粒子線処理装置及び該装置を使用して処理することができる材料
本発明は、サイズがより小さく、より高い効率で作業する粒子線処理装置に関し、そしてまた、処理可能な材料から成る基材上のコーティングを処理するために、例えばフレキシブル包装のためにこのような装置を使用することに関する。処理装置は、粒子線生成アセンブリとフォイル・サポート・アセンブリと処理アセンブリとを含む。粒子線生成アセンブリにおいて、電子を生成し加速することにより、電子がフォイル・サポート・アセンブリを通過するようにする。フレキシブル包装用途において、低電圧、例えば110kボルト以下で操作する処理装置に基材を供給し、そして、加速粒子に対して暴露することにより、基材上のコーティングを処理する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許第6,426,507号として発行された、1999年11年5日付け出願の米国特許出願第09/434,380号明細書の部分継続である。
【0002】
発明の分野
本発明は、粒子線処理装置及び該装置を使用して処理することができる材料に関する。具体的には、本発明は、粒子生成アセンブリ、薄フォイルを有するフォイル・サポート・アセンブリ、及び処理ゾーンを有する粒子線処理装置に関する。処理可能な材料が装置によって生成された粒子に対して暴露されると、これらの粒子は材料のコーティング上の化学反応を引き起こす。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
基材又はコーティングを、高加速粒子線、例えば電子ビーム(EB)に対して暴露して、基材又はコーティング上の化学反応を引き起こすために、粒子線処理装置が広く使用される。
【0004】
電子は、全ての物質に見いだされる負電荷粒子である。ちょうど惑星が太陽の周りを回るように、電子は原子の核の周りを回転する。電子を共有することにより、2つ又は3つ以上の原子が互いに結合して、分子を形成する。EB処理の場合、高エネルギー電子を使用することにより、種々多様の製品及び材料の分子構造を改変する。例えば電子を使用することにより、特別に構成された液体コーティング、インク及び接着剤を変化させる。EB処理中、電子は結合を破断し、荷電粒子及びフリーラジカルを形成する。これらのラジカルは次いで合体して大型分子を形成する。このプロセスにより、液体は固体に変化させられる。このプロセスは重合として知られている。
【0005】
EB処理で処理される液体コーティングは、印刷用インク、ワニス、シリコーン剥離コーティング、プライマー・コーティング、粘着剤、バリア層及び貼合わせ用接着剤を含むことができる。またEB処理を用いることにより、EB処理に反応するように全て特別に構成された固形材料、例えば紙、基材及び不織布基材の物理特性を変化させ、向上させることもできる。
【0006】
粒子線処理装置は概ね3つのゾーン、すなわち、粒子線が生成される真空チャンバ・ゾーン、粒子加速器ゾーン、及び処理ゾーンを含む。真空チャンバ内では、タングステン・フィラメントをタングステンの熱イオン放出温度である約2400Kまで加熱することにより、電子雲を形成する。正電圧差を真空チャンバに印加することにより、これらの電子を抽出し、そして同時に加速する。その後、電子は薄フォイルを通過し、そして処理ゾーンに入る。薄フォイルは、真空チャンバと処理ゾーンとの間のバリアとして機能する。加速された電子は、薄フォイルを通って真空チャンバを出、そして周囲条件にある処理ゾーンに入る。
【0007】
現時点で商業的に入手可能な電子ビーム処理装置は一般に、最小電圧125kボルトで操作する。これら既存のEBユニットは、厚さ12.5μmのチタンから形成された薄フォイルを利用することにより、1分当たり800〜1000フィートの速度で処理装置を通って供給される基材上のコーティングを硬化させる。このようなEBユニットは、マサチューセッツ州ウィルミントン在、Energy Sciences, Inc.から購入されるモデル番号125/105./1200であってよい。現在の技術は、或る特定の産業、例えばフレキシブル食品包装には用いることができない。125kボルトで作業するEBは、包装される食品と接触するポリエチレン系シーラント・フィルム上に相当量のエネルギーを沈積させる。この沈積は、フィルムにおいて異臭を発生させ、そしてそのシール開始温度を高くする。
【0008】
このようなEBユニットの効率は、操作電圧を125kボルト未満に低減することにより改良することができる。加えて、125kボルト未満で作業することは、エネルギー沈積の深さをより良好に制御することを可能にし、そしてシーラント・フィルムによって吸収されるエネルギーを最小化する。しかし、電圧が125kボルト未満に低減されると、チタン・フォイルを通って移動する電子の運動エネルギーが減少する。なぜならば、チタン・フォイルによってより多くのエネルギーが吸収されるようになり、フォイルを過熱させることになるからである。過剰の熱によって、チタン・フォイルは青く、脆弱になり、そしてその機械強度を失う。過剰の熱はまた、システムの熱管理に伴う問題を引き起こす。その結果、基材の供給速度を著しく低減しなければならず、このことは処理装置を商業的に実現不能にしてしまう。
【0009】
前述の説明に照らせば、より効率的に作業し、サイズがより小さく、電力需要が低減され、そして構成するのがより低廉であるような粒子線処理装置を提供する必要がある。
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
本発明の利点及び目的は下記説明に一部が示され、一部は下記説明から明らかになり、又は本発明の実施により学習することができる。本発明の利点及び目的は、添付の特許請求の範囲において具体的に指摘された要素及びこれらの組み合わせによって実現され、達成される。
【0011】
本明細書中で具体化され幅広く記載されているように、本発明の利点を得るために、また本発明の目的に従って、本発明の1観点は、上側と下側とを有する基材と、該基材の上側の、粒子線で処理可能なラッカー・コーティングとを含む、粒子線で処理可能な材料に関する。ラッカー・コーティングは、該ラッカー・コーティングに対する化学反応を引き起こすための、110kボルト以下の範囲の電圧で操作する粒子線処理装置によって生成された高加速粒子に対して暴露することにより処理される。粒子線で処理可能な材料はまた、該基材の下側の、放射線不安定化層を含む。
【0012】
本発明の第2の観点は、粒子線で処理可能な材料を形成する方法に関する。この方法は、上側と下側とを有する基材を準備し、該基材の下側に、放射線不安定化層を塗布し、該基材の上側に、粒子線で処理可能なラッカー・コーティングを塗布し、そして該放射線不安定化層に影響を与えることなしに該ラッカー・コーティングに対する化学反応を引き起こすための、110kボルト以下の範囲の電圧で操作する粒子線処理装置によって生成された高加速粒子に対して、該ラッカー・コーティングを暴露することを含む。
【0013】
本発明の第3の観点は、現在利用可能な装置よりもサイズが小さく、そして基材上の化学反応を引き起こす効率がより高い粒子線処理装置に関する。この装置は、電源と、容器内の真空環境を形成して維持するための真空ポンプと、真空容器内に配置され、110kボルト以下の範囲の第1電圧で操作する該電源に接続された粒子生成アセンブリとを含む。粒子生成アセンブリは、加熱時に複数の粒子を生成するための1つ以上のフィラメントを含む。この装置はまた、フォイル・サポート・アセンブリと処理アセンブリとを含む。フォイル・サポート・アセンブリは、該第1電圧よりも高い第2電圧で操作することにより、前記粒子の少なくとも一部が該第1電圧から該第2電圧に移動して、該フォイル・サポート・アセンブリを出るのを可能にする。フォイル・サポート・アセンブリは、厚さ10μm以下のチタン又はその合金から形成された薄フォイル、又は厚さ20μm以下のアルミニウム又はその合金から形成された薄フォイルを含むことができる。処理アセンブリは、前記化学反応を引き起こすために使用される該フォイル・サポート・アセンブリを出る前記粒子を受容する。該処理装置の機械収率(K)が:
【0014】
K=(線量・速度)/電流
に基づいて決定され、
上記式中、
KはMrad・フィート/分/mAmpで測定された機械収率であり、
線量は、Mradで測定された、単位質量当たりの吸収されたエネルギーであり、
速度は、フィート/分で測定された該基材の供給速度であり、そして
電流は、mAmpで測定された、加熱されたフィラメントから抽出された電子の数である。
【0015】
本発明の第4の観点は、粒子線処理装置内で基材上の化学反応を引き起こす方法に関する。この方法は、1つ以上のフィラメントを有する粒子生成アセンブリ内で真空を形成して維持し、該1つ以上のフィラメントを加熱することにより、複数の粒子を形成し、そして110kボルト以下の範囲の第1電圧で該粒子生成アセンブリを操作させることを含む。この方法はまた、10μm以下のチタン又はその合金から形成された薄フォイルを有するフォイル・サポート・アセンブリを、該第1電圧よりも高い第2電圧で操作させることにより、前記粒子の少なくとも一部が該第1電圧から該第2電圧へ移動し、そして、該粒子生成アセンブリ内の該真空を出るようにすることを含む。薄フォイルは、厚さ10μm以下のチタン又はその合金から形成されてよい。或いは薄フォイルは、厚さ20μm以下のアルミニウム又はその合金から形成されてよい。この方法はさらに、該真空を出た粒子が薄フォイルを通過するようにすることにより、該粒子を処理アセンブリに入れ、該処理アセンブリで、該基材が該粒子に対して暴露されることを含む。該処理装置の機械収率(K)が:
K=(線量・速度)/電流
に基づいて決定され、
上記式中、
KはMrad・フィート/分/mAmpで測定された機械収率であり、
線量は、Mradで測定された、単位質量当たりの吸収されたエネルギーであり、
速度は、フィート/分で測定された該基材の供給速度であり、そして
電流は、mAmpで測定された、加熱されたフィラメントから抽出された電子の数である。
【0016】
いうまでもなく、前記総体的な説明及び下記詳細な説明は一例を説明するものにすぎず、特許請求の範囲として本発明を限定するものではない。下記説明において付加的な利点を示し、これらの利点の一部は説明から明らかであり、或いは、本発明の実施により学習することができる。利点及び目的は、添付の特許請求の範囲に示された組み合わせによって得ることができる。
【0017】
実施態様の詳細な説明
本発明と合致した装置、材料及び方法のいくつかの実施態様を以下に詳細に参照する。これらの実施態様の例を添付の図面に示す。可能な場合には、同じ又は類似の部分に言及するために、同じ符号を図面全体にわたって使用する。さらに、本発明は下記例によって一層明らかになる。
【0018】
本発明による粒子線処理装置は、比較的小さなサイズで、そして本発明の少なくとも2つの特徴:(1)操作電圧が110kボルト以下に低減されること;及び(2)薄フォイルがチタン又はその合金から形成される場合には、10μm以下の厚さを有し、そしてアルミニウム又はその合金から形成される場合には、20μm以下の厚さを有すること、により、高い効率で操作するようにできる。
【0019】
本発明の原理によれば、粒子線処理装置は、電源と、粒子生成アセンブリと、フォイル・サポート・アセンブリと、処理アセンブリとを含む。
図1は、電源102と、粒子線生成アセンブリ110と、フォイル・サポート・アセンブリ140と、処理アセンブリ170とを含む、本発明の原理と合致する粒子線処理装置100を概略的に示す。電源102は好ましくは、110kボルト以下、より好ましくは90〜100kボルトの範囲の操作電圧を処理装置100に提供する。電源102は、電気的に絶縁された鋼チャンバ内に配置された複数の変圧器を含むことにより、粒子線生成アセンブリ110に高電圧を供給して、粒子、例えば電子を生成する、商業的に入手可能なタイプであってよい。
【0020】
粒子線生成アセンブリ110は、容器又はチャンバ114の真空環境内に保持されることが好ましい。EB処理装置の場合、粒子生成アセンブリ110は一般に電子銃アセンブリと呼ばれる。排気されたチャンバ114は、密封容器から形成することができ、この密封容器内で、粒子、例えば電子が生成される。約10-6Torrオーダーの真空環境を形成するために、真空ポンプ212(図3に示す)が設けられている。チャンバ114の真空環境内部では、高電圧電源102が給電してフィラメント112を加熱すると、電子雲がフィラメント112の周りに生成される。
次いでフィラメント112は白熱し、そして電子雲を生成する。下記のように電子は負荷電粒子なので、電子は次いでフィラメントからより高い電圧領域に引き出され、そして極めて高い速度に加速させられる。フィラメント112は、一般にタングステンから形成された1本又は2本以上のワイヤから構成することができ、また、フォイル・サポート144の全長にわたって均一な間隔を置くように構成することができ、そして基材10の全幅にわたって電子ビームを発射する。
【0021】
図1及び図2に示すように、粒子線生成アセンブリ110は抽出器グリッド116と、末端グリッド118と、リペラ板120とを含むことができる。リペラ板120は、電子を弾き、電子を抽出器グリッド116に向かって送る。リペラ板120は異なる電圧、好ましくはフィラメント112よりも僅かに低い電圧で作業することにより、図2に示すような電子ビーム方向とは離反した方向にフィラメント112から逃げた電子を捕集する。
【0022】
僅かに異なる電圧、好ましくはフィラメント112よりも高い電圧で作業する抽出器グリッド116は、フィラメント112から離れた電子を吸引し、そしてこれらの電子を末端グリッド118に向かって案内する。抽出器グリッド116は、雲から引き出される電子の量を制御し、この量は電子ビームの強度を決定する。
【0023】
概ね抽出器グリッド116と同じ電圧で操作する末端グリッド118は、電子がフォイル・サポート・アセンブリ140を通過するために極めて高い速度に加速する前に、電子のための最終関門として作用する。
【0024】
本発明の1実施例によれば、例えばフィラメント112は-110,000ボルトで作業し、フォイル・サポート・アセンブリ140は接地されるか、又は0ボルトに設定されてよい。リペラ板120は、-110,010ボルトで作業することにより、いかなる電子をもフィラメント112に向かって弾くように選択することができる。抽出器グリッド116及び末端グリッド118は、-110,000ボルト〜-109,700ボルトの範囲で操作するように選択することができる。
【0025】
電子は次いで真空チャンバ114を出て、薄フォイル142を通してフォイル・サポート・アセンブリ140に入ることにより、化学反応のためにコーテッド材料又は基材10に浸透する。化学反応は例えば、重合、架橋又は滅菌を含む。電子の速度は、1秒当たり100,000マイルもの高さであるか又はそれ以上であってよい。フォイル・サポート・アセンブリ140は、一連の平行な銅リブから形成することができる(図示せず)。薄フォイル142が図1に示すように、フォイル・サポート・アセンブリ140の外側に確実にクランプされることにより、チャンバ114内部の漏れ防止真空シールを提供する。高速電子は銅リブの間を自由に通り、薄フォイル142を貫通し、そして処理される基材10内に入る。過度のエネルギー損失を防止するために、フォイルはできる限り薄く形成すると同時に、粒子生成アセンブリ110内部の真空状態と処理アセンブリ170との圧力差に耐えるのに十分な機械強度を提供することが好ましい。
【0026】
本発明の原理によれば、粒子線処理装置は、フォイル・サポート・アセンブリの薄フォイルがチタン又はその合金から形成され、その厚さが10μm以下、好ましくは3〜10μmの範囲、より好ましくは5〜8μmの範囲である場合、より小さなサイズで形成することができ、そしてより高い効率レベルで作業することができる。或いは、薄フォイル142は、厚さが20μm以下、好ましくは6〜20μmの範囲、より好ましくは10〜16μmの範囲のアルミニウム又はその合金から構成することもできる。
【0027】
電子がフォイル・サポート・アセンブリ140を出ると、これらの電子は処理アセンブリ170に入る。処理アセンブリにおいて、電子はコーティング又はウェブ基材10に浸透し、化学反応を生じさせる結果、重合、架橋又は滅菌をもたらす。図3に示すように、コーティング又はウェブ基材10は、処理装置100内に供給されることにより、処理アセンブリ170に入る。処理アセンブリ170は、基材10がローラ204, 206及び208に入ることにより、処理アセンブリ170を通して基材10を案内して供給するウェブ入口202と、基材10が処理装置100を出るウェブ出口210とを含む。処理される製品は瞬時に変化させられ、乾燥又は冷却を必要とせず、多くの新しく望ましい物理特性を含有する。製品は処理後直ちに出荷することができる。
【0028】
粒子線処理装置は、装置の周囲の少なくとも一部を取り囲む保護ライニングを含むことにより、電子が物質中に吸収されるにつれて電子が減速した時に発射される放射線、例えばX線を吸収することができる。
【0029】
図1に示すように、保護ライニング190は、処理装置100、例えば排気されたチャンバ114及び処理アセンブリ170の周囲を取り囲む。保護ライニング190は、電子が物質内で減速したときに生成される実質的に全てのX線を吸収する。保護ライニング190のために選択される厚さおよび材料は、X線の所期吸収速度によって主に決定される関数を形成する。1実施態様の場合、保護ライニング190は好ましくは、約0.1mrem/時以下の残留物を伴う吸収速度でX線放射線を吸収することができる。単位mrem/時は、1時間当たりの人体0.1ミリ放射線当量の吸収を表す。1ミリremは、電子及びX線の1ミリradと等価である。発射された放射線を測定する1つの方法は、Bicron RSO-5として商業的に知られているイオン化チャンバ装置のような装置によって、保護ライニング190から10cm離反した距離で吸収を測定することによる。粒子線処理装置100の安全対策をさらに増強するために、セーフティ・インターロック・スイッチ(図示せず)を設けることにより、インターロックが開かれたときにはいつでも自動的に生産を停止することにより安全な作業を保証することができる。
【0030】
粒子線処理装置はさらに、プロセッサー、例えばコンピュータ化されたマイクロプロセッサを含むことにより、生成される電子の量を調節することができるので、電子ビーム出力が基材の供給速度に対して比例的になる。図1に示すように、いくつかのプロセス、例えば所要の真空環境の維持プロセス、所定の電圧及びフィラメント出力によるシステム動作の開始プロセス、コンスタントな処理レベルを維持するためのプロセス速度と電子生成との同期プロセス、機能及びインターロックのモニタリング・プロセス、及びシステム機能が設定限度を超えるか又はインターロックの問題が検出された場合にはいつでも警告及び/又はアラームを提供するプロセスを制御するために、プロセス制御システム200が設けられる。
【0031】
操作中、粒子線処理装置100は下記のように働く。真空ポンプ212(図3に示す)は、チャンバ114から空気を排出し、これにより約10-6Torrの真空レベルを達成する。この時点で、処理装置100は完全に作動状態になる。粒子生成アセンブリ110において、リペラ板120と抽出器グリッド116と末端グリッド118とを含む粒子銃アセンブリ成分は、個別に制御された3つの電圧に設定される。これらの電圧は、電子の放出を開始し、そしてこれらの電子がフォイル・サポート144を通過するのを案内する。
【0032】
粒子線処理中に、排気されたチャンバ114内部の電界の組み合わせが「プッシュ/プル」効果を形成する。この「プッシュ/プル」効果は、フォイル・サポート144の薄フォイル142に向かって電子を案内して加速させる。薄フォイルはグラウンド(0)電位にある。生成される電子の量は、抽出器グリッド116の電圧と直接的に関連する。低生成速度時には、抽出器グリッド116は、より大きな電圧が印加される場合の高速時よりも低い電圧に設定される。抽出器グリッド116の電圧が増加するのにつれて、電子の量もそのようにフィラメント112から引き出される。
【0033】
硬化されるべきコーティング、例えばインク、接着剤及びその他のコーティングは一般に、液体状態から固体状態に化学変換させるための低酸素環境を必要とする。従って、本発明による粒子線処理装置は、図1に示すように、処理ゾーン170内に分配された複数のノズル172, 174, 176及び178を含むことにより、酸素以外のガスを注入して、処理ゾーン内の酸素を押し退けることができる。1実施態様の場合、ノズル172, 174, 176及び178を通って処理ゾーン170内にポンプ供給されるように窒素ガスを選択し、これにより完全な硬化を妨げることになる酸素を押し退ける。
【0034】
