説明

粉粒体供給装置

【課題】簡易な構造で粉粒体の飛散や汚染を低減でき、製造、使用に要するコストが低く、分解洗浄性も良好な粉粒体供給装置を提供することを目的とする。
【解決手段】密閉コンテナから製造装置へ粉粒体を供給する際に用いられる装置であって、前記密閉コンテナ側に配置された第1の接続管12と、前記製造装置側に配置された第2の接続管24とを有し、第1の接続管12には第1のバタフライバルブ14が、第2の接続管24には第2のバタフライバルブ34がそれぞれ備えられ、2つの接続管12,24において、2つのバタフライバルブ14,34の間に位置する箇所に、2つの接続管12,24を接続した際に構成される2つのバタフライバルブ14,34で区切られた空間を洗浄する洗浄ノズル26を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体や粒体などを密閉コンテナなどの粉粒体供給部から、当該粉粒体供給部の下流側に位置する製造装置などの粉粒体受給部へ向けて重力落下させる際に用いられる粉粒体供給装置に係り、特に医薬品工場などで毒性の高い粉体や、細胞毒性、吸引毒性が懸念されるナノ粒子製造ラインなど、粒径が小さく飛散しやすい粒体を移送する場合に好適な粉粒体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体を扱う工場、特に医薬品工場などでは、品質の確保やオペレータの暴露リスク低減する観点等から、製造過程での異物混入(汚染)や粉粒状の薬剤の飛散を防止することが重要となる。
【0003】
医薬品工場での、製造工程の一部を図7に示す。図7に示す工程は、粉粒状の製品を製造する造粒乾燥装置やタブレット状の錠剤を製造する打錠機などの製造装置1を用いた造粒乾燥工程、あるいは打錠工程を示す。
【0004】
このような製造工程ではいずれも、その前段の工程として、製造装置1に対して粉粒体や液状体を供給するという工程を要する。粉粒体や液状体等の原料や中間製品は、自動ラック倉庫4に収納された密閉コンテナ2内に保管されており、当該密閉コンテナ2が、製造エリア3の上段に設けられた粉粒体供給エリア5に搬送され、粉粒体が製造装置1へ供給されることとなる。
【0005】
このような場合において、飛散等の可能性の高い粉粒体の供給に際しては、密閉コンテナ2と製造装置1との間に、粉粒体の飛散や外部からの異物の混入を防止する役割を担う粉粒体供給装置6が介入される。一般的な粉粒体供給装置6の構造としては、スプリットバルブを採用したものが知られている。
【0006】
スプリットバルブとは、例えば特許文献1に開示されているような、バタフライバルブを平面方向に半割りにした構造を有するバルブ(特許文献1中ではフラップ)である。スプリットバルブはその汚染面(半割りとした面)を重ね合わせ、1つのバルブとして回転開閉させるため、製造装置内への異物の混入と粉体等の飛散の双方を防止、抑制することができる。スプリットバルブを採用した粉粒体供給装置は、このスプリットバルブを密閉コンテナと製造装置との間に位置する接続管の開口部に配置している。
【特許文献1】特許第2676679号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したようなスプリットバルブを採用した場合、確かに通常のバタフライバルブを適用するよりも粉体の飛散を低減させることはできる。しかし、スプリットバルブには次のような問題がある。
【0008】
すなわち、スプリットバルブは、半割りとする弁体合わせ面の機械加工に高い精度が要求されるのである。そして、弁体の回転機構の構造的な問題により、粉体供給容器を装置へ接続する際の接続等にも、高い精度が要求されるため、製造コストがかさむと共に、製作するバルブやロット間の寸法誤差管理、調整作業が膨大となる。また、医薬品工場では、通常の製造作業の他に、製造する製品の品種切り替えや機器のメンテナンス時に、製造装置や粉体供給装置を分解洗浄する必要があるが、上記のような問題を有するスプリットバルブは当然に、分解組立といった作業自体も煩雑なものとなる。
【0009】
