説明

粒状洗剤組成物

【課題】高い殺菌力を有すると共にすすぎ性が良好であり、衣料への着色物付着が抑制された粒状洗剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)非石鹸性陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選択される一種以上を10〜45質量%と、(B)石鹸と、(C)銅化合物を銅換算で0.04〜0.8質量%と、(D)アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びアスコルビン酸の誘導体から選択される一種以上と、(E)無機過酸化物とを含有し、(C)成分中の銅/(D)成分で表されるモル比が1未満である粒状洗剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌の存在や増殖は感染症などの種々の不具合をしばしば発生させる場合があり、その対策が求められている。特に衣料に付着した細菌は、洗濯物を乾燥する工程で悪臭を発生する原因となったり、感染源となったりするおそれがある。このため、洗濯においては、衣料に付着した細菌の殺菌又は除去が求められている。
【0003】
これに対して、洗濯の際、金属錯体における中心金属の酸化状態の変化を利用して漂白効果及び殺菌効果を得る方法が開示されている。金属錯体は、洗浄液中で過酸化水素により中心金属の酸化状態が変化して、高い酸化力を示す金属錯体となり、汚れに作用して漂白効果を奏し、細菌に作用して殺菌効果を奏する。汚れ又は細菌に作用して中心金属の酸化状態が元に戻った金属錯体は、再び過酸化水素と反応するといった働きを持つ。このため、少量の金属錯体で高い漂白力及び殺菌力を得ることができる。
このように触媒的なメカニズムを示し、効率的に過酸化水素を活性化できる特長を有する金属錯体は、漂白活性化触媒とも呼ばれ、低濃度で漂白効果及び殺菌効果を示すことから、経済的にも環境的にも有用な成分である。
【0004】
従来、洗濯においてこの金属錯体を応用して殺菌を行う技術としては、たとえば、特定のキレート剤と銅化合物とバインダを含有する酸化触媒粒子と、無機過酸化物と、界面活性剤含有粒子とを含む粒状洗剤組成物が提案されている(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−148682号公報
【特許文献2】特開2009−148683号公報
【特許文献3】特開2009−155292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、洗濯事情の変化や環境負荷に対する意識の高まりから、水の使用量の少ない洗濯機、たとえばドラム式などの洗濯機で洗濯が行われるようになってきている。
このような水の使用量の少ない洗濯条件に対応し、洗浄液の泡立ちを抑えてすすぎ性の改善を図る方法として、高級脂肪酸塩(石鹸)を配合する方法が知られている。
しかしながら、特許文献1〜3の技術のような金属錯体を利用した洗剤に、高級脂肪酸塩(石鹸)を単に配合した場合、洗濯後の衣料に、緑色〜青緑色の着色物が付着するという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高い殺菌力を有すると共にすすぎ性が良好であり、衣料への着色物付着が抑制された粒状洗剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題を解決するために以下の手段を提供する。
すなわち、本発明の粒状洗剤組成物は、(A)非石鹸性陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選択される一種以上を10〜45質量%と、(B)石鹸と、(C)銅化合物を銅換算で0.04〜0.8質量%と、(D)アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びアスコルビン酸の誘導体から選択される一種以上と、(E)無機過酸化物とを含有し、(C)成分中の銅/(D)成分で表されるモル比が1未満であることを特徴とする。
【0008】
本発明の粒状洗剤組成物においては、(F1)アルカリ金属炭酸塩及び(F2)アルカリ金属炭酸水素塩から選択される一種以上の(F)アルカリ剤をさらに含有することが好ましい。
また、本発明の粒状洗剤組成物においては、前記(F2)成分を含有し、(F2)/[(E)+(F)]で表される質量比が0.1〜0.5であることが好ましい。
また、本発明の粒状洗剤組成物においては、前記(F2)成分を含有し、[(A)+(B)]/[(E)+(F)]で表される質量比が0.5〜3であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高い殺菌力を有すると共にすすぎ性が良好であり、衣料への着色物付着が抑制された粒状洗剤組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の粒状洗剤組成物は、(A)非石鹸性陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選択される一種以上と、(B)石鹸と、(C)銅化合物と、(D)アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びアスコルビン酸の誘導体から選択される一種以上と、(E)無機過酸化物とを含有する。
【0011】
<(A)非石鹸性陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選択される一種以上>
本発明において「非石鹸性陰イオン界面活性剤」とは、石鹸以外の陰イオン界面活性剤をいう。
本発明の粒状洗剤組成物においては、(A)成分を含有することにより、主として洗浄性能が付与される。
【0012】
(非石鹸性陰イオン界面活性剤)
非石鹸性陰イオン界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキル硫酸塩(AS)、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(AES)、α−スルホ脂肪酸エステル塩(α−SF)、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(MES)等のアルカリ塩などが挙げられる。
具体的には、以下に示す(1)〜(8)が好適なものとして挙げられる。
【0013】
(1)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(MES)
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩としては、下記一般式(A−1)で表される化合物が好ましい。
【0014】
【化1】

[式中、R11は炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を表し、R12は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Mは対イオンを表す。]
【0015】
前記式(A−1)中、R11のアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。R11の炭素数は8〜20であり、12〜18が好ましく、R11がアルキル基の場合、炭素数14〜16であることが特に好ましい。
12の炭素数は1〜6であり、炭素数1〜3であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、なかでも洗浄力がより向上することから、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
は対イオンを表す。このMとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン;アンモニウム等が挙げられ、なかでもアルカリ金属原子が好ましい。
【0016】
(2)炭素数8〜18のアルキル基を有する、直鎖状又は分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)。
(3)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩(AS)又はアルケニル硫酸塩。
