説明

粒体成形装置

【課題】液体が表面に付着して、粘着性や凝集性が大きくなっている粒状物の集合からなる粒体を押出機で押出して均一に成形するためのダイスを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】粒体を押出す押出し機と、該押出し機の吐出口に装着され、該吐出口から吐出される前記粒状物が進入する入口開口と、該粒体が押出されて成形される出口開口とを備えたダイスと、該ダイスから押出されたシート状の粒体を載置して該シート状の粒体の面方向に搬送する搬送手段と、1または複数の回転ロールとを備え、前記回転ロールの表面から複数のピンが該回転ロールの長手方向に進行する螺旋状の隊列をなすように立設し、前記隊列の螺旋の旋回方向が前記回転ロールの長手方向にかけて断続的に反転し、前記回転ロールは、前記シート状の粒体の搬送中に前記ピンの先端部が前記シート状の粒体に接触する状態で該シート状の粒体の搬送方向に対して連れまわり方向に回転する粒体成形装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒体を扁平なシート形状に均整に成形する粒体成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粒状物の粒子同士が接着剤を介して結合されてなる成形体としてはパーティクルボードなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような成形体は、エマルジョン接着剤を添加した粒状物(木片)をフォーミングして熱圧成形することにより密質な成型体を得る。このような成形体の成形においては、粒状物が木片のように密な物体からなり、接着剤が添加された粒状物は粘着性や凝集性が比較的小さいので、フォーミングが比較的容易であるが、粒状物が籾殻のように構造が粗な物体からなる場合は、接着剤が添加された粒状物の粘着性や凝集性が大きいと均一なフォーミングが困難である。また、かさだかな成形体、すなわち、粒子間にある程度空隙が確保された成形体を得ようとすると、加熱時の加圧力を小さくしなければならず、粒状物間の接着力を高めるためには接着剤の量を多くする必要があり、このことも接着剤が添加された粒状物の粘着性が大きくなる要因となり、均一なフォーミングがさらに困難となる。
【0003】
またさらに、粒状物として籾殻を用いる場合は、接着剤としてポリビニルアルコール水溶液が好適に用いられるが、ポリビニルアルコール水溶液を添加された粒状物は粘着性や凝集性が大きいのでフォーミングがとくに難しい。
【0004】
液体が表面に付着して、粘着性や凝集性が大きくなっている粒状物の集合からなる粒体(粒体)を均一に成形するためには、このような粒体を押出機で押出して、その押出機の吐出口に所定の開口断面形状のダイスを設けて成形することが好ましいが、このような粒体は均一にダイスから押出すことが難しく、押出された粒体が不均一である場合が多い。
【0005】
例えば、このような粒体から板形状の成形体を製造するために横長矩形断面形状の開口のダイスを用いてこのような粒体を扁平なシート形状(板形状)になるように押出した場合、押出された扁平な板形状の粒体は形状が不均一なので、接着固化する前に均一化する必要がある。
【0006】
一方、成形体用の粒状物としては、上述の籾殻のような副産物の利用が考えられるが、籾殻はそれ自体もかさだかであり、防音性や衝撃エネルギー吸収性能を要求される自動車用部材として、多孔質の成形体を得るうえで好適と考えられる。さらに、自動車用部材として籾殻を用いることは、地球環境の保護に寄与するところが大である。
【0007】
しかし、籾殻は上述のようにポリビニルアルコール水溶液を添加されると粘着性や凝集性が大きいうえに見かけのかさが大きく、均一にダイスから押出すことがさらに難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−162104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、液体が表面に付着して、粘着性や凝集性が大きくなっている粒状物の集合からなる粒体を、扁平なシート形状に均整に成形する粒体成形装置を提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の要旨とするところは、
粒体を押出す押出し機と、
該押出し機の吐出口に装着され、該吐出口から吐出される粒体が進入する入口開口と、該粒体がシート状に押出される出口開口とを備えたダイスと、
