説明

粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰の製造方法

【課題】石灰石粉末、苦土石灰粉末などを原料として、耐水性に優れた粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰であって、電気炉、溶鉱炉などの熔鋼溶解炉などで一般的に使用される酸化マグネシアや、苦土石灰などの塩基性耐火物の骨材の代替品として使用できる粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰の製造方法の提供。
【解決手段】下記工程(1)-(6)を含む工程によって製造することを特徴とする粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰の製造方法により課題を解決できる。(1)石灰石粉末、生石灰粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末から選ばれる石灰系粉末原料を準備する。(2)必要に応じて、石灰系粉末原料の種類に応じて接着剤、焼結剤、水から選択される添加剤を所定量混合する。(3)常温で加圧成形して石灰系粉末原料の加圧成形物を作製する。(4)前記加圧成形物を1000℃以上で焼成して、焼成成形物を作製する。(5)焼成後、焼成成形物を常温まで冷却する。(6)冷却後、前記焼成成形物を適量の水中で水処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石灰石粉末、生石灰粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末から選ばれる石灰系粉末を原料として粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰(以下、略して粒状消石灰と称す場合がある)を製造する方法に関するものであり、更に詳細には、水中に入れても崩れて粉々になったり、粉末化されない耐水性に優れた粒状消石灰であって、電気炉、溶鉱炉などの熔鋼溶解炉などで一般的に使用される酸化マグネシアや、苦土石灰などの塩基性耐火物の骨材の代替品として使用できる粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製鉄業界などに於いて、電気炉、溶鉱炉などの熔鋼溶解炉などで使用される塩基性耐火物の骨材としては、一般的に酸化マグネシアや、苦土石灰などが使用されている。
そして酸化マグネシアや苦土石灰などの材料は、現在では中国が主な原産地として知られており、日本には輸入されて使用されている。
近年、中国の急速な発展に伴い、価格は高騰し、ここ10年間の間に、数倍の価格値上げとなった。その上、中国側の輸出規制もあって、将来は輸入量が確保されず、益々の価格高騰と輸入量規制で、材料の確保が困難になることが予想される。
【0003】
酸化マグネシアや、苦土石灰などの塩基性耐火物の骨材の代替品として使用できる、水中に入れても崩れて粉々になったり、粉末化されない耐水性のある粒状消石灰の出現は、耐火物業界や、製鋼業界の悲願とも言えるものである。
生石灰は、石灰石鉱石を破砕して、1200℃前後の温度で焼成して容易に製造される。製造された生石灰は、酸化マグネシアや苦土石灰に比較して、勝るとも劣らない耐火性を有していることは、周知の通りである。
しかし、現在までは、生石灰は耐火物として使用されていない。それには次のような理由がある。
【0004】
すなわち生石灰は、水と容易に反応して激しく発熱し、若干膨張しながら消石灰粉末に変化するため、水をバインダーとして使用する耐火物として、使用が困難ということである。
また、生石灰は大気中に放置すると、空気中の水分と反応して自然消化し、粉末消石灰に変化することも良く知られている。
また苦土石灰鉱石から製造される焼結苦土石灰は、耐火物として使用されているが、生石灰と同様に空気中の水分により、自然消化し粉末化する欠点がある。従って、焼結苦土石灰は、現在ではピッチやタールなどを表面に被覆して、粉末化するのを防いでいるが、炉壁などには使用されず、炉床に主に使用されている。何れにしても大変扱いにくい材料と言える。
【0005】
また、生石灰から製造される消石灰は、その全部分が粉末化したものであり、ほんの一部が耐火材料として使用される程度である。粉末状の消石灰は耐火物骨材としては使用されていないし、使用できないのが現状である。
【0006】
従来、0.3μm以下の炭酸カルシウム、あるいは炭酸カルシウムと酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムまたはドロマイトとの混合物を30重量%以上含む粉粒体組成物を、成形後、1000−1600℃で焼成する耐水和性石灰焼成体が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、0.3μm以下、好ましくは0.1μm以下の炭酸カルシウムを使用しないと耐水和性が劣るので、粉砕などに手間とコストがかかる問題がある。
また、貝殻類を1250℃以上で焼成した後、粉砕し、水和防止のために5%以下のステアリン酸または5%以下のエポキシ樹脂を添加してプレス成形し、1100℃以上で焼成して石灰系耐火煉瓦とする提案がある(特許文献2参照)。
しかし、貝殻類を原料とし、水和防止のためにステアリン酸またはエポキシ樹脂を添加するので、手間とコストがかかる問題がある。
また、洗浄した石灰石を25mm以下に粉砕し、1000−1150℃で焼成し、焼成した塊を水和して乾燥した塊に遷移金属酸化物から選ばれる添加剤を混合し、得られた混合物をペレット化し、そのペレットを焼結する高密度耐水和性石灰焼結物の製造方法が提案されている(特許文献3、4参照)。
しかし、遷移金属酸化物を混合したり、ペレット化するので、手間とコストがかかる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平6−49609号公報
【特許文献2】特開平5−155653号公報
【特許文献3】特開2000−302536号公報
【特許文献4】特開2001−253766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、近年耐火物業界では、耐火物の原料はその殆どが中国からの輸入が主となっている。近い将来、中国が使用する耐火物主原料は、逼迫して来ると予想した場合、中国からの輸入量も制限され、最後には中国は輸出禁止処置を取るのではないかと推察されている。そのため、鉄鋼業界に於いても、日本に大量に埋蔵されている材料を原料とすることができる耐火物材料の開発が、近い将来早急に必要になることは必定である。
【0009】
そこで、本発明者は、石灰石粉末、生石灰粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末から選ばれる石灰系粉末を原料として、特に鉄鋼業界で必要な塩基性耐火物である酸化マグネシウムや苦土石灰の代替として使用できる、耐水性に優れた粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰を提供することを考えた。
【0010】
石灰石ならば、日本に沢山埋蔵されており、しかも石灰石、消石灰、苦土石灰を粉末化し、加圧成形して石灰炉で焼成する焼成法を行なう生石灰製造会社も沢山操業しているので、これらの通常の生石灰製造ラインを使用して耐水性に優れた粒状消石灰を製造することが可能となり、そして耐火物として使用可能となれば、前記のような輸入不安も解消される。
苦土石灰の場合も、従来の焼成においては、高温で長時間の焼成により製造しているが、石灰石から生石灰を製造する条件で十分であるので、製造費用も大幅にダウンできることが期待できる。
【0011】
定形塩基性耐火物や不定形塩基性耐火物の主原料のその殆どがマグネシアクリンカーとドロマイトクリンカーであり、電気炉や転炉の補修材として使用されている他に、ドロマイトクリンカーが炉底補修材などや電気炉、転炉、取り鍋などの不定形耐火物補修材として使用されている。これ等の材料も殆どが中国で生産されて許可制をクリアした量が輸入されているのが現状である。
【0012】
本発明の目的は、石灰石粉末、生石灰粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末から選ばれる石灰系粉末を原料として、水中に入れても崩れて粉々になったり、粉末化されない耐水性に優れた粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰であって、電気炉、溶鉱炉などの熔鋼溶解炉などで一般的に使用される酸化マグネシアや、苦土石灰などの塩基性耐火物の骨材の代替品として使用できる粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、生石灰の有利性に着目し、長年開発研究を行ってきた結果、前記石灰系粉末を原料として、粒状消石灰であって、水に入れても崩れたり、粉末化しない耐水性に優れた粒状消石灰を製造する方法を開発することに成功した。
本発明の粒状消石灰は、脱水乾燥した後、再度水中に入れても、水と反応することがなく、崩れたり、粉末化しない。水と反応することがなく、崩れたり、粉末化しない粒状消石灰であるので、バインダーとして水を使用することができる。
塩基性耐火物の主原料として、耐水性を有する粒状消石灰を使用することができれば前記問題を解決することができる。
【0014】