上記説明から判るように、粒子線処理装置100を校正することにより、極めて高精度の仕様を達成することができる。なぜならば、基材又はコーティング上に望まれる正確な硬化深さレベルを提供するように、プロセス制御システム200を設定することができるからである。プロセス制御システム200は、線量、及びコーティング又は基材中への電子浸透深さを計算する。電圧が高ければ高いほど、電子速度及び結果として生じる浸透も大きくなる。
【0035】
線量は、単位質量当たりの吸収されるエネルギーであり、メガラド(Mrad)で測定される。メラガドは1グラム当たり2.4カロリーと等価である。吸収される電子の数が多ければ多いほど、この電子数はより高い線量値を反映する。使用時には、線量は一般に、コーティングの材料及び硬化されるべき基材の深さによって決定される。例えば、質量密度20グラム/m2のわら紙から形成された基材上のコーティングを硬化させるためには、5Mradの線量を必要とすることができる。線量は、抽出された電子の数である操作ビーム電流に対して正比例し、そして、基材の供給速度に対して反比例する。このことは下記式:
線量=K・(I/S)
によって表される。上記式中、IはmAmpで測定された電流であり、Sはフィート/分で測定された基材の供給速度であり、そしてKは、処理装置の機械収率、又は特定の処理装置の出力効率を表す比例定数である。
【0036】
図4〜7のチャートに示されているような下記実施例は、一連の試験結果として提供されるものである。図4は、操作電圧90kVで測定した、3つの異なる厚さの薄フォイルに関する、深部線量プロフィールと質量密度との関係を示している。図5は、厚さ5、8及び12.5μmのチタンから形成された薄フォイルに関する、kボルトで測定した操作電圧(「高電圧」)と、幅1.5フィートの処理装置の機械収率Kとの関係を示す。図6は、種々の操作電圧に関する、深部線量プロフィールとコーティングの質量密度との関係を示す。図7は、厚さ17、12.5及び8μmのチタンから形成された3つの薄フォイルに関する、keVで測定した薄フォイル(「dE」)によって吸収されたエネルギーと、keVで測定した入射エネルギー又は操作電圧との関係を示す。
【0037】
本発明の目的は、操作電圧を生成するのに必要な出力を低減するために、できる限り低い操作電圧を印加することにより、処理装置の出力効率を高め、これにより、処理装置をよりコンパクトにし、しかもより低廉に製造できるようにすることである。従って、図6の深部線量プロフィールに示すように、最適曲線は好ましくは、硬化されるべきコーティングの密度を表すx軸と交差する仮想垂線に向かって接近する。しかし、前述のように、操作電圧の低減は、処理装置を商業的に実現不能にする著しい熱の問題を招く。図4及び7に示すように、厚さ10μm以下のチタン・フォイルを利用することにより熱の問題を解決することができる。
【0038】
これらの試験で得られたデータは、薄膜線量測定技術を利用して測定したものである。線量測定技術は、厚さ9〜10μm範囲のナイロンフィルムに関与する。線量計は放射性クロムを含有する。放射性クロムは、色素が電磁放射線に暴露されると、無色から青に色を変化させる。青色の強度は、ナイロンフィルムから得られた放射線暴露量に対して正比例する。濃度計を使用して青色の強度又は光学濃度を測定することにより、測定された光学濃度から、吸収された線量(Mrad)へ換算することができる。光学濃度から線量(Mrad)への変換は、メリーランド州ゲーサーズバーグ在National Insutitute of Standards and TechnologyにおけるCo60ガンマ設備を使用した線量計及び濃度計の従来の校正により達成される。これらの試験は、カリフォルニア州ゴレタ在、Far West Technologyによって製造された線量計モデルFWT-60-810、及びカリフォルニア州ゴレタ在、Far West Technologyによって製造された濃度計モデル92 SXN 3285を利用した。
【0039】
実施例1:
図4に示す第1試験の結果は、厚さ12.5μm未満のチタンから形成された薄フォイル142を使用した粒子線処理装置が、基材10内の電子浸透を改善することを示す。
第1試験において、薄膜ナイロン線量計を使用することにより、電子の浸透可能性を測定した。この試験のパラメーターは、操作定電圧90kボルト、線量5Mrad、及び薄チタン・フォイルを含む。3枚の試験片を試験することにより、12.5、8、及び5μmの3つの異なるチタン・フォイル厚を研究した。それぞれのフォイル厚に対して1枚の試験片を使用した。
【0040】
3つの試験片は30枚の線量計から形成した。それぞれの線量計は約2 x 2cm2の表面積を有した。これらの線量計を3つのスタックに分けた。それぞれのスタックは、互いに上下に重ねられた10枚の線量計配列を含有した。各線量計スタックの1つのエッジを、厚さ125μmのポリエステル担体にテープ接合した。次いで3つのポリエステル担体を紙基材にテープ接合し、そして処理装置100を通して供給することにより、放射線処理を受けさせた。第1スタックを処理装置100内で、12.5μmチタン・フォイルで処理し;第2スタックを8μmで処理し;第3スタックを5μmで処理した。放射線処理に続いて、3つのスタックを炉内で5分間にわたって60℃でアニールした。次いで線量計を分離し、濃度計上で個別に測定し、そして線量Mradに換算した。それぞれのスタックに関して、得られた線量値は、第1線量計に基準化した。
【0041】
図4は、この試験から得られたデータを示す。Y軸はそれぞれのスタックの規準化線量を表し、X軸は質量密度グラム/m2を表す。質量密度は、10グラム/m2となる線量計質量密度を測定することにより得た。第1ポイントは質量密度の半分にあり、次いでこれにそれぞれの質量濃度が、後続のポイントのために加えられるものと想定する。この試験は、粒子線処理装置100内で使用されるフォイルが薄ければ薄いほど、達成される基材10上の電子浸透率は高くなることを結論する。
【0042】
実施例2:
図5に示された第2試験の結果は、より薄いフォイルは基材上の電子浸透を改善するだけではなく、効率又は機械収率Kをも増大させる。
【0043】
第2試験の場合、第1試験と同様に、薄膜ナイロン線量計を使用することにより、kボルトで測定した種々の作業電圧における、幅1.5フィートの処理装置の機械収率Kを測定した。4つの測定を実施することにより、厚さ12.5μm、10μm、8μm及び5μmの4つの異なるチタン・フォイルを研究した。
【0044】
9枚の個々の線量計チップの平均を計算することにより、機械収率K値を得た。約2 x 2cm2のそれぞれの線量計の1つのエッジを、ポリエステル担体にテープ接合した。それぞれのポリエステル担体は、9つの線量計を含有した。ポリエステル担体を紙基材にテープ接合し、そして処理装置100を通して供給することにより、放射線処理を受けさせた。輻射後、線量計を60℃で5分間にわたってアニールした。その後、光学濃度及び線量値を測定した。それぞれの測定に関して、4Mradを線量計に供給するように、処理装置100を設定した。処理装置100は、基材の供給速度フィート/分、及び粒子線の電流mAmpを示すためのいくつかのゲージ(図示せず)を含んだ。平均線量を決定し、そして、これを下記等式:
K=(Mrads・フィート/分/mAmp)=(線量(Mrads)×速度(フィート/分)
/電流(mAmp)
に基づいてK値を計算するために使用した。同じ手順を全ての電圧に関して繰り返した。
【0045】
図5は、この試験から得られたデータを示す。Y軸は機械収率を表し、X軸は操作電圧kボルトを表す。この試験は、フォイルが薄ければ薄いほど、効率又は機械収率Kが増大することを結論する。本発明による処理装置の機械収率Kは増大し、対応する最適操作電圧において最適値に達する。図5に示すように、10μmチタン・フォイルを使用し、そして処理装置が110kボルトで操作すると、機械収率はほぼ23に達する。8μmチタン・フォイルを使用し、そして処理装置が100kボルトで操作すると、機械収率は90〜100kボルトでほぼ30に達する。同様に5μmチタン・フォイルを使用し、そして処理装置が70kボルトで作業すると、機械収率はほとんど30に達する。12.5μmチタン・フォイルを使用した処理装置と、10、8及び5μmチタン・フォイルを使用した処理装置との間の機械収率Kを比較すると、下記関係が推論される:
電圧80〜110kボルトで操作する10μmチタン・フォイル;
電圧70〜110kボルトで操作する8μmチタン・フォイル;
電圧60〜110kボルトで操作する5μmチタン・フォイルに関して、
K ≧ 20/L
であり、前記式中、Lはフィートで測定した処理装置の幅であり、この場合には1.5フィートである。
【0046】
実施例3:
図6に示された第3試験の結果は、フレキシブル食品包装の分野において、電圧110kボルト以下で処理装置100を操作することの1つの利点を示す。
【0047】
第3試験において、種々の操作電圧における処理装置100の深部線量プロフィールを、第1試験に関して前述した手順に従って測定した。フレキシブル食品包装の典型的な用途は、加工肉及びチーズの包装である。この包装は一般には、3層、すなわち上側フィルムと接着剤とシーラントとを含む。例えば、下記表1は、典型的な包装用の層、及びグラム/m2で測定された基準厚を示す。
【0048】
表1
0.5ミルのポリエステル・タイプ(PET)から成る上側フィルム:17.0グラム/m2
接着剤:3.0グラム/m2
ポリエチレン・コポリマーから成るシーラント:40.0グラム/m2
【0049】
電子ビームを全体に使用することにより、上側フィルムとシーラントとの間の接着剤を硬化させた。
【0050】
図6に示すように、125kボルトで作業する、現在市場において利用可能なEB処理装置は、上側フィルムと接着剤とを硬化させる20グラム/ m2の深さで接着剤を十分に硬化させた。しかし、このEB処理装置は、60グラム/ m2の深さ(上側フィルム、接着剤及びシーラント)でシーラント層にかなりの線量を沈積させた。包装される食品と接触するポリエチレン系シーラント層は、この層に沈積された線量を吸収するときに、望ましくない臭気を放つ。加えて、沈積された線量はまた、シール開始温度を高くし、従ってヒートシールを難しくする。シーラント層に対するこれら2つの影響は、目下のEB処理装置がフレキシブル食品包装業界の需要を満たすことを妨げる。
【0051】
本発明の原理と合致した処理装置100は、商業的に実現可能な基材供給速度で、電圧範囲110kボルト以下、好ましくは90〜100kボルトで操作することにより、従来の処理装置の問題を克服する。図6に示すように、110kボルト以下の操作電圧において、深さ20グラム/m2で接着剤を適正に硬化させることができ、ひいては、シーラントフィルムに与える損傷が少なくなる。
【0052】
実施例4:
図7に示された第4試験の結果は、チタン・フォイルによって吸収されるエネルギーと、kボルトで測定したその操作電圧との関係を示す。この研究は、3つの異なるチタン・フォイル厚17、12.5及び8μmを比較した。17及び12.5μmに関する研究を、National Institute of Standards and Technologyにおいて、モンテカルロ計算を使用したチタン・フォイルの電子エネルギー散逸に従って実施した。これらの研究から得られたデータに基づいて、8μmチタン・フォイルのデータを推定した。この研究により、フォイルが薄ければ薄いほど、特により低い電圧で、吸収するエネルギーが少なくなることが確認された。従って、厚さ10μm以下のフォイルを利用する処理装置が、熱管理の問題を解決する。それというのも、フォイルによって吸収されるエネルギーは、フォイルに伴う熱管理の問題を引き起こす出力に変換するからである。
【0053】
本発明による処理装置は、操作電圧110kボルト以下で操作することができるので、操作電圧を発生させる電源のサイズを小さくすることができるだけではなく、粒子線生成アセンブリを含有するための排気された容器のサイズを著しく小さくすることができる。さらに、保護ライニングの厚さを小さくすることができる。なぜならば、操作電圧が110kボルト以下の場合には、排気された容器を電子がより低速で出ることにより、放出される深刻な放射線が少なくなるからである。
【0054】
使用に際しては、製造プロセス、例えば電子ビーム(EB)処理において粒子線処理装置を用いることにより、装置に暴露された基材又はコーティングを処理することができる。処理は、化学反応、例えば重合、架橋又は滅菌を含んでよい。基材又はコーティングが、高度に加速された電子に暴露されると、反応が発生し、この反応において、基材又はコーティングにおける化学結合が破断され、新しい改変された分子構造が形成される。この用途はいかなる粒子線にも広くあてはまるが、例示を目的として、電子ビームに関して具体的に説明する。以下に、EB処理中に発生することが考えられる化学反応について説明する。
【0055】
実施例5:
架橋は、処理される材料の物理特性を変化させ向上させる化学反応である。架橋過程において、大型ポリマー鎖相互間で、化学結合又はリンクの相互接続網が発生し、これにより、より強力な分子構造を形成する。架橋反応によるEB処理を用いると、例えば、プラスチック様基材又はゴム基材が電子で処理されたときに、これらの製品中の大型ポリマーが多くのリンク結合を発生させる。これらの結合は、製品の性能、及び昇温時の脆弱化に対するその抵抗を高める。図8は、基材10Aが符号100で概略的に示す粒子線処理装置の下を通って左側領域12Aの未処理状態から暴露領域14A内に、そして右側領域16Aの処理済状態へ移るのに伴って発生する、基材10A上の架橋反応を示す。
【0056】
実施例6:
架橋と同様に、重合も、いくつかの個別の分子群が組み合わさって、ポリマーと呼ばれる1つの大型基を形成するプロセスである。重合は、処理される製品の有意な物理的変化を引き起こし、その結果、多くの所望の物理特性、例えば高い光沢度及び磨耗抵抗をもたらす。例えば、EB処理中に加速電子に暴露されると、家具用コーティング及び接着剤が、液体(未硬化)状態から非粘着性(硬化済)固体状態にほとんど瞬時に変化させられる。図9は、基材10Bが粒子線処理装置100の下を通って左側領域12Bの未処理状態から暴露領域14B内に、そして右側領域16Bの処理済状態へ移るのに伴って発生する、基材10B上の重合反応を示す。
【0057】
実施例7:
滅菌は、微生物を滅菌状態にするか又は再生不能にすることにより、汚染性微生物を破壊するプロセスである。電子が微生物中に向けられ、この際に再生を制御するDNA鎖を破断するときに、EB滅菌が行われる。製品が滅菌されると、微生物分解は生じ得ない。電子が化学的滅菌剤ではなく物理的滅菌剤として作用するので、電子は標的製品の化学特性を変化させず、またはいかなる残留化学物質をも残す。EB滅菌は、化学的な滅菌技術、例えば過酸化水素及びエチレンオキシドを使用する技術を上回る多数の利点を提供する。例えば、EB滅菌を用いることにより、医薬品及び痛みやすい食品、並びにこれらのそれぞれの包装を滅菌することができるが、化学的な滅菌は用いることはできない。図10は、基材10Cが、符号100で概略的に示す粒子線処理装置100の下を通って左側領域12Cの未処理状態から暴露領域14C内に、そして右側領域16Cの処理済状態へ移るのに伴って発生する、基材10C上の滅菌反応を示す。
【0058】
近年、EB処理の用途は、多くの種々異なる業界において幅広く容認されている。例えば、包装業界において、フレキシブル包装は、その対応する剛性又は半剛性包装、例えば缶詰め及び瓶詰めと比較して、著しく成功裡の成長をおさめている。剛性及び半剛性の包装代替物を上回るこのような成功の1つの理由は、フレキシブル包装がコスト及び資源の削減を可能にすることである。一般にはEB機と業界では呼ばれている、本発明による粒子線処理装置を使用することにより、この業界の要件を満足させることができる。これらの要件は、より低廉であり、しかも米国食品医薬品局のような政府機関によって示された健康安全基準を満たすフレキシブル包装材料を提供することを含む。使用原料を少なくし、そして改善された製造技術を採用することにより、コスト削減を達成することができる。付加的な利点として、原料を削減することは、環境を考慮したものとしてその業界に大きくアピールすることにもなる。
【0059】
実施例3において上述し、表1において例示したように、市場において現在入手可能な典型的なフレキシブル包装材料は、ラミネートの形態で提供される。これは包装材料が最低限の2つの主な層を有することを意味する。これらの2つの層は、上側ポリマーフィルム及び下側ポリマーフィルムであり、上側ポリマーフィルムと下側ポリマーフィルムとの間に接着剤がサンドイッチされるか、又は貼り合わされている。上側フィルム及び下側フィルムのそれぞれは通常、円筒形コア又はスプールの周りに巻き取られた連続シートの形態で提供される。接着剤は、例えば、上側フィルムを案内するための1つのローラと、下側フィルムを案内するための別のローラとから成るローラ対の間のニップ領域内にノズルから絞り出すことにより、塗布することができる。一般に、さらに上側フィルムと下側フィルムとの間には、製品ラベルのプリントが貼り合わされて保護される。プリントは一般に、実際のラベル自体の反転画像である。
【0060】
また、業界において現在知られているのは、ペットフード包装業界における用途の教示に従って、粒子線処理装置を使用することである。例えば、本発明のEB機を使用して、ペットフード包装材料、例えば多壁バッグ上のラッカー・コーティングを硬化又は重合することがよく知られている。ペットフード包装材料は通常、高強度紙層とラッカー・コーティングとから形成され、これにより紙上にプリントされたラベルを保護する。通常電圧110kボルトで作業する本発明の粒子線処理装置内に紙を供給してラッカー・コーティングを硬化させ、ラッカー・コーティングを液相から固相にほとんど瞬時に変化させることにより、紙上のラッカー・コーティングを硬化させることが知られている。ラッカー・コーティングはEBで硬化され、そして、光沢、磨耗抵抗性及び所期摩擦係数(COF)を提供するように構成される。EBラッカーが塗布された後、紙はさらに処理され、他の紙層及びプラスチック・フィルム層が、EBラッカーを含有する紙に接着され、多壁バッグ基材を形成する。次いで内容物の充填後、包装の上側エッジ及び下側エッジを縫合することにより、紙包装は全体的にシールされる。ペットフード包装材料は、下側ポリマーフィルムを含まない。下側ポリマーフィルムは通常、EBラッカーが塗布されEBで硬化された時に、包装をヒートシールするためのポリエチレンから形成される。
【0061】
粒子線処理装置からの照射がかなりの線量を下側ポリマーフィルムに沈積させると、下側ポリマーフィルムのシーリング特性が変化し、そしてフィルムが望ましくない臭気を放つようになり、シール開始温度が高くなり、ひいては包装のヒートシールが難しくなることが知られている。
【0062】
本発明は、例えばフレキシブル食品包装のために、処理可能な材料に粒子線処理装置を適用することに関する。この場合、処理可能な材料は、基材と、粒子線で処理可能なラッカー・コーティングと、放射線不安定化層、例えばシーリング層とを含み、粒子線は、放射線不安定化層に影響を与えることなしに、ラッカー・コーティングを化学反応させる。
【0063】
本発明による形成された粒子線処理装置の用途は、例えば包装、絶縁フィルム、反射コーティング及び反射性材料、ソーラー・フィルムなどを含む多くの産業に見いだすことができる。その他の分野、例えば宇宙服及び航空機の分野も、本発明を有用なものと見なすことができる。例示の目的で、フレキシブル食品包装分野における粒子線処理装置の用途に関して、本発明の1実施態様を論じる。
【0064】
本発明の原理に合致して、現在の包装材料の材料資源及び生産コストを削減するために、このような用途は、基材と、基材上に塗布されたラッカー・コーティングとを含む、粒子線で処理可能な材料を提供する。ラッカー・コーティングは、高加速粒子、例えば本発明の粒子線処理装置によって生成された粒子に対する暴露のために調製され、これによりラッカー・コーティングに化学反応が引き起こされる。粒子線処理装置は電圧範囲110kボルト以下で作業する。
【0065】
図11に示すように、本発明の原理と合致する包装材料200は、上側212と下側214とを有する基材10と、基材10の上側212に塗布されたラッカー・コーティング240とを含む。図示された図11の実施態様の場合、包装材料200は、矢印216の方向で、本発明の粒子線処理装置100を通るように概略的に示されている。基材10は概ね連続ウェブの形態を成している。しかし本発明は、基材10がシートの形態を成してもよいことを見込んでいる。
【0066】
