説明

粒子の顆粒化方法

本発明は、ヴュルステル装置の動作(図1)を使用して、均質な自由流動性、耐磨砕性の均一粒度をもつ顆粒を製造する粒子の顆粒化方法を含む。有効医薬成分と共に使用するとき、このような顆粒をさらに調節放出型または味隠蔽型の医薬配合物に加工できる。方法は特に、小児および高齢者のような錠剤を嚥下できない患者の疼痛および炎症を治療するエトリコキシブの経口顆粒配合物を製造するために使用できる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヴュルステル(Wruster)装置の動作は物質にコーティング層を設けるために製薬業界で常用の処理方法である。ヴュルステル装置は分配プレートの上方の2つの同心シリンダー、インサートおよびアニュラスから構成されている。コートされる固体をアニュラスに充填する。送風を開始すると、固体が空気圧によってアニュラスから仕切ギャップを通過しインサート内部に搬送される。コーティング溶液は分配プレートのノズルから噴霧されインサート内部の流動固体をコートする。固体は噴流ゾーンでモーメントを失ってアニュラスに戻り、アニュラス内部を下降してインサートに戻る。付着したコートは主としてインサートおよび噴流ゾーンで乾燥する。所望のコート重量が得られるまで循環を継続する。
【0002】
本発明の目的はヴュルステル顆粒化方法である。この方法は、物質移動限界以上で動作するヴュルステル装置を使用する医薬成分の顆粒化方法である。本発明はまた、味隠蔽または調節放出API配合物を調製するためにヴュルステル顆粒化方法を使用して顆粒化およびコーティングを一段階で行う方法を含む。本発明はまた、ヴュルステル顆粒化方法を使用して異なる物理的特性の材料を顆粒化できる。例えば、ビーズ/凝塊/顆粒(平均300μm未満)を粉末(平均150μm未満)と共に顆粒化できる。
【0003】
ヴュルステル顆粒化方法は、慣用の高剪断流体床顆粒化方法に比べて顕著な利点を有している。慣用の顆粒化方法に比べて以下のような利点が挙げられる:
(1)ヴュルステル顆粒化方法においては、再循環によって顆粒化溶液が固体粒子に均一に分配され、その結果として均一で均質な顆粒化が得られる。高剪断流体床顆粒化方法においては顆粒化溶液が固体粒子に分配されるのは固体粒子が噴霧ゾーンに接触したときに限られている。その理由は、慣用の方法では全固体床に比べて噴霧ゾーンが狭いからである。さらに、ヴュルステル顆粒化方法の秩序的再循環プロセスに比べて慣用の方法の狭い噴霧ゾーンに対する固体粒子の接触は制御不能で無秩序である。従ってヴュルステル顆粒化方法は秩序的再循環によって均一な顆粒化特性を付与し、また、慣用の顆粒化方法に比べて顆粒化を十分に制御できる。
(2)均一な顆粒化は調節放出または味隠蔽テクノロジイのような特殊用途の顆粒の粒度分布をより精密に調節できる。
(3)ヴュルステル装置の動作では、味隠蔽および調節放出の用途でも1段階で処理できる。すなわち、同一ヴュルステル装置でコーティングを行うことによって顆粒化の後に味隠蔽または調節放出コートの一体化された工程が続く。
(4)ヴュルステル顆粒化では、化学工学原理を使用して顆粒化プロセスを数量化および大規模化できる。顆粒化キネティクスを熱/物質移動および流体力学特性に関連させるのが容易である。その理由は、ヴュルステル装置のコーティングプロセスにこれらの原理を応用することが既に証明されているからである。市販のヴュルステル装置の多数の開発規模インサートを利用すると幾何的大規模化に伴う問題が極めて小さい。
(5)ヴュルステル装置の動作では高速/衝撃条件下で顆粒が製造されるので、ヴュルステル顆粒化は高剪断/流体床乾燥法よりも良好な耐磨砕性をもつ顆粒を提供できる。
(6)ヴュルステル装置のアニュラス領域では高剪断/流体床顆粒化で観察される粘着の問題が存在しないので既存テクノロジイを使用して顆粒の粒度を容易にオンライン制御できる。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、均質な自由流動性、耐磨砕性の均一粒度をもつ顆粒を製造する粒子の顆粒化方法を含む。有効医薬成分と共に使用するとき、このような顆粒をさらに調節放出型または味隠蔽型の医薬配合物に加工できる。方法は特に、小児および高齢者のような錠剤を嚥下できない患者の疼痛および炎症を治療するエトリコキシブの経口顆粒配合物を製造するために使用できる。
