説明

粉粒体供給装置用シールパッキンおよび粉粒体供給装置のシール方法

【課題】製造、使用に要するコストが低く、昇降装置等を用いることなく簡易な構成で高い密閉性を実現することのできる粉体供給装置用シールパッキンを提供する。
【解決手段】第1の接続管12と第2の接続管24とを有し、第1の接続管12には第1のバタフライバルブが、第2の接続管24には第2のバタフライバルブがそれぞれ備えられた粉粒体供給装置における2つの前記接続管12,24の接合部に設けられるシールパッキン44の構造であって、第1の接続管12の底面に接触する第1シール面46aを有する第1シール部46と、第1の接続管12の外周面に接触する第2シール面50aを有する第2シール部50とを備え、断面L字型に形成する。そして、第1シール部46に底部エア貯蔵部48を設け、第2シール部50には側部エア貯蔵部52を設け、底部エア貯蔵部48と側部エア貯蔵部52とを接続する連結通路54を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体や粒体などを密閉コンテナや管などの粉粒体供給部から、当該粉粒体供給部の下流側に位置する製造装置や他の密閉コンテナ、及び管などの粉粒体受給部へ向けて重力落下させる際に用いられる粉粒体供給装置に係り、特に粉体供給部側に設けられた接続管と粉粒体受給部側に設けられた接続管との接合部に設けられるシールパッキンの構造、およびこのシールパッキンを用いたシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体を扱う工場、特に医薬品工場などでは、品質の確保やオペレータの暴露リスクを低減する観点等から、製造過程での異物混入(汚染)や粉粒状の薬剤の飛散を防止するための封じ込め技術が重要となる。
【0003】
医薬品工場での、製造工程の一部を図8に示す。図8に示す工程は、粉粒状の製品を製造する造粒乾燥装置やタブレット状の錠剤を製造する打錠機などの製造装置1を用いた造粒乾燥工程、あるいは打錠工程を示す。
【0004】
このような製造工程ではいずれも、その前段の工程として、製造装置1に対して粉粒体や液状体を供給するという工程を要する。粉粒体や液状体等の原料や中間製品は、自動ラック倉庫4に収納された密閉コンテナ2内に保管されており、当該密閉コンテナ2が、製造エリア3の上段に設けられた粉粒体供給エリア5に搬送され、粉粒体が製造装置1へ供給されることとなる。
【0005】
このような場合従来は、密閉コンテナと製造装置との間での粉粒体の飛散防止等の役割を担う粉粒体供給装置6として、スプリットバルブを採用することが知られている(例えば特許文献1参照)。また、粉粒体供給装置6の構造を簡素化することを目的とした場合には、オペレータの手動作業によって粉粒体を供給することを前提とした装置として、密閉コンテナと製造装置側にバタフライバルブを設け、密閉コンテナ側バタフライバルブ下の接続管にヘルールによって封止板を設置するというものも知られている。
【0006】
しかし上記のような粉粒体供給装置6には、それぞれ次のような問題が指摘されている。例えばスプリットバルブ形式の粉粒体供給装置は、半割りとする弁体合わせ面の機械加工に高い精度が要求されるという点である。そして、弁体の回転機構の構造的な問題により、粉粒体供給部側の容器を装置へ接続する際の接続等にも、高い精度が要求されるため、製造コストがかさむと共に、製作するバルブやロット間の寸法誤差管理、調整作業が膨大となる。また、医薬品工場では、通常の製造作業の他に、製造する製品の品種切り替えや機器のメンテナンス時に、製造装置や粉粒体供給装置を分解洗浄する必要があるが、上記のような問題を有するスプリットバルブは当然に、分解組立といった作業自体も煩雑なものとなるという問題を有する。
【0007】
また、ヘルールによって封止板を設置するバタフライバルブ形式の粉粒体供給装置では、オペレータの暴露リスクが高いという点が問題とされている。
これらの粉体供給装置に対して本願出願人は、粉粒体供給部側の接続管と粉粒体受給部側の接続管とにそれぞれバタフライバルブを設け、2つのバタフライバルブ間に構成される空間を洗浄ノズルを介して積極的に洗浄することを特徴とする粉粒体供給装置(特願2008−254499)、及びその運転方法(特願2008−354500)を提案し、これを出願している。
【特許文献1】特許第2676679号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記出願に係る粉粒体供給装置によれば、粉粒体の飛散や汚染を低減することができる。また、スプリットバルブに比べて構造が簡易であるため、分解洗浄性も良好で、オペレータの暴露リスクも低い。
