説明

粒子移動型表示装置、および粒子移動型表示装置の製造方法

【課題】隔壁の付着強度が特許文献2に示される隔壁よりも強固に確保され、隔壁を電極部材の幅よりも薄く形成しても隔壁が電極部材から剥離しにくい粒子移動型表示装置を提供する。
【解決手段】表示電極5が配置された後方基板1の表面に、表示電極5を囲む格子枠状の共通電極6を配置する。共通電極6の上に共通電極6と同一輪郭の接続層9を形成して、接続層9の上に共通電極6の幅よりも狭い厚みの隔壁7を形成する。隔壁8の起立面、隔壁7からはみ出した接続層9の表面、表示電極5の表面を一体に覆って抵抗層7が配置される。接続層9は、隔壁8に対して共通電極6よりも付着性が高く、透明で導電性のある材料が選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔壁部材で仕切られた移動空間内で帯電粒子を移動させて、表示セルごとの表示を行う粒子移動型表示装置、詳しくは、薄膜電極部材と重ねて基板部材上に形成される隔壁部材の強度を増加させる製造方法の工夫に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、隔壁部材で仕切られた移動空間内で有色の帯電粒子を移動させて、表示セルごとの表示を行う画像表示装置(粒子移動型表示装置)の開発研究が盛んである。粒子移動型表示装置の一例は、移動空間に帯電粒子を分散した分散液体を充填し、移動空間に配置した一対の電極面に電圧を印加して帯電泳動粒子を移動させる電気泳動表示装置である。電気泳動表示装置は、従来の画像表示装置として一般的な液晶表示装置に比べて、表示コントラストが高い、視野角が広い、表示にメモリ性を有する、バックライトや偏光板が不要である等、種々の特徴を有している。
【0003】
特許文献1には、基板部材の画素中央に表示電極を配置して、表示電極を囲む隔壁の起立面に隔壁電極を配置した電気泳動表示装置が示される(図5参照)。ここでは、白色の表示電極を黒色の帯電粒子で覆って画素の黒表示を行い、帯電粒子を隔壁の起立面に集めて表示電極を見通させることにより画素の白表示を行う。
【0004】
特許文献2には、基板部材に配置した表示電極を覆って絶縁層を配置し、絶縁層上に表示電極を囲んで格子枠状の薄膜電極部材が配置される。薄膜電極部材上には、薄膜電極部材の幅と等しい厚さの隔壁が配置されている。これは、樹脂の隔壁をマスクとして薄膜電極部材の金属薄膜材料層を酸エッチングすることにより、薄膜電極部材が格子枠状に成形されているからである。
【0005】
【特許文献1】特許第3421494号公報
【特許文献2】特開2005−292789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される電気泳動表示装置では、基板部材の表示電極下に画素を駆動するためのスイッチング素子や配線パターンを配置できる。そして、基板部材上で配線パターンに接続してドライバ等の駆動回路を配置したり、基板部材の隅に配線取り出し用の電極列を設ける場合がある。これらの場合、隔壁電極も基板部材上の配線パターンに接続される必要がある。
【0007】
特許文献2に示される電気泳動表示装置では、隔壁電極を基板部材上の配線パターンに接続するために格子枠状の薄膜電極部材が配置されている。基板部材に形成した格子枠状の薄膜電極部材上に導電性材料の隔壁を形成することで、隔壁の起立面が薄膜電極部材に接続した隔壁電極となる。
【0008】
しかし、特許文献2に示されるように、隔壁を感光樹脂材料で形成した場合、隔壁の根元と薄膜電極部材との付着強度が不足する場合がある。隔壁と薄膜電極部材との接触幅が数μmと薄くて元々付着強度が小さいことに加えて、樹脂と金属薄膜とでは熱膨張率が異なるので接合面に応力が発生し易い。また、格子枠状にパターン形成された隔壁を加熱処理した際に隔壁が厚み方向に収縮して、接合面が剥離する場合もある。
【0009】
また、絶縁性の樹脂材料をパターン形成して隔壁とし、隔壁の表面に導電性材料を被覆して隔壁電極を形成する場合、基板部材上の薄膜電極部材と隔壁電極層との電気的な接続を確実にする必要がある。そこで、隔壁の根元から薄膜電極部材がはみ出すように、隔壁を薄膜電極部材の幅よりも薄く形成し(図1参照)、はみ出した薄膜電極部材の表面と隔壁の起立面とを一体に導電性材料で被覆することが提案された。
【0010】
しかし、この場合、接合面積が減少する上に、隔壁と薄膜電極部材とが接続する隅部分が応力集中点となってしまい、特許文献2に示される厚い隔壁に比べても一段と弱く剥離し易くなる。
【0011】
本発明は、隔壁と薄膜電極部材との付着性が特許文献2に示される隔壁よりも強固に確保され、隔壁を薄膜電極部材の幅よりも薄く形成しても隔壁が薄膜電極部材から剥離しにくい粒子移動型表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の粒子移動型表示装置は、基板部材の表面に配置された薄膜電極部材と、前記薄膜電極部材と少なくとも一部重なる位置関係で前記基板部材に配置された隔壁部材とを備えている。そして、前記隔壁部材に対して前記薄膜電極部材よりも付着性の高い導電性の接続層を、前記薄膜電極部材と前記隔壁部材との間に配置したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粒子移動型表示装置では、薄膜電極部材と隔壁との間に付着性の高い接続層を配置したので、薄膜電極部材に直接隔壁を接続した場合に比較して、薄膜電極部材と隔壁との接合強度が高くなる。