説明

粒子の製造方法及び反応装置

【課題】連続製造方法であり、かつバッチ式処理における知見を適用することができる粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】上流から下流に向かって昇温する方向の温度勾配を少なくとも一部に有する反応流路110に、粒子の前駆体を含む原料流体を導入し、前駆体を反応流路110で流動させつつ昇温して反応させることにより粒子を生成する。複数のヒータ380は、反応流路110を加熱することにより、反応流路110の少なくとも一部に、上流から下流に向かって昇温する方向の温度勾配を設ける。制御部400は、反応流路110における原料流体の流速(例えば後述するモータ360の回転速度)を用いてヒータ380を制御し、反応流路110における上記した温度勾配を定める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産性が高い粒子の製造方法及び反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直径がナノオーダーの粒子であるナノ粒子は、直径がミクロンオーダー以上の粒子とは異なる特性を示すため、近年盛んに研究されている。ナノ粒子を製造する方法の一つとして、有機金属を用いたOnepod合成法がある。この方法はバッチ式処理であり、有機金属及び安定化剤(例えば脂肪酸など)を合成容器内で混合して加熱し、一定時間還流を行う方法である(非特許文献1,2及び特許文献1参照)。しかし、この方法は生産性が低いという欠点を有する。
【0003】
また特許文献2,3には、一定温度に加熱した反応容器内に原料を流動させることにより、微粒子を連続的に製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−249493号公報
【特許文献2】特開2002−052336号公報
【特許文献3】特開2007−031799号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】"Formation mechanism of FePt nanoparticles synthesized via Pyrolysis Iron(III) ethoxide and Platinum(III) acetylacetonaet", S.Saida and S.Maenosono, Chem. Mater., 17, 6624-6634, 2005
【非特許文献2】"In situ observation of the nucleation and growth of CdSe nano crystals", L. Qu, W.W.Yu and X. Peng, Nano Lett., 4, 465-469, 2004.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
微粒子を製造する場合、連続製造方法よりバッチ式処理のほうが再現性が高く、最適な製造条件を見出すのが容易である。しかし、特許文献2及び3に記載の方法は、反応条件がバッチ式処理と本質的に異なっているため、バッチ式処理における知見を適用することができなかった。このため、生産性の高い連続製造方法において、最適な製造条件を見出すことは難しかった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、連続製造方法であり、かつバッチ式処理における知見を適用することができる粒子の製造方法及び反応装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、上流から下流に向かって昇温する方向の温度勾配を少なくとも一部に有する反応流路に、粒子の前駆体を含む原料流体を導入し、前記前駆体を前記反応流路で流動させつつ昇温して反応させることにより粒子を生成する粒子の製造方法が提供される。
【0009】
本発明によれば、原料流体が流れる反応流路と、
前記反応流路の少なくとも一部に、上流から下流に向かって昇温する方向の温度勾配を設けるヒータと、
前記反応流路における前記原料流体の流速を用いて前記ヒータを制御し、前記反応流路における前記温度勾配を定める制御部と、
を備える反応装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、連続製造方法において、バッチ式処理における知見を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る粒子の製造方法に用いる反応装置の構成を示す図である。
【図2】図1のA−A´断面図である。
【図3】バッチ式の反応容器を用いた予備実験の手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】図3に示した処理を行なったときの、原料流体の温度及びパージガス中の特定成分の時間変化の一例を示すグラフである。
