粒子選別方法
本発明は、粒子(100)を選別する方法であって、前記粒子の屈折率を変えるためにその粒子を利用するものであり、支持体(108)の導波路(104)上に前記粒子(100)を配置する段階と、前記導波路を介して光照射を入射して前記導波路上の粒子を変位し、粒子を分離する段階と、を備えた粒子選別方法に関するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小粒子の選別方法及び分析方法の分野に関するものである。この粒子とは、リポゾーム、動物若しくは植物の細胞、ウィルス若しくは微生物等の生物学的粒子、DNA、RNA若しくはタンパク質等のマクロ分子、マイクロボール等の無機物粒子であってもよい。応用分野としては化学的若しくは生物学的分析、又は、品質コントロール(微粒子の較正)がある。
【背景技術】
【0002】
フロー・サイトメトリーのような粒子細胞選別による公知の手法は、特に希少な若しくは非常に小数の細胞数の分析、及び、1μm以下の粒子の操作について限界がある。
【0003】
光学的クランプの技法は、連続的なレーザービームのウェストに形成されている強度勾配によって粒子(マイクロボール、細胞若しくはマクロ分子)の閉じ込めを基礎にしている。例えば、これについては、アシュキン(Ashkin)及びジーディック(Dziedic)によって“Observation of radiation-pressure trapping of particles by altering light beams”とのタイトルでPhysics Review Letters, 54(12), 1985に掲載された論文に記載されている。この操作は放射線圧力のバランスによって可能となっている。この操作を一旦行うと、粒子はビームを変位することによって変位する。
【0004】
このタイプの装置における変位の距離は通常、数100ミクロンに制限される。
【0005】
従って、金属粒子を選別することはできない。
【0006】
図1は、このような装置の原理を示すものである。
【0007】
粒子2は液体媒体6中にビーム4によって閉じ込められている。
【0008】
図2は、レーザービーム4の両側において、装置によって生成された力場を示すグラフである;粒子は、それを捕捉し得る(レーザーの電場によって生じた放射線圧力によって誘起された)力学的な力の場に閉じ込められる。
【0009】
このタイプの装置は2つの欠点がある:粒子の変位が、セットアップが難しく、高価な専用の機械システムの使用に基づいてなされることである。
【0010】
さらに、その形状又は寸法の特性の関数として、いかなるタイプの種の分離を作製することは不可能である。
【0011】
例えば、タナカ(Tanaka)らによってApplied Physics Letters, 77, p3131, 2000に掲載された論文に記載されているような最近の仕事では、誘導光学装置を利用しており、光学的な力による細胞の変位のために装置を設計する可能性を示唆している;この手法は生物学的(生体)細胞よりもはるかに小さい対象物(数ミクロンオーダーのサイズのボールやコロイド)に限定されている。
【0012】
図3に示しているのは、この装置は基板12上に形成されたストリップを有する導波路10を用いたものである。粒子は、粒子における光強度に比例する光圧力を伴う力によって変位する。粒子は強度の勾配に比例する力によって導波路において適所に保持される。
【0013】
導波路が単一モードであるならば、粒子が捕捉される場所で最大の光強度がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明は、粒子を簡単にかつ効率的に選別する方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、例えば、生物学的興味を有する粒子若しくは対象を選別する装置に関するものである。
【0016】
本発明はまず、粒子選別方法に関するものであり:
a)支持体の少なくとも一つの導波路上に該粒子を配置する段階と、
b)粒子の前記導波路上の粒子の変位及び分離について、前記導波路を介して光照射を注入する段階と、を備える。
【0017】
粒子はその性質に従ってクラスターを形成することができる。
【0018】
段階は粒子がその屈折率が変わるようにマーク(標識)を付けられる前に実行された。
【0019】
例えば、選別される粒子は細胞、マクロ分子、又は、ミクロボールであってもよい。
【0020】
用いられる照射は近紫外線と近赤外線との間のスペクトル範囲、好適には生物細胞については赤外線であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、添付図面を参照して、以下の純粋に例示の目的でかつ非制限的な方法で与えられた実施形態を読むことによってより理解が深まるだろう。
【0022】
異なる図面の同一、類似若しくは等価な部分は、一の図面と他の図面との間の比較を容易にするために、同じ符号が付けられている。
【0023】
図面で示された異なる部分は、図面をより容易に理解できるように、必ずしも同じスケールで描いているわけではない。
【0024】
本発明による方法の一般例は、図4A及び図4Bを参照して説明する。この方法では、その物理的性質に依存して粒子群を選別する。粒子とは、ナノメートルから100ミクロンの寸法を有する有機若しくは無機の要素若しくは対象を意味する。この粒子は例えば、動物若しくは植物の細胞、蛋白質、DNA、RNAのようなマクロ分子であってもよい。
【0025】
粒子は例えば、ミクロボールのようなミクロ対象物であってもよい。
【0026】
物理的な特性とは、これらの粒子の寸法、質量、屈折率のような光学的特性を意味する。
【0027】
粒子100個の群を選別する第1段階はまず、支持体108に形成された光導波路上にこの群を配置することである。
【0028】
アセンブリは液体媒体例えば、水(屈折率1.33)に浸漬してもよい。生物学的用途として、この液体は、屈折率が1.33に近いバッファー溶液又は細胞懸濁培地であってもよい。
