説明

粒子の製造方法

【課題】本発明は、工業的に有用な乾燥したナノ粒子を製造することが可能な粒子の製造方法及び該粒子の製造方法を用いて製造されている粒子を提供することを目的とする。また、本発明は、該粒子を有するトナー、該トナーを有する現像剤及び該現像剤が収容されている現像剤収容容器を提供することを目的とする。さらに、本発明は、該現像剤を用いて画像を形成する画像形成方法及び画像形成装置並びに該画像形成装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【解決手段】粒子の製造方法は、粒子が溶媒中に分散されている分散液の該溶媒を超臨界流体に置換する工程と、超臨界流体を気化させる工程を有し、超臨界流体は、常温常圧で気体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の製造方法、粒子、トナー、現像剤、現像剤収容容器、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、粒子を微細化し、ナノサイズ(典型的には、粒径が10〜100nmの範囲)とする取り組みが進められている。このようなナノ粒子は、バルク特性をそのまま示す粒子と、分子や原子の中間に位置し、従来予想できなかった新たな特性を引き出し得ることが指摘されている。しかも、ナノ粒子を単分散させることができれば、その特性をさらに引き出すことが可能である。このため、ナノ粒子は、様々な分野で期待され、生化学、新規材料、電子素子、発光表示素子、印刷、医療等の広い分野で研究が盛んになりつつある。特に、有機化合物からなる有機ナノ粒子は、有機化合物自体が多様性を有するため、機能性材料としてのポテンシャルは高い。
【0003】
従来、樹脂粒子は、乳化重合により作製されることが知られており、非常に多量の乳化剤を使用することによってナノ粒子を得ることができる。このようなナノ粒子は、例えば、透明フィルム中に分散させることにより、均一な光拡散効果が得られるため、液晶ディスプレイやプロジェクターの光拡散板、化粧品の光散乱粒子、インクや塗料の添加剤として、使用されている。最近は、デンドリマーやユニマーミセルを用いて作製された樹脂粒子の医薬品への応用も検討されている。しかしながら、溶媒中に分散した樹脂粒子を乾燥させると凝集を避けることができないという問題がある。
【0004】
また、有機顔料粒子は、例えば、塗料、印刷インク、電子写真用トナー、インクジェットインク、カラーフィルター等の用途で使用されるが、以下のような製造方法が知られている。
【0005】
特許文献1には、高濃度の有機顔料のナノサイズの微粒子を製造する方法として、アミド系溶媒を50容量%以上含む有機溶媒に有機顔料を溶解させた顔料溶液を、有機溶媒と相溶性を有すると共に、有機顔料に対して貧溶媒となる溶媒中に撹拌条件下で注入する方法が開示されている。
【0006】
特許文献2には、有機顔料微粒子の製造方法として、水性媒体に有機顔料を溶解した有機顔料溶液と、pH調整用溶液とを流路(チャンネル)中を層流として接触流通させ、その流通過程で有機顔料溶液のpHを変化させると共に、有機顔料溶液に含まれる高分子分散剤の分子量を変えることにより、生成微粒子のサイズを制御する方法が開示されている。
【0007】
特許文献3には、有機化合物の超微粒子の製造方法として、貧溶媒に分散させた有機バルク結晶に、超短パルスレーザーを照射することにより、非線形吸収によりアブレーションを誘起して有機バルク結晶を粉砕して、高分散性飛散物とし、貧溶媒が高分散性飛散物を回収することにより、超微粒子を得る方法が開示されている。
【0008】
特許文献4には、被処理液中の有機化合物を微粒子化する方法として、有機化合物の吸光帯よりも長い波長のレーザ光を被処理液に照射する方法が開示されている。
【0009】
しかしながら、溶媒中に分散した有機顔料粒子を乾燥させると凝集を避けることができないという問題がある。
【0010】
さらに、特許文献5には、直径0.1〜10μmの均一な大きさを有するシリカの微小球体の製造方法として、加水分解性シリカ前駆物質、アルコール類、アンモニアおよび水を、2液相が形成される割合で混合し、シリカ前駆物質の加水分解により微小球体を形成させ、採取する方法が開示されている。しかしながら、ナノサイズを超える粒子が生成したり、ナノ粒子が凝集したりするという問題がある。さらに、ゲル化を引き起こすという問題もあり、安定してナノ粒子を製造することが極めて困難である。
【0011】
また、特許文献6には、着色微粒子として、染料と金属酸化物とを含有する微粒子の表面がイオン性基を有する有機化合物で被覆されているものが開示されているが、溶媒中に分散した着色微粒子を乾燥させると凝集を避けることができないという問題がある。
【特許文献1】特開2004−091560号公報
【特許文献2】特開2006−193652号公報
【特許文献3】特開2005−238342号公報
【特許文献4】特開2004−267918号公報
【特許文献5】特表平5−503063号公報
【特許文献6】特開2001−192582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記従来技術が有する問題に鑑み、工業的に有用な乾燥したナノ粒子を製造することが可能な粒子の製造方法及び該粒子の製造方法を用いて製造されている粒子を提供することを目的とする。また、本発明は、該粒子を有するトナー、該トナーを有する現像剤及び該現像剤が収容されている現像剤収容容器を提供することを目的とする。さらに、本発明は、該現像剤を用いて画像を形成する画像形成方法及び画像形成装置並びに該画像形成装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、粒子の製造方法において、粒子が溶媒中に分散されている分散液の該溶媒を超臨界流体に置換する工程と、該超臨界流体を気化させる工程を有し、該超臨界流体は、常温常圧で気体であることを特徴とする。
【0014】
なお、本願明細書及び特許請求の範囲において、常温及び常圧とは、それぞれ25℃及び0.1MPaを意味する。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粒子の製造方法において、前記溶媒中に分散されている粒子の粒径は、10nm以上100nm以下であることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の粒子の製造方法において、前記超臨界流体を気化させる際の温度は、臨界温度以上であることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の粒子の製造方法において、前記超臨界流体は、二酸化炭素であることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粒子の製造方法において、前記溶媒中に分散されている粒子は、樹脂粒子であることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の粒子の製造方法において、前記分散液は、高分子界面活性剤をさらに含有することを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の粒子の製造方法において、前記高分子界面活性剤は、数平均分子量が1万以上100万以下であることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の粒子の製造方法において、前記高分子界面活性剤は、一般式
【0022】
【化1】

(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、メチレン基又はエチレン基であり、Rfは、炭素数が7以上10以下のパーフルオロアルキル基である。)
で表される構成単位を有することを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の粒子の製造方法において、前記高分子界面活性剤は、一般式
【0024】
【化2】

(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、メチレン基又はエチレン基であり、Rfは、炭素数が7以上10以下のパーフルオロアルキル基である。)
で表されるモノマーを単独重合又は共重合することにより得られることを特徴とする。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項5乃至9のいずれか一項に記載の粒子の製造方法において、前記樹脂粒子に対する前記高分子界面活性剤の重量比が0.1%以上10%以下であることを特徴とする。
【0026】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粒子の製造方法において、前記溶媒中に分散されている粒子は、有機顔料粒子、無機酸化物粒子、又は染料若しくは顔料で着色されている無機酸化物粒子であることを特徴とする。
【0027】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の粒子の製造方法において、前記溶媒中に分散されている粒子は、表面がシランカップリング剤で処理されていることを特徴とする。
【0028】
請求項13に記載の発明は、粒子において、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の粒子の製造方法を用いて製造されていることを特徴とする。
【0029】
請求項14に記載の発明は、トナーにおいて、請求項13に記載の粒子及び結着樹脂を有することを特徴とする。
【0030】
請求項15に記載の発明は、現像剤において、請求項14に記載のトナーを有することを特徴とする。
【0031】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の現像剤において、キャリアをさらに有することを特徴とする。
【0032】
請求項17に記載の発明は、現像剤収容容器において、請求項15又は16に記載の現像剤が収容されていることを特徴とする。
【0033】
請求項18に記載の発明は、請求項15又は16に記載の現像剤を用いて画像を形成する画像形成方法であって、静電潜像担持体に静電潜像を担持させる工程と、該現像剤を用いて、該静電潜像担持体に担持された静電潜像を現像する工程を有することを特徴とする。
【0034】
請求項19に記載の発明は、請求項15又は16に記載の現像剤を用いて画像を形成する画像形成装置であって、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体に静電潜像を担持させる手段と、該現像剤を用いて、該静電潜像担持体に担持された静電潜像を現像する手段を有することを特徴とする。
【0035】
請求項20に記載の発明は、画像形成装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、少なくとも静電潜像担持体と、請求項15又は16に記載の現像剤を用いて、該静電潜像担持体に担持された静電潜像を現像する手段が一体化されていることを特徴とする。
【0036】
なお、本願明細書及び特許請求の範囲において、画像形成装置の本体とは、画像形成装置のプロセスカートリッジを除く部材を意味する。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、工業的に有用な乾燥したナノ粒子を製造することが可能な粒子の製造方法及び該粒子の製造方法を用いて製造されている粒子を提供することができる。また、本発明によれば、該粒子を有するトナー、該トナーを有する現像剤及び該現像剤が収容されている現像剤収容容器を提供することができる。さらに、本発明によれば、該現像剤を用いて画像を形成する画像形成方法及び画像形成装置並びに該画像形成装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
【0039】