【0009】
しかし上記出願に係る粉粒体供給装置では、粉粒体供給部側の接続管と粉粒体受給部側の接続管との接合部に設けられ、両者間の密閉性を保つシールパッキンの潰れ代の調整を、接続管の製作精度、あるいは粉粒体受給部側の接続管を昇降させる昇降装置によって最適値に調整する必要がある。また、装置構成は簡素化されたものの、接続管同士をロックする機構等も無いため接続管同士の接続部では、接続管同士のシール性能を向上させることで粉粒体の飛散や汚染の低減効果を高める必要性がある。
【0010】
ところが、密閉性を高めるためにシールパッキンと接続管とのクリアランス精度を高めようとした場合には、高精度な加工が必要となり、製造コストの高騰に繋がることとなる。また、密閉性を高めるために昇降装置での押付け圧を高める場合であっても、装置が大型化する毎に困難となり、昇降装置自体を大型化する必要が生じ、製造、使用に要するコスト面での負担が大きくなってしまう。
【0011】
そこで本発明では、製造、使用に要するコストが低く、昇降装置等を用いることなく簡易な構成で高い密閉性を実現することのできる粉体供給装置用シールパッキン、およびこのシールパッキンを用いたシール方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る粉粒体供給装置用シールパッキンは、粉粒体供給部側に配置された第1の接続管と、前記第1の接続管の下部に設けられて粉粒体受給部側に配置された第2の接続管とを有する粉粒体供給装置における2つの前記接続管の接合部に設けられるシールパッキンの構造であって、前記第1の接続管の底面に接触する第1シール面を有する第1シール部と、前記第1の接続管の外周面に接触する第2シール面を有する第2シール部とを備え、断面L字型に形成したことを特徴とする。
【0013】
また、上記のような特徴を有する粉粒体供給装置用シールパッキンは、前記第1シール部に底部エア貯蔵部を設け、前記第2シール部には前記第2シール面に沿って側部エア貯蔵部を設け、前記底部エア貯蔵部と前記側部エア貯蔵部とを接続する連結通路を設けるようにすると良い。このような構成とすることにより、第1接続管の重量を受けた際の変形量が向上すると共に変形部位を特定することが可能となる。このため、シール面の密閉性向上を効果的に実現することが可能となる。
【0014】
また、上記のような特徴を有する粉粒体供給装置用シールパッキンは、前記底部エア貯蔵部を前記第1シール面に沿って設けるようにすることが望ましい。底部エア貯蔵部はポンプの役割を担う部位であるためシールパッキン全周に亙って設ける必要性は無いが、シールパッキン全周に亙って設けることにより、第1シール部の変形量を均等化することができる。
【0015】
また、上記のような特徴を有する粉粒体供給装置用シールパッキンは、前記第1の接続管の底面と前記第1シール面とを平行に設け、前記第1シール面には当該第1シール面の形状に沿って設ける少なくとも1つの溝を形成すると良い。シール面に溝を形成することにより、接触面との密着性を向上させることができ、粉粒体の飛散等を防止する効果を向上させることができる。
【0016】
さらに、上記のような特徴を有する粉粒体供給装置用シールパッキンにおいて前記第1シール面と前記第2シール面との間には、逃げ溝を設けるようにすると良い。このような構成とすることにより、第1シール部と第2シール部がお互いの変形を妨げないようになる。このため、連結通路で連結された底部エア貯蔵部と側部エア貯蔵部のそれぞれの変形が各シール部にダイレクトに反映されることとなり、第2シール面の密閉性を向上させることが可能となる。
【0017】
また、上記目的を達成するための本発明に係る粉粒体供給装置のシール方法は、粉粒体供給部側に配置された第1の接続管と、前記第1の接続管の下部に設けられた粉粒体受給部側に配置された第2の接続管とを有し、前記第1の接続管には第1のバタフライバルブが、前記第2の接続管には第2のバタフライバルブがそれぞれ備えられた粉粒体供給装置における2つの前記接続管の接合部をシールする方法であって、前記第1の接続管の円形底面に接触する第1シール面を有する第1シール部と、前記第1の接続管の外周面に接触する第2シール面を有する第2シール部とを備えるシールパッキンを用い、前記第1のシール面に負荷される前記第1の接続管の重量により前記第1シール部を圧縮し、前記第1シール部を圧縮した力により前記第2シール部を膨張させることで、前記第1シール面、前記第2シール面双方の密着性を向上させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記のような特徴を有する粉粒体供給装置用シールパッキンによれば、製造、使用に要するコストを低く抑えることができる。また、接続部の密閉に昇降装置等の大掛かりな装置を必要とすることなく高い密閉性を得ることができる。さらに装置構成を簡略化することができるため、装置の設置面積や製造コスト等を削減することもできる。