該ダイスから押出されたシート状の粒体を載置して連続的に走行させる搬送手段と、
前記搬送手段の搬送面の上方に、長手方向を該搬送面と平行にかつ該シート状の粒体の搬送方向と直交させて配された1または複数の回転ロールと
を備え、
前記回転ロールの表面から複数のピンが、該回転ロールの長手方向に進行する螺旋状に配列する隊列をなすように立設し、
前記隊列の螺旋の旋回方向が前記回転ロールの長手方向にかけて断続的に反転し、
前記回転ロールは、前記シート状の粒体の搬送中に前記ピンの先端部が前記シート状の粒体に接触する状態で該シート状の粒体の搬送方向に対して連れまわり方向に回転する
粒体成形装置であることにある。
【0011】
前記粒体成形装置においては、前記旋回方向の反転する位置が前記回転ロールの長手方向略中央であり得る。
【0012】
前記粒体成形装置は、
複数の前記回転ロールからなる一の回転ロール群と、
複数の前記回転ロールからなる他の回転ロール群とを備え得
前記一の回転ロール群に含まれる前記回転ロールに含まれる回転ロールが有するピンの螺旋の旋回方向と、前記他の回転ロール群に含まれる前記回転ロールに含まれる回転ロールが有するピンの螺旋の旋回方向とが逆であり得る。
【0013】
前記粒体成形装置においては、前記一の回転ロール群に含まれる回転ロールと、前記他の回転ロール群に含まれる回転ロールとが前記シート状の粒体の搬送方向に関して交互に配され得る。
【0014】
前記粒体成形装置においては、前記ダイスの出口開口が上辺、下辺及び互いに対向する側辺を有し得、複数の片持ちの弾性押さえ板が前記上辺または前記下辺、あるいは上辺と下辺の両方に沿って配列して、該弾性押さえ板の自由端部が該ダイスから押し出されて進行する前記粒体の上面に接触して該弾性押さえ板が撓むように配置され得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、液体が表面に付着して、粘着性や凝集性が大きくなっている粒状物の集合からなる粒体を、扁平なシート形状に均整に成形する粒体成形装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の粒体成形装置の態様の一例を示す側面模式図。
【図2】図1に示す粒体成形装置の平面模式図。
【図3】本発明の粒体成形装置におけるピンの状態を説明する説明図。
【図4】本発明の粒体成形装置におけるピンの作用を説明する説明図。
【図5】本発明の粒体成形装置におけるピンの作用を説明する他の説明図。
【図6】本発明の粒体成形装置におけるピンの作用を説明するさらに他の説明図。
【図7】本発明の粒体成形装置を用いた複合成形体の製造ラインの一例を示す側面模式図。
【図8】図7に示す製造ラインにおける圧縮装置を通過する複合シートの構成を示す断面模式図。
【図9】図7に示す製造ラインにより得られる複合板の構成を示す断面模式図。
【図10】本発明の粒体成形装置の他の態様の一例を示す断面模式図。
【図11】図10に示す粒体成形装置におけるダイスの構成を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に本発明の態様の一例を示す。なお、本明細書においては、各図にわたって記される同じ符号は同一または同様の部材やものを示す。図1おいて、ダイス10を吐出口12を有しスクリュー59を備える押出機14から粒体が押出され、扁平なシート形状に成形された粒体(以下シート状の粒体と称す)16となる。押出機14から排出されたシート状の粒体16が、ダイス10を介してシート均整化装置部7に送り込まれる。シート均整化装置部7は搬送手段18であるコンベア19と回転ロール20を備える。本発明の粒体成形装置1は押出機14、ダイス10、シート均整化装置部7から構成される。
【0018】
ダイス10は吐出口12から吐出される粒体が進入する入口開口13と、その粒体が押出されて成形され上辺及び下辺を有する出口開口15とを備える。
【0019】
ダイス10から排出されたシート状の粒体16は、載置物を略水平に移送するコンベア18のベルト21の搬送面33上に載置されてシート状の粒体16の面方向(矢印A方向)に連続的に搬送される。
【0020】
搬送されるシート状の粒体16の上部に回転ロール20が設置されている。回転ロール20は長手方向を集合体の面と平行に、かつシート状の粒体16の搬送方向(矢印A方向)と軸心を直交させて設置されている。回転ロール20は図1に示すように複数個配置されることが好ましい。