本発明の粒子の製造方法は、粒子が溶媒中に分散されている分散液の溶媒を超臨界流体に置換する工程と、超臨界流体を気化させる工程を有する。このとき、超臨界流体は、常温常圧で気体である物質を臨界温度以上に加温すると共に、臨界圧力以上に加圧することにより得られる。これにより、粒子同士の凝集を抑制して、乾燥したナノ粒子を製造することができる。
【0040】
なお、溶媒中に分散されている粒子の粒径は、10〜100nmであることが好ましい。粒径が10nm未満であると、収率が低下することがあり、100nmを超えると、工業的な有用性が低下することがある。さらに、溶媒中に分散されている粒子の粒径は、単分散であることが好ましい。
【0041】
また、超臨界流体を気化させる際には、臨界温度以上の温度に保持することが好ましい。これにより、粒子同士の凝集をさらに抑制することができる。
【0042】
超臨界流体は、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮が起こらない。超臨界流体としては、常温常圧で気体である物質を臨界温度以上に加温すると共に、臨界圧力以上に加圧することにより得られる流体であれば、特に限定されないが、臨界温度が低いものが好ましい。このような超臨界流体としては、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、クロロトリフロロメタン、ジメチルエーテル等が挙げられる。中でも、臨界圧力が7.3MPa、臨界温度が31℃であるため、容易に超臨界状態とすることができることに加え、不燃性で取り扱いが容易であることから、二酸化炭素が特に好ましい。
【0043】
本発明において、溶媒中に分散されている粒子としては、特に限定されないが、樹脂粒子、有機顔料粒子、無機酸化物粒子、染料若しくは顔料で着色されている無機酸化物粒子(以下、着色無機酸化物粒子という)等が挙げられる。
【0044】
樹脂粒子が溶媒中に分散されている分散液を用いる場合は、溶媒を超臨界流体に置換する際に、樹脂粒子中に超臨界流体が浸透して軟化し、樹脂粒子同士が凝集しやすくなることがある。このため、分散剤として、高分子界面活性剤をさらに含有する分散液を用いることが好ましい。この場合、高分子界面活性剤の立体効果により、樹脂粒子同士の凝集を抑制することができる。
【0045】
樹脂粒子としては、特に限定されないが、スチレン、p−クロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、非ビニル縮合系樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントを有するグラフト共重合体等の粒子が挙げられる。
【0046】
溶媒としては、特に限定されないが、1価アルコール類、2価アルコール類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、エステル類、ケトン類、脂環族炭化水素類、揮発性オルガノポリシロキサン類等が挙げられ、具体的にはメタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコール、トルエン、キシレン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等を用いることができる。
【0047】
なお、樹脂が水中に分散されている分散液は、アルコール類、ケトン類、エステル類の溶媒に置換して使用する必要がある。
【0048】
高分子界面活性剤は、溶媒中における樹脂粒子同士の凝集を抑制するために、樹脂粒子及び溶媒に対する親和性が高いことに加え、数平均分子量が1万以上であることが好ましく、5万以上が特に好ましい。一方、高分子界面活性剤は、超臨界流体中における樹脂粒子同士の凝集を抑制するために、超臨界流体に対する親和性を考慮すると、数平均分子量が100万以下であることが好ましく、80万以下が特に好ましい。
【0049】
超臨界流体として、二酸化炭素を用いる場合、高分子界面活性剤は、フルオロ基を有することが好ましく、一般式(1)
【0050】
【化3】

(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、メチレン基又はエチレン基であり、Rfは、炭素数が7〜10のパーフルオロアルキル基である。)
で表される構成単位を有することが特に好ましい。高分子界面活性剤は、単独重合体及び共重合体のいずれであってもよいが、共重合体としては、ブロック共重合体が好ましい。
【0051】
一般式(1)で表される高分子界面活性剤は、一般式(2)
【0052】
【化4】

で表されるモノマーを単独重合又は共重合することにより得られるが、重合に用いられる全モノマーに対する一般式(2)で表されるモノマーのモル比は、30%以上であることが好ましく、100%が特に好ましい。モル比が30%未満であると、樹脂粒子同士の凝集を抑制する効果が小さくなることがある。
【0053】
このような高分子界面活性剤は、塊状重合や、フッ素系溶媒中での溶液重合により合成することができる。フッ素系溶媒としては、フロリナートFC−40、FC−43、FC−70、FC−72、FC−75、FC−77(以上、住友3M社製)、アサヒクリンAE−3000、AK−225(以上、旭硝子社製)、バートレル XF(三井・デュポンフロロケミカル社製)等が挙げられる。また、フッ素系溶媒の代わりに、超臨界二酸化炭素を用いてもよく、この場合、環境負荷を低減することができる。さらに、ブロック共重合体の製造方法としては、特開2003−171607号公報、特開2004−075780号公報、特開2003−154307号公報、特開2004−036018号公報、特開2003−221419号公報、特開2002−363495号公報、特開2002−266257号公報、特開2002−105152号公報、特開2002−097338号公報、特開2001−206952号公報、特開2000−169531号公報等に記載されている方法を用いることができる。なお、ブロック共重合体としては、ユニダインTG−590、TG−490、TG−540(以上、ダイキン工業社製)、モディパーF200、F220、F600、F2020、F3035(以上、日本油脂社製)等の市販の材料を用いることもできる。
【0054】
高分子界面活性剤の添加量は、樹脂粒子に対して、0.1〜10重量%であることが好ましく、1〜5重量%が特に好ましい。高分子界面活性剤の添加量が0.1重量%未満である場合には、樹脂粒子同士の凝集を抑制する効果が小さくなることがある。なお、高分子界面活性剤の添加量を10重量%より多くしても、樹脂粒子同士の凝集を抑制する効果が増大しないことがある。さらに、高分子界面活性剤は、樹脂粒子の物性を変化させることもあるので、添加量をできる限り少なくすることが好ましい。
【0055】
また、有機顔料粒子が溶媒中に分散されている分散液を用いる場合は、有機顔料粒子が水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の水素結合を形成することが可能な官能基を有すると、超臨界流体中でも有機顔料粒子間で緩い相互作用があるため、超臨界流体を気化する際に、有機顔料粒子同士が凝集しやすくなることがある。このため、有機顔料粒子は、表面がシランカップリング剤で処理されていることが好ましい。これにより、有機顔料粒子同士の凝集を抑制することができる。
【0056】
有機顔料粒子としては、特に限定されないが、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリン系、イソインドリノン系等の顔料粒子が挙げられる。
【0057】
着色無機酸化物粒子が溶媒中に分散されている分散液を用いる場合も、有機顔料粒子と同様に、超臨界流体を気化する際に、着色無機酸化物粒子同士が凝集しやすくなることがある。このため、着色無機酸化物粒子は、表面がシランカップリング剤で処理されていることが好ましい。
【0058】
無機酸化物粒子としては、特に限定されないが、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物粒子、セリウム、ジルコニウム、チタン、珪素、アルミニウム等の金属原子を複数含む複合酸化物粒子等が挙げられる。
【0059】
無機酸化物粒子を着色する染料及び顔料としては、特に限定されないが、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ローダミンB、アゾ染料、モノアゾピグメント、キナクリドン、アイアンオキサイドイエロー、ジアゾピグメント、ジケトピロロピロール、シアニンブルー、フラバンスロンイエロー、ジアンスラキノルリレッド、インダンスレンブルー、チオインジゴボルドー、ペリレンオレンジ、ペリレンスカーレット、ペリレンレッド178、ペリレンマルーン、ジオキサジンバイオレット、イソインドリイエロー、ニッケルニトロソイエロー、マーダーレーキ、銅アゾメチンイエロー、アニリンブラック、アルカリブルー等が挙げられる。
【0060】
無機酸化物粒子が溶媒中に分散されている分散液を用いる場合も、例えば、シリカ粒子はシラノール基を有するため、有機顔料粒子と同様に、超臨界流体を気化する際に、有機顔料粒子同士が凝集しやすくなることがある。このため、無機酸化物粒子は、表面がシランカップリング剤で処理されていることが好ましい。
【0061】
無機酸化物粒子としては、特に限定されないが、上記と同様のものを用いることができる。
【0062】
シランカップリング剤で処理する方法としては、例えば、粒子が懸濁されている懸濁液にシランカップリング剤を投入して、撹拌下で充分に混合して、50〜95℃に加温しながら、1〜3時間撹拌する方法が挙げられる。このとき、シランカップリング剤は、粒子の表面に吸着された後、縮合反応が起こり、粒子の表面に結合する。
【0063】
シランカップリング剤は、珪素原子に結合した加水分解性のアルコキシ基等を有する。得られた粒子をさらに樹脂中に分散させる場合には、シランカップリング剤は、樹脂に対する相溶性が良好な官能基や、樹脂と反応することが可能な官能基を有することが好ましい。樹脂と反応することが可能な官能基としては、ビニル基、メタクリロイルオキシ基、グリシジル基、アミノ基、メルカプト基等が挙げられる。
【0064】
シランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、(ブロモメチル)ジメチルクロロシラン、(α−クロロエチル)トリクロロシラン、(β−クロロエチル)トリクロロシラン、(クロロメチル)ジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、(3−メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、(γ−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン等が挙げられる。
【0065】
本発明において、粒子が溶媒に分散されている分散液は、従来公知の方法で調製することができる。樹脂粒子が溶媒に分散されている分散液は、例えば、乳化重合法等を用いて調製することができる。また、有機顔料粒子が溶媒に分散されている分散液は、例えば、析出法、レーザーアブレーション法等を用いて調製することができる。さらに、無機酸化物粒子が溶媒に分散されている分散液は、例えば、ストーバー法等を用いて調製することができる。
【0066】
本発明の粒子の粒径は、10〜100nmであることが好ましい。粒径が10nm未満であると、収率が低下することがあり、100nmを超えると、工業的な有用性が低下することがある。さらに、本発明の粒子の粒径は、単分散であることが好ましい。
【0067】