(4)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(5)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩(SAS)。
(6)炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均付加モル数が10モル以下のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はこれらの混合物を付加した、アルキルエーテル硫酸塩(AES)又はアルケニルエーテル硫酸塩。
(7)炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均付加モル数が10モル以下のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はこれらの混合物を付加した、アルキルエーテルカルボン酸塩又はアルケニルエーテルカルボン酸塩。
(8)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
【0017】
上記の非石鹸性陰イオン界面活性剤のなかでも、(E)無機過酸化物の殺菌効果を向上させる効果を有するLAS、洗浄力の優れるMESが好ましい。
塩の形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属塩が好ましい。
【0018】
(非イオン界面活性剤)
非イオン界面活性剤としては、以下に示す(11)〜(18)が挙げられる。
(11)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは3〜20モル付加した、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル。
このなかでも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテルが好適なものとして挙げられる。
ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられ、第1級アルコールが好ましい。また、アルキル基又はアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
(12)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル又はポリオキシエチレンアルケニルフェニルエーテル。
【0019】
(13)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した、下記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
13CO(OA)OR14 ・・・(I)
式(I)中、R13COは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示す。OAは、炭素数2〜4、好ましくは2〜3のオキシアルキレン基を示す。nはオキシアルキレン基の平均繰返し数を示し、3〜30、好ましくは5〜20の数である。R14は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。
【0020】
(14)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(15)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(16)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(17)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(18)グリセリン脂肪酸エステル。
【0021】
上記の非イオン界面活性剤のなかでも、(11)の非イオン界面活性剤が好ましく、そのなかでも炭素数12〜16の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均5〜20モル付加した、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルが特に好ましい。
また、融点が50℃以下で、かつ、HLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加された脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとが付加された脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等も好適に用いられる。
ここでいう「融点」とは、JIS K 0064−1992「化学製品の融点及び溶融範囲測定方法」に記載されている融点測定法によって測定される値を意味する。
また、「HLB」とは、GRIFFINの方法により求められた値をいう(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」,工業図書株式会社,1991年,第234頁参照)。
【0022】
(A)成分は、非石鹸性陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選択される一種以上を用いることができる。なかでも、洗浄力が高まることから、非石鹸性陰イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤とを併用することが好ましい。
非石鹸性陰イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤とを併用する場合、両者の含有割合は、質量比で、非石鹸性陰イオン界面活性剤/非イオン界面活性剤=0.1〜20であることが好ましく、1.5〜9.5であることがより好ましい。該質量比の下限値以上であると、特に、硬度の高い水を使用した場合の洗浄力に優れ、一方、上限値以下であると、粉末製剤の固化が生じにくい。
【0023】
粒状洗剤組成物中、(A)成分の含有量(該組成物全体を基準として)は、非石鹸性陰イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤との合計で10〜45質量%であり、15〜30質量%であることが好ましい。
(A)成分の含有量が下限値以上であると、良好な洗浄効果が発揮される。一方、上限値を超えると、製剤化が困難となりやすく、含有量の増加分の洗浄力向上の効果も得られにくい。
【0024】
<(B)石鹸>
本発明の粒状洗剤組成物においては、(B)成分を含有することにより、主としてすすぎ性(粒状洗剤組成物の抑泡効果)が向上し、洗浄性能も高まる。
(B)成分としては、一般の洗剤組成物に使用される石鹸のいずれも使用でき、なかでも炭素数10〜20の高級脂肪酸塩が好ましく、炭素数11〜17の高級脂肪酸塩がより好ましい。
粒状洗剤組成物中、(B)成分の含有量(該組成物全体を基準として)は、0.1〜20質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましく、3〜7質量%であることがさらに好ましい。
(B)成分の含有量が下限値以上であると、抑泡効果が得られやすく、また、良好な洗浄効果が発揮されやすい。一方、上限値を超えると、製剤化が困難となりやすい。
【0025】
<(C)銅化合物>
本発明の粒状洗剤組成物においては、(C)成分を含有することにより、主として殺菌効果が向上する。
(C)成分としては、銅原子を含む化合物であればよく、硫酸銅、塩化銅、炭酸銅、臭化銅、ヨウ化銅、水酸化銅、硝酸銅もしくはこれらの水和物などの無機化合物;酢酸銅、アセチルアセトナート銅、グルコン酸銅、シュウ酸銅、酒石酸銅などの有機化合物が挙げられる。なかでも、硫酸銅、塩化銅又はこれらの水和物が好ましく、水への溶解性が特に良好なことから、硫酸銅の水和物、塩化銅の水和物がより好ましい。
(C)成分は、一種単独で、又は二種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
粒状洗剤組成物中、(C)成分の含有量(該組成物全体を基準として)は、銅化合物中の銅含量(銅換算)で0.04〜0.8質量%であり、0.04〜0.3質量%であることが好ましく、0.1〜0.3質量%であることがさらに好ましい。
(C)成分の含有量が下限値以上であると、殺菌効果が得られやすい。一方、上限値を超えても、含有量の増加分の殺菌効果の向上が見られない。また、衣料に着色物が付着しやすくなるおそれがある。