以上のように、本発明者は、粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰の製造工程に於いて、仮に生石灰が水と反応しても、崩れて粉々になったり、粉末化しない粒状消石灰が製造できれば、利用価値が大きく広がると考えて、研究開発に取りくみ、製鋼関係企業や耐火物関係業界に、少しでも貢献できると考えて、鋭意研究した結果、石灰石粉末、生石灰粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末から選ばれる石灰系粉末を原料とし、必要に応じて、接着剤(小麦粉など)や焼結剤(硫酸基)や、バインダ―(水)などの添加剤を所定量混合した後、常温で加圧成形して加圧成形物を作り、この加圧成形物を生石灰製造炉またはキルンなどの電気炉で1000℃以上で焼成し、焼成後、冷却し、冷却後、適量の水中で水処理することにより、水中に入れても崩れて粉々になったり、粉末化されず、酸化マグネシアや、苦土石灰などの塩基性耐火物の骨材の代替品として使用できる耐水性に優れた粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰を製造できることを見出して本発明を成すに至った。
【0015】
前記課題を解決するための本発明の請求項1は、下記の工程(1)-(6)を含む工程によって製造することを特徴とする粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰の製造方法である。
(1)石灰石粉末、生石灰粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末から選ばれる石灰系粉末原料を準備する。
(2)必要に応じて、石灰系粉末原料の種類に応じて接着剤、焼結剤、水から選択される添加剤を所定量混合する。
(3)常温で加圧成形して石灰系粉末原料の加圧成形物を作製する。
(4)前記加圧成形物を1000℃以上で焼成して、焼成成形物を作製する。
(5)焼成後、焼成成形物を常温まで冷却する。
(6)冷却後、前記焼成成形物を適量の水中で水処理する。
【0016】
本発明の請求項2は、下記の工程(1)-(7)を含む工程によって製造することを特徴とする粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰の製造方法である。
(1)石灰石粉末、生石灰粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末から選ばれる石灰系粉末原料を準備する。
(2)前記石灰系粉末原料に水をバインダーとして添加して団子成形に適した混合物とし、必要に応じて、石灰系粉末原料の種類に応じて接着剤、焼結剤から選択される添加剤を所定量混合する。
(3)前記混合物を常温で弱加圧成形して、前記混合物の弱加圧成形物を作製する。
(4)前記弱加圧成形物を乾燥する。
(5)乾燥した前記弱加圧成形物を1000℃以上で焼成して、焼成成形物を作製する。
(6)焼成後、焼成成形物を常温まで冷却する。
(7)冷却後、前記焼成成形物を適量の水中で水処理する。
【0017】
本発明の請求項3は、請求項1あるいは請求項2記載の製造方法において、前記焼結剤が硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムから選ばれる硫酸塩であることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項4は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製造方法において、前記接着剤が小麦粉、パルプ廃液、CMCから選ばれるものであることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の請求項5は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製造方法において、前記添加剤が接着剤と水を混合した混合物であることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の請求項6は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の製造方法において、焼成後、前記焼成成形物を2時間以上貯蔵するか放置して冷却後、前記焼成成形物を水中で水処理することを特徴とするものである。
【0021】
本発明の請求項7は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の製造方法において、前記焼成成形物の水中での水処理時間を1分間以上とすることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の請求項8は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の製造方法において、水処理時における水の質量と前記焼成成形物の質量との比(水/焼成成形物)を1.5以上とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の請求項1は、前記の工程(1)-(6)を含む工程によって製造することを特徴とする粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰の製造方法であり、
石灰石粉末、生石灰粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末から選ばれる石灰系粉末を原料として、水中に入れても崩れて粉々になったり、粉末化されない耐水性に優れた粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰であって、電気炉、溶鉱炉などの熔鋼溶解炉などで一般的に使用される酸化マグネシアや、苦土石灰などの塩基性耐火物の骨材の代替品として使用できる耐水性に優れた粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰を容易に経済的に製造できるという顕著な効果を奏する。
【0024】
本発明の請求項2は、前記の工程(1)-(7)を含む工程によって製造することを特徴とする粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰の製造方法であり、
石灰石粉末、生石灰粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末から選ばれる石灰系粉末を原料として、水中に入れても崩れて粉々になったり、粉末化されない耐水性に優れた粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰であって、電気炉、溶鉱炉などの熔鋼溶解炉などで一般的に使用される酸化マグネシアや、苦土石灰などの塩基性耐火物の骨材の代替品として使用できる耐水性に優れた粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰を容易に経済的に製造できるという顕著な効果を奏する。
【0025】
本発明の請求項3は、請求項1あるいは請求項2記載の製造方法において、前記焼結剤が硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムから選ばれる硫酸塩であることを特徴とするものであり、
強度の大きい焼成成形物を製造できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0026】
本発明の請求項4は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製造方法において、前記接着剤が小麦粉、パルプ廃液、CMCから選ばれるものであることを特徴とするものであり、
石灰系粉末原料を用いて、取り扱い易く、加圧成形し易い組成物を得ることができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0027】
本発明の請求項5は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製造方法において、前記添加剤として接着剤と水を混合することを特徴とするものであり、
取り扱い易く、加圧成形し易い組成物を得ることができる上、常温で加圧成形して強度の大きい加圧成形物を作製できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0028】
本発明の請求項6は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の製造方法において、焼成後、前記焼成成形物を2時間以上貯蔵するか放置して冷却後、前記焼成成形物を水中で水処理することを特徴とするものであり、
十分冷却してから前記焼成成形物を水中で安定して容易に水処理でき、耐水性に優れた焼成成形物を容易に製造できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0029】
本発明の請求項7は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の製造方法において、前記焼成成形物の水中での水処理時間を1分間以上とすることを特徴とするものであり、
十分に前記焼成成形物を水中で水処理して、耐水性に優れた焼成成形物を容易に製造できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0030】
