粒子

試料成分のクロマトグラフィー分離のための移動固体相中の粒子が開示される。これら粒子は、心部と被覆部を含み、該心部は少なくとも1種の分析試料と相互作用し、そして、該被覆部は、本質的に、液中凝集又は一般凝集を防ぐものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に粒子の分野に関する。より詳細には、本発明はクロマトグラフィーにおける移動固体相としての粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
分析的な分離を行う優れた技術はクロマトグラフィーである。伝統的に、これは、固定相を含む分離管を通して試料と移動相とを輸送するポンプを用いて行われる。この技術は、しばしば、液体クロマトグラフィー(LC)又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と言われる。この技術の優れたタイプの1つは、疎水性分子で被覆されたシリカ粒子からなる疎水性固定相を用いる、しかし、移動相は親水性である。このタイプのもう1つは、対掌性の固定相を用い、対掌性の分子が異なった程度で該固定相に結合する。これら2相間の試料成分の分配が分離の基本である。かくて、移動相と固定相が異なった性質を持つことが重要である。分離管からの試料分子の溶離の後、試料分子は集められ又は異なる技術を用いて検出される。この伝統的な構成の持つ大きな問題の1つは、殆んどの試料が固定相に強く付く成分を含むことであり、そのため固定相が汚染し、性質が変化してしまう。分離管はこの汚染のため最終的に交換せねばならないであろう。
【0003】
先に、我々は、ナノ粒子の形態で使い捨ての(disposable)移動固体相を用いることにより、試料成分又は試料母剤の吸着による固定相の汚染に関連する問題を克服する技術を開発した。毛細管通電クロマトグラフィー(CEC)の部分充填(partial filling(PF))適用(application)を用いることにより、輸送流体中のナノ粒子の栓(plug)(スラリー状)は、試料に先立って細い毛細管に注入される。分離管に電圧が印加されるので、試料成分はナノ粒子スラリーの栓を通って移動を始め、その結果分離される。最後に、試料成分はナノ粒子の栓の前に溶離され、例えば、紫外線検出のような光学的方法により検出される。しかし、この技術の大きな限界は、ナノ粒子と共に溶離する分析試料を検出出来ないことであった。また、この方法における2段階の注入の使用は技術の安定性及び再現性の妨げであった。かくて、粒子スラリーが連続的に毛細管分離管中に導入され、且つ、試料成分を、仮令それらが粒子と共に溶離するようであっても検出できる技術が必要とされる。
【0004】
Baechmann等(Baechmann, K., Goettlicher, B., Chromatographia, 1997, 巻45, p.249-254)は、蛍光化合物の通電クロマトグラフィーによる分離における、10-カルボキシデシルジメチルシランで被覆したシリカ粒子の使用を記載した。不活性心部の使用は、移動固定相の極めて限られた部分、即ち被覆の限られた部分、が分離を担い、そのため分析試料と相互作用する領域又は容量が著しく減じることにより、分離能力が著しく減じることを意味する。試料成分の分離と粒子の沈降防止を可能にするための被覆の使用は、粒子を特別なタイプの分離に採用する可能性を限定する。
【0005】
Huang等(Huang, M.-F., Kuo, Y.-C, Huang, C.-C, Chang, H.-T, Anal. Chem., 2004, 巻76、p.192-196)は、毛細管電気泳動によるDNAの分離への固定相としての、金を流体力学的に(hydrodinamically)被覆したポリ(エチレンオキシド)ナノ粒子の使用を記載した。このタイプの粒子は、被覆が心部に付いていないので、移動固体相として適当ではない。更に、ポリ(エチレンオキシド)は、分離された分析試料を質量分析により検出する場合、極めて高い確率で質量分析器に漏れ、検出限界を著しく減ずるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来法のような欠点の無い新規なクロマトグラフィー技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
最近、本発明者等は、全ての新たな分離のために新たな相を用いて上記した注入及び溶離の限界を解決する技術を開発した。この、移動固体相と称する相は、輸送流体中のナノ粒子スラリーの形で連続的に分離装置中に導入される。該ナノ粒子は分離管を通してポンプにより供給され連続的に交換されるので、各々の新たな分析は新たな未使用の固体相に基づいて行われる。この方法によれば、分離管を破壊し得る試料成分の吸着は最早問題ではない。そればかりでなく、試料成分と相互作用することにより、該移動固体相は、試料成分のそれとは異なる速度で動くに違いない。その後、移動固体相を結合した試料成分は、結合していない成分の速度とは異なる分離系通過速度で動くであろう。この移動速度の違いが分離の基本である。伝統的な技術との違いの1つは、固体相が移動性であり、分離管中に固定されないことである。毛細管からのナノ粒子の連続的な溶離は、紫外線検出のような光学的検出を不可能にする。また、伝統的な質量分析による検出は、溶離するナノ粒子が質量分析器をひどく汚染するので採用できない。移動固体相と共に溶離する試料成分の検出を可能にするには、検出器に送る前に移動固体相を試料成分と分離せねばならない。これは、例えば、試料成分が質量分析器に加速導入され、一方移動固体相は質量分析器への導入を阻害される角度付き(例えば直交)電子吹きつけイオン化源(electrospray ionization source)により達成できる。
【0008】
それ故、移動固体相として改良された粒子は有利であり、殊に、増加した適応性、コスト有利性、改良された分離技術、及び分析試料と該粒子との間の改良された関係、を可能とする粒子は有利である。
【0009】
従って、本発明は、好ましくは、1つ又はより多くの上記した従来技術の欠点及び単一のもしくは複合した不利益を緩和し、軽減しもしくは除去することを目指すものであり、そして、試料成分のクロマトグラフィーによる分離のための移動固体相に用いられる粒子であって、該粒子は心部と被覆部を有し、該心部は少なくとも1種の分析試料と相互作用し、該被覆部は本質的に液中凝集及び一般凝集を妨げるもの、を提供することにより、少なくとも上記した問題を解決するものである。本発明の更なる利点及び特徴とする要点は、添付した明細書、図面及び従属した請求項から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次の記載は、クロマトグラフィー分離系のような分離系に適用し得る本発明による、粒子、方法、使用、及び製造法の実施態様に焦点を置くものである。
本発明は、輸送流体とは異なる性質を持つばかりでなく輸送流体中で安定な懸濁液を形成しえる粒子を記載する。更に、本発明は、該粒子との相互作用によって1種又は数種の試料成分を排除し得る粒子を記載する。本発明はまた、異なる分離及び分析用途におけるこれら粒子の使用を記載する。
【0011】
「統合された分離及び分析系」という用語は、分離系及び分析系であって幾つかの構成要素が効率的に結合され、それによりその系を単一のプロセスとみなし得るものを意味する。
【0012】
「質量感知検出器」という用語は、質量又は電荷又はその組合せに関してイオン又は分子を分析し、検出し又は分離する装置を意味する。
【0013】
「質量分析器」という用語は、質量及び/又は電荷に関してイオン又は分子を分析し又は分離する装置を意味する。
【0014】
「イオン化源」という用語は、イオンが分子又はイオンから形成されるのを許容する装置を意味する。
【0015】
「角度付きイオン化源」という用語は、輸送系の出口から質量分析器の入口までで決めた、計測し得る程度の角度にあるイオン化源を意味する。
【0016】
「検出器」という用語は、質量感知検出器中にある検出器を意味する。
【0017】
「固体相」という用語は、粒子を基材とした固体材料を意味する。
【0018】
「移動固体相」という用語は、固体相が移動可能である、即ち輸送流体中で動くか又は輸送流体によって運ばれることを意味する。
【0019】
移動相に関して、「固定」及び「固体」という用語は置換えて用いることがある。
【0020】
「輸送流体」という用語は、輸送系を通じて移動する流体又は超臨界流体を意味する。試料成分を含む試料、及び該移動固体相は、輸送系を通して輸送流体中で輸送され及び/又は移行され得る。
【0021】
「選別器」という用語は、1つ又はより多くの試料成分を選別する機能を持つ単位装置を意味する。
【0022】
「オンライン」という用語は、輸送系中での事象の過程を意味する。
【0023】
「オフライン」という用語は、輸送系外での事象の過程を意味する。
【0024】
「質的分離及び/又は分析」という用語は、試料中における1種またはより多くのの試料成分を、それらの特性により同定するために行われる分離又は/分析を意味する。
【0025】
「試料成分」という用語は、試料中の成分の1つを意味する。「分析試料」という用語は、分離及び/又は検出されるべき試料成分を意味する。
【0026】
分離及び分析系
全てのクロマトグラフィー技術は、固定相と試料成分との間の相互作用容易にするために、移動相(輸送流体)と固定相との間の特性の相異に依存する。しかし、移動固定相を用いる技術の場合、それにより、その相異が輸送流体中において固定相の安定性を損ねるといった問題を引起すことがある。例えば、移動固定相が粒子の場合、この不安定性は、該移動固定相を液中凝集又は一般凝集(粒子間の特性が同一である)及び沈降させることが出来る。固定相の安定な懸濁液をつくる為には、粒子が輸送流体と同様の特性を持つ必要がある。これは、クロマトグラフィーのための移動固定相の持つ伝統的な逆説であった:クロマトグラフィーを行うためには、固定相と輸送流体との間に特性の相異があるべきである、しかし、同時に、安定な懸濁液を形成するためには、固定相は輸送流体と同様の特性を持つ必要がある。この逆説は、我々の発明により解決する。我々の粒子は、輸送流体とは特性の異なる心部(例えば、心部が疎水性で、一方輸送流体は水性である)を持つが、しかし、この心部は輸送流体と同様の特性を持つ被覆を有する(例えば、親水性の被覆と水性の輸送流体)。これにより、粒子は輸送流体中で安定な懸濁液を形成し、しかし、なお、被覆に浸透する試料成分と相互作用する。
【0027】