そして、接続層は、導電性を有しているので、薄膜電極部材と隔壁部材との間、また、薄膜電極部材と隔壁部材の表面に形成される導電体材料層(被覆層、隔壁電極層、抵抗層等)との間の電気的な接続を阻害しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、それぞれ本発明の一実施形態である電気泳動表示装置100、200について、図面を参照しながら詳細に説明する。電気泳動表示装置100は、白色化された反射面と黒色の帯電粒子とを用いて、画素ごとの表示セルで白、黒二階調の表示を行うモノクロ画像表示装置である。しかし、中間階調(グレースケール)の表示を行うモノクロ画像表示装置としてもよく、別の色の帯電粒子を用いてカラー画像の表示を行わせてもよい。さらに、隣接する3つの表示セルにそれぞれR、G、Bのカラーフィルタを配置して、1つの画素のフルカラー表示を行わせてもよい。
【0015】
電気泳動表示装置100は、バックライトを持たない反射型であるが、本発明は、後方基板1の背面側にバックライトを設けた透過型ディスプレイや半透過型装置として実施してもよい。
【0016】
電気泳動表示装置100は、画素ごとに形成したスイッチング素子を、格子状に配列した多数の書き込み信号線と多数の走査信号線とによりダイナミック制御するアクティブマトリクス型として実施してもよい。しかし、本発明は、アクティブマトリクス型以外の画素駆動方式を採用してもよい。
【0017】
電気泳動表示装置100は、後方基板1上に無数の表示セル20を格子状に配列した画像表示装置であるが、図1では、2つの表示セル20により代表して図示している。また、特許文献1、2に示される電気泳動表示装置の一般的な構造、一般的な製造方法、中間階調の表示方法、表示セルの駆動方法等については、本発明の趣旨と隔たりがあるので、煩雑を避けるべく、一部図示を省略して詳細な説明も省略する。
【0018】
本発明の粒子移動型表示装置は、一対の基板間に、帯電粒子が介在する場合と、絶縁性液体に分散した帯電粒子が介在する場合との両方で実施可能である。しかし、これらの実施形態の本質は同じものであることから、以下では後者の電気泳動表示装置の代表的な実施の形態について説明する。
【0019】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の電気泳動表示装置の構成を説明する側断面図、図2は電気泳動表示装置の画素の構成と配置を説明する平面図、図3は半透過型とした場合の表示電極近傍の構成の外略な説明図である。
【0020】
図1に示すように、第1実施形態の電気泳動表示装置100は、観察側から見た後方側に位置する後方基板1と、観察側に位置する透明な前方基板2との間に、スペーサとしての隔壁8を配置している。後方基板1と前方基板2との隙間を隔壁8で仕切って形成した表示セル20の移動空間21には、黒色の帯電粒子4を分散させた絶縁性の分散液体3が充填されている。
【0021】
図2に示すように、隔壁8は、電気泳動表示装置100を構成する多数の表示セル20の移動空間21を格子状に仕切って相互に分離しており、移動空間21を囲む隔壁8の起立面に形成された抵抗層7が隔壁電極として機能する。このように、隔壁8によって画素a、bを1つずつ仕切ることにより、表示セル20の移動空間21内を移動可能な黒色粒子である帯電粒子4の他の表示セル20への移動を抑制できる。そして、画素a、bの帯電粒子4の数を実質的に等しくして、品質のよい画像表示が可能となる。
【0022】
なお、第1実施形態の電気泳動表示装置100では、隔壁8は、画素a、bを1つずつ仕切るように配置される。しかし、隔壁8は、1つの画素を更に複数に仕切るように配置しても、或いは複数の画素をまとめて仕切るように、つまり、隣接する隔壁8の間に複数の画素が含まれるように配置してもよい。
【0023】
図1に示すように、画素a、bとも、移動空間21の底面を占めて、後方基板1には面状の表示電極5が配置され、表示電極5を囲んで、後方基板1には格子枠状の共通電極6が配置されている。共通電極6の上には同一輪郭の接続層9が積層配置され、接続層9の上に、共通電極6の幅よりも狭い厚さの隔壁8が配置されている。
【0024】
接続層9は、導電性で、透明で、隔壁8に対して共通電極6よりも付着性の高い材料で形成され、共通電極6と同一の工程でパターニングが可能である。
【0025】
移動空間21の底面と、隔壁8の表面と、隔壁8からはみ出した接続層9の表面と、共通電極6と接続層9の段差側面とを一体に覆って抵抗層7が配置され、前方基板2を除く移動空間21の界面を一体に覆っている。
【0026】
抵抗層7は、表示電極5を囲む隔壁8の起立面に、共通電極6に接続された電極面を形成しており、帯電粒子4を集める隔壁電極として機能する。また、抵抗層7は、分散液体3の電離や帯電を防止したり、帯電粒子4の帯電状態を安定に保ちつつ、電極面における帯電粒子4の滞在性を改善して画素表示のメモリ性を高めたりする効果も実現している。
【0027】