本発明の請求項8は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の製造方法において、水処理時における水の質量と前記焼成成形物の質量との比(水/焼成成形物)を1.5以上とすることを特徴とするものであり、
十分に前記焼成成形物を水中で水処理して、耐水性に優れた焼成成形物を容易に製造できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(イ)、(ロ)は、電気炉の内面の不定形耐火物の傷み箇所を本発明の粒状消石灰の水スラリーを吹き付けて補修している状況を説明する説明図である。
【図2】電気炉の底部に本発明の粒状消石灰を付設して耐火物層を形成する状況を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に本発明の内容を図1、図2を用いて詳細に説明する。
[本発明の第1の実施態様]
図1(イ)、(ロ)を用いて、第1の実施態様を説明する。
図1(イ)に示した1は電気炉、2は電気炉1を形成する鋼鉄製の容器であり、3、4はそれぞれ電気炉1の内面に形成された定形耐火物の層および不定形耐火物の層を示す。電気炉1を約1600〜1650℃で鋼鉄の溶解などに使用すると、高熱による摩耗や消耗による耐火物の熔損した部分が発生する。5は熔損した箇所を示す。
図1(ロ)に示したように、約1600〜1650℃の電気炉1の前記箇所5を修理する際には、先ず、本発明の粒状消石灰(Ca(OH))の水スラリー6を作成し、スプレー7に本発明の粒状消石灰の水スラリー6を収容し、スプレー7から本発明の粒状消石灰の水スラリー6を前記箇所5に吹き付ける。
【0033】
前記箇所5に吹き付けられ本発明の粒状消石灰の水スラリー6中の水は蒸発して系外へ去り、本発明の粒状消石灰のみが前記箇所5に瞬時に堆積する。瞬時に堆積した本発明の粒状消石灰は、次回の鉄くず溶解熱で生石灰(CaO)となって、前記箇所5内に強く接着して、かつ強度の大きい補修物8(CaO)となって、電気炉1を使用しても剥離したり、落下したりしなかった。このようにして前記箇所5を補修することができた。
【0034】
[本発明の第2の実施態様]
図2を用いて、第2の実施態様を説明する。
図2(イ)に示した1Aは電気炉、2は電気炉1Aを形成する鋼鉄製の容器を示す。この鋼鉄製の容器2の底部11に耐火物の層を形成する際には、約1500〜1200℃の電気炉1Aの容器2の底部11にシュートで流し入れたり、スコップで挿入したりして本発明の粒状消石灰(Ca(OH))10を必要量敷設する。
【0035】
図2(ロ)に示したように、本発明の粒状消石灰10は、直ちに硬化して、底部11に強く接着して、かつ強度の大きい耐火物の層12となった。このようにして容器2の底部11に耐火物の層を形成することができた。
図2(イ)に示した1Aは電気炉1Aの底部11の内面上に図示しない定形耐火物の層および不定形耐火物の層が形成されており、電気炉1Aを約1600〜1650℃で鋼鉄の溶解などに使用すると、前記のように高熱による摩耗や消耗により不定形耐火物の層の熔損した部分が発生するが、不定形耐火物の層の熔損した部分を補修する場合の実例を次に記載する。
【0036】
先ず、下記の不定形耐火物補修用組成物を作った。
本発明の粒状消石灰(Ca(OH)) 大きさ4−1mm 360g
大きさ1−0mm 300g
大きさ200メッシュ以上
300g
ヘキサメタ燐酸ソーダ粉末 25g
有機質接着剤 7g
粘土 15g
水 75g
次いでこの組成物を手で圧縮して100mm×70mm×30mmの板状に成形した。そして、1200℃で60分焼成した。冷却後、8時間放置した。この焼成物を仮に熔損した不定形耐火物として、この板の上に前記組成物を30g付着させた。そして電気炉中で1500℃で60分焼成した。板に付着させたものは板と一体化しており、強固に接着していた。
【0037】
本発明で使用する石灰石粉末、生石灰粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末は市販のものでもよく、原料石塊を自分で粉砕、篩い分けするなどして加工したものでもよく、これらの混合物でもよい。
【0038】
粉末の粒度は特に限定さないが、平均粒径は60メッシュ以下のものが好ましく、200メッシュ以下のものがより好ましく使用できる。60メッシュ以上では、圧縮成形した成形物の強度がでない恐れがあり、また接着剤や燒結材の分散硬化が落ちる恐れがあり、平均粒径は小さいほど圧縮成形した成形物の強度が大きくなり、接着剤や燒結材の分散硬化が良好になります。
本発明で使用する添加剤の配合量は、石灰系粉末原料の種類に応じてそれぞれ異なる場合が多いので、後述するように石灰系粉末原料の種類別に本発明の粒状消石灰を製造する際の説明中に記載する。
接着剤は、加圧成形した加圧成形物の強度が弱い場合に増強材として使用するものである。
【0039】
本発明で使用する接着剤としては、無機質接着剤および有機質接着剤を挙げることができるが、特に限定されるものではないが、有機質接着剤を好ましく使用できる。有機質接着剤としては、具体的には、例えば小麦粉、パルプ廃液、CMCから選ばれる接着剤を挙げることができる。
【0040】
本発明で使用する焼結剤としては、安価な硫酸塩を挙げることができるが、特に限定されるものではない。硫酸塩としては、具体的には、例えば硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸錫、硫酸鉛、硫酸マンガンなどを挙げることができる。これらの中でも硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムは安価であり、本発明で好ましく使用できる。
【0041】
つぎに、作製した石灰系粉末原料を用いて、常温で加圧成形して石灰系粉末原料の加圧成形物を作製する。
加圧成形の方法や装置や型などは特に限定されるものではなく、公知の方法や装置や型などを用いることができる。
接着剤や焼結剤や水を配合するか、しないか、あるいは石灰系粉末原料の種類によっても加圧の程度など加圧条件が異なるので、石灰系粉末原料の種類別に後述する。
【0042】
つぎに加圧成形物を1000℃〜1500℃、好ましくは1200℃〜1100℃で、30分〜120分、好ましくは40分〜80分、焼成して、焼成成形物を作製する。1000℃未満では安定製造できない恐れがあり、1500℃を超えても経済性以外は問題はない。
焼成方法や焼成装置は特に限定されるものではなく、公知の方法や装置を用いることができる。焼成装置の具体例としては、例えば縦型石灰炉や横型石灰炉を挙げることができる。しかし縦型石灰炉は焼成にバラツキがあり、焼けすぎ、焼け不足などが起こる恐れがあるので、完全焼成ができ高級品を製造できる横型石灰炉(キルンなど)が好ましく使用できる。
そして、焼成後、焼成成形物を常温まで冷却する。強制冷却でも自然冷却でもよいが、後述するようにして常温まで自然冷却で冷却するのが好ましい。
そして、冷却後、前記焼成成形物を後述するようにして適量の水中で水処理し、必要に応じて乾燥して、本発明の粒状消石灰を製造する。
【0043】
石灰系粉末原料の種類別に本発明の粒状消石灰を製造する場合について次に説明する。
(石灰石鉱石を使用する場合)
石灰石鉱石を使用する場合、石灰石を粉末化して石灰石粉末原料を準備して、接着剤、焼結剤、水から選択される添加剤を所定量混合し、石灰石粉末原料を常温で強加圧成形して加圧成形物を作製する。
そして加圧成形物を1000℃以上で焼成して、焼成成形物を作製し、焼成成形物を常温まで冷却後、前記焼成成形物を適量の水中で水処理して、本発明の粒状消石灰を製造する。
【0044】
本発明の他の製造方法は、石灰石鉱石を使用する場合、石灰石を粉末化して石灰石粉末原料を準備して、前記石灰系粉末原料に水をバインダーとして添加して団子成形に適した粘度などを有する混合物とし、必要に応じて、接着剤、焼結剤から選択される添加剤を所定量混合し、石灰石粉末原料を常温で弱加圧成形して弱加圧成形物を作製して、乾燥する。
そして乾燥した弱加圧成形物を1000℃以上で焼成して、焼成成形物を作製し、焼成成形物を常温まで冷却後、前記焼成成形物を適量の水中で水処理して、本発明の粒状消石灰を製造する。
【0045】
石灰石粉末に接着剤を使用しないで加圧成形した場合、加圧圧縮成形物の安定した強度が得られにくい傾向がある。
石灰石粉末原料に接着剤(例えば、小麦粉)を混合する場合は、外掛けで1〜3質量%混合することが好ましい。3質量%を超えても一層の効果が得られない恐れがあり、無駄になる恐れがある。また1質量%未満では、製造効率が悪くなる恐れがある。ただし、石灰石粉末原料に小麦粉以外の接着剤を使用する場合は、加圧圧縮成形物の強度を保持出来る配合で有ればよく、配合量は特に限定されるものではない。
石灰石粉末原料に接着剤(例えば、CMC)を混合する場合は、外掛けで0.2〜1質量%することが好ましい。1質量%を超えても一層の効果が得られない恐れがあり、無駄になる恐れがある。また0.2質量%未満では、加圧圧縮成形物の安定した強度が得られにくく、製造効率が悪くなる恐れがある。
【0046】
石灰石粉末原料に焼結剤(硫酸基)を混合する場合は、外掛けで0.5〜5質量%することが好ましい。5質量%を超えても一層の効果が得られない恐れがあり、無駄になる恐れがある。また0.5質量%未満では、粒状消石灰が得られない恐れがあり、製造効率が悪くなる恐れがある。
【0047】