充填分離管を用いる伝統的なクロマトグラフィーに関するかぎり、移動固体相は、試料成分との相互作用を容易にするため輸送流体(移動相)と特性が相異すべきである。この結果は、輸送流体中で移動固体相の安定なスラリーをつくるのには問題があるということである。安定なスラリーは、液中凝集、一般凝集及び沈降が全く無いか非常に少ないことを意味する。例えば、もし系が逆相分離に使用される場合、移動固体相は疎水性であり、輸送流体は親水性である。輸送流体スラリー中の粒子の安定性は、疎水性効果によって引起される移動固体相の液中凝集、一般凝集及び沈降のため非常に制限されるであろう。移動固体相が輸送流体スラリー中での安定性に乏しい結果として、分離及び/又は分析が出来る条件は極めて制限される。移動固体相と輸送流体との特性の大きな相違によって起るもう1つの問題は、ある種の試料成分が移動固体相と極端に強く相互作用することである。そのような非常に強い相互作用の結果は、遅い相互作用運動(interaction kinetics)であり、非常に効率に乏しいクロマトグラフィーとなる。そのような相互作用の1例は、蛋白質と、他の、疎水性/イオン交換基を持つ生物性の又は合成された重合体との、多数の作用点での相互作用による相互作用である。
【0028】
本発明の1実施態様によれば、本発明で用いられる移動固体相は、少なくとも2つの異なる物質からなる粒子からなる。粒子の内側部分は心部と言う、一方粒子の外側部分は被覆部と言う。試料成分は、心部と被覆部の両方と相互作用することがある。該粒子は、界面活性剤及び乳化安定剤不存在下での方法で調製された粒子から調製され、これらの粒子は次いで改質されて表面に化学的機能性成分を産生し、該粒子は粒子表面に被覆を結合して粒子を形成するために用いられる。心部粒子上の化学機能性成分はまた、心部粒子を合成する過程で導入することが出来る。また、合成手順の最適化により、被覆された心部粒子を単一工程で得ることも可能である。粒子の粒子径は、粒子が輸送流体中で重力により沈降することのないようなものである必要がある。典型的な粒子径は、かくて、約1nmから約10マイクロメーターである。粒子が大きくなるほど、沈降の問題が大きくなる。好ましい粒子径は、最良の分離を得るためには約20nm未満、又は、検出直前における試料成分からの粒子の分離を簡単にするためには約20nm超である。
【0029】
1実施態様中では、全ての適用可能な機能性が、被覆を結合するために用いられる訳ではない。
【0030】
粒子状の被覆は、輸送流体中の粒子の安定したスラリーを促すに違いない。粒子の性質は、それらが輸送流体中で液中凝集、一般凝集及び沈降しないようなものであるべきである。
【0031】
かくて、1つの実施態様において、被覆は輸送流体のそれと近い化学的性質を持つ。
【0032】
もう1つの実施態様において、該被覆は、粒子間の反発力を促進する特性を持つ。被覆は、静電気的反発、立体効果、溶媒和効果又はそれらの混合効果により、輸送流体中の粒子のスラリーを安定化できる。
【0033】
静電気的反発は、イオン化し得る機能性成分又は一定の電荷を持つ機能性成分を含む被覆を形成することで達成できる。該粒子は、それにより、同一の電荷を持つ粒子間のコロンビックな(columbic)反発により液中凝集を妨げられるであろう。
【0034】
輸送流体スラリー中の粒子の安定化は、心部粒子の表面に接合する分子鎖又は重合体間の立体反発の利用によっても達成できる。立体反発は、2つの分子が互いに接近したときに起るエントロピー損失に起因する。エントロピーの損失は、互いに近くに位置する分子の動きが妨げられ、構造的な自由度が失われることに起因する。立体反発は、心部を鎖状分子、線状重合体又は枝分れ重合体で被覆することにより達成できる。2つの粒子の表面が互いに近づくと2つの表面にある鎖が互いに接近し、エントロピーが損失する。結果として、粒子は押され、離れる。
【0035】
輸送流体スラリー中の粒子は、周りにある輸送流体が粒子被覆のそれと非常に近い性質を持つことを意味する溶媒和効果により安定化され得る。これは、粒子表面と周囲の流体とがの化学的性質が全く無いか又は非常に小さいことを意味する。該流体はそれ自身と1つの粒子との間で区別(differenciate)がない。それで、粒子を周囲の輸送流体溶液から排除する推進力は無いであろうし、かくて、液中凝集も一般凝集も起らないであろう。これらの性質は、親水性、疎水性もしくは静電性のような他のパラメーター又はそれらの組合せに基づくことが出来る。
【0036】
輸送流体スラリー中の粒子の安定化は、また、混合形態の安定化に基づくことも出来る。混合形態の安定化は、静電気、立体又は溶媒和効果の任意の組合せを意味する。
【0037】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子は多孔性である。多孔性粒子はより大きな表面積を持ち、それにより、それらが使用される分離系はより大きな試料処理能力を持つであろう。また、多孔性粒子は、サイズ排除(size exclusion)分離にも使用できる。
【0038】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子は高度に架橋されている。高度に架橋された粒子は架橋度の低い粒子よりずっと機械的に安定である。これは、これらの粒子を取り扱う上で有利である。
【0039】
本発明のもう1つの実施態様において、粒子は低い程度の架橋を持つ。架橋度の低い粒子は、試料が低い架橋領域に拡散できるので試料成分に対し高い受容性を持つ。かくて、これら粒子の能力と物質移動は、より高度に架橋された粒子と比べて改良され得る。
【0040】
従って、本発明の系のもう1つの実施態様において、0, 5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50, 55, 60, 65, 70, 75, 80, 90, 95, 100モル%のような、0から100モル%のモノマーが、架橋するモノマーである。架橋度の違いは、この系の異なる応用にとって、又異なるモノマー及び架橋するモノマー及びそれらの異なる組合せにとって利点がある。
【0041】
本発明の系のもう1つの実施態様において、架橋するモノマーは、重合中に反応する2, 3, 4, 又は5個のビニル性基を持つ。架橋するモノマー上のビニル性基の数はそのモノマーからどれだけ多くの鎖が生えるかを決定する。このパラメーターは粒子の粒子径、形状及び形態に影響を与えることが出来る。
【0042】
本発明のもう1つの実施態様において、粒子は非多孔性である。非多孔性粒子は、大きな試料成分の分析に有利である。大きな分子の輸送流体から多孔性粒子内部への物質移動は非常に遅く、非常に低いクロマトグラフィー効率をもたらす。クロマトグラフィー効率は、そのような場合、このタイプの拡散を妨げる粒子、即ち非多孔性粒子を用いれば大きく改善される。
【0043】
もう1つの実施態様において、粒子は幾つかの試料成分については非多孔性であり、他の試料成分については多孔性である。これは、選別された大きさの試料成分のみが粒子中に拡散し、一方他の大きな試料成分は粒子内部への侵入を妨げられることを意味する。
【0044】
もう1つの実施態様において、本発明の粒子は幾つかの試料成分については非浸透性であり、他の試料成分については浸透性である。これは、選別された性質を持つ試料成分のみが粒子中に拡散出来、一方他の性質を持つ他の試料成分は粒子内部への侵入を妨げられることを意味する。
【0045】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子はカチオン性か、又はアニオン性かのどちらかである。カチオン性粒子は、カチオン性試料成分との吸着及びイオン性の相互作用が避けられればならない分離に使用出来るばかりでなく、アニオン類のアニオン交換分離にも使用できる。アニオン性粒子は、カチオン性試料成分の分離及びアニオン性試料成分との吸着及び相互作用が避けられねばならない分離に使用できる。
【0046】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子は電気的に中性である。中性粒子は、イオン性の相互作用が避けられねばならない分離に使用できる。
【0047】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子は両性イオン性、即ちカチオン性基とアニオン性基の両方を持つもの、である。これらの粒子は、カチオン及びアニオン交換分離の両方を利用する分離及び複合的な(complex)電荷を持つ資料成分の分離に使用できる。
【0048】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子は約1ナノメーター超で約20ナノメーター未満である。より小さい粒子は粒子内物質移動の改善に有利である。粒子が小さいほど物質移動はより効率的である。
【0049】
本発明の系のもう1つの実施態様において、前記のように、粒子は約20ナノメーター超で約10マイクロメーター未満である。より大きな粒子径の選択は生産上のパラメーター及び系への要求により動機付けられる。より大きな粒子は、流通孔、即ちそれを通して輸送流体が流れ、単に拡散するだけではない、粒子を貫く孔、を有するものを装備する。そのような粒子は、細胞、細胞小器官(organelles)のような大きな成分を分離せねばならない利用に使用できる。
【0050】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子の質量に対する電荷の比(m/z)は種々であり、例えば、少なくとも1種の分析試料の質量対電荷比(m/z)よりも大きい。
【0051】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子径はある分析試料又は目的とする分析試料に関して選択され、即ち、粒子は該分析試料又は試料類よりも実質的により大きくなければならない。
【0052】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子径は目的とする分析試料及び試料成分又は成分類に関して選択され、即ち、粒子は試料成分の十分な分離が得られるように十分小さいものであるべきである。
【0053】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子は表面被覆の性質としてポリクローナルである。ポリクローナル性は、粒子上にポリクローナルな表面性質をもたらす調製手順の結果であることが出来る。また、幾つかの系、例えばポリクローナル系を研究する又は模倣する系において、ポリクローナル性は有利である。
【0054】
本発明の系のもう1つの態様において、粒子は表面被覆の性質としてモノクローナルである。粒子表面のモノクローナル性は、殆んどの分離系のためにポリクローナル性より好まれる。それは、粒子に対し、試料成分の結合部位エネルギーがより狭く分布されることで、より狭い試料成分の帯が得られ(より高い効率)、かくて、よりよい分離が出来るからである。