【0029】
さらに効率的に選別方法を作るために、支持体と、導波路と、支持体が配備された媒体とは、選別される粒子についての値と異なるか若しくは非常に異なる屈折率を有するのが好ましい。
【0030】
例えば、支持体108はガラス等の透明材料又はシリコンのような半導体材料をベースにするものであってもよい。導波路104はマルチモード型若しくは単一モード型であってもよい(図4A)。導波路は支持体108上で数ミクロンから数センチメートルの長さにわたって延びているものであってもよい。
【0031】
粒子100の群はまず、手動若しくは自動の方法を用いて導波路104の領域に配置されてもよい。
【0032】
支持体に集積され又は集積されない光デバイスを用いて、光照射Rを導波路104に注入される。この照射は、所定の時間例えば、数秒から数分のオーダーの間、注入されてもよい。
【0033】
注入される照射は、近紫外線から近赤外線例えば、300nmから1200nmの波長を有する。生物学的粒子又は細胞について、赤外線の波長例えば、YAGレーザーの1064nmの波長で用いてもよい。注入されたパワーは数10ミリワットから数100ミリワットのオーダー例えば、50mWから1W例えば、150mW近傍のオーダーであってもよい。
【0034】
従って、照射は選別される粒子の性質及び寸法に依存して選択される。
【0035】
光照射の導波路104の通過によって、導波路表面上にエバネセント波を形成する。この波は、これらの粒子の光の散乱によって、導波路の上方に配置した粒子を変位させる。変位は、導波路に沿って、光照射の伝搬の方向に沿って行われる。
【0036】
粒子は、寸法、質量、及び、屈折率に依存して、異なる速度で、互いに異なる長さに沿って変位する。
【0037】
粒子の動きは照射による光注入時間後に停止できる。これにより、粒子は、寸法及び/又は質量及び/又は屈折率に依存して導波路104に沿って、対応する異なる長さに沿って変位する。
【0038】
変位長は例えば、数100ナノメートルから数センチメートルまであり得る。
【0039】
粒子は通常、数個のクラスター114,116,118にグループ化され、それぞれのクラスターは導波路104上においてかなり広範囲を占める(図4B)。各粒子の変位長はその物理的な特性を特徴とし、このため、一クラスター内の粒子はいくつかの類似の又は同一の物理的特性を有する。
【0040】
同一の組成であるが、異なる寸法の粒子を選別することができ、同じ若しくはほぼ同じ寸法であるが、異なる物理的組成及び/又は特性の粒子を選別することもできる。
【0041】
図5Aは第1の場合を示す;異なる寸法を有する粒子214,216,218はエバネセント照射の影響の下で異なる挙動を示し、選別され得る(図5B)。
【0042】
他の実施例では、異なる屈折率を有する粒子はエバネセント照射の影響の下で異なる挙動を示す。この例は、同程度の寸法であるが、異なる屈折率を有して最初に混同された粒子314,316,318は本発明による方法を用いて連続的に選別される(図6B)。
【0043】
赤外線領域での他の実施例では、生きている細胞又は生物学的粒子は、水(約1.33)と同程度の屈折率(量子エレクトロニクスにおける特定トピックのIEEEジャーナルvol.2、No.4に掲載されたダン(A. Dunn)及びリチャード−コータム(R, Richards-Kortum)による論文“three dimensional computation of light scattering cell”(1996年12月発行)に記載されているのは、細胞質は1.37、核は1.39、ミトコンドリアは1.42)を有するが、より小さい金粒子ははるかに小さい屈折率(1064nmの波長で約0.3)を有し、上述の波長ではより高い吸収(約7の屈折率の虚部)を示す。
【0044】
金粒子は、金粒子上では細胞上より大きな効果を有するエバネセント照射によってより容易に変位するが、細胞は金粒子よりも大きい。
【0045】
用途によっては、各細胞からなるアセンブリとそのマーキング粒子、及び、その環境との間の屈折率の差を増大し得る、細胞例えば、金粒子を有する細胞をマークすることは有利である。生物学的細胞については、ポリマー粒子は小さな金粒子の代わりに用いられ、生物学的対象が移植され得る他の材料を用いることができ;またしても、これらの粒子は細胞より小さく、その屈折率は水等の媒体の屈折率とは大きく異なっており、マーカー(標識)として用いられ得る。
【0046】
本発明による方法の他の実施例では、想定している粒子はその寸法に依存して選別される動物若しくは植物細胞である。
【0047】
その上で選別が行われるところの支持体は液体溶液、好適には細胞を保護するための生体適合性溶液に浸漬してもよい。
【0048】
細胞選別はまず、屈折率を変更するために細胞をマーキングし、本発明による選別方法により反応し得るように改良され得る。
【0049】
マークされた細胞の屈折率は支持体及び導波路の屈折率、及び、支持体が配備された媒体の屈折率と大きく異なっているのが好ましい。
【0050】
マーキングは例えば、抗原−抗体モデル若しくはビオチン/ストレプトアビジン抗体モデルを用いて、前記細胞に付着若しくは移植された金属球若しくはポリマーを用いて実行されてもよい。
【0051】
マークされた細胞の群をまず、例えばピペットを用いてサンプリングする。次の段階は支持体レセプタクルに前記サンプルを配備することである。このレセプタクルは例えば、ジーン・フレーム(登録商標)型チャンバ等のチャンバであってもよい。レセプタクルは気体に対して不透過であり、細胞を熱的に遮断するのが好ましい。
【0052】
細胞群は、レセプタクルから例えば、一又は二以上の毛管を用いて導波路上に配備したゾーンへ移動してもよい。
【0053】
次の段階は、例えば、数分のオーダーの所定の時間、光照射を導波路104に入射することである。細胞選別中に用いられる照射を細胞に対して無害であるのが好ましい。使用される光照射は、遠赤外線から近赤外線の波長例えば、1000nmから1200nmの間の例えば、1064nmに近い波長で発光されるレーザー照射であってもよい。