【0026】
銅化合物中の銅含量(銅換算)は、たとえば粒状洗剤組成物中に硫酸銅5水和物(CuSO・5HO)1質量%を含有する場合、以下のようにして算出することができる。
銅化合物中の銅含量(質量%)
=硫酸銅5水和物の含有量(質量%)×(Cu分子量/CuSO・5HO分子量)
=1×(64/250)
=0.26(質量%)
【0027】
<(D)アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びアスコルビン酸の誘導体から選択される一種以上>
本発明の粒状洗剤組成物においては、(D)成分を含有することにより、主として衣料への着色物付着が抑制される。
アスコルビン酸塩としては、アスコルビン酸ナトリム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸マグネシウム等が挙げられる。
アスコルビン酸の誘導体としては、6−ステアリン酸アスコルビル、6−パルミチン酸アスコルビル、2,6−ジパルミチン酸アスコルビル、2,3,5,6−テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸カリウム、アスコルビン酸−2−硫酸2ナトリウム、アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム、アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム、アスコルビル−2−グルコシド等が挙げられる。
なかでも、(D)成分としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、6−ステアリン酸アスコルビルが好ましく、アスコルビン酸が最も好ましい。
(D)成分は、一種単独で、又は二種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
粒状洗剤組成物中、(D)成分の含有量(該組成物全体を基準として)は、(C)成分の含有量に合わせて決定され、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.2〜3質量%であることがより好ましい。
(D)成分の含有量が下限値以上であると、衣料への着色物付着がより抑制される。加えて、殺菌効果がより増強される。一方、(D)成分の含有量が3質量%を超えると、含有量の増加分の殺菌効果が得られにくくなり、5質量%を超えると、他の成分の含有量が少なくなることにより洗浄力が低下する場合がある。
【0028】
本発明において「(C)成分中の銅/(D)成分で表されるモル比」とは、(D)成分のモル数に対する、(C)成分中の銅のモル数の割合(モル比)を意味する。
本発明の粒状洗剤組成物においては、(C)成分中の銅/(D)成分で表されるモル比が1未満であり、0.05〜1未満であることが好ましく、0.2〜0.5であることがより好ましい。
(C)成分中の銅/(D)成分で表されるモル比が1未満であると、衣料への着色物付着が抑制される。
【0029】
本発明において、(C)成分中の銅/(D)成分で表されるモル比は、下式より求めることができる。
(C)成分中の銅/(D)成分
=[粒状洗剤組成物に含まれる(C)成分中の銅(質量%)/銅の分子量64]/[粒状洗剤組成物に含まれる(D)成分(質量%)/(D)成分の分子量]
たとえば、(C)成分として硫酸銅・五水和物(分子量250)1質量%と、アスコルビン酸(分子量176)1質量%とを含有する場合、
(C)成分中の銅/(D)成分
=[(1×64/250)/64]/[1/176]=0.70となる。
【0030】
<(E)無機過酸化物>
本発明の粒状洗剤組成物においては、(E)成分を含有することにより、主として殺菌効果が発揮される。
(E)成分としては、水に溶解した際に過酸化水素を発生するものが用いられ、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムが好ましい。なかでも、経時安定性がより良好なことから、過炭酸ナトリウムが特に好ましい。
(E)成分は、一種単独で、又は二種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
粒状洗剤組成物中、(E)成分の含有量(該組成物全体を基準として)は、0.1〜50質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
(E)成分の含有量が下限値以上であると、殺菌効果が発揮されやすい。一方、(E)成分の含有量が上限値を超えると、他の成分、たとえば(A)成分や(B)成分の含有量が少なくなることにより洗浄力が低下することがある。
【0031】
無機過酸化物に水分や他の成分が接触すると、無機過酸化物の分解が生じる場合がある。これを防止するため、(E)成分に被覆等の処理を施したものを用いてもよい。
被覆が施された(E)成分の粒子としては、既に開示されている酸素系漂白剤粒子を用いることができる(特許第2918991号公報参照)。該漂白剤粒子は、流動状態が保たれた過炭酸ナトリウム粒子に、ホウ酸水溶液とケイ酸アルカリ金属塩水溶液とが別々に噴霧された後、乾燥された造粒物である。
この他に、従来知られている安定化剤(キレート剤等)を被覆剤と併用して被覆が施された(E)成分の粒子も用いることができる。このキレート剤としては、イミノジコハク酸、3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸、ニトリロトリ酢酸、メチルグリシンジ酢酸、ジカルボキシメチルグルタミン酸、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸、セリン二酢酸、又はこれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩など)が挙げられる。この被覆剤としては、パラフィンやワックス等の水不溶性有機化合物などが挙げられる。
【0032】
<(F)アルカリ剤>
本発明の粒状洗剤組成物においては、(F1)アルカリ金属炭酸塩及び(F2)アルカリ金属炭酸水素塩から選択される一種以上の(F)アルカリ剤をさらに含有することが好ましい。(F)アルカリ剤をさらに含有することにより、洗浄力がより高まる。
ただし、(F)成分には、(E)成分に該当する成分(アルカリ金属過炭酸塩など)は含まれないものとする。
【0033】
・(F1)アルカリ金属炭酸塩
(F1)成分としては、通常洗剤に使用される公知のアルカリ金属炭酸塩を用いることができ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が好適に挙げられる。
【0034】
・(F2)アルカリ金属炭酸水素塩
(F2)成分としては、通常洗剤に使用される公知のアルカリ金属炭酸水素塩を用いることができ、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等が好適に挙げられる。
【0035】
(F)成分は、(F1)成分及び(F2)成分から選択される一種以上が好ましく、なかでも殺菌効果が高まることから、(F1)成分と(F2)成分とを併用することが特に好ましい。
(F1)成分と(F2)成分とを併用する場合、両者の含有割合は、質量比で、(F1)/(F2)=0.1〜10であることが好ましく、0.2〜5であることがより好ましい。該質量比の下限値以上であると、洗浄力がより良好となり、一方、上限値以下であると、殺菌効果がより良好となる。
【0036】
粒状洗剤組成物中、(F)成分の含有量(該組成物全体を基準として)は、(F1)成分と(F2)成分との合計で5〜50質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。
(F)成分の含有量が下限値以上であると、洗浄力が高まりやすい。一方、(F)成分の含有量が上限値以下であると、他の成分との配合バランスをとりやすくなる。
【0037】
本発明において「(F2)/[(E)+(F)]で表される質量比」とは、(E)成分と(F)成分との合計の含有量に対する、(F2)成分の含有量の割合(質量比)を表す。
本発明の粒状洗剤組成物においては、(F2)成分を含有する場合、良好な殺菌効果が得られやすいことから、(F2)/[(E)+(F)]で表される質量比が0.1〜0.5であることが好ましい。さらに殺菌効果に優れることから、(F2)/[(E)+(F)]で表される質量比が0.2〜0.4であることがより好ましい。
【0038】