そこで本発明では、簡易な構造で粉粒体の飛散や汚染を低減でき、製造、使用に要するコストが低く、分解洗浄性も良好な粉粒体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る粉粒体供給装置は、粉粒体供給部から当該粉粒体供給部の下部に配置された粉粒体受給部へ粉粒体を供給する際に用いられる装置であって、前記粉粒体供給部側に配置された第1の接続管と、前記粉粒体受給部側に配置された第2の接続管とを有し、前記第1の接続管には第1のバタフライバルブが、前記第2の接続管には第2のバタフライバルブがそれぞれ備えられ、2つの前記接続管において、2つの前記バタフライバルブの間に位置する箇所に、2つの前記接続管を接続した際に構成される2つの前記バタフライバルブで区切られた空間を洗浄する洗浄ノズルを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、上記のような特徴を有する粉粒体供給装置において前記洗浄ノズルは、伸縮管とノズルヘッド、及び前記ノズルヘッド先端に設けられる閉止栓を有し、前記伸縮管を縮めた際に前記接続管の内側壁面と前記閉止栓とを同一面上に位置させる構成とすると良い。
【0012】
このような特徴を有することによれば、洗浄ノズルを収縮させることにより接続管の内壁面を平滑化することができる。これにより、粉粒体が体積するいわゆる粉だまりを少なくすることができる。また、粉だまりを少なくすることによれば、製品の収率を向上させることができると共に、粉体接触面の洗浄に要する時間を短縮することができる。
【0013】
また、上記のような特徴を有する粉粒体供給装置において前記洗浄ノズルは、前記伸縮管が前記接続管の軸心方向に対して垂直に交わる平面に沿うように放射状に複数備えられるようにすることが望ましい。
このような構成とすることで、第1のバタフライバルブと第2のバタフライバルブによって仕切られた粉粒体接触面全体を洗浄することが可能となる。
【0014】
また、上記のような洗浄ノズルを複数配置する場合、複数の前記洗浄ノズルは、前記接続管の軸心を中心として、各洗浄ノズルの伸縮管が90°から120°の角度を持つように配置すると良い。
このような構成とすることによれば、洗浄ノズルの配置に無駄が無く、少ない数の洗浄ノズルで粉粒体接触面全体を洗浄することが可能となる。
【0015】
また、上記のような特徴を有する粉粒体供給装置では、前記第2のバタフライバルブの回転軸に、前記第2のバタフライバルブにおける前記第1のバタフライバルブに対向する主面に開口部を有する排気・排水経路を設けるようにすると良い。
【0016】
このような構成とすることによれば、第2のバタフライバルブを閉塞状態とした際の外縁に配設されるシール包囲体を加工する必要が無くなる。このため、バタフライバルブの回転位置の高精度な制御などを行うことなく、高いシール性を確保することが可能となる。
【0017】
また、上記のような特徴を有する粉粒体供給装置では、前記第1の接続管における開口部には第1の封止板が、前記第2の接続管における開口部には第2の封止板がそれぞれ設けられ、前記2つの封止板の少なくとも一方には、前記2つの封止板を接触させて前記第1の接続管の開口部と前記第2の接続管の開口部とを近接させた後、前記封止板を前記開口部の開口面に平行な方向へスライドさせて2つの前記開口部を開放させるアクチュエータが接続されるようにしても良い。
【0018】
このような構成とすることにより、第1の接続管と第2の接続管とを接続させる直前まで、両者の開口部を封止しておくことが可能となる。このため、接続管に対する異物の混入や、クロスコンタミといったリスクを低減することができる。
【0019】
また、上記のような封止板を採用した場合、前記第2の接続管には、2つの前記封止板をスライドさせた後に前記第1の接続間との間に生ずる間隙を塞ぐための昇降機構を備えるようにすることが望ましい。
このような構成とすることによれば、微小隙間や微小位置決めを行うことが可能となり、シール性の向上にも寄与することとなる。
【発明の効果】
【0020】
上記のような特徴を有する粉粒体供給装置によれば、簡易な構造で粉粒体の飛散や汚染を低減できる。また、粉粒体供給装置の製造や使用に要するコストも低く抑えることができ、メンテナンスや洗浄のための分解、組立に要する労力も低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の粉粒体供給装置に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。まず、図1〜図4を参照して、本発明の粉粒体供給装置の基本的な実施形態について説明する。なお、図1において、図1(A)は実施形態に係る粉粒体供給装置の概略断面を示す図であり、図1(B)同図(A)における洗浄ノズルの収縮状態の一部を抜粋した断面図である。図2はバタフライ弁の回動状態を示す平面図であり、図1の断面図は、本図におけるA−A断面を示すものとする。図3は、洗浄ノズルによる洗浄範囲の例を示す図であり、図3(A)は水平面における洗浄範囲を示し、図3(B)は垂直面における洗浄範囲を示す図である。図4は、第2のバタフライ弁における部分断面を示す図である。