【0054】
光照射の導波路の通過によって、導波路表面上にエバネセント波を形成し、この波は、光照射の伝搬の方向に沿って、導波路上の細胞を導波路に直交する軸に沿って、細胞を変位する。細胞は、各細胞の寸法に依存して互いに異なる速度で変位する。
【0055】
所定の入射時間が経過すると、細胞の移動は停止する。細胞は、図6Bに示したように数個のクラスター314,316,318にグループ化され、開始ゾーンから異なる平均距離に配置される。
【0056】
本発明による選別方法のために装置であって、支持体と上述のような一又は数個の導波路を有する装置は、例えば、MEMS(マイクロ−エレクトロメカニカルシステム)又はチップ上のラボ内に集積されてもよい。
【0057】
上述のような導波路は例えば、薄膜形成法によって、又は、イオン交換法によって作製することができる。
【0058】
まず(図7A)、(例えば、蒸着法又はスパッタリング法によって得られる)アルミニウム層をガラス表面140上に堆積し、次いでフォトレジスト樹脂層144を堆積する(スピンコーティング法による堆積)。次に、クロムリソグラフィマスク146を真空下で樹脂層に接触させる。マスクは最終パターン(導波路)のネガを表す。
【0059】
次いで、マスクは、中央導波路が例えば約350nmに配置されているものについて、かつ、樹脂がフォトレジスト樹脂についてインコヒーレント照射を用いて照射される。マスクで隠されていない部分の化学的構造は変性される。
【0060】
次いで、支持体は樹脂144を現像する溶液にちょっと浸す(ディップする)。これにより、化学的構造が日光により変性される領域をエッチングする(図7B)。
【0061】
次いで、プレートをアルミニウムエッチング溶液(AuEtch)にディップする。この溶液は樹脂をエッチングしない。既に現像した部分だけがエッチングされる(図7C)。
【0062】
最後に、樹脂はアセトンで溶解する。パターン150だけがプレート上に残る(図7D)。
【0063】
次いで、イオン交換段階を実施して導波路を形成する。次いで、支持体は硝酸銀と硝酸ナトリウムを含む塩浴に浸す。これらの塩の間の比率によってガラス140内で交換された銀の含有量を決定する。浴は通常、用途に依存して銀を10%から50%を含む。塩溶融温度は約310℃なので、交換段階は320℃から350℃で実施する(図8)。
【0064】
次いで、アルミニウムマスクを例えば、エッチングによって除去する。
【0065】
アニーリングを行うこともできる;ガラスプレートは浴に接触することなく加熱される。この段階は、銀イオンをガラス支持体の内部へより深く浸透させる。導波路はこのようにして形成できる。
【0066】
導波路の上面との摩擦によって生ずる粒子上のブレーキ(制動)力は、特別なコーティング例えば、テフロン(登録商標)をベースにした薄層で導波路を被覆することによって低減できる。
【0067】
バイオロジー分野の一用途について説明する。
【0068】
異種細胞サンプルにおいて、特定の表現型例えばタンパク質等のあるタイプの表面マクロ分子の存在によってキャラクタライズされた所定の亜母集団を孤立させる試みがなされた。さらに、抗体等のプローブ分子は、非常に強い親和性を有するこのような表現型マーカーを認識して、結合する能力を有する。抗体型プローブ分子の場合には、表現型マーカーは抗原と呼ばれる。抗体は、当業者が公知の手段によって例えば金ボール等の、特定の特性に対して選択されたボールに固定される。このような機能化された金ボールを細胞の表面に移植され、例えばこれらの細胞は血液から分離され、選別されるリンパ球である。
【0069】
マークされた細胞は(例えば、カバーに集積された合焦装置によって)支持体上で、チャンバ内に堆積される。チャンバは例えば、ジーン・フレーム(登録商標)型(アブジーン(登録商標)の装置であってもよい。この小さな接着型チャンバは非常に簡単であり、気体を透過しない結合システムであり、97℃までの高温に耐性があり、蒸発による試薬の損失を防止する。これは通常、生物学において、雑種を生じさせ、インシチューの増幅の処置に使用される。
【0070】
レーザー光は導波路内に入射される。選択される波長は、赤外/近赤外の範囲、処置後の細胞の生存可能性を保証する透明生体スペクトル範囲である(生体分子や水が吸収されない)。細胞及び固定されていないボールは上述のように選別されない。
【0071】
マークされた細胞は分析/回復(レキュペレーション)ウィンドウに変位させる。生体粒子は例えば、流体手段(毛管による回復)あるいはより常套的な手段(コーンの寸法に適した回復チャンバにおいてピペットによる回復)によって元に戻ってもよい。
【0072】
一般に、観察手段は例えば、CCDカメラを導波路108の上方に備えてもよい。このような手段は上述のように作製した選別のモニタリングを可能とする。
【0073】
図9は、本発明による導波路手段を組み込んだ支持体108上の粒子選別システム100を湿す。対物300はレーザーR(例えば、1064nmのYAGビーム)を導波路104に合焦する。選別される粒子はスライド220上に配置されたチャンバ内に含まれる。カメラ230は例えば、合焦装置又はズーム240を用いて選別の画像を作成するのに用いられる。透過した照射の画像を形成する手段250,260(対物、カメラ)を装置からの出力部に配置されてもよい。
【0074】
本発明はマークされた細胞の選別だけでなく、他の領域、例えば、特にラテックス若しくは金からなるボール若しくはマイクロボールの較正にも適用できる。
【0075】
他の実施例を示す。この例では、用いられる導波路はカリウムイオン交換によって作製された表面導波路(ガラススライド基板)である。これらのイオンは2時間から15時間の交換時間で温度280℃で生成される。これらの導波路の損失は1064nmの波長で0.2〜0.5dB/cmのオーダーである。
【0076】
変位されて選別される粒子は、屈折率1.55で直径2μmのガラスボール、又は、直径1μmの金ボールである。
【0077】
