼ同寸法とされた本体部37と、内袋10の後端面14と前端面13とを除く左右の側面14、15に対応した本体部37の縁の部分に設けられた立ち上がり部38とを一体に有した構成である。そして底敷きシート36は、高密度ポリエチレン樹脂などの、内袋10を構成する材料よりも剛性が高くかつ硬質である材料で形成されている。たとえば、上記の高密度ポリエチレン樹脂にて構成する場合は、シートの厚みを2mmとするとともに、立ち上がり部38を高さ150mmに折り曲げて形成したものを好適に用いることができる。必要に応じて、底敷きシート36を内袋10の底面12に仮接合することができる。仮接合の方法は、両面テープによる感圧接着法や、挟合固定する方法などを適宜選択できる。
【0034】
図6に示すように、内袋10にはラップ部39が設けられている。このラップ部39は、底敷きシート36よりも上側から垂れ下がった状態で設けられて、この底敷きシート36の立ち上がり部38の内面を、内袋10との間で挟み込むように上方から覆うことができるように構成されている。このラップ部39は、内袋10を構成する軟質合成樹脂と同じ材料などで構成することができ、たとえば厚み1mmのエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂フィルムを使用して、高周波ウェルダー溶着縫製により内袋10の内面に取り付けられていることが好適である。
【0035】
図示は省略するが、図7に示すコンテナ2の内壁面と内袋10の外面との間には、トラック1による輸送時の振動等により内袋10の外面がコンテナ2の内壁面にて摩擦されることによる損耗を防止するために、緩衝材としての、ポリエチレン発泡体などのシートを介挿することができる。
【0036】
このような構成の内袋10を用いてコンテナ2により粉粒体を輸送する際には、上述の構成の内袋10をコンテナ2の内部に架装し、コンテナ2におけるドア4よりも内側に内袋支持枠28を設置する。排出口21と点検口22とは結束ベルト24で閉じ、たたみ込んだうえで押さえベルト27で押さえ込む。空気供給管29の外側開口部32を覆うカバー33も、結束ベルト34によって閉じておく。そのうえで、ポリスチレンペレットなどの粉粒体を充填口19から内袋10の内部へ充填する。このとき、内袋10の底面12に底敷きシート36が設置されているため、粉粒体を充填するときに内袋10の底面12における衝撃摩耗の発生を防止できる。
【0037】
その後、充填口19を結束ベルト20で閉じ、コンテナ2の充填ハッチ3とドア4とを閉めたうえで、トラック1による輸送を行う。
このとき、内袋10の底部に高剛性かつ硬質の底敷きシート36が設けられており、この底敷シート36が内袋10の底面12を覆っているため、たとえ底面12にシワが発生していても、このシワの内部に粉粒体が入り込むことを防止できる。また底敷きシート36は内袋10よりも硬質の材料で形成されているため、内袋10の内部にたとえば2mを超える高さまで粉粒体を充填しても、底側の粉粒体が底敷きシート36に圧着することを防止できる。また底敷きシート36には立ち上がり部38が形成されており、しかも内袋10にはこの立ち上がり部38を覆うラップ部39が設けられていることから、紛粒体の重量によってラップ部39を介して立ち上がり部38を内袋10の左右の側面15、16に押さえ付けることができ、このため内袋10の内部の粉粒体が底敷きシート36と内袋10の底面12との間に入り込んでしまうことを確実に防止できる。ラップ部39にて立ち上がり部38を覆っているため、粉粒体が底敷きシート36の立ち上がり部38と内袋10との間に入り込むことも、確実に防止できる。
【0038】
輸送した粉粒体をコンテナ2から取り出す際には、コンテナ2のドア4を開き、排出口21と必要に応じて点検口22を開き、カバー33を開いて空気供給管29により内袋10の内外を連通させる。そして、その状態でコンテナ2ダンプアップして排出口21および必要に応じて点検口22から粉粒体を外部に排出する。
【0039】
このとき、内袋10の底部に高剛性かつ硬質の底敷きシート36が設けられているため、粉粒体は、良好な滑りを与えられて、効果的に排出される。また、底敷シート36が内袋10の底面12を覆っているため、たとえ内袋10にシワが生じていても、このシワに粉粒体が引っ掛かることが無く、粉粒体の全量を残さず効率的に排出することができる。
【0040】
上記のような機能を果たすためには、底敷きシート36は、剛性が高く、かつ硬質で摩擦抵抗の低い素材であることが必要である。例えば、上述の高密度ポリエチレン樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、四弗化エチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、硬質塩化ビニル樹脂などを好適に使用できる。価格と入手しやすさの観点から、高密度ポリエチレン樹脂がより好ましい。高密度ポリエチレン樹脂の場合は、底敷きシート36の厚みは、1.5mm以上であることが好ましい。これよりも薄いと内袋10の底面12の衝撃摩耗に対する保護にならず、また底敷きシート36自体がシワになりやすいために排出時に積載粉粒体が全量排出されず、内袋10の内部に粉粒体が残る問題が生じる。立ち上がり部38は、粉粒体の入り込み防止効果を十分に発揮するためには、その高さが100mm以上であることが好ましい。ただし、コンテナの寸法や積載する粉粒体の寸法によっては、この限りではない。
【0041】
内袋10を長期に使用するうえで、日常もしくは定期的に点検を行う必要がある。このとき、上記のように、専用の比較的口径の小さい排出口21とは別に、大きめの点検口22を設けたため、内袋10の内部への人の出入りが可能となり、内袋10をコンテナ2に取り付けたままで、内部から内袋10の損傷度合いを検査することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態の粉粒体コンテナ用内袋の立体図である。
【図2】図1における要部を拡大して示す図である。
【図3】図1の内袋をコンテナに装着した状態を示す要部の立体図である。
【図4】図1における要部の断面図である。
【図5】図1における底敷きシートの立体図である。
【図6】図4の底敷きシートの設置状態を示す要部の拡大断面図である。
【図7】図1の内袋をトラックのコンテナに装着した状態を示す立体図である。
【符号の説明】
【0043】
2 コンテナ
10 内袋
12 底面
19 充填口
20 結束ベルト
21 排出口
22 点検口
24 結束ベルト
27 押さえベルト
36 底敷きシート
37 本体部
38 立ち上がり部
39 ラップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナによって輸送される粉粒体を収容するために前記コンテナの内部に設置される内袋であって、布帛の少なくとも片面に合成樹脂層を積層した可撓性シートによって成形されているとともに、前記内袋の内部の底面に前記合成樹脂層よりも剛性の高い底敷きシートが敷設されていることを特徴とする粉粒体コンテナ用内袋。
【請求項2】
底敷きシートにおけるコンテナ外への粉粒体の排出側を除く任意の辺の縁部に垂直の立ち上がり部が形成され、かつ内袋にこの立ち上がり部を覆うラップ部が設けられていることを特徴とする請求項1の粉粒体コンテナ用内袋。
【請求項3】
内袋の天面に、この内袋の内部に粉粒体を充填するための開閉自在の充填口が形成されているとともに、コンテナのドア側に対応した内袋の面に、この内袋の内部の粉粒体を排出するための排出口と、内袋に人が出入りできる大きさの点検口とが、各々独立に開閉自在に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の粉粒体コンテナ用内袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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