説明

粒子状物質計測装置

【課題】コスト増大を招くことなく耐熱性を向上させ、かつ計測可能圧力範囲をも増大させる。
【解決手段】排気管1近傍に配設される第1ユニットU1と、前記第1ユニットU1に接続配管C1を介して接続した別体の第2ユニットU2とを設け、前記第1ユニットU1に、一端から排ガスが導入される排ガス流路L11と、前記排ガス流路L11の途中に設けたオリフィス部O11と、前記排ガス流路L11のオリフィス部O11よりも下流側に接続された機械動作式の昇圧抑止弁V11と、前記排ガス流路L11のオリフィス部O11よりも下流側に接続された希釈ガス流路L12を設け、希釈ガスによって希釈された希釈排ガスが前記排ガス流路L11の他端から導出されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排出ガスに含まれる粒子状物質を計測する粒子状物質計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排ガスに含まれる粒子状物質の数(PN:Particulate Number)を精密に計測できる機器として例えばCPC(Condensation Particle Counter)と称される粒子数カウンタがある。
【0003】
このCPCは、過飽和のアルコール(ブタノール等)雰囲気中に、前記粒子状物質を通過させて大きな径に成長させた後、スリットから排出し、出てきた粒子状物質をレーザ光で計数するものであり、従来は、特許文献1に示すように、このCPCの他に、排ガスを希釈するための希釈機構や吸引ポンプなどが単一のケーシングに収容され、一体の計測ユニットとして構成されている。そして、前記計測ユニットを排気管から離して配置した上で、該計測ユニットと排気管とをホットホースなどで接続し、排気管からの生の排ガスを計測ユニット内の希釈機構で希釈してCPCに導入するようにしている。このように配管にホットホースを用いているのは、特に希釈前の排ガスにおいて、その温度が下がりすぎると、粒子状物質の付着による粒子損失が生じたり、その付着による配管詰まりが生じたりするからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−164413
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、かかるホットホースは、自身が発熱するからといって必ずしも十分な耐熱性を有しているとは限らず、例えば樹脂素材などが用いられている場合には、通常の金属配管に比べると一般的に耐熱性に劣る。そのため、ホットホースがネックとなって使用が制限されたり、耐熱温度の高い高価格なホットホースを用いざるを得なかったりする。
【0006】
また、このような計測ユニットには耐圧が定められている。耐圧とは、流入する排気ガスに許される上限圧力のことであり、これは通常、前記計測ユニットの入口に設けられたオリフィスなどの流量制限機構の能力で定まる。耐圧を上げるには、単純には、例えばオリフィス径を小さくすればよいが、そうすると排ガス圧力が低い場合、すなわち大気圧に近い場合、前記吸引ポンプの作用によってユニット内が負圧になるため、計測ユニットに引き込む排ガスの流量を精度良く制御することが難しくなり、計測精度にばらつきがでる恐れがある。
【0007】
このような理由から、従来は、計測可能な圧力範囲を大きくとれず、例えば排気管におけるDPFの上流側及び下流側の双方で排気ガスをサンプリングするような要請があった場合、エンジンの運転状況や機種などの関係から、各サンプリング位置での圧力差が大きいと、共通の装置でPNを計測することが難しくなる。
【0008】
本発明は、かかる課題を一挙に解決すべくなされたものであって、その主たる目的は、粒子状物質計測装置において、コスト増大を招くことなく耐熱性を向上させ、かつ排ガスの計測可能な圧力範囲をも増大させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係る粒子状物質計測装置は、内燃機関から排出される排ガスに含まれる粒子状物質を計測するものであって、前記内燃機関の排気管近傍に配設される第1ユニットと、前記第1ユニットとは別体で設けた第2ユニットと、前記第1ユニット及び第2ユニット間に介在する接続配管とを具備したものである。
【0010】