本発明において「[(A)+(B)]/[(E)+(F)]で表される質量比」とは、(E)成分と(F)成分との合計の含有量に対する、(A)成分と(B)成分との合計の含有量の割合(質量比)を表す。
本発明の粒状洗剤組成物においては、(F2)成分を含有する場合、[(A)+(B)]/[(E)+(F)]で表される質量比が0.5〜3であることが好ましく、0.5〜2であることがより好ましい。
該質量比の下限値以上であると、衣料への着色物付着が抑制されやすい。一方、上限値以下であると、衣料への着色物付着が抑制されやすいことに加えて、優れた殺菌効果が得られる。
【0039】
<その他の成分>
粒状洗剤組成物は、前記(A)〜(F)成分以外のその他の成分を必要に応じて含有してもよい。
その他の成分としては、衣料用等の洗浄剤組成物に通常使用されているものを用いることができ、(A)成分以外の界面活性剤(陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤)、洗浄性ビルダー、漂白剤、蛍光増白剤、酵素、酵素安定剤、ポリマー類、ケーキング防止剤、消泡剤、金属イオン捕捉剤、香料、色素などが挙げられる。
【0040】
(陽イオン界面活性剤)
陽イオン界面活性剤としては、以下に示す(21)〜(23)が挙げられる。
(21)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(22)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(23)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
ただし、上記の「長鎖アルキル」は炭素数12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基を示す。
「短鎖アルキル」は、フェニル基、ヒドロキシ基等の置換基を有していてもよく、又は炭素間にエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。具体的には、炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基;ベンジル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のポリオキシアルキレン基を有する基が好適なものとして挙げられる。
【0041】
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、イミダゾリン系の両性界面活性剤、アミドベタイン系の両性界面活性剤等が挙げられる。具体的には、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインが好適なものとして挙げられる。
【0042】
(洗浄性ビルダー)
洗浄性ビルダーとしては、無機ビルダーと有機ビルダーが挙げられる(ただし、(F)成分に該当するものを除く)。
無機ビルダーとしては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物;オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩;結晶性アルミノ珪酸塩、無定形アルミノ珪酸塩等が挙げられる。
上記無機ビルダーの中でも、アルミノ珪酸塩、又は溶解性向上の効果を併せ持つものとして硫酸塩もしくはアルカリ金属塩化物が好ましい。
アルミノ珪酸塩としては、結晶性、非晶質(無定形)のいずれのものも用いることができ、カチオン交換能の点から、結晶性アルミノ珪酸塩が好ましい。
結晶性アルミノ珪酸塩としては、A型、X型、Y型、P型ゼオライトが好ましく、平均一次粒子径は0.1〜10μmが好ましい。粒状洗剤組成物中の結晶性アルミノ珪酸塩の含有量(該組成物全体を基準として)は、1〜40質量%が好ましく、洗浄性能と流動性等の粉体物性の点から、2〜30質量%がより好ましい。
【0043】
有機ビルダーとしては、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノ又はジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;ポリアクリル酸塩、アクリル酸−アリルアルコール共重合体の塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸の塩;ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等のアクリル酸重合体又は共重合体の塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体又は共重合体の塩;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物等が挙げられる。
上記有機ビルダーの中でも、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩が好ましい。特に、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、重量平均分子量が1000〜80000のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアクリル酸塩、重量平均分子量が800〜1000000(好ましくは5000〜200000)のポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸塩(たとえば、特開昭54−52196号公報に記載のもの)が好ましい。
粒状洗剤組成物中、有機ビルダーの含有量(該組成物全体を基準として)は、1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、2〜5質量%がさらに好ましい。
【0044】
上記洗浄性ビルダーは、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
上記洗浄性ビルダーのなかでも、洗浄力、洗濯液中での汚れ分散性が向上することから、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩等の有機ビルダーと、ゼオライト等の無機ビルダーとを併用することが好ましい。
粒状洗剤組成物中、洗浄性ビルダーの総含有量(該組成物全体を基準として)は、充分な洗浄性能を付与する点から、3〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
【0045】
(漂白剤)
漂白剤としては、漂白活性化剤、漂白活性化触媒が挙げられる(ただし、(E)成分に該当するものを除く)。
漂白活性化剤は、公知のものを用いることができ、なかでも有機過酸前駆体を用いることが好ましい。また、漂白活性化剤を含有する粒子の形態で用いることも好ましい。
有機過酸前駆体としては、テトラアセチルエチレンジアミン、炭素数8〜12のアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸、炭素数8〜12のアルカノイルオキシ安息香酸又はこれらの塩が挙げられる。なかでも、4−デカノイルオキシ安息香酸、4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、4−ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。これらの有機過酸前駆体は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
漂白活性化剤を含有する粒子は、公知の製造方法で製造できる。たとえば押出造粒法、ブリケット機を用いた錠剤形状による造粒法により製造することができる。有機過酸前駆体粒子として具体的には、PEG#3000〜#20000、好ましくはPEG#4000〜#6000のポリエチレングリコール等の常温で固体のバインダー物質を加熱溶融した中に、有機過酸前駆体と、オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩等の界面活性剤の粉末とを投入した後、押し出して直径1mm程度のヌードル状の有機過酸前駆体造粒物を製造し、その後、長さ0.5〜3mm程度に軽く粉砕して配合されるものが好ましい。界面活性剤の粉末としては、炭素数14のアルキル鎖を有するα−オレフィンスルホン酸塩が好ましい。
【0046】