石灰石粉末原料にバインダ―(水)を混合する場合は、外掛けで3〜13質量%混合する。13質量%を超えると強加圧成形時や弱加圧成形時に石灰粉末乳が流れ出し成形できなくなる恐れがあり、また、3質量%未満では石灰石粉末に湿態状態が保たれず、適切な粘度を付与できず、接着剤としての小麦粉の効果がでない恐れがある。
【0048】
石灰石粉末のみを使用して加圧成形する場合は、20MPaの強加圧でも加圧成形物の強度が不安定であるが、接着剤を使用すると、15MPaの加圧でも充分強度のある加圧成形物を作製することができる。
【0049】
(石灰石を使用して製造試験する場合の1例)
1)石灰石を粉末化し、焼結剤(硫酸塩)及び接着剤と水を混合する。
2)23g秤量して加圧成形する(CaCO3として20gとする)
3)加圧成形した後、脱水乾燥し、加圧成形物を電気炉内に挿入して、1200℃で60分間焼成する。
4)60分間焼成後は、電気炉から焼成成形物(生石灰)を取り出し、サンドバス上に静置して自然冷却する。
5)冷却後は焼成成形物(生石灰)を容器に入れて密封する。
【0050】
(生石灰を使用する場合)
生石灰を使用する場合、生石灰を粉末化して生石灰粉末原料を準備して、必要に応じて、接着剤、焼結剤から選択される添加剤を所定量混合し、常温で15MPa程度で強加圧成形して加圧成形物を作製する。
そして加圧成形物を1000℃以上で焼成して、焼成成形物を作製し、焼成成形物を常温まで冷却後、前記焼成成形物を適量の水中で水処理して、本発明の粒状消石灰を製造する。
生石灰粉末原料に対して、水をバインダーとする接着剤は使用できないので、焼結剤(硫酸基)を外掛けで0.5〜3質量%混合し、強加圧成形して加圧成形物を作製する。3質量%を越えて混合しても一層の効果を得ることができない恐れがあり、無駄になる恐れがある。0.5%未満では効果が薄い恐れがある。
生石灰の加圧成形物は、空気中の水分を吸収して発熱して崩壊する場合があり、取り扱いにくく、不安定で配慮が必要となる。
【0051】
(生石灰を使用して製造試験する場合の1例)
1)生石灰を粉末化し、焼結剤(硫酸塩)を混合する。
2)20g秤量し加圧成形する。
3)加圧成形した後、加圧成形物を電気炉内に挿入して、1200℃で60分間焼成する。
4)60分間焼成後は、電気炉から焼成成形物(生石灰)を取り出し、サンドバス上に静置して自然冷却する。
5)冷却後は焼成成形物(生石灰)を容器に入れて密封する。
【0052】
(消石灰を使用する場合)
消石灰を使用する場合、消石灰粉末を原料として準備して、必要に応じて、接着剤、焼結剤、水から選択される添加剤を所定量混合し、常温で加圧成形して加圧成形物を作製する。
そして加圧成形物を1000℃以上で焼成して、焼成成形物を作製し、焼成成形物を常温まで冷却後、前記焼成成形物を適量の水中で水処理して、本発明の粒状消石灰を製造する。
加圧成形物の強度が弱い時には、消石灰粉末原料に、接着剤(小麦粉)を外掛けで1〜3質量%、水を外掛けで1〜5質量%混合し、加圧成形して加圧成形物を作製する。接着剤が1質量%未満では、接着効果が低くなる恐れがあり、3質量%を超えても一層の効果が出ず、無駄になる恐れが有る。
消石灰粉末に、焼結剤(硫酸基)を外掛けで0.5〜5質量%混合して加圧成形して加圧成形物を作製することが好ましい。焼結剤(硫酸基)が0.5質量%未満では、接着効果が低くなる恐れがあり、5質量%を超えても一層の効果が出ず、無駄になる恐れが有る。
【0053】
(消石灰を使用して製造試験する場合の一例)
1)消石灰は生石灰に水を加えて製造されるが、製造された消石灰は粉末状である。
2)消石灰粉末原料をそのまま20g秤量して加圧成形する(Ca(OH)2として20gとする)。
3)あるいは消石灰粉末原料に対して、焼結剤(硫酸塩)を混合して20g秤量し加圧成形する。
4)あるいは、消石灰粉末に対して、焼結剤及び接着剤と水を混合して21g秤量して加圧成形する。
5)加圧成形した後、加圧成形物を脱水乾燥して、乾燥後、電気炉に挿入し、1200℃で60分間焼成する。
6)60分間焼成後は、電気炉から焼成成形物(生石灰)を取り出し、サンドバス上に静置して自然冷却する。
7)冷却後は焼成成形物(生石灰)を容器に入れて密封する。
【0054】
(苦土石灰を使用する場合)
苦土石灰を使用する場合、苦土石灰を粉末化して苦土石灰粉末原料を準備して、必要に応じて、接着剤、焼結剤、水から選択される添加剤を所定量混合し、常温で強加圧成形して加圧成形物を作製する。そして加圧成形物を1000℃以上で焼成して、焼成成形物を作製し、焼成成形物を常温まで冷却後、前記焼成成形物を適量の水中で水処理して、本発明の粒状消石灰を製造する。
【0055】
苦土石灰粉末原料に焼結剤(硫酸基)を外掛けで1〜5質量%、バインダー(水)外掛けで1〜5質量%混合して、加圧成形物を作製することが好ましい。いずれも1質量%未満では、効果が低くなる恐れがあり、5質量%を超えても一層の効果が出ず、無駄になる恐れがある。
【0056】
接着剤を使用する場合は、加圧成形した加圧成形物の強度が弱い場合に増強材として使用することが好ましい。
接着剤(小麦粉)使用時は、外掛けで1〜3質量%使用する。3質量%を超えると苦土石灰粉末原料が加圧により乳状化して加圧成形がしにくくなる傾向がある。1質量%未満では接着剤の効果が発揮できない恐れがある。
小麦粉以外の接着剤を使用する場合は、苦土石灰粉末原料を加圧成形して、加圧成形物が充分な強度が保てる配合で有ればよく、その配合量は特に限定されるものではない。
【0057】
(苦土石灰を使用して製造試験する場合の一例)
1)苦土石灰を粉末化し、燒結剤(硫酸塩)を混合する。
2)苦土石灰粉末原料28gを秤量して加圧成形する(Mg(OH)2・Ca(OH)2として20gとする)。
3)あるいは、苦土石灰粉末原料に対して、焼結材(硫酸塩)及び接着剤と水を混合する。28gを秤量して加圧成形する。
4)加圧成形した後、加圧成形物を脱水乾燥し、加圧成形物を電気炉内に挿入して、1200℃で60分間焼成する。
5)60分間焼成後は、電気炉から焼成成形物(生石灰)を取り出し、サンドバス上に静置して自然冷却する。
6)冷却後は焼成成形物(生石灰)を容器に入れて密封する。
【0058】
石灰系粉末原料に必要に応じて接着剤、焼結剤、水から選択される添加剤を所定量混合し、常温で加圧成形して石灰系粉末原料の加圧成形物を作製し、加圧成形物を加圧成形して1200℃で60分間焼成して得られた焼成成形物は、生石灰又は焼成苦土石灰であり、この生石灰又は焼成苦土石灰は、空気中に放置すると、空気中の水分を吸収して崩壊し、粉末化するので、冷却後はポリ袋などの容器に入れて保存した。
このようにして保存した粒状生石灰及び焼成苦土石灰を次の工程で、適量の水中で水処理を行って本発明の粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰を製造することができる。
【0059】
つぎに加圧成形物を1000℃以上で焼成して、焼成成形物を作製し、焼成成形物を常温まで冷却後、前記焼成成形物を適量の水中で水処理する試験について記載する。
1)100ccが入る容器に、20℃の水を30cc、60cc入れたものを使用するか、あるいは
2)150ccが入る溶器に、20℃の水を120cc入れたものを使用する。
3)電気炉で焼成して取り出した焼成成形物は、電気炉から取り出した時点から計測して、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、1日後、2日後、3日後、4日後に水の入った容器内に入れて水処理する。
水中に入れてから取り出すまでの時間(水中での水処理時間)は、1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間とした。
4)水処理後は直ちに取り出し、篩機の1mm金網で水中篩を行い、篩上に残った焼成成形物を取り出して乾燥し質量(b)を測定する。後述する計算式を用いて粒状消石灰の生成率(Y)(%)を求めた。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例および比較例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
(消石灰粉末原料の製造)
先ず、下記のようにして消石灰粉末原料(以下、自家製消石灰粉末と称す場合がある)を製造した。
1)混合機に水を20Kg計量して入れる。
2)約10〜30mmの大きさの生石灰の粒状物を20Kg秤量し、水を入れた前記混合機を稼動しながら添加する。
3)生石灰の粒状物は急激に化学反応を起こし、発熱膨張しながら水蒸気を放出して消石灰粉末が生成される。水蒸気の発生が終わったら、混合機を停止し、自然冷却して消石灰粉末原料を得た。
【0062】
(加圧成形)
得られた消石灰粉末原料20gを、直径70mm、長さ120mmの鉄材に、直径30mmの穴を開けた耐圧容器に入れて、別に用意した直径30mm弱、長さ120mmの鉄材圧縮棒を用いて常温で、15MPaで加圧して加圧成形物を作製した。
【0063】
(焼成−冷却)
加圧成形物を電気炉中に入れて1200℃で60分間焼成して焼成成形物を作製した。焼成後、電気炉から焼成成形物を取り出し、焼成成形物をサンドバス上に放置して室温で、2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間、ポリ袋に入れて自然冷却した。
【0064】
(水中での水処理)
それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、100cc容器に20℃の水を30cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
