説明

粒子線照射システム及びこの制御方法

【課題】
呼吸性移動等で運動する標的領域を標的領域形状に合った照射を短時間で行う方法および装置を提供することにある。
【解決手段】
粒子線を加速する加速器2と、加速器2で加速された粒子線を照射対象に出射する粒子線照射装置5と、照射対象の移動幅を測定する位置測定装置6を備え、粒子線照射装置6は、粒子線の通過位置によってその厚みが異なる複数のエネルギー分布拡大フィルタ24を有し、位置測定装置6で測定した移動幅に応じていずれかのエネルギー分布拡大フィルタ24を、粒子線照射装置内の粒子線通過領域に設置するように制御する制御装置9を備えることにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子線照射システム及び粒子線照射方法に係り、特に、呼吸等で移動する標的領域(患者の患部領域)に、線量分布の中で線量の高い領域を、患部形状に合った形状に形成するのに好適な粒子線照射装置及びこの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子線照射システム、例えば、陽子線照射システムは、がん治療の有効な手段の一つであり、今後、盛んに用いられることが見込まれる。陽子線治療では、標的領域の線量分布を均一あるいは予め決められた分布に制御することが求められている。
【0003】
線量分布を均一等に制御する方法として、陽子ビームの進行方向に垂直な面(照射野)には、散乱体を用いて陽子ビームを広げる方法や、陽子ビーム半径の小さいビームを用いて照射野面を走査する方法がある。
【0004】
陽子ビームの進行方向(深さ方向)の線量分布の形成には、陽子ビームが停止する直前にエネルギーの大部分を放出してブラッグカーブと呼ばれる線量分布を形成する特性と、そのブラッグカーブのピークの深さ方向での位置は体内に入射する陽子ビームのエネルギーの大きさで制御できる特性を利用し、陽子ビームのエネルギーを適切に選択し、陽子ビームを患部近傍で停止させてエネルギーの大部分を患部のがん細胞に与えるようにしている。ここで、ブラッグピークの、深さ方向での幅は数mmである。通常、患部は深さ方向にそれ以上の厚みをもっている。このような患部において患部全体の深さ方向に渡って粒子線を効果的に照射するには、深さ方向で患部大の広がり一様度の高い高線量領域(Spread Out Bragg Peak、以下SOBPという)を形成するように、陽子ビームのエネルギーと陽子ビームの照射量を制御する必要がある。
【0005】
標的領域への照射としては、標的領域が呼吸性移動等で、周期的あるいは非周期的に移動する標的領域に対して、その標的領域の形状に合った線量分布を形成する(原体照射)のが望ましい。
【0006】
これを解決する方法として、標的領域の3次元運動を補償するために、照射面内は、標的領域位置を測定して、走査電磁石で粒子ビームの走査幅を調整し照射面内の照射位置を補償し、深さ方向には、標的領域位置の測定に基づいて、くさび状のレンジシフタの出し入れで、深さ方向のビームの到達位置を調整する方法がある。また、呼吸周期の中で、呼気の期間は標的領域の運動が比較的遅いことを利用して、この期間に、照射するビームのエネルギーを変えることで、線量分布の深さ方向位置を制御する方法がある。
【0007】
陽子ビームの進行方向(深さ方向)の線量分布の形成には、リッジフィルタやRMW(Range Modulation Wheel)を用いる方法、あるいは、加速器からのビームエネルギー種を変える方法で、SOBPを形成する(例えば、非特許文献1)。
【0008】
また、リッジフィルタを用いる別の方法として、患部を積層に分割して照射する方法、すなわち、患部の分割に応じた幅の小さいSOBP(患部大のSOBPと区別するために、以下、これを小型SOBPと呼ぶことにする)を複数個作り、それを合わせて、患部形状に合うSOBPを形成する方法である(例えば、非特許文献2)。この方法は、小型SOBPをつなぎ合わせて、患部大のSOBPを生成する。この照射を行うための小型SOBPの形成には、複数個のブラッグピーク幅を拡大して、また、ピーク強度を調整したリッジフィルタ(以下、エネルギー分布拡大装置を用いる)を用いる。
【0009】
【非特許文献1】W. T. Chu, B. A. Ludewigt and T. R. Renner, Rev. Sci. Instrum. 64, 2055-2122, 1993.