【0019】
また、上記のような特徴を有する粉粒体供給装置のシール方法によれば、低いコストで高いシール性を実現することが可能となる。また、装置の構造を複雑化させることが無いために分解・洗浄面においても従来に比べて優位性を出すことができいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の粉粒体供給装置のシール構造、および粉粒体供給装置のシール方法に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。まず、図1〜図5を参照して、本発明のシール構造、およびシール方法を採用するための粉粒体供給装置の基本的な実施形態について説明する。なお、図1において、図1(A)は粉粒体供給装置の概略断面を示す図である。図2、図3はシール構造の部分拡大図であり、図2は側部シールが成されていない状態を示す図であり、図3は側部シールが成されている状態を示す図である。また、図4はシールパッキンの部分拡大斜視図であり、図5はシールパッキンの平面図である。
【0021】
本実施形態でいう粉粒体供給装置10とは、背景技術の項で述べたように、粉粒体を収容した密閉コンテナ等の粉粒体供給部と、粉粒体供給部から供給される粉粒体を原料として製品を製造する製造装置等の粉粒体受給部とを接続する接続管の構造、及び当該接続管の周囲に配された機器の構造を包含した装置の総称を指すものとする。
【0022】
本実施形態に係るシール構造を採用する粉粒体供給装置10は、密閉コンテナ側に設けられた第1の接続管12と、製造装置側に設けられた第2の接続管24、第1の接続管12に備えられた第1のバタフライバルブ14、第2の接続管24に備えられた第2のバタフライバルブ34及び洗浄ノズル26を有する。
【0023】
第1の接続管12は、密閉コンテナのホッパ60の下部に接続された管であり、円筒状に形成されている。第1の接続管12の下端部に位置する開口部には、詳細を後述する第2の接続管24における開口部との接触面積を稼ぐためのフランジ22が形成されている。
【0024】
第1のバタフライバルブ14は、第1の接続管12の長手方向中心付近に、第1の接続管12の壁面を貫通して設けられる2つの回転軸15a(図1の手前側と奥側)と、この回転軸15aの間に設けられる円板15bとより成る。第1のバタフライバルブ14を構成する2つの回転軸15aは、円筒状を成す第1の接続管12における中心軸と直交する直線状に配置され、回転軸15aの少なくとも一方には、回転軸15aを回転させるためのアクチュエータ(不図示)を接続するようにすると良い。第1のバタフライバルブ14を構成する円板15bの直径は、第1の接続管12の内径とほぼ一致している。第1の接続管12における第1のバタフライバルブ14の回転軸15aを配置した部位には、フランジ状の張り出し部16が形成されており、中空とされた張り出し部16の内側には、円板15bを水平状態とした場合に、第1の接続管12を気密に閉塞するためのシール包囲体18が配設されている。
【0025】
第1の接続管12は、上述した第1のバタフライバルブ14、及びシール包囲体18を配設したフランジ状の張り出し部16で、水平方向に分割可能な構成とされている。このように、いわゆるヘルール式継手のように分割可能とされた張り出し部16の外周には、張り出し部16を長手方向に締結するためのクランプや、ヘルールクランプといった押えジグ20が備えられている。
【0026】
このような構成とすることで、回転軸15aを回転させることで円板15bが傾くように回動し、第1の接続管12を閉塞し、または開放させることが可能となる。また、第1のバタフライバルブ14やシール包囲体18を配設した張り出し部16をクランプやヘルールクランプといった押さえジグ20で締結する構成としたことで、メンテナンスや洗浄時の分解、組立に工具が不要となり、分解、組立に要する労力が低減される。なお、第1のバタフライバルブ14の開度は、円板15bの主面を水平状態にした角度を基準として、0°が全閉(閉塞)状態、90°が全開状態となる。