【0055】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子は均質な表面被覆を持つ。均質な表面被覆は、系に保証が無い場合に、系の説明の容易さ及びポリクローナル性となる危険を減じるために、この系において有利である。均質な表面は、機能性成分がランダムに分布され、且つ機能性成分の少なくとも1つが、試料成分、輸送流体及び/又は他の粒子との相互作用に関して支配的である限りにおいて、1つより多くの機能性成分から成ることがある。
【0056】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子は不均質な表面被覆を持つ。不均質な表面被覆は、輸送流体懸濁液中の粒子を安定化する多くの異なる方法ばかりでなく、試料成分との相互作用の多くの異なるタイプをも許容する。かくて、粒子は、例えば異なる分離タイプ及び異なる試料及び試料成分範囲のような非常に広い範囲の分離に適用することが出来よう。また、輸送流体の組成及びタイプは、相互作用のタイプ及び強さが大きく変化し得るので、非常に大きく変化し得る。不均質な表面被覆は、ランダムにもしくはそうでなく分布し得る幾つかの異なる化学的機能性成分を持つことがある。1種より多いこれらの機能性成分が試料成分、輸送流体又は他の粒子と相互作用することがある。
【0057】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子被覆は部分的に均質であるが、被覆の異なる部分は異なることがある。該部分は、ランダムに該表面部を覆って広がることが出来る1種又は数種の機能性成分を含む。異なる部分は、試料成分、輸送流体又は他の粒子と異なる相互作用をすることがある。
【0058】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子は単分散である。単分散粒子は、均質な系を作るのに有利である。粒子に進入する試料成分の拡散、又は流路長さ(flow path length)は、試料成分が出会うであろう粒子とは独立に、同一である。多分散性の結果は物質移動制限の分布となり、分離効率の低下(より広い試料成分の帯)を来す。従って、単分散粒子は高い分離効率をもたらすことがある。
【0059】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子は多分散である。多分散粒子は製造法の結果であることが出来よう。分析試料との相互作用等のような粒子の他の性質は、分離系におけるそれらの使用を更に動機付けることが出来るであろう。
【0060】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子の混合物が使用される。かくて、異なる心部、異なる被覆部、異なる粒子径、異なる多孔度等を持つ粒子の混合物は、1つの分析において幾つかの異なるタイプの分離を行う系を創作するのに使用できる。
【0061】
粒子の心部は、幾つかの試料成分に対し不活性であることが出来るであろうし、それはその他の成分と相互作用することが出来よう。
心部の性質は、検出の前の、試料成分からの粒子の最終的な分離にとって重要であることがある。
【0062】
本発明の系の1実施態様において、粒子の心部は、沈殿重合により合成される。沈殿重合は、界面活性剤不存在のプロセスで心部粒子をもたらす。界面活性剤は、製品からそれらを除去するのが困難なので、製造時に避ける必要がある。また、粒子中に残留する少量の界面活性剤は、電子吹きつけ時のイオン化の減少により、検出系における試料成分のシグナル強度を極度に減少させることが出来るであろう。
【0063】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子の心部は、界面活性剤又は乳化安定剤不存在下の乳化重合により合成される。そのようなプロセスでは、ラジカル開始剤と分散性相にあるモノマーとの反応により安定化する分子が形成される。別の方法では、安定化する分子を直接その系に添加することが出来る。これらの安定化する分子は次いで製造された粒子中に取り込む、即ち共有的に結合させる。かくて、如何なる遊離の安定化界面活性分子をも含まない粒子が製造できる。
【0064】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子の心部は黒鉛又は酸化チタンで作られる。
【0065】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子の心部はアルミナ(酸化アルミニウム)で作られる。アルカリ性流体中で、アルミナはシリカよりも大きく改善された安定性を持つ。
【0066】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子の心部はアガロースで作られる。架橋アガロースはしばしば伝統的なアフィニティークロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーで用いられる。
【0067】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子の心部は、少なくとも1種の試料成分と相互作用する。心部の性質は、それが異なる分析成分と最適に又は最適でなく相互作用することが許容される性質をそれに与えるように設計されることが出来る。
【0068】
本発明の系のもう1つの実施態様において、心部の大きさは、検出の前での試料成分からの粒子の分離を改善するように、検出される試料成分とは実質的に異なる、例えばより大きい、ように選択される。
【0069】
本発明の系のもう1つの実施態様において、心部の質量対電荷比は、検出の前での試料成分からの粒子の分離を改善するように、検出される試料成分とは実質的に異なる、例えばより大きい、ように選択される。
【0070】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子の心部は、全ての試料成分とは相互作用しない。幾つかの分離系では、心部は幾つかの試料成分と相互作用するが、全ての成分とは作用しない。かくて、幾つかの試料成分は互いには分離されないが全ての相互作用する試料成分からは分離されるであろう。この形式は試料を一掃する方法として有用であることが出来る。
【0071】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子心部の表面は、モノマー、ラジカル開始剤又は粒子心部の合成中もしくはその後に使用される分子、に由来する、燐酸基(phosphate groups)、ホスホン酸、エポキシド、アルデヒド、カルボン酸、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アミン、エステル及び/又は水酸基、を含む。また、モノマー、又はラジカル開始剤は、粒子心部の表面に、他の官能基をもたらすための試薬と反応し得る官能基を付与することが出来る。このプロセスは、幾つかの異なる機能性成分に関して幾つかの工程で行うことが出来る。これらの異なる表面基は、被覆を粒子心部二結合するため、輸送流体中の粒子を安定化するため、粒子心部又は表面被覆の製造を促進するため、又は試料成分との相互作用をもたらすため、に用いることが出来る。
【0072】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子心部は、1種又は数種の次のモノマーから合成される疎水性重合体からなる、メタクリレート、ビニルピリジン、アクリレート、スチレン類、ジビニルベンゼン、又はシラン。粒子の疎水性心部は、分離が、試料成分と試料成分の疎水性度に依存する、試料成分と粒子との相互作用に基づく逆相分離である場合に有用である。粒子心部中の重合体のタイプの変化は、異なる特性、例えば大きさ、多孔性度、形態、試料成分との相互作用、を持った粒子をもたらす。
【0073】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子心部は、1種又は数種の次のモノマーから合成される親水性重合体からなる、メタクリレート、ビニルピリジン、アクリレート、スチレン類、ジビニルベンゼン又はシラン。親水性心部は、試料成分の分離を、例えばそれらの親水性度、例えば僅かに極性の機能性成分を持つ疎水性物質等、に依存して行う場合に有用である。
【0074】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子心部は、非対掌性又は対掌性である。対掌性心部は、対掌性試料成分を分離すべき場合に有用である。非対掌性試料成分の分離のような他のタイプの分離には、対掌性心部は必要ないであろう。
【0075】
本発明の系のもう1つの実施態様において、対掌性心部は、対掌性試料成分と相互作用できる。これらの相互作用は対掌分離の基礎である。
【0076】
本発明の系のもう1つの実施態様において、対掌性心部は、非対掌性試料成分と相互作用できる。これらの相互作用は試料成分特異的又は基特異的であり、広い範囲の選択性を持つ分離をもたらす。
【0077】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子の対掌性心部は、対掌性モノマーから作られる。対掌性モノマーからの粒子心部の製造は、1工程のプロセスで粒子の対掌性心部をもたらし、製造の観点から有利である。更に、そのような合成の反応収率は、多工程反応より高そうである。
【0078】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子の対掌性心部は、非対掌性モノマーから作られる。粒子心部の調製時に対掌性の分子又は溶媒を用いることにより、粒子の対掌性心部は、対掌性モノマーを必要とせずに製造できる。これは、適当な対掌性モノマーが見出されない系の場合に有利である。
【0079】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子の心部は、対掌性試薬との反応により対掌性年得る。対掌性試薬は、アニオン性、カチオン性、中性、両性イオン性、又は荷電した分子もしくは重合体であることが出来よう。それは、蛋白質、大環状抗生物質、シクロデキストリン、クラウンエーテル、アミノ酸、合成分子、ポリクラウンエーテル、ポリペプチド、及び/又はポリシクロデキストリンであることが出来よう。
【0080】
粒子の被覆は、輸送流体懸濁物中での粒子の安定化のため重要である。該被覆は試料成分に対し不活性か又は相互作用するものであることが出来る。それはまた、幾つかのタイプの分子又は試料成分の粒子心部への出入りを制限することが出来るであろう。
【0081】