用いられる装置は図9で示したタイプである。光は連続YAGレーザーを1064nm(P=10W)で用いてエッジを介してカップリングし、ボールはその変位をモニタリングするためのビデオカメラ230に結合されたズームシステム240を用いて頂部を通して観察される。
【0078】
1μm径の金ボール上で行われた実験により、導波路上でボールが自発的にグループ化し、その後、導波路に沿って4μm/sのオーダーの速度で変位するのを立証した。同様に、ガラスボールのグループ化及び変位の可能性が立証される。図10Aから図12Cで示したのは:
−図10Aから図10D;t=0s(秒)、2s、3sでの70μmの距離を超えた金属粒子の変位であり、
−図11;金属粒子凝集効果であり、
−図12A−図12C;連続的にt=0s、4s、8sで導波路の70μm部に沿ったガラスボールのグループ化の進展である。
【0079】
これらの結果は、選別を容易にする粒子のグループ化のために、本発明による方法で用いられるのに有利である。
【0080】
さらに、導波路を伝搬する光の偏光は金属粒子(例えば、1μm径の金粒子)の平均速度に影響を与える。図13A及び図13Bはそれぞれ、図13AはTE偏光で金ボールの変位速度(平均速度1.07μm/s±0.35)のヒストグラムを示し、図13BはTM偏光で金ボールの変位速度(平均速度3.46μm/s±0.81)のヒストグラムを示す。
【0081】
従って、結果は、TE(電気的横波)モードよりTM(磁気的横波)モードの方が約3倍変位速度が大きいことを示している。従って、等しい入射パワーであれば、導波路に入射される光の偏光は金粒子の速度を大きく変更し得る。
【0082】
繰り返すが、これらの結果は、偏光効果に起因した改良された選別により、本発明による方法で用いられるのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】公知技術を示す図である。
【図2】公知技術を示す図である。
【図3】公知技術を示す図である。
【図4A】本発明による選別方法の実施例を示す図である。
【図4B】本発明による選別方法の実施例を示す図である。
【図5A】本発明による選別方法の実施例を示す図である。
【図5B】本発明による選別方法の実施例を示す図である。
【図6A】本発明による選別方法の実施例を示す図である。
【図6B】本発明による選別方法の実施例を示す図である。
【図7A】本発明による選別方法で用いられ得る導波路の製造における各段階を示す図である。
【図7B】本発明による選別方法で用いられ得る導波路の製造における各段階を示す図である。
【図7C】本発明による選別方法で用いられ得る導波路の製造における各段階を示す図である。
【図7D】本発明による選別方法で用いられ得る導波路の製造における各段階を示す図である。
【図8】本発明による選別方法で用いられ得る導波路の製造における各段階を示す図である。
【図9】本発明による選別方法を観察する装置を示す図である。
【図10A】実験結果を示す図である。
【図10B】実験結果を示す図である。
【図10C】実験結果を示す図である。
【図10D】実験結果を示す図である。
【図11】実験結果を示す図である。
【図12A】実験結果を示す図である。
【図12B】実験結果を示す図である。
【図12C】実験結果を示す図である。
【図13A】2つの異なる偏光についての金粒子の変位速度のヒストグラムを示す図である。
【図13B】2つの異なる偏光についての金粒子の変位速度のヒストグラムを示す図である。
【符号の説明】
【0084】
100 粒子
104 導波路
108 支持体
114,116,118 クラスター
【技術分野】
【0001】
本発明は、小粒子の選別方法及び分析方法の分野に関するものである。この粒子とは、リポゾーム、動物若しくは植物の細胞、ウィルス若しくは微生物等の生物学的粒子、DNA、RNA若しくはタンパク質等のマクロ分子、マイクロボール等の無機物粒子であってもよい。応用分野としては化学的若しくは生物学的分析、又は、品質コントロール(微粒子の較正)がある。
【背景技術】
【0002】
フロー・サイトメトリーのような粒子細胞選別による公知の手法は、特に希少な若しくは非常に小数の細胞数の分析、及び、1μm以下の粒子の操作について限界がある。
【0003】
光学的クランプの技法は、連続的なレーザービームのウェストに形成されている強度勾配によって粒子(マイクロボール、細胞若しくはマクロ分子)の閉じ込めを基礎にしている。例えば、これについては、アシュキン(Ashkin)及びジーディック(Dziedic)によって“Observation of radiation-pressure trapping of particles by altering light beams”とのタイトルでPhysics Review Letters, 54(12), 1985に掲載された論文に記載されている。この操作は放射線圧力のバランスによって可能となっている。この操作を一旦行うと、粒子はビームを変位することによって変位する。
【0004】
このタイプの装置における変位の距離は通常、数100ミクロンに制限される。
【0005】
従って、金属粒子を選別することはできない。
【0006】
図1は、このような装置の原理を示すものである。
【0007】
粒子2は液体媒体6中にビーム4によって閉じ込められている。
【0008】
図2は、レーザービーム4の両側において、装置によって生成された力場を示すグラフである;粒子は、それを捕捉し得る(レーザーの電場によって生じた放射線圧力によって誘起された)力学的な力の場に閉じ込められる。
【0009】
このタイプの装置は2つの欠点がある:粒子の変位が、セットアップが難しく、高価な専用の機械システムの使用に基づいてなされることである。
【0010】
さらに、その形状又は寸法の特性の関数として、いかなるタイプの種の分離を作製することは不可能である。
【0011】
例えば、タナカ(Tanaka)らによってApplied Physics Letters, 77, p3131, 2000に掲載された論文に記載されているような最近の仕事では、誘導光学装置を利用しており、光学的な力による細胞の変位のために装置を設計する可能性を示唆している;この手法は生物学的(生体)細胞よりもはるかに小さい対象物(数ミクロンオーダーのサイズのボールやコロイド)に限定されている。