【図5】図1及び図2に示した反応装置を用いて粒子を製造する方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係る粒子の製造方法に用いる反応装置の構成を示す図であり、図2は図1のA−A´断面図である。この反応装置は、反応流路110、複数のヒータ380、及び制御部400を備える。反応流路110には原料流体が流れる。原料流体には、粒子の前駆体が含まれる。複数のヒータ380は、反応流路110を加熱することにより、反応流路110の少なくとも一部に、上流から下流に向かって昇温する方向の温度勾配を設ける。制御部400は、反応流路110における原料流体の流速(例えば後述するモータ360の回転速度)を用いてヒータ380を制御し、反応流路110における上記した温度勾配を定める。反応流路110は、例えば反応管である。
【0014】
この反応装置によれば、上流から下流に向かって昇温する方向の温度勾配を少なくとも一部に有する反応流路110に、粒子の前駆体を含む原料流体を導入し、前駆体を反応流路110で流動させつつ昇温して反応させることにより粒子を生成することができる。
【0015】
反応装置で生成される粒子は、例えば鉄白金、コバルト白金及びニッケル白金などの遷移金属を含む合金粒子、又は鉄、コバルト、ニッケル、白金、パラジウムなどの金属粒子であり、その直径は、例えば50nm以下である。なお、粒子の直径の下限値は、例えば1nmである。例えば反応装置で金属粒子を生成する場合、前駆体は、例えば鉄アセチルアセトレート、白金アセチルアセトレート、鉄カルボニルなどの有機金属であるが、金属の塩化物も使用可能である。そして原料流体は、例えば前駆体を溶媒(例えばオレイン酸やオレイルアミン)に添加したものであり、その粘度は略溶媒の粘度と等しくなる。
【0016】
反応装置において、原料流体は、原料流体供給部320に初期温度に調整されて保持されており、原料流体供給部320から原料流体導入口102を介して反応流路110に導入される。前駆体が有機金属である場合、反応流路110には、さらに還元剤が導入される。還元剤は、還元剤供給部340に所定の温度に調整されて保持されており、還元剤供給部340から還元剤導入口104を介して反応流路110に導入される。還元剤導入口104は、反応流路110において原料流体導入口102より距離Lほど下流側に設けられている。この部分は、反応流路110のうち下流側に向けて温度が上昇する方向の温度勾配を有する領域内に位置している。
【0017】
反応装置の反応流路110内には送液機構としてのスクリュー120が配置されている。スクリュー120は反応流路110の長手方向に延伸しており、モータ360を動力源として回転する。スクリュー120が回転すると、反応流路110内の原料流体は攪拌されつつ、上流側から下流側に流動し、取出口106から排出される。モータ360の回転速度は制御部400によって制御されている。制御部400は、モータ360の回転速度に基づいて、原料流体の流速を把握することができる。
【0018】
原料流体は、反応流路110内を流動するときに昇温する。そして制御部400は、原料流体の目標昇温速度を算出するためのデータを保持しており、このデータ及び流速を用いて複数のヒータ380を互いに独立して制御し、反応流路110における温度勾配を定める。具体的には、制御部400は、原料流体が反応流路110内を流動しているときの昇温速度が目標昇温速度になるように、反応流路110における温度勾配を定める。
【0019】
原料流体の目標昇温速度を算出するためのデータは、例えば以下のようにして得ることができる。まず、バッチ式の反応容器において、昇温速度及び加熱温度をパラメータとして、原料流体を昇温および加熱保持することにより、原料流体に含まれる前駆体を反応させて粒子を生成する予備実験を行なう。これにより、バッチ式処理における最適条件としての昇温速度、加熱温度、および加熱温度保持時間を定めることができる。このとき制御部400は、反応流路110における温度勾配を、予備実験において見出された、最適条件としての昇温速度、加熱温度、及び加熱温度保持時間、並びに反応流路110内における原料流体の流速(例えばモータ360の回転速度)に基づいて定める。
【0020】
反応流路110には、複数のガス取出口200が設けられている。複数のガス取出口200は、反応流路110の長手方向に互いに離間して設けられている。ガス取出口200それぞれには、ガス成分分析部210が取り付けられている。ガス成分分析部210は、取り出された反応流路の雰囲気ガスに含まれるガスの成分、例えば有機ガスの濃度を分析する。ガス成分分析部210の分析結果は制御部400に出力される。制御部400は、複数のガス取出口200それぞれのガス成分分析部210から分析結果を受信し、分析結果から、反応流路110の長手方向におけるガス成分の分布(例えば有機ガスの濃度の分布)を把握して、これに基づいて粒子の生成の有無を判断する。