ラッカー・コーティング240、例えばオーバープリント・ワニス(OPV)は、矢印242で概略的に示される高加速粒子に対して暴露されるために調製される。粒子242は、本発明の粒子線生成アセンブリ110によって生成された電子のような電子ビームであってよい。電子ビーム242に暴露されると、ラッカー・コーティング240は、化学反応、例えば、すなわち液体状態から固体状態へ物理的に変化させられる重合プロセスを受けることにより処理される(図11では符号244で示す)。この重合プロセスは一般に硬化プロセスと呼ばれる。有利には、ラッカー・コーティング240は、理論的にはほとんど瞬時に、又は実際にはほぼ数ミリ秒以内に硬化させることができる。チョコレート・バー、ポテトチップス、キャンディ、ドライフルーツなどのような、大量生産が必須となる消費者向け食品の製造者にとって、このことは大きな突破口である。それというのも、包装済製品を供給元及び消費者へ迅速に出荷できるからである。
【0067】
ラッカー・コーティング240はいくつかの目的を担う。これらの目的は、ラベル・プリント250のインクを汚れ及び引掻きから保護し、ウェブがEB機中を通るのを可能にする牽引力を提供し、そして見場の理由から高度の光沢仕上げを包装済製品に提供することを含む。ラッカー・コーティング240は、官能基、例えばフリーラジカル重合のための多官能価アクリレートを含むアクリル酸エステル、並びに、カチオン重合のためのビニルエーテル、脂環式ジエポキシド及びポリオール系から形成することができる。ラッカー・コーティングは湿潤剤及びその他の添加剤を含むことにより、摩擦係数(COF)を制御し、そして所期機能特性、例えばガス及び芳香バリア特性を取り込むこともできる。
例えば、下記のものは、多官能価アクリレートの考えられ得る候補である:
分子量150〜600のアクリル化ポリオール;
分子量1000〜2000のポリエステルアクリレート;
分子量200〜1500のポリエーテルアクリレート;
分子量400〜2000のポリエステルウレタンアクリレート;
分子量400〜2000のポリ尿素アクリレート;
分子量300〜1000のエポキシアクリレート;及び
多官能価アクリレートの混合物。
より具体的には、多官能価アクリレートは、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリス-t2ヒドロキシ-エチルイソシアヌレートのトリアクリレートエステル、ヘキサンジオールジアクリレート及びジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、及びこれらのエトキシル化誘導体及びプロポキシル化誘導体を含むことができる。
【0068】
ラッカー・コーティング240は、0.5〜20グラム/m2の範囲の基準化厚(その質量密度で表す)を有してよい。1実施態様の場合、ラッカー・コーティング240は好ましくは1〜10グラム/m2の範囲、より好ましくは2〜5グラム/m2の範囲の厚さを有してよい。
【0069】
また本発明の原理と合致して、ラッカー・コーティング240は好ましくは、電源を有し、そして電圧110kボルト以下で操作するEB機を使用して処理される。1用途の場合、EB機の操作電圧は60〜110kボルトの範囲、又は好ましくは70〜110kボルトの範囲、より好ましくは90〜110kボルトの範囲であってよい。
【0070】
さらに、ラッカー・コーティング240は、0.5〜10Mradの範囲の電子放出エネルギーを生成することにより、ラッカー・コーティング240を硬化させるEB機を使用して処理することができる。一例において、放出される電子エネルギーは、好ましくは1〜7Mradの範囲、又は好ましくは2〜5Mradの範囲にある。
【0071】
また本発明の原理と合致して、基材10は、配向ポリプロピレン(OPP)、キャスト・ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエチレン・コポリマーを含むポリオレフィン;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)を含むポリエステル;エチレンビニルアセテート、エチレンアクリル酸及びエチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール及びこれらのコポリマーを含むポリオレフィン・コポリマー;ナイロン及びMXD6を含むポリアミド;ポリイミド;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリ二塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリアクリレート;イオノマー;再生セルロースを含む多糖類;ゴム又はシーラントを含むシリコーン;天然又は合成ゴム;グラシン又はクレイをコーティングされた紙;厚紙;クラフト紙;及び金属化フィルム、及びAlOx、SiOx又はTiOxを含む蒸着金属酸化物をコーティングされたポリマー・フィルム、のような材料から形成することができる。
【0072】
包装に所期強度を提供するために、そして包装済製品の内容物の量を維持するために、基材10は、10〜200グラム/m2、好ましくは30〜90グラム/m2、又はより好ましくは50〜70グラム/m2の範囲の標準化厚を有してよい。
【0073】
さらに本発明の原理と合致して、基材10は、基材10の上側212上に適用されたバリア層260を有することにより、包装済製品の内容物の必須条件を維持することができる。包装済製品の内容物が食品、例えばポテトチップスである場合、例えば必須条件は風味、新鮮さ、味、パリパリした食感、色などを含むことができる。
【0074】
バリア層260は、真空蒸着プロセスとして広く知られた技術によって適用することができる。このプロセスの場合、例えば蒸着アルミニウム、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ケイ素(SiOx)、又はその他の好適な材料から成る層を基材10上にデポジットすることにより、包装済製品の内容物の必須条件を維持することができる。金属化としても知られた、酸化アルミニウムを使用した真空蒸着法の場合、アルミニウムをチャンバ内の真空条件下で、上記溶融温度まで加熱する。溶融アルミニウムが充填された真空チャンバ内を、一連のローラを介して、連続ウェブが走行するようにする。制御された条件下で、ウェブ表面の一方又は両方の側上に、溶融アルミニウムをデポジットし、ウェブ上にアルミニウム金属化の正確な厚さを形成する。この金属化は例えば、ポテトチップスの袋の内側の光沢のある銀色のコーティングとして見ることができる。1実施態様の場合、バリア層260は、100〜1000オングストロームの範囲の厚さを有することができる。
【0075】
基材10の上側212上に、必ずしも必要ではないが普通はバリア層260の上側に、直接的にラベルプリント250を適用することができる。基材10がバリア層260を含む場合には、ラベルプリント250は、基材10上へのバリア層260の適用後に適用することができる。本発明によるラベルプリント250は、リバース・プリントではなく表面プリントとして適用することができる。表面プリントは、現在利用可能な技術、例えばフレキソグラフィ印刷、ロータ・グラビア印刷、オフセット・リソグラフィ印刷、噴霧印刷などを用いて実施することができる。一般に、EB機のプリント・ゾーンにおいて、基材10の連続シートを、一連のローラ(図示せず)を通して走行させることにより、これらの印刷技術のうちの1つによってその上側212上に表面プリントを施す。好ましくは、フレキシブル包装業界においては、フレキソグラフィ法によって印刷が行われる。ラベルプリント250は、任意のタイプのよく知られたフレキソグラフィ・インクであってよい。これらのインクは、溶剤系、水性及び電子ビーム硬化性インク、例えばイリノイ州ノースレイク在Sun Chemicals Inkから入手可能なUnicure(登録商標)を含む。本発明はさらに、基材10上のラッカー・コーティング240及びラベルプリントを、これらが粒子線処理装置100を通る時に同時に処理できることを見込んでいる。
【0076】
さらに、本発明の原理と合致して、基材10は、放射線不安定化層を有することができる。放射線不安定化層は、放射線により損傷されやすい材料から成る層として定義される。放射線不安定化層は、基材10の下側214上に塗布されたシーリング層であってよい。シール層270を設けることにより、包装材料のシールを容易にし、そして粒子線処理装置100からの照射によって化学変化させられることなしに、包装に構造を与える。包装に構造を与えるために、シーリング層270は5〜50グラム/m2、好ましくは8〜35グラム/m2、より好ましくは12〜25グラム/m2、又は最も好ましくは15〜20グラム/m2の範囲の厚さを有することができる。シーリング層270は、任意の慣用の手段、例えば押出法によって、フレキシブルな基材210の下側214に適用することができる。
【0077】
消費者向け食品製造会社において、ラッカー・コーティング240が処理された後、一般に連続ウェブの形態の基材10は、切断プロセスを施される。このプロセスでは、連続シートを先ず折り畳むことにより連続チューブにし、次いで所定のサイズに切断することにより個別袋を形成し、組み立てライン内に配置して袋の一端をシールする。切断プロセスにおいて、基材10の連続シートを種々のローラを通して走行させ、これにより連続的なU字形シートを形成して、シーリング層270が互いに対面するU字形シートの2つの内側脚部に位置するようにする。次いで、U字形シートの脚部の先端をシールすることにより、連続チューブを個別袋サイズに切断するように準備を整える。次いで個別袋の組み立てラインは充填プロセスを通る。このプロセスにおいて、包装の内容物を個別袋内に充填し、個別袋のそれぞれを他方の端部でシールすることにより、包装を閉じる。所定のサイズに既に切断されているか又は所定のサイズに切断する準備ができた個別シートの形で、基材を提供することも可能である。
【0078】
シーリング層270は、包装済製品のシーリング、例えばヒートシーリング、コールドシーリング又はその他の同等のシーリング法に適した材料から形成することができる。ヒートシール層のためにシーリング層270を設ける場合、シーリング層270は、100〜150℃の温度範囲の融点を有するポリマーから形成することができる。このようなポリマーの実施例は、ポリエチレン、ポリビニルアセテート、エチレンプロピレン・コポリマー、ターポリマー・エチレンアクリル酸、メタロセン、イオノマー、及びこれらの組み合わせである。ポテトチップスのようなスナック食品の袋詰めのためには、例えば、溶融温度範囲110〜140℃のポリエチレン又はポリエチレン/ポリプロピレン・コポリマー・ターポリマーから形成することができる。
【0079】
或いは、コールドシール層のためにシーリング層270を設けることにより、包装をコールドシールすることもできる。1実施態様の場合、コールドシール接着剤を基材に適用することができる。コールドシール・コーティングの場合、シーリング層270は、天然ゴム、ポリアミド及びこれらの組み合わせから形成することができる。
【0080】
下記比較実施例は、直立型パウチ包装、菓子用包装、及びスナック食品包装を含む、現在の市場における本発明によるウェブ包装材料のいくつかの用途を示す。下記実施例から判るように、本発明のウェブ包装材料は、コスト削減、より良好な品質の製品、及び環境意識を提供することにより、現在利用可能な包装材料を改善する。本発明は、より少ない原料を使用し、そして低電圧EB機を使用して包装材料を硬化させることにより、これらの改善を達成する。例示の目的で、グラム/m2で測定された標準化厚に関してポリマーに関して、実施例8〜10を論じる。
【0081】
実施例8:直立型パウチ包装
直立型パウチ包装を使用して、例えばクッキー、ナッツ、ドライフルーツなどを包装する。今日の市場において、直立型パウチの包装は、ラミネート形で形成される。すなわち2つ以上のポリマー層を貼り合わすことにより、接着層をサンドイッチする。下記のものは、現在の市場における直立型パウチ包装の例である:
現在の市場におけるポリマー・ラミネート 厚さ(グラム/m2)
ポリエステル・タイプ(PET) 16
リバース・プリント ---
接着剤(押出しポリエチレン) 12
金属化配向ポリプロピレン(OPP) 15
接着剤(押出しポリエチレン) 12
低密度ポリエチレン 30
合計 85
【0082】
本発明の原理と合致するように形成された包装材料は、下記の直立型パウチ包装構造を有することができる:
本発明の包装材料 厚さ(グラム/m2)
オーバープリント・ワニス(OPV) <5
表面プリント ---
金属化配向ポリプロピレン(OPP) 50
押出しポリエチレン(PE)コーティング 20
合計 <75
【0083】
この実施例の場合、ラッカー・コーティング240のオーバープリント・ワニスは、約3〜5グラム/m2厚であり、80〜110kボルトの範囲で操作する2.0Mrad以上のEB機で硬化させることができる。本発明の原理に基づいて形成されたウェブ包装は、慣用の直立型パウチ包装よりも、使用する原料が10グラム/m2だけ少ないことが判る。このことはほとんど15〜20%の原料削減となる。加えて、本発明の原理に基づいて形成されたウェブ包装材料は、いくつかの作業工程又は処理工程を減らすことに関して、エネルギー及びコストの削減を可能にする。
【0084】
実施例9:菓子用包装
菓子用包装を使用することにより、例えばキャンディ及びキャンディ漬け製品を包装する。下記のものは、現在の市場における菓子用パウチ包装の例である:
現在の市場におけるポリマー・ラミネート 厚さ(グラム/m2)
配向ポリプロピレン(OPP) 18
リバース・プリント ---
水性接着剤 2
配向ポリプロピレン(OPP) 28
コーティングされたコールドシール接着剤パターン ---
合計 48
【0085】
本発明の原理と合致するように形成された包装材料は、下記の菓子用包装構造を有することができる:
本発明の包装材料 厚さ(グラム/m2)
オーバープリント・ワニス(OPV) <5
表面プリント ---
配向ポリプロピレン(OPP) 35
コーティングされたコールドシール接着剤パターン ---
合計 <40
【0086】
この実施例の場合、ラッカー・コーティング240のオーバープリント・ワニスは、80〜110kボルトの範囲で操作する2.0Mrad以上のEB機で硬化させることができる。本発明の原理に基づいて形成されたウェブ包装は、慣用の包装よりも、使用する原料が少ないことが判る。材料コスト削減率は約8グラム/m2又は10〜15%となる。加えて、本発明の原理に基づいて形成されたウェブ包装は、いくつかの作業工程又は処理工程を低減することに関して、エネルギー及びコストの削減を可能にする。
【0087】
実施例10:スナック食品用包装
スナック食品用包装を使用することにより、例えばポテトチップス及びコーンチップス及びプレッツェルを包装する。下記のものは、現在の市場におけるスナック食品用パウチ包装の例である:
【0088】
現在の市場におけるポリマー・ラミネート 厚さ(グラム/m2)
配向ポリプロピレン(OPP) 18
リバース・プリント ---
接着剤(押出しポリエチレン) 15
金属化ヒートシール性OPP 18
合計 51
【0089】
本発明の原理と合致するように形成された包装材料は、下記のスナック用包装構造を有することができる:
本発明の包装材料 厚さ(グラム/m2)
オーバープリント・ワニス(OPV) <5
表面プリント ---
金属化配向ポリプロピレン(OPP) 18
ヒートシーリング及びバルクのための押出しPE 18
合計 <41
【0090】
この実施例の場合、ラッカー・コーティング240のオーバープリント・ワニスは、80〜110kボルトの範囲で操作する2.0Mrad以上のEB機で硬化させることができる。本発明の原理に基づいて形成されたウェブ包装は、慣用の包装よりも、使用する原料が少ないことが判る。コスト削減率は約10グラム/m2又は15%となる。加えて、本発明の原理に基づいてEB機で硬化されたウェブ包装は、現在の市場で使用されている慣用の炉作業と比較して、かなりのエネルギー削減をもたらす。
【0091】
上述のプロセスは、いくつかの利点を提供する。例えば粒子線処理は事実上瞬時に発生し、一般に室温で作業し、そしてエミッション又は空気汚染を生じさせない。それというのも粒子線・コーティング材料が100%固体であるからである。加えて、コーティングは有害な溶剤又は揮発性有機化合物を含有しない。加えて、EBを操作するためのエネルギー・コストは、今日使用されている炉を操作する場合よりもかなり低い。
【0092】
当業者には明らかなように、粒子生成アセンブリ、フォイル・サポート、処理ゾーン及びプロセス制御システム、並びに、ウェブ包装材料に関して選択される材料、及び薄フォイルに関して選択される材料、フィラメント又は粒子生成成分、及び粒子線処理システムの構成、並びに本発明のその他の観点において、本発明の範囲又は思想を逸脱することなしに、種々の変更及び改変を加えることができる。
本明細書を考察し、本明細書中に開示された本発明を実施することから、本発明のその他の実施態様が当業者には明らかとなる。本明細書及び実施例は一例にすぎないと考えられるものとし、本発明の真の範囲及び思想は、添付の特許請求の範囲及びこれらの等価物によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、本発明の1実施態様に基づく粒子線処理装置を示す概略図である。
【図2】図2は、電子ビームの電圧プロフィールを示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の好ましい実施態様に基づく粒子線処理装置を示す正面図である。
【図4】図4は、作業電圧90kボルトで測定された、チタン・フォイルの厚さの関数としての深部線量プロフィールを示すチャートである。
【図5】図5は、チタン・フォイル厚5, 8, 10及び12.5μmを使用して測定された、作業電圧の関数としての幅1.5フィートの処理装置の機械収量を示すチャートである。
【図6】図6は、種々の作業電圧で測定された、チタン・フォイル厚の関数としての深部線量プロフィールを示すチャートである。
【図7】図7は、チタン・フォイル厚17、12.5及び8μmを使用して測定された、入射エネルギーkeVの関数としての、薄フォイルによって吸収されるエネルギーを示すチャートである。
【図8】図8は、基材が粒子線処理装置を通過するのに伴う、基材上の架橋反応を示す概略図である。
【図9】図9は、基材が粒子線処理装置を通過するのに伴う、基材上の重合反応を示す概略図である。
【図10】図10は、基材が粒子線処理装置を通過するのに伴う、基材上の滅菌反応を示す概略図である。
【図11】図11は、本発明の1実施態様に基づくフレキシブルな包装材料用ウェブの長さを示す断面図である。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許第6,426,507号として発行された、1999年11年5日付け出願の米国特許出願第09/434,380号明細書の部分継続である。
【0002】
発明の分野
本発明は、粒子線処理装置及び該装置を使用して処理することができる材料に関する。具体的には、本発明は、粒子生成アセンブリ、薄フォイルを有するフォイル・サポート・アセンブリ、及び処理ゾーンを有する粒子線処理装置に関する。処理可能な材料が装置によって生成された粒子に対して暴露されると、これらの粒子は材料のコーティング上の化学反応を引き起こす。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
基材又はコーティングを、高加速粒子線、例えば電子ビーム(EB)に対して暴露して、基材又はコーティング上の化学反応を引き起こすために、粒子線処理装置が広く使用される。
【0004】
電子は、全ての物質に見いだされる負電荷粒子である。ちょうど惑星が太陽の周りを回るように、電子は原子の核の周りを回転する。電子を共有することにより、2つ又は3つ以上の原子が互いに結合して、分子を形成する。EB処理の場合、高エネルギー電子を使用することにより、種々多様の製品及び材料の分子構造を改変する。例えば電子を使用することにより、特別に構成された液体コーティング、インク及び接着剤を変化させる。EB処理中、電子は結合を破断し、荷電粒子及びフリーラジカルを形成する。これらのラジカルは次いで合体して大型分子を形成する。このプロセスにより、液体は固体に変化させられる。このプロセスは重合として知られている。
【0005】
EB処理で処理される液体コーティングは、印刷用インク、ワニス、シリコーン剥離コーティング、プライマー・コーティング、粘着剤、バリア層及び貼合わせ用接着剤を含むことができる。またEB処理を用いることにより、EB処理に反応するように全て特別に構成された固形材料、例えば紙、基材及び不織布基材の物理特性を変化させ、向上させることもできる。
【0006】