【0005】
本発明は、
(a)出発領域から鉛直顆粒化管内を上昇する粒子に顆粒化溶液の液滴噴霧を与える非回転性空気圧運動と、
(b)前記管外部での下降運動および前記空気圧運動の出発領域に向う水平運動と、
を含む反復循環運動を粒子に行わせることによって粒子を顆粒化する方法であって、
前記方法が粒子の凝集を促進するために物質移動限界以上で行われる粒子の顆粒化方法を提供する。
【0006】
本発明の1つの実施態様は、粒子の一部または全部が有効医薬成分を含む上記方法を包含する。
【0007】
本発明の別の実施態様は有効医薬成分が抗炎症剤である上記方法を包含する。この実施態様には有効医薬成分がエトリコキシブである場合が含まれる。この実施態様にはまた、
エトリコキシブを含む粒子が微小球である場合が含まれる。
【0008】
本発明の別の実施態様は、製造された顆粒をさらに錠剤、カプセルまたは経口顆粒剤に加工する上記方法を包含する。
【0009】
本発明の別の実施態様は、製造した顆粒をさらに調節放出配合物に加工する上記方法を包含する。
【0010】
本発明の別の実施態様は、製造した顆粒をさらに経口顆粒配合物に加工する上記方法を包含する。この実施態様には、顆粒化溶液が、以下の成分:
(a)味隠蔽剤、
(b)甘味料、および、
(c)着香料
の少なくとも1種類と場合によっては結合剤とを含む場合が含まれる。
【0011】
別の実施態様では、味隠蔽剤が、ポリメタクリレート、ヒドロプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマーから成るグループから選択される。
【0012】
別の実施態様では、甘味料が糖およびアスパルテームから成るグループから選択される。
【0013】
別の実施態様では、着香料が人工チェリーフレーバーである。
【0014】
本発明の別の実施態様は、有効医薬成分を顆粒化の前に増量剤として機能する粒子にブレンドする上記方法を包含する。この実施態様には、増量剤として機能する粒子が、マンニトール、ラクトース、デンプンおよびリン酸カルシウムから成るグループから選択される場合が含まれる。
【0015】
別の実施態様で本発明は、有効医薬成分がエトリコキシブであり、エトリコキシブ含有粒子を顆粒化の前にマンニトールにブレンドし、顆粒化溶液がヒドロキシプロピルセルロース、人工チェリーフレーバーおよびアスパルテームを含む上記方法を包含する。この実施態様では最終製品の体積平均直径が約800μmである。本発明はまた、この方法によって製造された顆粒を含む医薬組成物を包含する。
【0016】
別の実施態様で本発明は、
(1)約1−約39重量/重量%の複数の被覆されたエトリコキシブ微小球と、
(2)約50重量/重量%のマンニトールと、
(3)約8重量/重量%のヒドロキシプロピルセルロース、約3重量/重量%の人工チェリーフレーバーおよび約1重量/重量%のアスパルテームを含むコーティングおよび結合用溶液とを含み、
(1)の微小球が、約19重量/重量%のエトリコキシブと、約46重量/重量%の蒸留モノグリセリド03−VFと、約12重量/重量%の磨砕Gelucire 50/13と、約9重量/重量%のEudragitRTMNE30Dと、約2重量/重量%のメトセルと、約12重量/重量%の微粉状タルク1538とを含み、残りの39重量/重量%までの複数の球状糖を含む経口顆粒医薬組成物を包含する。
【0017】
この実施態様には、
(A)約13重量/重量%の複数の被覆されたエトリコキシブ微小球および約26%の複数の球状糖、
(B)約16重量/重量%の複数の被覆されたエトリコキシブ微小球および約23%の複数の球状糖、
(C)約21重量/重量%の複数の被覆されたエトリコキシブ微小球および約18%の複数の球状糖、
(D)約26重量/重量%の複数の被覆されたエトリコキシブ微小球および約13%の複数の球状糖、
から成るグループから選択された上記の経口顆粒医薬組成物が包含される。
【0018】
“被覆されたエトリコキシブ微小球”という用語については調製実施例1に説明する。
【0019】
“非回転性”という用語は、2002年12月10日に付与された米国特許第6,492,024号に記載されているような粒子を回転対称パターンで流動させる乾燥運搬ガスの渦流を粒子に作用させないことを意味する。
【0020】
“API”は有効医薬成分を意味する。
