説明

粒状物質押出しポンプ並びに微粉炭素ベース燃料及び圧縮粒子の脱固結化プロセス

【課題】粒状物質押出しポンプのための脱固結化装置を提供する。
【解決手段】粒状物質押出しポンプ10は、入口領域12、圧縮領域14および出口領域16を有する。入口領域12は、ホッパ18および入口20を含む。圧縮領域14は、移動壁部24により画定される通路22および移動壁部24のための駆動システム26を含む。出口領域16は、出口28および脱固結化装置30を含む。脱固結化装置30は、移動壁部24により通路22内で固結された石炭を脱固結化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状物質押出しポンプのための脱固結化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭ガス化は、石炭や他の炭素を含有する固体を合成用ガスに変換することを要する。ガス化プロセスにおいて乾燥石炭や水スラリが用いられるが、乾燥石炭のポンプ技術は水スラリ技術よりも熱効率がよい。
【0003】
プロセスを効率化し、乾燥石炭ガス化の機械効率を向上させるため、粒状物質押出しポンプを用いて乾燥石炭など微粉炭素ベース燃料を圧送する。粒状物質押出しポンプの下流における微粉炭素ベース燃料には、乾燥石炭を脱固結化するためにブレーカミル、ボールエンドミル又は他の粉砕器などが要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粒状物質押出しポンプのための脱固結化装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な粒状物質押出しポンプは、移動壁部により画定され、かつ通路断面を画定する通路と、入口および出口を備えた流路を有する脱固結化装置と、を備え、入口は、通路断面に実質的に相当する第1の断面を画定し、出口は、第1の断面と異なる第2の断面を画定する。
【0006】
例示的な微粉炭素ベース燃料を脱固結化するプロセスは、流路の入口と出口との間で圧縮粒子の方向を変えるステップであって、圧縮粒子の安息角を減少するように粒子の方向を変えるステップを含む。
【0007】
例示的な圧縮粒子を脱固結化するプロセスは、流路の長さに沿って圧縮粒子の方向を変えるステップを含み、流路は、圧縮粒子の安息角を減少するように前記長さに沿って増加する断面積を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】乾燥石炭押出しポンプの斜視図。
【図2】脱固結化装置の断面図。
【図3】脱固結化装置の一実施例の断面図。
【図4】脱固結化装置の他の実施例の断面図。
【図5】種々の脱固結化装置の流路面積比と角度の関係を示すグラフ。
【図6】例示的な流れ制御機構を有する脱固結化装置の実施例の斜視図。
【図7】例示的な流れ制御機構を有する脱固結化装置の実施例の断面図。
【図8】例示的な流れ制御機構を有する脱固結化装置の他の実施例の断面図。
【図9】例示的な流れ制御機構を有する脱固結化装置のさらに別の実施例の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、乾燥した粒状物質を移送する粒状物質押出しポンプ10を概略的に示す。ポンプ10は、石炭、バイオマス、石油コークス、水や他の供給材料など微粉炭素ベース燃料(pulverized carbon−based fuel)について記載にしているが、別の実施例として、ポンプ10は、乾燥粒状物質を移送するものであってもよく、石炭ガス化、石油化学製品、電力、食料および農業など他の産業において使用され得る。
【0010】
ポンプ10は、入口領域12、圧縮領域14および出口領域16を有する。入口領域12は、ホッパ18および入口20を含む。圧縮領域14は、移動壁部24により画定される通路22および移動壁部24のための駆動システム26を含む。出口領域16は、出口28および脱固結化装置(deconsolidation device)30を含む。
【0011】
脱固結化装置30は、移動壁部24により通路22内で固結された石炭の固結を解く(脱固結化する)。微粉炭素ベース燃料は通路22内で固く圧縮される。微粉炭素ベース燃料は、固有の安息角を有する。この固有の角度は、堆積した未固結物の頂部における水平部と側部との間に形成される。固結された微粉炭素ベース燃料は圧縮されて、粒状物質が互いに付着し、固有の安息角より大きい角度で支持されず垂直に位置する塊を形成する状態となる。部分的に固結を解かれた(脱固結化された)物質は安息角をするが、依然として未固結物質と固結された物質の混合物からなるため、最大の粒状の塊を互いに対してまたは装置の面に対してすり動かすことによってさらに減少する。
【0012】
図2を参照すると、脱固結化装置30は、入口32および出口34を備える。入口32は、通路22により形成される断面に実質的に相当する第1の断面を画定する。出口34は、第1の断面と異なり、圧縮された固結微粉粒子を微細な粉末の均等物にするように第2の断面を画定する。装置を通過した後、微粉炭素ベースの物質はもはや安息角で積層しない。入口32と出口34の間の流路36は、再び締め固めることなく微粉石炭粒子を互いに対して推し進める。脱固結化装置30の入口32と出口34との間の流路36により3つの寸法形状の変化がもたらされる。微粉炭素ベース燃料が方向を変え、容積の膨張が許容されるとき、流路36により必須の粒子破砕がもたらされる。
【0013】
図3に脱固結化装置30における例示的な流路36Aの一実施例を示す。流路36Aは、通路22の断面と実質的に同等の第1の断面を有する直線状の入口32Aと、曲線状のコーナ部分を含む第2の断面を有する出口34Aとを画定する。流路36Aは、少なくとも90°の転向角で向きを変える。
【0014】
図4に脱固結化装置30における例示的な流路36Bの他の実施例を示す。流路36Bは、通路22の断面と実質的に同等の第1の断面を有する直線状の入口32Bと、円形の出口を画定する第2の断面を有する出口34Bとを画定する。流路36Bは、少なくとも90°の転向角で向きを変える。
【0015】
図5は、装置の流路面積比と角度の関係を示すグラフであり、種々のトレードオフは流路36に沿った関係に起因する。本明細書では、流路36に沿った面積比の種々の組合せを用いてもよいことを理解されたい。直線状の入口から円形の出口への移行において、流路36B−1,36B−2,36B−3,36B−4に沿って、形状が比較的早く変化する一方で、面積は比較的緩やかに増加する。相対的に単純な角度を用いても効果的であるが、全体的な効率は相対的に低くなる。
【0016】