【0012】
図3に示しているのは、この装置は基板12上に形成されたストリップを有する導波路10を用いたものである。粒子は、粒子における光強度に比例する光圧力を伴う力によって変位する。粒子は強度の勾配に比例する力によって導波路において適所に保持される。
【0013】
導波路が単一モードであるならば、粒子が捕捉される場所で最大の光強度がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明は、粒子を簡単にかつ効率的に選別する方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、例えば、生物学的興味を有する粒子若しくは対象を選別する装置に関するものである。
【0016】
本発明はまず、粒子選別方法に関するものであり:
a)支持体の少なくとも一つの導波路上に該粒子を配置する段階と、
b)粒子の前記導波路上の粒子の変位及び分離について、前記導波路を介して光照射を注入する段階と、を備える。
【0017】
粒子はその性質に従ってクラスターを形成することができる。
【0018】
段階は粒子がその屈折率が変わるようにマーク(標識)を付けられる前に実行された。
【0019】
例えば、選別される粒子は細胞、マクロ分子、又は、ミクロボールであってもよい。
【0020】
用いられる照射は近紫外線と近赤外線との間のスペクトル範囲、好適には生物細胞については赤外線であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、添付図面を参照して、以下の純粋に例示の目的でかつ非制限的な方法で与えられた実施形態を読むことによってより理解が深まるだろう。
【0022】
異なる図面の同一、類似若しくは等価な部分は、一の図面と他の図面との間の比較を容易にするために、同じ符号が付けられている。
【0023】
図面で示された異なる部分は、図面をより容易に理解できるように、必ずしも同じスケールで描いているわけではない。
【0024】
本発明による方法の一般例は、図4A及び図4Bを参照して説明する。この方法では、その物理的性質に依存して粒子群を選別する。粒子とは、ナノメートルから100ミクロンの寸法を有する有機若しくは無機の要素若しくは対象を意味する。この粒子は例えば、動物若しくは植物の細胞、蛋白質、DNA、RNAのようなマクロ分子であってもよい。
【0025】
粒子は例えば、ミクロボールのようなミクロ対象物であってもよい。
【0026】
物理的な特性とは、これらの粒子の寸法、質量、屈折率のような光学的特性を意味する。
【0027】
粒子100個の群を選別する第1段階はまず、支持体108に形成された光導波路上にこの群を配置することである。
【0028】
アセンブリは液体媒体例えば、水(屈折率1.33)に浸漬してもよい。生物学的用途として、この液体は、屈折率が1.33に近いバッファー溶液又は細胞懸濁培地であってもよい。
【0029】
さらに効率的に選別方法を作るために、支持体と、導波路と、支持体が配備された媒体とは、選別される粒子についての値と異なるか若しくは非常に異なる屈折率を有するのが好ましい。
【0030】
例えば、支持体108はガラス等の透明材料又はシリコンのような半導体材料をベースにするものであってもよい。導波路104はマルチモード型若しくは単一モード型であってもよい(図4A)。導波路は支持体108上で数ミクロンから数センチメートルの長さにわたって延びているものであってもよい。
【0031】
粒子100の群はまず、手動若しくは自動の方法を用いて導波路104の領域に配置されてもよい。
【0032】
支持体に集積され又は集積されない光デバイスを用いて、光照射Rを導波路104に注入される。この照射は、所定の時間例えば、数秒から数分のオーダーの間、注入されてもよい。
【0033】
注入される照射は、近紫外線から近赤外線例えば、300nmから1200nmの波長を有する。生物学的粒子又は細胞について、赤外線の波長例えば、YAGレーザーの1064nmの波長で用いてもよい。注入されたパワーは数10ミリワットから数100ミリワットのオーダー例えば、50mWから1W例えば、150mW近傍のオーダーであってもよい。
【0034】
従って、照射は選別される粒子の性質及び寸法に依存して選択される。
【0035】
光照射の導波路104の通過によって、導波路表面上にエバネセント波を形成する。この波は、これらの粒子の光の散乱によって、導波路の上方に配置した粒子を変位させる。変位は、導波路に沿って、光照射の伝搬の方向に沿って行われる。
【0036】
粒子は、寸法、質量、及び、屈折率に依存して、異なる速度で、互いに異なる長さに沿って変位する。
【0037】
粒子の動きは照射による光注入時間後に停止できる。これにより、粒子は、寸法及び/又は質量及び/又は屈折率に依存して導波路104に沿って、対応する異なる長さに沿って変位する。
【0038】
変位長は例えば、数100ナノメートルから数センチメートルまであり得る。
【0039】
粒子は通常、数個のクラスター114,116,118にグループ化され、それぞれのクラスターは導波路104上においてかなり広範囲を占める(図4B)。各粒子の変位長はその物理的な特性を特徴とし、このため、一クラスター内の粒子はいくつかの類似の又は同一の物理的特性を有する。
【0040】
同一の組成であるが、異なる寸法の粒子を選別することができ、同じ若しくはほぼ同じ寸法であるが、異なる物理的組成及び/又は特性の粒子を選別することもできる。
【0041】
図5Aは第1の場合を示す;異なる寸法を有する粒子214,216,218はエバネセント照射の影響の下で異なる挙動を示し、選別され得る(図5B)。
【0042】
他の実施例では、異なる屈折率を有する粒子はエバネセント照射の影響の下で異なる挙動を示す。この例は、同程度の寸法であるが、異なる屈折率を有して最初に混同された粒子314,316,318は本発明による方法を用いて連続的に選別される(図6B)。
