説明

粒子状二酸化チタン

70nm超のメジアン体積粒子直径を有する粒子状二酸化チタン。二酸化チタンは、前駆体粒子を焼成することによって生成することができる。この二酸化チタンは、高められたUVA効力を有している。この粒子状二酸化チタンは、分散体を形成するのに用いることができる。この粒子状二酸化チタンまたは分散体は、ラベルのSPF値の少なくとも3分の1であるUVA保護を有する日焼け止め剤製品を生成するのに用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化チタン粒子およびその製造方法、それから作られた分散体、および特には最終用途製品における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化チタンは、紫外光の減衰剤(attenuator)として、広範な用途、例えば日焼け止め剤、有機樹脂、フィルムおよび被覆剤に用いられてきている。
【0003】
UVB輻射は皮膚ガンの有力な原因であるが、一方でUVA輻射は、主に早発性の皮膚老化の原因となることが知られている。現在では、ほとんど全ての商業的に入手可能な二酸化チタン製品は、UVB領域において主に減衰させる。これらの二酸化チタン製品は、幾らかのUVA減衰を与えることができるものの、多くの最終的な最終用途の日焼け止め剤製品は、必要とされる広いスペクトルのUV保護を得るために、無機UVA吸収剤、例えば酸化亜鉛および/または有機UVA吸収剤、例えばブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)を混合する必要がある。向上したUVA効力および高いUVA/UVB比を備えた日焼け止め剤製品に対する要求が、全ての日焼け止め剤製品が、ラベルのSPF値の少なくとも3分の1のUVA保護を有しなければならないという、新しい欧州連合の欧州委員会の要求事項によって、最近増大している。
【0004】
更に、種々の有機UV吸収剤の毒性および、ある種の有機UV吸収剤が有する無機日焼け止め剤への「黄変」効果に対する懸念のために、「無機のみ」の日焼け止め剤への要求が近年は増大してきている。また、酸化亜鉛の使用を制限する立法措置および、酸化亜鉛の比較的に低いUV減衰および/または透過性のために、酸化亜鉛への代替品への要求も高じてきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、効果的なUVB吸収性能を示すが、しかしながら、高いUVA効力をも有し、そして皮膚に適用された場合に許容できる美的感覚、例えば透明性および/または皮膚感触を有する粒子状二酸化チタンへの要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、我々はここに、前述の問題点の少なくとも1つを克服するか、または有意に低減させる、改善された二酸化チタンを発見した。
【0007】
従って、本発明は、70nm超のメジアン体積粒子直径を有する粒子状二酸化チタンを提供する。
【0008】
本発明は更に、9L/g/cm未満のE524、25〜50L/g/cmのE360、および0.5〜1.0のE360/E308比を有する粒子状二酸化チタンを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は更に、70nm超のメジアン体積粒子直径ならびに/あるいは9L/g/cm未満のE524、25〜50L/g/cmのE360、および0.5〜1.0のE360/E308比を有する粒子状二酸化チタンを含む分散体を提供する。
【0010】
本発明は更に、(i)40〜100nmの平均長さおよび/または3〜25nmの平均幅を有する前駆体二酸化チタン粒子を形成すること、ならびに(ii)この前駆体粒子を焼成すること、を含む、粒子状二酸化チタンの製造方法を提供する。
【0011】
本発明は更に、(i)(a)70nm超のメジアン体積粒子直径、および/または(b)9L/g/cm未満のE524、25〜50L/g/cmのE360、および0.5〜1.0のE360/E308比、を有する粒子状二酸化チタン、ならびに/あるいは、(ii)(a)70nm超のメジアン体積粒子直径および/または(b)9L/g/cm未満のE524、25〜50L/g/cmのE360、および0.5〜1.0のE360/E308比を有する粒子状二酸化チタンを含む分散体、ならびに/あるいは(iii)(a)40〜100nmの平均長さおよび/または3〜25nmの平均幅を有する前駆体二酸化チタン粒子を形成すること、ならびに(b)この前駆体粒子を焼成すること、によって製造された粒子状二酸化チタン、を含む日焼け止め剤製品を提供する。
【0012】
本発明による二酸化チタン粒子は、好ましくはアナターゼおよび/またはルチル結晶形を含んでいる。粒子中の二酸化チタンは、好適には、主成分としてルチルを、好ましくは70質量%超、より好ましくは80質量%超、特には90質量%超、そしてとりわけ95質量%超〜100質量%のルチルを含んでいる。
【0013】
これらの粒子は、標準的な手順によって、例えば塩化物法を用いて、または硫酸塩法によって、または適当なチタン化合物、例えばチタンオキシジクロリドまたは有機もしくは無機チタン酸塩の加水分解によって、あるいは酸化可能なチタン化合物の、例えば蒸気状態での酸化によって、調製することができる。
【0014】
1つの態様では、二酸化チタン粒子は、アルミニウム、クロム、コバルト、銅、ガリウム、鉄、鉛、マンガン、ニッケル、銀、スズ、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれたドーパント金属でドープされていてもよい。このドーパントは、好ましくは、クロム、コバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、銀およびバナジウムからなる群、より好ましくはマンガンおよびバナジウム、特にはマンガン、ならびにとりわけ2+および/または3+状態にあるマンガンから選ばれる。
【0015】
ドーピングは、当技術分野において知られている通常の方法によって行なうことができる。ドーピングは、好ましくは二酸化チタンおよび可溶性のドーパント錯体、例えば塩化マンガンもしくは酢酸マンガンの共沈殿によって得られる。あるいは、ドーピングは、ドーパント錯体、例えば硝酸マンガン、の存在下での、500℃超、そして通常は1000℃以下の温度でのチタン錯体の加熱による焼成技術によって行なうことができる。また、ドーパントは、チタン錯体およびドーパント錯体、例えば酢酸マンガン、を含む混合物を酸化することによって、例えば、この混合物をスプレー噴霧器を通して酸化チャンバー中に噴霧することによって、加えることができる。
【0016】
ドープされた二酸化チタン粒子は、二酸化チタンの質量を基準として、好ましくは0.01〜3質量%、より好ましくは0.05〜2質量%、特には0.1〜1質量%、そしてとりわけ0.5〜0.7質量%の範囲のドーパント金属、好ましくはマンガンを含んでいる。
【0017】
1つの態様では、初期の、または前駆体の二酸化チタン粒子が、例えば、チタン化合物、特にはチタンオキシジクロリドの加水分解によって調製され、そしてこれらの前駆体粒子は、次いで、本発明によって二酸化チタン粒子を得るために、焼成プロセスに付される。