ところで、表示電極5は、前方基板2側からの入射光に対して拡散反射機能を有している。なお、以下、説明を簡略にするため、「電極での反射」という表現を採るが、この表現は、対象となる電極そのものの表面反射特性を利用する場合(電極の表面を所望の形状にするための例えば凹凸層などの下地層を併用してよい)の意味を含む。また、鏡面状態の電極上に形成した、例えば体積位相型ホログラムや光拡散物質の拡散特性を利用する場合と、これらの構造上に更に透明電極を具備する場合との意味も含む。
【0028】
以上のように構成された第1実施形態の電気泳動表示装置100では、表示電極5と共通電極6との間に印加した電圧極性に応じて、帯電粒子4が表示電極5と隔壁8の起立面との間で移動する。
【0029】
そして、図2の画素aに示すように、黒色の帯電粒子4を表示電極5に集めて表示電極5の表面を覆わせることにより、前方基板2側から観察した表示セル20が黒表示となる。一方、図2の画素bに示すように、黒色の帯電粒子4を隔壁8の起立面に集めて表示電極5の表面を露出させることにより、前方基板2側から観察した表示セル20が白表示となる。
【0030】
また、隔壁8の起立面に帯電粒子4を集めた状態から表示電極5側へ帯電粒子4を引き寄せる電圧や印加時間を調整することにより、帯電粒子4で表示電極5を部分的に覆わせた中間階調(グレースケール)も表示可能である。
【0031】
図1に示すように、画素bは、隔壁8側に帯電粒子4が集積した状態、言い換えれば隔壁電極側に帯電粒子4が集積した状態となっている。この状態のとき、表示セル20に入射される前方基板2側からの入射光は、表示電極5により反射され、画素bが明表示となる。また、画素aは、表示電極5に沿って帯電粒子4が拡散するよう移動した状態であり、この状態のとき表示セル20に入射した前方基板2側からの入射光は、概ね帯電粒子4に吸収され、画素aが暗表示となる。
【0032】
<製造方法および使用材料>
次に、後方基板1、前方基板2、分散液体3、帯電粒子4、表示電極5、共通電極6、抵抗層7、隔壁8、接続層9の材料、電気泳動表示装置100の製造方法等について説明する。
【0033】
後方基板1及び前方基板2の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルサルフォン(PES)等のプラスチックフィルムの他、ガラスや石英等を使用することができる。電気泳動表示装置100は反射型なので、観察者側に配置される前方基板2等には透明な材料を使用する必要があるが、後方基板1には、金属材料等の不透明な材料やポリイミド(PI)などの着色されているものを用いてもよい。ステンレスなどの金属フィルムを用いてもよいが、金属材料を使用する場合は、適宜、表面を絶縁材料で被覆する。
【0034】
画素を駆動するためには、一般的な液晶表示装置の場合と同様に、立体交差させた格子状の配線パターンを後方基板1上に配置し、配線パターンの交差点ごとにスイッチング素子を配置できる。スイッチング素子上には必要に応じて、接着層、絶縁層、封止層などを積層して、コンタクトホールが形成される。
【0035】
分散液体3の材料としては、イソパラフィン、シリコーンオイル及びキシレン、トルエン等、絶縁性の非極性溶媒であって透明なものを使用することが望ましい。白色表示における照明光の損失を低下させて明るい画素表示を実現できるからである。
【0036】
帯電粒子4の材料としては、着色されていて分散液体3中で正極性または負極性の良好な帯電特性を示す材料、例えば、各種の無機顔料や有機顔料やカーボンブラック、或いは、それらを含有させた樹脂を使用できる。なお、帯電粒子4の粒径は、通常0.01μm〜10μm程度のものを使用できるが、分散性やコントラストの観点から0.5μm〜6μm程度のものを用いるのが好ましい。
【0037】
また、上述した分散液体3や帯電粒子4には、帯電粒子4の帯電を制御し、安定化させるための荷電制御剤を添加しておくのが好ましい。このような荷電制御剤としては、モノアゾ染料の金属錯塩やサリチル酸や有機四級アンモニウム塩やニグロシン系化合物などを用いることができる。
【0038】
更に、分散液体3中には、帯電粒子4同士の凝集を防ぎ、分散状態を維持するための分散剤を添加するのが好ましい。このような分散剤としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等のリン酸多価金属塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、その他無機塩、無機酸化物、或いは有機高分子材料などを用いることができる。
【0039】
共通電極6は、必要な精度で格子枠状のパターニングが容易な導電性材料、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)等の金属薄膜、或いは、カーボンや銀ペースト、或いは有機導電膜にて形成するのが好ましい。表示セルを縁取って不必要な反射光を遮断するブラックマトリックスの機能を兼ねさせる場合には、黒色の材料を選択したり、黒色に表面を着色したりする。
【0040】
表示電極5は、銀やAl等の光反射性の高い材料にて形成するのが好ましい。表示電極5と共通電極6との間の絶縁や、表示電極5から帯電粒子4への電荷注入を防止するために、表示電極5及び共通電極6の露出部分を不図示の絶縁層や誘電体層で被覆してもよい。
【0041】
拡散反射機能を有する表示電極5の製造方法としては、例えばガラスに微細な凹凸を作り、金属を蒸着する方法や、感光性樹脂を塗布した後、露光及びウェット現像を行って凹凸を作製した後に金属を蒸着する方法がある。また、金属層上に屈折率の異なる粒子と樹脂の混合層を形成する方法や、干渉露光によってホログラムを作製する方法等もある。しかし、所望の散乱特性と指向性を得ることができれば、どのような方法で作製しても構わない。
