説明

粒子状物質フィルターを包含するリーンバーン内燃機関用排気機構

リーンバーン内燃機関用の排気機構(10)であって、入口(18)と出口との間に配置された粒子状物質フィルター(12)、および該機構中を流れる排ガスの少なくとも一部を、入口とすぐ向き合う地点から逸らせてフィルターに導入する手段(14)を備えてなる排気機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーンバーン内燃機関用の排気機構に関し、特に粒子状物質フィルターを備えてなる排気機構に関する。
【背景技術】
【0002】
リーンバーン内燃機関から出る排ガスは、粒子状物質(PM)を含んでなる。例えば、ディーゼルエンジンは、特に始動時および重負荷下で、肉眼で観察できる粒子状物質を放出することが良く知られている。最新のリーンバーンガソリンエンジンも、大量の、肉眼で観察できない、非常に小さな(<0.1μm、一般的に10〜100nm)PMを放出する。
【0003】
ガスに含まれる粒子状物質は、吸入した時に健康上の問題を引き起こすことが良く知られている。粒子状物質に対する関心が、ディーゼルエンジンから放出される粒子状物質の量を規制する様々な国家ヨーロッパ規則の導入につながっている。Johnson Mattheyは、ディーゼルエンジン、特に重負荷ディーゼルエンジン(関連するヨーロッパ、米連邦またはカリフォルニアにより規定されるような)用の、CRT(商品名)と呼ばれる自己再生ディーゼルフィルター装置を特許権取得し、市販している(ここにその内容全体を参考として含めるヨーロッパ特許第EP−B−341832号明細書および米国特許第US−A−4,902,487号明細書参照)。
【0004】
CRT(商品名)装置は、排ガス中の一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO)に酸化し、フィルター上のPMをNO中、400℃までの温度で酸化する。
【0005】
フィルター上のPMを酸素中で燃焼させることも公知である。しかし、PMを十分に燃焼させ、フィルターを再生するには、約600℃までの温度が望ましい。酸素中の燃焼温度は、フィルターに触媒作用させることにより、ある程度下げることができる。
【0006】
酸素中でPMを燃焼させるための排ガス中の温度は、受動的に上昇させることができる、即ち、フィルター上にPMが堆積するにつれて、排気機構中の背圧が増加する。このために、エンジンに対する負荷が増加し、必要な排ガス温度の増加につながる。
【0007】
あるいは、またはそれに加えて、能動的なフィルター再生手段、例えば燃料バーナー、電気的ヒーター、マイクロ波加熱、排ガス中への可燃性物質の注入、を単独で使用するか、またはウォームアップ触媒、即ち発熱反応を引き起こす触媒、と併用し、排ガス温度を増加させることができる。
【0008】
典型的には、粒子状物質フィルターは、排ガスをフィルターに搬送するための導管の断面積と比較して、大きな開いた前方面積を有する。実際、フィルターは缶またはシェル中に配置され、その缶またはシェルを、導管に形成された入口と出口との間に取り付ける。缶またはシェルの、フィルターまたは入口シュノーケルを収容するディフューザ部分は、フィルターの入口と上流面との間に配置することができる。我々のディーゼル粒子状物質フィルターの研究から、我々は、そのようなディフューザ、シュノーケル、等を使用しても、排ガスの大部分は入口にすぐ向き合う地点でフィルターに入ることを観察している。
【0009】
PMが、フィルターの、入口にすぐ向き合う区域に蓄積するにつれて、フィルターのこの区域における背圧が増加し、PMの一部はこの区域から離れ、フィルター周辺の、背圧がより低い区域に向けられる。
【0010】
しかし、受動的または能動的フィルター再生が開始すると、高温のガスが、入口とすぐ向き合う区域に先ず接触し、その区域でPMの燃焼を引き起こす。入口とすぐ向き合うフィルター区域にあるPMが浄化されると、その区域における背圧が下がり、その結果、さらに多くの排ガス流がフィルターを、入口とすぐ向き合う区域で横切る傾向があり、このサイクルを繰り返す。
【0011】