【0021】
なお、図2に示す断面において、反応流路110は、原料流体が流動する円形の本体部112の上部に、パージガスが流動する縦長のガス流路114を設けた構成を有している。上記したスクリュー120は、本体部112内を延伸している。ガス流路114の最上流部には、パージガス導入口108が設けられている。ガス流路114には、パージガス導入口108から不活性ガスであるパージガス(例えばアルゴンガス)が導入される。そしてガス取出口200は、ガス流路114を流れるガスを取り出す。
【0022】
図3は、バッチ式の反応容器を用いた予備実験の手順の一例を示すフローチャートである。まず、前駆体(例えば有機金属)を含む原料流体を、バッチ処理容器(例えばフラスコ)に導入する(ステップS10)。原料流体の温度は初期温度Tに設定されている。次いで、バッチ処理容器の中を不活性ガス(例えばアルゴンガス)でパージしつつ排気を行なっている状態で、バッチ処理容器内を攪拌しながら原料流体の加熱を開始する(ステップS20)。そして、バッチ処理容器から排出されるパージガスに含まれる特定成分(例えば有機成分)の濃度の測定を開始する(ステップS30)。
【0023】
そして、バッチ処理容器の温度すなわち原料流体の温度が予め定められている第1の温度Tになった時点で、バッチ処理容器内に還元剤を添加する(ステップS40)。そして、加熱開始から時間t後に、原料流体は第1の温度Tより高い第2の温度Tに昇温し、その後、第2の温度Tに維持される(ステップS45)。そして、パージガス中の特定成分(例えば有機成分)に急激な増加が見られるか否かを測定する(ステップS50)。特定成分の急激な増加が見られない場合(ステップS50:No)、設定した製造条件(温度T、第1の温度T、時間t1、及び第2の温度T)が不適切であり、粒子の製造に失敗したと判断する。その後、製造条件を変更した上で、ステップS10に戻る。
【0024】
特定成分の急激な増加が見られた場合(ステップS50:Yes)、設定した製造条件(初期温度T、第1の温度T、時間t、及び第2の温度T)が適切であり、粒子の製造に成功したと判断する。そして、特定成分の急激な増加が開始してから時間t以上第2の温度Tを保つ(ステップS60)。特定成分の量が減少し、一定値になったら(ステップS70:Yes)、バッチ処理容器の加熱を停止し、バッチ処理容器を冷却する(ステップS80)。そしてバッチ処理容器に有機溶剤(例えばヘキサン)を加え、原料流体を取り出す(ステップS90)。そして原料流体を精製することにより、粒子を抽出する(ステップS100)。
【0025】
このようにして、バッチ処理における初期温度T、還元剤を投入するときの温度である第1の温度T、反応を持続させる温度である第2の温度T、初期温度Tから第2の温度Tに昇温するまでの時間である第2の時間t、及び第2の温度Tを維持する時間である第2の時間tが定まる。次いで、これらの条件に基づいて、図1及び図2に示した反応装置の仕様が以下の各式に基づいて定められる。
【0026】
原料流体の流速v=(反応流路の全長L)/(t+t)・・・(1)
温度勾配dT/dL=(T―T)・(t+t)/(L・t)・・・(2)
距離L=(T―T)・(dT/dL)−1・・・(3)
第2の温度Tに昇温する位置L=L/(t+t)×t・・・(4)
【0027】
図1及び図2に示した反応装置において、還元剤導入口104の位置は、上記した式(3)に基づいて定められる。また制御部400は、式(1)で算出された値に従ってモータ360を制御し、式(2)及び式(4)で算出された値に従って、複数のヒータ380の出力を制御する。
【0028】
図4は、図3に示した処理を行なったときの、原料流体の温度及びパージガス中の特定成分の時間変化の一例を示すグラフである。本図に示すように、原料流体の温度がある温度に達したときに、パージガス中の特定成分の濃度が急激に上昇する。これは、原料流体に含まれる前駆体の分解(すなわち粒子の生成)が開始したためである。そして、時間が経過するにつれて徐々にパージガス中の特定成分の濃度が低下している。これは、原料流体に含まれる前駆体の濃度が徐々に低下していくためである。このように、パージガス中の特定成分の濃度変化を観察することにより、粒子の生成が進んでいるか否かを判断することができる。
【0029】
そして、図1及び図2に示した反応装置において、反応流路110の長手方向を、バッチ処理における時間と見なすことができる。このため、バッチ処理においてパージガス中の特定成分の濃度の時間変化を記録しておくことで、定常状態の反応流路110の長手方向におけるパージガス中の特定成分の濃度分布を予め設定(予想)することができる。
【0030】