【0022】
本実施形態において粉粒体供給装置10とは、背景技術の項で述べたように、粉粒体を収容した密閉コンテナ等の粉粒体供給部と、粉粒体供給部から供給される粉粒体を原料として製品を製造する製造装置等の粉粒体受給部とを接続する接続管の構造、及び当該接続管の周囲に配された機器の構造を包含した装置の総称を指すものとする。
【0023】
本実施形態に係る粉粒体供給装置10は、密閉コンテナ側に設けられた第1の接続管12と、製造装置側に設けられた第2の接続管24、第1の接続管12に備えられた第1のバタフライバルブ14、第2の接続管24に備えられた第2のバタフライバルブ34及び洗浄ノズル26を有する。
【0024】
第1の接続管12は、密閉コンテナのホッパ60の下部に接続された管であり、円筒状に形成されている。第1の接続管12の下端部に位置する開口部には、詳細を後述する第2の接続管24における開口部との接触面積を稼ぐためのフランジ22が形成されている。
【0025】
第1のバタフライバルブ14は、第1の接続管12の長手方向中心付近に、第1の接続管12の壁面を貫通して設けられる2つの回転軸15aと、この回転軸15aの間に設けられる円板15bとより成る。第1のバタフライバルブ14を構成する2つの回転軸15aは、円筒状を成す第1の接続管12における中心軸と直交する直線状に配置され、回転軸15aの少なくとも一方には、回転軸15aを回転させるためのアクチュエータ(不図示)を接続するようにしても良い。第1のバタフライバルブ14を構成する円板15bの直径は、第1の接続管12の内径とほぼ一致している。第1の接続管12における第1のバタフライバルブ14の回転軸15aを配置した部位には、フランジ状の張り出し部16が形成されており、中空とされた張り出し部16の内側には、円板15bを水平状態とした場合に、第1の接続管12を気密に閉塞するためのシール包囲体18が配設されている。
【0026】
第1の接続管12は、上述した第1のバタフライバルブ14、及びシール包囲体18を配設したフランジ状の張り出し部16で、水平方向に分割可能な構成とされている。このように、いわゆるヘルール式継手のように分割可能とされた張り出し部16の外周には、張り出し部16を長手方向に締結するためのクランプや、ヘルールクランプといった押えジグ20が備えられている。
【0027】
このような構成とすることで、回転軸15aを回転させることで円板15bが傾くように回動し、第1の接続管12を閉塞し、または開放させることが可能となる。また、第1のバタフライバルブ14やシール包囲体18を配設した張り出し部16をクランプやヘルールクランプといった押さえジグ20で締結する構成としたことで、メンテナンスや洗浄時の分解、組立に工具が不要となり、分解、組立に要する労力が低減される。第1のバタフライバルブ14の開度は、円板15bの主面を水平状態にした角度を基準として、0°が全閉(閉塞)状態、90°が全開状態となる。
【0028】
次に、第2の接続管24の構成について説明する。第2の接続管24の構成は、上述した第1の接続管12の構成と殆ど同じである。すなわち、第1の接続管12と対向する開口部に備えられたフランジ42と、ヘルール式継手状に分割可能とされた張り出し部36に備えられた第2のバタフライバルブ34とシール包囲体38とを有し、押えジグ40で張り出し部36を締結しているのである。
【0029】
第2の接続管24における第1の接続管12との構成上の相違点としては、シールパッキン44と洗浄ノズル26、及び排気・排水経路33(図4参照)を備え、製造装置側のホッパ70に接続された点を挙げることができる。
【0030】
シールパッキン44は、第2の接続管24における開口部のフランジ42に形成された溝に設けられる。シールパッキン44は、フランジ42の断面から突出した潰れ代を持つように配置することが望ましく、第1の接続管12における開口部のフランジ22との間で潰されることで、第1の接続管12と第2の接続管24とを接続した際の密閉性を高めることができる。
