説明

粉粒体供給装置

【課題】輸送管の内壁面への粉粒体の付着をより効率良く防止できる粉体供給装置を提供する。
【解決手段】粉粒体供給装置は、除電装置5が設けられた輸送管1内に上部から粉粒体が投入されて下方に落下させられるものである。輸送管1内に空気、炭酸ガスなどの気体を供給することにより、粉粒体に回転運動などの運動を与え、この運動する粉粒体を壁面に静電気で強固に吸着した粉粒体に衝突させることにより、粉粒体を壁面から引き離すための気体供給装置11が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ホッパ、サイロなどの輸送管を備え、輸送管内に上部から粉粒体が投入される粉粒体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホッパ、サイロなどの輸送管内に粉粒体を投入して下方に落下させる場合、静電気によって粉粒体が輸送管の内壁面に付着し、これが様々な生産障害の原因となる。
【0003】
輸送管の内壁面への粉粒体の付着を防止する粉粒体供給装置として、図6に示すようなものが提案されている。
【0004】
この粉粒体供給装置は、ホッパ(1)の上部の投入口(2)に粉粒体投入管(3)が接続されたもので、投入管(3)およびホッパ(1)の投入口(2)に近い部分の適当箇所に、軟X線除電装置などの除電装置(静電気除去装置)(4)(5)が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように投入管(3)およびホッパ(1)に除電装置(4)(5)が設けられていても、粉粒体が多量に通過する場合には、全ての粉粒体の除電を行うことは困難であり、帯電が残った粉粒体は、当然、ホッパ(1)の内壁面に付着する。ホッパ(1)内には除電イオンが豊富に存在するが、壁面に一旦付着した粉粒体については、鏡像効果による壁面との電気的な引き合いの方が強く、除電イオンの吸着による除電は望めない。このため、帯電が残った粉粒体は、壁面に付着したままとなる。
【0006】
粉粒体が輸送管の内壁面に付着することにより、供給される粉粒体の重量に誤差が生じ、異種材料の混合の際に期待した混合比率を正確に得ることが難しくなる。また、材料替えの度に壁面に付着した粉粒体を除去するための清掃を行わなければならず、作業性が著しく低下する。
【0007】
この発明の目的は、上記の問題を解決し、輸送管の内壁面への粉粒体の付着をより効率良く防止できる粉体供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による粉粒体供給装置は、除電装置が設けられた輸送管内に上部から粉粒体が投入されて下方に落下させられる粉粒体供給装置において、前記輸送管内に気体を供給して粉粒体を強制的に運動させる気体供給装置が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
除電装置は、たとえば軟X線除電装置であり、輸送管やその上部に接続される粉粒体投入管の適当箇所に設けられる。
【0010】
気体供給装置から供給される気体は、たとえば空気、炭酸ガスなどであり、粉粒体の種類などによって適宜選択することができる。
【0011】
気体供給装置から輸送管内に供給される気体により、粉粒体に回転運動などの運動が与えられ、この運動する粉粒体が壁面に静電気で強固に吸着した粉粒体に衝突することにより、粉粒体が壁面から引き離される。一旦引き離された粉粒体には、輸送管内に存在する除電イオンが吸着して静電気が除去され、壁面に付着することがない。
【0012】
好ましくは、気体供給装置が、上下方向より水平方向に近い方向であって前記輸送管の内壁面に沿う方向に気体を供給して、粉粒体を前記輸送管の内壁面に沿って回転運動させるものである。
【0013】
さらに好ましくは、気体供給装置が、前記輸送管の内壁面に沿う水平方向に気体を供給するものである。
【0014】
このようにすると、輸送管の内壁面に沿って水平方向又はそれに近い方向に回転運動する粉粒体の多くが壁面に吸着した粉粒体に衝突して、より多くの粉粒体が壁面から引き離される。
【0015】
たとえば、気体供給装置が、気体の供給を間欠的に繰り返すものである。
【0016】
気体供給装置が気体の供給と停止を間欠的に繰り返すことにより、気体の供給が停止している間に、重力による粉粒体の下方への落下運動が加わり、これによっても粉粒体が壁面から効率良く引き離される。
【発明の効果】
【0017】
この発明の粉粒体供給装置によれば、上記のように、輸送管の内壁面への粉粒体の付着をより効率良く防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、この発明の実施形態を示す粉粒体供給装置の概略正面図である。