【非特許文献2】B.Schaffner, et al. Med. Phys. 27 (4), 716-724, April 2000.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、標的領域の治療中に、レンジシフタを頻繁に交換することは、故障率を高める原因になる。また、加速器のエネルギー変更で深さ方向位置を調整するには、積層数に応じて多数のエネルギー種を用意する必要があり、その準備に多大な時間を要する。また、これらの方法は、積層数が多く、照射に必要な時間が長くなり、線量率が低下する可能性がある。
【0011】
本発明の目的は、呼吸時等の移動等で運動する標的領域を標的領域形状に合った照射を短時間で行う方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、粒子線を加速する加速器と、加速器で加速された粒子線を照射対象に出射する照射装置と、照射対象の移動幅を測定する位置測定装置を備え、照射装置は、粒子線の通過位置によってその厚みが異なる複数のエネルギー分布拡大フィルタを有し、位置測定装置で測定した移動幅に応じて、いずれかのエネルギー分布拡大フィルタを、照射装置内の粒子線通過領域に設置する制御装置を備える。
(2)上記目的を達成するために、本発明は、上記(1)において、好ましくは、制御装置は、位置測定装置で測定した移動幅が第1設定値のときに加速器からの粒子線の出射を開始し、第2設定値のときに前記加速器からの前記粒子線の出射を停止する。
(3)上記(2)において、好ましくは、制御装置は、加速器を制御して加速器から出射する粒子線のエネルギーを変更するように制御する。
(4)上記(1)(2)(3)において、好ましくは、照射装置が、厚みの異なる複数の吸収体を有するレンジシフタを備え、制御装置が、前記粒子線通過領域に設置する前記吸収体を変更して、前記照射装置から出射する前記粒子線のエネルギーを変更するように制御する。
(5)上記(1)(2)(3)(4)において、好ましくは、前記照射装置は、前記粒子線の到達位置を前記照射対象の形状に形成するマルチリーフコリメータを備える。
(6)また、上記目的を達成するために、本発明は、粒子線を加速する加速器と、前記粒子線を照射対象に出射する照射装置と、照射対象の移動幅を測定する位置測定装置を備える粒子線照射システムの制御方法であって、前記位置測定装置で測定した照射対象の移動幅に基づいて、前記照射対象を分割して照射する分割数,分割された各層に対して前記粒子線を出射するときに用いるエネルギー分布拡大フィルタの種類及び分割された各層での目標線量を決定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、レンジシフタの稼動回数は減り、かつ、従来に比べて積層数が減り照射に必要な時間を短縮できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を用いて、本発明の好適な一実施形態である粒子線照射システムの構成及び動作について説明する。
【0015】
図1を用いて、本実施形態の粒子線照射システムの構成について説明する。本実施形態では、粒子線照射システムとして陽子線治療システムを例にして説明する。陽子線治療システムは、前段加速器1,円形加速器(シンクロトロン)2,ビーム輸送装置3,回転ガントリー4,照射野形成装置(粒子線照射装置)5,標的領域の位置測定装置6,患者カウチ(治療用ベッド)8,照射制御システム9,走査電磁石磁場制御システム10を備える。
【0016】
前段加速器1が、イオン源(図示せず)及びシンクロトロン2に接続される。シンクロトロン2は、陽子ビームの周回軌道上に、高周波加速空洞30,高周波印加装置31,四極電磁石32及び偏向電磁石33を有する。高周波加速空洞30は、ビーム加速装置であり、高周波電源を印加する高周波電源(図示せず)に接続される。高周波印加装置31がビーム出射用の高周波供給装置(図示せず)に接続される。出射用デフレクタ40がビーム輸送装置3に接続される。
【0017】
ビーム輸送装置3は、四極電磁石34,偏向電磁石35及びビーム径路36を備える。逆U字状のビーム径路及び照射野形成装置5が回転ガントリー4に設置される。逆U字状のビーム径路には、ビーム進行方向の上流側から四極電磁石37,偏向電磁石38,39が備えられる。逆U字状のビーム径路が治療室内に設置された照射野形成装置5に接続される。位置測定装置6及び患者カウチ8は、治療室内に設置される。位置測定装置6は、照射制御システム9に接続される。なお、位置測定装置6は、照射野形成装置5に設置しても良い。
【0018】