【0043】
赤外線領域での他の実施例では、生きている細胞又は生物学的粒子は、水(約1.33)と同程度の屈折率(量子エレクトロニクスにおける特定トピックのIEEEジャーナルvol.2、No.4に掲載されたダン(A. Dunn)及びリチャード−コータム(R, Richards-Kortum)による論文“three dimensional computation of light scattering cell”(1996年12月発行)に記載されているのは、細胞質は1.37、核は1.39、ミトコンドリアは1.42)を有するが、より小さい金粒子ははるかに小さい屈折率(1064nmの波長で約0.3)を有し、上述の波長ではより高い吸収(約7の屈折率の虚部)を示す。
【0044】
金粒子は、金粒子上では細胞上より大きな効果を有するエバネセント照射によってより容易に変位するが、細胞は金粒子よりも大きい。
【0045】
用途によっては、各細胞からなるアセンブリとそのマーキング粒子、及び、その環境との間の屈折率の差を増大し得る、細胞例えば、金粒子を有する細胞をマークすることは有利である。生物学的細胞については、ポリマー粒子は小さな金粒子の代わりに用いられ、生物学的対象が移植され得る他の材料を用いることができ;またしても、これらの粒子は細胞より小さく、その屈折率は水等の媒体の屈折率とは大きく異なっており、マーカー(標識)として用いられ得る。
【0046】
本発明による方法の他の実施例では、想定している粒子はその寸法に依存して選別される動物若しくは植物細胞である。
【0047】
その上で選別が行われるところの支持体は液体溶液、好適には細胞を保護するための生体適合性溶液に浸漬してもよい。
【0048】
細胞選別はまず、屈折率を変更するために細胞をマーキングし、本発明による選別方法により反応し得るように改良され得る。
【0049】
マークされた細胞の屈折率は支持体及び導波路の屈折率、及び、支持体が配備された媒体の屈折率と大きく異なっているのが好ましい。
【0050】
マーキングは例えば、抗原−抗体モデル若しくはビオチン/ストレプトアビジン抗体モデルを用いて、前記細胞に付着若しくは移植された金属球若しくはポリマーを用いて実行されてもよい。
【0051】
マークされた細胞の群をまず、例えばピペットを用いてサンプリングする。次の段階は支持体レセプタクルに前記サンプルを配備することである。このレセプタクルは例えば、ジーン・フレーム(登録商標)型チャンバ等のチャンバであってもよい。レセプタクルは気体に対して不透過であり、細胞を熱的に遮断するのが好ましい。
【0052】
細胞群は、レセプタクルから例えば、一又は二以上の毛管を用いて導波路上に配備したゾーンへ移動してもよい。
【0053】
次の段階は、例えば、数分のオーダーの所定の時間、光照射を導波路104に入射することである。細胞選別中に用いられる照射を細胞に対して無害であるのが好ましい。使用される光照射は、遠赤外線から近赤外線の波長例えば、1000nmから1200nmの間の例えば、1064nmに近い波長で発光されるレーザー照射であってもよい。
【0054】
光照射の導波路の通過によって、導波路表面上にエバネセント波を形成し、この波は、光照射の伝搬の方向に沿って、導波路上の細胞を導波路に直交する軸に沿って、細胞を変位する。細胞は、各細胞の寸法に依存して互いに異なる速度で変位する。
【0055】
所定の入射時間が経過すると、細胞の移動は停止する。細胞は、図6Bに示したように数個のクラスター314,316,318にグループ化され、開始ゾーンから異なる平均距離に配置される。
【0056】
本発明による選別方法のために装置であって、支持体と上述のような一又は数個の導波路を有する装置は、例えば、MEMS(マイクロ−エレクトロメカニカルシステム)又はチップ上のラボ内に集積されてもよい。
【0057】
上述のような導波路は例えば、薄膜形成法によって、又は、イオン交換法によって作製することができる。
【0058】
まず(図7A)、(例えば、蒸着法又はスパッタリング法によって得られる)アルミニウム層をガラス表面140上に堆積し、次いでフォトレジスト樹脂層144を堆積する(スピンコーティング法による堆積)。次に、クロムリソグラフィマスク146を真空下で樹脂層に接触させる。マスクは最終パターン(導波路)のネガを表す。
【0059】
次いで、マスクは、中央導波路が例えば約350nmに配置されているものについて、かつ、樹脂がフォトレジスト樹脂についてインコヒーレント照射を用いて照射される。マスクで隠されていない部分の化学的構造は変性される。
【0060】
次いで、支持体は樹脂144を現像する溶液にちょっと浸す(ディップする)。これにより、化学的構造が日光により変性される領域をエッチングする(図7B)。
【0061】
次いで、プレートをアルミニウムエッチング溶液(AuEtch)にディップする。この溶液は樹脂をエッチングしない。既に現像した部分だけがエッチングされる(図7C)。
【0062】
最後に、樹脂はアセトンで溶解する。パターン150だけがプレート上に残る(図7D)。
【0063】
次いで、イオン交換段階を実施して導波路を形成する。次いで、支持体は硝酸銀と硝酸ナトリウムを含む塩浴に浸す。これらの塩の間の比率によってガラス140内で交換された銀の含有量を決定する。浴は通常、用途に依存して銀を10%から50%を含む。塩溶融温度は約310℃なので、交換段階は320℃から350℃で実施する(図8)。
【0064】
次いで、アルミニウムマスクを例えば、エッチングによって除去する。
【0065】
アニーリングを行うこともできる;ガラスプレートは浴に接触することなく加熱される。この段階は、銀イオンをガラス支持体の内部へより深く浸透させる。導波路はこのようにして形成できる。
【0066】
導波路の上面との摩擦によって生ずる粒子上のブレーキ(制動)力は、特別なコーティング例えば、テフロン(登録商標)をベースにした薄層で導波路を被覆することによって低減できる。
【0067】