【0042】
なお、粒子移動型表示装置の場合は、観察者によって視認される帯電粒子の展開面積の大小によって明暗が決定されるので、偏光角の大小によって明暗が決定される液晶表示装置とは異なる。従って、表示電極5の凹凸形状を設計する際に、反射光の偏光解消が発生しないように注意を払う制限はない。
【0043】
また、適切な表面形状を有する凹凸層上に、アルミニウムなど鏡面反射特性を有する材料からなる金属層を形成した場合、自動的に白色散乱面となるので、表示電極5は、特に白色に着色する必要はない。凹凸形状の無い金属薄膜層の表面(鏡面)上に、体積位相ホログラムや微粒子などをこれとは屈折率の異なる樹脂バインダー中に分散させてなる光拡散層を形成して表示電極5に拡散反射機能を付与してもよい。
【0044】
また、特に、表示電極5からの正反射成分が視覚的に金属的に見えることを抑制するために、観察側の前方基板2に、アンチグレア層などの前方散乱層を配置してもよい。
【0045】
抵抗層7の材料としては、光透過性の材料で、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリアセチレンなどの有機膜、もしくはそれの複合体、共重合体を採用できる。また、カーボン含有膜、インジウム−スズ酸化物(ITO)などの無機膜、またはシリコンなどの半導体膜、または導電性のフィラ(充填物)、例えば金属粉、カーボン粒子等をエポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂等に配合して得る導電性樹脂膜も使用できる。さらに、界面部材として、これらの膜の積層膜でもよい。上述した界面層としての機能を果たすには、体積抵抗率は10Ωcm〜1012Ωcm、膜厚は1nm〜200nmが望ましい。インジウム−スズ酸化物(ITO)薄膜を使用する場合、通常の透明電極として使用する膜厚と比較して、より薄い膜厚で形成する。薄膜化に伴い、薄膜の抵抗値が上昇して、実用的な抵抗層7として利用できる。
【0046】
隔壁8の材料としては、表示基板1と同一の材料を用いても良く、アクリル、レジスト等の感光性樹脂を用いても良い。隔壁8の形成方法としては、例えば、感光性樹脂層を塗布した後、露光及びウェット現像を行う方法、または、別に作製したメッシュ状の隔壁8を接着(または転写)する方法、印刷法によって形成する方法等を用いることができる。
【0047】
接続層9の材料としては、共通電極6と隔壁8とが密着できる材料であれば、抵抗層7と同一材料を用いても良い。上述したように、接続層9は、導電性で、透明で、隔壁8に対して共通電極6よりも付着性の高い材料で形成される。ここで、接続層9を透明材料とする理由は、共通電極6を黒色として、その色を透過させるためである。
【0048】
具体的には、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)等の金属薄膜で共通電極6を形成することができる。追加的な着色が不用な黒色の材料としては、Cr等の金属薄膜である「Crと酸化Crの積層膜」を使用できる。共通電極6上に積層される接続層9としては、ポリシランなどの有機膜、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)などの無機膜を採用できる。
【0049】
接続層9の作成方法としては、一般的なフォトリソグラフィ技術を利用できる。例えば、無機膜を成膜した後、感光性樹脂層を塗布して、露光及び現像によって不要部分の感光性樹脂層を除去し、感光性樹脂層に覆われない部分の無機膜をウェットエッチングにより除去する。
【0050】
接続層9の材料として、共通電極6と同一のエッチング工程を適用できる材料を選択した場合、後方基板1の全面に共通電極6の材料層と接続層9の材料層とを連続積層して、この積層膜に対してフォトリソグラフィ技術を適用する。これにより、共通電極6と接続層9とを同時に格子枠状にパターニング可能である。
【0051】
このような構成の電気泳動表示装置100を用いて白黒、或はカラー表示を行うには、帯電粒子4や他の部材を適宜着色しておく必要がある。例えば、白黒表示を行なう場合には、表示電極5の色を白色とし、帯電粒子4の色を黒色とする。
【0052】
なお、第1実施形態の電気泳動表示装置100は、表示電極5に拡散反射機能を持たせた反射型であるが、従来の液晶ディスプレイと同様な透過型、あるいは半透過型の実施形態も可能である。透過型の場合、後方基板1を透明とし、表示電極5を透光性に形成し、後方基板1の後方に、光源、導光板、プリズムシートなどからなるバックライトが配置される。
【0053】
また、半透過型の場合、図3に示すように、拡散機能を実現する凹凸層10を透明にし、反射機能を実現する金属層11の厚さを薄くして半透光性とする。そして、バックライト31からの光の少なくとも一部が、金属層11を透過して移動空間21から前方基板2へ進行するように調整する。金属層11の厚さを加減することで、反射と透過の比率を所望の値に調整することができる。しかし、金属層11の厚さを薄くすると、電気伝導性が低下し、表示電極5としての機能が低下する場合があり得る。そのような場合には、金属層11の上部に別途透明電極11Aを設けて、表示電極5の厚みを補ってもよい。透明電極11Aを構成する材料としては、ITO、ZnOなどの無機酸化物や有機導電性材料など従来公知のものを用いればよい。なお、図3では、透明電極11Aが金属層11の上に直接形成されているが、両者の中間に不図示の層、例えば平坦化層を介在させても構わない。