図2を用いて、照射野形成装置5の内部構成を説明する。照射野形成装置5は、陽子ビームの進行方向の上流側より順次、ビームプロファイルモニタ11,線量モニタ(第1の線量検出手段)12,陽子ビームの走査電磁石13,散乱体装置14,エネルギー分布拡大装置15,飛程調整装置(例えば、レンジシフタ)16,線量モニタ(第2の線量検出手段)17,ブロックコリメータ18,患者コリメータ19を備える。散乱体装置14は、散乱体駆動装置23に接続される。エネルギー分布拡大装置15は、エネルギー分布拡大装置駆動装置22に接続される。レンジシフタ16は、レンジシフタ駆動装置29に接続される。制御装置21は、散乱体駆動装置23,エネルギー分布拡大装置駆動装置22及びレンジシフタ駆動装置29に接続され、これらを制御する。
【0019】
ビームプロファイルモニタ11は、ビーム径路36から照射野形成装置5に入射された陽子ビームが、所定の位置を通過しているかを確認するモニタである。線量モニタ17は、照射野形成装置5に入射された陽子ビームの線量を検出するモニタである。ビームプロファイルモニタ11及び線量モニタ17は、照射制御システム9に接続され、検出したデータを送信する。照射制御システム9は、ビームプロファイルモニタ11からのデータに基づいて、陽子ビームが所定の位置を通過しているかを確認し、その位置が設定値よりも大きくなった場合に、陽子ビームの出射を停止する。
【0020】
走査電磁石13は、陽子ビームをx軸方向に走査する第1走査電磁石(図示せず)と、陽子ビームをy軸方向に走査する第2走査電磁石(図示せず)を有する。ここで、走査電磁石13に入射する陽子ビームのビーム進行方向をz軸、走査電磁石13に入射する陽子ビームのビーム進行方向に垂直な平面上の一方向をx軸、このx軸に垂直でありビーム進行方向に垂直な平面上の一方向をy軸とする。x軸,y軸及びz軸はそれぞれ垂直な方向を示す。第1走査電磁石及び第2走査電磁石は、走査電磁石制御システム10(図1)に接続される。走査電磁石制御システム10は、第1走査電磁石及び第2走査電磁石の励磁を制御する。
【0021】
散乱体装置14は、複数の散乱体及び回転テーブルを有する。複数の散乱体が回転テーブル上に周方向に並んで設置されている。この回転テーブルが散乱体駆動装置23により回転されることによって、所定の散乱体が陽子ビームの通過領域に配置される。散乱体駆動装置23は、制御装置21からの指令信号に基づいて、回転テーブルを回転している。陽子ビームは、散乱体を通過することでビーム径が広げられる。
【0022】
レンジシフタ16は、厚みの異なる複数の吸収体(例えば、1mm,2mm,4mm,8mm,16mm,32mmの6枚の吸収体)を有する。この吸収体は、レンジシフタ駆動装置29によって駆動される。つまり、レンジシフタ駆動装置29が、制御装置21からの指令信号に基づいて、いずれかの吸収体を選択して陽子ビームの通過領域に設置する。患者の体表面からの患部の深さ位置に合わせて、いずれか一つの吸収体を設置する場合と複数の吸収体を設置(例えば、2mmと8mmの吸収体を重ね合わせて10mmの吸収体を設置)する場合がある。
【0023】
エネルギー分布拡大装置15は、図3に示すように複数のエネルギー分布拡大フィルタ(SOBP(Spred-Out Bragg Peak)フィルタ)及び回転テーブル25を有する。回転テーブルに形成された開口部にSOBPフィルタ24が設置される。本実施形態では、1つの回転テーブルに4つのSOBPフィルタ24a,24b,24c,24dを設置している。これらのSOBPフィルタは、それぞれ異なる構成(種類)である。例えば、第1のSOBPフィルタ24aが1cmのSOBP幅を形成するフィルタ,第2のSOBPフィルタ24bが2cmのSOBP幅を形成するフィルタ,第3のSOBPフィルタ24cが3cmのSOBP幅を形成するフィルタ‥のように、SOBP幅に応じた複数のSOBPフィルタを有している。また、第4のSOBPフィルタ24dは、他のSOBPフィルタ24a,24b,24cよりもディスタル側の立ち下がりが急峻なSOBPを形成するフィルタである。エネルギー分布拡大装置駆動装置22が、回転テーブル25を駆動して回転させることにより、所定のSOBPフィルタが陽子ビームの通過領域に配置される。エネルギー分布拡大装置駆動装置22は、制御装置21からの指令信号に基づいて、回転テーブル25をR1の方向に回転させる。このような構成であるため、SOBPフィルタを容易に移動させることができ、簡素な構成によりSOBPフィルタを交換(ビーム通過領域に設置)できる。また、円形の回転テーブル25を用いることで、SOBPフィルタ24の交換に必要な空間を小さくすることができる。なお、本実施形態では、円形の回転テーブル25にSOBPフィルタ24を固定する構成としたが、他の形状であってもよい。また、図4に示すように、長方形の支持部材26にSOBPフィルタ24を設置する構成であってもよい。この場合、エネルギー分布拡大装置駆動装置22は、支持部材26を長方形の長軸方向(R2)にスライドさせることにより、いずれかのSOBPフィルタ24をビーム通過領域に設置する。
【0024】