漂白活性化触媒は、公知のものを用いることができ、具体的には、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロム、バナジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、タングステン、モリブデン等の遷移金属原子と配位子とが、窒素原子や酸素原子等を介して錯体を形成したものが好ましい。また、漂白活性化触媒を含有する粒子の形態で用いることも好ましい。
漂白活性化触媒を含有する粒子は、公知の造粒法で製造できる。たとえば押出造粒法、ブリケット機を用いた錠剤形状による造粒法により製造することができる。
【0047】
(蛍光増白剤)
蛍光増白剤としては、4,4’−ビス−(2−スルホスチリル)−ビフェニル塩、4,4’−ビス−(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ビフェニル塩、2−(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4’−ビス(トリアゾール−2−イル)スチルベン誘導体、ビス−(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体等が挙げられる。
上記蛍光増白剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中、蛍光増白剤の含有量(該組成物全体を基準として)は、0.001〜1質量%が好ましい。
市販品として具体的には、ホワイテックスSA、ホワイテックスSKC(以上、商品名;住友化学(株)製);チノパールAMS−GX、チノパールDBS−X、チノパールCBS−X(以上、商品名;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);LemoniteCBUS−3B(商品名、Khyati Chemicals製)等が好適なものとして挙げられる。なかでも、チノパールCBS−X、チノパールAMS−GXがより好ましい。
【0048】
(酵素)
酵素としては、プロテアーゼ、セルラーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ等を添加することができる。
プロテアーゼの具体例としては、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラーゲナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、スプチリシン、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼA又はB、アミノペプチターゼ、アスパーギロペプチターゼA又はB等が挙げられる。
市販品としては、サビナーゼ、アルカラーゼ、エバラーゼ、カンナーゼ、エバラーゼ、デオザイム、ポラザイム(以上、商品名;ノボザイムズ社製);API21(商品名、昭和電工(株)製);マクサターゼ、マクサカル、ピュラフェクト、マクサペム(以上、ジェネンコア社製)、KAP(花王(株)製)、特開平5−25492号公報に記載のプロテアーゼK−14、K−16等を挙げることができる。
セルラーゼとしては、市販品のセルザイム、ケアザイム、セルクリーン(商品名、ノボザイムズ社製);KAC500(花王(株)製)、アルカリセルラーゼK、アルカリセルラーゼK−344、アルカリセルラーゼK−534、アルカリセルラーゼK−539、アルカリセルラーゼK−577、アルカリセルラーゼK−425、アルカリセルラーゼK−521、アルカリセルラーゼK−580、アルカリセルラーゼK−588、アルカリセルラーゼK−597、アルカリセルラーゼK−522、CMCアーゼI、CMCアーゼII、アルカリセルラーゼE−II、およびアルカリセルラーゼE−III(以上、特開昭63−264699号公報に記載のセルラーゼ)等が挙げられる。
エステラーゼの具体例としては、ガストリックリパーゼ、バンクレアチックリパーゼ、植物リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、コリンエステラーゼ類、ホスホターゼ類等が挙げられる。
リパーゼの具体例としては、リポラーゼ、リポラーゼウルトラ、ライペックス(以上、商品名;ノボザイムズ社製)、リポサム(商品名、昭和電工(株)製)等が挙げられる。
アミラーゼの具体例としては、市販のステインザイム、ターマミル、デュラミル(以上、商品名;ノボザイムズ社製)等が挙げられる。
上記酵素は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、酵素は、別途安定な粒子として造粒したものを、洗剤生地(粒子)にドライブレンドした状態で使用することが好ましい。
【0049】
(酵素安定剤)
酵素安定剤としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、ポリオール、蟻酸、ホウ素化合物等を配合することができる。なかでも、4ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム等が好ましい。
酵素安定剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中、酵素安定剤の含有量(該組成物全体を基準として)は、0.05〜2質量%が好ましい。
【0050】
(ポリマー類)
本発明の粒状洗剤組成物においては、粒状洗剤組成物粒子を高密度化する場合に使用されるバインダーもしくは粉体物性調整剤として、又は疎水性微粒子(汚れ)に対する再汚染防止効果を付与するため、平均分子量が200〜200000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1000〜100000のアクリル酸及び/又はマレイン酸ポリマーの塩、ポリビニルアルコール;カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、メチルセルロース(MC)、カチオン化セルロース等のセルロース誘導体、粉末セルロース等のセルロースを配合することができる。
また、汚れ放出剤としてテレフタル酸に由来する繰返し単位と、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコールに由来する繰返し単位とのコポリマー、又はターポリマー等を配合することができる。
また、色移り防止効果を付与するため、ポリビニルピロリドン等を配合することができる。
かかるポリマー類は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中、上記ポリマー類の含有量(該組成物全体を基準として)は、0.05〜5質量%が好ましい。
【0051】
(ケーキング防止剤)
ケーキング防止剤としては、パラトルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸塩、スルホコハク酸塩、タルク、微粉末シリカ、粘土、酸化マグネシウム等を配合することができる。
【0052】
(消泡剤)
消泡剤としては、たとえば従来公知のシリコーン/シリカ系のものを挙げることができる。また、かかる消泡剤は、下記の製造方法により得られる消泡剤造粒物として用いてもよい。
まず、マルトデキストリン(商品名、日澱化学株式会社製;酵素変性デキストリン)100gに、消泡剤成分としてシリコーン(コンパウンド型、商品名:PSアンチフォーム、ダウコーニング社製)20gを添加して混合することにより均質混合物を得る。次に、得られた均質混合物50質量%、ポリエチレングリコール(PEG−6000,融点58℃)25質量%、及び中性無水芒硝25質量%を70〜80℃で混合した後、押出し造粒機(型式EXKS−1、不二パウダル株式会社製)により造粒し、消泡剤造粒物を得る(特開平3−186307号公報参照)。
【0053】
(金属イオン捕捉剤)
金属イオン捕捉剤は、水道水中の微量金属イオン等を捕捉し、金属イオンの衣料への吸着を抑制する効果を有する。
金属イオン捕捉剤としては、前記洗浄性ビルダーに包含されるものの他に、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、グリコールエチレンジアミン6酢酸又はこれらの塩等のアミノポリ酢酸類;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体又はこれらの塩;ジグリコール酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸等の有機酸類又はこれらの塩等が挙げられる。