【0054】
<試作手順等>
図1、図2に示す第1実施形態の電気泳動表示装置100を以下の手順で試作した。図1に示すように、電気泳動表示装置100の後方基板1には厚さ1.1mmのガラス基板を用い、一つの画素(表示セル20)の大きさは100μm×100μmとし、画素a、bの境界部分に配置される隔壁8の幅は5μm、高さは18μmとした。表示電極5は画素a、bの底面中央部分に配置し、一辺90μm、厚さ0.1μmとした。共通電極6は、隔壁8と後方基板1との間に位置させて厚さ0.1μm、画素境界を格子枠状に縁取って配置されて幅5μmである。
【0055】
次に、第1実施形態の電気泳動表示装置100の製造方法について説明する。まず、後方基板1に、微細な凹凸層10(図3)を形成するための感光性樹脂(商品名:OMR83−20Cp、東京応化製)を厚さ1.2μmとなるように塗布する。この後、パターン露光及びウェット現像により、凸部をパターニング形成し、120℃で30分間の加熱処理で硬化させた。
【0056】
次に、凹凸層10を形成した後方基板1の全面に、金属層11(図3)としてアルミニウムを厚さ150nmで成膜し、引き続き、フォトリソグラフィ技術及びウェットエッチングにより輪郭をパターニングして表示電極5を形成した。
【0057】
引き続き、表示電極5を形成した後方基板1上に透明な感光性樹脂(アクリル樹脂)を塗布して段差解消、表面平坦化を行い、露光及びウェット現像を行って表示電極5の中央部分に不図示のコンタクトホールを形成した。表示電極5の表面を覆う絶縁性の感光性樹脂をパターニングして、表示電極5の中央部にコンタクトホールを形成している。抵抗層7と表示電極5とは、このコンタクトホールを介して接続しているので、表示電極5の全面と抵抗層7とが接触せず、両者間に所望の抵抗値を設定できる。
【0058】
そして、硬化した樹脂層の全面に共通電極6となるチタンを成膜し、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチングを用いて格子状にパターニングすることにより、共通電極6を形成した。
【0059】
次に、IZOを全面に成膜して、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチングを用いて共通電極6と同一輪郭にパターニングして接続層9を形成した。
【0060】
次に、接続層9まで形成された後方基板1の全面に感光性エポキシ樹脂を塗布し、マスク露光及びウェット現像を行って移動空間21の感光性エポキシ樹脂を除去することにより、隔壁8が良好に形成された。
【0061】
次に、隔壁8が良好に形成された後方基板1の全面にITOを成膜して抵抗層7を形成した。隔壁8の起立面を覆う抵抗層7は、隔壁8の根元からはみ出した接続層9の表面に連続して積層され、導電性の接続層9を通じて共通電極6に電気的に接続される。
【0062】
そして、後方基板1上の隔壁8で仕切られた移動空間21に分散液体3および帯電粒子4を充填した。ここで、分散液体3には、イソパラフィン(商品名:アイソパー、エクソン社製)を用い、帯電粒子4には、粒径1〜2μm程度のカーボンブラックを含有したポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共重合樹脂を使用する。なお、イソパラフィンには、荷電性制御としてコハク酸イミド(商品名:OLOA1200、シェブロン社製)を含有させる。
【0063】
一方、前方基板2には、封止(接着)層としての紫外線硬化性樹脂を塗布する。前方基板2には、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートを用い、紫外線硬化性樹脂の材質は、ポリエチレングリコールメタクリレートを主成分とする混合物である。
【0064】
そして、分散液体3および帯電粒子4を充填した隔壁8の上に前方基板2を密着させて、硬化性樹脂層が分散液体3に接触するように押し付けつつ前方基板2側から紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂層を硬化させて隔壁8に前方基板2を接着する。これにより、後方基板1、前方基板2、および隔壁8によって形成される区画(閉空間)に絶縁性の分散液体3及び黒色の帯電粒子4が内包される。
【0065】
最後に電気泳動表示装置100に不図示の電圧印加回路を接続して画像表示装置とした。
【0066】
そして、試作された電気泳動表示装置100の表示電極5に+30Vの駆動電圧を印加し、共通電極6に0Vの駆動電圧を印加した。また、表示電極5に−30Vの駆動電圧を印加し、共通電極6に0Vの駆動電圧を印加した。いずれも電圧の印加時間を100msとして、表示電極5と隔壁8の起立面との間で、帯電粒子4は、残ることなく負極性側へ移動することが確認され、良好な駆動と白黒二階調表示とが得られた。
【0067】
<比較例の電気泳動表示装置>
図1に示す電気泳動表示装置100において、接続層9の導電性の材料を絶縁性の材料に置き換えた比較例の電気泳動表示装置を試作した。接続層9の材料を絶縁性の感光性樹脂(アクリル樹脂)とした以外は、各構成部材の材料/寸法、製作工程を第1実施形態と揃えた。