そして、前記第1ユニットは、一端から排ガスが導入される排ガス流路と、前記排ガス流路の途中に設けたオリフィス部と、前記排ガス流路のオリフィス部よりも下流側に接続されて該排ガス流路内の圧力が一定以上になるとその圧力によって機械的に開放され一部の排ガスを逃がして圧力上昇を抑制する昇圧抑止弁と、前記排ガス流路のオリフィス部よりも下流側に接続されて該排ガス流路に希釈ガスを導入する希釈ガス流路とを有するボディを備え、希釈ガスによって希釈された排ガスである希釈排ガスが前記排ガス流路の他端から導出されるように構成したものであり、
前記第2ユニットは、前記第1ユニットから導出された希釈排ガスが前記接続配管を介して導入されるとともに、その導入された希釈排ガスに含まれる粒子状物質を計測する粒子状物質計測機構を具備したものであることを特徴とする。
【0011】
このようなものであれば、装置を第1ユニットと第2ユニットとに分け、第1ユニットを排気管の近傍に配置しているので、排気管から第1ユニットまでの配管を非常に短くすることができる。したがって、前記配管での温度低減がほとんど生じず、配管に単純な金属管を使用して、コスト低減を図るとともに、耐熱性をも向上させることができる。
【0012】
また、この配管を通じて排気管の熱が第1ユニットのボディに伝わるため、該ボディに設けるヒータを容量の小さな低コストのもので間に合わせることができる。逆に、排気管の熱によってボディが高温化することも考えられるが、ボディには、オリフィス部や昇圧抑止弁といった単純な機械部品のみが設けられているので、耐熱温度をコストを上げることなく実現できる。
【0013】
さらに、一般的に温度低下時に配管への粒子付着が招来されるが、本発明によれば、第1ユニットに希釈ガスを導入することで、温度低下時に同時に排ガスが希釈されるように構成しているので、粒子付着を可及的に防止でき、この第1ユニットより下流の配管、すなわち第1ユニットと第2ユニットとの接続配管を高温に保つ必要がない。したがって、この点でもコストダウンや構成の簡単化を図ることができる。
【0014】
加えて、第1ユニットには、オリフィス部と昇圧抑止弁が設けられているので、オリフィス弁の設定によって、排気管内圧力が大気圧に近い場合でも、ユニット内圧力が負圧にならないようにするとともに、昇圧抑止弁の設定によって排気管内の圧力が高くなっても、ユニット内圧力を設定以下に保って耐圧性を高めることができ、測定可能な圧力範囲を大きくすることが可能になる。この結果、大型エンジンや排気管のDPFより上流側などのように、排ガスの圧力が大気圧よりかなり高くなる用途にはもちろんのこと、排ガスの圧力が大気圧にかなり近い用途にも同時に対応できるようになり、また排気管内の圧力変動が大きい場合でも計測精度を担保できるようになる。
【0015】
耐圧性をより向上させて測定可能な排ガスの圧力範囲を大きくするには、前記排ガス流路のオリフィス部よりも上流側に第2オリフィス部を設けるとともに、これらオリフィス部及び第2オリフィス部の間に第2昇圧抑止弁を設けているものが好ましい。
【0016】
第1ユニットと排気管とを熱的に確実に接続するとともに該第1ユニットを排気管により近づけるためには、前記第1ユニットが、前記ボディを排気管に取り付けるためのブラケット機構をさらに具備したものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上に述べた本発明によれば、装置を第1ユニットと第2ユニットとに分割し、第1ユニットを排気管の近傍に配置するとともに、この第1ユニットで排ガスを希釈するようにしているので、耐熱性を向上させ、コストダウンも図れる。
【0018】
また、この第1ユニットにオリフィス部や機械動作式の昇圧抑止弁を設けているので、耐圧性を向上させることができるとともに大気圧に近い低い圧力でも装置側が負圧にならないようにすることができ、測定可能な圧力範囲を大きくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る粒子状物質計測装置の全体を示す模式図。
【図2】同実施形態における第1ユニットを示す縦断面図。
【図3】同実施形態における粒子状物質計測装置の概略流体回路図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
本実施形態に係る粒子状物質計測装置100は、図1にその全体概要を示すように、内燃機関の排気管1に直接取着される第1ユニットU1と、この内燃機関から離れて配置される第2ユニットU2と具備している。
第1ユニットU1は、排気管1の直近真横に配置されるボディ2と、このボディ2を排気管1に取り付けるためのブラケット機構3とを具備している。
【0022】