上記金属イオン捕捉剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中、金属イオン捕捉剤の含有量(該組成物全体を基準として)は、0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%である。0.1質量%以上であれば、水道水中の金属イオンを捕捉する効果が向上する。一方、5質量%を超えても、含有量の増加分の金属イオンを捕捉する効果が得られにくい。
【0054】
(香料)
香料は、特に制限はされず、一般に洗剤に使用されるものでもよく、香料成分、溶剤及び香料安定化剤等からなるものが挙げられる。
かかる香料としては、特開2002−146399号公報、特開2003−89800号公報に記載のもの等を用いることができる。
粒状洗剤組成物中、香料の含有量(該組成物全体を基準として)は、0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
【0055】
(色素)
本発明においては、粒状洗剤組成物の外観を良好にするために、染料、顔料等の各種色素を用いることができる。なかでも、保存安定性の点から、顔料が好ましく、耐酸化性を有するものが特に好ましい。
かかる色素としては、酸化物等が挙げられ、なかでも酸化チタン、酸化鉄、銅フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、群青、紺青、シアニンブルー、シアニングリーン等が好ましい。
【0056】
本発明の粒状洗剤組成物を製造する方法は、特に制限されるものではなく、公知の製造方法により製造できる。
たとえば、界面活性剤、無機ビルダー、有機ビルダー、アルカリ剤等の洗剤原料を水に分散・溶解してスラリーを調製した後、該スラリーを噴霧乾燥して噴霧乾燥粒子を得る。次いで、該噴霧乾燥粒子と、その他洗剤原料とを捏和・押出、撹拌造粒、転動造粒等の装置に供して、捏和や造粒、圧縮成形等を施し、さらに必要に応じて粉砕等することにより粒状洗剤組成物を製造することができる。
【0057】
本発明の粒状洗剤組成物の形態は、粒状であり、粉状、顆粒状なども包含する。
粒状洗剤組成物の平均粒子径は、特に限定されず、100〜1000μmが好ましく、300〜500μmがより好ましい。平均粒子径が下限値以上であると、粉塵の発生が抑制され、一方、上限値以下であると、水への溶解性が向上する。
本発明において「平均粒子径」は、目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μmの9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行うことにより求まる値である。
該分級操作は、該9段の篩を、受け皿に、目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の目開き1680μmの篩の上から、100g/回の測定サンプルを入れ、蓋をしてロータップ型篩振盪機(株式会社飯田製作所社製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定する。
受け皿と各篩との質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が、50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、aμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の質量頻度をd%として、下記数式より平均粒子径(50質量%粒径)を求めることができる。
【0058】
【数1】

【0059】
粒状洗剤組成物の嵩密度は、該洗剤組成物に配合される洗剤原料の嵩密度を勘案して決定することができ、0.3g/mL以上が好ましく、0.5〜1.3g/mLがより好ましく、0.6〜1.2g/mLがさらに好ましい。かかる範囲であれば、洗剤原料同士の分級を防止できる。
本発明において、嵩密度は、JIS K3362−1998に準じた方法により測定される値を示す。
【0060】
本発明の粒状洗剤組成物は、高い殺菌力を有すると共にすすぎ性が良好であり、衣料への着色物付着が抑制されたものである。
粒状洗剤組成物においては、無機過酸化物と、キレート剤と、銅とを併用することにより、洗浄液中で高い酸化力を示す金属錯体が形成され、漂白効果及び殺菌効果を得ることができる。また、石鹸を加えることにより、すすぎ時の泡立ちが抑えられて、すすぎ性を良くすることができる。
しかしながら、石鹸を含有し、前記金属錯体を利用した粒状洗剤組成物では、洗濯後の衣料に、緑色〜青緑色の着色物が付着しやすいという問題がある。これは、洗浄液中で、石鹸と銅との化合物(緑色〜青緑色の着色物)が生成し、該着色物が洗濯後の衣料に付着するため、と考えられる。
本発明の粒状洗剤組成物は、上述した(A)〜(E)成分を含有し、(C)成分中の銅/(D)成分で表されるモル比が1未満となっている。このように、(C)成分中の銅と(D)成分とを特定比で配合することにより、(C)成分由来の銅イオンと(B)成分(石鹸)との結合が抑制されるため、着色物が形成されにくくなる、と考えられる。
【0061】
また、本発明の粒状洗剤組成物は、(E)成分と(F)成分との含有割合、(F2)/[(E)+(F)]で表される質量比を0.1〜0.5とすることにより、特に殺菌効果が優れたものになる。これは、洗浄液中で、(C)成分が(D)成分(還元剤)と結合して錯体を形成することにより銅原子の電位が変化し、そこに(E)成分から発生する過酸化水素と、特定量の(F2)成分とが存在することで、殺菌に効果的な酸化力が得られるため、と考えられる。
加えて、(F2)成分を含有し、(A)成分と(B)成分と(E)成分と(F)成分との含有割合、[(A)+(B)]/[(E)+(F)]で表される質量比を0.5〜3とすることにより、優れた殺菌効果が得られることに加えて、衣料への着色物付着が抑制されやすい。かかる効果が得られる理由は定かではないが次のように推測される。(F)成分共存系においても、界面活性剤である(A)成分と(B)成分により、(C)成分の沈澱・凝集が抑制される。これにより、菌体と(C)成分との接触効率が高まることで殺菌効果に優れる。さらに、界面活性剤である(A)成分と(B)成分の量を特定することにより、前記の(C)成分由来の銅イオンと(B)成分(石鹸)とが結合して着色物が形成されたとしても、該着色物は界面活性剤と共に排水されやすくなることで、衣料に付着しにくくなる、と考えられる。
【実施例】
【0062】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
【0063】
<平均粒子径の測定方法>
本実施例において、平均粒子径は、上述した分級操作を行い、上記数式より平均粒子径(50質量%粒径)を求めた。
【0064】
<嵩密度の測定方法>
本実施例において、嵩密度は、JIS K3362−1998に準じた方法により測定した。
【0065】
<水分含有量の測定方法>
本実施例において、水分含有量は、赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、試料5g、試料表面温度130℃、測定時間20分間の条件で測定した。
【0066】
各例の粒状洗剤組成物の組成を表1〜3に示した。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
<(A)成分>。