【0068】
次に、このように試作された比較例の電気泳動表示装置の表示電極5に+30Vの駆動電圧を印加し、共通電極6に0Vの駆動電圧を印加した。また、表示電極5に−30Vの駆動電圧を印加し、共通電極6に0Vの駆動電圧を印加した。いずれも電圧の印加時間を100msとしたが、共通電極6と隔壁8の表面の抵抗層7との接触が不安定であり、帯電粒子4の一部が移動しないことがある。
【0069】
比較例の電気泳動表示装置との比較から明らかなように、第1実施形態の電気泳動表示装置100は、共通電極6上に導電性の接続層9を介して隔壁8を形成することにより、隔壁8と共通電極6との接続強度/密着性が向上する。また、これだけでなく、抵抗層7と接続層9とが接触しているため、結果的に共通電極6と抵抗層7とが電気的に確実に接触している。従って、高いシート抵抗の抵抗層7を採用した場合でも、隔壁8の起立面全体が均一な電位の電極面として機能し、隔壁8と表示電極5との間における帯電粒子4の安定した再現性の高い駆動が可能となる。
【0070】
また、電気泳動表示装置100における多数の表示セル20において、駆動電圧条件と帯電粒子4の分布状態との関係が一様に再現される結果、画素ごとの表示のばらつきが減少して高品質な中間階調の画像表示が可能となる。これにより、RGBカラーフィルタ層を配置して3つの表示セルで1つの画素のフルカラー表示を行った場合のカラー表示のばらつきも減少して、高品質なカラー画像表示も可能となる。
【0071】
なお、これまでの説明においては、粒子移動型表示装置の一例として電気泳動表示装置について説明を行った。しかし、本発明は、これに限らず、粒子を移動させて反射層における入射光の反射条件を変化させることにより、少なくとも明暗二つの表示状態を形成する各種の表示装置で広く応用できる。例えば、分散液体を用いないで帯電粒子を気体中で移動させてコントラストを発生させる、いわゆるトナーディスプレイと呼ばれる乾式の表示装置でも利用できる。液晶中に分散させた粒子を移動させてコントラストを発生させる微粒子分散型表示装置でも利用できる。
【0072】
また、これまで説明した構成の画素を複数個規則的に2次元状に配列し、例えば、TFT等の駆動回路と組み合わせて表示装置を構成してもよい。その場合、TFTのソース電極またはドレイン電極と本発明の表示装置の表示電極5とを電気的に接続する必要が発生する場合もあるが、その場合、必要に応じて反射層の一部を貫通する導電性ヴィアを形成して接続を行なってもよい。
【0073】
<第2実施形態>
図4は第2実施形態の電気泳動表示装置の構成を説明する側断面図である。第2実施形態の電気泳動表示装置200は、隣接する3つの表示セル22、23、24に三原色の着色層48、49、50を配置して1つの画素41のフルカラー表示を行う以外、第1実施形態の電気泳動表示装置100と同様に構成されている。従って、図1、図2と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0074】
電気泳動表示装置でカラー表示を行うようにする場合、図2に示す帯電粒子4として、所望の色(三原色)のものを利用する他、帯電粒子4としては実質的に黒色のものを用いる一方で、表示電極5が配置された領域を所望の色に着色してもよい。ここで、表示電極5が配置された領域を着色する方法としては、
・ 表示電極5自体を着色する方法、
・ 表示電極5上に更に別途着色層を配置する方法、
・ 表示電極5自体またはその上に形成されたホログラム拡散体を用いて特定の波長光のみを選択的に反射する方法、
・ 鏡面電極と光拡散層を組み合わせる場合には、表示電極5上に形成された光拡散層を着色する方法、
・ 前方基板2側に従来公知のカラーフィルタを配置する方法、等がある。
【0075】
図4に示すように、電気泳動表示装置200では、赤、緑、青の表示セル22、23、34(副画素42、43、44)を二次元配列して1つの画素41を構成し、3つの表示セル22、23、34の階調バランスにより画素41のフルカラー表示を行う。画素41は、副画素42(表示セル22)、副画素43(表示セル23)、副画素44(表示セル24)を有しており、隣接する副画素の移動空間21は、表面を抵抗層7で覆った隔壁8によって相互に仕切られている。
【0076】
そして、副画素42、43、44には、図1の表示電極5に対応してそれぞれ拡散反射機能を付与した表示電極45、46、47を有し、表示電極45、46、47の上には、半透明の赤色着色層48、緑色着色層49、青色着色層50がそれぞれ配置されている。
【0077】
また、第1実施形態と同様に、後方基板1と隔壁8との間に共通電極6が配置され、隔壁8と共通電極6との間には、導電性の接続層9が配置される。赤色着色層48、緑色着色層49、青色着色層50の中央には表示電極45、46、47を露出させる不図示のコンタクトホールが形成される。そして、赤色着色層48、緑色着色層49、青色着色層50の表面を覆って、表示電極45、46、47とそれぞれの共通電極6とを接続するように抵抗層7が配置されている。
【0078】
これにより、例えば帯電粒子4として黒色のものを用いた場合、移動空間21の帯電粒子4が副画素42、43、44の表示電極45、46、47を覆い隠すと、画素41として黒色が視認される。一方、帯電粒子4を副画素42、43、44の隔壁8の起立面(共通電極6側)に集積すると、画素41として白色が視認される。