【0018】
前駆体二酸化チタン粒子は、好ましくは前述した通りのルチル含有量を含んでいる。更に、前駆体二酸化チタン粒子は、好ましくは、10質量%未満、より好ましくは5質量%未満、そして特には2質量%未満のアモルファス二酸化チタンを含んでいる。残りの二酸化チタン(すなわち、100%以下)は、結晶形である。前駆体粒子中の二酸化チタンは、好ましくは実質的に全てが結晶形である。
【0019】
個々の前駆体二酸化チタン粒子は、好適には針状の形状であり、そして長軸(最大寸法または長さ)および短軸(最小寸法または幅)を有している。これらの粒子の第3軸(または奥行き)は、好ましくは幅と概ね同じ寸法である。
【0020】
前駆体二酸化チタン粒子の数平均長さは、好適には40〜100nm、好ましくは45〜90nm、より好ましくは50〜80nm、特には55〜70nm、そしてとりわけ60〜65nmの範囲である。これらの粒子の数平均幅は、好適には3〜25nm、好ましくは6〜20nm、より好ましくは9〜18nm、特には12〜17nm、そしてとりわけ14〜16nmの範囲である。前駆体二酸化チタン粒子は、好ましくは2〜8:1、より好ましくは3〜6.5:1、特には4〜6:1、そしてとりわけ4.5〜5.5:1の範囲の平均アスペクト比d:d(dおよびdは、それぞれ粒子の長さと幅である)を有している。前駆体粒子の寸法は、ここに記載したように、透過型電子顕微鏡を用いて得た写真画像から選択した粒子(複数)の長さと幅を測定することによって定めることができる。
【0021】
前駆体二酸化チタン粒子は、好適には、5〜20nm、好ましくは6〜15nm、より好ましくは7〜12nm、特には8〜11nm、そしてとりわけ9〜10nmの範囲の平均結晶サイズ(ここで記載するようにX線回折によって測定された)を有している。
【0022】
前駆体二酸化チタン粒子の結晶サイズのサイズ分布は重要である可能性があり、そして好適には二酸化チタン粒子の少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも50質量%、特には少なくとも60質量%、そしてとりわけ少なくとも70質量%は、上記の平均結晶サイズの好ましい範囲の1つもしくは2つ以上の範囲内の結晶サイズを有している。
【0023】
前駆体二酸化チタン粒子は、好ましくは、450〜850℃、より好ましくは500〜800℃、特には550〜750℃、そしてとりわけ600〜700℃の範囲の温度で焼成される。前駆体二酸化チタン粒子は、好ましくは1〜15時間の範囲の時間に亘って焼成される。小規模または実験室規模の製造では、例えば20kg以下の量では、前駆体二酸化チタン粒子は、好ましくは1〜5時間、より好ましくは1.5〜4時間、そして特には2〜3時間焼成される。プラント規模の製造では、例えば20kg超の量では、前駆体二酸化チタン粒子は、好ましくは4〜15時間、より好ましくは4.5〜12時間、そして特には5〜9時間焼成される。
【0024】
前駆体二酸化チタン粒子は、焼成の前に、それらが5質量%未満の水を含むように乾燥することができるが、しかしながら1つの態様では、予備乾燥工程は用いられない。この態様では、焼成プロセスに付される前駆体粒子は、粒子と水の総質量を基準として、40〜75質量%、より好ましくは50〜70質量%、特には55〜65質量%の範囲、そして特には約60質量%の水を含んでいる。
【0025】
本発明の1つの態様では、二酸化チタン粒子は、無機および/または有機コーティングでコーティングされている。ドープされた二酸化チタン粒子はコーティングされなくてもよい、すなわち二酸化チタンとドーパントから本質的になっている。
【0026】
無機コーティングは、好ましくはアルミニウム、ジルコニウムもしくはケイ素の酸化物またはそれらの混合物、例えばアルミナおよびシリカである。無機コーティング、好適にはアルミナおよび/またはシリカの量は、二酸化チタンコア粒子の質量を基準として、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜10質量%、特には3〜6質量%、そしてとりわけ3〜4質量%の範囲である。
【0027】
本発明の1つの態様では、二酸化チタン粒子は疎水性である。二酸化チタンの疎水性は、二酸化チタン粉末のディスクをプレスして、そして、当技術分野で知られている標準的な技術により、その上に置かれた水滴の接触角を測定することによって定めることができる。疎水性二酸化チタンの接触角は、好ましくは50°超である。
【0028】
二酸化チタン粒子は、それらを疎水性にするために、コーティングすることができる。好適なコーティング材料は、撥水性の、好ましくは有機化合物であり、そして脂肪酸、好ましくは10〜20個の炭素原子を含む脂肪酸、例えばラウリン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸、上記の脂肪酸の塩、例えばナトリウム、カリウムおよび/またはアルミニウム塩、脂肪族アルコール、例えばステアリルアルコール、ならびにシリコーン、例えばポリジメチルシロキサン、および置換ポリジメチルシロキサン、および反応性シリコーン、例えばメチルヒドロシロキサンおよびそれらのポリマーおよびコポリマーが挙げられる。ステアリン酸および/またはその塩が、特に好ましい。通常は、これらの粒子は、二酸化チタンコア粒子の質量を基準として、20質量%以下、好適には1〜15質量%、より好ましくは2〜10質量%、特には3〜7質量%、そしてとりわけ4〜5質量%の範囲の有機材料、好ましくは脂肪酸で処理されている。
【0029】
本発明の1つの態様では、二酸化チタン粒子は、無機コーティング、好ましくはアルミナおよび/またはシリカ、ならびに有機コーティングの両方で、順次に、もしくは混合物としてのいずれかで、コーティングされる。無機コーティングが最初に適用され、次いで有機コーティング、好ましくは脂肪酸および/またはその塩であることが好ましい。従って、1つの態様では、二酸化チタン粒子は、これらの粒子の総質量を基準として、(i)80〜96質量%、より好ましくは85〜95質量%、特には88〜94質量%、そしてとりわけ91〜93質量%の範囲の二酸化チタン、(ii)1〜8質量%、より好ましくは1.5〜6質量%、特には2〜5質量%、そしてとりわけ2.5〜4質量%の範囲のアルミナおよび/またはシリカコーティング、ならびに(iii)2〜12質量%、より好ましくは2.5〜9質量%、特には3〜7質量%、そしてとりわけ3.5〜5質量%の有機コーティング、好ましくは脂肪酸および/またはその塩を含んでいる。
【0030】
二酸化チタン粒子は、いずれかの焼成工程の前に、または後にコーティングすることができる。好ましい態様では、いずれかのコーティングが焼成された粒子に適用される。従って、コーティングされていない前駆体二酸化チタン粒子が、ここに記載された焼成プロセスに付されることが好ましい。
【0031】