粒子線処理装置は概ね3つのゾーン、すなわち、粒子線が生成される真空チャンバ・ゾーン、粒子加速器ゾーン、及び処理ゾーンを含む。真空チャンバ内では、タングステン・フィラメントをタングステンの熱イオン放出温度である約2400Kまで加熱することにより、電子雲を形成する。正電圧差を真空チャンバに印加することにより、これらの電子を抽出し、そして同時に加速する。その後、電子は薄フォイルを通過し、そして処理ゾーンに入る。薄フォイルは、真空チャンバと処理ゾーンとの間のバリアとして機能する。加速された電子は、薄フォイルを通って真空チャンバを出、そして周囲条件にある処理ゾーンに入る。
【0007】
現時点で商業的に入手可能な電子ビーム処理装置は一般に、最小電圧125kボルトで操作する。これら既存のEBユニットは、厚さ12.5μmのチタンから形成された薄フォイルを利用することにより、1分当たり800〜1000フィートの速度で処理装置を通って供給される基材上のコーティングを硬化させる。このようなEBユニットは、マサチューセッツ州ウィルミントン在、Energy Sciences, Inc.から購入されるモデル番号125/105./1200であってよい。現在の技術は、或る特定の産業、例えばフレキシブル食品包装には用いることができない。125kボルトで作業するEBは、包装される食品と接触するポリエチレン系シーラント・フィルム上に相当量のエネルギーを沈積させる。この沈積は、フィルムにおいて異臭を発生させ、そしてそのシール開始温度を高くする。
【0008】
このようなEBユニットの効率は、操作電圧を125kボルト未満に低減することにより改良することができる。加えて、125kボルト未満で作業することは、エネルギー沈積の深さをより良好に制御することを可能にし、そしてシーラント・フィルムによって吸収されるエネルギーを最小化する。しかし、電圧が125kボルト未満に低減されると、チタン・フォイルを通って移動する電子の運動エネルギーが減少する。なぜならば、チタン・フォイルによってより多くのエネルギーが吸収されるようになり、フォイルを過熱させることになるからである。過剰の熱によって、チタン・フォイルは青く、脆弱になり、そしてその機械強度を失う。過剰の熱はまた、システムの熱管理に伴う問題を引き起こす。その結果、基材の供給速度を著しく低減しなければならず、このことは処理装置を商業的に実現不能にしてしまう。
【0009】
前述の説明に照らせば、より効率的に作業し、サイズがより小さく、電力需要が低減され、そして構成するのがより低廉であるような粒子線処理装置を提供する必要がある。
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
本発明の利点及び目的は下記説明に一部が示され、一部は下記説明から明らかになり、又は本発明の実施により学習することができる。本発明の利点及び目的は、添付の特許請求の範囲において具体的に指摘された要素及びこれらの組み合わせによって実現され、達成される。
【0011】
本明細書中で具体化され幅広く記載されているように、本発明の利点を得るために、また本発明の目的に従って、本発明の1観点は、上側と下側とを有する基材と、該基材の上側の、粒子線で処理可能なラッカー・コーティングとを含む、粒子線で処理可能な材料に関する。ラッカー・コーティングは、該ラッカー・コーティングに対する化学反応を引き起こすための、110kボルト以下の範囲の電圧で操作する粒子線処理装置によって生成された高加速粒子に対して暴露することにより処理される。粒子線で処理可能な材料はまた、該基材の下側の、放射線不安定化層を含む。
【0012】
本発明の第2の観点は、粒子線で処理可能な材料を形成する方法に関する。この方法は、上側と下側とを有する基材を準備し、該基材の下側に、放射線不安定化層を塗布し、該基材の上側に、粒子線で処理可能なラッカー・コーティングを塗布し、そして該放射線不安定化層に影響を与えることなしに該ラッカー・コーティングに対する化学反応を引き起こすための、110kボルト以下の範囲の電圧で操作する粒子線処理装置によって生成された高加速粒子に対して、該ラッカー・コーティングを暴露することを含む。
【0013】
本発明の第3の観点は、現在利用可能な装置よりもサイズが小さく、そして基材上の化学反応を引き起こす効率がより高い粒子線処理装置に関する。この装置は、電源と、容器内の真空環境を形成して維持するための真空ポンプと、真空容器内に配置され、110kボルト以下の範囲の第1電圧で操作する該電源に接続された粒子生成アセンブリとを含む。粒子生成アセンブリは、加熱時に複数の粒子を生成するための1つ以上のフィラメントを含む。この装置はまた、フォイル・サポート・アセンブリと処理アセンブリとを含む。フォイル・サポート・アセンブリは、該第1電圧よりも高い第2電圧で操作することにより、前記粒子の少なくとも一部が該第1電圧から該第2電圧に移動して、該フォイル・サポート・アセンブリを出るのを可能にする。フォイル・サポート・アセンブリは、厚さ10μm以下のチタン又はその合金から形成された薄フォイル、又は厚さ20μm以下のアルミニウム又はその合金から形成された薄フォイルを含むことができる。処理アセンブリは、前記化学反応を引き起こすために使用される該フォイル・サポート・アセンブリを出る前記粒子を受容する。該処理装置の機械収率(K)が:
【0014】
K=(線量・速度)/電流
に基づいて決定され、
上記式中、
KはMrad・フィート/分/mAmpで測定された機械収率であり、
線量は、Mradで測定された、単位質量当たりの吸収されたエネルギーであり、
速度は、フィート/分で測定された該基材の供給速度であり、そして
電流は、mAmpで測定された、加熱されたフィラメントから抽出された電子の数である。
【0015】
本発明の第4の観点は、粒子線処理装置内で基材上の化学反応を引き起こす方法に関する。この方法は、1つ以上のフィラメントを有する粒子生成アセンブリ内で真空を形成して維持し、該1つ以上のフィラメントを加熱することにより、複数の粒子を形成し、そして110kボルト以下の範囲の第1電圧で該粒子生成アセンブリを操作させることを含む。この方法はまた、10μm以下のチタン又はその合金から形成された薄フォイルを有するフォイル・サポート・アセンブリを、該第1電圧よりも高い第2電圧で操作させることにより、前記粒子の少なくとも一部が該第1電圧から該第2電圧へ移動し、そして、該粒子生成アセンブリ内の該真空を出るようにすることを含む。薄フォイルは、厚さ10μm以下のチタン又はその合金から形成されてよい。或いは薄フォイルは、厚さ20μm以下のアルミニウム又はその合金から形成されてよい。この方法はさらに、該真空を出た粒子が薄フォイルを通過するようにすることにより、該粒子を処理アセンブリに入れ、該処理アセンブリで、該基材が該粒子に対して暴露されることを含む。該処理装置の機械収率(K)が:
K=(線量・速度)/電流
に基づいて決定され、
上記式中、
KはMrad・フィート/分/mAmpで測定された機械収率であり、
線量は、Mradで測定された、単位質量当たりの吸収されたエネルギーであり、
速度は、フィート/分で測定された該基材の供給速度であり、そして
電流は、mAmpで測定された、加熱されたフィラメントから抽出された電子の数である。
【0016】
いうまでもなく、前記総体的な説明及び下記詳細な説明は一例を説明するものにすぎず、特許請求の範囲として本発明を限定するものではない。下記説明において付加的な利点を示し、これらの利点の一部は説明から明らかであり、或いは、本発明の実施により学習することができる。利点及び目的は、添付の特許請求の範囲に示された組み合わせによって得ることができる。
【0017】
実施態様の詳細な説明
本発明と合致した装置、材料及び方法のいくつかの実施態様を以下に詳細に参照する。これらの実施態様の例を添付の図面に示す。可能な場合には、同じ又は類似の部分に言及するために、同じ符号を図面全体にわたって使用する。さらに、本発明は下記例によって一層明らかになる。
【0018】
本発明による粒子線処理装置は、比較的小さなサイズで、そして本発明の少なくとも2つの特徴:(1)操作電圧が110kボルト以下に低減されること;及び(2)薄フォイルがチタン又はその合金から形成される場合には、10μm以下の厚さを有し、そしてアルミニウム又はその合金から形成される場合には、20μm以下の厚さを有すること、により、高い効率で操作するようにできる。
【0019】
本発明の原理によれば、粒子線処理装置は、電源と、粒子生成アセンブリと、フォイル・サポート・アセンブリと、処理アセンブリとを含む。
図1は、電源102と、粒子線生成アセンブリ110と、フォイル・サポート・アセンブリ140と、処理アセンブリ170とを含む、本発明の原理と合致する粒子線処理装置100を概略的に示す。電源102は好ましくは、110kボルト以下、より好ましくは90〜100kボルトの範囲の操作電圧を処理装置100に提供する。電源102は、電気的に絶縁された鋼チャンバ内に配置された複数の変圧器を含むことにより、粒子線生成アセンブリ110に高電圧を供給して、粒子、例えば電子を生成する、商業的に入手可能なタイプであってよい。
【0020】
粒子線生成アセンブリ110は、容器又はチャンバ114の真空環境内に保持されることが好ましい。EB処理装置の場合、粒子生成アセンブリ110は一般に電子銃アセンブリと呼ばれる。排気されたチャンバ114は、密封容器から形成することができ、この密封容器内で、粒子、例えば電子が生成される。約10-6Torrオーダーの真空環境を形成するために、真空ポンプ212(図3に示す)が設けられている。チャンバ114の真空環境内部では、高電圧電源102が給電してフィラメント112を加熱すると、電子雲がフィラメント112の周りに生成される。
次いでフィラメント112は白熱し、そして電子雲を生成する。下記のように電子は負荷電粒子なので、電子は次いでフィラメントからより高い電圧領域に引き出され、そして極めて高い速度に加速させられる。フィラメント112は、一般にタングステンから形成された1本又は2本以上のワイヤから構成することができ、また、フォイル・サポート144の全長にわたって均一な間隔を置くように構成することができ、そして基材10の全幅にわたって電子ビームを発射する。
【0021】
図1及び図2に示すように、粒子線生成アセンブリ110は抽出器グリッド116と、末端グリッド118と、リペラ板120とを含むことができる。リペラ板120は、電子を弾き、電子を抽出器グリッド116に向かって送る。リペラ板120は異なる電圧、好ましくはフィラメント112よりも僅かに低い電圧で作業することにより、図2に示すような電子ビーム方向とは離反した方向にフィラメント112から逃げた電子を捕集する。
【0022】
僅かに異なる電圧、好ましくはフィラメント112よりも高い電圧で作業する抽出器グリッド116は、フィラメント112から離れた電子を吸引し、そしてこれらの電子を末端グリッド118に向かって案内する。抽出器グリッド116は、雲から引き出される電子の量を制御し、この量は電子ビームの強度を決定する。
【0023】
概ね抽出器グリッド116と同じ電圧で操作する末端グリッド118は、電子がフォイル・サポート・アセンブリ140を通過するために極めて高い速度に加速する前に、電子のための最終関門として作用する。
【0024】
本発明の1実施例によれば、例えばフィラメント112は-110,000ボルトで作業し、フォイル・サポート・アセンブリ140は接地されるか、又は0ボルトに設定されてよい。リペラ板120は、-110,010ボルトで作業することにより、いかなる電子をもフィラメント112に向かって弾くように選択することができる。抽出器グリッド116及び末端グリッド118は、-110,000ボルト〜-109,700ボルトの範囲で操作するように選択することができる。
【0025】
電子は次いで真空チャンバ114を出て、薄フォイル142を通してフォイル・サポート・アセンブリ140に入ることにより、化学反応のためにコーテッド材料又は基材10に浸透する。化学反応は例えば、重合、架橋又は滅菌を含む。電子の速度は、1秒当たり100,000マイルもの高さであるか又はそれ以上であってよい。フォイル・サポート・アセンブリ140は、一連の平行な銅リブから形成することができる(図示せず)。薄フォイル142が図1に示すように、フォイル・サポート・アセンブリ140の外側に確実にクランプされることにより、チャンバ114内部の漏れ防止真空シールを提供する。高速電子は銅リブの間を自由に通り、薄フォイル142を貫通し、そして処理される基材10内に入る。過度のエネルギー損失を防止するために、フォイルはできる限り薄く形成すると同時に、粒子生成アセンブリ110内部の真空状態と処理アセンブリ170との圧力差に耐えるのに十分な機械強度を提供することが好ましい。
【0026】
本発明の原理によれば、粒子線処理装置は、フォイル・サポート・アセンブリの薄フォイルがチタン又はその合金から形成され、その厚さが10μm以下、好ましくは3〜10μmの範囲、より好ましくは5〜8μmの範囲である場合、より小さなサイズで形成することができ、そしてより高い効率レベルで作業することができる。或いは、薄フォイル142は、厚さが20μm以下、好ましくは6〜20μmの範囲、より好ましくは10〜16μmの範囲のアルミニウム又はその合金から構成することもできる。
【0027】
電子がフォイル・サポート・アセンブリ140を出ると、これらの電子は処理アセンブリ170に入る。処理アセンブリにおいて、電子はコーティング又はウェブ基材10に浸透し、化学反応を生じさせる結果、重合、架橋又は滅菌をもたらす。図3に示すように、コーティング又はウェブ基材10は、処理装置100内に供給されることにより、処理アセンブリ170に入る。処理アセンブリ170は、基材10がローラ204, 206及び208に入ることにより、処理アセンブリ170を通して基材10を案内して供給するウェブ入口202と、基材10が処理装置100を出るウェブ出口210とを含む。処理される製品は瞬時に変化させられ、乾燥又は冷却を必要とせず、多くの新しく望ましい物理特性を含有する。製品は処理後直ちに出荷することができる。
【0028】
粒子線処理装置は、装置の周囲の少なくとも一部を取り囲む保護ライニングを含むことにより、電子が物質中に吸収されるにつれて電子が減速した時に発射される放射線、例えばX線を吸収することができる。
【0029】
図1に示すように、保護ライニング190は、処理装置100、例えば排気されたチャンバ114及び処理アセンブリ170の周囲を取り囲む。保護ライニング190は、電子が物質内で減速したときに生成される実質的に全てのX線を吸収する。保護ライニング190のために選択される厚さおよび材料は、X線の所期吸収速度によって主に決定される関数を形成する。1実施態様の場合、保護ライニング190は好ましくは、約0.1mrem/時以下の残留物を伴う吸収速度でX線放射線を吸収することができる。単位mrem/時は、1時間当たりの人体0.1ミリ放射線当量の吸収を表す。1ミリremは、電子及びX線の1ミリradと等価である。発射された放射線を測定する1つの方法は、Bicron RSO-5として商業的に知られているイオン化チャンバ装置のような装置によって、保護ライニング190から10cm離反した距離で吸収を測定することによる。粒子線処理装置100の安全対策をさらに増強するために、セーフティ・インターロック・スイッチ(図示せず)を設けることにより、インターロックが開かれたときにはいつでも自動的に生産を停止することにより安全な作業を保証することができる。
【0030】
粒子線処理装置はさらに、プロセッサー、例えばコンピュータ化されたマイクロプロセッサを含むことにより、生成される電子の量を調節することができるので、電子ビーム出力が基材の供給速度に対して比例的になる。図1に示すように、いくつかのプロセス、例えば所要の真空環境の維持プロセス、所定の電圧及びフィラメント出力によるシステム動作の開始プロセス、コンスタントな処理レベルを維持するためのプロセス速度と電子生成との同期プロセス、機能及びインターロックのモニタリング・プロセス、及びシステム機能が設定限度を超えるか又はインターロックの問題が検出された場合にはいつでも警告及び/又はアラームを提供するプロセスを制御するために、プロセス制御システム200が設けられる。
【0031】
操作中、粒子線処理装置100は下記のように働く。真空ポンプ212(図3に示す)は、チャンバ114から空気を排出し、これにより約10-6Torrの真空レベルを達成する。この時点で、処理装置100は完全に作動状態になる。粒子生成アセンブリ110において、リペラ板120と抽出器グリッド116と末端グリッド118とを含む粒子銃アセンブリ成分は、個別に制御された3つの電圧に設定される。これらの電圧は、電子の放出を開始し、そしてこれらの電子がフォイル・サポート144を通過するのを案内する。
【0032】
粒子線処理中に、排気されたチャンバ114内部の電界の組み合わせが「プッシュ/プル」効果を形成する。この「プッシュ/プル」効果は、フォイル・サポート144の薄フォイル142に向かって電子を案内して加速させる。薄フォイルはグラウンド(0)電位にある。生成される電子の量は、抽出器グリッド116の電圧と直接的に関連する。低生成速度時には、抽出器グリッド116は、より大きな電圧が印加される場合の高速時よりも低い電圧に設定される。抽出器グリッド116の電圧が増加するのにつれて、電子の量もそのようにフィラメント112から引き出される。
【0033】
硬化されるべきコーティング、例えばインク、接着剤及びその他のコーティングは一般に、液体状態から固体状態に化学変換させるための低酸素環境を必要とする。従って、本発明による粒子線処理装置は、図1に示すように、処理ゾーン170内に分配された複数のノズル172, 174, 176及び178を含むことにより、酸素以外のガスを注入して、処理ゾーン内の酸素を押し退けることができる。1実施態様の場合、ノズル172, 174, 176及び178を通って処理ゾーン170内にポンプ供給されるように窒素ガスを選択し、これにより完全な硬化を妨げることになる酸素を押し退ける。
【0034】
上記説明から判るように、粒子線処理装置100を校正することにより、極めて高精度の仕様を達成することができる。なぜならば、基材又はコーティング上に望まれる正確な硬化深さレベルを提供するように、プロセス制御システム200を設定することができるからである。プロセス制御システム200は、線量、及びコーティング又は基材中への電子浸透深さを計算する。電圧が高ければ高いほど、電子速度及び結果として生じる浸透も大きくなる。
【0035】
線量は、単位質量当たりの吸収されるエネルギーであり、メガラド(Mrad)で測定される。メラガドは1グラム当たり2.4カロリーと等価である。吸収される電子の数が多ければ多いほど、この電子数はより高い線量値を反映する。使用時には、線量は一般に、コーティングの材料及び硬化されるべき基材の深さによって決定される。例えば、質量密度20グラム/m2のわら紙から形成された基材上のコーティングを硬化させるためには、5Mradの線量を必要とすることができる。線量は、抽出された電子の数である操作ビーム電流に対して正比例し、そして、基材の供給速度に対して反比例する。このことは下記式:
線量=K・(I/S)
によって表される。上記式中、IはmAmpで測定された電流であり、Sはフィート/分で測定された基材の供給速度であり、そしてKは、処理装置の機械収率、又は特定の処理装置の出力効率を表す比例定数である。
【0036】
図4〜7のチャートに示されているような下記実施例は、一連の試験結果として提供されるものである。図4は、操作電圧90kVで測定した、3つの異なる厚さの薄フォイルに関する、深部線量プロフィールと質量密度との関係を示している。図5は、厚さ5、8及び12.5μmのチタンから形成された薄フォイルに関する、kボルトで測定した操作電圧(「高電圧」)と、幅1.5フィートの処理装置の機械収率Kとの関係を示す。図6は、種々の操作電圧に関する、深部線量プロフィールとコーティングの質量密度との関係を示す。図7は、厚さ17、12.5及び8μmのチタンから形成された3つの薄フォイルに関する、keVで測定した薄フォイル(「dE」)によって吸収されたエネルギーと、keVで測定した入射エネルギー又は操作電圧との関係を示す。
【0037】
本発明の目的は、操作電圧を生成するのに必要な出力を低減するために、できる限り低い操作電圧を印加することにより、処理装置の出力効率を高め、これにより、処理装置をよりコンパクトにし、しかもより低廉に製造できるようにすることである。従って、図6の深部線量プロフィールに示すように、最適曲線は好ましくは、硬化されるべきコーティングの密度を表すx軸と交差する仮想垂線に向かって接近する。しかし、前述のように、操作電圧の低減は、処理装置を商業的に実現不能にする著しい熱の問題を招く。図4及び7に示すように、厚さ10μm以下のチタン・フォイルを利用することにより熱の問題を解決することができる。
【0038】