【0021】
回転ロール20はシート状の粒体16に対面するがわの表面(図面視下がわに来る面)がシート状の粒体16の搬送方向と同方向に移動するように回転する。すなわち、シート状の粒体16の搬送方向に対して連れまわり方向に回転する。
【0022】
回転ロール20の表面には複数のピン22が植えられて立設している。シート状の粒体16の搬送中にピンの先端部がシート状の粒体16に接触する状態で回転ロール20が回転する。回転ロール20の回転にともなうピン22の先端部の速度V1が、シート状の粒体16の搬送速度V2より大きくなるように回転ロール20が回転する。V1−V2の最適の値は粒状物の性状によって異なるが、V1−V2は10〜100m/minであることが好ましい。
【0023】
図2に示すように、ピン22は回転ロール20の表面に螺旋状の隊列をなすように立設している。回転ロール20の長手方向略中央から回転ロール20の一の端部26にかけてのこの隊列の螺旋の旋回方向と、回転ロール20の長手方向略中央から、回転ロール20の他の端部28にかけてのこの隊列の螺旋の旋回方向とは逆向きになるようにピン22が植えられている。
【0024】
図1に示す態様においては、回転ロール20は複数の回転ロール20aからなる一の回転ロール群30aと、複数の回転ロール20bからなる他の回転ロール群30bとから構成される。
【0025】
一の回転ロール群30aに含まれる回転ロールすなわち、回転ロール20aは一の端部26がシート状の粒体16との搬送方向に向けて地面に立つ人からみて左手方向に位置するように設置され、このとき、ピン22の隊列の螺旋は長手方向略中央24から一の端部26に向けて反時計回りに進行する。
他の回転ロール群30bに含まれる回転ロールすなわち、回転ロール20bは一の端部26がその人からみて左手に位置するように設置される。このとき、ピン22の隊列の螺旋は長手方向略中央24から一の端部26に向けて反時計回りに進行する。
【0026】
このようにピン22の隊列は旋回方向が反転する反転群を有するが、ピン22の螺旋については、多重螺旋状であってもよい。また、ピン22の隊列が断続的な列であってもよい。あるいは、螺旋の旋回方向が回転ロール20の長手方向に複数回断続的に反転してもよい。螺旋のピッチや位相が回転ロールの長手方向に連続的あるいは段階的に変化してもよい。
【0027】
回転ロール20aと回転ロール20bとはシート状の粒体16の搬送方向Aに関して交互に配される。
【0028】
図1に示すように、回転ロール20はコンベア18の搬送面からの高さ位置が搬送方向につれて低くなるように配置されることが好ましい。すなわち、ピン22のシート状の粒体16への突き刺しの深さd(図3)が搬送方向につれて大きくなることが好ましい。
【0029】
本発明の粒体成形装置1においては、設置される回転ロール20の数(段数)はシート状の粒体16の性状や均一さの度合いにより多数であってもよく、少ない段数であってもよい。また、回転ロール20の各段の回転数はシート状の粒体16の性状や均一さの度合いにより適宜決めてよい。回転ロール20aと回転ロール20bの配列の順は必ずしも1本交互でなくともよく、例えば2本ずつ交互に配されててよい場合もある。
【0030】
本発明に用いられる粒状物としては、樹脂、木材、鉱物、セラミック等が破砕や粉砕などにより粒子化されたものが挙げられる。粒子化された木材としては、おがくずや木材チップが挙げられる。あるいは籾殻やそば殻のような種皮が挙げられる。さらには、ビーズ状に形成された樹脂やセラミックやガラスなどが挙げられる。粒状物としては、2種以上の異なる粒状物が混合されたものであってもよい。
【0031】
粒状物が表面に液体などの流動物を付けて付着性や粘着性を帯びているものである場合、通常は均一な厚さのシート状にすることが難しいが、本発明の粒体成形装置を用いることにより粒体16を構成する粒状物が表面に液体が付いた粒状物であっても均一な厚さのシート状にすることができる。例えば、粒状物の表面に硬化前の流動性の接着剤のような流動物が付いて、例えば粒状物と流動物との割合が重量比で2:1〜1:3であるような混合物を、本発明の粒体成形装置により均一な厚さのシート化することができる。接着剤としてはエマルジョンタイプの接着剤や、溶液タイプの接着剤が挙げられる。本発明の粒体成形装置により均一な厚さにシート化した粒体は、この接着剤を硬化させることにより、均一な厚さの板状物となすことができる。
【0032】