【0031】
洗浄ノズル26は、第2の接続管24の内壁面であって、フランジ42と第2のバタフライバルブ34配設位置との間に配設される。実施形態に係る洗浄ノズル26は、伸縮管28とノズルヘッド30、及びノズルヘッド30の先端に備えられた閉止栓32とを有する。洗浄ノズル26の伸縮管28は、第2の接続管24を長手方向に貫く中心線に対して垂直に交わる平面に沿うように半径方向に向けて配置される。第2の接続管24の軸心方向に向かって延設される伸縮管28の基端部側に位置する第2の接続管24の内壁面には、ノズルヘッド30の先端に設けた閉止栓32を嵌め込むためのザグリ穴が形成されている。
【0032】
このような構成とされる洗浄ノズル26は、伸縮管28を収縮させた場合にはノズルヘッド30までを第2の接続管24の内壁面に収めることができ、伸縮管28を最も収縮させた状態においては、ノズルヘッド30の先端に設けた閉止栓32と第2の接続管24の内壁面とが同一平面上に位置することとなる。ここで、閉止栓32の外周には、OリングやVシール等のシール部材(不図示)を備えることにより、洗浄ノズル26の伸縮管28を収縮させることで第2の接続管24における内壁面の開口部が密閉されることとなり、内壁面の開口部に粉粒体が混入する虞が無くなる。また、洗浄ノズル26の先端に閉止栓32を備え、第2の接続管24の内壁面における粉粒体接触面(粉粒体が薬物である場合には接薬面)を平滑に保つことで、内壁面における粉だまりを少なくすることができ、製品の収率を向上させることができる。また、粉だまりが少なくなることによれば、粉粒体接触面の洗浄時間も短縮することが可能となる。
【0033】
洗浄ノズル26は伸縮管28が、第2の接続管24を長手方向に貫く中心線に対して垂直に交わる平面に沿うように半径方向に放射状に配置されるように複数備えることが望ましい。ここで、洗浄ノズル26の洗浄範囲が図3に示す斜線の範囲である場合、中心線を基点として、θ=90°〜120°程度の配設間隔を置いて、洗浄ノズル26を2〜3個配設することで、粉粒体接触面全体を洗浄することが可能となる。
【0034】
排気・排水経路は33、第2のバラフライバルブ34に設けられている。具体的には、第2のバラフライバルブ34を構成する回転軸35aに対して軸線方向に設けられた穴33bを、円板35bにおける第1のバタフライバルブ14と対向する主面に設けた開口部33aに接続することで構成されている。第2のバタフライバルブ34の回転軸35aを利用して排気・排水経路33を構成したことにより、シール包囲体38を加工することなく、粉粒体接触面洗浄後の気体や洗浄液を排気、排水することが可能となる。また、シール包囲体38に回転軸35aを挿通させるため以外の目的で開口部を設けた場合に必要とされるバタフライバルブのシール性確保や、そのための回転位置の高精度な制御等が不要となる。なお、排気・排水経路33には、閉止カプラや、円板35bの開口部33aまでを閉止する伸縮機能を備えた栓(不図示)を設置することで、粉だまり等を少なくすることができる。
【0035】
上記のような構成の粉粒体供給装置10によれば、簡易な構造で粉粒体の飛散や汚染を低減することが可能となる。また、粉粒体供給装置10の製造や使用に要するコストも低く抑えることができ、メンテナンスや洗浄のための分解、組立に要する労力も低減することができる。
【0036】
次に、上記のような構成の分粒体供給装置10を介した粉粒体の供給工程について説明する。まず、密閉コンテナに接続された第1の接続管12の開口部と、製造装置に接続された第2の接続管24の開口部とを接続するドッキング工程が行われる。この時、バタフライバルブ稼動時の干渉を避けるため、第1のバタフライバルブ14における回転軸15aの水平方向の向きと、第2のバタフライバルブ34における回転軸35aの水平方向の向きとを一致させることが望ましい。
【0037】
ドッキング工程の後、第2の接続管24の内壁面から洗浄ノズル26を伸張させ、第1のバタフライバルブ14と第2のバタフライバルブ34とで仕切られた粉粒体接触面をエアブローする第1のエアブロー工程が行われる。第1のエアブロー工程は、外気に晒されていた粉粒体接触面の汚れをエア洗浄する役割を担う。なお、第1のエアブロー工程を行うにあたり、第1のバタフライバルブ14と第2のバタフライバルブ34によって仕切られた空間の圧力が高い場合には、排気・排水経路33からエア抜きを行うようにする。