図1に、本発明で用いられる乾燥装置の第一例を示す。以下、図1の乾燥装置を用いて、乾燥したナノ粒子を得る方法について説明する。まず、供給口19を開け、溶媒置換タンク13内にナノ粒子が溶媒中に分散されている分散液を入れた後、供給口19を閉じ、スターラー15を用いて撹拌子16を回転させて分散液を攪拌する。次に、バルブ4及び7を開け、ボンベ3からポンプ1で加圧しながら二酸化炭素を供給すると共に、背圧弁11及びジャケット14を用いて、溶媒置換タンク13内を臨界圧力以上、臨界温度以上に保持する。これにより、溶媒置換タンク13内に、超臨界二酸化炭素が生成すると共に溶媒が気化する。次に、バルブ8及び9を開け、溶媒置換タンク13内が臨界圧力以上、臨界温度以上に保持されるように制御しながら、所定時間流通させる。このとき、超臨界二酸化炭素と気化した溶媒は、バルブ8及び背圧弁11を介して溶媒回収タンク17内に移動するが、恒温槽18を用いて、溶媒回収タンク17内を所定温度に保つことにより、超臨界二酸化炭素が気化して気液分離が行われる。なお、気化した二酸化炭素は、背圧弁12とバルブ9を介して系外に排出される。このようにして分散液の溶媒を超臨界二酸化炭素に置換した後、ポンプ1を停止させると共に、バルブ7を閉じ、背圧弁11及び背圧弁12により、溶剤置換タンク13内及び溶媒回収タンク17内を常圧に戻す。最後に、排出口20を開けると、乾燥したナノ粒子を採取することができる。なお、操作開始前は、全バルブ、供給口19及び排出口20は、閉じられている。
【0068】
図2に、本発明で用いられる乾燥装置の第二例を示す。以下、図2の乾燥装置を用いて、乾燥したナノ粒子を得る方法について説明する。まず、供給口19を開け、溶剤置換タンク13にナノ粒子が溶媒中に分散されている分散液を入れた後、供給口19を閉じ、スターラー15を用いて撹拌子16を回転させて分散液を攪拌する。次に、バルブ4、5及び7を開け、ポンプ1で加圧しながらボンベ3から二酸化炭素を供給すると共に、背圧弁11及びジャケット14を用いて、溶媒置換タンク13内を臨界圧力以上、臨界温度以上に保持する。これにより、溶媒置換タンク13内に、超臨界二酸化炭素が生成すると共に溶媒が気化する。次に、バルブ6、8及び10を開け、ポンプ2を作動させ、溶媒置換タンク13内が臨界圧力以上、臨界温度以上に保持されるように制御しながら、所定時間流通させる。このとき、超臨界二酸化炭素と気化した溶媒は、バルブ8及び背圧弁11を介して溶媒回収タンク17内に移動するが、恒温槽18を用いて、溶媒回収タンク17内を所定温度に保つことにより、超臨界二酸化炭素が気化して気液分離が行われる。なお、気化した二酸化炭素は、ポンプ2でボンベ3と同圧に加圧され、再使用される。このようにして分散液の溶媒を超臨界二酸化炭素に置換した後、ポンプ1及び2を停止させると共に、バルブ4、7及び10を閉じ、バルブ9を開け、背圧弁11及び背圧弁12により、溶媒置換タンク13内及び溶媒回収タンク17内を常圧に戻す。最後に、排出口20を開けると、乾燥したナノ粒子を採取することができる。なお、操作開始前は、全バルブ、供給口19及び排出口20は、閉じられている。
【0069】
本発明のトナーは、本発明の粒子及び結着樹脂を有し、必要に応じて、着色剤、離型剤、帯電制御剤、無機粒子、クリーニング性向上剤、磁性材料等の添加剤をさらに有してもよい。本発明の樹脂粒子及び無機酸化物粒子は、本発明のトナーの添加剤として用いることができる。このような樹脂粒子及び無機酸化物粒子は、凝集が抑制されているため、トナーの転写性を向上させることができる。また、本発明の有機顔料粒子及び着色無機酸化物粒子は、本発明のトナーの着色剤として用いることができる。このような有機顔料粒子及び着色無機酸化物粒子は、凝集が抑制されているため、特に複数色のトナーを重ねた場合、鮮鋭な色調の高画質画像を形成することができる。
【0070】
結着樹脂は、良好な低温定着性が得られることから、ポリエステル樹脂を含有することが好ましく、未変性ポリエステル樹脂(変性されていないポリエステル樹脂)を含有することがさらに好ましい。なお、ポリエステル樹脂の分子量、構成モノマー等は、目的に応じて適宜選択することができる。
【0071】
ポリエステル樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸を脱水縮合することにより得られるが、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルを付加することにより得られる2価のアルコール等が挙げられる。なお、ポリエステル樹脂を架橋させるためには、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等の3価以上のアルコールを併用することが好ましい。
【0072】
多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラキス(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、これらの無水物、部分低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0073】
本発明において、ポリエステル樹脂は、酸価が5〜40mgKOH/gであることが好ましく、10〜20mgKOH/gがさらに好ましい。酸価が5mgKOH/g未満であると、記録紙との親和性が低下するため、低温定着性が低下することがあり、また、負帯電性が得にくく、形成される画像が劣化することがある。また、酸価が40mgKOH/gを超えると、高温高湿、低温低湿下等の環境下において、環境の影響を受けやすくなって、画像が劣化することがある。
【0074】
また、ポリエステル樹脂は、トナーの定着性、耐オフセット性の点で、THFに可溶な成分の分子量分布において、分子量が3000〜50000の領域に少なくとも1つのピークを有することが好ましく、分子量5000〜20000の領域に少なくとも1つのピークを有することがさらに好ましい。さらに、ポリエステル樹脂のTHFに可溶な成分は、分子量が100000以下である成分の含有量が60〜100重量%であることが好ましい。
【0075】
また、結着樹脂は、ポリエステル樹脂以外の樹脂を含有してもよい。ポリエステル樹脂以外の樹脂としては、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等の単独重合体又は共重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0076】
結着樹脂は、トナーの保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が35〜80℃であることが好ましく、40〜75℃がさらに好ましい。Tgが35℃未満であると、高温雰囲気下でトナーが劣化しやすくなることがあり、さらに、定着時にオフセットが発生しやすくなることがある。また、Tgが80℃を超えると、定着性が低下することがある。
【0077】
着色剤としては、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロムバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン等が挙げられ、2種以上併用してもよい。
【0078】
トナー中の着色剤の含有量は、1〜15重量%であることが好ましく、3〜10重量%がさらに好ましい。この含有量が、1重量%未満であると、トナーの着色力が低下することがあり、15重量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
【0079】
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。このような樹脂としては、例えば、ポリエステル、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、2種以上併用してもよい。
【0080】
スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリビニルトルエン等が挙げられる。スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0081】
マスターバッチは、高せん断力をかけて、樹脂と着色剤を混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶媒と共に混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水及び有機溶媒を除去する方法である。混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置を用いることができる。
【0082】
帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、リンの単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系界面活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられ、2種以上併用してもよい。
【0083】
帯電制御剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩基等の官能基を有する高分子系の化合物等が挙げられる。
【0084】
トナー中の帯電制御剤の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、0.1〜10重量%であることが好ましく、0.2〜5重量%がさらに好ましい。この含有量が、0.1重量%未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10重量%を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像剤担持体との静電的吸引力が増大し、トナーの流動性の低下や画像濃度の低下を招くことがある。
【0085】
無機粒子は、トナーに流動性、現像性、帯電性等を付与するための外添剤として用いられる。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられ、2種以上併用してもよい。
【0086】
無機粒子は、一次粒径が5nm〜2μmであることが好ましく、5〜500nmがさらに好ましい。
【0087】
トナー中の無機粒子の含有量は、0.01〜5.0重量%であることが好ましく、0.01〜2.0重量%がさらに好ましい。
【0088】
また、無機粒子は、流動性向上剤で表面処理されていることが好ましい。これにより、無機粒子の疎水性が向上し、高湿度下においても流動性の低下や帯電性の低下を抑制することができる。流動性向上剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。シリカ、酸化チタンは、流動性向上剤で表面処理し、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして用いることが好ましい。
【0089】
クリーニング性向上剤は、転写後に静電潜像担持体や中間転写体に残留したトナーを除去しやすくするために用いられる。クリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリスチレン粒子等のソープフリー乳化重合により製造された樹脂粒子等が挙げられる。樹脂粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmであることが好ましい。
【0090】
磁性材料としては、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト等が挙げられる。なお、磁性材料は、トナーの色調の点から、白色のものが好ましい。
【0091】
本発明のトナーの製造方法としては、結着樹脂を添加剤と共に溶融混練した後に微粉砕する粉砕法、溶媒中でトナーを作製するケミカル法(例えば、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、転相乳化法等)等が挙げられる。
【0092】