図5は、図1及び図2に示した反応装置を用いて粒子を製造する方法を説明するフローチャートである。図5に示す処理に先立って、制御部400は、初期温度T、第1の温度T、第2の温度T、上記した(1)式、(2)式、及び(4)式で算出された値を記憶する。そして制御部400は、記憶した値に基づいて、反応流路110の温度分布の設定値を算出する。
【0031】
また制御部400は、定常状態の反応流路110の長手方向におけるパージガス中の特定成分の濃度分布を記憶する。この濃度分布は、上記したように、バッチ処理におけるパージガス中の特定成分の濃度の時間変化に基づいて定められる。
【0032】
まず、原料流体を原料流体供給部320に入れ、還元剤を還元剤供給部340に入れる(ステップS210)。次いで制御部400は、反応流路110内を不活性ガスでパージし、反応流路110の加熱を開始する(ステップS220)。そして制御部400は、原料流体供給部320を制御して反応流路110内に液体原料を導入し、かつモータ360を駆動してスクリュー120を回転させることにより、反応流路110内で原料流体を送液する(ステップS230)。そして制御部400は、反応流路110の温度分布が設定したとおりになるまでの間は(ステップS240:No)、取出口106へ送液された原料流体を破棄し続ける(ステップS245)。
【0033】
反応流路110の温度分布が設定したとおりになると(ステップS240:Yes)、制御部400は、還元剤供給部340を制御して反応流路110内への還元剤の導入を開始する(ステップS250)。そして制御部400は、反応流路110からの排気ガスに含まれる特定成分の検出値を各ガス取出口200のガス成分分析部210から受信する(ステップS260)。制御部400は、特定成分の発生パターンが設定どおりになるまで(ステップS270:No)、取出口106に送液された原料流体を破棄し続ける(ステップS275)。
【0034】
制御部400は、特定成分の発生パターンが設定どおりになると(ステップS270:Yes)、取出口106に送液された原料流体の取り出しを開始する(ステップS280)。具体的には、原料流体は希釈槽(図1において図示せず)を経由して、貯蔵槽(図1において図示せず)に送液される(ステップS310)。希釈層に送液されるまでの間に、原料流体は所定の温度まで冷却される(ステップS290)。そして希釈層において、原料流体は、攪拌されながら有機溶剤(例えばヘキサン)が添加される(ステップS300)。
【0035】
ステップS280〜ステップS310までの処理を、原料流体供給部320の原料流体がなくなるまで続ける(ステップS320)。原料流体供給部320の原料流体がなくなると、貯蔵槽に貯蔵されている流体を精製し、粒子を抽出する(ステップS330)。
【0036】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。バッチ処理においては、時間とともに原料流体の温度が上昇する。一方で、反応流路110は、上流から下流に向かって昇温する方向の温度勾配を少なくとも一部に有しているため、原料流体は、反応流路110を流動する間に温度が上昇する。このため、反応流路110の長手方向を、バッチ処理における時間と置き換えて考えることにより、連続製造方法においてバッチ式処理における知見を適用することができる。
【0037】
特に、バッチ式処理においてパージガスに含まれる特定成分の濃度変化を調べておき、かつ、反応流路110の長手方向に複数のガス取出口200を互いに離間して設け、各ガス取出口200から取り出されたガスに含まれる特定成分の濃度を調べると、精度よくバッチ式処理における知見を適用することができる。
【0038】
例えば、バッチ式処理で予備実験を行うことにより粒子の製造条件を調べ、調べた製造条件が反映されるように、図1及び図2に示した反応装置の構成及び温度勾配等を調整することにより、高い効率で粒子を製造することができる。製造される粒子は、例えば前駆体が有機金属である場合は、直径が5nm以下の金属粒子である。そしてこの金属粒子の直径のばらつきは小さい。
【0039】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0040】
(実施例)
実施形態に示した方法を用いて、鉄白金粒子を製造した。前駆体としては鉄アセチルアセトレート及び白金アセチルアセトレートを用い、溶媒としてはオレイン酸及びオレイルアミンを用いた。また還元剤としては1,2−ヘキサデカンジオールを用いた。
【0041】
まず、50mLのフラスコを用いてバッチ式処理を行なった。オレイン酸及びオレイルアミンをそれぞれ10mmol、鉄アセチルアセトレートを0.492g、白金アセチルアセトレートを0.236gほど準備し、これらを混合することにより原料流体を作製した。そして、原料流体を液温50℃から25℃/分の速度で昇温していき、300℃で一定温度になるようにした。昇温の途中、液温が140℃になったときに、還元剤である1,2−ヘキサデカンジオールを0.776gほど添加した。加熱開始後60分で加熱を終了した。得られた鉄白金粒子の平均粒子径は4.2±0.5nmであり、再現性が高かった。