ピン22は表面に液体が付着した粒状物に粘着あるいは付着しにくい表面を有することが好ましい。このため、ピン22の表面を構成する素材はシリコーン系の樹脂、あるいはフッ素系の樹脂であることが好ましい。
【0033】
本発明の粒体成形装置1の作用効果を図4、図5で説明する。図4、図5における符号60はシート状の粒体16(図1、図2)に接触するピン22の先端部であり、図4、図5はこのピン22の先端部の上面視投影位置の隊列状態を示す。矢印Bはピン22の先端部60が進行する方向であり、また、ピン22の先端部60はシート状の粒体16に対して矢印Bの方向に相対移動する。先端部60も螺旋状に進行する隊列を形成するが、シート状の粒体16に接触するピン22の先端部60の隊列の形状は略直線状とみなしてよい。
【0034】
図4は、一の回転ロール群30aに含まれる回転ロール(図2)の前記の見る人の左がわの部分に植えられたピン22に関する図であり、図5は、他の回転ロール群30bに含まれる回転ロール(図2)の前記の見る人の左がわの部分に植えられたピン22に関する図である。
【0035】
図4に示す態様にあっては、先端部60の隊列のシート状の粒体16に対する矢印B方向への相対移動により、シート状の粒体16の幅方向中央から図面視左がわでは、シート状の粒体16を構成する粒状物には、シート状の粒体16の左側辺に向けて(矢印C方向)に押しやる力のベクトル成分が発生しこの粒状物がシート状の粒体16の左側辺に向けて押しやられる。
【0036】
ピン22の先端部のシート状の粒体16と接触している部分の隊列66がシート状の粒体16の移動方向(矢印S)と斜向していることにより、隊列66からみてのシート状の粒体16の下流域68では、シート状の粒体16の最下流のピン22aからシート状の粒体16の上流に向けた順に順次ピン22b、ピン22c・・・と粒状物に作用して図4の隊列66では矢印C方向に粒状物が押しやられるが、隊列66からみてのシート状の粒体16の上流域69では、先行するピン((例えば、ピン22bについては先行するピンはピン22aである)によってすでに押しやられたあとに先行するピンの次のピン(先行するピンがピン22aのときの次のピンはピン22bである)が到達するので、すなわち、先行のピンが影になり、粒状物を矢印C方向と逆方向に押しやる効果は不十分であり、従って、ピン22の隊列全体としては粒状物が矢印C方向に押しやられることになる。これにより、シート状の粒体16が均される。
【0037】
図5に示す態様にあっては、ピン22の隊列全体としては粒状物が矢印C´方向に押しやられることになる。これにより、シート状の粒体16が均される。
【0038】
一の回転ロール群30aに属する回転ロールでは粒状物が回転ロールの長手方向中央部を境に外側に押しやられ、他の回転ロール群30bに属する回転ロールでは内側に押しやられる。
【0039】
一の回転ロール群30aに属する回転ロールと他の回転ロール群30bに属する回転ロールとを、シート状の粒体16の搬送方向に関して交互に配置することにより、シート状の粒体16を構成する粒状物がシート状の粒体16の中央部を境に外側左右に押しやられ、次にシート状の粒体16の中央部に押しやられるという作用を繰り返し受けることにより、シート状の粒体16がさらに均整化される。
【0040】
図6で、ピン22のシート状の粒体16を構成する粒状物23への作用を模式的に説明すると、ピン22のシート状の粒体16に対する相対移動による押圧力Pがピン22の、粒状物23と接する面61に発生し、押圧力Pは面61方向の力Ptと,面61と垂直方向の力Pnのベクトル成分を有する。Ptは面61と粒状物23との滑りにより吸収されるが、Pnにより粒状物23はPnの方向へ押しやられる。Pnの方向はピン22の先端部の移動方向すなわちシート状の粒体16の移動方向(矢印S)の成分と、矢印Sと直交する方向すなわちシート状の粒体16の幅方向(矢印H)の成分を有するので、粒状物23の移動Mが矢印S方向の成分Msと矢印H方向の成分Mhを有することとなり、粒状物23は矢印S方向へMsだけ移動するとともに、すなわち、前方(矢印S)へ移動するとともに横方向(矢印H)へMhだけ移動する。ピン22が矢印Sに対して斜向する面を有する場合に図6に示すように粒状物23の横方向(矢印H)への移動(Mh)が生ずるので、ピン22の断面形状は円、楕円、ひし形、三角形、5角以上の多角形などであることが好ましい。ピン22の断面形状が扁平板状あるいは四角形の場合は、ピン22がシート状の粒体16と接触する位置にあるときに側面の一部分がシート状の粒体16の移動方向(矢印S)と斜向するようにピン22が植えられていることが必要である。