本発明の系のもう1つの実施態様において、該被覆は少なくとも1種の試料成分と相互作用する。該被覆は、試料成分と相互作用して分離をもたらし、又は試料成分と相互作用してそれらが粒子心部に進入するのを妨げることが出来よう。被覆との相互作用は、粒子心部への及び心部からの拡散が非常に徐々であろう大きな分子を分離する場合有利であろう。
【0082】
本発明の系のもう1つの実施態様において、該被覆は試料成分と相互作用しない。該被覆は、輸送流体懸濁物中の粒子を安定化するだけの目的で合成することが出来る。そのような被覆の合成は、それが唯一の役割、即ち粒子懸濁物を安定化すること、を持つように単純化される。
【0083】
本発明の系のもう1つの実施態様において、被覆する重合体は、酸クロライドを介した反応、カルボジイミドを介した反応、EDAC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)を介した反応、エステル交換反応、アルデヒド基を介した反応、還元アミノ化、活性化されたアミンへの共有カップリング、活性化されたカルボン酸基への共有カップリング、等を用いて粒子心部の表面に共有結合される。固定化される被覆のタイプに依存して異なる固定化計画が用いられ得る。
【0084】
本発明の系のもう1つの実施態様において、被覆する重合体は、重合を開始するのに用いられたラジカル開始剤に起因する粒子表面上の官能基に共有的に結合される。
【0085】
本発明の系のもう1つの実施態様において、被覆する重合体は、モノマーに起因する粒子表面上の官能基に共有的に結合される。
【0086】
本発明の系のもう1つの実施態様において、該被覆は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、のような親水性重合体からなる。粒子の疎水性心部に結合した親水性重合体は、それらが極性輸送媒体懸濁液中の粒子を安定化できるので、逆相利用に有用である。
【0087】
本発明の系のもう1つの実施態様において、該被覆は、心部粒子上に固定化される小さな分子からなる。小さな分子は、10g/mol〜10000g/molの範囲の分子量を持つことが出来るであろう。該小さな分子は、1種又は数種の次の機能性成分を持つことが出来るであろう、エステル、エーテル、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アミン、エポキシド、硫酸塩、スルホン酸、カルボン酸、水酸基、燐酸基、ホスホン酸、アミド。該小さな分子はまた、炭化水素又はフッ素化炭化水素であり得るであろう。小さな極性分子は、高い表面被覆率をもたらす高い回収率で固定化されることにより、例えば粒子の疎水性心部を安定化出来るであろう。また、スルホン酸等のように互いに強く反撥し合う小さな分子は、低い被覆率で用いることが出来るであろう。また、小さな疎水性分子は、疎水性媒体中の粒子の疎水性心部を安定化するのに用いることが出来るであろう。
【0088】
本発明の系のもう1つの実施態様において、被覆する重合体は、線状、枝分かれ状、交互共重合体、ブロック共重合体であり、1種又は数種の次の官能基を含む、エーテル、エステル、燐酸基、ホスホン酸、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アミン、エポキシド、カルボン酸、スルホン酸及び水酸基。
【0089】
本発明の系のもう1つの実施態様において、該被覆は、1種又は数種の次の巨大分子からなる、蛋白質、DNA、RNA、セルロース、デンプン、再生セルロース、改質デンプン、改質セルロース。これらの天然の重合体及び分子の幾つかは生物学的試料と相溶性である。
【0090】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子の表面被覆は、対掌性又は非対掌性である。対掌性被覆は、輸送流体と粒子の性質が大きく相異する必要がない場合の対掌性分子の分離に有用である。対掌性試料成分を含む分離のために、対掌性被覆は選択された相互作用(を持つ)基又は物質を導入することが出来る。
【0091】
本発明の系のもう1つの実施態様において、粒子の被覆は、粒子被覆と、アニオン性、カチオン性、中性、両性イオン性又は荷電されたものであり得る対掌性分子又は対掌性重合体との反応により対掌性とし得る。また、被覆自体が対掌性であり得る。使用できる対掌性の分子又は重合体は、蛋白質、大環状抗生物質、シクロデキストリン、クラウンエーテル、アミノ酸、合成分子、ポリクラウンエーテル、ポリペプチド、及び/又はポリシクロデキストリンである。
【0092】
電解質懸濁液中の粒子の安定化は、種々の機構により支配され得る。輸送流体中の粒子スラリーの安定性を促進する粒子性質は、被覆及び所望により粒子心部に関係する。
【0093】
本発明の系のもう1つの実施態様において、輸送流体スラリー中の粒子の安定性は、粒子間の静電気的相互反撥に支配される。静電気的相互反撥は、被覆上、及び所望により粒子心部の表面上又もしくは粒子心部中における、1種又は数種の次の基、スルホン酸、燐酸基、ホスホン酸、カルボン酸、に由来するアニオン性基の存在、又は、被覆上における、1種又は数種の次の基、1級アミン、2級アミン、3級アミン、及び/又は4級アミン、に由来するカチオン性基の存在により展開(evolve)することが出来る。
【0094】
本発明の系におけるもう1つの実施態様において、輸送流体スラリー中の粒子の安定性は、粒子間の立体的相互反撥により支配される。粒子間の立体的相互反撥は、心部粒子表面上の、被覆としての重合体鎖の存在によって展開することが出来る。これらの重合体鎖は、アニオン性、カチオン性、中性、荷電されたもしくは非荷電の、ものであり得る。イオン性の被覆は、被覆と同じ電荷を持つ試料成分が粒子心部に進入するのを排除するのに有用であろう。この排除機構は、集積した試料を一掃する工程として有用であろう。
【0095】
本発明の系のもう1つの実施態様において、輸送流体中の粒子スラリーの安定性は、粒子表面被覆と輸送流体との間の極性の類似性又は粒子の小さな粒子径によることが出来る、輸送流体中の粒子の溶解性によって支配される。この被覆は、心部が試料中の全ての試料成分とアクセス可能でなければならない分離において非常に有用である。該試料成分は、その場合、輸送流体と被覆の間で区別することができず、かくて、粒子心部への物質移動の制限は殆んど無いであろう。
【0096】
本発明の実施態様の1つは、荷電疎水性心部と中性親水性表面を持つ粒子の、イオン-イオン相互作用クロマトグラフ性(イオン交換クロマトグラフィー)及び/又は疎水性効果(逆相又は疎水性相互作用クロマトグラフィー)に基づく試料成分の分離への使用である。先ず、該粒子は、それらが輸送流体とは異なる移動性を持つために、電荷を持つべきである(これは、中性試料成分の分離のために重要である)。荷電試料成分は粒子心部上の電荷と相互作用し、この相互作用の強さに依存して分離される。心部上の電荷と反対の電荷を持つ試料成分のみが、粒子と実際に相互作用できる。心部と同じ電荷を持つ試料成分は粒子から反撥を受ける。正と負の両方の電荷を持つ試料成分も又心部と相互作用できる。このことに加えて、試料成分と粒子との間の相互作用はまた、試料成分と粒子の心部又は被覆部との間の疎水性効果(疎水性相互作用ともいう)によっても支配されることがあるであろう。それ故、試料成分の分離は、イオン-イオン相互作用又は疎水性相互作用、又はそれらの組合せ(混合様式保持(mixed mode retention))から生じることが出来る。イオン交換及び/又は疎水性効果に基づく分離は全ての分離の大部分であり、それ故そのような粒子は殆どの分離状況において有用である。
【0097】
本発明のもう1つの実施態様は、中性疎水性心部と荷電親水性表面とを持つ粒子の使用である。直ぐ上に記した実施態様と同様の説明によって、そのような固定移動相はまた、試料成分と粒子との間のイオン性相互作用及び/又は疎水性相互作用によって試料成分を分離出来よう。
【0098】
本発明の実施態様の1つは、対掌性重合体中で作られた心部を持つ粒子、又は対掌性被覆部を持つ粒子、を使用することによる、異なる対掌性を持つ試料成分、例えば鏡像異性体、の分離である。例えば、ヒトの体は対掌性の基礎的要素(分子)で出来ている、従って、ヒトの体は分子の2つの鏡像形に対し異なった反応をする。これは、分子の片方の鏡像形は体の中で薬として機能し、一方もう片方の鏡像形は体に対し毒性であることがあるので、製薬の産業と研究にとって極めて重要である。対掌体の分離は、従って、製薬産業の研究所においてのみならず、生産ラインにおいても極度に重要である。
【0099】
本発明のもう1つの実施態様は、複雑な母材を持つ試料(例えば、しかしこれらに限定はされない、血液、血漿、尿、沈降物又は生体組織試料)、からの試料成分の分離及び分析である。分離管への新しい粒子の連続的な再充填は、固定相又は擬似固定相の汚染が次の分離に影響しないことを保証するであろう。
【0100】
本発明のもう1つの実施態様は、他の試料分子よりも試料母材分子との相互作用が大きい表面又は心部を持つ粒子を使用する、複雑な母材を持つ試料からの試料成分の分離又は分析である。それにより、母材分子は分離の早期に移動固定相によって保持され、かくて、分析の間の他の試料分子との干渉が除去され且つ妨げられる。この実施態様は、現在の分析化学の重要部分である、試料一掃のための技術の使用に関係する。
【0101】
本発明のもう1つの実施態様において、該粒子は角度付き電子吹付けイオン化接合部により、質量分析器への侵入を妨げられる。該角度は、1度から359度まで変化され得る。
【0102】
本発明のもう1つの実施態様において、該粒子は、分離系と質量分析器との間に直交電子吹付け接合部を用いることにより、質量分析器への進入を排除される。
【0103】
本発明のもう1つの実施態様において、該粒子は、透析を用いることにより、検出器又は質量分析器への進入を排除される。
【0104】
本発明の1つの実施態様において、該粒子は、分離系と質量分析器との間に高電界不整波形イオン移動分光計(FAIMS)接合部を用いることにより、質量分析器への進入を排除される。
【0105】