【0079】
また、図4に示すように、第2副画素43と第3副画素44とで帯電粒子4を表示電極1上に堆積させ、第1副画素42で帯電粒子4を隔壁8側へ移動させると、画素41として赤色が視認される。同様にして、緑色、青色を始め、赤色、緑色、青色の加法混色により様々な色を呈することができる。
【0080】
なお、着色層48、49、50の色については、赤、緑、青に替えて、シアン、マゼンタ、イエローを組み合わせてもよい。また、これら各色を有する副画素の配置パターンにも、特段の制限はなく、当該分野にて従来公知の様々な配置が利用できることはいうまでもない。
【0081】
なお、表示電極45、46、47上に着色層48、49、50を形成することにより、表示電極45、46、47から帯電粒子4までの距離が長くなり、駆動電圧の上昇や動作時間の増加が発生し得る。このような問題を低減するために、図3の構成と同じく、例えば、表示電極45の構成として、着色層48上に別途透明電極層11Aを形成してもよい。
【0082】
更にまた、第2実施形態の電気泳動表示装置200においても、第1実施形態で説明したように、前方基板2側に更に前方散乱層を配置した反射型としてもよい。また、図3に示すように、表示電極5(45、46、47)を半透過性とし、かつ後方基板1を実質的に透明な材料とし、かつ後方基板1の背後側にバックライトを配置して、半透過型のカラー画像表示装置を構成してもよい。
【0083】
<別の比較例の電気泳動表示装置>
図5は比較例の電気泳動表示装置の構成と動作を説明する側断面図である。図5中、(a)は黒表示、(b)は白表示である。
【0084】
図5の(a)に示すように、比較例の電気泳動表示装置300は、観察側の前方基板102と後方基板101とを隔壁106を介して対向配置している。後方基板101には、表面を白色に着色した面状の表示電極105が配置される。隔壁106は、導電性材料で形成されているので、それ自身が、電気泳動表示装置300を構成する多数の画素に共通な隔壁電極として機能する。表示電極105と隔壁106の表面は、誘電体層107、108で覆われている。
【0085】
前方基板102と後方基板101との隙間を隔壁106で仕切った移動空間21には、絶縁性の分散液体103と、黒色に着色された多数の帯電粒子104とが充填されている。
【0086】
比較例の電気泳動表示装置300は、共通電極の隔壁106を接地電位(0V)として、表示電極105に正極性または負極性の電圧を印加すると、帯電粒子104が、隔壁106の起立面と表示電極105の表面との間で分散液体103中を泳動する。そして、帯電粒子104を表示電極105の表面に集めて広い投影面積に配置した場合と、帯電粒子104を隔壁106の起立面の狭い投影面積に集積させた場合との表示電極105面の色の違いを利用して種々の表示を行う。
【0087】
ところで、比較例の電気泳動表示装置300は、後方基板101に枠状の共通電極6(図1)を配置して、共通電極6上に隔壁106を配置した場合、隔壁106が共通電極6から剥離してしまう場合がある。
【0088】
これに対して、第1実施形態の電気泳動表示装置100と、第2実施形態の電気泳動表示装置200とでは、上述したように、共通電極6と隔壁8との間隙に透明で導電性の接続層9を配置したので、隔壁8と共通電極6とが強固に連絡されて剥離しにくい。
【0089】
また、導電性の接続層9の表面で抵抗層7が接触しているので、隔壁8の表面の抵抗層7と共通電極6との電気的な接続が確実である。
【0090】
また、接続層9は透明なので、黒色の共通電極6によるブラックマトリックス効果を妨げない。
【0091】
<発明との対応>
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、後方基板1の表面に配置された共通電極6と、共通電極6と少なくとも一部重なる位置関係で後方基板1に配置された隔壁8とを備える。そして、隔壁8に対して共通電極6よりも付着性の高い導電性の接続層9を、共通電極6と隔壁8との間に配置している。
【0092】
従って、共通電極6と隔壁8との間に接続層9を配置したので、共通電極6に直接隔壁8を接続した場合に比較して、共通電極6と隔壁8との接合強度が高くなる。そして、接続層9は、導電性を有しているので、共通電極6と隔壁8との間、また、共通電極6と隔壁8の表面に形成される抵抗層7との間の電気的な接続を阻害しない。
【0093】
電気泳動表示装置100は、接続層9が透明である。従って、共通電極6の色を前方基板2側から視認できる。
【0094】
電気泳動表示装置100は、接続層9が、共通電極6と同一の輪郭で積層している。
【0095】
電気泳動表示装置100は、接続層9は、後方基板1上で隔壁8からはみ出して配置され、接続層9のはみ出した部分と隔壁の起立面とを一体に覆って抵抗層7が配置されている。従って、隔壁8の起立面の抵抗層7が接続層9を介して共通電極6に隙間無く確実に接続される。
【0096】
電気泳動表示装置100は、後方基板1に表示セル20ごとの面状の表示電極5が配置され、共通電極6は、表示電極5を囲む枠状の輪郭を有して、隔壁8の厚みよりも幅広である。従って、共通電極6によって表示セル20の輪郭を縁取って不必要な反射光や透過光を遮断するブラックマトリックスを形成可能である。