【0065】
(焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定する)
水処理後、容器中の水と残留物を排出し、目開き1mmの金網篩機で水中篩分けを行った。泥状になった部分は、水中で金網を通過し底に沈澱する。この沈殿物は崩れて粉々になったり、粉末化したものと判断する。そして、金網上に残った粒状物をステンレス皿に入れて、乾燥器で脱水乾燥して、粒状消石灰の質量g(b)を測った。
使用した消石灰粉末原料20gを(a)とすると、粒状消石灰の生成率(Y)(質量%)は次式で計算される。
Y(質量%)=[(b)/(a)]×100
【0066】
実施例1以降の実験において、加圧成形した加圧成形物が、略同じ容積に成るように考えて、苦土石灰粉末を用いたときは、28g秤量して加圧成形した。
前記のように、消石灰(Ca(OH)2を用いたときは、20g秤量して加圧成形した。a=20gとする。
石灰石(CaCO3)を用いたときは、20g秤量して加圧成形した。a=14.8gとする(Ca(OH)2として)
生石灰(CaO)を用いたときは、20g秤量して加圧成形した。a=26.4gとする(Ca(OH)2として)
苦土石灰を用いたときは、28gを秤量して加圧成形した。a=20gとする(Mg(OH)2・Ca(OH)2として)。但し、MgCO3とCaCO3は、45質量%と55質量%として算出した。従って、計算式はそれぞれ下記のようになる。
消石灰粉末の場合:Y(質量%)=[(b)÷(a=20g)]×100
石灰石塊粉末の場合:Y(質量%)=[(b)÷(a=14.8g)]×100
生石灰粉末の場合Y(質量%)=[(b)÷(a=26.4g)]×100
苦土石灰粉末の場合:Y(質量%)=[(b)÷(a=20g)]×100
【0067】
このようにして得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさ(目視により下記の判定基準で判定した小粒かあるいは中粒かあるいは大粒)の関係を表1に示す。
表中の大粒とは、焼成成形物と略同じ大きさのものか、あるいは焼成成形物が4〜6個に割れた大きさのものであり、中粒とは、焼成成形物の原形はなく5〜6mm程度に割れたものであり、小粒とは、焼成成形物の原形はなく1〜3mm程度に割れたものであり、粉末とは、泥状態で目開き1mmの金網を通過した大きさのものである。
【0068】
(実施例2)
100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した以外は実施例1と同様に試験して、得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表2に示す。
【0069】
(実施例3)
150cc容器に20℃の水を120cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した以外は実施例1と同様に試験して、得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表3に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
表1〜表3から、実施例1より実施例2が、実施例2より実施例3が、容易に粒状消石灰が得られることが分かる。水処理時の水量が30ccより60ccが、60ccより120ccの方が、容易に粒状消石灰が得られることが分かる。
実施例1〜実施例3において、水処理の時間が1分間よりも60分間の方が、容易に粒状消石灰が得られることが分かる。
自然冷却の時間が2時間後より4日後の方が、容易に粒状消石灰が得られることが分かる。
【0074】
(実施例4)
消石灰粉末原料に焼結剤(硫酸マグネシウム)を外掛けで3質量%添加して使用し、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した以外は実施例1と同様に試験して、得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表4に示す。
【0075】
(実施例5)
消石灰粉末原料に焼結剤(硫酸マグネシウム)を外掛けで3質量%添加して使用し、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した以外は実施例1と同様に試験して、得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表5に示す。
【0076】
(実施例6)
消石灰粉末原料に焼結剤(硫酸マグネシウム)を外掛けで3質量%添加して使用し、150cc容器に20℃の水を120cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した以外は実施例1と同様に試験して、得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表6に示す。
【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【0080】
表4〜表6から、実施例4より実施例5が、実施例5より実施例6が、容易に粒状消石灰が得られることが分かる。水処理時の水量が30ccより60ccが、60ccより120ccの方が、容易に粒状消石灰が得られることが分かる。
水処理の時間が長い程、粒状消石灰は容易に製造出来る。
実施例4〜実施例6において、水処理の時間が1分間よりも60分間の方が、容易に粒状消石灰が得られることが分かる。
自然冷却の時間が長い程、容易に粒状消石灰が得られることが分かる。
実施例4では、水処理時間が60分間では自然冷却の時間が4時間後、30分間では8時間後、20分間では2日後、容易に粒状消石灰が得られる。
実施例5では、水処理時間が20分間では自然冷却の時間が2時間後、10分間では1日後、1分間では3日後、容易に粒状消石灰が得られる。
実施例6では、水処理時間が5分間では自然冷却の時間が2時間後、1分間では4時間後、容易に粒状消石灰が得られる。
【0081】
実施例1と実施例4とは、同じ水処理水量30ccの実験である。実施例1では焼結剤を使用しておらず、電気炉から取り出してから自然冷却の時間の時間が2日後以上で水処理の時間が30分間以上に於いて粒状消石灰の生成率(Y)100質量%粒状消石灰が得られている。
実施例4では焼結剤を使用しており、電気炉から取り出してから自然冷却の時間が4時間で水処理の時間が60分、自然冷却の時間が8時間で水処理の時間が30分、自然冷却の時間が2日で水処理の時間が20分で粒状消石灰の生成率(Y)100質量%粒状消石灰が得られている。これは明らかに焼結材の効果である。
同様にして、実施例2と実施例5とを対比しても、実施例3と実施例6とを対比しても、焼結材の効果は明らかである。
【0082】
以上まとめると次のようなことが分かる。
1.燒結剤を使用しなくても、水処理の水量を多く使用する方法で粒状消石灰の生成率(Y)100質量%粒状消石灰は得られる。
2.燒結剤を使用する方法が、使用しない方法より安定した、粒状消石灰の生成率(Y)100質量%粒状消石灰が容易に得られる。
3.水処理の水量が30ccより120ccの使用の方が、安定した粒状消石灰の生成率(Y)100質量%粒状消石灰が容易に得られる。
4.水処理の時間が1分間より60分間の方法が、粒状消石灰の生成率(Y)100質量%粒状消石灰が容易に得られる。
5.電気炉から取り出してから自然冷却して水処理するまでの時間が、2時間後よりも4日後の方法が粒状消石灰の生成率(Y)100質量%粒状消石灰が容易に得られる。
【0083】
(比較例1)
大きさ30mm前後の石灰石塊を粉砕することなく、加圧成形することなく、電気炉で、1200℃、60分間そのまま焼成し、焼成後、自然冷却の時間を(1日、2日、3日、4日間)として冷却し、150cc容器に20℃の水を120cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
水中に入れると粉末化した。
自然冷却の時間(1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粉末化の関係を表7に示す。
【0084】
(比較例2)
大きさ30mm前後の生石灰塊を粉砕することなく、加圧成形することなく、電気炉で、1200℃、60分間そのまま焼成し、焼成後、自然冷却の時間を(1日、2日、3日、4日間)として冷却し、150cc容器に20℃の水を120cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
水中に入れると粉末化した。
自然冷却の時間(1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粉末化の関係を表8に示す。
【0085】
(比較例3)
大きさ30mm前後の苦土石灰塊を粉砕することなく、加圧成形することなく、電気炉で、1200℃、60分間そのまま焼成し、焼成後、自然冷却の時間を(1日、2日、3日、4日間)として冷却し、150cc容器に20℃の水を120cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
水中に入れると粉末化した。
自然冷却の時間(1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粉末化の関係を表8に示す。
【0086】
【表7】