ボディ2は、例えばブロック状をなすものであり、排気管1からの排ガスが導入される排ガス流路L11が内部を貫通させてある。また、このボディ2は、断熱部材4によって周囲を覆ってあり、サーモスタットなどの機械式温調機によって、所定領域が一定温度以下とならないように温度調整してある。なお、図3のZ1が温調されている前記所定領域を示している。
【0023】
次に前記排ガス流路L11について図3を参照して詳述する。この排ガス流路L11の始端は、排ガス導入ポートP11としてボディ2における排気管1に対向する表面に開口させてある。そして、この排ガス導入ポートP11に排気管1を流れる排ガスの一部が、サンプリング管C3を介して、希釈されることなく導入される。サンプリング管C3は、図2に示すように、ステンレスやアルミを素材とする金属製の直管である。そして、その一端が排気管1の側面から該排気管1内に差し込まれるとともに、他端が前記排ガス導入ポートP11に接続され、その途中は外部に露出している。このサンプリング管C3には、ヒータや温調機構などは付加されておらず、金属管単体で構成されている。
【0024】
排ガス流路L11の途中には、内径を部分的に小さく絞ったオリフィス部O11、O12が2箇所に直列に設けられている。各オリフィス部O11、O12の下流側からは逃がし流路L13,L14がそれぞれ分岐させてあり、それら逃がし流路L13,L14上に、該排ガス流路L11内の圧力が一定以上になるとその圧力によって機械的に開放され一部の排ガスを逃がして圧力上昇を抑制する昇圧抑止弁V11,V12(ここでは例えばチェックバルブ)が設けられている。
【0025】
この排ガス流路L11における下流側オリフィス部O11、O12のさらに下流には、希釈ガス(例えばエアー)が流れる希釈ガス流路L12が接続されている。希釈ガス流路L12の始端は希釈ガス導入ポートP13としてボディ2の表面に開口させてあり、この希釈ガス導入ポートP13から導入された希釈ガスによって排ガス流路L11の排ガスが希釈される。そして、この希釈された排ガス(以下、希釈排ガスと言う)は、排ガス導出ポートP12としてボディ2の表面に開口させた排ガス流路L11の終端から導出される。
【0026】
なお、図2に示すように、排ガス流路L11における希釈ガス流路L12との接続部位は2重管構造にしてある。この2重管構造によって、希釈ガス流路L12から吐出した希釈ガスは、排ガス流路L11の外管5にまずあたって、その外管5の側面に沿って排ガスの流れと同じ軸方向に流れ、その後、排ガスと混合される。仮にこのような2重管構造とせず、例えば、排ガス流路L11の側面に希釈ガス流路L12の吐出口を直接設けるような構成だと、希釈ガスの流入によって、排ガス流路L11内に前記吐出口の対向面に当たるような軸方向以外のガス流れが生じ、その対向面に粒子状物質が付着する恐れがあり、その場合に、粒子状物質を効率よく第2ユニットU2へ運ぶことができなくなる。
【0027】
ブラケット機構3は、図1に示すように、ボディ2を支持する支持台31と、この支持台31から延伸して排気管1に取り付けられるクリップ部32とからなる金属製のものである。クリップ部32は、排気管1を径方向から挟み込むようにして取り付けられる環板状のものであり、排気管1の角度に拘わらず支持台31を適切な姿勢に設定できるように、支持台32に対し角度変更可能に接続されている。前記サンプリング管C3は、排ガス導入ポートP11から延伸してクリップ部31を貫通し、排気管1の側周面に略垂直に差し込まれる。
次に、第2ユニットU2について簡単に説明する。
前記第2ユニットU2は、図1に示すように、ケーシング6内に各種機器や配管等を収容したものである。
【0028】
該第2ユニットU2には、図3に示すように、前記第1ユニットU1の排ガス導出ポートP12に、接続配管C1を介して連通する排ガス流入ポートP21が設けてある。なお、前記接続配管C1には、導電性テフロン(登録商標)管などを用いて、管内部が一定温度(約47℃)に保たれるようにしてある。
【0029】
しかして、この排出ガス流入ポートP21には、図3に示すように、ケーシング6の内部に設けたメイン流路MLが接続してあり、このメイン流路ML上には、上流から順に、サイクロン式のダスト除去器CYCL、流量測定機構23、第1希釈混合ユニットMX1、エバポレーションユニットEU、第2希釈混合ユニットMX2、及び粒子状物質を計数する粒子状物質計測機構CPC(背景技術で述べた粒子数カウンタ)が設けられている。また、さらにその下流には、バッファタンクBT及び吸引ポンプVPが設けてある。
【0030】
このようにして、排出ガス流入ポートP21から導入された希釈排ガスは、メイン流路MLを経て粒子状物質計測機構CPCに導入され、粒子状物質が計数されるようにしている。なお、図3中、符号O21、PG1、PG2は、前記流量測定機構23を構成するオリフィス、差圧計、絶対圧計である。