これらの試験で得られたデータは、薄膜線量測定技術を利用して測定したものである。線量測定技術は、厚さ9〜10μm範囲のナイロンフィルムに関与する。線量計は放射性クロムを含有する。放射性クロムは、色素が電磁放射線に暴露されると、無色から青に色を変化させる。青色の強度は、ナイロンフィルムから得られた放射線暴露量に対して正比例する。濃度計を使用して青色の強度又は光学濃度を測定することにより、測定された光学濃度から、吸収された線量(Mrad)へ換算することができる。光学濃度から線量(Mrad)への変換は、メリーランド州ゲーサーズバーグ在National Insutitute of Standards and TechnologyにおけるCo60ガンマ設備を使用した線量計及び濃度計の従来の校正により達成される。これらの試験は、カリフォルニア州ゴレタ在、Far West Technologyによって製造された線量計モデルFWT-60-810、及びカリフォルニア州ゴレタ在、Far West Technologyによって製造された濃度計モデル92 SXN 3285を利用した。
【0039】
実施例1:
図4に示す第1試験の結果は、厚さ12.5μm未満のチタンから形成された薄フォイル142を使用した粒子線処理装置が、基材10内の電子浸透を改善することを示す。
第1試験において、薄膜ナイロン線量計を使用することにより、電子の浸透可能性を測定した。この試験のパラメーターは、操作定電圧90kボルト、線量5Mrad、及び薄チタン・フォイルを含む。3枚の試験片を試験することにより、12.5、8、及び5μmの3つの異なるチタン・フォイル厚を研究した。それぞれのフォイル厚に対して1枚の試験片を使用した。
【0040】
3つの試験片は30枚の線量計から形成した。それぞれの線量計は約2 x 2cm2の表面積を有した。これらの線量計を3つのスタックに分けた。それぞれのスタックは、互いに上下に重ねられた10枚の線量計配列を含有した。各線量計スタックの1つのエッジを、厚さ125μmのポリエステル担体にテープ接合した。次いで3つのポリエステル担体を紙基材にテープ接合し、そして処理装置100を通して供給することにより、放射線処理を受けさせた。第1スタックを処理装置100内で、12.5μmチタン・フォイルで処理し;第2スタックを8μmで処理し;第3スタックを5μmで処理した。放射線処理に続いて、3つのスタックを炉内で5分間にわたって60℃でアニールした。次いで線量計を分離し、濃度計上で個別に測定し、そして線量Mradに換算した。それぞれのスタックに関して、得られた線量値は、第1線量計に基準化した。
【0041】
図4は、この試験から得られたデータを示す。Y軸はそれぞれのスタックの規準化線量を表し、X軸は質量密度グラム/m2を表す。質量密度は、10グラム/m2となる線量計質量密度を測定することにより得た。第1ポイントは質量密度の半分にあり、次いでこれにそれぞれの質量濃度が、後続のポイントのために加えられるものと想定する。この試験は、粒子線処理装置100内で使用されるフォイルが薄ければ薄いほど、達成される基材10上の電子浸透率は高くなることを結論する。
【0042】
実施例2:
図5に示された第2試験の結果は、より薄いフォイルは基材上の電子浸透を改善するだけではなく、効率又は機械収率Kをも増大させる。
【0043】
第2試験の場合、第1試験と同様に、薄膜ナイロン線量計を使用することにより、kボルトで測定した種々の作業電圧における、幅1.5フィートの処理装置の機械収率Kを測定した。4つの測定を実施することにより、厚さ12.5μm、10μm、8μm及び5μmの4つの異なるチタン・フォイルを研究した。
【0044】
9枚の個々の線量計チップの平均を計算することにより、機械収率K値を得た。約2 x 2cm2のそれぞれの線量計の1つのエッジを、ポリエステル担体にテープ接合した。それぞれのポリエステル担体は、9つの線量計を含有した。ポリエステル担体を紙基材にテープ接合し、そして処理装置100を通して供給することにより、放射線処理を受けさせた。輻射後、線量計を60℃で5分間にわたってアニールした。その後、光学濃度及び線量値を測定した。それぞれの測定に関して、4Mradを線量計に供給するように、処理装置100を設定した。処理装置100は、基材の供給速度フィート/分、及び粒子線の電流mAmpを示すためのいくつかのゲージ(図示せず)を含んだ。平均線量を決定し、そして、これを下記等式:
K=(Mrads・フィート/分/mAmp)=(線量(Mrads)×速度(フィート/分)
/電流(mAmp)
に基づいてK値を計算するために使用した。同じ手順を全ての電圧に関して繰り返した。
【0045】
図5は、この試験から得られたデータを示す。Y軸は機械収率を表し、X軸は操作電圧kボルトを表す。この試験は、フォイルが薄ければ薄いほど、効率又は機械収率Kが増大することを結論する。本発明による処理装置の機械収率Kは増大し、対応する最適操作電圧において最適値に達する。図5に示すように、10μmチタン・フォイルを使用し、そして処理装置が110kボルトで操作すると、機械収率はほぼ23に達する。8μmチタン・フォイルを使用し、そして処理装置が100kボルトで操作すると、機械収率は90〜100kボルトでほぼ30に達する。同様に5μmチタン・フォイルを使用し、そして処理装置が70kボルトで作業すると、機械収率はほとんど30に達する。12.5μmチタン・フォイルを使用した処理装置と、10、8及び5μmチタン・フォイルを使用した処理装置との間の機械収率Kを比較すると、下記関係が推論される:
電圧80〜110kボルトで操作する10μmチタン・フォイル;
電圧70〜110kボルトで操作する8μmチタン・フォイル;
電圧60〜110kボルトで操作する5μmチタン・フォイルに関して、
K ≧ 20/L
であり、前記式中、Lはフィートで測定した処理装置の幅であり、この場合には1.5フィートである。
【0046】
実施例3:
図6に示された第3試験の結果は、フレキシブル食品包装の分野において、電圧110kボルト以下で処理装置100を操作することの1つの利点を示す。
【0047】
第3試験において、種々の操作電圧における処理装置100の深部線量プロフィールを、第1試験に関して前述した手順に従って測定した。フレキシブル食品包装の典型的な用途は、加工肉及びチーズの包装である。この包装は一般には、3層、すなわち上側フィルムと接着剤とシーラントとを含む。例えば、下記表1は、典型的な包装用の層、及びグラム/m2で測定された基準厚を示す。
【0048】
表1
0.5ミルのポリエステル・タイプ(PET)から成る上側フィルム:17.0グラム/m2
接着剤:3.0グラム/m2
ポリエチレン・コポリマーから成るシーラント:40.0グラム/m2
【0049】
電子ビームを全体に使用することにより、上側フィルムとシーラントとの間の接着剤を硬化させた。
【0050】
図6に示すように、125kボルトで作業する、現在市場において利用可能なEB処理装置は、上側フィルムと接着剤とを硬化させる20グラム/ m2の深さで接着剤を十分に硬化させた。しかし、このEB処理装置は、60グラム/ m2の深さ(上側フィルム、接着剤及びシーラント)でシーラント層にかなりの線量を沈積させた。包装される食品と接触するポリエチレン系シーラント層は、この層に沈積された線量を吸収するときに、望ましくない臭気を放つ。加えて、沈積された線量はまた、シール開始温度を高くし、従ってヒートシールを難しくする。シーラント層に対するこれら2つの影響は、目下のEB処理装置がフレキシブル食品包装業界の需要を満たすことを妨げる。
【0051】
本発明の原理と合致した処理装置100は、商業的に実現可能な基材供給速度で、電圧範囲110kボルト以下、好ましくは90〜100kボルトで操作することにより、従来の処理装置の問題を克服する。図6に示すように、110kボルト以下の操作電圧において、深さ20グラム/m2で接着剤を適正に硬化させることができ、ひいては、シーラントフィルムに与える損傷が少なくなる。
【0052】
実施例4:
図7に示された第4試験の結果は、チタン・フォイルによって吸収されるエネルギーと、kボルトで測定したその操作電圧との関係を示す。この研究は、3つの異なるチタン・フォイル厚17、12.5及び8μmを比較した。17及び12.5μmに関する研究を、National Institute of Standards and Technologyにおいて、モンテカルロ計算を使用したチタン・フォイルの電子エネルギー散逸に従って実施した。これらの研究から得られたデータに基づいて、8μmチタン・フォイルのデータを推定した。この研究により、フォイルが薄ければ薄いほど、特により低い電圧で、吸収するエネルギーが少なくなることが確認された。従って、厚さ10μm以下のフォイルを利用する処理装置が、熱管理の問題を解決する。それというのも、フォイルによって吸収されるエネルギーは、フォイルに伴う熱管理の問題を引き起こす出力に変換するからである。
【0053】
本発明による処理装置は、操作電圧110kボルト以下で操作することができるので、操作電圧を発生させる電源のサイズを小さくすることができるだけではなく、粒子線生成アセンブリを含有するための排気された容器のサイズを著しく小さくすることができる。さらに、保護ライニングの厚さを小さくすることができる。なぜならば、操作電圧が110kボルト以下の場合には、排気された容器を電子がより低速で出ることにより、放出される深刻な放射線が少なくなるからである。
【0054】
使用に際しては、製造プロセス、例えば電子ビーム(EB)処理において粒子線処理装置を用いることにより、装置に暴露された基材又はコーティングを処理することができる。処理は、化学反応、例えば重合、架橋又は滅菌を含んでよい。基材又はコーティングが、高度に加速された電子に暴露されると、反応が発生し、この反応において、基材又はコーティングにおける化学結合が破断され、新しい改変された分子構造が形成される。この用途はいかなる粒子線にも広くあてはまるが、例示を目的として、電子ビームに関して具体的に説明する。以下に、EB処理中に発生することが考えられる化学反応について説明する。
【0055】
実施例5:
架橋は、処理される材料の物理特性を変化させ向上させる化学反応である。架橋過程において、大型ポリマー鎖相互間で、化学結合又はリンクの相互接続網が発生し、これにより、より強力な分子構造を形成する。架橋反応によるEB処理を用いると、例えば、プラスチック様基材又はゴム基材が電子で処理されたときに、これらの製品中の大型ポリマーが多くのリンク結合を発生させる。これらの結合は、製品の性能、及び昇温時の脆弱化に対するその抵抗を高める。図8は、基材10Aが符号100で概略的に示す粒子線処理装置の下を通って左側領域12Aの未処理状態から暴露領域14A内に、そして右側領域16Aの処理済状態へ移るのに伴って発生する、基材10A上の架橋反応を示す。
【0056】
実施例6:
架橋と同様に、重合も、いくつかの個別の分子群が組み合わさって、ポリマーと呼ばれる1つの大型基を形成するプロセスである。重合は、処理される製品の有意な物理的変化を引き起こし、その結果、多くの所望の物理特性、例えば高い光沢度及び磨耗抵抗をもたらす。例えば、EB処理中に加速電子に暴露されると、家具用コーティング及び接着剤が、液体(未硬化)状態から非粘着性(硬化済)固体状態にほとんど瞬時に変化させられる。図9は、基材10Bが粒子線処理装置100の下を通って左側領域12Bの未処理状態から暴露領域14B内に、そして右側領域16Bの処理済状態へ移るのに伴って発生する、基材10B上の重合反応を示す。
【0057】
実施例7:
滅菌は、微生物を滅菌状態にするか又は再生不能にすることにより、汚染性微生物を破壊するプロセスである。電子が微生物中に向けられ、この際に再生を制御するDNA鎖を破断するときに、EB滅菌が行われる。製品が滅菌されると、微生物分解は生じ得ない。電子が化学的滅菌剤ではなく物理的滅菌剤として作用するので、電子は標的製品の化学特性を変化させず、またはいかなる残留化学物質をも残す。EB滅菌は、化学的な滅菌技術、例えば過酸化水素及びエチレンオキシドを使用する技術を上回る多数の利点を提供する。例えば、EB滅菌を用いることにより、医薬品及び痛みやすい食品、並びにこれらのそれぞれの包装を滅菌することができるが、化学的な滅菌は用いることはできない。図10は、基材10Cが、符号100で概略的に示す粒子線処理装置100の下を通って左側領域12Cの未処理状態から暴露領域14C内に、そして右側領域16Cの処理済状態へ移るのに伴って発生する、基材10C上の滅菌反応を示す。
【0058】
近年、EB処理の用途は、多くの種々異なる業界において幅広く容認されている。例えば、包装業界において、フレキシブル包装は、その対応する剛性又は半剛性包装、例えば缶詰め及び瓶詰めと比較して、著しく成功裡の成長をおさめている。剛性及び半剛性の包装代替物を上回るこのような成功の1つの理由は、フレキシブル包装がコスト及び資源の削減を可能にすることである。一般にはEB機と業界では呼ばれている、本発明による粒子線処理装置を使用することにより、この業界の要件を満足させることができる。これらの要件は、より低廉であり、しかも米国食品医薬品局のような政府機関によって示された健康安全基準を満たすフレキシブル包装材料を提供することを含む。使用原料を少なくし、そして改善された製造技術を採用することにより、コスト削減を達成することができる。付加的な利点として、原料を削減することは、環境を考慮したものとしてその業界に大きくアピールすることにもなる。
【0059】
実施例3において上述し、表1において例示したように、市場において現在入手可能な典型的なフレキシブル包装材料は、ラミネートの形態で提供される。これは包装材料が最低限の2つの主な層を有することを意味する。これらの2つの層は、上側ポリマーフィルム及び下側ポリマーフィルムであり、上側ポリマーフィルムと下側ポリマーフィルムとの間に接着剤がサンドイッチされるか、又は貼り合わされている。上側フィルム及び下側フィルムのそれぞれは通常、円筒形コア又はスプールの周りに巻き取られた連続シートの形態で提供される。接着剤は、例えば、上側フィルムを案内するための1つのローラと、下側フィルムを案内するための別のローラとから成るローラ対の間のニップ領域内にノズルから絞り出すことにより、塗布することができる。一般に、さらに上側フィルムと下側フィルムとの間には、製品ラベルのプリントが貼り合わされて保護される。プリントは一般に、実際のラベル自体の反転画像である。
【0060】
また、業界において現在知られているのは、ペットフード包装業界における用途の教示に従って、粒子線処理装置を使用することである。例えば、本発明のEB機を使用して、ペットフード包装材料、例えば多壁バッグ上のラッカー・コーティングを硬化又は重合することがよく知られている。ペットフード包装材料は通常、高強度紙層とラッカー・コーティングとから形成され、これにより紙上にプリントされたラベルを保護する。通常電圧110kボルトで作業する本発明の粒子線処理装置内に紙を供給してラッカー・コーティングを硬化させ、ラッカー・コーティングを液相から固相にほとんど瞬時に変化させることにより、紙上のラッカー・コーティングを硬化させることが知られている。ラッカー・コーティングはEBで硬化され、そして、光沢、磨耗抵抗性及び所期摩擦係数(COF)を提供するように構成される。EBラッカーが塗布された後、紙はさらに処理され、他の紙層及びプラスチック・フィルム層が、EBラッカーを含有する紙に接着され、多壁バッグ基材を形成する。次いで内容物の充填後、包装の上側エッジ及び下側エッジを縫合することにより、紙包装は全体的にシールされる。ペットフード包装材料は、下側ポリマーフィルムを含まない。下側ポリマーフィルムは通常、EBラッカーが塗布されEBで硬化された時に、包装をヒートシールするためのポリエチレンから形成される。
【0061】
粒子線処理装置からの照射がかなりの線量を下側ポリマーフィルムに沈積させると、下側ポリマーフィルムのシーリング特性が変化し、そしてフィルムが望ましくない臭気を放つようになり、シール開始温度が高くなり、ひいては包装のヒートシールが難しくなることが知られている。
【0062】
本発明は、例えばフレキシブル食品包装のために、処理可能な材料に粒子線処理装置を適用することに関する。この場合、処理可能な材料は、基材と、粒子線で処理可能なラッカー・コーティングと、放射線不安定化層、例えばシーリング層とを含み、粒子線は、放射線不安定化層に影響を与えることなしに、ラッカー・コーティングを化学反応させる。
【0063】
本発明による形成された粒子線処理装置の用途は、例えば包装、絶縁フィルム、反射コーティング及び反射性材料、ソーラー・フィルムなどを含む多くの産業に見いだすことができる。その他の分野、例えば宇宙服及び航空機の分野も、本発明を有用なものと見なすことができる。例示の目的で、フレキシブル食品包装分野における粒子線処理装置の用途に関して、本発明の1実施態様を論じる。
【0064】
本発明の原理に合致して、現在の包装材料の材料資源及び生産コストを削減するために、このような用途は、基材と、基材上に塗布されたラッカー・コーティングとを含む、粒子線で処理可能な材料を提供する。ラッカー・コーティングは、高加速粒子、例えば本発明の粒子線処理装置によって生成された粒子に対する暴露のために調製され、これによりラッカー・コーティングに化学反応が引き起こされる。粒子線処理装置は電圧範囲110kボルト以下で作業する。
【0065】
図11に示すように、本発明の原理と合致する包装材料200は、上側212と下側214とを有する基材10と、基材10の上側212に塗布されたラッカー・コーティング240とを含む。図示された図11の実施態様の場合、包装材料200は、矢印216の方向で、本発明の粒子線処理装置100を通るように概略的に示されている。基材10は概ね連続ウェブの形態を成している。しかし本発明は、基材10がシートの形態を成してもよいことを見込んでいる。
【0066】
ラッカー・コーティング240、例えばオーバープリント・ワニス(OPV)は、矢印242で概略的に示される高加速粒子に対して暴露されるために調製される。粒子242は、本発明の粒子線生成アセンブリ110によって生成された電子のような電子ビームであってよい。電子ビーム242に暴露されると、ラッカー・コーティング240は、化学反応、例えば、すなわち液体状態から固体状態へ物理的に変化させられる重合プロセスを受けることにより処理される(図11では符号244で示す)。この重合プロセスは一般に硬化プロセスと呼ばれる。有利には、ラッカー・コーティング240は、理論的にはほとんど瞬時に、又は実際にはほぼ数ミリ秒以内に硬化させることができる。チョコレート・バー、ポテトチップス、キャンディ、ドライフルーツなどのような、大量生産が必須となる消費者向け食品の製造者にとって、このことは大きな突破口である。それというのも、包装済製品を供給元及び消費者へ迅速に出荷できるからである。
【0067】
ラッカー・コーティング240はいくつかの目的を担う。これらの目的は、ラベル・プリント250のインクを汚れ及び引掻きから保護し、ウェブがEB機中を通るのを可能にする牽引力を提供し、そして見場の理由から高度の光沢仕上げを包装済製品に提供することを含む。ラッカー・コーティング240は、官能基、例えばフリーラジカル重合のための多官能価アクリレートを含むアクリル酸エステル、並びに、カチオン重合のためのビニルエーテル、脂環式ジエポキシド及びポリオール系から形成することができる。ラッカー・コーティングは湿潤剤及びその他の添加剤を含むことにより、摩擦係数(COF)を制御し、そして所期機能特性、例えばガス及び芳香バリア特性を取り込むこともできる。
例えば、下記のものは、多官能価アクリレートの考えられ得る候補である:
分子量150〜600のアクリル化ポリオール;
分子量1000〜2000のポリエステルアクリレート;
分子量200〜1500のポリエーテルアクリレート;
分子量400〜2000のポリエステルウレタンアクリレート;
分子量400〜2000のポリ尿素アクリレート;
分子量300〜1000のエポキシアクリレート;及び
多官能価アクリレートの混合物。
より具体的には、多官能価アクリレートは、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリス-t2ヒドロキシ-エチルイソシアヌレートのトリアクリレートエステル、ヘキサンジオールジアクリレート及びジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、及びこれらのエトキシル化誘導体及びプロポキシル化誘導体を含むことができる。
【0068】
ラッカー・コーティング240は、0.5〜20グラム/m2の範囲の基準化厚(その質量密度で表す)を有してよい。1実施態様の場合、ラッカー・コーティング240は好ましくは1〜10グラム/m2の範囲、より好ましくは2〜5グラム/m2の範囲の厚さを有してよい。
【0069】
また本発明の原理と合致して、ラッカー・コーティング240は好ましくは、電源を有し、そして電圧110kボルト以下で操作するEB機を使用して処理される。1用途の場合、EB機の操作電圧は60〜110kボルトの範囲、又は好ましくは70〜110kボルトの範囲、より好ましくは90〜110kボルトの範囲であってよい。