【0087】
【表8】

【0088】
【表9】

【0089】
表7〜表9から分るように水中に入れると容易に崩壊して、何れも粉末化してしまい、本発明の粒状消石灰、粒状焼成苦土石灰は得られなかった。
【0090】
(実施例7)
石灰石粉末に焼結剤(硫酸マグネシウム)を外掛けで3質量%添加し、接着剤(小麦粉)を外掛けで3質量%添加し、水を外掛けで18質量%添加して石灰石粉末原料を作製し、手で握って丸めて饅頭を形成できる程度の湿潤状態の混合物とした。この混合物を使用し直径約30mmの饅頭のような形に手で丸めた。
手で丸めた石灰石粉末原料を乾燥機で脱水乾燥して、強い強度の成形物とした。
この成形物を1200℃で60分間電気炉で焼成して焼成成形物を作製した。
焼成成形物を電気炉から取り出してから、焼成成形物をサンドバス上に放置して室温で、2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間、自然冷却した。
それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
実施例1と同様にして焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定した。得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表10に示す。
表10から、前記いずれの条件下でも粒状消石灰の生成率(Y)100質量%で大粒の粒状消石灰が得られたことが分かる。
【0091】
(実施例8)
市販の消石灰粉末に焼結剤(硫酸マグネシウム)を外掛けで3質量%添加し、接着剤(小麦粉)を外掛けで2質量%添加し、水を外掛けで15質量%添加して消石灰粉末原料を作製し、手で握って丸めて饅頭を形成できる程度の湿潤状態の混合物とした。この混合物を使用し直径約30mmの饅頭のような形に手で丸めた。
手で丸めた消石灰粉末原料を乾燥機で脱水乾燥して、強い強度の成形物とした。
この成形物を1200℃で60分間電気炉で焼成して焼成成形物を作製した。
この焼成成形物を電気炉から取り出してから、焼成成形物をサンドバス上に放置して室温で、2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間、自然冷却した。
それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
実施例1と同様にして焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定した。得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表11に示す。
表11から、自然冷却2時間後で水処理時間が1分間以上で粒状消石灰の生成率(Y)100質量%で大粒の粒状消石灰が得られたことが分かる。
【0092】
【表10】

【0093】
【表11】

【0094】
(実施例9)
市販の石灰石粉末に焼結剤(硫酸マグネシウム)を外掛けで3質量%添加し、接着剤(小麦粉)を外掛けで2質量%添加し、水を外掛けで13質量%添加して石灰石粉末原料を作製した以外は実施例1と同様にして、加圧成形物を作製し、それを焼成して焼成成形物を作製し、自然冷却後、それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
実施例1と同様にして焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定した。得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表12に示す。
表12から、自然冷却2時間後で水処理時間が5分間以上で粒状消石灰の生成率(Y)100質量%で粒状消石灰が得られたことが分かる。
【0095】
(実施例10)
市販の石灰石粉末に焼結剤(硫酸マグネシウム)を外掛けで3質量%添加し、接着剤(小麦粉)を外掛けで3質量%添加し、水を外掛けで13質量%添加して石灰石粉末原料を作製した以外は実施例1と同様にして、加圧成形物を作製し、それを焼成して焼成成形物を作製し、自然冷却後、それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
実施例1と同様にして焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定した。得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表13に示す。
表13から、自然冷却3日後で水処理時間が1分間、自然冷却2時間後で水処理時間が5分間以上で100質量%で粒状消石灰が得られたことが分かる。
【0096】
(実施例11)
市販の石灰石粉末に焼結剤(硫酸マグネシウム)を外掛けで3質量%添加し、接着剤(小麦粉)を外掛けで3質量%添加し、水を外掛けで13質量%添加して石灰石粉末原料を作製した以外は実施例1と同様にして、加圧成形物を作製し、それを焼成して焼成成形物を作製し、自然冷却後、それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、150cc容器に20℃の水を120cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
実施例1と同様にして焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定した。得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表14に示す。
表14から、自然冷却1日後で水処理時間が1分間、自然冷却2時間後で水処理時間が5分間以上で粒状消石灰の生成率(Y)100質量%で粒状消石灰が得られたことが分かる。
【0097】
【表12】

【0098】
【表13】

【0099】
【表14】

【0100】
(実施例12)
市販の苦土石灰粉末に焼結剤(硫酸マグネシウム)を外掛けで3質量%添加して苦土石灰粉末原料を作製した以外は実施例1と同様にして、加圧成形物を作製し、それを焼成して焼成成形物を作製し、自然冷却後、それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、100cc容器に20℃の水を30cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
実施例1と同様にして焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定した。得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表15に示す。
表15から、自然冷却2時間後で水処理時間が1分間以上で粒状消石灰の生成率(Y)100質量%で粒状消石灰が得られたことが分かる。
【0101】
(実施例13)
市販の苦土石灰粉末に焼結剤(硫酸マグネシウム)を外掛けで3質量%添加して苦土石灰粉末原料を作製した以外は実施例1と同様にして、加圧成形物を作製し、それを焼成して焼成成形物を作製し、自然冷却後、それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
実施例1と同様にして焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定した。得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表16に示す。
表16から、自然冷却2時間後で水処理時間が1分間以上で粒状消石灰の生成率(Y)100質量%で粒状消石灰が得られたことが分かる。
【0102】
(実施例14)
市販の苦土石灰粉末に焼結剤(硫酸マグネシウム)を外掛けで3質量%添加して苦土石灰粉末原料を作製した以外は実施例1と同様にして、加圧成形物を作製し、それを焼成して焼成成形物を作製し、自然冷却後、それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、150cc容器に20℃の水を120cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
実施例1と同様にして焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定した。得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表17に示す。
表17から、自然冷却2時間後で水処理時間が1分間以上で粒状消石灰の生成率(Y)100質量%で粒状消石灰が得られたことが分かる。
【0103】
【表15】