【0021】
エトリコキシブはシクロオキシゲナーゼ−2の選択的インヒビターであり、多様な状態の疼痛および炎症の治療に有効である。エトリコキシブは市販されており、商品名ARCOXIA(Merck & Co.,Inc.)で販売されている。エトリコキシブは1999年1月19日に付与された米国特許第5,861,419号に教示されている。エトリコキシブの製造方法は2000年3月21日に付与された米国特許第6,040,319号に教示されている。エトリコキシブはMK−663という名称でも知られている。アプレピタントは市販されており、商品名EMEND(Merck & Co.,Inc.)で販売されている。アプレピタントはMK−869という名称でも知られている。
【0022】
“味隠蔽剤”という用語は、例えば、ポリメタクリレート(EUDRAGIT)、ヒドロプロピルメチルセルロース(HMPC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)およびビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー(PLASDONE)を意味する。
【0023】
“甘味料”という用語は例えば糖およびアスパルテームを意味する。
【0024】
“着香料”という用語は例えば人工チェリーフレーバーのような人工フレーバーを意味する。
【0025】
“増量剤”という用語は例えばマンニトール、ラクトース、デンプンおよびリン酸カルシウムを意味する。
【0026】
“結合剤”という用語は例えばヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を意味する。
【0027】
“顆粒化溶液”という用語は例えば上記に定義のような“結合剤”の水溶液を意味する。
【0028】
コーティング用途では、物質移動限界以下で方法を操作しなければならない。物質移動限界は、この限界以上で粒子の凝集が生じる操作条件と定義される。従って、物質移動限界以上の操作では粒子が凝集し易くなる。ヴュルステル顆粒化の動作は後述する。コーティング溶液は主として顆粒化溶液であり、結合剤含有または非含有である。物質移動限界は排気の相対湿度、排気の温度、アニュラス内の床温度によって特性決定され、流入空気の流速、流入空気の温度、流入空気の露点、顆粒化溶液の噴霧速度、噴霧化用空気の露点、噴霧化用空気の温度によって調節できる。従って、物質移動限界は平均的な技量の当業者が容易に決定でき、また後述の実施例で例示する。
【0029】
本発明は以下の用途に使用できる:
(1)APIを賦形剤と共に顆粒化して均質な自由流動性、耐磨砕性の均一粒度の顆粒を形成し、これをさらに加工して錠剤、カプセルおよび微粒子のような固体剤形にする。
(2)賦形剤を顆粒化して均質な自由流動性、耐磨砕性の均一粒度の顆粒を形成し、これをさらに加工して錠剤、カプセルおよび微粒子のような固体剤形にする。
(3)APIを顆粒化して薬物を富化した均質な自由流動性、耐磨砕性の均一粒度の顆粒を形成し、これをさらに加工して錠剤、カプセルおよび微粒子のような固体剤形にする。
(4)味隠蔽配合物または調節放出配合物を多段階でなく一段階で調製する。双方の用途で、初期段階は、ヴュルステルコーティング装置を物質移動限界以上で操作するAPIおよび/または賦形剤の顆粒化から成る。顆粒化後、同じヴュルステルコーティング装置を物質移動限界以下で操作することによって顆粒を味隠蔽層または拡散型調節放出コートで被覆する。
(5)高剪断流体床顆粒化法のような他の公知方法によって顆粒化することが難しい種々の粒度および形態の粒子を顆粒化する。
【0030】
本発明を以下の実施例でさらに説明する。
(調製実施例)
被覆されたエトリコキシブ微小球
被覆されたエトリコキシブ微小球は、1997年11月4日に付与された米国特許第5,683,720号および1998年12月15日に付与された米国特許第5,849,223号に記載された手順に従って調製する。これらの特許の記載内容全体が参照によって本発明に含まれるものとする。被覆されたエトリコキシブ微小球組成物は、
(1)約19重量/重量%のエトリコキシブと、約46重量/重量%の蒸留モノグリセリド03−VFと、約12重量/重量%の磨砕Gelucire 50/13と(液フラッシュ(liquiflash)加工の前にブレンド)、