懸濁重合法としては、モノマー中に添加剤と重合開始剤を分散させた分散液を、分散剤を含有する水系媒体中に懸濁させて油滴を形成させた後、昇温して液滴中の単量体を重合反応させる方法(例えば、日本画像学会誌43巻1号、33−39(2004)参照)が挙げられる。
【0093】
乳化重合凝集法としては、以下の方法が挙げられる。まず、界面活性剤を含有する水中で着色剤を分散させて着色剤分散液を調製する。一方、界面活性剤を含有する水中に、重合開始剤及びモノマーを加えて、乳化重合することにより樹脂エマルジョンを調製する。次に、着色剤分散液と樹脂エマルジョン、必要に応じて、その他の添加剤の分散液を混合する。さらに、pHを調整したり、凝集剤を添加したりすることにより、所望の粒径となるよう粒子同士を会合させて成長させた後、加熱撹拌することにより粒子同士を融着させる(例えば、特許第3141783号公報や日本画像学会誌43巻1号、40−47(2004)参照)。
【0094】
溶解懸濁法としては、結着樹脂を溶媒中に溶解させた溶液を水系媒体中に添加することにより懸濁液を調製する工程と、懸濁液から溶媒を除去する工程を有する方法が挙げられる(特開平7−152202号公報や日本画像学会誌43巻1号、48−53(2004)参照)。このとき、結着樹脂と共に、添加剤を溶媒中に溶解乃至分散させることができる。溶解懸濁法は、懸濁重合法、乳化重合凝集法とは異なり、適用することが可能な樹脂に汎用性があり、特に、透明性や定着後の画像部の平滑性が要求されるフルカラープロセスに有用なポリエステル樹脂を適用することができる。
【0095】
ポリエステル伸長法としては、ポリエステルプレポリマーを含むポリエステル樹脂を有機溶媒中に溶解させた溶液を、水性成分中で乳化凝集させて分散液を調製する工程と、分散液から有機溶媒を除去しながら架橋及び/又は伸長反応を行う工程を有する方法が挙げられる(日本画像学会誌43巻1号、54−59(2004)参照)。ポリエステル伸長法は、懸濁重合法、乳化重合凝集法とは異なり、ポリエステル樹脂を適用することができる。さらに、架橋及び/又は伸長反応を行うことにより、トナーの粘弾性を制御することができ、その結果、広い温度領域で定着させることができる。
【0096】
本発明の現像剤は、本発明のトナーを有するが、キャリア等の成分をさらに有してもよく、トナーからなる一成分現像剤、トナー及びキャリアからなる二成分現像剤等として用いることができる。このような現像剤は、磁性一成分現像法、非磁性一成分現像法、二成分現像法等の電子写真法に適用することができる。なお、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等には、寿命向上等の点で、二成分現像剤を用いることが好ましい。
【0097】
二成分現像剤中のキャリアの含有量は、90〜98重量%であることが好ましく、93〜97重量%がさらに好ましい。
【0098】
キャリアは、特に限定されないが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有することが好ましい。
【0099】
芯材の材料としては、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料等が挙げられ、二種以上併用してもよい。なお、画像濃度の確保の点では、芯材として、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料を用いることが好ましい。また、現像剤が穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき、高画質化に有利である点では、芯材として、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料を用いることが好ましい。
【0100】
芯材は、体積平均粒径(D50)が10〜150μmであることが好ましく、20〜80μmがさらに好ましい。D50が10μm未満であると、キャリアの粒径分布において、微粉が多くなるため、1粒子当たりの磁化が低下して、キャリアの飛散が生じることがある。一方、D50が150μmを超えると、キャリアの比表面積が低下して、トナーの飛散が生じることがある。その結果、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現性が低下することがある。
【0101】
樹脂層の材料としては、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体の共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体のターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0102】
アミノ系樹脂としては、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。ポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。また、ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体等が挙げられる。ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0103】
また、樹脂層は、必要に応じて、導電粉等を含有してもよい。導電粉の材料としては、例えば、金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられる。なお、導電粉は、平均粒径が1μm以下であることが好ましい。平均粒径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
【0104】
樹脂層は、例えば、シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布液を調製した後、公知の塗布方法により、芯材の表面に塗布液を塗布して、乾燥及び焼付を行うことにより形成することができる。塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法等が挙げられる。また、溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート等が挙げられる。さらに、焼付方法としては、外部加熱方式及び内部加熱方式のいずれであってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロ波を用いる方法等が挙げられる。
【0105】
キャリア中の樹脂層の含有量は、0.01〜5.0重量%が好ましい。この含有量が0.01重量%未満であると、芯材の表面に均一な樹脂層を形成できないことがあり、5.0重量%を超えると、樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生して、均一なキャリアが得られないことがある。
【0106】
本発明の現像剤収容容器は、本発明の現像剤が収容されているが、容器としては、特に限定されず、公知のものの中から適宜選択することができるが、容器本体とキャップを有するもの等が挙げられる。
【0107】
また、容器本体の大きさ、形状、構造、材質等は、特に限定されないが、形状は、円筒状等であることが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより、内容物である現像剤が排出口側に移行することが可能であり、スパイラル状の凹凸の一部又は全てが蛇腹機能を有することが特に好ましい。さらに、材質は、特に限定されないが、寸法精度がよいものであることが好ましく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
【0108】
現像剤収容容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れるため、後述するプロセスカートリッジ、画像形成装置等に着脱可能に取り付け、現像剤の補給に使用することができる。
【0109】
本発明のプロセスカートリッジは、画像形成装置の本体に着脱自在であり、静電潜像担持体と、本発明の現像剤を用いて、静電潜像担持体に担持された静電潜像を現像し、トナー像を形成する現像手段を有しており、必要に応じて、その他の手段をさらに有してもよい。
【0110】
現像手段は、本発明の現像剤収容容器と、現像剤収容容器内に収容された現像剤を担持して搬送する現像剤担持体を有することが好ましく、現像剤担持体に担持する現像剤の厚さを規制する規制部材等をさらに有してもよい。
【0111】
図3に、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す。プロセスカートリッジ700は、感光体ドラム701と、感光体ドラム701を帯電させるコロナ帯電器702と、本発明の現像剤を用いて、感光体ドラム701に担持された静電潜像を現像し、トナー像を形成する現像装置704と、トナー像を記録紙705に転写する転写帯電器708と、トナー像が転写された感光体ドラム701をクリーニングするクリーニング装置707を備えている。
【0112】
次に、プロセスカートリッジ700を用いて画像を形成する方法を説明する。感光体ドラム701は、矢印方向に回転しながら、コロナ帯電器702により表面が一様に帯電され、露光装置(不図示)による露光703により、表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。次に、現像装置704により静電潜像が現像されてトナー像が形成された後、転写帯電器708によりトナー像が記録紙705に転写され、プリントアウトされる。さらに、トナー像が転写された感光体ドラム701は、クリーニング装置707により表面がクリーニングされた後、除電装置(不図示)により表面が除電され、以上の操作が繰り返される。
【0113】
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像担持体に静電潜像を担持させる静電潜像形成手段と、本発明の現像剤を用いて、静電潜像担持体に担持された静電潜像を現像し、トナー像を形成する現像手段を有する。なお、本発明の画像形成装置は、必要に応じて、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段、トナー像が転写された静電潜像担持体を除電する除電手段、トナー像が転写された静電潜像担持体をクリーニングするクリーニング手段、クリーニング手段により除去されたトナーをリサイクルするリサイクル手段等を有してもよい。
【0114】
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体に静電潜像を担持させる静電潜像形成工程と、本発明の現像剤を用いて、静電潜像担持体に担持された静電潜像を現像し、トナー像を形成する現像工程を有する。なお、本発明の画像形成方法は、必要に応じて、トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着工程、トナー像が転写された静電潜像担持体を除電する除電工程、トナー像が転写された静電潜像担持体をクリーニングするクリーニング工程、クリーニング工程で除去されたトナーをリサイクルするリサイクル工程等を有してもよい。
【0115】
静電潜像形成工程は、光導電性絶縁体、感光体等の静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。静電潜像担持体の材質、形状、構造、大きさ等は、特に限定されず、公知のものの中から適宜選択することができるが、形状は、ドラム状であることが好ましい。また、感光体としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体等が挙げられる。
【0116】