図6に脱固結化装置30における例示的な流路36Cの他の実施例を示す。流路36Cは、通路22の断面と実質的に同等の第1の断面を有する直線状の入口32Cと、第2の断面をそれぞれ画定する第1および第2の出口34B1,34B2を有する。第1および第2の出口34B1,34B2は、前述のような種々の形状を有してもよいことを理解されたい。流路36Cは、少なくとも90°の転向角で向きを変える。
【0017】
図7を参照すると、微粉炭素ベース燃料が脱固結化装置30を通流するとき、流路36が満されている状態を保つように流路36は配列される。一実施例では、流路36は、延長部38に亘って90°より大きい転向角で向きを変える。転向角は、実質的にJ字状をなす少なくとも135°の角度とすることができる。
【0018】
図8に示す他の実施例には、微粉炭素ベース燃料が脱固結化装置30を通流するとき、流路36が満されている状態を保つバルブ40(概略的に示す)が含まれる。バルブ40は、通路に対して所定の圧力を要求するチェックバルブや他のバルブ構成としてもよい。
【0019】
図9を参照すると、他の実施例には直線状の乾燥石炭トラクタポンプ(tractor pump)10が含まれる。ポンプ10は、流路36が重力に対する方向に配列されその満されている状態を保つように配設される。微粉炭素ベース燃料が重力に対抗して移動しなければならないため、脱固結化装置30は重力に関してトラクタポンプ10の上方に位置する。
【0020】
脱固結化装置30により、従来要求されていたブレーカミル、ボールエンドミル又は他の粉砕器などを必要とせずに、トラクタポンプ10が運転可能となる。
【0021】
図中、同様の参照符号は同様のエレメントを示している。図示した実施例では、特定の構成要素や構成について開示しているが、他の構成要素や構成であっても本発明の利益を受ける。
【0022】
特定の手順や順番について言及しているが、これらは他の順番であってもよく、または個々に行ってもよく、組み合わせて行ってもよい。
【0023】
上記の記載は例示的なものに過ぎず、限定的なものではない。本明細書において種々の非限定的な実施例について説明してきたが、当業者であれば種々の修正や変更が本発明の範囲から逸脱することなくなされることを理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動壁部により画定され、かつ通路断面を画定する通路と、
入口および出口を備えた流路を有する脱固結化装置と、
を備え、
入口は、通路断面に実質的に相当する第1の断面を画定し、出口は、第1の断面と異なる第2の断面を画定することを特徴とする粒状物質押出しポンプ。
【請求項2】
通路の出口は、脱固結化装置の入口に隣接することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
流路は、圧縮された粒状物質により画定される安息角に対して方向を変えることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項4】
流路は、前記入口から前記出口に向けて方向を変えかつ容量が増加することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項5】
流路は、約90°の転向角で方向を変えることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項6】
流路は、約90°より大きい転向角で方向を変えることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項7】
第2の断面は、第1の断面に対して1.4〜1.7の面積比を画定することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項8】
脱固結化装置は、重力に関して前記通路の上方に位置することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項9】
流路はJ字形を画定することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項10】
流路内にバルブを有することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項11】
流路は、入口から第1の出口および第2の出口に向けて分離されることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項12】
微粉炭素ベース燃料を脱固結化するプロセスであって、
流路の入口と出口との間で圧縮粒子の方向を変えるステップであって、圧縮粒子の安息角を減少するように粒子の方向を変えるステップを含むことを特徴とする脱固結化プロセス。
【請求項13】
圧縮粒子が圧縮された微粉炭素ベース燃料であることを特徴とする請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記方向を変えるステップは、前記安息角より小さい角度を画定する転向角で圧縮粒子を転向させることを含む請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
前記方向を変えるステップは、移動壁部により画定される通路の下流で生じることを特徴とする請求項12に記載のプロセス。
【請求項16】
圧縮粒子を脱固結化するプロセスであって、
流路の長さに沿って圧縮粒子の方向を変えるステップを含み、
流路は、圧縮粒子の安息角を減少するように前記長さに沿って増加する断面積を有することを特徴とする脱固結化プロセス。
【請求項17】
前記方向を変えるステップが、約30°〜約150°の間の転向角で圧縮粒子を転向させることを含む請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記方向を変えるステップが、3つの寸法に亘り圧縮粒子を転向させることを含む請求項16に記載のプロセス。
【請求項19】
流路の出口がバルブと連通することを特徴とする請求項16に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−219274(P2011−219274A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85959(P2011−85959)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(507180364)プラット アンド ホイットニー ロケットダイン,インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】