バイオロジー分野の一用途について説明する。
【0068】
異種細胞サンプルにおいて、特定の表現型例えばタンパク質等のあるタイプの表面マクロ分子の存在によってキャラクタライズされた所定の亜母集団を孤立させる試みがなされた。さらに、抗体等のプローブ分子は、非常に強い親和性を有するこのような表現型マーカーを認識して、結合する能力を有する。抗体型プローブ分子の場合には、表現型マーカーは抗原と呼ばれる。抗体は、当業者が公知の手段によって例えば金ボール等の、特定の特性に対して選択されたボールに固定される。このような機能化された金ボールを細胞の表面に移植され、例えばこれらの細胞は血液から分離され、選別されるリンパ球である。
【0069】
マークされた細胞は(例えば、カバーに集積された合焦装置によって)支持体上で、チャンバ内に堆積される。チャンバは例えば、ジーン・フレーム(登録商標)型(アブジーン(登録商標)の装置であってもよい。この小さな接着型チャンバは非常に簡単であり、気体を透過しない結合システムであり、97℃までの高温に耐性があり、蒸発による試薬の損失を防止する。これは通常、生物学において、雑種を生じさせ、インシチューの増幅の処置に使用される。
【0070】
レーザー光は導波路内に入射される。選択される波長は、赤外/近赤外の範囲、処置後の細胞の生存可能性を保証する透明生体スペクトル範囲である(生体分子や水が吸収されない)。細胞及び固定されていないボールは上述のように選別されない。
【0071】
マークされた細胞は分析/回復(レキュペレーション)ウィンドウに変位させる。生体粒子は例えば、流体手段(毛管による回復)あるいはより常套的な手段(コーンの寸法に適した回復チャンバにおいてピペットによる回復)によって元に戻ってもよい。
【0072】
一般に、観察手段は例えば、CCDカメラを導波路108の上方に備えてもよい。このような手段は上述のように作製した選別のモニタリングを可能とする。
【0073】
図9は、本発明による導波路手段を組み込んだ支持体108上の粒子選別システム100を湿す。対物300はレーザーR(例えば、1064nmのYAGビーム)を導波路104に合焦する。選別される粒子はスライド220上に配置されたチャンバ内に含まれる。カメラ230は例えば、合焦装置又はズーム240を用いて選別の画像を作成するのに用いられる。透過した照射の画像を形成する手段250,260(対物、カメラ)を装置からの出力部に配置されてもよい。
【0074】
本発明はマークされた細胞の選別だけでなく、他の領域、例えば、特にラテックス若しくは金からなるボール若しくはマイクロボールの較正にも適用できる。
【0075】
他の実施例を示す。この例では、用いられる導波路はカリウムイオン交換によって作製された表面導波路(ガラススライド基板)である。これらのイオンは2時間から15時間の交換時間で温度280℃で生成される。これらの導波路の損失は1064nmの波長で0.2〜0.5dB/cmのオーダーである。
【0076】
変位されて選別される粒子は、屈折率1.55で直径2μmのガラスボール、又は、直径1μmの金ボールである。
【0077】
用いられる装置は図9で示したタイプである。光は連続YAGレーザーを1064nm(P=10W)で用いてエッジを介してカップリングし、ボールはその変位をモニタリングするためのビデオカメラ230に結合されたズームシステム240を用いて頂部を通して観察される。
【0078】
1μm径の金ボール上で行われた実験により、導波路上でボールが自発的にグループ化し、その後、導波路に沿って4μm/sのオーダーの速度で変位するのを立証した。同様に、ガラスボールのグループ化及び変位の可能性が立証される。図10Aから図12Cで示したのは:
−図10Aから図10D;t=0s(秒)、2s、3sでの70μmの距離を超えた金属粒子の変位であり、
−図11;金属粒子凝集効果であり、
−図12A−図12C;連続的にt=0s、4s、8sで導波路の70μm部に沿ったガラスボールのグループ化の進展である。
【0079】
これらの結果は、選別を容易にする粒子のグループ化のために、本発明による方法で用いられるのに有利である。
【0080】
さらに、導波路を伝搬する光の偏光は金属粒子(例えば、1μm径の金粒子)の平均速度に影響を与える。図13A及び図13Bはそれぞれ、図13AはTE偏光で金ボールの変位速度(平均速度1.07μm/s±0.35)のヒストグラムを示し、図13BはTM偏光で金ボールの変位速度(平均速度3.46μm/s±0.81)のヒストグラムを示す。
【0081】
従って、結果は、TE(電気的横波)モードよりTM(磁気的横波)モードの方が約3倍変位速度が大きいことを示している。従って、等しい入射パワーであれば、導波路に入射される光の偏光は金粒子の速度を大きく変更し得る。
【0082】
繰り返すが、これらの結果は、偏光効果に起因した改良された選別により、本発明による方法で用いられるのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】公知技術を示す図である。
【図2】公知技術を示す図である。
【図3】公知技術を示す図である。
【図4A】本発明による選別方法の実施例を示す図である。
【図4B】本発明による選別方法の実施例を示す図である。
【図5A】本発明による選別方法の実施例を示す図である。
【図5B】本発明による選別方法の実施例を示す図である。
【図6A】本発明による選別方法の実施例を示す図である。
【図6B】本発明による選別方法の実施例を示す図である。
【図7A】本発明による選別方法で用いられ得る導波路の製造における各段階を示す図である。
【図7B】本発明による選別方法で用いられ得る導波路の製造における各段階を示す図である。
【図7C】本発明による選別方法で用いられ得る導波路の製造における各段階を示す図である。
【図7D】本発明による選別方法で用いられ得る導波路の製造における各段階を示す図である。
【図8】本発明による選別方法で用いられ得る導波路の製造における各段階を示す図である。
【図9】本発明による選別方法を観察する装置を示す図である。
【図10A】実験結果を示す図である。