この現象は、少なくとも二つの重大な問題を引き起こす。第一に、高価なフィルター容積の使用が不完全である。この「経費」は、フィルター材料および関連する缶の金銭的コストのみならず、フィルターが車両上で占める空間に関する「コスト」でもある。車両設計は、特に軽負荷ディーゼル乗用車で、車両上の、排ガス後処理機構の部品を収容する空間を制限することがある。このために、非円筒フィルター形状、例えば長円形、「レース−トラック」または非対称性デザイン、の使用につながることがあり、これらは、製造により多くの経費が掛かるのみならず、流動分布の問題をさらに悪化させることもある。
【0012】
PM濾過にフィルター容積全体のほんの一部しか効果的に使用されていないので、機構の全体としての容量が抑制され、能動的再生が比較的頻繁になり、その結果、燃費が悪くなる。
【0013】
第二に、フィルターの、入口とすぐ向き合う区域でPMが優先的に燃焼するために、横方向面における熱勾配が形成され、フィルター材料に熱応力がかかることがある。そのような熱応力は、フィルター材料の損傷、例えばセラミック型ウォール−フロ−フィルターでは亀裂、を引き起こすことがある。
【0014】
この問題は、ある種のフィルター材料、例えばコージーライトおよびSiC、の熱伝導率が低い(SiCフィルターは接着剤層により分離された複数のブロックから構成されるために、熱伝導性が低下する)ために、より大きくなる。
【0015】
その上、フィルターの周辺部区域に堆積するPMは、入口とすぐ向き合う区域よりも低温であるので、フィルターのPMが十分に浄化されることは決してないことが分かる。
【0016】
日本国特許第JP−A−61185310号明細書は、円筒形部分の一末端面から突き出た円錐台形部分を有する、多孔質の円筒形セラミックフィルターを開示している。この配置により、円錐台形部分の先端温度が再生の時に急速に増加するので、フィルターの中央区域におけるPM燃焼がフィルターに沿って伝搬する。
【0017】
米国特許第US−A−5,103,641号明細書は、フロースルーモノリス基材上の塗布された触媒の上流側に配置されたフローガイドを開示している。
【0018】
ここで我々は、これらの問題の一つ以上を、排気機構中を流れる排ガスの少なくとも一部を、入口とすぐ向き合う地点から逸らせてフィルターに導入する手段を提供することにより、解決または軽減できることを見出した。
【0019】
一態様により、本発明は、リーンバーン内燃機関用の排気機構であって、入口と出口との間に配置された粒子状物質フィルター、および該機構中を流れる排ガスの少なくとも一部を、入口とすぐ向き合う地点から逸らせて該フィルターに導入する手段を備えてなる排気機構を提供する。
【0020】
一実施態様では、該逸らす手段が、フィルターの入口側に配置されたデフレクタを備えてなり、該デフレクタが、第一断面積を有する上流末端および第二断面積を有する下流末端を備えてなり、該第二断面積が該第一断面積より大きい。
【0021】
我々は、逸らす手段を使用することにより、機構中の、PMが燃焼する温度を増加させる、および/または再生時間を延長することができると考えている。しかし、これは多くの排気機構、例えば高速度の排ガス再循環を使用するディーゼル機構、で直面する問題であり、公知の能動的再生技術、例えば上記の技術、を必要に応じて使用できる。
【0022】
本発明は、多くの点で有利である。先ず、本発明は、フィルター容量のより多くを使用しているので、フィルターの、排ガスからPMを除去する効率を改良することができる。これによって、(機構の、PMを濾過する効率が改良されるので)容量がより小さいフィルターを使用するか、または能動的再生間に要する期間を延長することができ、従って、燃費が下がる。
【0023】
別の利点は、本発明により、より効率的な能動的再生を行えることである。これは、逸らす手段が、フィルターを横切るPM配分を改良できるのみならず、加熱された排ガスのフィルターを横切る配分も改良できるためである。排ガスがより一様に配分される程、フィルターがより一様に、即ち入口とすぐ向き合う地点およびその周辺の区域の両方で、再生される可能性が高くなる。
【0024】
車両製造業者は、フィルターを車両上に、特に床下位置に収容することが益々困難になっている。その結果、極端な状況では、非円形断面のフィルターが使用されている。
【0025】
フィルターを横切る流動パターンがあまり一様ではない場合に、高価なフィルター容積を完全に使用できなくなり、フィルター容積を横切って熱的応力がかかることがある、断面が非円形のフィルターには、フィルターを横切って排ガスを一様に配分できる能力は、特に有利である。フィルター容積を少なくする能力は、容量制限がある場合にも、明らかな優位性である。