静電潜像は、例えば、静電潜像形成手段を用いて、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより形成することができる。静電潜像形成手段は、例えば、静電潜像担持体の表面に電圧を印加して一様に帯電させる帯電手段と、静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光手段を少なくとも有する。
【0117】
帯電手段としては、特に限定されないが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器等を用いることができる。
【0118】
露光手段としては、帯電手段により帯電された静電潜像担持体の表面に形成すべき像様に露光することができれば、特に限定されないが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光装置を用いることができる。
【0119】
現像工程は、現像手段を用いて、静電潜像を現像し、トナー像を形成する工程である。現像手段は、本発明の現像剤を用いて現像することができれば、特に限定されないが、本発明の現像剤を収容し、静電潜像にトナーを接触又は非接触的に付与することが可能な現像装置であることが好ましく、本発明の現像剤収容容器を備えた現像装置が特に好ましい。
【0120】
現像装置は、単色用及び多色用のいずれであってもよく、例えば、本発明の現像剤を摩擦攪拌により帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラを有するもの等が挙げられる。現像装置内では、例えば、トナーとキャリアが混合攪拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、静電潜像担持体の近傍に配置されており、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって、静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、静電潜像が現像されて、静電潜像担持体の表面にトナー像が形成される。このとき、二成分現像剤の代わりに、一成分現像剤を用いてもよい。
【0121】
転写工程は、転写手段を用いて、トナー像が担持された静電潜像担持体を帯電することにより、トナー像を記録媒体に転写する工程である。このとき、転写工程は、トナー像を中間転写体上に転写する一次転写工程と、中間転写体上に転写されたトナー像を記録媒体上に転写する二次転写工程を有することが好ましい。また、転写工程は、二色以上のトナー、好ましくは、フルカラートナーを用いて、各色のトナー像を中間転写体上に転写して複合トナー像を形成する一次転写工程と、中間転写体上に形成された複合トナー像を記録媒体上に転写する二次転写工程を有することがさらに好ましい。
【0122】
転写手段は、トナー像を中間転写体上に転写して複合トナー像を形成する一次転写手段と、中間転写体上に形成された複合トナー像を記録媒体上に転写する二次転写手段を有することが好ましい。なお、中間転写体としては、特に限定されないが、例えば、無端状の転写ベルト等が挙げられる。また、転写手段(一次転写手段、二次転写手段)は、静電潜像担持体上に担持されたトナー像を記録媒体に転写させる転写器を少なくとも有することが好ましい。なお、転写手段は、1個又は2個以上の転写器を有することができる。
【0123】
転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写帯電器、転写ベルト、転写ローラー、圧力転写ローラー、粘着転写器等が挙げられる。
【0124】
なお、記録媒体としては、特に限定されず、公知の記録媒体の中から適宜選択することができる。
【0125】
定着工程は、定着手段を用いて、記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程である。なお、二色以上のトナーを用いる場合は、各色のトナーが記録媒体に転写される毎に定着させてもよいし、全色のトナーが記録媒体に転写されて積層された状態で定着させてもよい。定着手段としては、特に限定されず、公知の加熱加圧手段を用いることができる。加熱加圧手段としては、加熱ローラーと加圧ローラーを組み合わせたもの、加熱ローラーと加圧ローラーと無端ベルトを組み合わせたもの等が挙げられる。このとき、加熱温度は、通常、120〜200℃である。なお、必要に応じて、定着手段と共に、あるいは定着手段の代わりに、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0126】
除電工程は、除電手段を用いて、トナー像が転写された静電潜像担持体に除電バイアスを印加して除電する工程である。除電手段としては、静電潜像担持体に除電バイアスを印加することができれば、特に限定されないが、例えば、除電ランプ等を用いることができる。
【0127】
クリーニング工程は、クリーニング手段を用いて、トナー像が転写された静電潜像担持体をクリーニングする工程である。クリーニング手段としては、静電潜像担持体上に残留したトナーを除去することができれば、特に限定されないが、例えば、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー、ブラシクリーナー、ウエブクリーナー等を用いることができる。
【0128】
リサイクル工程は、リサイクル手段を用いて、クリーニング工程で除去されたトナーをリサイクルする工程である。リサイクル手段としては、トナーを現像手段に搬送することが可能であれば、特に限定されないが、公知の搬送手段等を用いることができる。
【0129】
図4に、本発明の画像形成装置の第一例を示す。画像形成装置800は、感光体ドラム810と、帯電ローラー820と、露光装置(不図示)と、現像装置840と、中間転写ベルト850と、クリーニングブレードを有するクリーニング装置860と、除電ランプ870を備えている。
【0130】
中間転写ベルト850は、無端ベルトであり、その内側に配置されている3個のローラー851で張架されており、矢印方向に移動することができる。3個のローラー851の一部は、中間転写ベルト850へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することが可能な転写ローラーとしても機能する。
【0131】
また、中間転写ベルト850の近傍には、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。さらに、記録紙895にトナー像を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加することが可能な転写ローラー880が中間転写ベルト850に対向して配置されている。
【0132】
また、中間転写ベルト850の周囲には、中間転写ベルト850上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器858が、中間転写ベルト850の回転方向において、感光体ドラム810と中間転写ベルト850の接触部と、中間転写ベルト850と記録紙895の接触部との間に配置されている。
【0133】
現像装置840は、現像剤担持体としての現像ベルト841と、現像ベルト841の周囲に併設されているブラック現像ユニット845K、イエロー現像ユニット845Y、マゼンタ現像ユニット845M及びシアン現像ユニット845Cから構成されている。なお、ブラック現像ユニット845Kは、現像剤収容部842Kと、現像剤供給ローラー843Kと、現像ローラー844Kを備えている。イエロー現像ユニット845Yは、現像剤収容部842Yと、現像剤供給ローラー843Yと、現像ローラー844Yを備えている。マゼンタ現像ユニット845Mは、現像剤収容部842Mと、現像剤供給ローラー843Mと、現像ローラー844Mを備えている。シアン現像ユニット845Cは、現像剤収容部842Cと、現像剤供給ローラー843Cと、現像ローラー844Cを備えている。また、現像ベルト841は、無端ベルトであり、複数のローラーにより回転可能に張架され、一部が感光体ドラム810と接触している。
【0134】
画像形成装置800では、帯電ローラー820により感光体ドラム810を一様に帯電させた後、露光装置(不図示)により露光光830を感光体ドラム810上に像様に露光し、静電潜像を形成する。次に、感光体ドラム810上に形成された静電潜像を、現像装置840から現像剤を供給して現像してトナー像を形成した後、ローラー851から印加された転写バイアスにより、トナー像が中間転写ベルト850上に転写(一次転写)される。さらに、中間転写ベルト850上のトナー像は、コロナ帯電器858により電荷が付与された後、記録紙895上に転写(二次転写)される。なお、感光体ドラム810上に残留したトナー及び電荷は、それぞれクリーニング装置860及び除電ランプ870により除去される。
【0135】
図5に、本発明の画像形成装置の第二例を示す。画像形成装置900は、現像ベルト841を備えておらず、感光体ドラム810の周囲に、ブラック現像ユニット845K、イエロー現像ユニット845Y、マゼンタ現像ユニット845M及びシアン現像ユニット845Cが直接対向して配置されていること以外は、画像形成装置800と同様の構成である。
【0136】
図6に、本発明の画像形成装置の第三例を示す。画像形成装置1000は、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体1150と、給紙テーブル1200と、スキャナ1300と、原稿自動搬送装置(ADF)1400を備えている。
【0137】
複写装置本体1150には、無端ベルトである中間転写ベルト1050が中央部に設けられている。中間転写ベルト1050は、支持ローラー1014、1015及び1016に張架されており、矢印方向に回動することができる。
【0138】
支持ローラー1015の近傍には、中間転写ベルト1050上に残留したトナーを除去するためのクリーニング装置1017が配置されている。また、支持ローラー1014と支持ローラー1015により張架された中間転写ベルト1050の搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの4個の画像形成手段1018が並置されたタンデム型現像器1120が、中間転写ベルト1050に対向して配置されている。さらに、タンデム型現像器1120の近傍には、露光装置1021が配置されている。また、中間転写ベルト1050のタンデム型現像器1120が配置された側とは反対側には、二次転写装置1022が配置されている。二次転写装置1022は、一対のローラー1023に張架されている無端ベルトである二次転写ベルト1024からなり、二次転写ベルト1024上を搬送される記録紙と中間転写ベルト1050は、互いに接触することができる。さらに、二次転写装置1022の近傍には、定着装置1025が配置されている。定着装置1025は、無端ベルトである定着ベルト1026と、定着ベルト1026に押圧されて配置される加圧ローラー1027を備えている。なお、二次転写装置1022及び定着装置1025の近傍には、記録紙の両面に画像を形成する際に、記録紙を反転させるための反転装置1028が配置されている。
【0139】
次に、画像形成装置1000におけるフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)1400の原稿台1130上に原稿をセットするか、原稿自動搬送装置1400を開いてスキャナ1300のコンタクトガラス1032上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置1400を閉じる。次に、スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置1400に原稿をセットした場合は、原稿が搬送されてコンタクトガラス1032上へ移動された後で、コンタクトガラス1032上に原稿をセットした場合は、直ちに、スキャナ1300が駆動し、第1走行体1033及び第2走行体1034が走行する。このとき、第1走行体1033により、光源からの光が照射されると共に、原稿面からの反射光を第2走行体1034におけるミラーで反射し、結像レンズ1035を通して読み取りセンサ1036で受光される。これにより、カラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像情報が得られる。