【図10B】実験結果を示す図である。
【図10C】実験結果を示す図である。
【図10D】実験結果を示す図である。
【図11】実験結果を示す図である。
【図12A】実験結果を示す図である。
【図12B】実験結果を示す図である。
【図12C】実験結果を示す図である。
【図13A】2つの異なる偏光についての金粒子の変位速度のヒストグラムを示す図である。
【図13B】2つの異なる偏光についての金粒子の変位速度のヒストグラムを示す図である。
【符号の説明】
【0084】
100 粒子
104 導波路
108 支持体
114,116,118 クラスター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子(100)を選別する方法であって:
粒子の屈折率を変えるために粒子をマーキングする段階と、
支持体(108)の少なくとも一の導波路(104)上に前記粒子(100)を配置する段階と、
前記導波路を介して光照射Rを入射して、前記導波路上の粒子を変位し、粒子を分離する段階と、を備えた粒子選別方法。
【請求項2】
前記粒子が導波路(104)上にクラスター(114,116,118)を形成する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
選別される粒子が同一の組成であるが、異なる寸法を有する請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
選別される粒子が同一若しくはほぼ同一の寸法を有するが、異なる組成である請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記粒子が細胞、マクロ分子、又は、ミクロボールである請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
入射される照射は近紫外と赤外との間のスペクトル範囲である請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記粒子がミクロボールであり、ミクロボールが細胞をマークし、照射が赤外の範囲である請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
粒子のうちのいくつかは金属であるか、又は、金属粒子によってマークされている請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
粒子のうちのいくつかは金属粒子であるか、又は、金属粒子によってマークされている請求項8に記載の方法。
【請求項10】
導波路に入射される光は磁気的横波(TM)モードで偏光している請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記粒子が液体媒体に浸漬される請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
粒子(100)を選別する方法であって:
粒子の屈折率を変えるために粒子をマーキングする段階と、
支持体(108)の少なくとも一の導波路(104)上に前記粒子(100)を配置する段階と、
前記導波路を介して光照射Rを入射して、前記導波路上の粒子を変位し、粒子を分離する段階と、を備えた粒子選別方法。
【請求項2】
前記粒子が導波路(104)上にクラスター(114,116,118)を形成する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
選別される粒子が同一の組成であるが、異なる寸法を有する請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
選別される粒子が同一若しくはほぼ同一の寸法を有するが、異なる組成である請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記粒子が細胞、マクロ分子、又は、ミクロボールである請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
入射される照射は近紫外と赤外との間のスペクトル範囲である請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記粒子がミクロボールであり、ミクロボールが細胞をマークし、照射が赤外の範囲である請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
粒子のうちのいくつかは金属であるか、又は、金属粒子によってマークされている請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
粒子のうちのいくつかは金属粒子であるか、又は、金属粒子によってマークされている請求項8に記載の方法。
【請求項10】
導波路に入射される光は磁気的横波(TM)モードで偏光している請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記粒子が液体媒体に浸漬される請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【公表番号】特表2007−520332(P2007−520332A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541949(P2006−541949)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053260
【国際公開番号】WO2005/054832
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053260
【国際公開番号】WO2005/054832
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】
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