1つの態様では、二酸化チタン粒子は、本発明による分散体の形成の間に、その場でコーティングされる。そのようなコーティングは、コーティング材料を、ここに記載される粉砕プロセスの前に、分散体混合物に加えることによって適用することができる。その場でのコーティングプロセスに好適な材料の例としては、イソステアリン酸、オレス−3ホスファート、オクチル/デシルホスファート、セトレス−5ホスファート、PPG−5−セテス−10ホスファート、トリデセス−5ホスファート、ドバノールC12−C15ホスファート、C9−C15アルキルホスファート、三酢酸グリセリル、ラウリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリム、ココイルメチルタウリンナトリウム、およびそれらの混合物がある。イソステアリン酸は、1つの好ましいコーティング材料である。
【0032】
本発明による、個々の、好ましくは焼成された二酸化チタン粒子は、好適には1.0〜2.5:1、好ましくは1.2〜2.0:1、より好ましくは1.3〜1.8:1、特には1.4〜1.6:1、そしてとりわけ1.45〜1.55:1の範囲の平均アスペクト比d:d(ここでdとdは、それぞれ粒子の長さと幅である)を有している。二酸化チタン粒子の数平均長さは、好適には、30〜75nm、好ましくは36〜68nm、より好ましくは42〜62nm、特には47〜57nm、そしてとりわけ50〜54nmである。これらの粒子の数平均幅は、好適には20〜55nm、好ましくは25〜48nm、より好ましくは28〜42nm、特には31〜38nm、そしてとりわけ33〜36nmである。
【0033】
二酸化チタン粒子のサイズは、ここに記載したように、透過型電子顕微鏡を用いて得た写真画像から選択した粒子(複数)の長さと幅を測定することによって定めることができる。
【0034】
本発明による二酸化チタン粒子は、好適には15〜45nm、好ましくは20〜40nm、より好ましくは25〜35nm、特には28〜33nm、そしてとりわけ30〜31nmの範囲の平均結晶サイズ(ここに記載するようにX線回折によって測定された)を有している。
【0035】
二酸化チタン粒子の結晶サイズのサイズ分布は、特に重要である可能性があり、そして好適には、少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも50質量%、特には少なくとも60質量%、そしてとりわけ少なくとも70質量%、の二酸化チタン粒子は、上記の平均結晶サイズの好ましい範囲の1つもしくは2つ以上の範囲内の結晶サイズを有している。
【0036】
本発明による粒子状二酸化チタンは、自由流動粉末の形態であることができる。所望の粒子サイズを有する粉末は、当技術分野で知られている粉砕によって生成することができる。二酸化チタンの最終的な粉砕工程は、好適には凝集を低減するように乾燥した気中(gas-borne)条件で行なわれる。流体エネルギーミルを用いることができ、その中で凝集した二酸化チタン粉末は、密封されたチャンバー内で高度の乱流条件中に連続的に導入され、この中で、多様な、高エネルギーの衝突が、チャンバーの壁と、および/または凝集体間で起こる。粉砕された粉末は、次いで回収のために、サイクロンおよび/またはバッグフィルタ中に運ばれる。エネルギーミル中で用いられる流体は、低温もしくは加熱された、いずれかのガス、または過熱乾燥水蒸気であることができる。
【0037】
粒子状二酸化チタンは、いずれかの好適な水性もしくは有機液体媒質中の、スラリー、または好ましくは液体分散体として形成することができる。液体とは、周囲温度(例えば、25℃)で液体であることを意味しており、そして分散体とは、真の分散体を意味しており、すなわち固体粒子が凝集に対して安定である。この分散体中の粒子は、比較的に均一に分散しており、そして静置した時の沈降に耐性を示すが、しかしながら幾らかの沈降が起こった場合には、これらの粒子は単純な攪拌によって容易に再分散することができる。
【0038】
あるいは、粒子状二酸化チタンは、固体および/または半固体分散体のローションもしくはクリームの形態であることができる。好適な固体または半固体分散体は、例えば50〜90質量%、好ましくは60〜85質量%の粒子状二酸化チタンを、いずれかの1種もしくは2種以上のここに開示された液体媒質、あるいは高分子量ポリマー材料、例えばワックス、例えばグリセリルモノステアレートと共に、含むことができる。
【0039】
日焼け止め剤製品中での使用のために、液体媒質としては、美容的に許容し得る材料が好ましい。液体媒質は、水、または有機媒質、例えば、植物油、脂肪酸グリセリド、脂肪酸エステルおよび/または脂肪族アルコールなどの液体であることができる。1つの好適な有機媒質としては、シロキサン流体、特に環状オリゴマージアルキルシロキサン、例えばシクロメチコンとしても知られている、ジメチルシロキサンの環状五量体がある。代替の流体としては、好適な流動性を有するジメチルシロキサン直鎖状オリゴマーもしくはポリマー、およびフェニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(フェニルトリメチコンとしても知られている)が挙げられる。
【0040】
他の好適な有機媒質の例としては、非極性材料、例えば、C13〜C14イソパラフィン、イソヘキサデカン、鉱物油(ミネラルオイル)、スクアラン、スクアレン、水素化ポリイソブテン、およびポリデセン;ならびに極性材料、例えばC12〜C15アルキルベンゾエート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、イソノナン酸セテアリル、イソステアリン酸エチルヘキシル、パルミチン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソステアリル、オクチルドデカノール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、PPG−15ステアリルエーテル、トリエチルへキシルトリグリセリド、炭酸ジカプリリル、ステアリン酸エチルヘキシル、ヒマワリ(helianthus annus)種油、パルミチン酸イソプロピル、およびネオペンタン酸オクチルドデシル、トリエチルヘキサノイン、ヤシ脂肪酸エチルヘキシル、イソステアリン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン、コハク酸ジエトキシエチル、エイコ酸カプリリル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、乳酸ラウリル、ステアリン酸ブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、オレイン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、テトラカプリル酸/テトラカプリン酸ペンタエリスリチル、オレイン酸オレイル、プロピレングリコールイソセテス−3アセテート、PPG−3ベンジルエーテルミリステート、エチルヘキサン酸セテアリル、ペラルゴン酸エチルヘキシル、PPG−2ミリスチルエーテルプロピオネート、C14〜C18アルキルエチルヘキサノエート、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0041】
また、本発明による分散体は、その性質を向上させるために、分散剤を含むことができる。この分散剤は、好適には、二酸化チタン粒子の総質量を基準として、1〜30質量%、好ましくは4〜20質量%、より好ましくは6〜15質量%、特には8〜12質量%、そしてとりわけ9〜11質量%の範囲で存在する。