【0026】
従って、上流デフレクタを備えてなる実施態様では、デフレクタを、下流の非円形断面フィルターを横切る排ガス流が均等になるように選択する。例えば、デフレクタの断面は、フィルターの断面と等しいか、または類似した形状を有することができる。
【0027】
別のそのような実施態様では、デフレクタはコーンである、即ち第一断面積がゼロであるか、または円錐台形である。
【0028】
上流デフレクタを備えてなる別の実施態様では、デフレクタは、少なくとも2個の通路を備えてなるフロースルー基材を備えてなることができる。この基材における少なくとも2個の通路は、例えばCorningのContura(商品名)基材のように平行であるか、または別の実施態様では、平行ではなくてもよい。少なくとも2個の通路が平行ではない場合、一実施態様で、各通路の出口基材末端上の断面積は、入口基材末端上よりも大きい。この最後の配置を図3に示す。別の実施態様では、各通路が基材の入口側上の一点に収束する。
【0029】
あるいは、デフレクタは排ガスをそらせるための外側表面を備えてなる。この実施態様では、外側表面は、図1に示すように連続的であるか、または半連続的である、即ち排ガスが通過できるような、一個以上の開口部を包含することができる。
【0030】
コーンまたは円錐台形デフレクタの実施態様では、コーンまたは円錐台は、中央の縦軸を中心とする少なくとも一つの次元で潰れていてよく、その中央軸と交差する平面に沿って対称的である必要はない。
【0031】
デフレクタは、いずれかの好適な材料で製造することができる。例えば、デフレクタは、セラミック、例えばコージーライト、またはSiCから製造することができる。一実施態様では、デフレクタは、金属、例えばFecralloy(商品名)、または鋼または類似の特性を有する他の材料から製造する。デフレクタを金属から製造する場合、デフレクタは、薄い金属ホイル、一般的に平らな金属ホイル間に挟まれた層をコイル状に巻いてハニカム構造に形成した、波形金属ホイルの層から製造することができる。得られる通路の列は、各通路が部分的に波形ホイルから形成されるので、断面が正弦波形である。
【0032】
デフレクタに触媒作用を付与する場合、一実施態様では、その触媒は、排ガス中でNOをNOに酸化する触媒である。そのような触媒は、公知であり、所望により例えばアルミナ上に担持された、少なくとも一種の白金族金属(PGM)、例えば白金、を包含する。この配置では、下流にあるフィルター上の粒子状物質をNO中、400℃までの温度で燃焼させることができる。そのような方法は、上記のヨーロッパ特許第EP−B−0341832号明細書に記載されている。
【0033】
排気機構中を流れる排ガスは、常に抵抗が最も低い経路を採ろうとし、典型的にはこれは、入口とすぐ向き合う地点でフィルターに入ることである。フィルターに触媒作用が付与される特定の機構では、追加の手段により、入口とすぐ向き合う区域から離れた所でPMの燃焼を強化するのが有利である。そのような手段は、入口とすぐ向き合う区域からその周辺部に向かって、触媒の装填量を次第に増加すること、および/または低硫黄分燃料、例えば硫黄含有量が20ppm未満、例えば10または5ppm硫黄である排ガスを生じる燃料を使用することを包含することができる。
【0034】
触媒作用を付与した、および触媒作用を付与していないフィルターの両方に適用できる別の実施態様では、フィルター細孔を、触媒ウォッシュコートでよい好適なウォッシュコートでブロックすることにより、入口とすぐ向き合う区域でフィルターを横切る圧損を増加させることができる。この実施態様では、フィルターを横切る横方向平面で、入口とすぐ向き合う区域に向かって、ウォッシュコート装填量またはウォッシュコート粒子の細かさを増加することにより、圧損を次第に増加させることができる。別の実施態様では、両端の区域で通路の少なくとも一個をブロックし、排ガスが出口に到達するには2個の通路壁を横切る必要があるようにすることにより、圧損を増加させることができる。
【0035】