(2)約9重量/重量%のEudragitRTMNE30Dと、約2重量/重量%のメトセルと、約12重量/重量%の微粉状タルク1538と(コーティング)と、
を含む。
【実施例1】
【0031】
粉末賦形剤によるAPI含有コアビーズの顆粒化(エトリコキシブ小児用配合物)
ヴュルステルインサートを備えたGlatt GPCG3GPCG3流体床カラムで顆粒化することによってエトリコキシブ経口顆粒の1.5kgのバッチが得られた。585gのエトリコキシブ味隠蔽微小球(体積平均直径237ミクロン)と742.5gのマンニトール(Pearlitol SD200)(体積平均直径137ミクロン)とを含有しているプレブレンドをカラムに充填し、流動させながら、8重量/重量%ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel LF)、2.5重量/重量%人工チェリーフレーバーおよび1重量/重量%アスパルテームの溶液をヴュルステルカラムの仕切セクションに下方から噴霧した。顆粒化の進行中の流入空気の流速は顆粒化中の粒子の適正流動パターンを確保するように変化させた。レーザー回折によって測定した最終製品の体積平均直径は799ミクロンであった。初期プレブレンドと最終顆粒とを走査電子顕微鏡で観察し、エトリコキシブ微小球とマンニトールとの凝集粒子の形成を確認した。最終粒度分布を図2に示す。
【実施例2】
【0032】
粉末賦形剤による賦形剤ビーズの顆粒化(種々の物理的特性値をもつ医薬成分の顆粒化)
Glatt GPCG3GPCG3およびGPCG15GPCG15流体床カラムで39%の球状糖(Non−pareil)と49.5%のマンニトールPearlitol(SD200)とを含有するそれぞれ1.5kgおよび10kgの顆粒が得られた。流体床にヴュルステルインサートを配備し、40−60メッシュ球状糖とマンニトール(Pearlitol SD200)(体積平均直径137ミクロン)とを含有しているプレブレンドを充填し、流動させながら、8重量/重量%ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel LF)、2.5重量/重量%人工チェリーフレーバーおよび1重量/重量%アスパルテームの溶液をヴュルステルカラムの仕切セクションに下方から噴霧した。顆粒化の進行中の流入空気の流速は顆粒化中の粒子の適正流動パターンを確保するように変化させた。レーザー回折によって測定した最終製品バッチの体積平均直径は750および800ミクロンであった。初期プレブレンドと最終顆粒とを走査電子顕微鏡で観察し、球状糖とマンニトールとの凝集粒子の形成を確認した。成分の経時的な団結および成長を示す粒度分布を図3に示す。
【実施例3】
【0033】
API含有ビーズ、賦形剤ビーズおよび粉末賦形剤の顆粒化(種々の物理的特性値をもつ医薬成分の顆粒化)
Glatt GPCG3GPCG3およびGPCG15GPCG15流体床カラムで13%のエトリコキシブ味隠蔽微小球と26%の球状糖(Non−pareil)と49.5%のマンニトール(Pearlitol SD200)とを含有するそれぞれ1.5kgおよび10kgの顆粒が得られた。流体床にヴュルステルインサートを配備し、エトリコキシブ微小球(体積平均直径237ミクロン)と40−60メッシュ球状糖とマンニトール(Pearlitol SD200)(体積平均直径137ミクロン)とを含有しているプレブレンドを充填し、流動させながら、8重量/重量%ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel LF)、2.5重量/重量%人工チェリーフレーバーおよび1重量/重量%アスパルテームの溶液をヴュルステルカラムの仕切セクションに下方から噴霧した。顆粒化の進行中の流入空気の流速は顆粒化中の粒子の適正流動パターンを確保するように変化させた。レーザー回折によって測定した最終製品のバッチの体積平均直径は750および850ミクロンであった。初期プレブレンドと最終顆粒とを走査電子顕微鏡で観察し、球状糖とマンニトールとの凝集粒子の形成を確認した。最終粒度分布を図4に示す。
【実施例4】
【0034】
賦形剤の顆粒化