【0042】
好適な分散剤としては、置換カルボン酸、石鹸基剤、およびポリヒドロキシ酸が挙げられる。典型的な分散剤は、式R・CO・AXを有するものであることができ、ここでAは二価の原子、例えばO、または二価の橋掛け基である。Xは、水素または金属カチオン、または第一級、第二級もしくは第三級アミノ基もしくはそれらの酸との塩、または第四級アンモニウム塩基であることができる。Rは、ポリエステル鎖の残基であることができ、これは−CO−基と共に、式HO−R'−COOHのヒドロキシカルボン酸から誘導される。典型的な分散剤の例としては、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸、水素化ひまし油脂肪酸を基にしたものがあり、水素化ひまし油脂肪酸は、12−ヒドロキシステアリン酸に加えて、少量のステアリン酸とパルミチン酸を含んでいる。ヒドロキシカルボン酸およびヒドロキシ基を含まないカルボン酸の、1種もしくは2種以上のポリエステルまたは塩を基にした分散剤もまた、用いることができる。種々の分子量の化合物を用いることができる。
【0043】
他の好適な分散剤としては、脂肪酸アルカノールアミドとカルボン酸のそれらのモノエステルおよびそれらの塩がある。好適なアルカノールアミドとしては、例えば、エタノールアミン、プロパノール愛民または亜モノエチルエタノールアミンを基にしたものが挙げられる。分散剤は、商業的にハイパー分散剤と称されているものの1つであることができる。ポリヒドロキシステアリン酸が、有機媒質中で、特に好ましい分散剤である。
【0044】
水性媒質中での使用に好適な分散剤としては、ポリマー性アクリル酸またはその塩が挙げられる。部分的にもしくは完全に中和された塩、例えばアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、が使用可能である。分散剤の例としては、ポリアクリル酸、置換アクリル酸ポリマー、アクリル酸共重合体、ポリアクリル酸のナトリウムおよび/またはアンモニウム塩ならびにアクリル酸共重合体のナトリウムおよび/またはアンモニウム塩がある。そのような分散剤は、ポリアクリル酸自体およびそのナトリウムもしくはアンモニウム塩、ならびにアクリル酸と他の好適なモノマー、例えばスルホン酸誘導体、例えば2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、との共重合体に類型化される。また、アクリル酸もしくは置換アクリル酸と重合可能なコモノマーは、カルボキシル基を含むものであることができる。通常は、水性媒質中で用いられる分散剤は、1000〜10000の範囲の分子量を有しており、そして好ましくは実質的に直鎖状の分子である。また、クエン酸ナトリウムなどの材料も、共分散剤として用いることができる。
【0045】
本発明の利点は、分散体の総質量を基準として、好適には少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも50質量%、特には少なくとも55質量%、とりわけ少なくとも60質量%、そして一般的には65質量%以下、の二酸化チタン粒子を含む分散体を、特に液体を、生成することができることである。
【0046】
本発明による粒子状二酸化チタンは、好ましくは焼成されており、分散体中に、ここで記載したように測定して、好適には70nm超、好ましくは85〜175nm、より好ましくは100〜160nm、特には115〜150nm、そしてとりわけ125〜140nmの範囲のメジアン体積粒子直径(これらの粒子の直径に対する体積%に関する累積分布曲線上で読み取った、全ての粒子の体積の50%に相当する相当球径−しばしば「D(v,0.5)」値と表される)を有している。
【0047】
また、二酸化チタン粒子のサイズ分布は、所望の性質を有する最終製品を得るために重要なパラメータである可能性がある。好ましい態様では、好適には二酸化チタン粒子の10体積%未満が、メジアン体積粒子直径よりも、40nm超、好ましくは35nm超、より好ましくは30nm超、特には25nm超、そしてとりわけ20nm超小さい体積直径を有している。更に、好適には二酸化チタン粒子の16体積%未満が、メジアン体積粒子直径よりも、35nm超、好ましくは30nm超、より好ましくは25nm超、特には20nm超、そしてとりわけ15nm超小さい体積直径を有している。更には、好適には二酸化チタン粒子の30体積%未満が、メジアン体積粒子直径よりも、25nm超、好ましくは20nm超、より好ましくは15nm超、特には11nm超、そしてとりわけ7nm超小さい体積直径を有している。
【0048】
また、好適には二酸化チタン粒子の90体積%超が、メジアン体積粒子直径よりも、110nm未満、好ましくは90nm未満、より好ましくは75nm未満、特には60nm未満、そしてとりわけ50nm未満大きい体積直径を有している。更に、好適には二酸化チタン粒子の84体積%超が、メジアン体積粒子直径よりも、75nm未満、好ましくは60nm未満、より好ましくは50nm未満、特には40nm未満、そしてとりわけ30nm未満大きい体積直径を有している。更には、好適には二酸化チタン粒子の70体積%超が、メジアン体積粒子直径よりも、35nm未満、好ましくは25nm未満、より好ましくは20nm未満、特には15nm未満、そしてとりわけ10nm未満大きい体積直径を有している。
【0049】
本発明による二酸化チタン粒子の分散体粒子サイズは、沈降分析に基づく技術によって測定することができる。メジアン体積粒子直径は、選択した粒子サイズ未満の粒子体積のパーセントを表す累積分布曲線をプロットして、そして50番目の百分位数を測定することによって定めることができる。二酸化チタン粒子のメジアン粒子体積直径および粒子サイズ分布は、二酸化チタン粒子の分散体を形成し、そしてBrookhaven粒径分析計用いることによって好適に測定することができ、その両方をここに説明する。
【0050】
二酸化チタン粒子は、ここに記載されるように測定された、20〜45、好ましくは22〜40、より好ましくは24〜35、特には26〜31、そしてとりわけ27〜29m−1の範囲のBET比表面積を好適には有している。
【0051】
本発明による二酸化チタン粒子は、ここに記載されたように測定された、9未満、好ましくは1〜8、より好ましくは3〜7、特には4〜6.5、そしてとりわけ5〜6L/g/cmの範囲の、524nmでの吸光係数(E524)を好適には有している。
【0052】
二酸化チタン粒子は、効果的なUV吸収を示し、ここに記載されたように測定された、20超、好ましくは25〜50、より好ましくは30〜46、特には33〜43、そしてとりわけ35〜40L/g/cmの範囲の、360nmでの吸光係数(E360)を好適には有している。また、二酸化チタン粒子は、ここに記載されたように測定された、30超、好ましくは35〜65、より好ましくは40〜58、特には45〜53、そしてとりわけ47〜50L/g/cmの範囲の、308nmでの吸光係数(E308)を好適には有している。
【0053】
二酸化チタン粒子は、ここに記載されたように測定された、30超、好ましくは37〜70、より好ましくは43〜60、特には47〜55、そしてとりわけ49〜53L/g/cmの範囲の、最大吸光係数(Emax)を好適には有している。