【0038】
第1のエアブロー工程の後、洗浄ノズル26を収縮させ、第2のバタフライバルブ34、第1のバタフライバルブ14の順でバタフライバルブを回動させ、第2の接続管24、第1の接続管12をそれぞれ開放する粉粒体供給工程が行われる。この時、第1のバタフライバルブ14と第2のバタフライバルブ34は、両者の干渉を避けるために、互いに同一方向に回動させることが望ましい。
【0039】
粉粒体供給工程終了後、第1のバタフライバルブ14を回動させて第1の接続管12を閉塞し、洗浄ノズル26を伸張させ、粉粒体接触面をエアブローする第2のエアブロー工程が行われる。第2のエアブロー工程を行うことにより、粉粒体接触面に付着した粉粒体が落とされ、製造装置に供給されることとなる。第2のエアブロー工程も、第1のエアブロー工程と同様に、排気・排水経路33からのエア抜きを行うようにすると良い。
【0040】
第2のエアブロー工程終了後、第2のバタフライバルブ34を回動させて第2の接続管24を閉塞し、洗浄ノズル26から洗浄液を噴射する洗浄工程が成される。洗浄ノズル26から噴射された洗浄液は、第2のバタフライバルブ34に形成された排気・排水経路33から、粉粒体供給装置10の外部へ排出される。なお、排出された洗浄液は、装置外部にて回収されるようにすると良い。
【0041】
洗浄工程終了後、洗浄ノズル26からエアを噴射し、洗浄液によって洗浄した粉粒体接触面を乾燥させる乾燥工程が成される。
乾燥工程が終了した後、洗浄ノズル26を収縮させ、第1の接続管12と第2の接続管24との接続状態を解くアンドッキング工程が成される。
【0042】
上記のような構成の粉粒体供給装置10には、微小位置決め、接続時のシール性向上のために、昇降機構46を備えるようにしても良い。実施形態に係る昇降機構46は、第2の接続管24に設けられると良い。具体的には、図1に示すように、第2の接続管24の外縁に支持部を形成し、この支持部の下面側を、土台に固定された膨張ガスケットの上端に接続することで構成することができる。
【0043】
このような構成の昇降機構46では、膨張ガスケットにエアを供給することで、第2の接続管24、及びホッパ70を僅かに上昇させることができ、膨張ガスケットに供給したエアを抜くことで、第2の接続管24、及びホッパ70を下降させることができる。
【0044】
また、上記のような構成の粉粒体供給装置10は、図5、図6に示すようなスライドゲート48を備えるようにしても良い。スライドゲート48は、第1の接続管12における開口部を封止する第1の封止板50と、第2の接続管24における開口部を封止する第2の封止板54、および第2の封止板54を開口部の開口面と平行な方向へスライドさせるアクチュエータ58とより成る。
【0045】
第2の封止板54は、第1の封止板50と対向する主面に突起部56を有し、第1の封止板50は、第2の封止板54に設けられた突起部56に対応する位置に、当該突起部56を嵌合可能な貫通孔52を有する。このような構成とすることにより、第1の封止板50と第2の封止板54とを重ね合わせた場合には、両者を1枚の封止板として取り扱うことが可能となる。このため、封止板(第1の封止板50、第2の封止板54)をスライドさせるアクチュエータ58を第2の封止板54のみに接続する場合であっても、1つのアクチュエータ58の稼動により第1の封止板50と第2の封止板54の双方をスライドさせ、第1の接続管12、第2の接続管24双方の開口部を開放することができる。
【0046】
このように、第1の接続管12と第2の接続管24を接続する直前まで、双方の開口部を封止板50,54により封止しておくことで、接続管(第1の接続管12、第2の接続管24)への異物の混入、クロスコンタミ等のリスクを低減することが可能となる。
【0047】
なお、スライドゲート48を採用した場合、開口部から封止板50,54をスライドさせると、第1の接続管12の開口部と第2の接続管24の開口部との間には、少なくとも2枚の封止板50,54の厚み以上の間隙が生ずることとなる。このようにして生じた間隙は、上述した昇降機構46を稼動させることで第2の接続管24、及びホッパ70を上昇させて、第1の接続管12と第2の接続管24とを接続させ、両者の間の気密性を保つようにすると良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施形態に係る粉粒体供給装置の基本構成を示す断面図である。