Avicel PH101、ラクトース(含水)およびヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EXF)の2kgのバッチを、ヴュルステルインサートを配備したNiro MP1流体床カラムで顆粒化した。940gのAvicel PH101、940gのラクトース(含水)および120gのヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EXF)のプレブレンドをカラムに充填し、流動させながら、ヴュルステルカラムの仕切セクションに下方から純水を噴霧した。顆粒化の進行中の流入空気の流速は顆粒化中の粒子の適正流動パターンを確保するように変化させた。レーザー回折によって測定したバッチの体積平均直径は192ミクロンから290ミクロンに拡大していた。
【実施例5】
【0035】
APIの顆粒化による薬物富化顆粒の形成
アプレビタントAPIの1.5kgのバッチを、ヴュルステルインサートを配備したNiro MP1流体床カラムで顆粒化した。1500gのアプレピタントのプレブレンドをカラムに充填し、流動させながら、8重量/重量%ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EXF)溶液をヴュルステルカラムの仕切セクションに下方から噴霧した。顆粒化の進行中の流入空気の流速は顆粒化中の粒子の適正流動パターンを確保するように変化させた。レーザー回折によって測定したバッチの体積平均直径は201ミクロンから573ミクロンに拡大していた。初期プレブレンドと最終顆粒とを走査電子顕微鏡で観察し、アプレピタント薬の凝集粒子の形成を確認した。粒子の経時的な成長を示す粒度分布を図5に示す。
【実施例6】
【0036】
賦形剤の顆粒化
マンニトールSD200およびヒドロキシプロピルセルロース(Klucel LF)の0.5kgのバッチを、ヴュルステルインサートを配備したGlatt GPCG1GPCG1流体床カラムで顆粒化した。460gのマンニトールのプレブレンドをカラムに充填し、流動させながら、ヴュルステルカラムの仕切セクションに下方からHPC溶液を噴霧した。顆粒化の進行中の流入空気の流速は顆粒化中の粒子の適正流動パターンを確保するように変化させた。ふるい分析で測定したバッチの体積平均直径は137ミクロンから380ミクロンに拡大していた。
【0037】
結果
小児用エトリコキシブ配合物の製造には最初は頂上噴霧型流体床顆粒化方法が使用されていた。この方法では流体床カラムで流動しているプレブレンド粉末に結合剤溶液を上方から噴霧する。しかしながらこの方法では、微粉材料を高いパーセンテージで含有する最終顆粒が得られるので、製品バッチ全体の薬物分布が不均一である。微粉材料は顆粒化製品に取込まれることはできないので、頂上噴霧型顆粒化を使用して製造したバッチはブレンド均一規格を満たすことができなかった。ヴュルステル顆粒化はこの問題を解決する方法として導入された。頂上噴霧型顆粒化方法で製造したバッチは21−23%の微粉材料(すなわち<250ミクロン)を含有していたが、ヴュルステル顆粒化で製造したバッチは微粉材料を4%未満しか含有していなかった。小児用エトリコキシブ配合物のために開発された方法によって製造されたどのバッチもブレンド均一規格を満たしていた。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】ヴュルステル装置の動作の概略図
【図2】エトリコキシブ小児用配合物の粒度分布
【図3】成分の経時的団結および成長を示すプラセーボ小児用配合物の粒度分布
【図4】エトリコキシブ小児用低用量配合物の粒度分布
【図5】粒子の経時的成長を示すアプレピタントのヴュルステル顆粒化の粒度分布
【図6】頂上噴霧型顆粒化とヴュルステル顆粒化の粒度分布の比較

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)出発領域から鉛直顆粒化管内を上昇する粒子に顆粒化溶液の液滴噴霧を与える非回転性空気圧運動と、
(b)前記管外部での下降運動および前記空気圧運動の出発領域に向う水平運動と、
を含む反復循環運動を粒子に行わせることによって粒子を顆粒化する方法であって、
前記方法が粒子の凝集を促進するために物質移動限界以上で行われる粒子の顆粒化方法。
【請求項2】
粒子の一部または全部が有効医薬成分を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有効医薬成分が抗炎症剤である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