【0070】
さらに、ラッカー・コーティング240は、0.5〜10Mradの範囲の電子放出エネルギーを生成することにより、ラッカー・コーティング240を硬化させるEB機を使用して処理することができる。一例において、放出される電子エネルギーは、好ましくは1〜7Mradの範囲、又は好ましくは2〜5Mradの範囲にある。
【0071】
また本発明の原理と合致して、基材10は、配向ポリプロピレン(OPP)、キャスト・ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエチレン・コポリマーを含むポリオレフィン;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)を含むポリエステル;エチレンビニルアセテート、エチレンアクリル酸及びエチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール及びこれらのコポリマーを含むポリオレフィン・コポリマー;ナイロン及びMXD6を含むポリアミド;ポリイミド;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリ二塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリアクリレート;イオノマー;再生セルロースを含む多糖類;ゴム又はシーラントを含むシリコーン;天然又は合成ゴム;グラシン又はクレイをコーティングされた紙;厚紙;クラフト紙;及び金属化フィルム、及びAlOx、SiOx又はTiOxを含む蒸着金属酸化物をコーティングされたポリマー・フィルム、のような材料から形成することができる。
【0072】
包装に所期強度を提供するために、そして包装済製品の内容物の量を維持するために、基材10は、10〜200グラム/m2、好ましくは30〜90グラム/m2、又はより好ましくは50〜70グラム/m2の範囲の標準化厚を有してよい。
【0073】
さらに本発明の原理と合致して、基材10は、基材10の上側212上に適用されたバリア層260を有することにより、包装済製品の内容物の必須条件を維持することができる。包装済製品の内容物が食品、例えばポテトチップスである場合、例えば必須条件は風味、新鮮さ、味、パリパリした食感、色などを含むことができる。
【0074】
バリア層260は、真空蒸着プロセスとして広く知られた技術によって適用することができる。このプロセスの場合、例えば蒸着アルミニウム、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ケイ素(SiOx)、又はその他の好適な材料から成る層を基材10上にデポジットすることにより、包装済製品の内容物の必須条件を維持することができる。金属化としても知られた、酸化アルミニウムを使用した真空蒸着法の場合、アルミニウムをチャンバ内の真空条件下で、上記溶融温度まで加熱する。溶融アルミニウムが充填された真空チャンバ内を、一連のローラを介して、連続ウェブが走行するようにする。制御された条件下で、ウェブ表面の一方又は両方の側上に、溶融アルミニウムをデポジットし、ウェブ上にアルミニウム金属化の正確な厚さを形成する。この金属化は例えば、ポテトチップスの袋の内側の光沢のある銀色のコーティングとして見ることができる。1実施態様の場合、バリア層260は、100〜1000オングストロームの範囲の厚さを有することができる。
【0075】
基材10の上側212上に、必ずしも必要ではないが普通はバリア層260の上側に、直接的にラベルプリント250を適用することができる。基材10がバリア層260を含む場合には、ラベルプリント250は、基材10上へのバリア層260の適用後に適用することができる。本発明によるラベルプリント250は、リバース・プリントではなく表面プリントとして適用することができる。表面プリントは、現在利用可能な技術、例えばフレキソグラフィ印刷、ロータ・グラビア印刷、オフセット・リソグラフィ印刷、噴霧印刷などを用いて実施することができる。一般に、EB機のプリント・ゾーンにおいて、基材10の連続シートを、一連のローラ(図示せず)を通して走行させることにより、これらの印刷技術のうちの1つによってその上側212上に表面プリントを施す。好ましくは、フレキシブル包装業界においては、フレキソグラフィ法によって印刷が行われる。ラベルプリント250は、任意のタイプのよく知られたフレキソグラフィ・インクであってよい。これらのインクは、溶剤系、水性及び電子ビーム硬化性インク、例えばイリノイ州ノースレイク在Sun Chemicals Inkから入手可能なUnicure(登録商標)を含む。本発明はさらに、基材10上のラッカー・コーティング240及びラベルプリントを、これらが粒子線処理装置100を通る時に同時に処理できることを見込んでいる。
【0076】
さらに、本発明の原理と合致して、基材10は、放射線不安定化層を有することができる。放射線不安定化層は、放射線により損傷されやすい材料から成る層として定義される。放射線不安定化層は、基材10の下側214上に塗布されたシーリング層であってよい。シール層270を設けることにより、包装材料のシールを容易にし、そして粒子線処理装置100からの照射によって化学変化させられることなしに、包装に構造を与える。包装に構造を与えるために、シーリング層270は5〜50グラム/m2、好ましくは8〜35グラム/m2、より好ましくは12〜25グラム/m2、又は最も好ましくは15〜20グラム/m2の範囲の厚さを有することができる。シーリング層270は、任意の慣用の手段、例えば押出法によって、フレキシブルな基材210の下側214に適用することができる。
【0077】
消費者向け食品製造会社において、ラッカー・コーティング240が処理された後、一般に連続ウェブの形態の基材10は、切断プロセスを施される。このプロセスでは、連続シートを先ず折り畳むことにより連続チューブにし、次いで所定のサイズに切断することにより個別袋を形成し、組み立てライン内に配置して袋の一端をシールする。切断プロセスにおいて、基材10の連続シートを種々のローラを通して走行させ、これにより連続的なU字形シートを形成して、シーリング層270が互いに対面するU字形シートの2つの内側脚部に位置するようにする。次いで、U字形シートの脚部の先端をシールすることにより、連続チューブを個別袋サイズに切断するように準備を整える。次いで個別袋の組み立てラインは充填プロセスを通る。このプロセスにおいて、包装の内容物を個別袋内に充填し、個別袋のそれぞれを他方の端部でシールすることにより、包装を閉じる。所定のサイズに既に切断されているか又は所定のサイズに切断する準備ができた個別シートの形で、基材を提供することも可能である。
【0078】
シーリング層270は、包装済製品のシーリング、例えばヒートシーリング、コールドシーリング又はその他の同等のシーリング法に適した材料から形成することができる。ヒートシール層のためにシーリング層270を設ける場合、シーリング層270は、100〜150℃の温度範囲の融点を有するポリマーから形成することができる。このようなポリマーの実施例は、ポリエチレン、ポリビニルアセテート、エチレンプロピレン・コポリマー、ターポリマー・エチレンアクリル酸、メタロセン、イオノマー、及びこれらの組み合わせである。ポテトチップスのようなスナック食品の袋詰めのためには、例えば、溶融温度範囲110〜140℃のポリエチレン又はポリエチレン/ポリプロピレン・コポリマー・ターポリマーから形成することができる。
【0079】
或いは、コールドシール層のためにシーリング層270を設けることにより、包装をコールドシールすることもできる。1実施態様の場合、コールドシール接着剤を基材に適用することができる。コールドシール・コーティングの場合、シーリング層270は、天然ゴム、ポリアミド及びこれらの組み合わせから形成することができる。
【0080】
下記比較実施例は、直立型パウチ包装、菓子用包装、及びスナック食品包装を含む、現在の市場における本発明によるウェブ包装材料のいくつかの用途を示す。下記実施例から判るように、本発明のウェブ包装材料は、コスト削減、より良好な品質の製品、及び環境意識を提供することにより、現在利用可能な包装材料を改善する。本発明は、より少ない原料を使用し、そして低電圧EB機を使用して包装材料を硬化させることにより、これらの改善を達成する。例示の目的で、グラム/m2で測定された標準化厚に関してポリマーに関して、実施例8〜10を論じる。
【0081】
実施例8:直立型パウチ包装
直立型パウチ包装を使用して、例えばクッキー、ナッツ、ドライフルーツなどを包装する。今日の市場において、直立型パウチの包装は、ラミネート形で形成される。すなわち2つ以上のポリマー層を貼り合わすことにより、接着層をサンドイッチする。下記のものは、現在の市場における直立型パウチ包装の例である:
現在の市場におけるポリマー・ラミネート 厚さ(グラム/m2)
ポリエステル・タイプ(PET) 16
リバース・プリント ---
接着剤(押出しポリエチレン) 12
金属化配向ポリプロピレン(OPP) 15
接着剤(押出しポリエチレン) 12
低密度ポリエチレン 30
合計 85
【0082】
本発明の原理と合致するように形成された包装材料は、下記の直立型パウチ包装構造を有することができる:
本発明の包装材料 厚さ(グラム/m2)
オーバープリント・ワニス(OPV) <5
表面プリント ---
金属化配向ポリプロピレン(OPP) 50
押出しポリエチレン(PE)コーティング 20
合計 <75
【0083】
この実施例の場合、ラッカー・コーティング240のオーバープリント・ワニスは、約3〜5グラム/m2厚であり、80〜110kボルトの範囲で操作する2.0Mrad以上のEB機で硬化させることができる。本発明の原理に基づいて形成されたウェブ包装は、慣用の直立型パウチ包装よりも、使用する原料が10グラム/m2だけ少ないことが判る。このことはほとんど15〜20%の原料削減となる。加えて、本発明の原理に基づいて形成されたウェブ包装材料は、いくつかの作業工程又は処理工程を減らすことに関して、エネルギー及びコストの削減を可能にする。
【0084】
実施例9:菓子用包装
菓子用包装を使用することにより、例えばキャンディ及びキャンディ漬け製品を包装する。下記のものは、現在の市場における菓子用パウチ包装の例である:
現在の市場におけるポリマー・ラミネート 厚さ(グラム/m2)
配向ポリプロピレン(OPP) 18
リバース・プリント ---
水性接着剤 2
配向ポリプロピレン(OPP) 28
コーティングされたコールドシール接着剤パターン ---
合計 48
【0085】
本発明の原理と合致するように形成された包装材料は、下記の菓子用包装構造を有することができる:
本発明の包装材料 厚さ(グラム/m2)
オーバープリント・ワニス(OPV) <5
表面プリント ---
配向ポリプロピレン(OPP) 35
コーティングされたコールドシール接着剤パターン ---
合計 <40
【0086】
この実施例の場合、ラッカー・コーティング240のオーバープリント・ワニスは、80〜110kボルトの範囲で操作する2.0Mrad以上のEB機で硬化させることができる。本発明の原理に基づいて形成されたウェブ包装は、慣用の包装よりも、使用する原料が少ないことが判る。材料コスト削減率は約8グラム/m2又は10〜15%となる。加えて、本発明の原理に基づいて形成されたウェブ包装は、いくつかの作業工程又は処理工程を低減することに関して、エネルギー及びコストの削減を可能にする。
【0087】
実施例10:スナック食品用包装
スナック食品用包装を使用することにより、例えばポテトチップス及びコーンチップス及びプレッツェルを包装する。下記のものは、現在の市場におけるスナック食品用パウチ包装の例である:
【0088】
現在の市場におけるポリマー・ラミネート 厚さ(グラム/m2)
配向ポリプロピレン(OPP) 18
リバース・プリント ---
接着剤(押出しポリエチレン) 15
金属化ヒートシール性OPP 18
合計 51
【0089】
本発明の原理と合致するように形成された包装材料は、下記のスナック用包装構造を有することができる:
本発明の包装材料 厚さ(グラム/m2)
オーバープリント・ワニス(OPV) <5
表面プリント ---
金属化配向ポリプロピレン(OPP) 18
ヒートシーリング及びバルクのための押出しPE 18
合計 <41
【0090】
この実施例の場合、ラッカー・コーティング240のオーバープリント・ワニスは、80〜110kボルトの範囲で操作する2.0Mrad以上のEB機で硬化させることができる。本発明の原理に基づいて形成されたウェブ包装は、慣用の包装よりも、使用する原料が少ないことが判る。コスト削減率は約10グラム/m2又は15%となる。加えて、本発明の原理に基づいてEB機で硬化されたウェブ包装は、現在の市場で使用されている慣用の炉作業と比較して、かなりのエネルギー削減をもたらす。
【0091】
上述のプロセスは、いくつかの利点を提供する。例えば粒子線処理は事実上瞬時に発生し、一般に室温で作業し、そしてエミッション又は空気汚染を生じさせない。それというのも粒子線・コーティング材料が100%固体であるからである。加えて、コーティングは有害な溶剤又は揮発性有機化合物を含有しない。加えて、EBを操作するためのエネルギー・コストは、今日使用されている炉を操作する場合よりもかなり低い。
【0092】
当業者には明らかなように、粒子生成アセンブリ、フォイル・サポート、処理ゾーン及びプロセス制御システム、並びに、ウェブ包装材料に関して選択される材料、及び薄フォイルに関して選択される材料、フィラメント又は粒子生成成分、及び粒子線処理システムの構成、並びに本発明のその他の観点において、本発明の範囲又は思想を逸脱することなしに、種々の変更及び改変を加えることができる。
本明細書を考察し、本明細書中に開示された本発明を実施することから、本発明のその他の実施態様が当業者には明らかとなる。本明細書及び実施例は一例にすぎないと考えられるものとし、本発明の真の範囲及び思想は、添付の特許請求の範囲及びこれらの等価物によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、本発明の1実施態様に基づく粒子線処理装置を示す概略図である。
【図2】図2は、電子ビームの電圧プロフィールを示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の好ましい実施態様に基づく粒子線処理装置を示す正面図である。
【図4】図4は、作業電圧90kボルトで測定された、チタン・フォイルの厚さの関数としての深部線量プロフィールを示すチャートである。
【図5】図5は、チタン・フォイル厚5, 8, 10及び12.5μmを使用して測定された、作業電圧の関数としての幅1.5フィートの処理装置の機械収量を示すチャートである。
【図6】図6は、種々の作業電圧で測定された、チタン・フォイル厚の関数としての深部線量プロフィールを示すチャートである。
【図7】図7は、チタン・フォイル厚17、12.5及び8μmを使用して測定された、入射エネルギーkeVの関数としての、薄フォイルによって吸収されるエネルギーを示すチャートである。
【図8】図8は、基材が粒子線処理装置を通過するのに伴う、基材上の架橋反応を示す概略図である。
【図9】図9は、基材が粒子線処理装置を通過するのに伴う、基材上の重合反応を示す概略図である。
【図10】図10は、基材が粒子線処理装置を通過するのに伴う、基材上の滅菌反応を示す概略図である。
【図11】図11は、本発明の1実施態様に基づくフレキシブルな包装材料用ウェブの長さを示す断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子線で処理可能な材料であって:
上側と下側とを有する基材と;
該基材の上側の、粒子線で処理可能なラッカー・コーティングと;
該基材の下側の、放射線不安定化層と
を含み、該ラッカー・コーティングが、該ラッカー・コーティングに対する化学反応を引き起こすための、110kボルト以下の範囲の電圧で操作する粒子線処理装置によって生成された高加速粒子に対して暴露することにより処理される、
粒子線で処理可能な材料。
【請求項2】
該ラッカー・コーティングが、フリーラジカル重合のためのアクリル酸エステル及び多官能価アクリレート、カチオン重合のためのビニルエーテル、脂環式ジエポキシド及びポリオール系から本質的に成る官能基から成る群から選択される、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項3】
該多官能価アクリレートが、
分子量150〜600のアクリル化ポリオール;
分子量1000〜2000のポリエステルアクリレート;
分子量200〜1500のポリエーテルアクリレート;
分子量400〜2000のポリエステルウレタンアクリレート;
分子量400〜2000のポリ尿素アクリレート;
分子量300〜1000のエポキシアクリレート;及び
多官能価アクリレートの混合物
から本質的に成る群から選択される、請求項2に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項4】
該多官能価アクリレートがさらに:
ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリス-t2ヒドロキシ-エチルイソシアヌレートのトリアクリレートエステル、ヘキサンジオールジアクリレート及びジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、及びこれらのエトキシル化誘導体及びプロポキシル化誘導体から成る群から選択される、請求項3に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項5】
該ラッカー・コーティングが、0.5〜20グラム/m2の範囲の標準化厚を有する、請求項2に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項6】
該高加速粒子が0.5〜10Mradの範囲のエネルギーを放出することにより、該ラッカー・コーティングに対する化学反応を引き起こす、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項7】
該化学反応が重合である、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項8】
該重合が、液体状態から固体状態へ変化させることにより、該ラッカー・コーティングを硬化させる、請求項7に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項9】
該化学反応が滅菌である、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項10】
該化学反応が架橋である、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項11】
該基材が:
配向ポリプロピレン(OPP);キャスト・ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエチレン・コポリマーを含むポリオレフィン;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)を含むポリエステル;エチレンビニルアセテート、エチレンアクリル酸及びエチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール及びこれらのコポリマーを含むポリオレフィン・コポリマー;ナイロン及びMXD6を含むポリアミド;ポリイミド;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリ二塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリアクリレート;イオノマー;再生セルロースを含む多糖類;ゴム又はシーラントを含むシリコーン;天然又は合成ゴム;グラシン又はクレイをコーティングされた紙;厚紙;クラフト紙;及び金属化フィルム、及びAlOx、SiOx又はTiOxを含む蒸着金属酸化物をコーティングされたポリマー・フィルム
から成る群から選択された材料から形成される、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項12】
該基材が、10〜200グラム/m2の範囲の標準化厚を有する、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項13】
さらに、該基材の上側にプリントされ、該ラッカー・コーティングによって保護されたラベルプリントを含む、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項14】