【0140】
そして、各色の画像情報は、タンデム型現像器1120における各色の画像形成手段1018にそれぞれ伝達され、各色の画像形成手段1018において、各色のトナー像が形成される。図7に示すように、タンデム型現像器1120における各色の画像形成ユニット1018において、感光体ドラム1010は、帯電ローラー1160により、一様に帯電された後、露光装置1021により、各色の画像情報に基づいて露光光Lが露光されて各色の静電潜像を形成され、さらに、現像装置1061により、各色の現像剤を用いて静電潜像が現像されて各色のトナー像が形成される。このようにして形成されたイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナー像は、転写帯電器1062により、中間転写ベルト1050上に順次転写(一次転写)されると共に、重ね合わされて複合トナー像が形成される。なお、各色のトナー像が転写された感光体ドラム1010上に残留したトナーは、クリーニング装置1063により除去される。さらに、感光体ドラム1010上は、除電ランプ1064により除電される。
【0141】
給紙テーブル1200においては、給紙ローラー1142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク1143に多段に備える給紙カセット1144の1つから記録紙を繰り出し、分離ローラー1145で1枚ずつ分離して給紙路1146に送り出し、搬送ローラー1147で搬送して複写機本体1150内の給紙路1148に導き、レジストローラー1049に突き当てて止める。あるいは、手差しトレイ1054上の記録紙を繰り出し、分離ローラー1058で1枚ずつ分離して手差し給紙路1053に入れ、レジストローラー1049に突き当てて止める。なお、レジストローラー1049は、一般に接地して使用されるが、記録紙の紙粉除去のために、バイアスが印加された状態で使用してもよい。
【0142】
そして、中間転写ベルト1050上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラー1049を回転させ、中間転写ベルト1050と二次転写装置1022の間に記録紙を送り出し、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。なお、複合トナー像が転写された中間転写ベルト1050上に残留したトナーは、クリーニング装置1017により除去される。
【0143】
複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写装置1022により搬送されて、定着装置1025に送り出される。そして、定着装置1025において、定着ベルト1026及び加圧ローラー1027により、加熱加圧されて複合トナー像が記録紙上に定着される。その後、記録紙は、切換爪1055で切り換えて排出ローラー1056により排出され、排紙トレイ1057上にスタックされる。あるいは、切換爪1055で切り換えて反転装置1028により反転されて再び転写位置へと導かれて、裏面にも画像を形成した後、排出ローラー1056により排出され、排紙トレイ1057上にスタックされる。
【実施例】
【0144】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、「部」は、重量部を意味する。
【0145】
[高分子界面活性剤溶液1の調製]
1,1−ジハイドロパーフルオロオクチルアクリレート80gとバートレル XF(比重1.58)(三井・デュポンフロロケミカル社製)800mlを、撹拌装置と還流管を備えた3lのセパラブルフラスコに仕込み、80℃に昇温した湯浴中で撹拌しながら窒素ガスを30分間流した後、5gのメチルエチルケトン(MEK)に溶解させたV−65(2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))(和光純薬社製)0.5gを添加し、重合を開始させた。温度を保ちながら24時間反応を行い、高分子界面活性剤溶液1を得た。GPCを用いて、高分子界面活性剤の数平均分子量を求めたところ、98000であった。
【0146】
[高分子界面活性剤溶液2の調製]
N−プロピル−N−(β−アクリロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド80gとバートレル XF(比重1.58)(三井・デュポンフロロケミカル社製)800mlを、撹拌装置と還流管を備えた3lのセパラブルフラスコに仕込み、80℃に昇温した湯浴中で撹拌しながら窒素ガスを30分間流した後、3gのメチルエチルケトン(MEK)に溶解させたV−65(和光純薬社製)0.3gを添加し、重合を開始させた。温度を保ちながら15時間反応を行い、高分子界面活性剤溶液2を得た。GPCを用いて、高分子界面活性剤の数平均分子量を求めたところ、215000であった。
【0147】
[高分子界面活性剤溶液3の調製]
100mlのアンプル(ガラス製)に、1,1−ジハイドロパーフルオロオクチルアクリレート20g、V−65(和光純薬社製)0.1gを入れた後、アンプル内を窒素で置換し、アンプルを封じた。次に、80℃に加温し、温度を保ちながら12時間重合を行った。重合が終了した後、室温に冷却してアンプルを割り、生成した高分子界面活性剤をフッ素溶剤フロリナートFC−40(比重1.87)(住友3M社製)200ml中に溶解させ、高分子界面活性剤溶液3を得た。GPCを用いて、高分子界面活性剤の数平均分子量を求めたところ、826000であった。
【0148】
[高分子界面活性剤の数平均分子量の測定方法]
5mMのCFCOONaが溶解しているHFIP(ヘキサフルオロプロパノール)に、高分子界面活性剤の濃度が0.15重量%になるように高分子界面活性剤溶液を添加し、試料溶液を調製した。得られた試料用液を10μl注入し、温度40℃、流速0.2ml/分で、溶媒として、HFIPを用いて、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定し、単分散のポリスチレン標準試料を用いて作成した分子量校正曲線を用いて、高分子界面活性剤の数平均分子量を算出した。なお、測定装置及びカラムとしては、それぞれHLC−8220−GPC(東ソー社製)及びTSK−gel GMH HR−M(東ソー社製)を用いた。
【0149】
[ポリエステル樹脂1の合成]
温度計、攪拌機、冷却器及び窒素導入管の付いた反応槽中にビスフェノールAのPO付加物(水酸基価:320mgKOH/g)64部、ビスフェノールAのEO付加物(水酸基価:343mgKOH/g)544部、テレフタル酸123部及びジブチルスズオキサイド4部を入れ、230℃(常圧)で3時間反応した後、180℃まで冷却し、無水ドデセニルコハク酸296部を入れ、さらに10〜15mmHgの減圧下で、酸価が2mgKOH/g以下になるまで反応させた。次に、無水トリメリット酸20部を入れて、180℃(常圧)で2時間反応させ、ポリエステル樹脂1(Tg:48℃、数平均分子量:9000、重量平均分量:22000、酸価:10mgKOH/g、水酸基価:17mgKOH/g)を得た。
【0150】
[ポリエステル樹脂1の数平均分子量及び重量平均分子量の測定方法]
THF(テトラヒドロフラン)に、濃度が0.05〜0.6重量%になるようにポリエステル樹脂を溶解させ、試料溶液を調製した。得られた試料用液を0.1ml注入し、温度40℃、流速1.0ml/分で、溶媒として、THFを用いて、GPC測定し、得られた分子量分布から、単分散のポリスチレン標準試料から作成した分子量校正曲線を用いて、ポリエステル樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量を算出した。なお、測定装置及びカラムとしては、それぞれGPC−150C(ウォーターズ社製)及びKF801〜807(ショウデックス社製)を用いた。
【0151】
[実施例1]
8.8重量%のポリメタクリル酸メチル系架橋物(比重1.2)のエマルションのエポスター(r)MX030(日本触媒社製)40gにメタノール100ml加えて撹拌した後、5時間静置し、上澄みを除去した。ここに、全量が150mlとなるようメタノールを加えて撹拌した。
【0152】
図2の乾燥装置の供給口19を開け、溶媒置換タンク13(内容積200ml)に、得られた懸濁液40gを入れた後、供給口19を閉じ、スターラー15を用いて撹拌子16を回転させて分散液を攪拌した。次に、バルブ4、5及び7を開け、ポンプ1で加圧しながらボンベ3から純度99.5%の二酸化炭素(太田酸素社製)を供給すると共に、背圧弁11及びジャケット14を用いて、溶媒置換タンク13内を25MPa、80℃にした。これにより、溶媒置換タンク13内に、超臨界二酸化炭素が生成すると共に溶媒が気化した。さらに、バルブ6、8及び10を開け、ポンプ2を作動させ、溶媒置換タンク13内が25MPa、80℃を維持するように制御しながら、1時間流通させた(常圧下流量:1l/分)。このとき、超臨界二酸化炭素と気化した溶媒は、バルブ8及び背圧弁11を介して溶媒回収タンク17内に移動するが、恒温槽18を用いて、溶媒回収タンク17内を45〜50℃に保つことにより、超臨界二酸化炭素が気化して気液分離が行われた。次に、ポンプ1及び2を停止させると共に、バルブ4、7及び10を閉じ、バルブ9を開け、背圧弁11及び背圧弁12により、溶媒置換タンク13内及び溶媒回収タンク17内を2時間かけて常圧に戻した。なお、常圧に戻す際に、ジャケット14を用いて、溶媒置換タンク13内を80℃に保持した。最後に、排出口20を開け、樹脂粒子を得た。走査式パーティクルカウンターSMPSモデル3936L72を用いて、樹脂粒子の粒子径分布を測定したところ、平均粒子径は68nmであった。なお、操作開始前は、全バルブ、供給口19及び排出口20は、閉じられている。
【0153】
[実施例2]
溶媒置換タンク13(内容積200ml)に、得られた懸濁液40gと共に、1gの高分子界面活性剤溶液1を入れた(ポリメタクリル酸メチル系架橋物に対する高分子界面活性剤の重量比0.5%)以外は、実施例1と同様に、樹脂粒子を得た。走査式パーティクルカウンターSMPSモデル3936L72を用いて、樹脂粒子の粒子径分布を測定したところ、平均粒子径は46nmであった。
【0154】
[実施例3]
溶媒置換タンク13(内容積200ml)に、得られた懸濁液40gと共に、0.3gの高分子界面活性剤溶液1を入れた(ポリメタクリル酸メチル系架橋物に対する高分子界面活性剤の重量比0.15%)以外は、実施例1と同様に、樹脂粒子を得た。走査式パーティクルカウンターSMPSモデル3936L72を用いて、樹脂粒子の粒子径分布を測定したところ、平均粒子径は52nmであった。
【0155】
[実施例4]
溶媒置換タンク13(内容積200ml)に、得られた懸濁液40gと共に、1gの高分子界面活性剤溶液2を入れた(ポリメタクリル酸メチル系架橋物に対する高分子界面活性剤の重量比0.5%)以外は、実施例1と同様に、樹脂粒子を得た。走査式パーティクルカウンターSMPSモデル3936L72を用いて、樹脂粒子の粒子径分布を測定したところ、平均粒子径は41nmであった。
【0156】
[実施例5]
溶媒置換タンク13(内容積200ml)に、得られた懸濁液40gと共に、1gの高分子界面活性剤溶液3を入れた(ポリメタクリル酸メチル系架橋物に対する高分子界面活性剤の重量比0.5%)以外は、実施例1と同様に、樹脂粒子を得た。走査式パーティクルカウンターSMPSモデル3936L72を用いて、樹脂粒子の粒子径分布を測定したところ、平均粒子径は40nmであった。
【0157】
[実施例6]