【0104】
【表16】

【0105】
【表17】

【0106】
(実施例15)
市販の石灰石粉末に焼結剤(硫酸カルシウム)を外掛けで3質量%添加し、接着剤(10%パルプ廃液)を外掛けで15質量%添加して石灰石粉末原料を作製した以外は実施例1と同様にして、加圧成形物を作製し、それを焼成して焼成成形物を作製し、自然冷却後、それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
実施例1と同様にして焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定した。得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表18に示す。
表18から、自然冷却4日後で水処理時間が1分間、自然冷却6時間後で水処理時間が5分間以上で粒状消石灰の生成率(Y)100質量%で粒状消石灰が得られたことが分かる。
【0107】
(実施例16)
市販の石灰石粉末に焼結剤(硫酸カルシウム)を外掛けで3質量%添加し、接着剤(CMC:カルボキシメチルセルロース)を外掛けで0.5質量%添加し、水を外掛けで5質量%添加して石灰石粉末原料を作製した以外は実施例1と同様にして、加圧成形物を作製し、それを焼成して焼成成形物を作製し、自然冷却後、それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
実施例1と同様にして焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定した。得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表19に示す。
表19から、自然冷却2日後で水処理時間が1分間、自然冷却2時間後で水処理時間が5分間以上で粒状消石灰の生成率(Y)100質量%で粒状消石灰が得られたことが分かる。
【0108】
【表18】

【0109】
【表19】

【0110】
(実施例17)
市販の消石灰粉末に焼結剤(硫酸カルシウム)を外掛けで3質量%添加して消石灰粉末原料を作製した以外は実施例1と同様にして、加圧成形物を作製し、それを電気炉中に入れて1200℃で60分間焼成して焼成成形物を作製し、2時間自然冷却後、自然冷却した焼成成形物を、150cc容器に20℃の水を120cc入れた水中に60分間入れて水処理して本発明の粒状消石灰を作製した。
この本発明の粒状消石灰を再度、電気炉中に入れて1200℃で60分間焼成した後、電気炉から焼成成形物を取り出し、焼成成形物をサンドバス上に放置して室温で、2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間、自然冷却し、自然冷却後、それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
実施例1と同様にして焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定した。得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表20に示す。
表20から、本発明の粒状消石灰が繰り返し焼成され、水中で水処理されても、本発明の粒状消石灰は崩れて粉々になったり、粉末化しないことが分かった。
このことから、図1に示したようにして、本発明の粒状消石灰を使用して溶鉱炉1の傷み箇所5を補修した後、補修箇所が再度水と接触しても崩れて粉々になったり、粉末化しないことを確かめることができた。
【0111】
(実施例18)
市販の消石灰粉末に焼結剤(硫酸ナトリウム)を外掛けで3質量%添加して消石灰粉末原料を作製した以外は実施例1と同様にして、加圧成形物を作製し、それを電気炉中に入れて1200℃で60分間焼成して焼成成形物を作製し、2時間自然冷却後、自然冷却した焼成成形物を、150cc容器に20℃の水を120cc入れた水中に60分間入れて水処理して本発明の粒状消石灰を作製した。
この本発明の粒状消石灰を再度、電気炉中に入れて1200℃で60分間焼成した後、電気炉から焼成成形物を取り出し、焼成成形物をサンドバス上に放置して室温で、2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間、自然冷却し、自然冷却後、それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
実施例1と同様にして焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定した。得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表21に示す。
表21から、本発明の粒状消石灰が繰り返し焼成され、水中で水処理されても、本発明の粒状消石灰は崩れて粉々になったり、粉末化しないことが分かった。
このことからも、図1に示したようにして、本発明の粒状消石灰を使用して溶鉱炉1の傷み箇所5を補修した後、補修箇所が再度水と接触しても崩れて粉々になったり、粉末化しないことを確かめることができた。
【0112】
【表20】

【0113】
【表21】

【0114】
(実施例19)
市販の生石灰粉末に焼結剤(硫酸カルシウム)を外掛けで3質量%添加して生石灰粉末原料を作製した以外は実施例1と同様にして、加圧成形物を作製し、それを電気炉中に入れて1200℃で60分間焼成して焼成成形物を作製し、電気炉から焼成成形物を取り出し、焼成成形物をサンドバス上に放置して室温で、2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間、自然冷却し、自然冷却後、それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
実施例1と同様にして焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定した。得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表22に示す。
表22から、自然冷却の時間1日後、水処理の時間10分で粒状消石灰の生成率(Y)100質量%で粒状消石灰が得られた。自然冷却の時間が6時間では水処理の時間30分で、自然冷却の時間が2時間では水処理の時間60分で粒状消石灰の生成率(Y)100質量%で粒状消石灰が得られたことが分かる。
【0115】
(実施例20)
市販の消石灰粉末に焼結剤(硫酸ナトリウム)を添加せずに、消石灰粉末原料として使用した以外は実施例1と同様にして、加圧成形物を作製し、それを電気炉中に入れて1200℃で60分間焼成して焼成成形物を作製し、2時間自然冷却後、自然冷却した焼成成形物を、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に60分間入れて水処理して本発明の粒状消石灰を作製した。
この本発明の粒状消石灰を再度、電気炉中に入れて1200℃で60分間焼成した後、電気炉から焼成成形物を取り出し、焼成成形物をサンドバス上に放置して室温で、2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間、自然冷却し、自然冷却後、それぞれの時間自然冷却した焼成成形物を、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
実施例1と同様にして焼成成形物を水中に入れても、崩れて粉々になったり、粉末化していないかを測定した。得られた、自然冷却の時間(2時間、4時間、6時間、8時間、1日、2日、3日、4日間)と、水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰の粒子の大きさの関係を表23に示す。
表23から、本発明の粒状消石灰が繰り返し焼成され、水中で水処理されても、本発明の粒状消石灰は崩れて粉々になったり、粉末化しないことが分かった。
このことからも、図1に示したようにして、本発明の粒状消石灰を使用して溶鉱炉1の傷み箇所5を補修した後、補修箇所が再度水と接触しても崩れて粉々になったり、粉末化しないことを確かめることができた。
【0116】
(比較例4)
市販の消石灰粉末の内の1つをそれぞれ外掛けで3質量%の硅酸ナトリウム、酒石酸、硅酸アルミニウム、硝酸カリウム、ポリ塩化カルシウム、塩化ナトリウム、酸化鉄を添加して消石灰粉末原料を作製した以外は実施例1と同様にして、加圧成形物を作製し、それを焼成して焼成成形物を作製し、焼成成形物を取り出してから1日自然冷却後、100cc容器に20℃の水を60cc入れた水中に1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間入れて、水処理した。
水処理の時間(1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、60分間)と、粒状消石灰の生成率(Y)と、粒状消石灰が生成したかどうかの関係を表24に示す。
表24から、いずれの場合も粉末となってしまい、粒状消石灰が得られなかったことが分かる。
【0117】
【表22】