【0054】
二酸化チタン粒子は、ここに記載されたように測定された、305〜345、好ましくは310〜340、より好ましくは315〜335、特には320〜330、そしてとりわけ325〜327L/g/cmの範囲の、λ(max)を好適には有している。
【0055】
1つの態様では、二酸化チタン粒子は、3.5超、好ましくは4.5〜12、より好ましくは5〜9、特には5.5〜6.5、そしてとりわけ5.8〜6.2の範囲のE360/E524比を好適には有している。
【0056】
二酸化チタン粒子は、4超、好ましくは5〜15、より好ましくは6〜12、特には7〜9、そしてとりわけ7.5〜8.5の範囲のE308/E524比を好適には有している。
【0057】
二酸化チタン粒子は、0.5〜1.0、好ましくは0.6〜0.95、より好ましくは0.65〜0.9、特には0.7〜0.85、そしてとりわけ0.75〜0.8の範囲のE360/E308比を好適には有している。
【0058】
本発明の1つの特徴は、二酸化チタン粒子が、有意に低減された光活性を有することができ、ここで記載したように測定して、5未満、好ましくは0.05〜3、より好ましくは0.1〜1、特には0.2〜0.5、そしてとりわけ0.25〜0.35の範囲のフォトグレイイング指数(photogreying index)を好適には有している。
【0059】
二酸化チタン粒子は、ここで記載したように測定して、30未満、好ましくは1〜25、より好ましく5〜20、特には10〜17、そしてとりわけ12〜15の範囲の、これらの粒子を含む日焼け止め剤製品の白色度ΔLにおける変化を好適には示す。
【0060】
本発明による二酸化チタン粒子を含む組成物、好ましくは最終用途の日焼け止め剤製品は、その組成物の総質量を基準として、好ましくは、0.5質量%超、より好ましくは1〜25質量%、特には3〜20質量%、そしてとりわけ5〜15質量%のここに記載した二酸化チタン粒子を含んでいる。
【0061】
本発明によるそのような組成物は、好ましくは、(i)ここで記載したように測定して、10超、好ましくは15超、より好ましくは20超、特に好ましくは25超、そしてとりわけ30超、そして通常は60以下の太陽光線保護指数(SPF)、ならびに/あるいは(ii)ここで記載したように測定して、3超、好ましくは5超、より好ましくは7超、特に9超、そしてとりわけ10超、そして通常は20以下の、UVA保護指数(UVA PF)を有している。
【0062】
この組成物は、6未満、好ましくは1〜5、より好ましくは1.5〜4、特に2〜3.5、そしてとりわけ2.5〜3の範囲の(SPF/UVA PF)比を好適には有している。
【0063】
本発明の特に驚くべき特徴は、前述のSPF、UVA PF、および/または(SPF/UVA PF)比の値は、ここに記載した二酸化チタンが、本組成物中に存在する本質的に唯一の紫外線減衰剤である場合に、得ることができることである。「本質的に」とは、本組成物の総質量を基準として、いずれかの他の無機および/または有機UV吸収剤が、3質量%未満、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、特には0.5質量%未満、そしてとりわけ0.1質量%未満であることを意味している。
【0064】
本発明の二酸化チタン粒子および分散体は、特に水中油もしくは油中水エマルジョンの形態の、日焼け止め剤組成物を調製するための成分として有用である。本組成物は、意図した用途における使用に好適な慣用の添加剤、例えば日焼け止め剤中に用いられる慣用の化粧用の成分を更に含むことができる。上記のように、ここに規定した粒子状二酸化チタンは、存在する唯一の紫外線減衰剤であることができるが、しかしながら他の日焼け止め剤、例えば他の二酸化チタン、酸化亜鉛および/または他の有機UV吸収剤もまた加えることができる。例えば、ここに規定された二酸化チタン粒子は、他の存在する商業的に入手可能な二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛日焼け止め剤と組み合わせて用いることができる。
【0065】
本発明の二酸化チタン粒子および分散体は、有機UV吸収剤、例えば、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)、ベンゾフェノン−3(オキシベンゾン)、4−メチルベンジリデンカンファー(エンザカメン)、ベンゾフェノン−4(スルイソベンゾン)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(ベモトリジノール)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルへキシルベンゾエート、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、二ナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホナート、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルヘキシルジメチルPABA(パジマートO)、エチルヘキシルメトキシシンナマート(オクチノキサート)、エチルヘキシルサリチラート(オクチサレート)、エチルヘキシルトリアゾン、ホモサラート、イソアミルp−メトキシシンナマート(アミロキサート)、イソプロピルメトキシンナマート、メチルアントラニレート(メラジメート)、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(ビソクトリゾール)、オクトクリレン、PABA(アミノ安息香酸)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(エンスリゾール)、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、およびそれらの混合物、と組み合わせて用いることができる。
【0066】
本明細書において、以下の試験方法を用いた:
1)二酸化チタン粒子の粒子サイズ測定
少量、典型的には2mgの二酸化チタンを、鋼製スパチュラの先端を用いて1または2分間、約2滴のオイル中に押し込んだ。結果として得た懸濁液を溶媒で希釈し、そして透過型電子顕微鏡に好適な炭素をコーティングしたグリッドをこの懸濁液で湿らせて、そして熱板上で乾燥させた。約18cm×21cmの写真を、適切で、精確な倍率で制作した。一般には、約300〜500個の粒子が、直径の約2倍の間隔で見られた。最小数の300粒子を、球状結晶を表す、漸次に増大する直径の円の列からなる透明な格子寸法を用いて寸法で分類した。それぞれの円形の下で、等体積で漸次に増大する偏心率の楕円体を表す一連の楕円体輪郭を描いた。基本的方法は、1.2〜1.6の範囲の対数正規分布標準偏差を想定している(より広い粒子サイズ分布は、例えば1000の水準の、ずっと多くの粒子が計数されることを必要とする)。上記の懸濁法は、最小の結晶割れを生じさせながら、ほとんど完全に分離した二酸化チタン粒子を生成するのに好適であった。いずれかの残存している凝集体、および少量の破片は、十分によく明確にされるので、無視することができ、そして個別の粒子のみが効果的にこの計数中に含められる。二酸化チタン粒子の平均長さ、平均幅、平均アスペクト比およびサイズ分布が、上記の測定から計算された。