N−メチル−2−ピロリドン80ml中にジメチルキナクリドン0.12gを入れ、190℃に加熱して溶解させ、有機顔料溶液を得た。80℃に放冷した有機顔料溶液を、ホモミキサーで撹拌している蒸留水800mlの中に、100ml/分の速度で送液した。送液後5分間に、再沈した有機顔料粒子を吸引濾過し、有機顔料粒子の含水ケーキを分離した。得られた含水ケーキにメタノール100mlを加えて攪拌した。
【0158】
溶媒置換タンク13(内容積200ml)に、得られた懸濁液40gを入れた以外は、実施例1と同様に、有機顔料粒子を得た。走査式パーティクルカウンターSMPSモデル3936L72を用いて、有機顔料粒子の粒子径分布を測定したところ、平均粒子径は38nmであった。
【0159】
[実施例7]
N−メチル−2−ピロリドン80ml中にβ−銅フタロシアニン0.12gを入れ、190℃に加熱して溶解させ有機顔料溶液を得た。80℃に放冷した有機顔料溶液を、ホモミキサーで撹拌している蒸留水800mlの中に、100ml/分の速度で送液した。
送液後5分間に、再沈した有機顔料粒子を吸引濾過し、有機顔料粒子の含水ケーキを分離した。得られた含水ケーキにメタノール100mlを加えて攪拌した後、オクチルトリメトキシシランを0.4g加えて充分に混合し、50℃に加温しながら2時間撹拌し、シランカップリング剤で処理した。
【0160】
溶媒置換タンク13(内容積200ml)に、得られた懸濁液40gを入れた以外は、実施例1と同様に、有機顔料粒子を得た。走査式パーティクルカウンターSMPSモデル3936L72を用いて、有機顔料粒子の粒子径分布を測定したところ、平均粒子径は16nmであった。
【0161】
[実施例8]
高純度コロイダルシリカPL−1(扶桑化学工業社製)40gにメタノール100mlを加えて撹拌した後、5時間静置し、上澄みを除去した。ここに、全量が150mlとなるようメタノールを加えて撹拌した。
【0162】
溶媒置換タンク13(内容積200ml)に、得られた懸濁液40gを入れた以外は、実施例1と同様に、無機酸化物粒子を得た。走査式パーティクルカウンターSMPSモデル3936L72を用いて、無機酸化物粒子の粒子径分布を測定したところ、平均粒子径は38nmであった。
【0163】
[実施例9]
高純度コロイダルシリカPL−1(扶桑化学工業社製)40gにメタノール100mlを加えて撹拌した後、5時間静置し、上澄みを除去した。ここに、全量が150mlとなるようメタノールを加えて撹拌した後、オクチルトリメトキシシランを0.4g加えて充分に混合し、50℃に加温しながら2時間撹拌し、シランカップリング剤で処理した。
【0164】
溶媒置換タンク13(内容積200ml)に、得られた懸濁液40gを入れた以外は、実施例1と同様に、無機酸化物粒子を得た。走査式パーティクルカウンターSMPSモデル3936L72を用いて、無機酸化物粒子の粒子径分布を測定したところ、平均粒子径は18nmであった。
【0165】
なお、図8に、常圧に戻した後の溶媒置換タンク13の内部の写真、図9に、無機酸化物粒子のSEM写真を示す。
【0166】
[実施例10]
5重量%TiCl水溶液100mlに10重量%NaCO水溶液約12mlを加えた後、pHを1.2〜1.3に保持し、TiOハイドロゾルを合成した。得られたTiOハイドロゾルに、2重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液約30mlを加えて攪拌した後、水相から分離したTiOオルガノゾルを回収し、真空乾燥機を用いて、70℃で乾燥させた。得られたTiOオルガノゾルをトルエン中に分散させ、TiOオルガノゾルを10重量%含む分散液100mlとした後、メチルレッド0.5gを加えて30分間撹拌し、着色した。
【0167】
溶媒置換タンク13(内容積200ml)に、得られた懸濁液40gを入れた以外は、実施例1と同様に、着色無機酸化物粒子を得た。走査式パーティクルカウンターSMPSモデル3936L72を用いて、着色無機酸化物粒子の粒子径分布を測定したところ、平均粒子径は45nmであった。
【0168】
[実施例11]
5重量%TiCl水溶液100mlに10重量%NaCO水溶液約12mlを加えた後、pHを1.2〜1.3に保持し、TiOハイドロゾルを合成した。得られたTiOハイドロゾルに、2重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液約30mlを加えて攪拌した後、水相から分離したTiOオルガノゾルを回収し、真空乾燥機を用いて、70℃で乾燥させた。得られたTiOオルガノゾルをトルエン中に分散させ、TiOオルガノゾルを10重量%含む分散液100mlとした後、メチルレッド0.5gを加えて30分間撹拌し、着色した。さらに、オクチルトリメトキシシランを0.2g加えて充分に混合し、50℃に加温しながら2時間撹拌し、シランカップリング剤で処理した。
【0169】
溶媒置換タンク13(内容積200ml)に、得られた懸濁液40gを入れた以外は、実施例1と同様に、着色無機酸化物粒子を得た。走査式パーティクルカウンターSMPSモデル3936L72を用いて、着色無機酸化物粒子の粒子径分布を測定したところ、平均粒子径は18nmであった。
【0170】
[実施例12]
60部のポリエステル樹脂1及び黄色顔料リオノールイエローFGN−T(東洋インキ製造社製)40部を、3本ロールミルを用いて溶融混練した後、パルペライザーで1mm角以下に粉砕し、イエローマスターバッチを得た。次に、92.5部のポリエステル樹脂1、カルナウバワックス(融点:約82℃)3部、イエローマスターバッチ12.5部及び帯電制御剤E−84(オリエント化学工業社製)4部を、エクストルーダーを用いて溶融混練し、冷却した。さらに、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、ジェット粉砕機を用いて微粉砕した後、5〜15μmの粒径に分級することによりイエロートナーを得た。
【0171】
60部のポリエステル樹脂1及び赤色顔料リオノゲンマゼンタR(東洋インキ製造社製)40部を、3本ロールミルを用いて溶融混練した後、パルペライザーで1mm角以下に粉砕し、マゼンタマスターバッチを得た。次に、92.5部のポリエステル樹脂1、カルナウバワックス(融点:約82℃)3部、マゼンタマスターバッチ12.5部及び帯電制御剤E−84(オリエント化学工業社製)4部を、エクストルーダーを用いて溶融混練し、冷却した。さらに、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、ジェット粉砕機を用いて微粉砕した後、5〜15μmの粒径に分級することによりマゼンタトナーを得た。
【0172】
60部のポリエステル樹脂1及び青色顔料リオノールブルーFG−7351(東洋インキ製造社製)40部を、3本ロールミルを用いて溶融混練した後、パルペライザーで1mm角以下に粉砕し、シアンマスターバッチを得た。次に、97部のポリエステル樹脂1、カルナウバワックス(融点:約82℃)3部、シアンマスターバッチ5部及び帯電制御剤E−84(オリエント化学工業社製)4部を、エクストルーダーを用いて溶融混練し、冷却した。さらに、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、ジェット粉砕機を用いて微粉砕した後、5〜15μmの粒径に分級することによりシアントナーを得た。
【0173】
60部のポリエステル樹脂1及び黒色顔料カーボンブラック MA−8(三菱化学社製)40部を、3本ロールミルを用いて溶融混練した後、パルペライザーで1mm角以下に粉砕し、ブラックマスターバッチを得た。次に、94部のポリエステル樹脂1、カルナウバワックス(融点:約82℃)3部、ブラックマスターバッチ10部及び帯電制御剤E−84(オリエント化学工業社製)4部を、エクストルーダーを用いて溶融混練し、冷却した。さらに、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、ジェット粉砕機を用いて微粉砕した後、5〜15μmの粒径に分級することによりブラックトナーを得た。
【0174】
次に、得られた各色のトナー100部に対して、疎水性シリカHDK2000H(クラリアントジャパン製)0.2部及び実施例1で得られた樹脂粒子0.8部を、オースターブレンダーを用いて混合し、各色の現像剤を得た。
【0175】
IPSIO CX9000に各色の現像剤を入れて、A4サイズを99枚連続印字し、画像を評価したところ、99枚の中での画像の変化も無く、良好な画像が得られた。また、30℃、80%RHの環境で印字したが、特に画像の変化は観察されなかった。さらに、0.25ポイントのラインを用いた格子パターンの画像を印字し、25倍のルーペで交点及びその周囲を観察したが、ボイドは観察されなかった。
【0176】
また、YMC及び二次色30mm×30mmのベタ画像パターンを印字し、X−Rite938分光測色濃度計で色特性を評価したところ、表1に示す結果が得られた。
【0177】
【表1】

なお、評価条件は、光源がD50、視野角が2°、アパーチャー径が8mmである。
【0178】
[実施例13]
実施例1で得られた樹脂粒子の代わりに、実施例2で得られた樹脂粒子を用いた以外は、実施例11と同様にして、各色の現像剤を得た。
【0179】
IPSIO CX9000に各色の現像剤を入れて、A4サイズを99枚連続印字し、画像を評価したところ、99枚の中での画像の変化も無く、良好な画像が得られた。また、30℃、80%RHの環境で印字したが、特に画像の変化は観察されなかった。さらに、0.25ポイントのラインを用いた格子パターンの画像を印字し、25倍のルーペで交点及びその周囲を観察したが、ボイドは観察されなかった。
【0180】
[実施例14]
実施例1で得られた樹脂粒子の代わりに、実施例4で得られた樹脂粒子を用いた以外は、実施例11と同様にして、各色の現像剤を得た。
【0181】
IPSIO CX9000に各色の現像剤を入れて、A4サイズを99枚連続印字し、画像を評価したところ、99枚の中での画像の変化も無く、良好な画像が得られた。また、30℃、80%RHの環境で印字したが、特に画像の変化は観察されなかった。さらに、0.25ポイントのラインを用いた格子パターンの画像を印字し、25倍のルーペで交点及びその周囲を観察したが、ボイドは観察されなかった。
【0182】
[実施例15]
実施例1で得られた樹脂粒子の代わりに、実施例5で得られた樹脂粒子を用いた以外は、実施例11と同様にして、各色の現像剤を得た。
【0183】
IPSIO CX9000に各色の現像剤を入れて、A4サイズを99枚連続印字し、画像を評価したところ、99枚の中での画像の変化も無く、良好な画像が得られた。また、30℃、80%RHの環境で印字したが、特に画像の変化は観察されなかった。さらに、0.25ポイントのラインを用いた格子パターンの画像を印字し、25倍のルーペで交点及びその周囲を観察したが、ボイドは観察されなかった。
【0184】
[実施例16]
実施例1で得られた樹脂粒子の代わりに、実施例8で得られた無機酸化物粒子を用いた以外は、実施例11と同様にして、各色の現像剤を得た。
【0185】
IPSIO CX9000に各色の現像剤を入れて、A4サイズを99枚連続印字し、画像を評価したところ、99枚の中での画像の変化も無く、良好な画像が得られた。また、30℃、80%RHの環境で印字したが、特に画像の変化は観察されなかった。さらに、0.25ポイントのラインを用いた格子パターンの画像を印字し、25倍のルーペで交点及びその周囲を観察したが、ボイドは観察されなかった。
【0186】
[実施例17]
実施例1で得られた樹脂粒子の代わりに、実施例9で得られた無機酸化物粒子を用いた以外は、実施例11と同様にして、各色の現像剤を得た。
【0187】
IPSIO CX9000に各色の現像剤を入れて、A4サイズを99枚連続印字し、画像を評価したところ、99枚の中での画像の変化も無く、良好な画像が得られた。また、30℃、80%RHの環境で印字したが、特に画像の変化は観察されなかった。さらに、0.25ポイントのラインを用いた格子パターンの画像を印字し、25倍のルーペで交点及びその周囲を観察したが、ボイドは観察されなかった。