SOBPフィルタ24の構成を、図5を用いて説明する。SOBPフィルタ24は、複数の翼27(本実施形態では6枚の翼)が架台28に設置される構成を有する。翼27と翼27の間には、それぞれ開口が形成されている。翼27は、階段状に配置された複数の平面領域を有しており、ビーム進行方向における翼27の底面から各平面領域までの各厚みが異なるように構成される。翼27は、その両側に位置する開口部から翼27の厚みが最も厚い翼頂部に位置する平面領域に向かって各平面領域部の厚みが増加するように形成されている。翼27は、第1の平板部材(吸収部材)の上部に第2の平板部材が設置され、第2の平板部材の上部に第3の平板部材が配置される階段状の構成を有する。陽子ビームがエネルギー分布拡大装置15の開口部を通過したときはビームエネルギーは減衰することなく通過するためブラックピークは体内の深い位置に生じる。SOBPフィルタ24の翼27の厚みが比較的薄い平面領域を通過したときはビームエネルギーが若干減衰されて、開口部を通過したときよりも浅い位置でブラックピークが生じる。また、SOBPフィルタ24の翼27の厚みが比較的厚い部分の平面領域を通過したときはビームエネルギーが大きく減衰され、さらに浅い位置にブラックピークが生じる。このように、SOBPフィルタ24は、陽子ビームが通過する位置によって、通過した後の陽子ビームのエネルギーが異なるような構成を有する。SOBPフィルタ24a,24b,24c,24dの各翼は、それぞれのSOBPフィルタで形成するSOBP幅等に応じて最適な形状で整形される。
【0025】
線量モニタ17は、ビームプロファイルモニタ11,線量モニタ12,走査電磁石13,散乱体装置14,エネルギー分布拡大装置15及びレンジシフタ16を通過した陽子ビームの線量を検出するモニタである。線量モニタ17は、照射制御システム9に接続され、検出したデータを送信する。
【0026】
ブロックコリメータ18は、ビーム進行方向と垂直な平面(x−y平面)上の陽子ビームの照射野を整形する開口を有し、この開口部の外側の陽子ビームを遮断するものである。患者コリメータ19は、陽子ビームを患部の形状(例えば癌や腫瘍)の形状に合わせて精度良く整形する開口部を有する。この開口部を通過した陽子ビームが、照射野形成装置5から出射される。符号20は、患者に陽子ビームを当てる中心になるアイソセンタである。
【0027】
中央制御装置(図示せず)は、患者7が横たわっている患者カウチ8を移動し、患部がビーム軸の延長線上に位置するように位置決めする。照射制御システム9は、中央制御装置からの指令信号に基づいて、シンクロトロン2及びビーム輸送装置3の電磁石を励磁する。位置測定装置6は、患部の位置の時間変化を測定し、測定した位置情報を照射制御システム9に出力する。照射制御システム9は、この位置情報及び治療計画情報に基づいて、照射領域変動域の中の照射期間,照射領域を積層に分割する分割数,積層毎に使用するSOBPフィルタ24の種類,照射量,散乱体,レンジシフタを決定する。制御装置21は、照射制御システム9が決定した、これらの情報に基づいて、ビーム軌道上に所望の散乱体,SOBPフィルタ,レンジシフタを設置する。また、患者の患部に合わせるような開口部が形成されたブロックコリメータ18が設置される。また、患者の患部に形状に合わせて整形された患者コリメータ19が照射野形成装置5内に設置される。走査電磁制御システム10は、中央制御装置からの指令信号により、走査電磁石13を励磁する。陽子ビームを出射する準備が完了すると、医師が、制御室内の操作盤28を操作して治療開始信号を中央制御装置に出力する。治療開始信号を入力した中央制御装置は、イオン源(図示せず)を起動させる。イオン源で発生した陽子は前段加速器1に出射される。
【0028】
シンクロトロン2は、前段加速器1から入射した陽子ビームを更に加速する。シンクロトロン2を周回する陽子ビームは、目標のビームエネルギーまで加速された後、高周波印加電極31から高周波が印加されることによって、シンクロトロン2から出射される。
【0029】
シンクロトロン2から出射された陽子ビームは、出射デフレクタ40,ビーム輸送装置3を経て照射野形成装置5に到達する。陽子ビームは、照射野形成装置5内をビーム軸に沿って進行し、ビームプロファイルモニタ11及び線量モニタ12を通過して走査電磁石13に到達する。走査電磁石制御システム10からの指令信号に基づいて、走査電磁石13の励磁量が制御される。陽子ビームの進行方向に垂直な照射野へ照射する方法としては、走査電磁石13を用いた、陽子ビームのスポット走査あるいはラスター走査,単円あるいは多重のワブラー走査を用いる方法がある。
【0030】
走査電磁石13によって走査された陽子ビームが、散乱体装置14(散乱体),エネルギー分布拡大装置15(SOBPフィルタ24),レンジシフタ16(吸収体)等のビーム通過領域に配置された機器を通過する。陽子ビームは、散乱体装置14によりビーム軸と直交する方向にビームサイズが拡大され、エネルギー分布拡大装置15によりビーム進行方向にSOBPが形成されるようにビーム分布が拡大される。線量モニタ17により陽子ビームの線量が確認される。ブロックコリメータ18の開口よりも外側に位置する陽子ビームはブロックコリメータ18により除外される。また、患者コリメータ19の開口を通過した陽子ビームが、照射野形成装置5から出射される。出射された陽子ビームが患部領域に集中した高線量領域を形成しつつ、患部に出射される。線量モニタ12,17で測定した線量が目標線量値に達すると、照射制御システム9はビーム出射停止信号を出力し、シンクロトロン2からの陽子ビームの出射が停止されて患者に対する陽子ビームの照射が終了する。