さらに、該基材の上側及び下側の一方にバリア層を含むことにより、包装された製品の内容物の状態を維持する、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項15】
さらに、該バリア層の上側にプリントされ、該ラッカー・コーティングによって保護されたラベルプリントを含む、請求項14に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項16】
該バリア層が真空蒸着法によって適用される、請求項14に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項17】
該バリア層が、酸化アルミニウム(AlOx)層を含む、蒸着アルミニウム層を含む、請求項14に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項18】
該蒸着アルミニウム層の厚さが100〜1000オングストロームの範囲にある、請求項17に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項19】
該バリア層が、酸化ケイ素(SiOx)層を含む、請求項14に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項20】
該酸化ケイ素(SiOx)層の厚さが100〜1000オングストロームの範囲にある、請求項19に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項21】
該放射線不安定化層が、包装された製品をヒートシールするのに適した材料から成るシーリング層である、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項22】
該ヒートシール層が、温度範囲100〜150℃の融点を有するポリマーから形成される、請求項21に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項23】
該ヒートシール層が、ポリエチレン、ポリビニルアセテート、エチレンプロピレン・コポリマー、ターポリマー・エチレンアクリル酸、メタロセン、イオノマー及びこれらの組み合わせから成る群から選択された材料から形成される、請求項21に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項24】
該放射線不安定化層が、包装された製品をコールドシールするのに適した材料から成るシーリング層である、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項25】
該コールドシール層が、天然ゴム、ポリアミド及びこれらの組み合わせから成る群から選択された材料から形成される、請求項24に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項26】
該放射線不安定化層が、5〜50グラム/m2の範囲の標準化厚を有する、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項27】
粒子線で処理可能な材料を形成する方法であって:
上側と下側とを有する基材を準備し;
該基材の下側に、放射線不安定化層を適用し;
該基材の上側に、粒子線で処理可能なラッカー・コーティングを適用し;そして
該放射線不安定化層に影響を与えることなしに該ラッカー・コーティングに対する化学反応を引き起こすための、110kボルト以下の範囲の電圧で操作する粒子線処理装置によって生成された高加速粒子に対して、該ラッカー・コーティングを暴露する
ことを含む、粒子線で処理可能な材料を形成する方法。
【請求項28】
該ラッカー・コーティングが、フリーラジカル重合のためのアクリル酸エステル、カチオン重合のためのビニルエーテル、脂環式ジエポキシド及びポリオール系、並びに多官能価アクリレートから本質的に成る群から選択される、請求項27に記載の粒子線で処理可能な材料を形成する方法。
【請求項29】
該多官能価アクリレートが、
分子量150〜600のアクリル化ポリオール;
分子量1000〜2000のポリエステルアクリレート;
分子量200〜1500のポリエーテルアクリレート;
分子量400〜2000のポリエステルウレタンアクリレート;
分子量400〜2000のポリ尿素アクリレート;
分子量300〜1000のエポキシアクリレート;及び
多官能価アクリレートの混合物
から本質的に成る群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
該多官能価アクリレートがさらに、
ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリス-t2ヒドロキシ-エチルイソシアヌレートのトリアクリレートエステル、ヘキサンジオールジアクリレート及びジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、及びこれらのエトキシル化誘導体及びプロポキシル化誘導体から本質的に成る群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
該ラッカー・コーティングが、0.5〜20グラム/m2の範囲の標準化厚を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
該ラッカー・コーティングの適用が、ロール・コーティング塗布、オフセット・グラビア塗布、直接グラビア塗布、及びこれらの組み合わせのうちの1つによって塗布することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
該高加速粒子が0.5〜10Mradの範囲のエネルギーを放出することにより、該ラッカー・コーティングに対する化学反応を引き起こす、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
該化学反応が重合を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
該重合が、液体状態から固体状態へ変化する該ラッカー・コーティングを硬化させる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
該基材が
配向ポリプロピレン(OPP);キャスト・ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエチレン・コポリマーを含むポリオレフィン;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)を含むポリエステル;エチレンビニルアセテート、エチレンアクリル酸及びエチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール及びこれらのコポリマーを含むポリオレフィン・コポリマー;ナイロン及びMXD6を含むポリアミド;ポリイミド;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリ二塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリアクリレート;イオノマー;再生セルロースを含む多糖類;ゴム又はシーラントを含むシリコーン;天然又は合成ゴム;グラシン又はクレイをコーティングされた紙;厚紙;クラフト紙;及び金属化フィルム、及びAlOx、SiOx又はTiOxを含む蒸着金属酸化物をコーティングされたポリマー・フィルム
から本質的に成る群から選択された材料から形成される、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
該基材が、10〜200グラム/m2の範囲の標準化厚を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
さらに、該基材の上側にラベルプリントを適用することを含み、該ラベルプリントが該ラッカー・コーティングによって保護される、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
ラベルプリントの適用が、フレキソグラフィ印刷、ロータ・グラビア印刷、オフセット・リソグラフィ印刷、噴霧印刷、及びこれらの組み合わせのうちの1つによって塗布することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
さらに、該基材の上側及び下側の一方にバリア層を適用することにより、包装された製品の内容物の状態を維持することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項41】
さらに、該バリア層の上側にラベルプリントを適用することを含み、該ラベルプリントが該ラッカー・コーティングによって保護される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
バリア層の適用が、真空蒸着法によって行われる、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
バリア層の適用がさらに、酸化アルミニウム(AlOx)層を含む蒸着アルミニウム層を適用することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
該蒸着アルミニウム層の厚さが100〜1000オングストロームの範囲にある、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
バリア層の適用がさらに、酸化ケイ素(SiOx)層を適用することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
該酸化ケイ素(SiOx)層の厚さが100〜1000オングストロームの範囲にある、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
放射線不安定化層の適用がさらに、包装された製品をヒートシールするためのヒートシール層を適用することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項48】
ヒートシール層の適用がさらに、該基材の下側上に該ヒートシール層を押し出すことを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
該ヒートシール層が、温度範囲100〜150℃の融点を有するポリマーから形成される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
該ヒートシール層が、ポリエチレン、ポリビニルアセテート、エチレンプロピレン・コポリマー、ターポリマー・エチレンアクリル酸、メタロセン、イオノマー及びこれらの組み合わせから成る群から選択された材料から形成される、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
放射線不安定化層の適用がさらに、包装された製品をコールドシールするためのコールドシール層を適用することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項52】
該コールドシール層が、天然ゴム、ポリアミド及びこれらの組み合わせから成る群から選択された材料から形成される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
該コールドシール層が、5〜50グラム/m2の範囲の標準化厚を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
基材上の化学反応を引き起こす、小型サイズで高効率の粒子線処理装置であって:
電源と;
容器内の真空環境を形成して維持するための真空ポンプと;
真空容器内に配置され、110kボルト以下の範囲の第1電圧で操作する該電源に接続された粒子生成アセンブリであって、加熱時に複数の粒子を生成するための1つ以上のフィラメントを含む粒子生成アセンブリと;
フォイル・サポート・アセンブリであって、該第1電圧よりも高い第2電圧で操作することにより、前記粒子の少なくとも一部が該第1電圧から該第2電圧に移動して、該フォイル・サポート・アセンブリを出ることができ、厚さ10μm以下のチタン又はその合金から形成された薄フォイルを含むフォイル・サポート・アセンブリと;
前記化学反応を引き起こすために使用される該フォイル・サポート・アセンブリを出る前記粒子を受容するための処理アセンブリと
を含み、
該処理装置の機械収率(K)が:
K=(線量・速度)/電流
に基づいて決定され、
上記式中、
KはMrad・フィート/分/mAmpで測定された機械収率であり、
線量は、Mradで測定された、単位質量当たりの吸収されたエネルギーであり、
速度は、フィート/分で測定された該基材の供給速度であり、そして
電流は、mAmpで測定された、加熱されたフィラメントから抽出された電子の数である、
粒子線処理装置。
【請求項55】
該機械収率(K)が約20/L以上であり、Lは、フィートで測定された処理装置の幅である、請求項54に記載の粒子線処理装置。
【請求項56】
基材上の化学反応を引き起こす、小型サイズで高効率の粒子線処理装置であって:
電源と;
容器内の真空環境を形成して維持するための真空ポンプと;
真空容器内に配置され、110kボルト以下の範囲の第1電圧で操作する該電源に接続された粒子生成アセンブリであって、加熱時に複数の粒子を生成するための1つ以上のフィラメントを含む粒子生成アセンブリと;
フォイル・サポート・アセンブリであって、該第1電圧よりも高い第2電圧で操作することにより、前記粒子の少なくとも一部が該第1電圧から該第2電圧に移動して、該フォイル・サポート・アセンブリを出ることができ、厚さ20μm以下のアルミニウム又はその合金から形成された薄フォイルを含むフォイル・サポート・アセンブリと;
前記化学反応を引き起こすために使用される該フォイル・サポート・アセンブリを出る前記粒子を受容するための処理アセンブリと
を含み、
該処理装置の機械収率(K)が:
K=(線量・速度)/電流
に基づいて決定され、
上記式中、
KはMrad・フィート/分/mAmpで測定された機械収率であり、
線量は、Mradで測定された、単位質量当たりの吸収されたエネルギーであり、
速度は、フィート/分で測定された該基材の供給速度であり、そして
電流は、mAmpで測定された、フィラメントから抽出された電子の数である、
粒子線処理装置。
【請求項57】
該機械収率(K)が約20/L以上であり、Lは、フィートで測定された処理装置の幅である、請求項56に記載の粒子線処理装置。
【請求項58】
粒子線処理装置内で基材上の化学反応を引き起こす方法であって:
1つ以上のフィラメントを有する粒子生成アセンブリ内で真空を形成して維持し;
該1つ以上のフィラメントを加熱することにより、複数の粒子を形成し;
110kボルト以下の範囲の第1電圧で該粒子生成アセンブリを操作し;
10μm以下のチタン又はその合金から形成された薄フォイルを有するフォイル・サポート・アセンブリを、該第1電圧よりも高い第2電圧で操作することにより、前記粒子の少なくとも一部が該第1電圧から該第2電圧へ移動し、そして、該粒子生成アセンブリ内の該真空を出るようにし;そして、
該出てきた粒子が薄フォイルを通過するようにすることにより、該粒子を処理アセンブリに入れ、該処理アセンブリで、該基材を該粒子に対して暴露させる
ことを含み、
該処理装置の機械収率(K)が:
K=(線量・速度)/電流
に基づいて決定され、
上記式中、
KはMrad・フィート/分/mAmpで測定された機械収率であり、
線量は、Mradで測定された、単位質量当たりの吸収されたエネルギーであり、
速度は、フィート/分で測定された該基材の供給速度であり、そして
電流は、mAmpで測定された、フィラメントから抽出された電子の数である、
粒子線処理装置内で基材上の化学反応を引き起こす方法。
【請求項59】
該機械収率(K)が約20/L以上であり、Lは、フィートで測定された処理装置の幅である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
粒子線処理装置内で基材上の化学反応を引き起こす方法であって:
1つ以上のフィラメントを有する粒子生成アセンブリ内で真空を形成して維持し;
該1つ以上のフィラメントを加熱することにより、複数の粒子を形成し;
110kボルト以下の範囲の第1電圧で該粒子生成アセンブリを操作し;
20μm以下のアルミニウム又はその合金から形成された薄フォイルを有するフォイル・サポート・アセンブリを、該第1電圧よりも高い第2電圧で操作することにより、前記粒子の少なくとも一部が該第1電圧から該第2電圧へ移動し、そして、該粒子生成アセンブリ内の該真空を出るようにし;そして、
該出てきた粒子が薄フォイルを通過するようにすることにより、該粒子を処理アセンブリに入れ、該処理アセンブリで、該基材を該粒子に対して暴露させる
ことを含み、
該処理装置の機械収率(K)が:
K=(線量・速度)/電流
に基づいて決定され、
上記式中、
KはMrad・フィート/分/mAmpで測定された機械収率であり、
線量は、Mradで測定された、単位質量当たりの吸収されたエネルギーであり、
速度は、フィート/分で測定された該基材の供給速度であり、そして
電流は、mAmpで測定された、フィラメントから抽出された電子の数である、
粒子線処理装置内で基材上の化学反応を引き起こす方法。
【請求項61】
該機械収率(K)が約20/L以上であり、Lは、フィートで測定された処理装置の幅である、請求項60に記載の方法。
【請求項1】
粒子線で処理可能な材料であって:
上側と下側とを有する基材と;
該基材の上側の、粒子線で処理可能なラッカー・コーティングと;
該基材の下側の、放射線不安定化層と
を含み、該ラッカー・コーティングが、該ラッカー・コーティングに対する化学反応を引き起こすための、110kボルト以下の範囲の電圧で操作する粒子線処理装置によって生成された高加速粒子に対して暴露することにより処理される、
粒子線で処理可能な材料。
【請求項2】
該ラッカー・コーティングが、フリーラジカル重合のためのアクリル酸エステル及び多官能価アクリレート、カチオン重合のためのビニルエーテル、脂環式ジエポキシド及びポリオール系から本質的に成る官能基から成る群から選択される、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項3】
該多官能価アクリレートが、
分子量150〜600のアクリル化ポリオール;
分子量1000〜2000のポリエステルアクリレート;
分子量200〜1500のポリエーテルアクリレート;
分子量400〜2000のポリエステルウレタンアクリレート;
分子量400〜2000のポリ尿素アクリレート;
分子量300〜1000のエポキシアクリレート;及び
多官能価アクリレートの混合物
から本質的に成る群から選択される、請求項2に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項4】
該多官能価アクリレートがさらに:
ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリス-t2ヒドロキシ-エチルイソシアヌレートのトリアクリレートエステル、ヘキサンジオールジアクリレート及びジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、及びこれらのエトキシル化誘導体及びプロポキシル化誘導体から成る群から選択される、請求項3に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項5】
該ラッカー・コーティングが、0.5〜20グラム/m2の範囲の標準化厚を有する、請求項2に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項6】
該高加速粒子が0.5〜10Mradの範囲のエネルギーを放出することにより、該ラッカー・コーティングに対する化学反応を引き起こす、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項7】
該化学反応が重合である、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項8】
該重合が、液体状態から固体状態へ変化させることにより、該ラッカー・コーティングを硬化させる、請求項7に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項9】
該化学反応が滅菌である、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項10】
該化学反応が架橋である、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項11】