【0188】
[実施例18]
100部のポリエステル樹脂1、カルナウバワックス(融点:約82℃)3部、実施例6で得られた有機顔料粒子5部及び帯電制御剤E−84(オリエント化学工業社製)4部を、エクストルーダーを用いて溶融混練し、冷却した。さらに、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、ジェット粉砕機を用いて微粉砕した後、5〜15μmの粒径に分級することによりマゼンタトナーを得た。
【0189】
得られたマゼンタトナーを用いた以外は、実施例11と同様にして、各色の現像剤を得た。
【0190】
IPSIO CX9000に各色の現像剤を入れて、A4サイズを99枚連続印字し、画像を評価したところ、99枚の中での画像の変化も無く、良好な画像が得られた。また、30℃、80%RHの環境で印字したが、特に画像の変化は観察されなかった。さらに、0.25ポイントのラインを用いた格子パターンの画像を印字し、25倍のルーペで交点及びその周囲を観察したが、ボイドは観察されなかった。
【0191】
また、YMC及び二次色30mm×30mmのベタ画像パターンを印字し、X−Rite938分光測色濃度計で色特性を評価したところ、表2に示す結果が得られた。
【0192】
【表2】

なお、評価条件は、光源がD50、視野角が2°、アパーチャー径が8mmである。
【0193】
[実施例19]
100部のポリエステル樹脂1、カルナウバワックス(融点:約82℃)3部、実施例6で得られた有機顔料粒子2部及び帯電制御剤E−84(オリエント化学工業社製)4部を、エクストルーダーを用いて溶融混練し、冷却した。さらに、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、ジェット粉砕機を用いて微粉砕した後、5〜15μmの粒径に分級することによりシアントナーを得た。
【0194】
得られたシアントナーを用いた以外は、実施例11と同様にして、各色の現像剤を得た。
【0195】
IPSIO CX9000に各色の現像剤を入れて、A4サイズを99枚連続印字し、画像を評価したところ、99枚の中での画像の変化も無く、良好な画像が得られた。また、30℃、80%RHの環境で印字したが、特に画像の変化は観察されなかった。さらに、0.25ポイントのラインを用いた格子パターンの画像を印字し、25倍のルーペで交点及びその周囲を観察したが、ボイドは観察されなかった。
【0196】
また、YMC及び二次色30mm×30mmのベタ画像パターンを印字し、X−Rite938分光測色濃度計で色特性を評価したところ、表3に示す結果が得られた。
【0197】
【表3】

なお、評価条件は、光源がD50、視野角が2°、アパーチャー径が8mmである。
【0198】
[実施例20]
100部のポリエステル樹脂1、カルナウバワックス(融点:約82℃)3部、実施例10で得られた着色無機酸化物粒子5部及び帯電制御剤E−84(オリエント化学工業社製)4部を、エクストルーダーを用いて溶融混練し、冷却した。さらに、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、ジェット粉砕機を用いて微粉砕した後、5〜15μmの粒径に分級することによりマゼンタトナーを得た。
【0199】
得られたマゼンタトナーを用いた以外は、実施例11と同様にして、各色の現像剤を得た。
【0200】
IPSIO CX9000に各色の現像剤を入れて、A4サイズを99枚連続印字し、画像を評価したところ、99枚の中での画像の変化も無く、良好な画像が得られた。また、30℃、80%RHの環境で印字したが、特に画像の変化は観察されなかった。さらに、0.25ポイントのラインを用いた格子パターンの画像を印字し、25倍のルーペで交点及びその周囲を観察したが、ボイドは観察されなかった。
【0201】
また、YMC及び二次色30mm×30mmのベタ画像パターンを印字し、X−Rite938分光測色濃度計で色特性を評価したところ、表4に示す結果が得られた。
【0202】
【表4】

なお、評価条件は、光源がD50、視野角が2°、アパーチャー径が8mmである。
【0203】
[実施例21]
100部のポリエステル樹脂1、カルナウバワックス(融点:約82℃)3部、実施例11で得られた着色無機酸化物粒子5部及び帯電制御剤E−84(オリエント化学工業社製)4部を、エクストルーダーを用いて溶融混練し、冷却した。さらに、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、ジェット粉砕機を用いて微粉砕した後、5〜15μmの粒径に分級することによりマゼンタトナーを得た。
【0204】
得られたマゼンタトナーを用いた以外は、実施例11と同様にして、各色の現像剤を得た。
【0205】
IPSIO CX9000に各色の現像剤を入れて、A4サイズを99枚連続印字し、画像を評価したところ、99枚の中での画像の変化も無く、良好な画像が得られた。また、30℃、80%RHの環境で印字したが、特に画像の変化は観察されなかった。さらに、0.25ポイントのラインを用いた格子パターンの画像を印字し、25倍のルーペで交点及びその周囲を観察したが、ボイドは観察されなかった。
【0206】
また、YMC及び二次色30mm×30mmのベタ画像パターンを印字し、X−Rite938分光測色濃度計で色特性を評価したところ、表5に示す結果が得られた。
【0207】
【表5】

なお、評価条件は、光源がD50、視野角が2°、アパーチャー径が8mmである。
【0208】
以上のことから、実施例1〜11では、工業的に有用な乾燥したナノ粒子、具体的には、樹脂粒子、有機顔料粒子、無機酸化物粒子、着色無機酸化物粒子が得られることがわかる。さらに、実施例12から21では、得られたナノ粒子をトナーに応用することにより、転写性が向上することや、マスターバッチを作製して顔料を微細化しなくても鮮鋭であると共に色再現域の広い良好な色特性が得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1】本発明で用いられる乾燥装置の第一例を示す図である。
【図2】本発明で用いられる乾燥装置の第二例を示す図である。
【図3】本発明のプロセスカートリッジの一例を示す図である。
【図4】本発明の画像形成装置の第一例を示す図である。
【図5】本発明の画像形成装置の第二例を示す図である。
【図6】本発明の画像形成装置の第三例を示す図である。
【図7】図6の画像形成装置の部分拡大図である。
【図8】実施例8における乾燥装置の溶媒置換タンクの内部の写真である。
【図9】実施例8で得られた無機酸化物粒子のSEM写真である。
【符号の説明】
【0210】
1、2 ポンプ
3 ボンベ
4、5、6、7、8、9、10 バルブ
11、12 背圧弁
13 溶媒置換タンク
14 ジャケット
15 スターラー
16 撹拌子
17 溶媒回収タンク
18 恒温槽
19 供給口
20 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子が溶媒中に分散されている分散液の該溶媒を超臨界流体に置換する工程と、
該超臨界流体を気化させる工程を有し、
該超臨界流体は、常温常圧で気体であることを特徴とする粒子の製造方法。
【請求項2】
前記溶媒中に分散されている粒子の粒径は、10nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の粒子の製造方法。
【請求項3】
前記超臨界流体を気化させる際の温度は、臨界温度以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子の製造方法。
【請求項4】
前記超臨界流体は、二酸化炭素であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
【請求項5】
前記溶媒中に分散されている粒子は、樹脂粒子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
【請求項6】
前記分散液は、高分子界面活性剤をさらに含有することを特徴とする請求項5に記載の粒子の製造方法。
【請求項7】
前記高分子界面活性剤は、数平均分子量が1万以上100万以下であることを特徴とする請求項6に記載の粒子の製造方法。
【請求項8】
前記高分子界面活性剤は、一般式
【化1】

(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、メチレン基又はエチレン基であり、Rfは、炭素数が7以上10以下のパーフルオロアルキル基である。)
で表される構成単位を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の粒子の製造方法。
【請求項9】
前記高分子界面活性剤は、一般式
【化2】

(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、メチレン基又はエチレン基であり、Rfは、炭素数が7以上10以下のパーフルオロアルキル基である。)
で表されるモノマーを単独重合又は共重合することにより得られることを特徴とする請求項8に記載の粒子の製造方法。
【請求項10】
前記樹脂粒子に対する前記高分子界面活性剤の重量比が0.1%以上10%以下であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
【請求項11】
前記溶媒中に分散されている粒子は、有機顔料粒子、無機酸化物粒子、又は染料若しくは顔料で着色されている無機酸化物粒子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
【請求項12】
前記溶媒中に分散されている粒子は、表面がシランカップリング剤で処理されていることを特徴とする請求項11に記載の粒子の製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の粒子の製造方法を用いて製造されていることを特徴とする粒子。
【請求項14】
請求項13に記載の粒子及び結着樹脂を有することを特徴とするトナー。
【請求項15】
請求項14に記載のトナーを有することを特徴とする現像剤。
【請求項16】
キャリアをさらに有することを特徴とする請求項15に記載の現像剤。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の現像剤が収容されていることを特徴とする現像剤収容容器。
【請求項18】
請求項15又は16に記載の現像剤を用いて画像を形成する画像形成方法であって、
静電潜像担持体に静電潜像を担持させる工程と、
該現像剤を用いて、該静電潜像担持体に担持された静電潜像を現像する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項19】
請求項15又は16に記載の現像剤を用いて画像を形成する画像形成装置であって、
静電潜像担持体と、
該静電潜像担持体に静電潜像を担持させる手段と、
該現像剤を用いて、該静電潜像担持体に担持された静電潜像を現像する手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
画像形成装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、
少なくとも静電潜像担持体と、請求項15又は16に記載の現像剤を用いて、該静電潜像担持体に担持された静電潜像を現像する手段が一体化されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−160518(P2009−160518A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−564(P2008−564)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】