【0041】
本発明の粒体成形装置1を用いた板状物の製造の態様の一例を説明するならば、図7に示すように、粒体成形装置1により均整に成形されたシート状の粒体16が、渡りプレート226を介して圧縮装置201へ連続的にフィードされて厚さ方向に圧縮される。圧縮装置201は圧縮用上部コンベアベルト203を備えた上部コンベア210と、圧縮用下部コンベアベルト206を備えた下部コンベア212から構成される。シート状の粒体16は圧縮用上部コンベアベルト203と圧縮用下部コンベアベルト206との間に挟まれて搬送されることにより、厚さ方向に圧縮される。上部コンベア210にはガイドロール207とガイド板204が配され、これらによりシート状の粒体16を圧縮するように圧縮用上部コンベアベルト203の走行経路が規制される。下部コンベア212にはガイドロール215とガイド板205が配され、これによりシート状の粒体16を圧縮するように圧縮用下部コンベアベルト206の走行経路が規制される。
【0042】
また、シート状の粒体16は圧縮装置201を走行する間に不図示の乾燥手段により加熱乾燥される。例えば熱風が、シート状の粒体16に送り込まれてシート状の粒体16が乾燥される。そのため、上部コンベア210、下部コンベア212は金網などの通気性部材からなることが好ましい。
【0043】
さらに、シート状の粒体16がシート均整化装置部7に導入されるときに、不織布等の通気性シート220がベルト21の搬送面に沿わせてシート状の粒体16の下面に供給される。また、シート状の粒体16が圧縮装置201に導入されるときに、不織布等の通気性シート222が上部コンベアベルト203の搬送面に沿わせてシート状の粒体16の上面に供給される。これにより、圧縮装置201内には、図8に示すような複合シート230が走行する。複合シート230は、シート状の粒体16を中央にして通気性シート220と通気性シート222が外層を形成するサンドイッチ状の構造となっている。
【0044】
通気性シート220と通気性シート222の導入により、圧縮工程、乾燥工程が安定化する。
【0045】
圧縮装置201から排出された複合シート230は連続的にシート切断装置202に導入され、所定の長さに切断されて複合板240として切断装置202から排出される。図9に示すように、複合板240は乾燥されたシート状の粒体216を中央にして通気性シート220と通気性シート222が外層に接着したサンドイッチ状の構造となっている。乾燥されたシート状の粒体216はシート状の粒体16を構成する粒状物の表面にあらかじめ付着している液状物が乾燥により固化して、粒状物同士が接着されるので、高強度の複合板240が得られる。また、通気性シート220と通気性シート222によるサンドイッチ構造により表面平滑性にすぐれ、使用時の粒状物の脱落の少ない複合板240が得られる。
【0046】
本発明においては、シート状の粒体16の均一性をさらに向上させるために図10、図11に示すようなダイス102を用いることが好ましい。ダイス102は、粒体を押出す押出機14の吐出口52に装着されて、押出機14から押出された粒体8の断面形状を規制する目的に使用される。
【0047】
図10に示す粒体成形装置1aにおいては、ダイス102は、吐出口52から吐出される粒状物が進入する入口開口53と、この粒状物が押出されて成形され上辺、下辺及び互いに対向する側辺を有する出口開口54とを備えたダイスであり、複数の片持ちの弾性押さえ板104が、ダイス102の出口開口54の図面視上辺に沿う方向(機械及びシート状の粒体16のの幅方向)に配列している。図11はダイス102の正面図であり、符号131は出口開口54の上辺、符号132は出口開口54の下辺、符号134、135は出口開口54の側辺である。
【0048】
弾性押さえ板104は、把持部材6により把持されて、押出機14の吐出口52の辺部に固定されたこの把持部材6を介して吐出口52の位置に装着されている。
【0049】
把持部材6は弾性押さえ板104の元端部が固定される固定用ブロック70と、固定用ブロック70から延出する、弾性押さえ板104の延出方向と平行方向に固定用ブロック70から突出する突出部90とから構成される。弾性押さえ板104は固定用ブロック70にいわゆる片持ち梁の状態に固定される。
【0050】
突出部90には弾性押さえ板104の延出方向と直交して突出部90を貫通するネジ穴120が形成されており、ネジ穴120には調整用ボルト114が螺合し、調整用ボルト114の先端が固定用ブロック70から延出する弾性押さえ板104の面に対面あるいは当接するようになっている。弾性押さえ板104の自由端部106が外力を受けるとその撓み具合は調整用ボルト114の先端の位置で規制されるので、調整用ボルト114の進退により弾性押さえ板104の先端部116の撓み具合を調整することができる。
【0051】
弾性押さえ板104は、その自由端部106がダイス102から押し出されて進行する粒体の表面(上面)に接触して弾性押さえ板104が撓むように配置されている。
【0052】
さらに、ダイス102においては、複数の片持ちの他の弾性押さえ板124が、ダイス102の出口開口4の図面視下辺に沿い矢印Dの方向(機械及びシート状の粒体16の幅方向)に配列している。
【0053】
他の弾性押さえ板124は、他の把持部材126により元端部が把持されて、押出機14の吐出口52の辺部に固定されたこの他の把持部材126を介して吐出口52に装着されている。他の弾性押さえ板124は他の把持部材126にいわゆる片持ち梁の状態に固定される。他の弾性押さえ板124は、その自由端部127がダイス102から押し出されて進行する粒体の表面(下面)に接触して他の弾性押さえ板124が撓むように配置されている。
【0054】
弾性押さえ板104や他の弾性押さえ板124の素材としてはリン青銅板などの可撓性に優れた板が好ましい。弾性押さえ板104や他の弾性押さえ板124の厚さは0.1〜0.5mmであることが好ましく、吐出状況に応じて適宜選択することができる。
【0055】
表面に液体が付着した粒体は個々の粒状物同士が凝集しやすいので、集合物の密度に部分的に粗密が生じやすく、押出機14から過剰な粒状物が一瞬押し出されるという現象が生じやすい。ダイスの開口辺部が剛体からなる場合、押出機14から過剰な粒状物が一瞬押し出されると、ダイスの開口辺部に過大な圧力がかかり、その反作用で粒状物にはスクリュー方向に押し戻される方向に圧力がかかり、この圧力に抗してスクリューで粒状物がダイスに押し込まれようとするとさらに過大な圧力がダイスの開口辺部にかかるという悪循環の現象により、ダイスが完全に閉塞することが多い。
【0056】
この閉塞減少は、粒状物が窪みや空隙を有して粒体の見かけ比重が小さい場合や、個々の粒状物が小さい圧力で潰れやすいものである場合に特に多く発生しがちである。個々の粒状物が小さい圧力で潰れやすいと粒状物に圧力がかかったときに粒状物及びその集合体が押しつぶされて密度が高くなり閉塞の可能性が高まる。
【0057】
本発明に用いられるダイス102においては、押出機14から過剰な粒状物が一瞬押し出されても、弾性押さえ板104や他の弾性押さえ板124が撓んでダイス102のその部分の開口が広がるので、過剰な粒状物を過大な圧力がかかることなくそのままダイス102を通過させることができる。
【0058】
弾性押さえ板104や他の弾性押さえ板124は矢印Dの方向(機械の幅方向)に複数個配列しているので、押出機14から過剰な粒状物が部分的に一瞬押し出された場合、その部分に該当する弾性押さえ板104や他の弾性押さえ板124のみが撓んで過剰な粒状物を通過させるので、機械幅全体にわたってダイスの開口上下幅が変化することはなく、安定した吐出が行なわれる。
【0059】
図10、図11においては、弾性押さえ板104がダイスの上辺に沿って配置されるとともに、他の弾性押さえ板124に代えて弾性押さえ板104が下辺に沿って配置されてもよい。
【0060】
あるいは、図10、図11においては、他の弾性押さえ板124がダイスの下辺に沿って配置されるとともに、弾性押さえ板104に代えて他の弾性押さえ板124が上辺に沿っても配置されてよい。
【0061】
また、図10、図11においては、粒状物の凝集性が比較的小さい場合は、弾性押さえ板104あるいは他の弾性押さえ板124がダイスの片方の辺(上辺あるいは下辺)のみに配置される態様であってもよい。
【0062】
本発明の粒体成形装置1は、破砕や粉砕などの微粒化をする前の籾殻の集合体の押出し成形に特に好適に用いられる。とくには、前記出口開口を、上辺及び下辺を長辺とする長方形とすることにより、均整な板形状の成形体を得ることができる。籾殻は集合体として極めてかさ高であり、本発明の粒体成形装置1によりそのかさを維持したまま成形することにより、軽量性や衝撃吸収性、防音性、断熱性などに優れた成形体を得ることができる。とくに、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液と籾殻とを混合し成形したのちポリビニルアルコール系樹脂を凍結、解凍後乾燥することによって軽量かさ高で高強度の成形体を得ることができる。