本発明の最も簡単な実施態様で、逸らす手段は、実質的に(i)フィルターの、入口とすぐ向き合う区域における背圧>該区域の周辺区域における背圧になるように、横方向ウォッシュコート勾配を含んでなるフィルター、(ii)フィルターの、入口とすぐ向き合う区域における触媒装填量<該区域の周辺区域における触媒装填量になるような、触媒装填量の横方向勾配、または(iii)両方の手段からなる。しかし、より複雑な実施態様では、上流のデフレクタを、横方向ウォッシュコート勾配または横方向触媒勾配と組み合わせて使用するか、または3種類の特徴を同じ機構の中に組み合わせる。
【0036】
無論、入口をフィルターの中心と対向して配置する必要も、フィルターが円筒形である必要もない。フィルターが非円筒形である場合、そのフィルターは長円形または「レーストラック」もしくはいずれかの適当な形状でよい。
【0037】
別の実施態様では、フィルターはウォール−フロ−フィルターであり、例えばコージーライトまたはSiCから製造することができる。所望により、フィルターは触媒を含んでなることができる。フィルターに触媒作用を付与する場合、その触媒は、所望により例えばアルミナ上に担持された、少なくとも一種のPGM、例えば白金、を含んでなることができる。
【0038】
別の態様では、本発明は、本発明の排気機構を包含する内燃機関を提供する。このエンジンは、ディーゼルエンジン、例えば軽負荷または重負荷ディーゼルエンジンでよい。
【0039】
別の態様では、本発明は、排気機構中に配置された粒子状物質フィルターを横切って流れる排ガス中に、粒子状物質をより一様に配分する方法であって、該機構中を流れる排ガスの少なくとも一部を、入口とすぐ向き合う地点から逸らせてフィルターに導入することを含んでなる、方法を提供する。
【0040】
本発明をより深く理解するために、添付の図面を参照しながら、本発明の実施態様を説明する。
【0041】
図1は、従来構造のコージーライトウォール−フロ−フィルター(12)を備えてなる、リーンバーン内燃機関用の排気機構(10)を図式的に示す断面図である。そのようなウォール−フロ−フィルターは、ハニカム形状に配置された複数の通路を備えてなり、フィルターブロックの各末端で通路が交互に閉塞しているので、閉塞した通路と開いた通路の配置が両端でチェス盤のようになる。
【0042】
円錐形デフレクタ(14)がフィルターの上流に、コーンの細い方の末端が上流側になるように配置されている。円錐形デフレクタ(14)は、金属、例えばFecralloy(商品名)または鋼から製造し、排気機構(10)の中を流れる排ガスに、デフレクタの上を流れるように、連続的な表面を提供する。
【0043】
デフレクタ(14)およびフィルター(12)は、鋼製のシェルまたは缶(16)の中に収容され、そのシェルは、デフレクタの上流に入口(18)およびフィルターの下流に出口(図には示していない)を包含する。この分野で一般的であるように、フィルターは、シェル(16)の内側表面とフィルター(12)の外側表面との間に配置されたマット(図には示していない)を使用して所定の位置に、シェルから絶縁して保持することができる。円錐形デフレクタ(14)は、排ガスの軸流れ方向にそれぞれ伸びる細長い鋼製支柱(図には示していない)を使用し、シェル(16)の円錐台形部分(22)の内側表面からつり下げる。2個の支柱を使用する場合、それぞれを互いに対向するように、即ち180°で配置することができ、3個の支柱を使用する場合、互いに120°で配置することができ、4個の支柱を使用する場合、隣の支柱からそれぞれ90°で配置することができる。
【0044】
入口(18)は、導管(20)に接続し、排ガスをエンジンから、および所望により、上流にある排ガス処理工程を経由して搬送する。
【0045】
実際には、導管(20)の中を流れる排ガスは、入口(18)に運ばれ、そこで、シェル(16)の円錐台形部分(22)の中央軸に沿って配置されたコーンデフレクタ(14)の先端と接触する。シェル(16)の円錐台形部分の内側表面およびコーンデフレクタ(14)の外側表面は、その間の隙間が実質的に一様であるように、配置される。こうしてコーンは排ガスを放射状に外側にそらせる。排ガスがコーンデフレクタ(14)の後縁部に到達すると、排ガスは、コーンデフレクタ(14)の後ろで内側に向かって、排ガス流路中にコーンデフレクタ(14)を配置することにより作用する低圧に向かって流れる。この中心に向けられる流れにより、乱流が引き起こされ、その乱流が、フィルター(12)の前面を横切る排ガス流の望ましい一様な配分を強化することができる。
【0046】
別の実施態様では、円錐形デフレクタ(14)の表面が不連続である、即ちデフレクタが一個以上の開口部を包含し、それらの開口部を通って排ガスが流れることができる。