【0027】
次に、第2の接続管24の構成について説明する。第2の接続管24の構成は、上述した第1の接続管12の構成と殆ど同じである。すなわち、第1の接続管12と対向する開口部に備えられたフランジ42と、ヘルール式継手状に分割可能とされた張り出し部36に備えられた第2のバタフライバルブ34とシール包囲体38とを有し、押えジグ40で張り出し部36を締結しているのである。なお、第2の接続管24は、製造装置側のホッパ70に接続されていると共に洗浄ノズル26を有し、フランジ42にシールパッキン44を備える点が第1の接続管12と異なる。
【0028】
第1の接続管12との相違点である洗浄ノズル26は、第2の接続管24の内壁面であって、フランジ42と第2のバタフライバルブ34配設位置との間に配設される。実施形態に係る洗浄ノズル26は、伸縮管28とノズルヘッド30、及びノズルヘッド30の先端に備えられた閉止栓32とを有する。洗浄ノズル26は、矢印Aの方向へ伸縮可能とされ、粉粒体供給時などの収縮状態では第2の接続管24の内壁面に閉止栓32が収まることとなる。このような構成とすることで、洗浄ノズル26を設けることにより生ずる粉だまりが少なくなり、粉粒体接触面の洗浄時間等を短縮することができる。
【0029】
シールパッキン44は、第2の接続管24における開口部のフランジ42に形成された溝に設けられる。ここでフランジ42は、溝43を介して設けられる内壁42aと外壁42bとの関係に次のような特徴を持つ。すなわち、内壁42aよりも外壁42bの高さを高くし、内側と外側において段違いの壁面を構成しているのである。これは、フランジ42の溝43に配置するシールパッキン44の形態と潰れ代を考慮した構造である。
【0030】
本実施形態に係るシールパッキン44は、第1の接続管12の底面としてのフランジ22の底面と接触する第1シール面46aを有する第1シール部46と、第1の接続管12の外側面としてのフランジ22の外側面と接触する第2シール面50aを有する第2シール部50とを備える断面L字型のシール材である。構成材料としては、シリコンやゴムなどの可撓性を有する部材であると良く、好ましくは耐熱性、耐油性、耐薬品性等を備えた部材であると良い。薬品や熱等による劣化を防止するためである。
【0031】
第1シール部46と第2シール部50にはそれぞれ、空気を溜めておくための空間である底部エア貯蔵部48と側部エア貯蔵部52が設けられている。底部エア貯蔵部48と側部エア貯蔵部52は、連結通路54によって部分的に接続されている。このため、シールパッキン44の第1シール部46が外力を受けることにより底部エア貯蔵部48が圧縮された場合には、底部エア貯蔵部48内のエアが側部エア貯蔵部52側へ逃げ、側部エア貯蔵部52が膨張することとなる。また当然に、側部エア貯蔵部52が圧縮された場合には、底部エア貯蔵部48が膨張することとなる。
【0032】
ここで、第2シール面50aの内径D1は、第1の接続管12におけるフランジ22の外径D0よりも僅かに大きくなるように形成する。このため、シールパッキン44を第2の接続管24のフランジ42へ組み付けた状態では、第1の接続管12におけるフランジ22の外径と第2シール面50aとの間には隙間tが生ずることとなる。
【0033】
本実施形態に係るシールパッキン44は、第1シール面46aに第1の接続管12におけるフランジ22の底面が接触するため、第1シール部46に対して重力方向へ第1の接続管12の重量が作用することとなる。この場合、可撓性部材で構成されたシールパッキン44では、第1の接続管12におけるフランジ22の底面が接触する第1シール面46aが押圧を受けることとなり、第1シール部46が潰れるように変形する。この潰れに伴い、底部エア貯蔵部48が圧縮され、連結通路54を介して側部エア貯蔵部52の内圧を上昇させる。この時第2シール部50は、外圧を受けていない状態であるため、側部エア貯蔵部52の内圧の上昇を受けることにより側部エア貯蔵部52の膨張に倣って変形する。このため、第1の接続管12におけるフランジ22の外径と第2シール面50aとの間に生じていた隙間tは無くなり、第2シール面50aがフランジ22の外径に密着することとなる。
【0034】