・MES混合濃縮物:まず、パルミチン酸メチル(ライオン(株)製、商品名:パステルM−16)と、ステアリン酸メチル(ライオン(株)製、商品名:パステルM−180)とを80:20(質量比)になるように混合し、さらに常法により水添処理することにより、ヨウ素価を0.2に低減して精製し、精製脂肪酸メチルエステルを得た。この精製脂肪酸メチルエステルを、流下型薄膜反応器を用いて、脱湿した空気で7体積%に調製したSOガスで反応モル比(SO/飽和脂肪酸エステル)=1.18、反応温度80℃の条件にてスルホン化し、スルホン化生成物を得た。次に、得られたスルホン化生成物を、平均滞留時間20分間の二重管ジャケット付きのループ式熟成管に導入した。このループ式熟成管3基を連続して繋げ、平均滞留時間を60分間とした。充分な攪拌と一定温度を保持するために、スルホン化生成物を線速0.16m/sでループ熟成管に流し、78〜82℃に制御して熟成反応を行うことによりスルホン化を完結し、α−スルホ脂肪酸メチルエステルを得た。続いて、得られたα−スルホ脂肪酸メチルエステル100質量部に対してメタノール(住友化学工業社製、工業グレード、水分500ppm以下)20質量部を導入した後、この混合物と35質量%過酸化水素(三菱ガス化学社製の35%工業用過酸化水素、工業グレード)5.7質量部を、混合ミキサーと熱交換器とを備えた連続ループ式反応器に導入して漂白を行い、α−スルホ脂肪酸メチルエステル漂白処理物を得た。次いで、得られたα−スルホ脂肪酸メチルエステル漂白処理物125質量部に対して、48質量%NaOH水溶液(ダイソー株式会社製の苛性ソーダ、工業グレード)28質量部、非イオン界面活性剤(POEアルキルエーテル)25質量部、水69質量部、メタノール(住友化学工業社製のメタノール、工業グレード)24質量部、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS−H)5質量部を、中和ラインに連続的に供給した。中和方式は、特開2001−64248号公報に記載の中和方式を採用し、プレミキサーと中和ミキサーとの間に、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を定量的にフィードし、連続的に中和できるようにした。そして、予め中和させておいたα−スルホ脂肪酸メチルエステル漂白処理物の中和物と、α−スルホ脂肪酸メチルエステル漂白処理物とを、プレミキサーで完全に混合した後、水酸化ナトリウム水溶液と混合して中和物とした。さらに、上記中和物を原料界面活性剤水溶液として用い、特開2004−210807号公報に記載のリサイクルフラッシュ蒸発を行い、低級アルコールの除去と濃縮化を行って、水分10.8質量%のMES濃縮混合物(MES62質量%、LAS−Na3.5質量%、非イオン界面活性剤(1)16.8質量%)を得た。
【0067】
・LAS−Na:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(LAS−H、ライオン株式会社製、ライポンLH−200、AV値(LAS−Hを1g中和するのに要する水酸化カリウムのmg数)=180.0)を48質量%水酸化ナトリウム水溶液で中和したもの。
・AOS−Na:炭素数14〜18のアルケンスルホン酸Naとヒドロキシアルカンスルホン酸Naとの混合物、ライオン株式会社製のリポランLB−840(純分38質量%)。
・SAS−Na:クラリアント社製、炭素数14〜17のアルキル基をもつホスタプール(Hostapur)SAS93。
【0068】
・非イオン界面活性剤(1):ECOROL26(ECOGREEN社製、炭素数12〜16のアルキル基を有するアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体。
・非イオン界面活性剤(2):ECOROL26(ECOGREEN社製、炭素数12〜16のアルキル基を有するアルコール)の酸化エチレン平均7モル付加体(純分90質量%、水10質量%)。
【0069】
<(B)成分>
・高級脂肪酸塩:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製、純分67質量%、タイター40〜45℃;脂肪酸組成:C12(ラウリン酸)1質量%、C14(ミリスチン酸)10質量%、C16(パルミチン酸)24質量%、C18F0(ステアリン酸)10質量%、C18F1(オレイン酸)54質量%、C18F2(リノール酸)1質量%)。
【0070】
<(C)成分>
・硫酸銅・五水和物:試薬特級、純正化学株式会社製、分子量250(銅の原子量64)。
【0071】
<(C)成分の比較成分(C’)>
・硫酸マンガン・七水和物:試薬特級、純正化学株式会社製、分子量277(マンガンの原子量55)。
【0072】
<(D)成分>
・アスコルビン酸:特級、関東化学社製、分子量176。
・アスコルビン酸ナトリウム:特級、関東化学社製、分子量198。
・6−ステアリン酸アスコルビル:東京化成社製、分子量442。
【0073】
<(E)成分>
・過炭酸ナトリウム:商品名SPCC、Zhejiang JINKE CHEMICALS社製。有効酸素量13.8%、平均粒子径(50質量%粒径)870μm。
【0074】
<(F1)成分>
・炭酸ナトリウム:粒灰(旭硝子株式会社製、平均粒子径(50質量%粒径)320μm、嵩密度1.07g/mL)。
・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子株式会社製、平均粒子径(50質量%粒径)490μm、嵩密度1.30g/mL)。
【0075】
<(F2)成分>
・重炭酸ナトリウム:炭酸水素ナトリウム、試薬特級、純正科学社製。
【0076】
<その他の成分>
・ゼオライト:A型ゼオライトSP#2300(平均粒子径(50質量%粒径)1.25μm、日東粉化工業株式会社製)。
・MA剤:アクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:アクアリックTL−400、日本触媒株式会社製;純分40質量%水溶液)。
・PAA剤:ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アクアリックDL、日本触媒株式会社製;純分40質量%水溶液)。
・塩化ナトリウム:試薬特級、純正科学社製。
・Na型ベントナイト造粒物:商品名ランドロジルDGA Powder、ズードケミ社製。
・蛍光増白剤:チノパールCBS−X(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)/チノパールAMS−GX(チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)=3/1(質量比)の混合物。
・カルボキシメチルセルロース:CMCダイセル1170(商品名、ダイセル化学工業株式会社製、平均粒子径(50質量%粒径)60μm)。
・酵素:プロテアーゼ(サビナーゼ12T)/リパーゼ(LIPEX100T)/アミラーゼ(ステインザイム12GTS)/セルラーゼ(セルザイム0.7T)(以上、ノボザイムズ・ジャパン株式会社製)=4/1/4/1(質量比)の混合物。
・香料:特開2002−146399号公報の[表11]〜[表18]に記載された香料組成物A。
・色素:群青、大日精化工業株式会社製の20質量%水分散液。
・水分
・硫酸ナトリウム:中性無水芒硝(日本化学工業株式会社製)。
【0077】
<粒状洗剤組成物の製造例>
表1〜3に示す各例の組成の配合成分、含有量(質量%)に従い、下記の製造方法により粒状洗剤組成物をそれぞれ製造した(表中、空欄の配合成分がある場合、その配合成分は配合しない)。
表中、配合成分の含有量は純分換算量を示す。
「モル比:(C)成分中の銅/(D)成分」は、(D)成分のモル数に対する、(C)成分中の銅のモル数の割合(モル比)を表す。なお、比較例9のモル比は、(D)成分のモル数に対する、(C’)成分中のマンガンのモル数の割合(モル比)を表す。
「質量比:(F2)/[(E)+(F)]」は、(E)成分と(F)成分との合計の含有量に対する、(F2)成分の含有量の割合(質量比)を表す。
「質量比:[(A)+(B)]/[(E)+(F)]」は、(E)成分と(F)成分との合計の含有量に対する、(A)成分と(B)成分との合計の含有量の割合(質量比)を表す。
【0078】
(実施例1〜25、比較例1〜8)
工程(i)
撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を60℃に調整した。ここに、(A)成分(ただし、MESと非イオン界面活性剤(1)、(2)を除く)と(B)成分を加えて、10分間撹拌した。続いて、MA剤を加えた。さらに10分間撹拌した後、粉末状ゼオライトの一部(表に記載の含有量から、1.0%の捏和時添加用、5.0%の粉砕助剤用、1.5%の表面被覆用の各量を除いた分)と、炭酸ナトリウム(F1)と、炭酸カリウム(F1)と、重炭酸ナトリウム(F2)と、硫酸ナトリウムとをそれぞれ加えた。さらに20分間撹拌して、水分38質量%の噴霧乾燥用スラリーを調製した後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、平均粒子径(50質量%粒径)320μm、嵩密度0.30g/mL、水分5質量%の噴霧乾燥粒子を得た。
【0079】
工程(ii)