【0118】
【表23】

【0119】
【表24】

【0120】
以上の結果から、本発明の粒状消石灰の好ましい製造法としては、具体的には、例えば次のような製造方法を例示することができる。
1)消石灰粉末原料に接着剤を使用せずに、焼結材も使用しないで、加圧成形して加圧成形物を作製後、加圧成形物を焼成して焼成成形物を作製し、焼成成形物を冷却し、冷却後、多量の水中(焼成成形物の6倍以上の水)で水処理して、本発明の粒状消石灰を製造する方法。
2)消石灰粉末原料に燒結材を混合して、加圧成形して加圧成形物を作製後、加圧成形物を焼成して焼成成形物を作製し、焼成成形物を冷却し、冷却後、水中で水処理して、本発明の粒状消石灰を製造する方法。
3)消石灰粉末原料に焼結材、接着剤と水を使用して加圧成形して加圧成形物を作製後、加圧成形物を焼成して焼成成形物を作製し、焼成成形物を冷却し、冷却後、水中で水処理して、本発明の粒状消石灰を製造する方法。
4)消灰石粉末原料に、接着剤、焼結材を混合し水をバインダーとして団子成形に適した水量を混合し、弱加圧成型して(具体的には、例えば、造粒機で造粒するか、又は豆炭製造器で成型する方法を挙げることができる)弱加圧成形物を作製後、弱加圧成形物を乾燥し、乾燥した弱加圧成形物を焼成して焼成成形物を作製し、焼成成形物を冷却し、冷却後、水中で水処理して、本発明の粒状消石灰を製造する方法。
5)石灰石粉末原料に、接着剤と燒結材を使用し、水をバインダーとして混合して、加圧成形して加圧成形物を作製後、加圧成形物を焼成して焼成成形物を作製し、焼成成形物を冷却し、冷却後、水中で水処理して、本発明の粒状消石灰を製造する方法。
6)石灰石粉末原料に接着剤と燒結材を混合し、水をバインダーとして団子成形に適した水量を混合して、弱加圧成型して(具体的には、例えば、造粒機で造粒するか、又は豆炭製造器で成型する方法を挙げることができる)弱加圧成形物を作製後、弱加圧成形物を乾燥し、乾燥した弱加圧成形物を焼成して焼成成形物を作製し、焼成成形物を冷却し、冷却後、水中で水処理して、本発明の粒状消石灰を製造する方法。
7)苦土石灰粉末原料に焼結材を混合して、加圧成形して加圧成形物を作製後、加圧成形物を焼成して焼成成形物を作製し、焼成成形物を冷却し、冷却後、水中で水処理して、本発明の粒状消石灰を製造する方法。
【0121】
以下に注意点や好ましい条件について述べる。
1.電気炉から取り出した生石灰または焼成苦土石灰は、そのまま放置すれば、夏季の高温多湿状態では、数時間後から空気中の水分と化学反応して粉末化し始め、冬季の低温低湿状態では、数日後から、空気中の水分と化学反応して粉末化する。
従って、炉出後の生石灰または焼成苦土石灰は、空気中に出来るだけ触れない様に、タンク等に貯蔵して保管する必要がある。
また、生石灰粉末を原料とした場合は、空気中の水分によって化学反応を起こし、若干発熱しながら膨張し、崩壊して消石灰になるので、生石灰を原料とする場合は取り扱いが難しい欠点がある。
石灰石粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末を原料とした場合、焼結材(硫酸塩)や接着剤と水を混合しても空気中の水分を吸収することなく、安定していることから扱いやすい利点がある。
2.電気炉から取り出した生石灰、焼成苦土石灰は、電気炉から取り出した後、水処理するまでの時間、すなわち自然冷却時間は、2時間後以上が効果あり、好ましくは8時間後以上とすると、安定した粒状消石灰、粒状苦土石灰が得られる傾向がある。
3.電気炉から取出した生石灰または、焼成苦土石灰の水中での水処理時間は、1分間以上が効果があり、好ましくは20分間以上で、安定した粒状消石灰または、粒状焼成苦土石灰が得られる。
4.水処理時の水量は多いほど、粒状消石灰または、粒状焼成苦土石灰が得られる。前記試験では、水量30cc以上で効果が有り、好ましくは120cc以上が安定した粒状消石灰または、粒状焼成苦土石灰が得られる。
以上の結果を考慮した場合、石灰石粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末を原料とした場合、焼結材(硫酸塩)や接着剤と水を混合しても空気中の水分を吸収することなく、安定していることから扱いやすい利点がある。
生石灰粉末を原料とした場合は、空気中の水分によって化学反応を起こし、若干発熱しながら膨張し、崩壊して消石灰になることから、生石灰を原料とする場合は扱いが難しい欠点がある。
【0122】
上記実施の形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰の製造方法であり、石灰石粉末、生石灰粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末から選ばれる石灰系粉末を原料として、水中に入れても崩れて粉々になったり、粉末化されない耐水性に優れた粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰であって、電気炉、溶鉱炉などの熔鋼溶解炉などで一般的に使用される酸化マグネシアや、苦土石灰などの塩基性耐火物の骨材の代替品として使用できる耐水性に優れた粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰を容易に経済的に製造できるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値は甚だ大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程(1)-(6)を含む工程によって製造することを特徴とする粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰の製造方法。
(1) 石灰石粉末、生石灰粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末から選ばれる石灰系粉末原料を準備する。
(2) 必要に応じて、石灰系粉末原料の種類に応じて接着剤、焼結剤、水から選択される添加剤を所定量混合する。
(3) 常温で加圧成形して石灰系粉末原料の加圧成形物を作製する。
(4) 前記加圧成形物を1000℃以上で焼成して、焼成成形物を作製する。
(5) 焼成後、焼成成形物を常温まで冷却する。
(6) 冷却後、前記焼成成形物を適量の水中で水処理する。
【請求項2】
下記の工程(1)-(7)を含む工程によって製造することを特徴とする粒状消石灰あるいは粒状焼成苦土石灰の製造方法。
(1) 石灰石粉末、生石灰粉末、消石灰粉末、苦土石灰粉末から選ばれる石灰系粉末原料を準備する。
(2) 前記石灰系粉末原料に水をバインダーとして添加して団子成形に適した混合物とし、必要に応じて、石灰系粉末原料の種類に応じて接着剤、焼結剤から選択される添加剤を所定量混合する。
(3) 前記混合物を常温で弱加圧成形して、前記混合物の弱加圧成形物を作製する。
(4) 前記弱加圧成形物を乾燥する。
(5) 乾燥した前記弱加圧成形物を1000℃以上で焼成して、焼成成形物を作製する。
(6) 焼成後、焼成成形物を常温まで冷却する。
(7) 冷却後、前記焼成成形物を適量の水中で水処理する。
【請求項3】
前記焼結剤が硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムから選ばれる硫酸塩であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
前記接着剤が小麦粉、パルプ廃液、CMCから選ばれるものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記添加剤が接着剤と水を混合した混合物であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
焼成後、前記焼成成形物を2時間以上貯蔵するか放置して冷却後、前記焼成成形物を水中で水処理することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記焼成成形物の水中での水処理時間を1分間以上とすることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
水処理時における水の質量と前記焼成成形物の質量との比(水/焼成成形物)を1.5以上とすることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−25621(P2012−25621A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165773(P2010−165773)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【特許番号】特許第4836018号(P4836018)
【特許公報発行日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【出願人】(510202396)株式会社オカ (1)
【Fターム(参考)】