【0067】
2)二酸化チタン粒子の結晶サイズ測定
結晶サイズを、X線回折(XRD)線幅拡大によって測定した。回折バターンを、単色光分光器として作用するエネルギー分散検出器を備えたSiemens D5000回折計で、CuKσで測定した。プログラム可能なスリットを、0.02°のステップ間隔で、12mm長さの試験片からの回折を測定するのに用いた。データは、22〜48°2θの間の回折パターンに合わせることによって、ルチルの反射位置に対応する一連のピークで、そしてアナターゼが存在する場合には、それらの反射に相当する更なる一連のピークで、解析した。フィッティングプロセスは、回折線形への器械拡幅の影響を取り除くことを可能にする。平均結晶サイズの値は、例えば、B. E. Warren、「X線回折」("X-Ray Diffraction")、 Addison-Wesley、マサチューセッツ州レディング、1969年、p.251-254に記載されたScherrer式を用いて、その半値全幅(FWHM)を基に、ルチル110反射(約27.4°2θで)について測定した。
【0068】
3)分散体中の二酸化チタン粒子のメジアン粒子体積直径および粒子サイズ分布
i)二酸化チタン粒子の有機液体分散体を、5gのポリヒドロキシステアリン酸を45gのC12〜C15アルキルベンゾエートと混合し、そして次いで50gの二酸化チタン粉末をこの混合物に加えることによって生成した。この混合物を、1500r.p.mで運転し、そしてジルコニアビーズを粉砕媒体として含んだ横型ビーズミルに、15分間にわたって通した。二酸化チタン粒子のこの分散体を、イソプロピルミリステートと混合することによって30〜40g/Lの間に希釈した。
【0069】
ii)水性分散体を、7gのオレス―10(Brij(登録商標)O10、元のCroda)、5gのイソデセス−6(Synperonic(登録商標)10/6、元のCroda)、0.9gのフェノキシエタノール、0.5gのシメチコン(Silfar S184)、36.6gの脱塩水を混合し、そして次いで50gの二酸化チタン粉末をこの混合物に加えることによって生成した。この混合物を、1500r.p.mで運転し、そしてジルコニアビーズを粉砕媒体として含んだ横型ビーズミルに、65分間にわたって通した。二酸化チタン粒子のこの分散体を、0.1質量%のイソデセス−6の水溶液と混合することによって30〜40g/Lの間に希釈した)。
【0070】
i)およびii)で生成された希釈された試料を、遠心分離モードのBrookhaven BI-XDC粒子寸法測定器で分析し、そしてメジアン粒子体積直径および粒子サイズ分布を測定した。
【0071】
4)二酸化チタン粒子のBET比表面積
BET比表面積を、Micromeritics Tristar 3000を用いて測定した。1.1gのそれぞれの二酸化チタン試料を、試料管中に導入し、室温で窒素下で10分間脱ガスし、次いで150℃に加熱し、そして再度の窒素下で、この温度に3時間保持した。この試料を、次いで冷却し、その後再秤し、そして表面積を分析した。分析に使用したガスは、窒素およびヘリウムであった。
【0072】
5)二酸化チタン粒子の白色度の変化
日焼け止め剤配合(例えば、例6のような)を、No.2 Kバーコーターを用いて、光沢のある黒色カードの表面にコートし、ドローダウンして、濡れ厚さが12μmのフィルムを形成した。このフィルムを室温で10分間乾燥させ、黒色表面上の被膜の白色度(L)を、Minolta CR300比色計を用いて測定した。白色度の変化ΔLを、被膜の白色度(LF)から基材の白色度(LS)を差し引くことにより計算した。
【0073】
6)フォトグレイイング指数(Photogreying Index)
二酸化チタン混合物を、15gの二酸化チタンを、85gのC12〜15アルキルベンゾエートに加え、そしてオーバーヘッド攪拌機を用いて15分間にわたり混合することによって調製した。この混合物を、0.8〜1.2mmのジルコニアビーズで75%を満たし、1500r.p.mで運転したミニモーターミル(Eiger Torrance MK M50 VSE TFV)に通過させた。新たにミルに掛けた混合物を、65×30×6mmアクリルセル中の、16mm直径×3mm深さの凹部中に充填した。石英ガラスカバー片(slip)を、空気との接触を排除するように試料の上に置き、そして黄銅留め金によって適切な位置に固定した。12以下のセルを、75WのUV光源(4 TL29D16/09Nランプを備えたPhilips HB 171/A)から12cmに配置された回転台上に置くことができ、そして120分間にわたり照射した。試料の色(L値)を、標準白色タイル(L=97.95)で事前に較正した、市販の色度計(Minolta chroma meter CR-300)で記録した。白色度の変化ΔLを、UV光への露光後の基材の白色度からUV光への露光の前の基材の白色度(Linitial)を差し引いくことによって計算した。フォトグレイイング指数ΔLは、下記のとおりである。
ΔL=L(initial)−L(120min)
【0074】
7)太陽光線保護指数
日焼け止め剤配合(例えば、例6のような)の太陽光線保護指数(SPF)を、DiffeyおよびRobson、J. Soc. Cosmet. Chem.、第40巻、p.127-133、1989年の試験管内の方法(in vitro method)を用いて測定した。
【0075】
8)UVA保護指数
日焼け止め剤配合(例えば、例6のような)のUVA保護指数(UVA PFおよびUVA PF)を、COLIPA Guidelines「Method for In Vitro Determination of UVA Protection Provided by Sunscreen Products Edition of 2007a」中に記載されたように測定した。Labshpher UV-1000S UV透過率分析計を用いた。
【0076】
対照(100%透過)試料を、0.75mgcm−2(0.02gに相当)のグリセリンをポリメチルメタクリレート(PMMA)板(Helioplates HD2、元のLaboratoire Helios Science Cosmetique)の荒らした表面上に塗りつけることによって生成した。
【0077】
日焼け止め剤配合を、同じPMMA板の荒らした表面に、0.75mgcm−2(0.02gに相当)の濃度で、この板の表面全体に均一に散布された一連の小さない点として、適用した。適用した直ぐ後に、この配合物を、ゴム手袋をした指を用いて、この板の表面全体に広げた。このコーティングされた板を、暗がりに置いて、15分間乾燥させた。
【0078】
乾燥させた直ぐ後に、それぞれの板の異なる位置で、合計で6回のUV透過スペクトル(290〜400nm)を記録した。それぞれの波長で、UV透過データの18回の読みの平均を与えるように、3枚の異なる板を用いた。コーティングされた板を通して透過した、1nm増分毎のUV放射を定量化した。それぞれの波長増分で得たここの透過測定値を、初期のUVA保護指数(UVA PF)を計算するために用いた。
【0079】