【0031】
また、このメイン流路MLの所要箇所からは、前記バッファタンクBTに連通するバイパス流路BL1,BL2,BL3が分岐させてある。各バイパス流路BL1,BL2,BL3には、定流量機構たる臨界オリフィスCFO1,CFO2,CFO3が設けられて、それぞれ一定流量のガスが流れるように構成されている。
【0032】
一方、図3中、P23はケーシング6に設けた希釈ガス供給ポートであり、符号ALは、前記希釈ガス供給ポートP23にレギュレータRGを経て接続された並列する複数の内部希釈ガス流路である。そして、これら各内部希釈ガス流路ALからメイン流路MLの所要箇所に希釈ガスが供給されるように構成してある。内部希釈ガス流路AL上には、マスフローコントローラMFC1〜MFC4が設けられており、各内部希釈ガス流路ALを流れる希釈ガスの流量を制御できるように構成されている。また、内部希釈ガス流路ALのうちの1つは、ケーシング6に設けた希釈ガス導出ポートP22から第2接続配管C2を介して、第1ユニットU1の希釈ガス導入ポートP13に連通させてある。
なお、符号Z2、Z3は、一定温度に保たれた領域を示しており、Z2では例えば47℃、Z3では例えば191℃に保たれている。
次に、かかる構成の粒子状物質計測装置100の動作を説明する。
【0033】
第1ユニットU1には、排気管1から排ガスが2つのオリフィス部O11、O12によって流量を制限されて導入される。ところで、これらオリフィス部O11、O12の内径は、排気管1内での予想される最大圧力と第2ユニットU2で受け入れ可能な最大流量とに基づいて設定されているが、仮に排気管1内での圧力がそれ以上に高くなって、前記最大流量を超えるような流量が導入された場合には、そのときの圧力上昇によって前記昇圧抑止弁V11,V12が自動的に開き、一部の排ガスを逃がしポートP14、P15から逃がすことによって、前記最大流量を超えない排ガスがサンプリングされる。
【0034】
そして、この排ガスが希釈ガス流路L12から供給される希釈ガスで薄められる。この希釈ガスは常温のまま導かれるので、排ガスは希釈されるとともに、温度も下げられる。
【0035】
このようにして第1ユニットU1で希釈された希釈排ガスは、第2ユニットU2に導かれる。第2ユニットU2では、この希釈排ガスのうちの一定流量が臨界オリフィスCFO1の作用でバイパス流路BL1を介して捨てられる。
【0036】
なお、このときの希釈比は、前記希釈ガスの流路AL上に設けられたマスフローコントローラMFC1によって制御される。すなわち、サンプリングされた排ガスの導入流量をqs、マスフローコントローラで制御された希釈ガスの流量をQa、希釈後、臨界オリフィスCFO1を介して捨てられる流量をQb、メイン流路MLを流れる残りの流量をQmとすれば、
qs=Qb+Qm−Qa
【0037】
ここでQbは定数で既知、Qmはメイン流路上に設けた流量計で測定することから既知、QaはマスフロコントローラMFC1で制御される量であることから、qsをこれらQa、Qb、Qmから間接的に算出することができる。
【0038】
また、この第1ユニットU1での希釈比rdは、以下の式から求めることができ、この式から希釈比をマスフロコントローラMFC1で制御できることがわかる。
rd=qs/(qs+Qa)=(Qb+Qm−Qa)/(Qb+Qm)
【0039】
その後、この希釈排ガスは、2段の希釈混合ユニットMX1、MX2で希釈される。なお、その間に、規格に基づいてエバポレーションユニットEUでエバポレートされる。しかして、このときの希釈比も、第1ユニットU1での希釈同様、希釈ガスの流量がマスフロコントローラMFC2、MFC4でコントロールされており、かつ臨界オリフィスCFO2、CFO3、マスフロコントローラMFC3で所定流量が捨てられるため、一義的に算出することができる。
【0040】
このようにして希釈された排ガスに含まれる粒子状物質の数がCPCでカウントされるが、希釈比が前述のように算出されるので、この希釈比とCPCでのカウント数から排ガスの単位流量に含まれる粒子状物質の個数、すなわち濃度を算出することができる。
【0041】