【0042】
このバッチ式処理において、初期温度T=50℃、第1の温度T=140℃、時間t=10分、第2の温度T=300℃時間t=50分となる。また、処理の間、パージガスに含まれる有機成分の濃度変化を計測した。
【0043】
次いで、バッチ式処理によって得られた知見を反映させて、図1及び図2に示した反応装置を構築した。上記したように、初期温度T=50℃、第1の温度T=140℃、時間t=10分、第2の温度T=300℃時間t=50分となるため、反応流路110の全長L=100cmとすると、原料流体の流速v=1.67cm/分、温度勾配dT/dL=9.6℃/cm、距離L(還元剤投入位置)=6cm、第2の温度Tに昇温する位置L=16.7cmとなる。
【0044】
この反応装置を用いると、バッチ式処理によって得られた知見を用いて鉄白金粒子を製造することができた。
【符号の説明】
【0045】
102 原料流体導入口
104 還元剤導入口
106 取出口
108 パージガス導入口
110 反応流路
112 本体部
114 ガス流路
120 スクリュー
200 ガス取出口
210 ガス成分分析部
320 原料流体供給部
340 還元剤供給部
360 モータ
380 ヒータ
400 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から下流に向かって昇温する方向の温度勾配を少なくとも一部に有する反応流路に、粒子の前駆体を含む原料流体を導入し、前記前駆体を前記反応流路で流動させつつ昇温して反応させることにより粒子を生成する粒子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の粒子の製造方法において、
予め、バッチ式の反応容器において前記原料流体を昇温および加熱保持する予備実験を行なうことにより、前記前駆体を分解して前記粒子を生成するための昇温速度及び加熱温度を定め、
前記反応流路における前記温度勾配を、前記予備実験における前記昇温速度及び前記加熱温度、並びに前記反応流路内における前記原料流体の流速に基づいて定める粒子の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の粒子の製造方法において、
前記前駆体は有機金属であり、
前記粒子は平均直径が50nm以下の金属粒子である粒子の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の粒子の製造方法において、
前記反応流路の温度勾配を有する部分において還元剤を導入する粒子の製造方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の粒子の製造方法において、
前記反応流路の長手方向に複数のガス取出口を互いに離間して設け、
前記複数のガス取出口それぞれごとに、取り出された前記反応流路の雰囲気ガスに含まれる有機ガスの濃度を分析し、前記反応流路の長手方向における前記濃度の分布に基づいて前記粒子の生成の有無を判断する粒子の製造方法。
【請求項6】
原料流体が流れる反応流路と、
前記反応流路の少なくとも一部に、上流から下流に向かって昇温する方向の温度勾配を設けるヒータと、
前記反応流路における前記原料流体の流速を用いて前記ヒータを制御し、前記反応流路における前記温度勾配を定める制御部と、
を備える反応装置。
【請求項7】
請求項6に記載の反応装置において、
前記原料流体は、前記反応流路内を流動するときに昇温し、
前記制御部は、前記原料流体の目標昇温速度を算出するためのデータを保持しており、前記データ及び前記流速を用いて、前記反応流路における前記温度勾配を定める反応装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の反応装置において、
前記原料流体が有機金属を含んでおり、
前記反応流路において、前記有機金属の反応が行なわれることにより金属微粒子が生成される反応装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一つに記載の反応装置において、
前記反応流路に長手方向に互いに離間して設けられた複数のガス取出口と、
前記複数のガス取出口それぞれに接続しており、前記ガス取出口から取り出されたガスの成分を分析するガス成分分析部と、
を備える反応装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−168606(P2010−168606A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10395(P2009−10395)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】