クロマトグラフィー分離中の動く移動相としての粒子の使用は、検出の目的物である分析試料を粒子から分離する必要性を来す。質量分析による検出にとって、粒子の質量分析器への進入を防ごうとすることは、粒子は汚染とノイズの増加の原因となるので、非常に重要である。我々の実施態様の1つは、角度付き電子吹付け質量分析(ESI-MS)、例えば直交ESI-MSである。分離系と質量分析器とのそのような接合部において、粒子は、しばしば液体の鞘状流れ(sheath flow)及び霧化する(nebulizing)気体の助けにより、試料成分とは異なる方向の分離系外へ電子吹付けされる(試料成分は質量分析器の入口の方に向けられる)。従って、連続的全充填技術にとって、粒子と分析試料とは、分析試料又は試料類が粒子から分離されるように粒子と分析試料の性質が相異することが必要である。この議論において興味がある、分離系を離れる種に働く力は、(i)霧化する気体からの力及び(ii)分離系出口と質量分析器入口との間の電圧の差によって生み出される、電荷を持つ種の上の電気的な力、である。大きな種はより小さな種よりも霧化する気体の流れによって影響される程度が高く、そして、より重い種は、軽い種のようには電界によって影響を受けない(軽い種と比べ、重い種を加速するにはより大きな力が要る)。更に、種の荷う全電荷が大きいほど、その種は電解の影響をより大きく受ける。従って、少ない全電荷を持つ大きくて重い種は、高い数の全電荷を持つ小さくて軽い種のようには、質量分析器の入口の方に移動し難い。換言すれば、種がどのように影響を受けるかを決めるのは質量対電荷(m/z)比である。これは、粒子から分析試料を分離する上で重要である。移動固体相を用いる分離の成功のためには、分析されるべき分析試料は粒子よりも小さいm/zを持つべきであろう。粒子の大きさを予測するか又は決定する(例えば走査電子顕微鏡により)かし、次いでそれらの密度を用いて粒子の質量を計算することは可能である。分析試料の質量は、例えば分子式から、又は質量分析的な検討により決定できる。電荷は、電子吹付けイオン化工程だけでなく、その種の持つ化学基の両方に依存する。例えば、鞘状流れ及び輸送流体のpHは、質量分析器パラメーターの設定値ばかりでなく、その種の上の電荷の数にも大きな影響を与える。更に、操作員の管理しない成り行き任せのプロセスはその種の上の電荷に影響を与える。更に、圧力及び容積流量のような霧化する気体のパラメーターは、粒子からの試料成分の分離に非常に大きな影響を持つ。これは、そのような分離系の使用者がその系を調整する大きな可能性を持つことを意味する。殆どの分析のため、粒子は試料中の分析試料のそれよりもかけ離れて大きな大きさとm/zを持つであろうし、かくて、それらの分離において非常に大きな解決が得られる。しかし、非常に小さな粒子が非常に大きな試料分子と共に使用される場合、注意が払われるべきである。これらの議論を用いて、移動固体相として用いられる粒子は次のように定義することが出来る:粒子のm/zは、角度付きESI-MS接点の分離機構により解決されるように、質量分析器により検出されるべき試料成分のm/zと異なる(より大きい)べきである。
【実施例】
【0106】
実施例1
MilliQ water(MQ)が、MilliQ システム, Millipore, MA, USAにより精製された。アセトン、酢酸アンモニウム、蟻酸アンモニウム及び酢酸はMerck, Darmstadt, Germanyから入手した。過硫酸ナトリウム、スチレン及びDVBは、Polymer Chemistry, Lund Universityから受領した。フタル酸ジメチル及びフタル酸ジエチルは、SigmaAldrich, St. Louise, MO, USAから入手した。フタル酸ジプロピル及び炭酸アンモニウムは、Aldrich, Gillingham, UKから入手した。アセトニトリルは、Merck, Hohenbrunn, Germanyから、ラウリルメタクリレート(LMA)はFluka, Buchs, Germanyから、窒素ガスはAGA, Sundbyberg, Swedenから、そして蟻酸はRiedel-de Haeen, Seelze, Switzerlandから入手した。
【0107】
ラジカル開始剤(過硫酸ナトリウム)(15 mg及び6 mg)が、丸底フラスコ中で水に溶解された(A 9.6 ml及びB 5.9 ml)。モノマー(DVB(A 16.7 μl 及びB 6.7 μl)、LMA(A 250 μl及びB 100μl)、及びスチレン(A 0μl及びB 100μl))及び補助溶剤(アセトン(A 0 μl又はB 3.9ml))が添加され、溶液は1分間超音波処理され、5分間窒素ガスを流して脱ガスされた。フラスコはその後リービッヒ冷却器に接続され、重合は60℃(A)又は90℃(B)で、窒素雰囲気での撹拌下、4時間行われた。得られた粒子懸濁液は、8-12.000 Daのカット・オフ(cut-off)を持つ再生セルロース膜(Spectrum Europe B.V., Breda, The Netherlands)を用い、脱イオン水の連続的な流れに対して72時間透析を行うことにより、残留した開始剤、モノマー及び少量のオリゴマーから精製された。精製された粒子懸濁液は、使用するまで、密閉した試験管中に8℃で貯蔵された。粒子の特性決定は、透過型電子顕微鏡(TEM)(JEOL 3000F 電界放射透過型電子顕微鏡、JEOL, Tokyo, Japan)、又はAxioCam MR.5 コンピュータ制御カメラを備えたCarl Zeiss Axio Imager Mlm(carl Zeiss AG, Goettingen, Germany)を用いる光学顕微鏡法を用いて行われた。
【0108】
毛細管通電クロマトグラフィー
CFF-CEC 実験は、データ処理のためのChem Station software(V.B01.03)を持つHP3DCE system(Agilent Technologies, Waldbronn, Germany)により行われた。Polymicro Technologies(Phoenix, AZ, USA)から入手した溶融シリカ毛細管(87 cm, 内径50 μm , 外径 375 μm)が全ての実験に用いられた。電解液は、50 mmol/L 炭酸アンモニウムpH 8.2と、0%超40%未満(容量/容量)のアセトニトリルから調製された。CFF-CEC実験における電解液懸濁液中の粒子は、50 mmol/L炭酸アンモニウムpH 8.2及び0から40%(容量/容量)アセトニトリル中で3.8 mg/mlの粒子濃度を持っていた。分離は室温で、20 KV(230 V/cm)で行われた。その日の最初の分析の前に、全ての溶液と粒子懸濁液は、約10分間の超音波処理によって脱ガスされた。各々の分析の前に、毛細管は、0.1 mol/L 水酸化アンモニウム(1バールで1分)、水(1バールで1分)、及び電解液(1バールで2分)で濯がれた。最後に、毛細管は粒子懸濁液で充填され調整された(1バールで2分)。
【0109】
メタノール中での、フタル酸ジメチル(24.2 g/L; 0.125 mol/L)、フタル酸ジエチル(21.89 g/L; 0.098 mol/L)、フタル酸ジプロピル(20.6 g/L; 0.0825 mol/L)、及びDMSO(66 g/L; 0.85 mol/L)の原試料溶液が調製された。この原試料溶液は水で希釈され(1:1000 容量/容量)、125 μmol/Lフタル酸ジメチル、98 μmol/Lフタル酸ジエチル、82.5 μmol/Lフタル酸ジプロピル、及び850 μmol/L DMSOの試料溶液とされた。試料は、50ミリバールで、5秒間で流体力学的に注入された。メタノール中での、サルブタモール(salbutamol)、ジフェンヒドラミン(diphenhydramine)、及びイミダゾール、各々1 mg/mlの原試料溶液が調製された。分析の前に、この原試料溶液は、電解液により、所望の濃度に希釈された。
【0110】
質量分析
検出は、陽イオン化モードで操作される直交ESI接合部を備えたAgilent Technologies LC/MSD イオントラップ trap SL質量分析器により行われた。電子吹付け電圧は4KVであった(毛細管の出口は地表電位近傍に保持された)。水中0.5%(容量/容量)の蟻酸とメタノール(1/1 容量/容量)からなる鞘状液体は、Agilent Technologies series 1100 4つ口(quaternary) ポンプにより0.120 ml/minで送液され、固定分割器により1:20に分割された。該CE計器は、Agilent Technologies 三重管同軸霧吹き器を用いたESI接合部に結合された。
【0111】
結果と議論
石鹸不存在下の乳化重合は、伝統的な乳化重合の1変形である。乳化液の安定化は親水性開始剤、イオン性開始剤、親水性の共重合モノマー又はイオン性の共重合モノマーの共存により支配される。この検討においては、イオン性で且つ水溶性である開始剤過硫酸ナトリウムが疎水性のモノマーであるスチレン及びLMAと共に用いられた。これらの成分が水と混合されると、1つの開始剤に富んだ水性相と1つのモノマー相を持つ2相系が産生される。水性相中での開始剤とモノマーとの反応は、小さな界面活性ラジカルオリゴマーを産生する。撹拌が、効果的に該界面活性オリゴマーラジカルを捕捉する微小モノマー液滴を産生するために用いられる。かくて、産生されたオリゴマーラジカルは水性及びモノマー相の界面に蓄積され、系を乳化する。
【0112】
得られる粒子懸濁液は、検出のみならず分離にも悪影響を与える可能性を持つ、未反応の又は分解したラジカル開始剤及びモノマー、及び無機カチオン(例えばラジカル開始剤からのNa+)のような汚染物質を含む。高分子量のカット・オフ膜を用いた、脱イオン水の連続流れに対する透析が精製のために用いられた。
【0113】
第1の粒子(A)は、910 nm(相対標準偏差(RSD)19%、n=89)の平均粒子径を持っていた。粒子(B)は、より低い全モノマー濃度、より高い重合温度でアセトンを補助溶媒として調製されたもので、157 nm(SSD 22%, n=60)の平均粒子径を持っていた。粒子(A及びB)は、スチレン及びLMAからなる疎水性心部を持ち、且つ、強いカチオン-交換硫酸基を含む親水性表面を持っていた。
【0114】
電解液中のアセトニトリルの比率は0%超40%未満(容量/容量)で変化させ、そして、図1に説明されているように、保持係数(retention factor)(k')、分離度(Rs)及び効率(N)へのアセトニトリル濃度の効果が検討された。線の傾斜は分析試料のlog P値と同じ順序に従っており、フタル酸ジプロピルが最も高く、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルがそれに従っている。
【0115】
図1からはまた、分離度がアセトニトリル濃度の減少と共に指数的に増加することが明らかであり、RP分離のために期待される。フタル酸エステル類のRP-CFF-CEC分離は、図2に示される。
【0116】
この検討に用いられた粒子は、高い負の移動性を持ち、ブロードな移行時間窓(window)(保持されない(unretained)EOFマーカーの溶離と、粒子の溶離との間の時間)をもたらす。高い分離効率とブロードな移行時間窓のため、この技術のためのピーク容量は100ピークよりも多くを分離する能力があり極めて優れている。
【0117】
分析試料シグナルとベースラインノイズへの粒子の影響は簡単に検討された。粒子濃度が倍になっても(3.6から7.2 mg/mlへ)、ベースラインノイズも分析試料シグナルも著しい影響は受けなかった。この結果は、直交電子吹付け接合部における分析試料からの粒子の効果的な分離に帰せられる。