ロングアークキセノンAtlas SuntestCPS+ insolatorを用いて、同じ日焼け止め剤配合物で処理された板を、次いで日光暴露に擬態した単一のUV線量に暴露させ、この線量はこの器械で計算され、そしてUVA PFに関連付けられ、その後に、この試料を通して2番目の一連の透過測定を行った。擬態した日光暴露の前と同じ数の測定(すなわち、6×3枚の板)を行った。再度、透過値を、吸収値に変換し、そして後露光のUVA保護指数(UVA PF)を計算した。
【0080】
9)吸光係数
i)有機液体二酸化チタン分散体の0.1gの試料を、100mLのシクロヘキサンで希釈した。この希釈した試料を、次いで試料:シクロヘキサンが1:19の比のシクロヘキサンで更に希釈した。全体の希釈は、1:20000であった。
【0081】
ii)水性二酸化チタン分散体の0.1gの試料を、0.1質量%のイソデセス−6(Synperonic(登録商標)10/6、元のCroda)の水溶液100mLで希釈した。全体の希釈は、1:20000であった。
【0082】
i)またはii)で生成した希釈した試料を、1cmの経路長さを備えた分光光度計(Perkin-Elmer Lambda 2 UV/VIS Spectrophotometer)中に置き、そしてUVと可視光の吸光度を測定した。吸光係数を、式A=E・c・lから計算した(ここで、A=吸光度、E=吸光係数、単位はL/g/cm、c=濃度、単位はg/L、そしてl=経路長さ、単位はcm)。
【実施例】
【0083】
本発明を、以下の限定するものではない例によって説明する。
例1
1モルの酸性溶液中のチタンオキシジクロリドを、3モルの水溶液中のNaOHと反応させた。初期の反応時間の後に、温度を70℃超に上げ、そして撹拌を続けた。この反応混合物を、水性NaOHの添加によって中和し、そして70℃未満に冷却させた。ろ過の後に、60質量%の水を含む、結果として得たろ過ケーキ約400gを、Carbolite ESFチャンバー炉を用いて650℃で2時間焼成し、そして3250rpmで運転するIKA Werke乾燥粉末ミルを用いて、微細な粉末へと粉砕した。この粉末を、脱塩水中で再スラリー化した。この結果として得たスラリーに、アルミン酸ナトリウムのアルカリ溶液を、TiO質量に対してAlを3.5質量%相当で、加えたが、pHは11未満に維持した。温度は、この添加の間は、60℃未満に維持した。スラリーの温度を、次いで75℃に上げ、そして熱水中に溶解した、TiOに対して4.6質量%のステアリン酸ナトリウムを加えた。このスラリーを45分間平衡状態に置き、そして20%塩酸を15分間滴下により加えて中和し、その後、このスラリーを50℃未満に冷却させた。このスラリーを、ブフナーろ過器を用いて、水中の100gdm−3でのケーキ電導度が<150μSになるまでろ過した。このろ過ケーキを110℃で、16時間オーブン乾燥し、そして3250rpmで運転するIKA Werke乾燥粉末ミルによって微細粉末に粉砕した。
【0084】
分散体を、5gのポリヒドロキシステアリン酸を45gのC12〜C15アルキルベンゾエートと混合し、そして次いでこの混合物中に、上記で生成させた50gの乾燥させた焼成した二酸化チタン粉末を加えることによって生成した。この混合物を、1500r.p.mで運転し、そしてジルコニアビーズを粉砕媒体として含む横型ビーズミルに、15分間通した。
【0085】
二酸化チタン粒子またはその分散体を、ここに記載した試験手順に付し、そして以下の性質を示した。
【0086】
(a)粒子サイズ
i)D(v,0.5)=133nm
ii)10体積%の粒子が、113nm未満の体積直径を有しており、
iii)16体積%の粒子が、117nm未満の体積直径を有しており、
iv)30体積%の粒子が、124nm未満の体積直径を有しており、
v)70体積%の粒子が、146nm未満の体積直径を有しており、
vi)84体積%の粒子が、170nm未満の体積直径を有しており、そして
vii)90体積%の粒子が、194nm未満の体積直径を有している。
【0087】
(b)吸光係数
【0088】
【表1】

【0089】
(c)BET比表面積=28.5m−1
(d)フォトグレイイング指数=0.3
【0090】
例2
4.5gのポリヒドロキシステアリン酸、50.5gのC12〜C15アルキルベンゾエート、および45gの乾燥させた焼成した二酸化チタン粉末を用いた以外は、例1の手順に従って分散体を生成した。
【0091】
二酸化チタン分散体を、ここに記載した試験手順に付し、そして以下の性質を示した。
(a)吸光係数
【0092】
【表2】

【0093】
例3
二酸化チタン粒子を、アルミナ/ステアリン酸塩コーティングを適用しなかった以外は、例1の手順に従って生成した。
【0094】
分散体を、1.68gのポリヒドロキシステアリン酸、1.68gのイソステアリン酸、51.64gのC12〜C15アルキルベンゾエート、および45gの上記で作った乾燥された焼成した二酸化チタン粉末を用いた以外は、例1の手順に従って生成した。
【0095】
二酸化チタン分散体を、ここに記載した試験手順に付し、そして以下の性質を示した。
(a)吸光係数
【0096】
【表3】

【0097】
例4
分散体を、110gのポリヒドロキシステアリン酸および790gのC12〜C15アルキルベンゾエートを混合し、そして次いで例1で生成した、1100gの乾燥された焼成した二酸化チタン粉末を、Greaves ST-C-DC混合機を用いて、この混合物に加えることによって生成した。この混合物を、次いで、0.55kW時/kgを入力して、2600rpmで運転する、そしてジルコニアビーズを粉砕媒体として含む、Netzsch Labstar横型ビーズミルを用いて粉砕した。
【0098】
この二酸化チタン分散体を、ここに記載した試験手順に付し、そして以下の性質を示した。
(a)吸収係数
【0099】
【表4】

【0100】
例5
水性分散体を、7gのオレス−10(Brij(登録商標)010、元のCroda)、5gのイソデセス−6(Synperonic(登録商標)10/6、元のCroda)、0.9gのフェノキシエタノール、0.5gのシメチコン(Silfar S184)、36.6gの脱塩水、を混合し、そして次いで、例1で生成した50gの乾燥された焼成した二酸化チタン粉末を加えることによって生成した。この混合物を、1500r.p.mで運転する、ジルコニアビーズを粉砕媒体として含む、横型ビーズミルに65分間通した。
【0101】
例6
例2で生成した二酸化チタン分散体を、以下の組成を有する日焼け止め剤エマルジョン配合F1およびF2を調整するのに用いた。
【0102】
【表5】

【0103】
<手順>
1.Keltrol RDを水中に分散させ、そして残りの水相A成分を混合物へ加え、これを65〜80℃に加熱した。
2.オイル相B成分を混合し、そして75〜80℃に加熱した。
3.オイル相を水相へ、攪拌しながら加えた。
4.この混合物を、2分間にわたって均質化した(homogenised)。
5.結果として得たエマルジョンを攪拌しながら室温に冷却し、相C保存料を40℃未満で加えた。
【0104】
これらの配合物をここに記載した試験手順に付し、そして以下の性質を示した。
【0105】
【表6】

【0106】
*日焼け止め剤の表示に関するEU勧告(2006年9月22日)に準拠
+適用したUV線量
【0107】
例7