【0031】
本実施形態の陽子線治療システムは、一人の患者に対して陽子ビームを出射する間にSOBPフィルタ24を変える制御を行う。さらに、照射領域(標的領域)が呼吸等により移動する場合、この移動の変位にあわせたSOBPフィルタ24を選択して陽子ビーム照射領域に設置し、陽子ビームを照射する。本実施形態のこの機能を含む制御を以下に説明する。
【0032】
まずは、図6を用いて、本実施形態の陽子線治療システムを用いない場合について説明する。図6は、エネルギー分布拡大装置15を繰り返し用いて、小型SOBPを重ね合わせて患部大のSOBPを形成した例を示すものである。標的領域が呼吸性移動等で予め決めた飛程から揺らぎがある場合の一様度への影響を示す。揺らぎの幅を0.5mmとした場合である。エネルギー分布拡大装置15で形成する小型SOBPのつなぎの部分で、一様分布からの誤差が大きくなっていることがわかる。誤差のピークはSOBPの最深部に現れるが、SOBPの範囲の外なので、次のピークが最も大きい誤差となる。
【0033】
本発明者らは、この誤差を小さくして照射対象に対して所望のSOBPを精度よく形成することを検討した。その結果、エネルギー分布拡大装置15で生成する小型SOBPの幅を大きくすることにより、この誤差を小さくすることができることが分かった。つまり、小型SOBPの幅を大きくすることで、例えば、1cmから2cmに大きくすることで、誤差を小さくできる。
【0034】
また、一つの積層を複数回照射するリペイント回数を増やすことでも、この誤差を低減することができることが分かった。本実施形態ではこれらの特性を用いる。
【0035】
次に、図7を用いて、本実施形態の陽子線治療システムを用いて、呼吸等で移動する標的領域位置に対して陽子ビームを照射する場合について説明する。本実施形態では、患者の体表面からの深さ方向における患部を複数に分割し、分割した各患部領域(第1患部領域、第2患部領域‥)に対して所望の線量分布(小型SOBP)を示すように陽子ビームを照射する。第1の患部領域に対する陽子ビームの照射が終了すると、制御装置21がレンジシフタ16の吸収体を変える、又は照射制御システム9がシンクロトロン2を制御してシンクロトロン2から出射する陽子ビームのエネルギーを変更する、あるいはその両方を用いて、陽子ビームの照射領域が第2の患部領域となるように制御する。第2の患部領域に対して所望の線量分布(小型SOBP)を形成するように陽子ビームを照射すると、第2の患部領域での照射が終了し、陽子ビームのエネルギーを変更して第3の患部領域への照射を開始する。このように、各患部領域に形成された小型SOBPを重ね合わせることで、患者の体表面からの深さ方向において、患部の厚み全域にわたって陽子ビームを一様に照射するように制御する。図7(a)は、位置測定装置6で測定した患部(照射標的)の位置の時間変化を示す。本実施例では、患者の患部が呼吸により移動する場合を例に説明する。図7(b)が陽子ビームのエネルギーの時間変化、図7(c)が陽子ビームを照射する患部の深さ方向の位置及び陽子ビームを照射する期間を示す。なお、位置測定装置6は、照射制御システム9に接続される。位置測定装置6は、測定した照射対象の位置情報(移動量を含む)を照射制御システム9に出力する。照射制御システム9は、位置測定装置6から受け取った照射対象の移動量が予め定められた設定値(第1設定値)となったときに、シンクロトロン2から陽子ビームを出射するようにシンクロトロン2を制御する。さらに、照射制御システム9は、位置測定装置6からの移動量が予め定められた値(第2設定値)となったときに、シンクロトロン2から出射する陽子ビームを停止するように制御する。第1設定値及び第2設定値は、照射制御システム9に備えられる記憶装置(図示せず)に予め記憶されている。このように、照射対象の移動量が小さい期間に照射対象に陽子ビームを出射することで、さらに精度の良い照射が可能となる。第1設定値及び第2設定値に基づいて、シンクロトロン2からの陽子ビームの出射開始及び出射停止を制御すると、図7に示すように、点線領域(A1,A2,A3)の期間に陽子ビームを出射し、他の領域では陽子ビームの出射を停めることになる。図7(a)に示すように、呼気の状態で標的領域の移動は遅くなる。例えば、この期間にビームを照射面に照射する。この期間をゲート期間と呼ぶことにする。ゲート期間での標的の移動量をΔxとする。Δxには揺らぎを含むものとする。この移動量は、患者により、また、体内の患部位置により異なる。また、ゲート期間の取り方でこの移動量は変わる。この移動量を患者毎(標的毎)に見極めて、線量分布の一様度を阻害する誤差を、許容値内まで低減するSOBPフィルタ24を用いる。