しかして、このように構成した本実施形態によれば、装置100を第1ユニットU1と第2ユニットU2とに分け、第1ユニットU1を排気管1に直接取り付けてその近傍に配置しているので、排気管1をサンプリングして第1ユニットU1に導くサンプリング管C3の長さを非常に短くして、該サンプリング管C3での温度低減を生じにくくできる。その結果、このサンプリング管C3にホットホースなどを用いることなく金属管単体を使用しても、サンプリング管内での粒子付着といった不具合を回避することができる。したがって、コスト低減を図ることができるうえに、サンプリング管C3が金属管単体で構成されているので、耐熱性をも大幅に向上させることができる。
【0042】
また、第1ユニットU1には、サンプリング管C3やブラケット3を介して、排気管1の熱がボディ2に伝わるため、ボディ2に設けるヒータを容量の小さな低コストのもので間に合わせることができる。
【0043】
さらに、第1ユニットU1で排ガスを希釈するようにしているので、希釈後の排ガスは低温化して問題が生じないことから、第1ユニットU1と第2ユニットU2との接続配管C2を高温に保つ必要がなくなり、この点でもコストダウンや構成の簡単化を図ることができる。
【0044】
加えて、第1ユニットU1には、オリフィス部O11、O12が設けられ、さらにその下流には昇圧抑止弁V11,V12が設けられているので、オリフィス弁O11、O12の設定によって、排気管1内圧力が大気圧に近い場合でも、装置100側の圧力が負圧にならないようにするとともに、昇圧抑止弁V11,V12の設定によって排気管1内の圧力が高くなっても、装置100側の圧力を設定以下に保って耐圧性を高めることができ、測定可能な圧力範囲を大きくすることが可能になる。
【0045】
また、第2ユニットU2でも希釈できるので、第1ユニットU1での希釈と併せて希釈比を大きく設定することができる。また、この第2ユニットU2単体でも粒子数の計測ができるので、例えば、大きな希釈比や耐圧性が必要のない用途には、第1ユニットU1を省略して第2ユニットU2単体での使用が可能である。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0046】
例えば、第1ユニットのオリフィス部や昇圧抑止弁は1つでも構わないし、3以上を設けても良い。ブラケットは、前記実施形態のような構成でなくともよく、さらに言えば必ずしも必要ない。例えば、第1ユニットのボディを排気管近傍に載置してサンプリング管のみで接続しても構わない。
また、第1ユニットへの希釈ガスの供給を第2ユニットとは別に独立して行っても構わない。
その他、本発明は前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
100・・・粒子状物質計測析装置。
1・・・排気管1
2・・・ボディ
U1・・・第1ユニット
U2・・・第2ユニット
C1・・・接続配管
L11・・・排ガス流路
O11・・・オリフィス部
O12・・・第2オリフィス部
V11・・・昇圧抑止弁
V12・・・第2昇圧抑止弁
L12・・・希釈ガス流路
CPC・・・粒子状物質計測機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出される排ガスに含まれる粒子状物質を計測するものであって、
前記内燃機関の排気管近傍に配設される第1ユニットと、前記第1ユニットとは別体で設けた第2ユニットと、前記第1ユニット及び第2ユニット間に介在する接続配管とを具備してなり、
前記第1ユニットは、
一端から排ガスが導入される排ガス流路と、前記排ガス流路上に設けたオリフィス部と、前記排ガス流路に接続されて該排ガス流路内の圧力が一定以上になるとその圧力によって機械的に開放され一部の排ガスを逃がし圧力上昇を抑制する昇圧抑止弁と、前記排ガス流路のオリフィス部よりも下流側に接続されて該排ガス流路に希釈ガスを導入する希釈ガス流路とを有し、希釈ガスによって希釈された排ガスである希釈排ガスが前記排ガス流路の他端から導出されるように構成したボディを備えたものであり、
前記第2ユニットは、
前記第1ユニットから導出された希釈排ガスが前記接続配管を介して導入されるとともに、その導入された希釈排ガスに含まれる粒子状物質を計測する粒子状物質計測機構を具備したものであることを特徴とする粒子状物質計測装置。
【請求項2】
前記排ガス流路において、前記オリフィス部よりも下流側に前記昇圧抑止弁を設けるとともに、前記オリフィス部よりも上流側に第2のオリフィス部を設け、さらに各オリフィス部の間に第2の昇圧抑止弁を設けていることを特徴とする請求項1記載の粒子状物質計測装置。
【請求項3】
前記第1ユニットが、前記ボディを排気管に取り付けるためのブラケット機構をさらに具備したものである請求項1又は2記載の粒子状物質計測装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate