説明

粒状医薬製剤

【課題】(A)イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカムから選ばれる薬物の溶出性に優れた粒状医薬製剤を提供する。
【解決手段】(A)イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカムから選ばれる薬物と、
(B)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム及びクロスポビドンから選ばれる水不溶性高分子化合物と、
(C)ショ糖脂肪酸エステル及びポリエチレングリコールから選ばれる化合物とを含有する粒子を含む粒状医薬製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカムから選ばれる非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)を含有する粒状医薬製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカムから選ばれる非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)は、優れた消炎、鎮痛、解熱作用を有し、副作用が比較的少ないことから医療用だけでなく一般用医薬品においても解熱鎮痛薬及び感冒薬の主成分として多用されている。しかしながら、上記薬物は水難溶性の薬物であり、そのままでは消化管での吸収性、とりわけ速効性に問題があった。これらの薬物を用いて製剤化する場合、消化管での薬物吸収をスムーズに行わせるためには薬物の溶出速度が律速となっている。
【0003】
従来から、難溶性薬物については溶解性の改善を目的とする種々の製剤技術が検討されている。また、非イオン性界面活性剤を湿式造粒することで溶解性を向上させる技術が提案されているが、さらなる向上が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4065902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、(A)イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカムから選ばれる薬物の溶出性に優れた粒状医薬製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカムから選ばれる薬物に、特定の(B)水不溶性高分子化合物と、(C)ショ糖脂肪酸エステル及びポリエチレングリコールから選ばれる化合物とを併用することで、上記(A)薬物の溶解性が向上することを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0007】
従って、本発明は下記粒状医薬製剤を提供する。
[1].(A)イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカムから選ばれる薬物と、
(B)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム及びクロスポビドンから選ばれる水不溶性高分子化合物と、
(C)ショ糖脂肪酸エステル及びポリエチレングリコールから選ばれる化合物とを含有する粒子を含む粒状医薬製剤。
[2].(A)成分が、イブプロフェンである[1]記載の粒状医薬製剤。
[3].(C)成分が、HLB10以上のショ糖脂肪酸エステル及び/又は凝固点30℃以上のポリエチレングリコールである[1]又は[2]記載の粒状医薬製剤。
[4].[(A)+(B)]/(C)で表される、(A)成分及び(B)成分の合計と(C)成分との粒子中における含有量の質量比が、1〜100であることを特徴とする[1]、[2]又は[3]記載の粒状医薬製剤。
【0008】
また、本発明は、さらに下記粒状医薬製剤と粒子の製造方法を提供する。
[5].粒子が、(A)、(B)及び(C)成分が乾式造粒されてなる造粒粒子である[1]〜[4]のいずれかに記載の粒状医薬製剤。
[6].粒子が、(A)、(B)及び(C)成分の共粉砕物が乾式造粒されてなる造粒粒子である[1]〜[4]のいずれかに記載の粒状医薬製剤。
[7].(A)イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカムから選ばれる薬物と、(B)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム及びクロスポビドンから選ばれる水不溶性高分子化合物と、(C)ショ糖脂肪酸エステル及びポリエチレングリコールから選ばれる化合物とを共粉砕し、体積平均粒子径が0.01〜35μmの共粉砕物を得て、この粉砕物を乾式造粒することを特徴とする粒子の製造方法。
これらの発明の課題は、さらに、保存安定性(べたつき抑制、変色抑制)の向上であり、(A)、(B)及び(C)成分の共粉砕物が乾式造粒されてなる粒状医薬製剤とすることで、解決することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、(A)イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカムから選ばれる薬物の溶解性が向上した、上記(A)成分を含有する粒状医薬製剤を提供することができる。さらに、(A)、(B)及び(C)成分の共粉砕物が乾式造粒されてなる粒状医薬製剤とすることで、保存安定性(べたつき抑制、変色抑制)が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の粒状医薬製剤は、(A)イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカムから選ばれる薬物と、
(B)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム及びクロスポビドンから選ばれる水不溶性高分子化合物と、
(C)ショ糖脂肪酸エステル及びポリエチレングリコールから選ばれる化合物とを含有する粒子を含むものである。
【0011】
(A)イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカムから選ばれる薬物
イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカムから選ばれる非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)は、優れた消炎、鎮痛、解熱作用を有するものであり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、イブプロフェンが好ましい。本発明は、水に難溶性の薬物の溶解性を向上させることができるため、20℃の水に対する溶解度が0〜30mg/mL、0〜10mg/mLの薬物であっても、高い溶解性を得ることができる。
【0012】
(A)成分の含有量は、粒子中(粒子そのものが医薬製剤の場合は粒状医薬製剤中)20〜89質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、50〜75質量%が特に好ましい。
【0013】
(B)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム及びクロスポビドンから選ばれる水不溶性高分子化合物
本発明は上記水不溶性高分子化合物を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。水不溶性高分子化合物とは、20℃の水に対する溶解度が1mg/mL以上であり、好ましくは10mg/mL以上である高分子化合物を示す。低置換度とは、置換基(低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの場合はヒドロキシプロポキシ基)のモル置換度が5〜16であり、好ましくは7〜12程度であることを意味する。なお、「低置換度ヒドロキシプロピルセルロース」は(日本薬局方「ヒプロメロース」)に記載されたもので、水溶性である「ヒドロキシプロピルセルロース」とは区別されるものである。
【0014】
(B)成分の含有量は、粒子中(粒子そのものが医薬製剤の場合は粒状医薬製剤中)に10〜70質量%が好ましく、13〜50質量%がより好ましい。(B)成分の量を上記下限値以上とすることで、(A)成分と混合した際、(A)成分の粉砕機等への付着が抑えられて混合効率や粉砕性が向上する。他方、上記上限値以下とすることで、他の成分とのバランスをとることができ、本発明の効果が向上する。また、上記下限値を20質量%以上とすることで、保存安定性(べたつき抑制、変色抑制)を向上させることができる。
【0015】
(C)ショ糖脂肪酸エステル及びポリエチレングリコールから選ばれる化合物
(C)成分としては1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、ショ糖脂肪酸エステルがより好ましい。ショ糖脂肪酸エステルとしては、脂肪酸がステアリン酸、パルミチン酸、ミスチリン酸、ラウリン酸、エルカ酸、オレイン酸等のものが挙げられる。中でも、HLB5以上のショ糖脂肪酸エステル、HLB10以上のショ糖脂肪酸エステル、11以上のショ糖脂肪酸エステル、12以上のショ糖脂肪酸エステルがより好ましく、上限は取り扱いの点から、HLB16以下のショ糖脂肪酸エステルが好ましい。また、製造上の扱い易さと(A)成分の溶解性の点から、常温(25℃60%RH)で粉体のものが好ましい。さらに、モノエステルを50質量%以上含むものが好ましい。
【0016】
なお、HLBの測定方法は、Griffinの式(HLB=(親水基部分の分子量)/(界面活性剤の分子量)×20)により計算する。
【0017】
ポリエチレングリコールは、製造上の扱い易さと本発明の効果の点から、常温(25℃60%RH)で粉体のものが好ましく、凝固点30℃以上のものが好ましく、凝固点45℃以上のものがより好ましい。凝固点は高いものでもいいが、体温に近い温度で液体になるほうが好ましく、取扱いの点と併せて考慮すると、凝固点60℃以下のものがより好ましい。
【0018】
(C)成分の含有量は、粒子中(粒子そのものが医薬製剤の場合は粒状医薬製剤中)に0.01〜40質量%が好ましく、0.1〜25質量%がより好ましく、0.1〜22質量%がより好ましく、1〜20質量%が特に好ましい。(C)成分の量を上記範囲とすることで、(A)成分の溶解性をより得ることができる。また、20質量%以下とすることで、造粒性がより向上し、15質量%以下とすることで、保存安定性(べたつき抑制、変色抑制)を向上させることができる。
【0019】
[(A)+(B)]/(C)で表される、(A)成分及び(B)成分の合計と(C)成分との粒子中における含有量の質量比は、溶出性の点から、1〜100が好ましく、1〜50がより好ましく、1〜25がさらに好ましく、1〜20が特に好ましい。保存安定性(べたつき抑制、変色抑制)の点からは、下限は1.5以上が好ましく、より好ましくは3以上、さらに好ましくは10以上である。(A)成分と(B)成分の合計量(A)+(B)は、粒子中(粒子そのものが医薬製剤の場合は粒状医薬製剤中)に30〜99質量%が好ましく、40〜95質量%が好ましい。
【0020】
本発明の粒子には、上記(A)〜(C)成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常、粒状医薬製剤に用いられる任意成分を含有させることができ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。任意成分としては、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤が挙げられるが、ハンドリング性の向上や効果に影響を与えないという観点から特に賦形剤が好ましく挙げられる。
【0021】
賦形剤としては特に限定されないが、セルロース類、糖類及びデンプン類から選ばれる1種又は2種以上の粉体が挙げられる。セルロース類の粉体として具体的には、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等が挙げられる(但し、2質量%水溶液の20℃における粘度が6.0mPa・s未満である水溶性高分子化合物を除く。)。糖類の粉体として具体的には、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖等)、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、還元澱粉糖化物、マルチトール、マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等が挙げられる。デンプン類の粉体として具体的には、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、バレイショデンプン(ポテトスターチ)、コムギデンプン、コメデンプン等のデンプン;ヒドロキシプロピルスターチ、部分α化デンプン等のデンプン誘導体等が挙げられる。
【0022】
本発明の粒子は、(A)、(B)及び(C)成分が乾式造粒されてなるものが好ましい。このようにすることにより、より溶出性が良好であり、保存安定性(べたつき抑制、変色抑制)が向上する。また、乾式造粒する(A)、(B)及び(C)成分は共粉砕物であることが好ましい。例えば、具体的には、(A)、(B)及び(C)成分を共粉砕して体積平均粒子径が0.01〜35μm、好適には5〜25μmの共粉砕物を得て、この粉砕物を乾式造粒することにより、得ることができる。水を使用する湿式造粒では、結合剤を溶かした結合液を必要とすることや製造に時間がかかり、その工程中の条件管理を必要とすること、機械のスケールにより最適な仕込み量の範囲があるために生産量が制限されてしまうおそれがある。また、本発明の(A)を含有する場合は、界面活性剤を配合して湿式造粒すると、変色やべたつきが生じやすいという(A)成分特有の課題がある。なお、体積平均粒子径は、乾式レーザー法で測定した体積加重の平均径(体積基準の算術平均粒径)である。
【0023】
(A)、(B)及び(C)成分の共粉砕は、好適には、粉砕機を用いて、共粉砕により調製される共粉砕物の体積平均粒子径が0.01〜35μmとなるように行う。共粉砕の前にそれぞれ別に粉砕してもよい。その場合は、(A)粒子及び(C)粒子は、機械への付着を少なくするために、投入速度を例えば1〜3kg/hrまで落とす等の工夫をすると良い。また、共粉砕前に原料の凝集が認められた場合は共粉砕の効率を上げるために振動篩い等で凝集塊をなくすことが有効である。振動篩の目開きとしては凝集がとれる目開きであればよく、生産性を考慮すると850μmや500μm程度のものが適当である。共粉砕に用いられる粉砕機の機種は、特に限定されず、ハンマーミル、サンプルミル、ディスクミル、ピンミル等の衝撃式粉砕機;ジェット粉砕機等の乾式微粉砕機、シリンダー粉砕機、ローラー粉砕機等が挙げられる。
【0024】
得られた共粉砕物の乾式造粒は、乾式圧縮造粒、乾式破砕造粒等が挙げられるが、乾式圧縮造粒が好ましく、これによりフレーク状の圧縮物を得る。乾式圧縮造粒装置としては、ローラーコンパクターが挙げられる。得られたフレーク状の圧縮物を粉砕機用いて、目的とする粒子を得る。
【0025】
粒子の粒子径は特に限定されないが、その後の服用性を考慮すると顆粒剤から散剤に含まれる範囲であることが好ましく、具体的には、篩で調整した粒径が、1,400μm以下であることが好ましい。さらに、150〜500μmのものが、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
【0026】
本発明の粒状医薬製剤は、上記粒子を含むものであり、粒子そのものでもよいし、粒子以外に粒状医薬製剤に通常含まれる成分を配合してもよい。粒状医薬製剤中の粒子の含有量は1〜100質量%が好ましく、服用性を考慮すると15〜100質量%がより好ましい。任意成分としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等が挙げられる。
【0027】
賦形剤としては、セルロース及びその誘導体、スターチ及びその誘導体、糖類、糖アルコール類等が挙げられ、より具体的には、結晶セルロース、乳糖、白糖、マンニトール、エリスリトール、トウモロコシデンプン、コーンスターチ、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられる。
【0028】
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、デキストリン、デンプン、アルファー化デンプン等が挙げられる。
【0029】
崩壊剤としては、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン等が挙げられる。
【0030】
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられる。
【0031】
本発明の粒状医薬製剤は、顆粒剤、散剤、細粒剤等の医薬製剤とすることができ、粒子と必要に応じて粉状の任意成分とを混合機に導入し、混合することで得られる。混合機としては、ボーレコンテナミキサー、V型混合機、コンテナミキサー、リボンミキサー等が挙げられるが、効率の点から、ボーレコンテナミキサーが好ましい。
【0032】
粒状医薬製剤の粒子径は特に限定されないが、服用性を考慮すると、顆粒剤、散剤、細粒剤に含まれる範囲であることが好ましく、具体的には1,400μm以下であることが好ましい。
【実施例】
【0033】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示し、表中の各成分の量は純分換算した量である。
【0034】
[実施例1]
(A)成分としてイブプロフェン(体積平均粒子径70μm、予め850μmの篩で篩過したものを使用)、(B)成分として低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(体積平均粒子径20μm、商品名LH−31 信越化学工業(株)製)及び(C)成分としてショ糖脂肪酸エステル(J−1816、サーフホープ製)をビニール袋内で混合し、粉砕機(製品名:ピンミル160Z、(株)パウレック製)により14,000rpm、投入速度30kg/hrにて共粉砕した。粉砕後の体積平均粒子径は15μmであった(体積平均粒子径は、BECKMAN COULTER製 LS13 320にて乾式レーザー法で測定した体積加重の平均径(体積基準の算術平均粒径))。得られた共粉砕物を、乾式圧縮造粒機(製品名:ローラーコンパクター、ターボ工業製)にて乾式圧縮造粒しフレーク状の造粒物を作製した。得られたフレーク状の造粒物を、粉砕機(製品名:フィオーレ、徳寿工作所製)及び篩を用いて150〜500μmに90%以上が含まれるよう調製し、造粒粒子Aを得た。
【0035】
[実施例2]
表1に示す組成にて実施例1と同様にして共粉砕した結果、粉砕後の共粉砕物の体積平均粒子径は16μmであった。これを実施例1と同様の方法で調製し、150〜500μmに90%以上が含まれる造粒粒子Bを得た。
【0036】
[実施例3]
表1に示す組成にて実施例1と同様にして共粉砕した結果、粉砕後の共粉砕物の体積平均粒子径は17μmであった。これを実施例1と同様の方法で調製し、150〜500μmに90%以上が含まれる造粒粒子Cを得た。
【0037】
[実施例4]
表1示す組成にて実施例1と同様にして共粉砕した結果、粉砕後の共粉砕物の体積平均粒子径は14μmであった。これを実施例1と同様の方法で調製し、150〜500μmに90%以上が含まれる造粒粒子Dを得た。
【0038】
[実施例5]
表1に示す組成にて実施例1と同様にして共粉砕した結果、粉砕後の共粉砕物の体積平均粒子径は13μmであった。これを実施例1と同様の方法で調製し、150〜500μmに90%以上が含まれる造粒粒子Eを得た。
【0039】
[実施例6〜12]
表1,2に示す組成にて、実施例1と同様にして共粉砕した結果、粉砕後の共粉砕物の体積平均粒子径は13μmであった。これを実施例1と同様の方法で調製し、150〜500μmに90%以上が含まれる造粒粒子F〜Lを得た。
【0040】
[実施例13]
実施例1同様に共粉砕した後、得られた共粉砕物に、表2に示す外添加顆粒を配合して乾式造粒し、フレーク状の造粒物を作製した。得られたフレーク状の造粒物を、粉砕機及び篩を用いて150〜500μmに90%以上が含まれるよう調製し、造粒粒子Mを得た。
【0041】
[比較例1]
表1の組成とする以外は、実施例1と同様に調製し、150〜500μmに90%以上が含まれるよう調製し造粒粒子Nを得た。得られた造粒粒子Nは150〜500μmに90%以上が含まれていた。
【0042】
[比較例2]
表1の組成とする以外は、実施例1と同様に調製し、150〜500μmに90%以上が含まれるよう調製し造粒粒子Oを得た。得られた造粒粒子Oは150〜500μmに90%以上が含まれていた。
【0043】
得られた造粒粒子(粒状医薬製剤)A〜O(実施例1〜13、比較例1,2)の製造直後と50℃・6週間保存後について、下記方法で5分後の(A)成分の溶出率(%)を測定した。結果を表中に併記する。
【0044】
[5分後の(A)成分の溶出率(%)]
日本薬局法記載のパドル法で実施し、5分後のサンプリング液についてHPLC法(移動相:アセトニトリル/水/酢酸=55/44/1、測定波長:260nm)を用いて薬物量を定量し溶出率として算出した。試験は全てイブプロフェン150mgで溶液は酢酸緩衝液(pH4.5)にて試験した。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
得られた造粒粒子(粒状医薬製剤)A〜O(実施例1〜13)の製造直後と50℃・6週間保存後の「変色」、「べたつき」について、下記評価基準で評価した。結果を表中に併記する。
[変色]
<評価基準>
◎:色変化が全くない状態
○:見た目で色が少し(半分未満)変化している状態
△:見た目で色がかなり(5〜8割未満)変化している状態
×:色がほとんど(8割以上)変化している状態
【0048】
[べたつき]
◎:べたつきがない状態
○:ほとんどべたつきがない状態
△:ややべたつきが生じている状態
×:粉全体がべたついている状態
【0049】
【表3】

【0050】
[実施例14]
実施例1と同様にして得たイブプロフェン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ショ糖脂肪酸エステルの共粉砕物をスパイラルフロー(製品名、フロイント産業(株)製、攪拌型流動層造粒装置)を用いて、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC−L、日本曹達(株))6%を含有する水溶液を噴霧しながら流動層造粒を行うことにより下記表4に示す組成の造粒粒子Pを得た。得られた造粒粒子Pは150〜500μmに90%以上が含まれており、良好な溶出率が得られた。
【0051】
【表4】

【0052】
実施例及び比較例で使用した原料を下記に示す。
・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(体積平均粒子径20μm、商品名LH−31 信越化学工業(株)製):置換度7〜12
・ポリエチレングリコール(4000、6000):凝固点30℃以上のポリエチレングリコール(常温で粉体)
・ショ糖脂肪酸エステル(J−1816(HLB16)、J−1811(HLB11)、いずれもサーフホープ製)、常温での状態は粉体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカムから選ばれる薬物と、
(B)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム及びクロスポビドンから選ばれる水不溶性高分子化合物と、
(C)ショ糖脂肪酸エステル及びポリエチレングリコールから選ばれる化合物とを含有する粒子を含む粒状医薬製剤。
【請求項2】
(A)成分が、イブプロフェンである請求項1記載の粒状医薬製剤。
【請求項3】
(C)成分が、HLB10以上のショ糖脂肪酸エステル及び/又は凝固点30℃以上のポリエチレングリコールである請求項1又は2記載の粒状医薬製剤。
【請求項4】
[(A)+(B)]/(C)で表される、(A)成分及び(B)成分の合計と(C)成分との粒子中における含有量の質量比が、1〜100であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の粒状医薬製剤。
【請求項5】
粒子が、(A)、(B)及び(C)成分が乾式造粒されてなる造粒粒子である請求項1〜4のいずれか1項記載の粒状医薬製剤。
【請求項6】
粒子が、(A)、(B)及び(C)成分の共粉砕物が乾式造粒されてなる造粒粒子である請求項1〜4のいずれか1項記載の粒状医薬製剤。
【請求項7】
(A)イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びピロキシカムから選ばれる薬物と、(B)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム及びクロスポビドンから選ばれる水不溶性高分子化合物と、(C)ショ糖脂肪酸エステル及びポリエチレングリコールから選ばれる化合物とを共粉砕し、体積平均粒子径が0.01〜35μmの共粉砕物を得て、この粉砕物を乾式造粒することを特徴とする粒子の製造方法。

【公開番号】特開2012−144526(P2012−144526A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−275334(P2011−275334)
【出願日】平成23年12月16日(2011.12.16)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】