該基材が:
配向ポリプロピレン(OPP);キャスト・ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエチレン・コポリマーを含むポリオレフィン;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)を含むポリエステル;エチレンビニルアセテート、エチレンアクリル酸及びエチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール及びこれらのコポリマーを含むポリオレフィン・コポリマー;ナイロン及びMXD6を含むポリアミド;ポリイミド;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリ二塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリアクリレート;イオノマー;再生セルロースを含む多糖類;ゴム又はシーラントを含むシリコーン;天然又は合成ゴム;グラシン又はクレイをコーティングされた紙;厚紙;クラフト紙;及び金属化フィルム、及びAlOx、SiOx又はTiOxを含む蒸着金属酸化物をコーティングされたポリマー・フィルム
から成る群から選択された材料から形成される、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項12】
該基材が、10〜200グラム/m2の範囲の標準化厚を有する、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項13】
さらに、該基材の上側にプリントされ、該ラッカー・コーティングによって保護されたラベルプリントを含む、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項14】
さらに、該基材の上側及び下側の一方にバリア層を含むことにより、包装された製品の内容物の状態を維持する、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項15】
さらに、該バリア層の上側にプリントされ、該ラッカー・コーティングによって保護されたラベルプリントを含む、請求項14に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項16】
該バリア層が真空蒸着法によって適用される、請求項14に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項17】
該バリア層が、酸化アルミニウム(AlOx)層を含む、蒸着アルミニウム層を含む、請求項14に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項18】
該蒸着アルミニウム層の厚さが100〜1000オングストロームの範囲にある、請求項17に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項19】
該バリア層が、酸化ケイ素(SiOx)層を含む、請求項14に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項20】
該酸化ケイ素(SiOx)層の厚さが100〜1000オングストロームの範囲にある、請求項19に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項21】
該放射線不安定化層が、包装された製品をヒートシールするのに適した材料から成るシーリング層である、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項22】
該ヒートシール層が、温度範囲100〜150℃の融点を有するポリマーから形成される、請求項21に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項23】
該ヒートシール層が、ポリエチレン、ポリビニルアセテート、エチレンプロピレン・コポリマー、ターポリマー・エチレンアクリル酸、メタロセン、イオノマー及びこれらの組み合わせから成る群から選択された材料から形成される、請求項21に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項24】
該放射線不安定化層が、包装された製品をコールドシールするのに適した材料から成るシーリング層である、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項25】
該コールドシール層が、天然ゴム、ポリアミド及びこれらの組み合わせから成る群から選択された材料から形成される、請求項24に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項26】
該放射線不安定化層が、5〜50グラム/m2の範囲の標準化厚を有する、請求項1に記載の粒子線で処理可能な材料。
【請求項27】
粒子線で処理可能な材料を形成する方法であって:
上側と下側とを有する基材を準備し;
該基材の下側に、放射線不安定化層を適用し;
該基材の上側に、粒子線で処理可能なラッカー・コーティングを適用し;そして
該放射線不安定化層に影響を与えることなしに該ラッカー・コーティングに対する化学反応を引き起こすための、110kボルト以下の範囲の電圧で操作する粒子線処理装置によって生成された高加速粒子に対して、該ラッカー・コーティングを暴露する
ことを含む、粒子線で処理可能な材料を形成する方法。
【請求項28】
該ラッカー・コーティングが、フリーラジカル重合のためのアクリル酸エステル、カチオン重合のためのビニルエーテル、脂環式ジエポキシド及びポリオール系、並びに多官能価アクリレートから本質的に成る群から選択される、請求項27に記載の粒子線で処理可能な材料を形成する方法。
【請求項29】
該多官能価アクリレートが、
分子量150〜600のアクリル化ポリオール;
分子量1000〜2000のポリエステルアクリレート;
分子量200〜1500のポリエーテルアクリレート;
分子量400〜2000のポリエステルウレタンアクリレート;
分子量400〜2000のポリ尿素アクリレート;
分子量300〜1000のエポキシアクリレート;及び
多官能価アクリレートの混合物
から本質的に成る群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
該多官能価アクリレートがさらに、
ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリス-t2ヒドロキシ-エチルイソシアヌレートのトリアクリレートエステル、ヘキサンジオールジアクリレート及びジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、及びこれらのエトキシル化誘導体及びプロポキシル化誘導体から本質的に成る群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
該ラッカー・コーティングが、0.5〜20グラム/m2の範囲の標準化厚を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
該ラッカー・コーティングの適用が、ロール・コーティング塗布、オフセット・グラビア塗布、直接グラビア塗布、及びこれらの組み合わせのうちの1つによって塗布することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
該高加速粒子が0.5〜10Mradの範囲のエネルギーを放出することにより、該ラッカー・コーティングに対する化学反応を引き起こす、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
該化学反応が重合を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
該重合が、液体状態から固体状態へ変化する該ラッカー・コーティングを硬化させる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
該基材が
配向ポリプロピレン(OPP);キャスト・ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエチレン・コポリマーを含むポリオレフィン;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)を含むポリエステル;エチレンビニルアセテート、エチレンアクリル酸及びエチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール及びこれらのコポリマーを含むポリオレフィン・コポリマー;ナイロン及びMXD6を含むポリアミド;ポリイミド;ポリアクリロニトリル;ポリ塩化ビニル;ポリ二塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリアクリレート;イオノマー;再生セルロースを含む多糖類;ゴム又はシーラントを含むシリコーン;天然又は合成ゴム;グラシン又はクレイをコーティングされた紙;厚紙;クラフト紙;及び金属化フィルム、及びAlOx、SiOx又はTiOxを含む蒸着金属酸化物をコーティングされたポリマー・フィルム
から本質的に成る群から選択された材料から形成される、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
該基材が、10〜200グラム/m2の範囲の標準化厚を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
さらに、該基材の上側にラベルプリントを適用することを含み、該ラベルプリントが該ラッカー・コーティングによって保護される、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
ラベルプリントの適用が、フレキソグラフィ印刷、ロータ・グラビア印刷、オフセット・リソグラフィ印刷、噴霧印刷、及びこれらの組み合わせのうちの1つによって塗布することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
さらに、該基材の上側及び下側の一方にバリア層を適用することにより、包装された製品の内容物の状態を維持することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項41】
さらに、該バリア層の上側にラベルプリントを適用することを含み、該ラベルプリントが該ラッカー・コーティングによって保護される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
バリア層の適用が、真空蒸着法によって行われる、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
バリア層の適用がさらに、酸化アルミニウム(AlOx)層を含む蒸着アルミニウム層を適用することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
該蒸着アルミニウム層の厚さが100〜1000オングストロームの範囲にある、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
バリア層の適用がさらに、酸化ケイ素(SiOx)層を適用することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
該酸化ケイ素(SiOx)層の厚さが100〜1000オングストロームの範囲にある、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
放射線不安定化層の適用がさらに、包装された製品をヒートシールするためのヒートシール層を適用することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項48】
ヒートシール層の適用がさらに、該基材の下側上に該ヒートシール層を押し出すことを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
該ヒートシール層が、温度範囲100〜150℃の融点を有するポリマーから形成される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
該ヒートシール層が、ポリエチレン、ポリビニルアセテート、エチレンプロピレン・コポリマー、ターポリマー・エチレンアクリル酸、メタロセン、イオノマー及びこれらの組み合わせから成る群から選択された材料から形成される、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
放射線不安定化層の適用がさらに、包装された製品をコールドシールするためのコールドシール層を適用することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項52】
該コールドシール層が、天然ゴム、ポリアミド及びこれらの組み合わせから成る群から選択された材料から形成される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
該コールドシール層が、5〜50グラム/m2の範囲の標準化厚を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
基材上の化学反応を引き起こす、小型サイズで高効率の粒子線処理装置であって:
電源と;
容器内の真空環境を形成して維持するための真空ポンプと;
真空容器内に配置され、110kボルト以下の範囲の第1電圧で操作する該電源に接続された粒子生成アセンブリであって、加熱時に複数の粒子を生成するための1つ以上のフィラメントを含む粒子生成アセンブリと;
フォイル・サポート・アセンブリであって、該第1電圧よりも高い第2電圧で操作することにより、前記粒子の少なくとも一部が該第1電圧から該第2電圧に移動して、該フォイル・サポート・アセンブリを出ることができ、厚さ10μm以下のチタン又はその合金から形成された薄フォイルを含むフォイル・サポート・アセンブリと;
前記化学反応を引き起こすために使用される該フォイル・サポート・アセンブリを出る前記粒子を受容するための処理アセンブリと
を含み、
該処理装置の機械収率(K)が:
K=(線量・速度)/電流
に基づいて決定され、
上記式中、
KはMrad・フィート/分/mAmpで測定された機械収率であり、
線量は、Mradで測定された、単位質量当たりの吸収されたエネルギーであり、
速度は、フィート/分で測定された該基材の供給速度であり、そして
電流は、mAmpで測定された、加熱されたフィラメントから抽出された電子の数である、
粒子線処理装置。
【請求項55】
該機械収率(K)が約20/L以上であり、Lは、フィートで測定された処理装置の幅である、請求項54に記載の粒子線処理装置。
【請求項56】
基材上の化学反応を引き起こす、小型サイズで高効率の粒子線処理装置であって:
電源と;
容器内の真空環境を形成して維持するための真空ポンプと;
真空容器内に配置され、110kボルト以下の範囲の第1電圧で操作する該電源に接続された粒子生成アセンブリであって、加熱時に複数の粒子を生成するための1つ以上のフィラメントを含む粒子生成アセンブリと;
フォイル・サポート・アセンブリであって、該第1電圧よりも高い第2電圧で操作することにより、前記粒子の少なくとも一部が該第1電圧から該第2電圧に移動して、該フォイル・サポート・アセンブリを出ることができ、厚さ20μm以下のアルミニウム又はその合金から形成された薄フォイルを含むフォイル・サポート・アセンブリと;
前記化学反応を引き起こすために使用される該フォイル・サポート・アセンブリを出る前記粒子を受容するための処理アセンブリと
を含み、
該処理装置の機械収率(K)が:
K=(線量・速度)/電流
に基づいて決定され、
上記式中、
KはMrad・フィート/分/mAmpで測定された機械収率であり、
線量は、Mradで測定された、単位質量当たりの吸収されたエネルギーであり、
速度は、フィート/分で測定された該基材の供給速度であり、そして
電流は、mAmpで測定された、フィラメントから抽出された電子の数である、
粒子線処理装置。
【請求項57】
該機械収率(K)が約20/L以上であり、Lは、フィートで測定された処理装置の幅である、請求項56に記載の粒子線処理装置。
【請求項58】
粒子線処理装置内で基材上の化学反応を引き起こす方法であって:
1つ以上のフィラメントを有する粒子生成アセンブリ内で真空を形成して維持し;
該1つ以上のフィラメントを加熱することにより、複数の粒子を形成し;
110kボルト以下の範囲の第1電圧で該粒子生成アセンブリを操作し;
10μm以下のチタン又はその合金から形成された薄フォイルを有するフォイル・サポート・アセンブリを、該第1電圧よりも高い第2電圧で操作することにより、前記粒子の少なくとも一部が該第1電圧から該第2電圧へ移動し、そして、該粒子生成アセンブリ内の該真空を出るようにし;そして、
該出てきた粒子が薄フォイルを通過するようにすることにより、該粒子を処理アセンブリに入れ、該処理アセンブリで、該基材を該粒子に対して暴露させる
ことを含み、
該処理装置の機械収率(K)が:
K=(線量・速度)/電流
に基づいて決定され、
上記式中、
KはMrad・フィート/分/mAmpで測定された機械収率であり、
線量は、Mradで測定された、単位質量当たりの吸収されたエネルギーであり、
速度は、フィート/分で測定された該基材の供給速度であり、そして
電流は、mAmpで測定された、フィラメントから抽出された電子の数である、
粒子線処理装置内で基材上の化学反応を引き起こす方法。
【請求項59】
該機械収率(K)が約20/L以上であり、Lは、フィートで測定された処理装置の幅である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
粒子線処理装置内で基材上の化学反応を引き起こす方法であって:
1つ以上のフィラメントを有する粒子生成アセンブリ内で真空を形成して維持し;
該1つ以上のフィラメントを加熱することにより、複数の粒子を形成し;
110kボルト以下の範囲の第1電圧で該粒子生成アセンブリを操作し;
20μm以下のアルミニウム又はその合金から形成された薄フォイルを有するフォイル・サポート・アセンブリを、該第1電圧よりも高い第2電圧で操作することにより、前記粒子の少なくとも一部が該第1電圧から該第2電圧へ移動し、そして、該粒子生成アセンブリ内の該真空を出るようにし;そして、
該出てきた粒子が薄フォイルを通過するようにすることにより、該粒子を処理アセンブリに入れ、該処理アセンブリで、該基材を該粒子に対して暴露させる
ことを含み、
該処理装置の機械収率(K)が:
K=(線量・速度)/電流
に基づいて決定され、
上記式中、
KはMrad・フィート/分/mAmpで測定された機械収率であり、
線量は、Mradで測定された、単位質量当たりの吸収されたエネルギーであり、
速度は、フィート/分で測定された該基材の供給速度であり、そして
電流は、mAmpで測定された、フィラメントから抽出された電子の数である、
粒子線処理装置内で基材上の化学反応を引き起こす方法。
【請求項61】
該機械収率(K)が約20/L以上であり、Lは、フィートで測定された処理装置の幅である、請求項60に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2006−513879(P2006−513879A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−508372(P2004−508372)
【出願日】平成15年5月23日(2003.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2003/016457
【国際公開番号】WO2003/100814
【国際公開日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【出願人】(502161564)エナジー サイエンシーズ,インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年5月23日(2003.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2003/016457
【国際公開番号】WO2003/100814
【国際公開日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【出願人】(502161564)エナジー サイエンシーズ,インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】
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