【0047】
図2Aは、図1に示すコーンデフレクタ(14)の代わりに使用できる別のデフレクタを示す。このデフレクタは、Contura(商品名)基材の前方部分、即ち平行に配置された、複数の、閉塞していない通路を有するフロースルーモノリス、を備えてなる。Contura(商品名)基材は、中央に配置された平らな前面、およびその後ろに、外側基材表面の周囲に向かって伸びる円錐形部分を包含する。この実施態様では、シェル(16)の円錐台形部分(22)をディフューザ(24)と呼ぶことができる。様々な形状を有するディフューザおよびそれらの使用が、この分野では公知である。
【0048】
図2Bおよび2Cは、ディフューザ(24)中に配置した、異なったコーン角度を有する異なったContura(商品名)基材を図式的に示す断面図である。図2Dは、図2Bおよび2Cに示すContura(商品名)基材と類似の、ディフューザ中に配置した、ドーム形状の前面を備えてなる別の基材を図式的に示す断面図である。
【0049】
図3は、図1に示すデフレクタ(14)の代わりに使用できる別のデフレクタ実施態様を示す。この実施態様では、デフレクタは、平行に配置された複数の円錐台形チューブを備えてなる。この実施態様は、金属、例えばFecralloy(商品名)の薄い金属ホイル、から製造することができ、平らな金属ホイルの間に波形金属ホイルの層を挟み、それらの層を合わせてコイル状に巻き上げ、ハニカム構造に形成することにより、製造することができる。得られる通路の列は、部分的に波形ホイルから形成されるので、断面が正弦波形である。実際、この実施態様は、例えば連続的な表面を備えてなる金属ハウジング中に配置することができる。あるいは、このデフレクタは、缶またはシェルの部分中に収容することができる。
【0050】
この分野で公知の技術を使用し、触媒ウォッシュコート、例えば高表面積アルミナ担体上の白金、をデフレクタに塗布することができる。そのような触媒ウォッシュコートは、上記のヨーロッパ特許第0341832号明細書に記載されている方法により、NO酸化を促進し、さらにフィルター上粒子状物質の、NO中、400℃までの温度における燃焼を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明の一実施態様によりフィルターおよびデフレクタを包含する排気機構を図式的に示す図である。
【図2】図2Aは、本発明で使用するための、Corning Contura(商品名)基材を含んでなる第二のデフレクタ実施態様を図式的に示す、一部を切り取った図である。図2B、2Cは、ディフューザ部分に各基材が配置された、コーン角度が異なっているコーンを有する2種類のContura(商品名)基材を図式的に示す図である。図2Dは、ディフューザ部分に配置された、図2Bおよび2Cに代わる、前面がドーム形状になっている基材である。
【図3】図3は、本発明で使用する第三のデフレクタ実施態様を図式的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーンバーン内燃機関用の排気機構(10)であって、
入口(18)と出口との間に配置された粒子状物質フィルター(12)と、及び、前記入口と直ちに向き合う地点で前記フィルターに導入することから、前記機構中を流れる排ガスの少なくとも一部を逸らす手段を備えてなる、排気機構。
【請求項2】
前記逸らす手段が、前記フィルターの前記入口側に配置されたデフレクタ(14)を備えてなり、
前記デフレクタが、第一断面積を有する上流末端と、第二断面積を有する下流末端を備えてなり、
前記第二断面積が、前記第一断面積よりも大きいものである、請求項1に記載の排気機構。
【請求項3】
前記デフレクタが、コーンまたは円錐台形コーンの形状にある、請求項2に記載の排気機構。
【請求項4】
前記デフレクタが、少なくとも2個の通路を備えてなるフロースルー基材を備えてなる、請求項2または3に記載の排気機構。
【請求項5】
各通路の前記出口基材末端上の断面積が、前記入口基材末端上よりも大きいものである、請求項4に記載の排気機構。
【請求項6】
前記通路が前記基材の前記入口側上の一点に収束する、請求項4または5に記載の機構。
【請求項7】
前記少なくとも2個の通路が互いに平行である、請求項4に記載の排気機構。
【請求項8】