【0036】
本実施形態では、1cm,2cm,3cmの小型SOBPを形成する複数個のSOBPフィルタ24a,24b,24cを準備している。照射制御システム9は、その中から、移動量の大きい標的に対しては、線量分布の一様度を阻害する誤差を許容値内まで低減する、小型SOBPの幅を大きく形成するSOBPフィルタ24を選定する。例えば、小型SOBPの幅として、3cmを形成するSOBPフィルタ24cを選定する。あるいは、照射制御システム9は、ゲート期間を短く設定して、標的領域の移動量Δxを小さく抑えて、その大きさに合うSOBPフィルタ24を選定する。例えば、小型SOBPの幅として、1cmを形成するSOBPフィルタ24aを選定する。つまり、照射制御システム9が、位置測定装置6で測定した照射対象の移動量に基づいて、ビーム通過領域に設置するSOBPフィルタ24を決定する。制御装置21は、照射制御システム9からのSOBPフィルタの情報に基づいて、エネルギー分布拡大装置の駆動装置22を制御し、選択されたSOBPフィルタ24をビーム通過領域に設置する。
【0037】
標的の照射において、図7に示すように、ビームを照射しない期間に、例えば、呼吸性移動の場合は呼気以外の期間(ゲート期間以外)に、ビームエネルギーを変えて、次の照射に備える。この状態で待ち、次のゲート期間に、照射して小型SOBPを形成する。これを繰り返し、小型SOBPを深さ方向に形成していき、標的領域大のSOBPを形成する。ただし、同一積層を何回も繰り返し照射するリペイントの際には、ビームエネルギーを変えないで必要回数照射することになる。
【0038】
この方法により、予め移動量を設定して、その移動に伴う誤差を抑制するSOBPフィルタ24を用いるので、小型SOBP間のつなぎ目での誤差を小さく抑えられ、SOBPの線量分布一様度に与える影響を小さく抑えられる。また、深さ方向に積層に分割して照射しているので、マルチリーフコリメータ等で照射面の形状を患部形状に合わせることができるので、標的領域形状に合った形状の高線量分布が得られる。つまり、呼吸等で移動する標的に対して、標的領域形状に合った形状に照射できることになる。この場合、積層数も少なくできるので、線量率も向上する。
【0039】
標的領域の移動量が小さい場合、ゲート期間内の標的領域移動量Δxを小さくとれるので、照射制御システム9は小型SOBPの幅の小さいエネルギー分布拡大装置を選択する。これにより、SOBPの線量分布一様度に与える影響を小さく抑えられる効果が得られる。この場合、小型SOBPの幅が小さいので患部形状によくあった照射が可能である。
【0040】
また、照射制御システム9が、ゲート幅を大きくとって、ゲート期間内の標的領域移動量Δxを大きくとり、小型SOBPの幅の大きいエネルギー分布拡大装置を選択することで、SOBPの線量分布一様度に与える影響は小さく抑えられる効果が得られる。この場合、積層数も少ないので、線量率が向上する。
【0041】
次に、図8を用いて、本実施形態の陽子線照射システムによるSOBPの形成の各構成機器の動作について説明する。図8は、本実施形態による陽子線照射システムによるSOBPの形成の各構成機器の動作についての説明図である。
【0042】
まず、標的領域の位置測定装置6を用いて、患者の標的領域の移動幅を測定する。これを元に、照射制御システム9は、患者毎に、移動幅,ゲート期間を決定する(ステップ50)。これを元に、用いるSOBPフィルタ24の種類を決定する。これから、小型SOBPの幅が決まり、標的領域大のSOBPを積層に分割する分割数が決まる。次に、使用するSOBPフィルタ24の順番,小型SOBP毎に対応して照射する照射線量を決定する。次に、標的領域の体表からの深さ位置に合わせて、用いるビームエネルギー種と使用する順番を決定する。シンクロトロン2で準備しているビームエネルギー種の中で、体表からのビームの到達位置に適合するものがない場合には、レンジシフタで調節する。用いるレンジシフタを決定する。各積層の照射野の形状に合わせて、患者コリメータ19の位置にマルチリーフコリメータをセットする順番を決める(ステップ51)。
【0043】
次に、上記のレンジシフタをセットする(ステップ52)。更に、上記で使用する順番を定めたSOBPフィルタ24をセットする(ステップ53)。上記で使用する順番を定めたビームエネルギー種をセットする(ステップ54)。上記で定めたマルチリーフコリメータをセットする(ステップ55)。
【0044】
この条件で、ゲート期間に合わせて、ビームを照射する(ステップ56)。標的領域の位置測定装置6で、標的領域の運動をモニタしていて、ゲート期間に合わせて、ビームを照射する。
【0045】
線量モニタ等のモニタで、線量を測定して、予め決めた照射線量に達しているかを判断する(ステップ57)。達していない場合には、満了になるまで繰り返し照射して、小型SOBPを生成する。測定した線量が、予め決めた照射線量に達しているかの判断を、照射制御システム9で行う。