【図2】実施形態に採用するバタフライバルブ及びその取り付け構成を示す平面図である。
【図3】実施形態に採用する洗浄ノズルの洗浄範囲を示す図である。
【図4】実施形態に採用する第2のバタフライバルブの構成を示す部分断面図である。
【図5】接続管の開口部にスライドゲートを採用する場合の例を示す図である。
【図6】接続管の開口部にスライドゲートを採用し、第1の接続管と第2の接続管とを接続する様子を示す図である。
【図7】医薬品工場における製造工程の一部を示す概略図である。
【符号の説明】
【0049】
10………粉粒体供給装置、12………第1の接続管、14………第1のバタフライバルブ、15a………回転軸、15b………円板、16………張り出し部、18………シール包囲体、20………押えジグ、22………フランジ、24………第2の接続管、26………洗浄ノズル、28………伸縮管、30………ノズルヘッド、32………閉止栓、33………排気・排水経路、34………第2のバタフライバルブ、35a………回転軸、35b………円板、36………張り出し部、38………シール包囲体、40………押えジグ、42………フランジ、44………シールパッキン、46………昇降機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体供給部から当該粉粒体供給部の下部に配置された粉粒体受給部へ粉粒体を供給する際に用いられる装置であって、
前記粉粒体供給部側に配置された第1の接続管と、前記粉粒体受給部側に配置された第2の接続管とを有し、
前記第1の接続管には第1のバタフライバルブが、前記第2の接続管には第2のバタフライバルブがそれぞれ備えられ、
2つの前記接続管において、2つの前記バタフライバルブの間に位置する箇所に、2つの前記接続管を接続した際に構成される2つの前記バタフライバルブで区切られた空間を洗浄する洗浄ノズルを備えたことを特徴とする粉粒体供給装置。
【請求項2】
前記洗浄ノズルは、伸縮管とノズルヘッド、及び前記ノズルヘッド先端に設けられる閉止栓を有し、
前記伸縮管を縮めた際に前記接続管の内側壁面と前記閉止栓とを同一面上に位置させることを特徴とする請求項1に記載の粉粒体供給装置。
【請求項3】
前記洗浄ノズルは、前記伸縮管が前記接続管の軸心方向に対して垂直に交わる平面に沿うように放射状に複数備えられることを特徴とする請求項2に記載の粉粒体供給装置。
【請求項4】
複数の前記洗浄ノズルは、前記接続管の軸心を中心として、各洗浄ノズルの伸縮管が90°から120°の角度を持つように配置されることを特徴とする請求項3に記載の粉粒体供給装置。
【請求項5】
前記第2のバタフライバルブの回転軸に、前記第2のバタフライバルブにおける前記第1のバタフライバルブに対向する主面に開口部を有する排気・排水経路を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1に記載の粉粒体供給装置。
【請求項6】
前記第1の接続管における開口部には第1の封止板が、前記第2の接続管における開口部には第2の封止板がそれぞれ設けられ、
前記2つの封止板の少なくとも一方には、前記2つの封止板を接触させて前記第1の接続管の開口部と前記第2の接続管の開口部とを近接させた後、前記封止板を前記開口部の開口面に平行な方向へスライドさせて2つの前記開口部を開放させるアクチュエータが接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の粉粒体供給装置。
【請求項7】
前記第2の接続管には、2つの前記封止板をスライドさせた後に前記第1の接続間との間に生ずる間隙を塞ぐための昇降機構が備えられることを特徴とする請求項6に記載の粉粒体供給装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−83622(P2010−83622A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254499(P2008−254499)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】