【0063】
かかる目的に用いられる、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液(樹脂の濃度は例えば約5〜20重量%)と籾殻とを混合してなる粒体(籾殻と水溶液の重量比は例えば2:1〜1:3)は、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液の粘着性が強いので、開口辺部が剛体からなるダイスを用いた従来の押出し成形法では、前述の閉塞現象が生ずるおそれがあるのに対して、ダイス102を用いた場合は、この閉塞現象がほとんど生じないで円滑な押出しを行うことができる。
【0064】
その他、本発明は、主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は粒体の成形に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0066】
1、1a:粒体成形装置
7:シート均整化装置部
10、102:ダイス
14:押出機
16:シート状の粒体
18:搬送手段
20(20a、20b):回転ロール
22:ピン
30a:一の回転ロール群
30b:他の回転ロール群
52:吐出口
104:弾性押さえ板
106、127:自由端部
114:調整用ボルト
124:他の弾性押さえ板
201:圧縮装置
202:シート切断装置
131:上辺
132:下辺
134、135:側辺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒体を押出す押出し機と、
該押出し機の吐出口に装着され、該吐出口から吐出される粒体が進入する入口開口と、該粒体がシート状に押出される出口開口とを備えたダイスと、
該ダイスから押出されたシート状の粒体を載置して連続的に走行させる搬送手段と、
前記搬送手段の搬送面の上方に、長手方向を該搬送面と平行にかつ該シート状の粒体の搬送方向と直交させて配された1または複数の回転ロールと
を備え、
前記回転ロールの表面から複数のピンが、該回転ロールの長手方向に進行する螺旋状に配列する隊列をなすように立設し、
前記隊列の螺旋の旋回方向が前記回転ロールの長手方向にかけて断続的に反転し、
前記回転ロールは、前記シート状の粒体の搬送中に前記ピンの先端部が前記シート状の粒体に接触する状態で該シート状の粒体の搬送方向に対して連れまわり方向に回転する
粒体成形装置。
【請求項2】
前記旋回方向の反転する位置が前記回転ロールの長手方向略中央である請求項1に記載の粒体成形装置。
【請求項3】
複数の前記回転ロールからなる一の回転ロール群と、
複数の前記回転ロールからなる他の回転ロール群とを備え
前記一の回転ロール群に含まれる前記回転ロールに含まれる回転ロールが有するピンの螺旋の旋回方向と、前記他の回転ロール群に含まれる前記回転ロールに含まれる回転ロールが有するピンの螺旋の旋回方向とが逆である請求項2に記載の粒体成形装置。
【請求項4】
前記一の回転ロール群に含まれる回転ロールと、前記他の回転ロール群に含まれる回転ロールとが、前記シート状の粒体の搬送方向に関して交互に配された請求項3に記載の粒体成形装置。
【請求項5】
前記ダイスの出口開口が上辺、下辺及び互いに対向する側辺を有し、複数の片持ちの弾性押さえ板が前記上辺または前記下辺、あるいは両方に沿って配列して、該弾性押さえ板の自由端部が該ダイスから押し出されて進行する前記粒体の表面に接触して該弾性押さえ板が撓むように配置された請求項1から4のいずれか1項に記載の粒体成形装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−173307(P2011−173307A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38548(P2010−38548)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(393029136)角一化成株式会社 (8)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【出願人】(506158197)公立大学法人 滋賀県立大学 (29)
【Fターム(参考)】