有効医薬成分がエトリコキシブである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
エトリコキシブを含む粒子が微小球である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
製造した顆粒をさらに錠剤、カプセルまたは経口顆粒剤に加工する請求項2に記載の方法。
【請求項7】
製造した顆粒をさらに調節放出配合物に加工する請求項2に記載の方法。
【請求項8】
製造した顆粒をさらに経口顆粒配合物に加工する請求項2に記載の方法。
【請求項9】
顆粒化溶液が、以下の成分:
(a)味隠蔽剤、
(b)甘味料、および、
(c)着香料
の少なくとも1種類と場合によっては結合剤とを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
味隠蔽剤が、ポリメタクリレート、ヒドロプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマーから成る群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
甘味料が糖およびアスパルテームから成る群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
着香料が人工チェリーフレーバーである請求項9に記載の方法。
【請求項13】
有効医薬成分を顆粒化の前に増量剤の機能をはたす粒子にブレンドする請求項2に記載の方法。
【請求項14】
増量剤として機能する粒子が、マンニトール、球状糖、ラクトース、デンプンおよびリン酸カルシウムから成る群から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
有効医薬成分がエトリコキシブであり、エトリコキシブ含有粒子を顆粒化の前にマンニトールにブレンドし、顆粒化溶液がヒドロキシプロピルセルロース、人工チェリーフレーバーおよびアスパルテームを含む請求項9に記載の方法。
【請求項16】
最終製品の体積平均直径が約800μmである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法によって製造された顆粒を含む医薬組成物。
【請求項18】
(1)約1−約39重量/重量%の複数の被覆されたエトリコキシブ微小球と、
(2)約50重量/重量%のマンニトールと、
(3)約8重量/重量%のヒドロキシプロピルセルロース、約3重量/重量%の人工チェリーフレーバーおよび約1重量/重量%のアスパルテームを含むコーテイングおよび結合用溶液を含み、
前記微小球が、約19重量/重量%のエトリコキシブと、約46重量/重量%の蒸留モノグリセリド03−VFと、約12重量/重量%の磨砕Gelucire 50/13と、約9重量/重量%のEudragitRTMNE30Dと、約2重量/重量%のメトセルと、約12重量/重量%の微粉状タルク1538とを含み、残りの39重量/重量%までが複数の球状糖を含む経口顆粒医薬組成物。
【請求項19】
(A)約13重量/重量%の複数の被覆されたエトリコキシブ微小球および約26%の複数の球状糖、
(B)約16重量/重量%の複数の被覆されたエトリコキシブ微小球および約23%の複数の球状糖、
(C)約21重量/重量%の複数の被覆されたエトリコキシブ微小球および約18%の複数の球状糖、
(D)約26重量/重量%の複数の被覆されたエトリコキシブ微小球および約13%の複数の球状糖、
から成る群から選択された請求項18に記載の経口顆粒医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−518942(P2008−518942A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539240(P2007−539240)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/039238
【国際公開番号】WO2006/052503
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】