前記デフレクタが、前記排ガスを逸らせるための外側表面を備えてなる、請求項2または3に記載の排気機構。
【請求項9】
前記外側表面が、前記排ガスを通過させるための少なくとも一個の開口部を包含する、請求項8に記載の排気機構。
【請求項10】
前記コーンまたは円錐台形コーンが、中央の縦軸を中心とする少なくとも一つの次元で潰れている、請求項3〜9のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項11】
前記デフレクタが金属製である、請求項2〜10のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項12】
前記デフレクタが触媒を含んでなる、請求項2〜11のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項13】
前記触媒が、前記排ガス中でNOをNOに酸化する触媒である、請求項12に記載の排気機構。
【請求項14】
前記触媒が、所望により担持された少なくとも一種の白金族金属(PGM)を含んでなる、請求項12または13に記載の排気機構。
【請求項15】
前記PGMが白金を含んでなる、請求項14に記載の排気機構。
【請求項16】
前記逸らす手段が、前記フィルター上に横方向ウォッシュコート勾配を備えてなり、それによって、前記フィルターの、前記入口と直ちに向き合う区域における背圧が前記区域の周辺区域における背圧より大きいものである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項17】
前記逸らす手段が、前記フィルター上に触媒装填量の横方向勾配を備えてなり、それによって、前記フィルターの、前記入口とすぐ向き合う区域における触媒装填量が前記区域の周辺区域における触媒装填量より小さいものである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項18】
前記触媒が、少なくとも一種のPGM、所望により白金を含んでなる、請求項17に記載の排気機構。
【請求項19】
前記入口が前記フィルターの中心に直ちに向き合っている、請求項1〜18のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項20】
前記フィルターがウォール−フロ−フィルターである、請求項1〜19のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項21】
前記フィルターが非円形断面を有する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項22】
前記デフレクタの断面形状が前記フィルターの断面形状と等しいか、または類似している、請求項1〜21のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項23】
前記フィルターが触媒を含んでなる、請求項1〜22のいずれか一項に記載の排気機構。
【請求項24】
前記触媒が、所望により担持された少なくとも一種のPGMを含んでなる、請求項23に記載の排気機構。
【請求項25】
前記PGMが白金を包含する、請求項24に記載の排気機構。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか一項に記載の排気機構を備えてなる、内燃機関。
【請求項27】
ディーゼルエンジンである、請求項26に記載の内燃機関。
【請求項28】
排気機構中に配置された粒子状物質フィルターを横切って流れる排ガス中に、粒子状物質をより一様に配分する方法であって、
前記入口と直ちに向き合う地点で前記フィルターに導入することから、前記機構中を流れる排ガスの少なくとも一部を逸らすことを含んでなる、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−514104(P2007−514104A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544543(P2006−544543)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005225
【国際公開番号】WO2005/059324
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】