60質量%の水を含む約400kgのろ過ケーキを、650℃で8時間、静的キルン中で焼成した以外は、例1の手順に従って、二酸化チタン粒子を生成した。例1に記載したようにアルミナ/ステアリン酸塩コーティングをした後に、結果として得たスラリーを、洗浄水の電導度が<50μSとなるまで、フィルタプレスを用いてろ過した。このろ過ケーキを噴霧乾燥し、そして微細な粉末に粉砕した。
【0108】
分散体を、12.5kgのポリヒドロキシステアリン酸を、89.7kgのC12〜C15アルキルベンゾエートと混合し、そして次いで124.9kgの上記で生成した乾燥された焼成した二酸化チタン粒子をこの混合物に加えることによって生成した。この混合物を、ジルコニアビーズを粉砕媒体として含む横型ビーズミルに通した。
【0109】
二酸化チタン分散体を、ここに記載した試験手順に付し、そして以下の性質を示した。
(a)粒子サイズ
i)D(v、0.5)=143nm
ii)10体積%の粒子が、80nm未満の体積直径を有しており、
iii)16体積%の粒子が、102nm未満の体積直径を有しており、
iv)30体積%の粒子が、122nm未満の体積直径を有しており、
v)70体積%の粒子が、168nm未満の体積直径を有しており、
vi)84体積%の粒子が、197nm未満の体積直径を有しており、そして
vii)90体積%の粒子が、220nm未満の体積直径を有していた。
【0110】
(b)吸光係数
【0111】
【表7】

【0112】
例8
14.0kgのポリヒドロキシステアリン酸、100.7kgのC12〜C15カプリル/カプリン酸トリグリセリド、および140.3kgの乾燥された焼成した二酸化チタン粉末を用いた以外は、例7の手順に従った分散体を生成した。
【0113】
二酸化チタン分散体を、ここに記載した試験手順に付し、以下の性質を示した。
(a)吸光係数
【0114】
【表8】

【0115】
例9
(a)例7で生成した二酸化チタン分散体を、以下の組成を有する日焼け止め剤エマルジョン配合物を調製するために用いた。
【0116】
【表9】

【0117】
<手順>
1.TiO分散体以外のオイル相A成分を混合し、そして85℃に加熱した。
2.水相B成分を混合し、そして85℃に加熱した。
3.TiO分散体をオイル相に、温度を維持しつつ、攪拌しながら加えた。
4.水相をオイル相に、激しく攪拌しながら、ゆっくりと加えた。
5.この混合物を、1分間にわたって均質化した(homogenised)。
6.結果として得たエマルジョンを攪拌しながら室温に冷却し、相C保存料を40℃未満で加えた。
【0118】
(b)例8で生成した二酸化チタン分散体を、以下の組成を有する日焼け止め剤エマルジョン配合物を調製するために用いた。
【0119】
【表10】

【0120】
<手順>
1.TiO分散体以外のオイル相A成分を混合し、そして85℃に加熱した。
2.水相B成分を混合し、そして85℃に加熱した。
3.TiO分散体をオイル相に、温度を維持しつつ、攪拌しながら加えた。
4.水相をオイル相に、高速で攪拌しながら加えた。
5.この混合物を、1分間にわたって均質化した(homogenised)。
6.結果として得たエマルジョンを攪拌しながら室温に冷却し、相C保存料を40℃未満で加えた。
【0121】
この配合物を、ここに記載した試験手順に付し、以下の性質を示した。
【0122】
【表11】

【0123】
*日焼け止め剤の表示に関するEU勧告(2006年9月22日)に準拠
+適用したUV線量
【0124】
上記の例は、本発明による粒子状二酸化チタン、分散体および/または日焼け止め剤製品の向上した性質を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
70nm超のメジアン体積粒子直径を有してなる粒子状二酸化チタン。
【請求項2】
前記メジアン体積粒子直径が、85〜175nmである、請求項1記載の二酸化チタン。
【請求項3】
30〜75nmの平均長さおよび/または20〜55nmの平均幅および/または1.0〜2.5:1の平均アスペクト比を有する、請求項1または2記載の二酸化チタン。
【請求項4】
9L/g/cm未満のE524および/または25〜50L/g/cmのE360および/または0.5〜1.0のE360/E308比を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の二酸化チタン。
【請求項5】
9L/g/cm未満のE524および/または25〜50L/g/cmのE360および/または0.5〜1.0のE360/E308比を有する粒子状二酸化チタン。
【請求項6】
分散媒質および、請求項1〜5のいずれか1項記載の粒子状二酸化チタンを含んでなる分散体。
【請求項7】
少なくとも30質量%の二酸化チタン粒子を含む、請求項6記載の分散体。
【請求項8】
前記分散媒質が、有機液体である、請求項6または7記載の分散体。
【請求項9】
(i)40〜100nmの平均長さおよび/または3〜25nmの平均幅を有する前駆体二酸化チタン粒子を形成する工程、ならびに
(ii)該前駆体粒子を焼成する工程、
を含んでなる、粒子状二酸化チタンの製造方法。
【請求項10】
前記二酸化チタンが、請求項1〜5記載の二酸化チタンである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記前駆体粒子が、450〜850℃で焼成される、請求項9または10記載の方法。
【請求項12】
前記前駆体粒子が、40〜75質量%の水を含む、請求項9〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記前駆体粒子が、コーティングされていない、請求項9〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記二酸化チタン粒子が、焼成の後にコーティングされている、請求項9〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
(i)請求項1〜5のいずれか1項記載の二酸化チタン粒子、および/または
(ii)請求項6〜9のいずれか1項記載の分散体、および/または、
(iii)請求項9〜14のいずれか1項記載の方法によって生成された二酸化チタン粒子、
を含んでなる、日焼け止め剤製品。
【請求項16】
1〜5の(SPF/UVA PF)比を有する、請求項15記載の日焼け止め剤製品。
【請求項17】
前記二酸化チタン粒子が、含まれる本質的に唯一の紫外線減衰剤である、請求項15または16記載の日焼け止め剤製品。

【公表番号】特表2013−515662(P2013−515662A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545430(P2012−545430)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/GB2010/002308
【国際公開番号】WO2011/077084
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(506352278)クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニー (24)
【Fターム(参考)】