【図2】図2は、図1の水平断面図である。
【図3】図3は、ホッパの内壁面に付着した粉粒体の様子を模式的に表した説明図である。
【図4】図4は、運動している粉粒体がホッパの内壁面に付着した粉粒体に衝突する際の様子を模式的に表した説明図である。
【図5】図5は、ホッパの内壁面から引き離された粉粒体が除電イオンで除電される様子を模式的に表した説明図である。
【図6】図6は、粉体供給装置の従来例を示す一部切欠き概略正面図である。
【符号の説明】
【0019】
(1) ホッパ
(5) 除電装置
(10) 空気供給装置
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜図5を参照して、この発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1は粉粒体供給装置の概略正面図、図2は同水平断面図である。
【0022】
粉粒体供給装置の全体構成は図5の従来例の場合と同様であり、同じ部分には同一の符号を付している。
【0023】
図1および図2に示すように、輸送管であるホッパ(1)は円筒状をなし、ホッパ(1)の適当箇所にたとえば軟X線除電装置などの除電装置(5)が設けられている。この例では、ホッパ(1)を周方向に等分する4箇所に、除電装置(5)が設けられている。粉粒体供給装置には、ホッパ(1)内に空気(気体)を供給する空気供給装置(気体供給装置)(10)が設けられている。空気供給装置(10)は、ホッパ(1)の周壁(1a)を貫通するように固定された空気供給管(11)と、ホッパ(1)の外側の適当箇所に配置された圧縮空気源(12)と、圧縮空気源(12)と空気供給管(11)を連結する配管(13)とを備えている。空気供給管(11)は、周壁(1a)の略接線方向である水平方向に配置され、ホッパ(1)の内壁面に沿って空気を供給するようになっている。
【0024】
粉粒体投入管(3)からホッパ(1)内に投入された粉粒体のうち、帯電が残った粉粒体は、図3に示されているように、鏡像効果によりホッパ(1)の内壁面に強固に吸着する。一方、空気供給管(11)からホッパ(1)内に供給された空気により、粉粒体にホッパ(1)の内壁面に沿う回転運動が与えられ、この回転運動する粉粒体が壁面に静電気で強固に吸着した粉粒体に衝突する。図4は、この衝突の直前の様子を示している。粉粒体が衝突することにより、吸着していた粉粒体が壁面から引き離される。一旦引き離された粉粒体には、ホッパ(1)内に存在する除電イオンが吸着して静電気が除去され、壁面に付着することがない。図5は、このときの様子を示している。
【0025】
空気供給装置(10)は、空気を連続的に供給するものであってもよいし、間欠的に供給するものであってもよい。
【0026】
空気供給装置(10)が空気の供給を間欠的に繰り返すものである場合、空気の供給が停止している間に、重力による粉粒体の下方への落下運動が加わり、これによっても粉粒体が壁面から効率良く引き離される。
【0027】
粉粒体供給装置の全体構成および各部の構成は、上記実施形態のものに限らず、適宜変更可能である。
【0028】
たとえば、除電装置は、粉粒体投入管(3)の部分にも設けられてもよい。
【0029】
また、この発明は、ホッパ以外の輸送管を備えた粉粒体供給装置にも適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除電装置が設けられた輸送管内に上部から粉粒体が投入されて下方に落下させられる粉粒体供給装置において、
前記輸送管内に気体を供給して粉粒体を強制的に運動させる気体供給装置が設けられていることを特徴とする粉粒体供給装置。
【請求項2】
気体供給装置が、上下方向より水平方向に近い方向であって前記輸送管の内壁面に沿う方向に気体を供給して、粉粒体を前記輸送管の内壁面に沿って回転運動させるものであることを特徴とする請求項1の粉粒体供給装置。
【請求項3】
気体供給装置が、前記輸送管の内壁面に沿う水平方向に気体を供給するものであることを特徴とする請求項2の粉粒体供給装置。
【請求項4】
気体供給装置が、気体の供給を間欠的に繰り返すものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項の粉粒体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−285238(P2010−285238A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138866(P2009−138866)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(509164186)合同会社ティエスアドバンス (1)
【Fターム(参考)】