工程(i)で得た噴霧乾燥粒子、MES混合濃縮物、捏和時添加用の1.0%分の粉末状ゼオライト、噴霧添加用の非イオン界面活性剤(1)又は(2)0.5%分を除く残りの非イオン界面活性剤(1)又は(2)、蛍光増白剤及び水を、連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、KRC−S4型)に投入し、捏和能力120kg/hr、温度60℃の条件で捏和し、界面活性剤を含有する水分6質量%の混合物を得た。
【0080】
工程(iii)
工程(ii)で得た混合物を、穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(不二パウダル(株)製、EXDFJS−100型)を用いて押し出しつつ、カッターで切断(カッター周速は5m/s)して、長さ5〜30mm程度のペレットを得た。
次いで、得られたペレットに、粉砕助剤用の5.0%分の粉末状ゼオライト(平均粒子径(50質量%粒径)180μm)を加え、冷風(10℃、15m/s)共存下で直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3)を用いて粉砕した(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:1段目/2段目/3段目いずれも4700rpm)。
【0081】
工程(iv)
工程(iii)で得られた粉砕物と、(C)成分と、(D)成分と、(E)成分と、カルボキシメチルセルロースとを、水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、1.5%分の粉末状ゼオライトを加え、0.5%分の非イオン界面活性剤(1)又は(2)と、香料と、色素(20質量%水分散液)とを噴霧しながら1分間転動し、表面改質して粒子を得た。
水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)に、上記で得られた粒子と酵素とを加え、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、5分間混合して粒状洗剤組成物を得た。
【0082】
(実施例26)
工程(ii)でMES混合濃縮物を配合せず、工程(i)においてMA剤と同じ配合位置でPAA剤を加え、工程(iii)で塩化ナトリウムを加え、工程(iv)でNa型ベントナイト造粒物を加えた以外は、実施例1〜25と同様にして粒状洗剤組成物を得た。
【0083】
(実施例27)
重炭酸ナトリウム(F2)を、工程(i)ではなく、工程(iv)で加えた以外は、実施例8と同様にして粒状洗剤組成物を得た。
【0084】
(比較例9)
(C)成分の代わりに比較成分(C’)を用い、該比較成分(C’)を工程(iv)で加えた以外は、実施例2と同様にして粒状洗剤組成物を得た。
【0085】
<粒状洗剤組成物の評価>
各例の粒状洗剤組成物について、以下に示す評価方法により「殺菌効果」と「すすぎ性」と「衣料への着色物付着抑制」の評価をそれぞれ行った。その結果を表1〜3に併記した。
【0086】
[殺菌効果の評価]
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC12732)をニュートリエント寒天培地(ディフコ社)の平板培地に接種して37℃で24時間培養し、その生育菌を白金耳にて回収し、滅菌水に懸濁して、550nmにおける濁度が約2となる懸濁液(菌液)を調製した。
3°DHの水1.5Lに試料(各例の粒状洗剤組成物)1gを溶解して調製した溶液10mLに、前記菌液0.1mLを添加して25℃で10分間反応させ、その反応液1mLをSCDLP培地(ダイゴ社)9mLに添加して反応を終了させた。その後、SCDLP培地で10倍ごとに5回、順次希釈した。該希釈後の液1mLを90mmシャーレに添加し、45℃に保温したニュートリエント寒天培地を添加して混釈し、37℃で保温して生育したコロニー数を数え、反応液中の生菌数(N)を求めた。対照として、試料未添加の3°DHにて反応させた生菌数(M)を求めた。そして、下式
殺菌効果(ΔLOG)=log10M−log10
より生菌数の差を算出し、殺菌効果について評価した。
殺菌効果(ΔLOG)の値が大きいほど、殺菌効果が高いことを意味する。
【0087】
[すすぎ性の評価]
各例の粒状洗剤組成物20gをそれぞれ秤量し、25℃の水道水30Lを入れた二槽式洗濯機(三菱電機社製、CW−C30A1−H)に投入して1分間攪拌した。そこに、人工汚垢1質量%owfを付着させた肌シャツを、浴比が約30となるように加え、10分間洗濯し、1分間脱水した。その後、25℃の水道水30Lを加えて3分間攪拌し、1分間脱水した。さらに、25℃の水道水30Lを加えて3分間攪拌し、1分後の泡立ち状態を観察し、下記評価基準に従ってすすぎ性を評価した。
評価基準
◎:泡高が3mm未満であり、細かい泡による白色状の部分が認められなかった。
○:泡高が5mm未満であり、細かい泡による白色状の部分が認められなかった。
△:泡高が5mm未満であり、細かい泡による白色状の部分が認められた。
×:泡高が5mm以上の場所が認められた。
なお、人工汚垢として次の組成からなるものを用いた。ミリスチン酸0.5質量%、パルミチン酸1.5質量%、オレイン酸1.3質量%、トリオレイン1.7質量%、コレステロールステアレート0.8質量%、スクワレン0.8質量%、固形パラフィン0.8質量%、コレステロール0.9質量%、ベンゼン残分。
「人工汚垢1質量%owf」とは、人工汚垢の濃度が肌シャツ全量に対して1質量%であることを表す。
「浴比」とは、人工汚垢1質量%owfを付着させた肌シャツに対する水道水の質量比を表す。
【0088】
[衣料への着色物付着抑制の評価]
各例の粒状洗剤組成物3gを1Lビーカーに採り、25℃に調整した水道水(3°DH)500mLを加え、マグネチックスターラー(三田村理研工業株式会社製、CONSTANT TORQUE MAGMIX STIRRER、回転子寸法:長さ15mm、直径5mm、回転数:200rpm)で1分間撹拌して溶解させた。
この溶液に、10cmのかなきん布を1枚入れて、25℃で10分間放置した。その後、該かなきん布を取り出し、500mLの蒸留水を入れた1Lビーカーに、この取り出したかなきん布を入れて、1分間撹拌してすすいだ。その後、該かなきん布を取り出して自然乾燥させた。そして、該自然乾燥後のかなきん布と、水道水のみで処理したかなきん布(対照)とを、その色調について目視により比較し、下記評価基準に従い、衣料への着色物付着抑制を評価した。
評価基準
◎:対照に比べて、緑色〜青緑色の着色が認められなかった。
○:対照に比べて、緑色〜青緑色の着色がほとんど認められなかった。
△:対照に比べて、緑色〜青緑色の着色がわずかに認められた。
×:対照に比べて、緑色〜青緑色の着色が明らかに認められた。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
表1〜3の結果から、実施例1〜27の粒状洗剤組成物は、高い殺菌力を有すると共にすすぎ性が良好であり、衣料への着色物付着が抑制されていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)非石鹸性陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤から選択される一種以上を10〜45質量%と、
(B)石鹸と、
(C)銅化合物を銅換算で0.04〜0.8質量%と、
(D)アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びアスコルビン酸の誘導体から選択される一種以上と、
(E)無機過酸化物とを含有し、
(C)成分中の銅/(D)成分で表されるモル比が1未満である粒状洗剤組成物。
【請求項2】
(F1)アルカリ金属炭酸塩及び(F2)アルカリ金属炭酸水素塩から選択される一種以上の(F)アルカリ剤をさらに含有する、請求項1記載の粒状洗剤組成物。
【請求項3】
前記(F2)成分を含有し、(F2)/[(E)+(F)]で表される質量比が0.1〜0.5である、請求項2記載の粒状洗剤組成物。
【請求項4】
前記(F2)成分を含有し、[(A)+(B)]/[(E)+(F)]で表される質量比が0.5〜3である、請求項2又は請求項3記載の粒状洗剤組成物。

【公開番号】特開2012−131836(P2012−131836A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282380(P2010−282380)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】