【0046】
照射線量が満了すると、上記SOBPフィルタ24を用いて照射位置を変更して小型SOBPが形成するかを判断する(ステップ58)。照射位置を変更して照射する場合には、ビームエネルギーを変更し、マルチリーフコリメータを変更して、ゲート期間内で照射をする。ステップ54から58を繰り返す。
【0047】
次に、SOBPフィルタ24を交換して、次の照射をするかを判断する段階に進む(ステップ59)。予め決めたSOBPフィルタ24の使用順番に従って、SOBPフィルタ24を交換して次の照射をする場合、SOBPフィルタ24をセットする。
【0048】
以下、上記と同様のステップを繰り返す。予め決めたSOBPフィルタ24の使用順番に従って、次の照射をする必要がないと判断すると、ビーム照射は終了となる(ステップ60)。これで、粒子線照射装置による標的領域大のSOBPの形成が終了となる。
【0049】
以下では、ビームエネルギーの設定の仕方について説明する。SOBPの深さ方向の位置をどこに設定するかは、ビームエネルギーで決まる。ビームエネルギーの変え方としては、シンクロトロン2でエネルギー種を変える方法と、レンジシフタで変える方法,両者を組み合わせる方法がある。ビームエネルギーの設定はこのいずれか、あるいは、両方で行う。例えば、シンクロトロン2のエネルギー種のみで位置を変えようとすると、エネルギー種の数が膨大になる。また、一つの患部大のSOBPを形成する時に、シンクロトロン2からのエネルギー種を変えないで、レンジシフタ16のみで小型SOBPの位置を移動させると、レンジシフタ16のレンジ調整範囲が大きくなって、レンジシフタ16の駆動装置が大きくなる。
【0050】
そこで、本実施形態では、SOBP形成時に、複数個のシンクロトロン2からのビームエネルギー種とレンジシフタ16との両方を用いる。小型SOBPの深さ方向の幅に合わせて、シンクロトロン2からのビームエネルギー種を準備しておく。SOBPフィルタ24を用いて、小型SOBPを標的領域の最深部に生成する場合、用意したシンクロトロン2からのエネルギー種の中から、標的領域の最深部に到達するシンクロトロン2からのビームエネルギー種を選び、照射する。あるいは、それに適したビームエネルギー種がない場合は、シンクロトロン2からのビームエネルギー種とレンジシフタ16とを用いて標的領域の最深部に到達するビームエネルギーを形成して、照射する。次に、予め準備していたビームエネルギー種の中から選んだビームエネルギー種を用いて、小型SOBPを繰り返し生成する。これにより、標的領域大のSOBPを形成する。
【0051】
本実施形態では、呼吸時等の移動等で運動する標的領域の移動幅に応じて、小型SOBPを形成するエネルギー分布拡大装置を選択し、繰り返し照射に用いて小型SOBPを形成し、その小型SOBPを重ね合わせて標的領域形状に合った標的領域大のSOBPを形成するように制御する。このため、レンジシフタの稼動回数は減り、かつ、従来に比べて積層数が減り照射に必要な時間を短縮することが可能となる。
【0052】
本実施形態によれば、レンジシフタ16のセットは患者の照射前に1度セットすれば、照射時は、レンジシフタ16の変更なくビームエネルギーの変更で、小型SOBPを繰り返し生成してこれを繰り返すことにより、標的領域大のSOBPを形成できるので、標的領域の移動時に標的領域形状に合った線量分布形状の照射ができる。これにより、照射時のレンジシフタ16の使用頻度は低減できるという効果がある。
【0053】
本実施例によれば、従来に比べて積層数を大幅に減少できるという効果がある。これは線量率向上の効果につながる。
【0054】
本実施形態の粒子線照射システムは、標的領域の移動幅を測定する位置測定装置6と、照射線量を測定する線量モニタ12,17と、この線量モニタで測定した照射線量の情報を受け取って照射線量を管理する制御装置21と、マルチリーフコリメータとを備える。照射制御システム9が、位置測定装置6で測定した標的領域位置の移動幅に基づいて、標的領域変動域の中の照射期間,標的領域を積層に分割する分割数,積層毎に使用するSOBPフィルタ及び照射線量を定める。さらに、標的領域位置の動きをモニタして、粒子線の上記で定めた照射期間中の照射において、該線量モニタで積層毎に照射線量を測定し、制御部で照射線量を管理して照射し、積層毎にマルチリーフコリメータで深さ方向に垂直な照射野の形状を形成して、積層毎に生成した小型SOBPを合成するように制御する。このような制御により、最深部の積層への照射時に、粒子線の到達する飛程をレンジシフタと加速器エネルギーを選定して、そのレンジシフタを設定すれば、次に深い積層からは、加速器エネルギーを変えるだけで、積層位置を変えて、所望の小型SOBPを形成できる。本実施形態の粒子線照射システムを用いることで、呼吸等で標的領域が移動する照射においても、患部大のSOBPを患部形状にあわせて形成できることが可能となる。
【0055】