このように、本実施形態に係るシールパッキン44によれば、粉粒体の流路と外気エリアとの間に、第1シール面46aと第2シール面50aによるダブルシール構造を構成することができる。また、第1シール面46aは第1の接続管12の重量によりフランジ22の底面に密着する構造を採り、第2シール面50aは第1の接続管12の重量を利用したポンプアップ機構によりフランジ22の外側面に密着する構造を採る。このため、従来シールパッキンとフランジ底面との密着性を高めるために用いていた昇降装置を不要とすることができ、装置構造を簡素化することができるようになった。
【0035】
また、第2シール面とフランジ22の外側面との密着性は、第1シール部46の変形に伴う第2シール部50の変形(底部エア貯蔵部48の圧縮に伴う側部エア貯蔵部52の膨張)によって得られるものであるため、製造・組み付け段階におけるフランジ22の外径と第2シール面50aの内径とのクリアランスに高い精度を必要としない。このため、部品の製造コスト、延いては装置全体としての製造コストを抑制することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態に係るシールパッキン44は、第1シール面46aと第2シール面50aとの間に逃げ溝56を設けるように構成している。このような構成とすることで第1シール部46と第2シール部50は、互いの変形を妨げる虞がなくなり圧縮と膨張がし易くなる。このため、形状変化による密着性の向上を図ることができるようになる。
【0037】
ここで、第2シール面50aとフランジ22の外側面との密着性は、側部エア貯蔵部52の膨張に伴って奏される効果である。このため、側部エア貯蔵部52は第2シール面50aに沿ってシールパッキン44の全周に亙って円形に配されることが望ましい。これに対して底部エア貯蔵部48は、側部エア貯蔵部52へエアを供給するためのポンプの役割を担うものである。このため底部エア貯蔵部48は、必ずしも図5に示すように第1シール面46aに沿ってシールパッキン44の全周に亙って円形に配されるものでなくても良い。
【0038】
例えば図6に示すように、複数に分割された底部エア貯蔵部48をシールパッキン44の平面形状に沿って均等配置し、各底部エア貯蔵部48に連結通路54を設けるように構成しても良い。このような構成とした場合であっても、上述したシールパッキン44と同様な効果を奏することができるからである。なお、実施形態に係るシールパッキン44の形状によれば、底部エア貯蔵部48や側部エア貯蔵部52、および連結通路54を設けない状態であっても、圧縮と膨張によるシール効果を奏することはできいるが、底部エア貯蔵部48と側部エア貯蔵部52、および連結通路54を設けることによりその効果を格段に向上させることができる。
【0039】
上記のような構成の粉粒体供給装置10によれば、簡易な構造で粉粒体の飛散や汚染を低減することが可能となる。また、粉粒体供給装置10の製造や使用に要するコストも低く抑えることができ、メンテナンスや洗浄のための分解、組立に要する労力も低減することができる。
【0040】
上記実施形態では、シールパッキン44における第1シール面46a、第2シール面50aは互いに平坦な面であるように示した。しかしながら第1シール面46a、第2シール面50aは、図7に第1シール面46aの形態を示すように、その面に溝60を設けるようにしても良い。第1シール面46aに設ける溝60は、第1シール面46aを構成する円と同心円となるように、内周側から外周側にかけて少なくとも1つ、望ましくは数条設けるようにすると良い。また、第2シール面50aに設ける溝(不図示)は、第2シール面50aの上下縁部に平行に、少なくとも1つ、望ましくは数条設けるようにすると良い。
【0041】
溝60の形状としては、コ字状やV字状、あるいはU字状の他、単なるスリットのようなものであっても良い。このような溝60をシール面に設けることにより、溝60によって構成される空間毎に障壁が設けられる構造となり、粉粒体の飛散等を効果的に抑制することが可能となる。また、フランジ22の底面、外側面のそれぞれに接触する第1シール面46a、第2シール面50a共に、溝を設けることにより可撓性が向上し、密着時の密閉性を向上させることができるようになる。
【0042】
なお上記実施形態では、接続管を円筒形とし、その底面(断面)の形状を円形と想定しているため、シールパッキン44の形状も円形として示し、これに沿って説明している。しかしながら本発明に係るシールパッキン、およびシール方法を採用するにあたっては、接続管の断面形状は矩形等の多角形、楕円や長円等であっても良く、シールパッキンの平面形状はこれに合わせるようにすれば良い。このような設計変更が行われた場合であっても、シール性能に影響は及ぼさないからである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】粉粒体供給装置の基本構成を示す断面図である。