【0118】
該粒子は、強いイオン交換収着剤としての使用に興味をそそらせる、強いカチオン交換表面を持つ。3つのモデル化合物、非持続性(short-acting)β2-アドレナリン受容体アゴニストであるサルブタモール、抗ヒスタミン薬であるジフェンヒドラミン、及び芳香族イミダゾール、が、IE-CFF-CEC中での粒子の使用を検討するのに用いられた。分析試料の塩基性度は、サルブタモールについて最も高く(pKa = 9.22±0.47)、ジフェンヒドラミン(pKa = 8.76±0.28)、及びイミダゾール(pKa = 7.18±0.61)が続く。分析試料の疎水性度は、ジフェンヒドラミン(logP = 3.662±0.369)、サルブタモール(logP = 0.015±0.301)、及びイミダゾール(logP = −0.161±0.241)の順である。これらの値は、Advanced Chemistry Development Software V8.14 (ACDLabs, Toronto, Canada)を用いて計算された。
【0119】
最初の検討から、ジフェンヒドラミンが最も強く保持され、サルブタモール及びイミダゾールが続くことが分った。保持は、かくて、分析試料の疎水性度に従った。
【0120】
アミン類のCE分離及びCFF-CEC分離は、図3に示される。CFF-CECは、CEと比べて溶離順を変化させたことが明らかである。ジフェンヒドラミンは最も強く保持され、そのため検出されなかった。図3からはまた、ベースラインノイズも分析試料シグナルも粒子の存在によって著しい影響を受けないことが明らかである。保持への疎水性度の影響を検討するため、一連の分離が、粒子懸濁液中のアセトニトリルの濃度を変えて行われた。サルブタモール及びイミダゾールの保持はアセトニトリル濃度によって著しく変化しないことが分かった。しかし、アセトニトリル濃度40%では、ジフェンヒドラミンは、強く保持されるにもかかわらず検出された。CFF-CECによる分離は、おそらく、イオン-イオン相互作用と疎水性効果の両方の寄与による混合モード保持機構によるものである。
【0121】
k'は、電解液のpHによって著しく変化しないことも分った。pHの関数としてのk'について回帰線の傾斜は、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル及びフタル酸ジプロピルについて、夫々−0.0005、0.0002、及び0.0027である。種々のpHにおけるk'についての相対標準偏差(RSDs)は、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル及びフタル酸ジプロピルについて、夫々8.5%、2.8%及び5.3%であった。これらの結果は、検討範囲においては、pHに依存せずに極めて優れたRP保持と懸濁安定性が得られることを示す。懸濁液が安定な広いpH範囲は、分析試料のpKa-値が高い場合も低い場合もこの技術をRP分離に適用可能とする。
【0122】
粒子懸濁液の安定性を更に試験するため、分離は、9時間に亘って、1時間単位で行われた。懸濁液は新規に調製され、分離開始時に超音波処理された。この期間中、k'に著しい変化は見られなかった(図4)。k'についてのRSDsは、7.4%(フタル酸ジメチル)、6.0%(フタル酸ジエチル)、及び7.0%(フタル酸ジプロピル)であった。期間は通常の就業日の間にCFF-CECの使用を評価するように選ばれた。
【0123】
3バッチの同一の粒子(A)が調製された。バッチ間には著しい偏差は見られなかった(信頼区間95%)。3バッチ間のk'についてのRSD(n=3)は、検討されたフタル酸エステル類について、3%超、11%未満の間で変化し、それは、6.0%超、7.4%未満の間で変化した反復精度よりもほんの僅かに高い。商業的なRP-HPLC分離管についての再現精度は、典型的にはより低く、2-4%程度である。
【0124】
試料負荷容量を検討するため、10 μmol/L超、1 mmol/L未満の間で変化させた6つの異なる濃度の分析試料が注入され、得られたピーク非対称因子(asymmetry factor)が、10%のピーク高さにおいて、フタル酸ジメチル及びフタル酸ジエチルについて計算された。フタル酸ジメチル及びフタル酸ジエチルについての非対称因子は、0.5 mmol/L迄でも理想値である1の近傍であり、試料濃度が1 mmol/L(注入濃度の最高値)に達しても非対称因子は1.5近傍であって、定量化目的にまだ適用可能であることが分かった。図5は、10 μmol/L及び1 mmol/Lの試料濃度(濃度の1000%増加)についての通電クロマトグラムを説明する。これらの結果は、このCFF-CEC技術が非常に広い濃度範囲での定量目的のため効果的に使用できることを示す。最も低い検討試料濃度(10 μモル)において得られたデータから、LODsが計算され、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル及びフタル酸ジプロピルについて、夫々凡そ0.7、1.1及び0.9 μモルであった。見積もりとして、5 nlの試料が内径50 μmの毛細管に注入され、凡そ3、5及び4 fモルの注入量のLODをもたらした。LODは、シグナル対ノイズ比(S/Ns) 2で計算された。検討された最低の濃度において、フタル酸ジメチルについて、メーター当り110万を越える理論プレート(plates)を持つ、極めて優れた分離効率が得られた。
【0125】
粒子を基材とするCFF-CEC-ESI-MSを用いることにより、非常に効率的な逆相及び混合モード(逆相及びイオン交換)分離を行うことが出来ると結論される。該分離は、反復して及び再現的に実施でき、試料の負荷範囲が広い。直交電子吹付け接合部の使用は、異動固体相と共溶離する分析試料の検出を可能にする。
【0126】
実施例2
PEG-900 エステル交換粒子
メタクリル酸(MMA) 0.109 モル、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM) 0.109 モル、AIBN 8 mg及びアセトニトリル4mlがネジ蓋付き硼珪酸ガラス試験管に添加された、10分間の超音波処理で脱ガスされ、−26℃の冷凍器に入れられそこで重合が350 nmの紫外線照射により4時間開始された。使用された化学物質の由来は前の実施例と同じであった。その後、粒子は3000 rpmで10分間の遠心分離により抽出され、次いで、メタノール:酢酸(9:1, 容量/容量)により2回及びメタノールにより1回の、超音波槽を用いた一回につき20分間の再懸濁を行った。
【0127】
メタノール中でのCH3ONa(0.5モル、1ml)溶液に、PEG 900 Aldrich(Gilligham, UK)(1ml, 2.5mmol)が添加され、次いで減圧下45℃での濃縮によりアルカリ化PEGとした。粒子(5.6mg)がCH2Cl2中に懸濁され、アルカリ化PEGの溶液(150μl, 0.5モル アルカリ化PEG 900)が撹拌下室温で添加された。反応は1晩進行させ、粒子は3000rpmで10分間の遠心分離により抽出され、メタノール:酢酸(9:1、容量/容量)で2回及びメタノールで1回再懸濁(10分間超音波処理)された。該粒子は使用するまで室温で貯蔵した。分析の前に、PEG化された(PEGylated)粒子は電解液で1回洗浄された。
【0128】
毛細管通電クロマトグラフィー(CEC)
CEC実験は、HP3DCEシステム(Agilent Technologies, Waldbronn, Germany)により行われ、そしてChem Stationソフトウエアが、データ処理に用いられた。Porymicro Technologies(Phoenix, AZ)から入手した溶融シリカ毛細管(長さ 70cm, 内径50μm, 及び外径375μm)が、全ての実験に使用された。試料溶液は、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル及びフタル酸ジブチルを電解液に溶解して濃度を0.10 mg/Lとし、そして5-ヒドロキシドーパミン、エピネフリン、メタプロテレノール、ターブタリンを水に溶解して濃度を夫々50 μg/mL、30 μg/mL、10 μg/mL、及び4 μg/mLとして調製された。試料は、流体力学的に毛細管中に注入され(5秒(s), 50ミリバール)、分離電圧は20 kV(286 V/cm)であった。全ての分離は室温で行われた。分析の前に、全ての溶液と粒子懸濁液は超音波処理により脱ガスされ、毛細管は0.1 モル/LのNaOH(5分、1バール)、水(5分、1バール)及び電解液(5分、1バール)で洗浄された。
【0129】
電解液は、10 ミリモル 酢酸アンモニウム緩衝液 pH 5.4及び20%超、40%未満で濃度を変えたアセトニトリルから成った。粒子(0.5mg/mL)は電解液中に懸濁されて安定なスラリーとなった。実験の構成に当たって、2つの異なる取組み方、即ち、部分充填技術及び連続全充填技術が用いられた。部分充填技術を用いる場合、粒子スラリーは、試料に先立ち、50ミリバールの圧力で流体力学的に毛細管中に導入される。毛細管を充填するのに必要な時間は10分間と決められ、従って部分充填実験に使用される注入時間は、より短かった。連続全充填実験は、毛細管を通じる粒子スラリーの連続流れにより行われた。この構成を用いる場合、試料はスラリーが充填された毛細管中に注入され、分析は電解液として用いられるスラリーによって行われる。
【0130】
質量分析による検出
検出は、陽イオン化モードで操作される直交ESI接合部を備えたAgilent Technologies LC/MSD イオントラップSL質量分析器を用いて行われ、最大イオン蓄積時間50分(ms)超、75分(ms)未満及び全イオン流(TIC)ターゲット75000超、100000未満でm/z 50超、300未満を走査した。鞘状液体流は、蟻酸の0.1%水溶液とメタノールから成り(1:1 容量/容量)、Agilent Technologies シリーズ 1100 4つ口ポンプにより、固定分割器で1:30に分割して、0.180 ml/分で送液された。該CEは、Agilent Technologies 三重管同軸霧吹き器を用いたESL接合部に結合された。該直交接合部は、図8で説明されるように、連続全充填分析の際粒子が質量分析器に進入するのを防ぐ。
【0131】
結果と討議