なお、以上の説明では、陽子ビームを用いた陽子線照射システムの照射装置とその方法を示したが、炭素,ヘリウム等の重粒子ビームを用いた重粒子線照射システムの照射装置にも、本実施形態は適用できるものである。
【0056】
本実施形態では、円形加速器としてシンクロトロン2を用いたが、サイクロトロンの場合にも同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の好適な一実施形態による粒子線治療システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による粒子線治療システムの照射野形成装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によるエネルギー分布拡大装置の第1の構成を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるエネルギー分布拡大装置の第2の構成を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるエネルギー分布拡大装置に用いるSOBPフィルタの構成を示す斜視図である。
【図6】粒子線照射装置に用いる線量分布の例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による粒子線照射装置の照射法を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による粒子線照射装置の高線量分布を形成するフロー図である。
【符号の説明】
【0058】
1 前段加速器
2 円形加速器(シンクロトロン)
3 ビーム輸送装置
4 回転ガントリー
5 照射野形成装置(粒子線照射装置)
6 位置測定装置
7 患者
8 患者カウチ
9 照射制御システム
11 ビームプロファイルモニタ
12,17 線量モニタ
13 走査電磁石
14 散乱体装置
15 エネルギー分布拡大装置
16 飛程調整装置(レンジシフタ)
18 ブロックコリメータ
19 患者コリメータ
20 アイソセンタ
21 制御装置
22 エネルギー分布拡大装置駆動装置
23 散乱体駆動装置
24,24a,24b,24c,24d エネルギー分布拡大フィルタ(SOBPフィルタ)
29 レンジシフタ駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子線を加速する加速器と、
前記加速器で加速された前記粒子線を照射対象に出射する照射装置と、
前記照射対象の移動幅を測定する位置測定装置を備えた粒子線照射システムにおいて、
前記照射装置は、
前記粒子線の通過位置によってその厚みが異なる複数のエネルギー分布拡大フィルタを有し、
前記位置測定装置で測定した前記移動幅に応じて、いずれかの前記エネルギー分布拡大フィルタを、前記照射装置内の粒子線通過領域に設置する制御装置を備えることを特徴とする粒子線照射システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記位置測定装置で測定した前記移動幅が第1設定値のときに前記加速器から前記粒子線を出射し、第2設定値のときに前記加速器からの前記粒子線の出射を停止することを特徴とする請求項1に記載の粒子線照射システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記加速器を制御して前記加速器から出射する前記粒子線のエネルギーを変更することを特徴とする請求項2に記載の粒子線照射システム。
【請求項4】
前記照射装置は、厚みが異なる複数の吸収体を有するレンジシフタを備え、
前記制御装置は、前記粒子線通過領域に設置する前記吸収体を変更して、前記照射装置から出射する前記粒子線のエネルギーを変更することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粒子線照射システム。
【請求項5】
前記照射装置は、前記粒子線の到達位置を前記照射対象の形状に形成するマルチリーフコリメータを備えることを特徴とする請求項1乃至4に記載の粒子線照射システム。
【請求項6】
粒子線を加速する加速器と、前記粒子線を照射対象に出射する照射装置と、照射対象の移動幅を測定する位置測定装置を備える粒子線照射システムの制御方法であって、
前記位置測定装置で測定した照射対象の移動幅に基づいて、前記照射対象を分割して照射する分割数、分割された各層に対して前記粒子線を出射するときに用いるエネルギー分布拡大フィルタの種類及び分割された各層での目標線量を決定することを特徴とする粒子線照射システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−75584(P2010−75584A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249472(P2008−249472)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】