【0097】
第2実施形態の電気泳動表示装置200は、1つの画素41を複数の表示セル22、23、24で構成している。そして、複数の表示セル22、23、24の表示電極45、46、47にそれぞれ異なる原色の着色層48、49、50が配置され、着色層48、49、50を覆って抵抗層7が配置されている。
【0098】
電気泳動表示装置100は、表示電極5が、拡散反射性を付与された反射面を兼ねている。
【0099】
電気泳動表示装置100は、後方基板1に配置された表示電極5を囲んで隔壁8を配置している。そして、後方基板1上に、表示電極5を囲む枠状の輪郭を持たせて、共通電極6と、隔壁8に対して共通電極6よりも付着性の高い導電性の接続層9との積層構造を形成し、その後、積層構造における接続層9上に隔壁8を形成している。
【0100】
電気泳動表示装置100は、接続層9の幅のほぼ中心線上に、接続層9の幅よりも狭い厚みの隔壁8を形成し、隔壁8からはみ出した接続層9の表面と、隔壁8の起立面とを一体に覆って抵抗層7を形成してある。
【0101】
なお、共通電極6の材料層と接続層9の材料層とを後方基板1に積層した後に、共通のフォトリソグラフィ工程とエッチング工程とによって、共通電極6と接続層9との両方に枠状の輪郭を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】第1実施形態の電気泳動表示装置の構成を説明する側断面図である。
【図2】電気泳動表示装置の画素の構成と配置を説明する平面図である。
【図3】半透過型とした場合の表示電極近傍の構成の外略な説明図である。
【図4】第2実施形態の電気泳動表示装置の構成を説明する側断面図である。
【図5】比較例の電気泳動表示装置の構成と動作を説明する側断面図である。
【符号の説明】
【0103】
1 基板部材(後方基板)
2 前方基板
3 分散液体
4 帯電粒子
5、45、46、47 表示電極
6 薄膜電極部材(共通電極)
7 導電性の表面被覆層(抵抗層)
8 隔壁部材(隔壁)
9 接続層
20、22、23、24 表示セル
21 移動空間
42、43、44 副画素
48、49、50 着色層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部材の表面に配置された薄膜電極部材と、
前記薄膜電極部材と少なくとも一部重なる位置関係で前記基板部材に配置された隔壁部材と、を備えた粒子移動型表示装置において、
前記隔壁部材に対して前記薄膜電極部材よりも付着性の高い導電性の接続層を、前記薄膜電極部材と前記隔壁部材との間に配置したことを特徴とする粒子移動型表示装置。
【請求項2】
前記接続層が透明であることを特徴とする請求項1記載の粒子移動型表示装置。
【請求項3】
前記接続層は、前記薄膜電極部材と同一の輪郭で積層していることを特徴とする請求項1または2記載の粒子移動型表示装置。
【請求項4】
前記接続層は、前記基板部材上で前記隔壁部材からはみ出して配置され、前記接続層の前記はみ出した部分と前記隔壁の起立面とを一体に覆って導電性の表面被覆層が配置されていることを特徴とする請求項3記載の粒子移動型表示装置。
【請求項5】
前記基板部材に表示セルごとの面状の表示電極が配置され、
前記薄膜電極部材は、前記表示電極を囲む枠状の輪郭を有して、前記隔壁部材の厚みよりも幅広であることを特徴とする請求項4記載の粒子移動型表示装置。
【請求項6】
1つの画素を複数の前記表示セルで構成し、複数の前記表示セルの前記表示電極にそれぞれ異なる原色の着色層が配置され、前記着色層を覆って前記表面被覆層が配置されたことを特徴とする請求項5記載の粒子移動型表示装置。
【請求項7】
前記表示電極は、拡散反射性を付与された反射面を兼ねていることを特徴とする請求項5または6記載の粒子移動型表示装置。
【請求項8】
基板部材に配置された表示電極を囲んで隔壁を配置した粒子移動型表示装置の製造方法において、
前記基板部材上に、前記表示電極を囲む枠状の輪郭を持たせて、薄膜電極部材と、隔壁に対して前記薄膜電極部材よりも付着性の高い導電性の接続層との積層構造を形成し、
前記積層構造における前記接続層上に前記隔壁を形成することを特徴とする粒子移動型表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記接続層の幅の中心線上に、前記幅よりも狭い厚みの隔壁を形成し、
前記隔壁からはみ出した前記接続層の表面と、前記隔壁の起立面とを一体に覆って導電性の表面被覆層を形成することを特徴とする請求項8記載の粒子移動型表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記薄膜電極部材の材料層と前記接続層の材料層とを前記基板部材に積層した後に、共通のフォトリソグラフィ工程とエッチング工程とによって、前記薄膜電極部材と前記接続層との両方に前記枠状の輪郭を形成することを特徴とする請求項9記載の粒子移動型表示装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−155879(P2007−155879A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347701(P2005−347701)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)