疎水性効果は、低濃度の有機改質剤、即ちアセトニトリル濃度20-40%、を持つ電解液中で検討された。使用された資料成分は、同族列の種々のフタル酸アルキルであった。これらの分子は、電荷を持たず、従って負に荷電した移動固体相との静電気的な相互作用を持たない。異なる分析間の内部浸透(endoosmotic)流れにおける相異を最小限にするため、保持時間はEOFマーカーであるDMSO D6の保持時間の方に(toward)標準化(normalize)された。標準化された保持時間は、以後本項を通じて使用されるであろう。再構成(reconstructed)イオンクロマトグラム(RIC)が、どのピークがどの試料分子に対応するかを同定するのに用いられた。試料分子の保持は毛細管に注入された粒子の量に比例することは、先に示されていた。図7から分かるように、これはまた、非荷電試料成分によるこの逆相検討における事実である。図8から分かるように、移動固体相を通過する場合試料分子のシグナル強度が影響を受けないということは、興味ある観察結果である。
【0132】
実施例3
硫酸化ジビニルベンゼン粒子
ジビニルベンゼンをモノマーとして用いた(0.109 モル/L)以外は前記した沈殿重合プロトコールを用い(実施例2参照)、ネジ蓋付き硼珪酸ガラス試験管中で粒子が調製された。粒子の沈殿は、分子量の増加により粒子がそれらの溶解限界に達したときに始まる。粒子は、重合後、3000 rpmで10分間の遠心分離により抽出され、次いでメタノールと酢酸の溶液(9:1, 容量/容量)で2回及びメタノールで1回再懸濁された。
【0133】
該粒子(16mg)は、Tween 80の水溶液(10mg 0.010モル、2mL)中に懸濁された。(NH4)2S208の水溶液(0.20mL, 8.8μモル)が添加され、反応混合物は80℃に加熱され72時間保持された。誘導体化された粒子は、3000 rpmで10分間の遠心分離により抽出され、メタノールと水の溶液(1:1 容量/容量)で2回及びメタノールで1回再懸濁(10分間の超音波処理)された。該粒子は、使用するまで室温で貯蔵され、分析の前に電解液で洗浄された。
【0134】
毛細管通電クロマトグラフィー(CEC)
CEC実験は、HP3DCE システム(Agilent Technologies, Waldbronn, Germany)により行われ、Chem Stationソフトウエアがデータ処理に使用された。Polymicro Technologies(Phoenix, AZ)から入手した溶融シリカ毛細管(長さ 70cm, 内径50μm, 外径375μm)が、全ての実験に使用された。試料溶液は、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、及びフタル酸ジブチルを電解液に溶解して0.10 mg/Lの濃度に調製された。試料は流体力学的に(5秒 50ミリバール)毛細管中に注入され、分離電圧は20kV(286 V/cm)であった。全ての分離は室温で行われた。分析の前に、全ての溶液及び粒子懸濁液は超音波処理により脱ガスされ、毛細管は、0.1モル/L水酸化ナトリウム(5分 1バール)、水(5分 1バール)、及び電解液(5分 1バール)で洗浄された。逆相実験での電解液は、10ミリモル酢酸アンモニウム緩衝液 pH 5.4 及び20%超、40%未満で濃度を変化させたアセトニトリルから成った。
【0135】
連続全充填実験は、毛細管を通しての粒子スラリーの連続流れにより行われた。この構成を用いて、試料は、スラリーが充填された毛細管中に注入され、分析は、電解液として用いられるスラリーによって行われた。イオン交換クロマトグラフィー(イオンクロマトグラフィー、イオン-イオン相互作用クロマトグラフィー)における立体効果は、20% 10ミリモル酢酸アンモニウム pH 5.4 及び80% メタノールからなる電解液、及び電解液中に懸濁された2.5 mg/mL の硫酸化ジビニルベンゼン粒子からなる注入された粒子懸濁液、を用いて評価された。
【0136】
質量分析による検出
検出は、陽イオン化モードで操作される直交ESI接合部を備えたAgilent Technologies LC/MSD イオントラップSL質量分析器を用いて行われ、最大イオン蓄積時間50分(ms)超、75分(ms)未満及び全イオン流(TIC)ターゲット75000超、100000未満でm/z 50超、300未満を走査した。鞘状液体流は、蟻酸の0.1%水溶液とメタノールから成り(1:1 容量/容量)、Agilent Technologies シリーズ 1100 4つ口ポンプにより、固定分割器で1:30に分割して、0.180 ml/分で送液された。該CEは、Agilent Technologies 三重管同軸霧吹き器を用いたESL接合部に結合された。該直交接合部は、連続全充填分析の際粒子が質量分析器に進入するのを防ぐ。
【0137】
結果と討議
沈殿重合プロトコールは、安定化する界面活性剤を使用しない球状粒子の合成を容易にする。これは、界面活性剤はESI-MSにおけるシグナル強度を低下させ、それにより検出の可能性を妨げるので、非常に重要である。この技術はまた、界面活性剤は粒子の誘導体化に影響を与える場合があり、そしてまた、懸濁安定性の増加が誘導体化工程によるものか否かは疑問なので、好ましいものである。高度に希釈された過マンガン酸カリウムを用いた硫酸化粒子の滴定により、反応性の炭素-炭素二重結合の転化率は定量的に測定された。
【0138】
硫酸化DVB粒子を用いて分離された各々のフタル酸エステルの標準化保持時間は、図9に示される。異なる分析間の内部浸透流れ(EOF)における相異を最小限にするため、保持時間は、EOFマーカーであるDMSO D6の保持時間の方に標準化された。再構成イオンクロマトグラム(RIC)が、どのピークがどの試料分子に対応するかを同定するために用いられた。図9において、アセトニトリル濃度が40%を超えると疎水性効果が失われることが分かる。相互作用は、電解液中では、アセトニトリル濃度が低いほど、より強い。
【0139】
実施例4
汚れた及び複雑な試料母液
伝統的な分離系にもつ重大な不利は、固定相の汚染、殊に汚れた試料又は複雑な試料母液中の試料によるものである。移動固体相の使用は、これらの問題を上手く回避する。本実施例において、食物に含まれていた発がん物質が尿試料から定量される。尿の分析は、伝統的に、固定相を保護するための、試料母液成分を除去する面倒な試料調製を必要とする。この実施例では、尿は直接分離管に注入される。
【0140】
材料と方法
緩衝液中に懸濁された、親水性被覆を持つ疎水性粒子が、移動固定相として用いられた。50μmの内径を持つ、長さ75cmの毛細管が、分離に用いられた。該移動固定相は、部分充填及び連続的全充填技術の両方を用いて導入された。濃度が100マイクロモル/LとなるようにPhIPを加えた50 nLの尿が試料として用いられ、移動固定相を充填した毛細管中に注入された。
【0141】
非常に複雑で且つ汚れた試料母液であるにも拘らず、発がん物質PhIPの定量は成功した。複雑な母液で且つ試料の前処理なしでも、100回より多くの管への注入が成された。もしこれらの分析が伝統的なCEC管又はHPLC管で行われたとすると、管は試料母液分子でひどく汚染されたであろう。
【0142】
汚れた且つ複雑な試料母液
実験は、実施例4に記載のように行われたが、尿の代わりに血漿が分析された(試料母液は血漿であった)。血漿は、汚染分子に関しては、より以上に複雑な母液である。血漿の伝統的な分析は汚染分子を除去するための固体相抽出を必要とするが、本実施例では、血漿は直接管に注入され、極めてよい結果が得られた。
【0143】
実施例6
分離系と検出器(質量分析器)との間のFAIMS接合部の使用による改善された検出感度
ここまで、連続的全充填技術は、電子吹付け質量分析検出と共に用いられ、その場合電子吹付けは、粒子からの試料成分の分離を助ける、鞘状流れと霧化気体の使用により行われた。鞘状流れの不利は、それが、管から溶離する試料成分を希釈することである。電子吹付けイオン化と質量分析との組合せは濃度に敏感な検出技術[参考文献(REF)]なので、この試料成分の希釈(希釈は濃度の減少に等しい)は、検出感度の減少を来す。この問題を解決するため、質量分析器の使用者は、数年間[参考文献 フィンランド(Finn)]、しばしば低速流れ毛細管使用分離技術と組合せて鞘状流れを使用しない電子吹付けを使用して来た。一方、全充填技術は鞘状流れの使用を拠所とする(上記のように)。しかし、分離系と質量分析器との間のFAIMS電子吹付け接合部を使用すれば、鞘状流れは不要であり、それ故高い検出感度が得られる。これは、感度だけでなく適用と試料のタイプの増加に関して連続的全充填技術を大きく改善する。簡単に言えば、FAIMS接合部において、試料成分は、調節可能な(adjustable)電場中の経路を通って移動固定相から分離される。
【0144】
実施例7
シクロデキストリンで被覆された不活性粒子を用いる対掌性分離
伝統的に、シクロデキストリンは、毛細管電気泳動分離系の電解液中にシクロデキストリンを溶解することにより、対掌性分離に用いられる。分析試料(例えば鏡像対A及び B)は、毛細管を通って輸送されるにつれて、AとBは対掌性デキストリンとの相互作用が相異するので分離される。しかし、検出は、シクロデキストリン分子がバックグランドノイズ増加させるので悪影響を受ける。本実施例は、本発明がこの問題を解決することを示す。我々の発明のこの実施例において、シクロデキストリン分子は、不活性粒子上の被覆として固定される。この移動固体相の不活性心部は急速な物質移動を可能にするが、それは、AとBはシクロデキストリン被覆とのみ相互作用し、粒子心部とは作用しないからである。増加したバックグランドノイズは、粒子が検出に先立って分析試料(AとB)から分離されるので、この系では問題にならないであろう。これは、伝統的な技術に比べ、極めて大きな利点である。
【0145】
実施例8
粒子上のアルキレジオール(alkylediole)被覆の使用による受容制限物質(restricted access material) (RAM)として用いられる粒子
疎水性粒子をアルキレジオール(alkylediol)と反応させることにより、得られる粒子は蛋白質を多量に含む母液中に存在する分子の分析に適したものとなる。該蛋白質はこの被覆の通過から排除され、相互作用のため粒子心部と反応する。
【0146】
メタクリル酸(MMA) 0.0505モル、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM) 0.505モル、AIBN 8mg及びアセトニトリル4mlが、ネジ蓋付き硼珪酸ガラス試験管に添加され、10分間超音波処理され、8分間の窒素ガス流れにより脱ガスされ、−26℃の冷凍器中に置かれ、そこで350nmの紫外線照射により重合が開始され4時間保持された。使用された化学物質の由来は先の実施例と同じであった。その後、粒子は3000rpmで 10分間の遠心分離により抽出され、次いでメタノール/酢酸(9:1、容量/容量)で2回及びメタノールで1回、毎回20分の超音波浴を用いて再懸濁された。得られた粒子はアセトニトリルに再懸濁され、対掌性アクリルモノマーがラジカル開始剤と共に添加された。重合は、加熱された水浴(60℃)を用い一夜の間行われた。