【図2】シールパッキン部分拡大断面を示す図である。
【図3】第2シール面がフランジの外側面に密着した状態を示すシールパッキンの部分拡大断面図である。
【図4】シールパッキンの構成を示す部分拡大斜視図である。
【図5】シールパッキンの基本構成を示す平面図である。
【図6】底部エア貯蔵部を分割構造とした場合のシールパッキンの構成を示す平面図である。
【図7】シール面に溝を形成した形態を示す部分拡大斜視図である。
【図8】医薬品工場における製造工程の一部を示す概略図である。
【符号の説明】
【0044】
10………粉粒体供給装置、12………第1の接続管、14………第1のバタフライバルブ、15a………回転軸、15b………円板、16………張り出し部、18………シール包囲体、20………押えジグ、22………フランジ、24………第2の接続管、26………洗浄ノズル、28………伸縮管、30………ノズルヘッド、32………閉止栓、34………第2のバタフライバルブ、35a………回転軸、35b………円板、36………張り出し部、38………シール包囲体、40………押えジグ、42………フランジ、44………溝、44………シールパッキン、46………第1シール部、46a………第1シール面、48………底部エア貯蔵部、50………第2シール部、50a………第2シール面、52………側部エア貯蔵部、54………連結通路、56………逃げ溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体供給部側に配置された第1の接続管と、前記第1の接続管の下部に設けられて粉粒体受給部側に配置された第2の接続管とを有する粉粒体供給装置における2つの前記接続管の接合部に設けられるシールパッキンの構造であって、
前記第1の接続管の底面に接触する第1シール面を有する第1シール部と、
前記第1の接続管の外周面に接触する第2シール面を有する第2シール部とを備え、
断面L字型に形成したことを特徴とする粉粒体供給装置用シールパッキン。
【請求項2】
前記第1シール部に底部エア貯蔵部を設け、
前記第2シール部には前記第2シール面に沿って側部エア貯蔵部を設け、
前記底部エア貯蔵部と前記側部エア貯蔵部とを接続する連結通路を設けたことを特徴とする請求項1に記載の粉粒体供給装置用シールパッキン。
【請求項3】
前記底部エア貯蔵部を前記第1シール面に沿って設けたことを特徴とする請求項2に記載の粉粒体供給装置用シールパッキン。
【請求項4】
前記第1の接続管の底面と前記第1シール面とを平行に設け、
前記第1シール面には当該第1シール面の形状に沿って設ける少なくとも1つの溝を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1に記載の粉粒体供給装置用シールパッキン。
【請求項5】
前記第1シール面と前記第2シール面との間には、逃げ溝を設けたことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1に記載の粉粒体供給装置用シールパッキン。
【請求項6】
粉粒体供給部側に配置された第1の接続管と、前記第1の接続管の下部に設けられた粉粒体受給部側に配置された第2の接続管とを有し、前記第1の接続管には第1のバタフライバルブが、前記第2の接続管には第2のバタフライバルブがそれぞれ備えられた粉粒体供給装置における2つの前記接続管の接合部をシールする方法であって、
前記第1の接続管の円形底面に接触する第1シール面を有する第1シール部と、前記第1の接続管の外周面に接触する第2シール面を有する第2シール部とを備えるシールパッキンを用い、
前記第1のシール面に負荷される前記第1の接続管の重量により前記第1シール部を圧縮し、
前記第1シール部を圧縮した力により前記第2シール部を膨張させることで、前記第1シール面、前記第2シール面双方の密着性を向上させることを特徴とする粉粒体供給装置のシール方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−126302(P2010−126302A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302609(P2008−302609)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】