【0147】
本発明の実施態様の要素(elements)及び成分は、物理的にも、機能的にもまた論理的にも任意の適当な方法で実行される(implemented)ことがあろう。実際、機能性は、単一ユニット中で、複数のユニット中で又は他の機能ユニットの部分として実行されることがあろう。同様に、本発明は、単一ユニット中で実行され、又は種々のユニット間で物理的及び機能的に配分されることがあろう。
【0148】
本発明は、上に、特定の実施態様を例として記述されて来たが、それは、ここに明らかにした特定の形に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明は、伴っている請求項によってのみ限定されるものであり、上の特定の態様以外の他の態様が、これらの添付された請求項の範囲で同様に可能である。
【0149】
請求項中で、含む/含んでいる(comprises/comprising)という用語は、他の要素又は工程の存在を排除するものではない。更に、個別にリスト化されているものであっても、複数の手段、要素又は方法工程が実行されることがあろう。更に、個別の特徴が種々の請求項に含まれるであろう場合であっても、これらは有利に組合わされることがあり得るであろう、そして、種々の請求項に含まれていることは、特徴の組合せが不採算及び/又は不利益であることを暗示するものではない。更に、1つの参考文献は、複数のそれを排除しない。「一つの」、「第1の」、「第2の」等の用語は、複数のものを排除するものではない。請求項中の引用の印しは、単に明確にする例として出されているだけで、如何なる点においても請求項の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0150】
これらの、並びに他の、本発明が可能とする態様、特徴及び利点は、本発明についての以下に述べる実施態様の記載、添付された図面に対してなされる参照事項から明白且つ明瞭であろう。
【0151】
【図1】図1は、フタル酸ジメチル(黒塗り三角)、フタル酸ジエチル(黒塗り四角)、及びフタル酸ジプロピル(黒塗り菱)の分離における電解液中のアセトニトリル濃度の効果を開示し、(A)電解液中のアセトニトリル濃度の関数としての、メーター当りの理論プレートの数に関する分離効率、(B)電解液中のアセトニトリル濃度に対してプロットされた対数表示の保持係数、(C)電解液中のアセトニトリル濃度の相異におけるフタル酸ジメチルとフタル酸ジエチルとの間の分離度、が説明されている。
【0152】
【図2】図2は、フタル酸ジアルキルの同族列と非保持EOFマーカーとしてのDMSO(1)との、CFF-CEC-ESI-MSを示す通電クロマトグラムを説明しており、フタル酸ジメチル(2)が最初に溶離し、フタル酸ジエチル(3)、及びフタル酸ジプロピルが続き、そして、電解液は30%(容量/容量)のアセトニトリルで改質されていた。
【0153】
【図3】図3は、IE-CFF-CECを検討するのに用いられたアミン類の構造を説明する(ジフェンヒドラミン(1)、サルブタモール(2)、及びイミダゾール(3))、そして、該アミン類は(A) CE及び(B) CFF-CECを用いて分離された、そして、ジフェンヒドラミンは、非常に強い保持性のため検出されなかった。
【0154】
【図4】図4は、反復性と懸濁安定性の検討を説明しており、保持時間に対する超音波処理後の経過時間が検討された(懸濁電解液:炭酸アンモニウム pH 8.2:アセトニトリル(70:30(容量/容量))。
【0155】
【図5】図5は、2つの異なる試料濃度におけるCFF-CEC分析からの通電クロマトグラムの拡大図を説明しており、ピークの高さは比較を容易にするため目盛りし直してあり、そして、x軸の目盛りは両方の通電クロマトグラムについて同一である(懸濁電解液:炭酸アンモニウム pH 8.2:アセトニトリル(70:30 (容量/容量))。
【0156】
【図6】図6は、分離系と質量分析器との間の直交接合部を説明する。
【0157】
【図7】図7は、PEG 900 でエステル交換されたMMA-TRIM 粒子によって行われた分離を説明しており、電解液は、65% 10ミリモル 酢酸アンモニウム緩衝液 pH 5.4、及び35% MeCNから成り、移動固体相の濃度は変化させた。
【0158】
【図8】図8は、メチル-、エチル-、プロピル-及びブチル- エステルの、(A) 自由帯域(free zone) 通電クロマトグラフィーにおいて、電解液は65% 10ミリモル 酢酸アンモニウム緩衝液 pH 5.4 及び35% MeCNである、そして、(B) PEG 900でエステル交換された粒子のスラリーによる連続的全充填手法を用いた、メチル-、エチル-、プロピル-、ブチル エステルの分離において、電解液は65% 10ミリモル 酢酸アンモニウム pH 5.4 及び35% MeCN及び0.5mg/mL 粒子である、場合を説明する。
【0159】
【図9】図9は、MeCN含有率の異なる硫酸化ジビニルベンゼン粒子による連続的全充填手法を用いた、メチル-、エチル-、プロピル-及びブチル エステルの分離を説明しており、電解液は20-40% のMeCN及び10ミリモル 酢酸アンモニウム緩衝液pH 5.4からなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料成分のクロマトグラフィーによる分離における移動固体相に用いる粒子であって、該粒子が心部と被覆部を含み、該心部は少なくとも1種の分析試料と相互作用し、且つ、該被覆は本質的に液体中での凝集又は一般凝集を妨げる、ことを特徴とする粒子。
【請求項2】
該心部が実質的に疎水性であり、且つ、該被覆部が実質的に親水性である、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
該被覆部が実質的に疎水性であり、且つ、該心部が実質的に親水性である、請求項1に記載の粒子。
【請求項4】
該粒子が多孔質である、請求項1に記載の粒子。
【請求項5】
該粒子が実質的に非多孔質である、請求項1に記載の粒子。
【請求項6】
該粒子が中性、陽イオン性、陰イオン性、又は両性イオン性である、請求項1に記載の粒子。
【請求項7】
該粒子がモノクローナル又はポリクローナルである、請求項1に記載の粒子。
【請求項8】
該被覆部が不均質又は均質である、請求項1に記載の粒子。
【請求項9】
該粒子が単分散又は多分散である、請求項1に記載の粒子。
【請求項10】
該粒子が対掌性又は非対掌性である、請求項1に記載の粒子。
【請求項11】
該心部が、黒鉛、酸化チタン、アガロース、アルミナ、重合体であってメタクリル酸エステル、ビニルピリジン、アクリル酸エステル、スチレン、ジビニルベンゼン、及びシランの群から選ばれた1種又は数種のモノマーから重合されたもの、を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項12】
該心部の表面が、燐酸残基、ホスホン酸類、カルボン酸、アルデヒド、エポキシド、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アミン、エステル、エーテル、及び/又は水酸基、を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項13】
該被覆部が、直鎖重合体、分岐鎖重合体、交互共重合体、及び/又はブロック共重合体を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項14】
該重合体及び/又は共重合体が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、及び/又はポリエチレンイミンからなる群から選ばれる、請求項13に記載の粒子。
【請求項15】
該重合体及び/又は共重合体が、エーテル、エステル、燐酸残基、ホスホン酸類、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アミン、エポキシド、カルボン酸、スルホン酸、及び水酸基からなる群から選ばれる1種又は数種の官能基を含む、請求項13に記載の粒子。
【請求項16】
該被覆部が、エステル、エーテル、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アミン、エポキシド、硫酸塩、スルホン酸、カルボン酸、水酸基、燐酸残基、ホスホン酸、及び/又はアミドからなる群から選ばれる1種又は数種の官能性基を含む小分子で構成されている、請求項1に記載の粒子。
【請求項17】
該小分子が10g/mol〜10,000g/molの範囲の分子量を持つ、請求項16に記載の粒子。
【請求項18】
該小粒子が炭化水素又はフッ素化炭化水素である、請求項17に記載の粒子。
【請求項19】
該被覆部が、蛋白質、DNA、RNA、セルロース、デンプン、再生セルロース、改質デンプン、及び/又は改質セルロースからなる群の1種又は数種からなる、請求項1に記載の粒子。
【請求項20】
該心部が帯電し、該被覆部が非帯電である、請求項1に記載の粒子。
【請求項21】
該心部が非帯電であり、該被覆部が帯電している、請求項1に記載の粒子。
【請求項22】
該心部又は該被覆部が対掌性である、請求項1に記載の粒子。
【請求項23】
該粒子が架橋されている、請求項1に記載の粒子。
【請求項24】
該粒子が、少なくとも1種の分析試料より大きな質量対電荷比(m/z)を有する、請求項1に記載の粒子。
【請求項25】
心部が重合体である請求項1に記載の粒子の製造法であって、1つ又は数個の下記工程を含む方法:
モノマーを重合して心部を形成する;
重合体の置換を改質する;
心部の表面を改質する;
該心部を誘導体化する;及び
該心部を他の重合体で被覆する。
【請求項26】
少なくとも1種の分析試料をクロマトグラフィーにより他の試料成分から分離し、且つ少なくとも1種の分析試料を検出し、その際該検出を角度付きイオン化源を用いる質量分析によって行う、請求項1から24のいずれか1項に記載の粒子の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2009−515180(P2009−515180A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539439(P2008−539439)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068311
【国際公開番号】WO2007/054548
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(508139158)ナノセプ アクティエボラーグ (1)
【Fターム(参考)】