説明

粒状物輸送ポンプおよび粒状物のポンピング方法

【課題】 乾燥炭押出ポンプ内部のせん断破壊領域や流れの停滞に関する問題を解決する。
【解決手段】 粒状物を輸送するポンプ10は、入口12、通路14、出口16、第1ロードビーム18a、第2ロードビーム18b、第1スクレーパシール20a、第2スクレーパシール20b、第1駆動アセンブリ22a、および第2駆動アセンブリ22bを備える。第1ロードビーム18aは、第1ベルトアセンブリ28a内に配置され、第2ロードビーム18bは、第2ベルトアセンブリ28b内に配置される。第1スクレーパシール20aおよび第2スクレーパシール20bは、通路14と出口16に近接して配置される。第1駆動アセンブリ22aは、第1ベルトアセンブリ28aの内部に配置されて第1ベルトアセンブリを駆動し、第2駆動アセンブリ22bは、第2ベルトアセンブリ28bの内部に配置されて第2ベルトアセンブリを駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微粉乾燥炭などの粒状物材料を輸送するポンプ、および粒状物をポンピングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭ガス化処理は、石炭またはその他の炭素含有固体を合成ガスに変えることを伴う。乾燥炭(dry coal)および水スラリは両方とも、ガス化処理に用いることができるが、乾燥炭ポンピングは、現在の水スラリ技術よりも熱効率が良い。例えば、約70%から約77%の冷ガス熱効率(thermal cold gas efficiency)を有する水スラリガス化装置に比べて、乾燥炭ガス化装置は、約82%の冷ガス熱効率を有する。
【0003】
乾燥炭を高圧にポンピングするために現在使用されている装置の一つは、循環式ロックホッパ(cycling lock hopper)である。循環式ロックホッパ供給のガス化装置の冷ガス熱効率が、ガス化分野において現在利用可能な他の技術より高い一方、循環式ロックホッパの機械効率は、比較的低く、約30%である。循環式ロックホッパの資本コストおよび運転コストもまた、循環式ロックホッパプロセスに必要な、高圧タンク、バルブ、およびガス圧縮機のために高くなる。さらに、プロセスの複雑さと、必要な装置交換頻度のために、循環式ロックホッパの利用可能性も限られている。利用可能性とは、装置が運転して製品を作っている時間量と、装置性能と、を指す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロセスを単純化して、乾燥炭ガス化の機械効率を上げるために、乾燥炭押出ポンプ(dry coal extrusion pump)の使用が、乾燥炭ガス化において着実に普及してきている。現在入手可能な乾燥炭押出ポンプには、内部のせん断破壊領域や流れの停滞の問題がある。せん断破壊領域が存在すると、ポンプの機械効率の低下につながることがある。内部のせん断破壊領域や流れの停滞の問題に対する解決法として、ポンプの流速を増加させることや、円筒形の固体流れ場形状ではなく、直線または軸方向流れ場形状を使用することが提案されている。これらの解決法により、乾燥炭押出ポンプの機械効率は向上するが、他の問題が残る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
粒状物を輸送するポンプは、入口、出口、通路、第1ロードビーム(load beam)、第2ロードビーム、第1スクレーパシール、第2スクレーパシール、第1駆動アセンブリ、および第2駆動アセンブリを含む。入口は、粒状物を通路に導入し、出口は、粒状物を通路から放出する。通路は、互いに対向する、第1ベルトアセンブリと第2ベルトアセンブリとによって画成される。第1ロードビームは、第1ベルトアセンブリ内に配置され、第2ロードビームは、第2ベルトアセンブリ内に配置される。第1スクレーパシールおよび第2スクレーパシールは、通路と出口とに近接して配置される。第1駆動アセンブリは、第1ベルトアセンブリの内部に配置され、第1ベルトアセンブリを駆動し、第2駆動アセンブリは、第2ベルトアセンブリの内部に配置されて、第2ベルトアセンブリを駆動する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
乾燥炭押出ポンプは、微粉乾燥炭を輸送し、入口と、出口と、ポンプを通して微粉乾燥炭を輸送する、入口と出口との間に配置された通路と、を含む。通路は、第1ベルトアセンブリと、第2ベルトアセンブリとによって画成され、第1ベルトアセンブリおよび第2ベルトアセンブリは、各々、複数のベルトリンクと複数のリンク回転軸から形成される。第1ベルトアセンブリおよび第2ベルトアセンブリは、各々、内部セクションを有する。第1ベルトアセンブリの内部は、第1駆動アセンブリを含み、第2ベルトアセンブリの内部は、第2駆動アセンブリを含む。第1駆動アセンブリおよび第2駆動アセンブリは、ベルトアセンブリを反対方向に駆動する。第1ロードビームおよび第2ロードビームもまた、ベルトアセンブリ内部に配置され、微粉乾燥炭から荷重を受け、ベルトアセンブリをほぼ直線状に維持する。第1スクレーパシールおよび第2スクレーパシールは、出口に近接して配置され、ポンプの加圧された内部と、雰囲気との間をシールする。
【0007】
図1Aは、微粉乾燥炭を輸送する乾燥炭押出ポンプ10の斜視図、図1Bは、その側面図である。ポンプ10は、このポンプ10内のせん断破壊領域と流れ停滞領域を失くすことによって、効率を向上させる。流れが停滞する領域は、微粉乾燥炭がほぼ直角に壁に押し付けられる所、すなわち、反対方向に動く他の微粉乾燥炭と衝突する所に生じる。せん断破壊領域および流れ停滞領域を大幅に減らす、または失くすことによって、ポンプ10の機械効率を約80%に近づけることができる。さらに、ポンプ10は、内部圧力が1200ポンド/平方インチ絶対圧を超える加圧ガスタンクに微粉乾燥炭をポンピングすることができる。ポンプ10を、微粉乾燥炭の輸送に関して論じるが、ポンプ10は、任意の乾燥した粒状物を輸送することができ、石油化学、電力、食品、および農業を含むが、それらに限定されない様々な産業で使用することができる。
【0008】
ポンプ10は一般的に、入口12、通路14、出口16、第1ロードビーム18a、第2ロードビーム18b、第1スクレーパシール20a、第2スクレーパシール20b、第1駆動アセンブリ22a、第2駆動アセンブリ22b、バルブ24、および端壁26を含む。微粉乾燥炭は、入口12でポンプに導入され、通路14を通して送られ、出口16でポンプ10から放出される。通路14は、第1ベルトアセンブリ28aと第2ベルトアセンブリ28bとによって画成され、互いにほぼ平行に対向して配置される。
【0009】
第1ベルトアセンブリ28aは、(図2A,2B,2Cに示された)リンク回転軸32によって互いに連結されたベルトリンク30と、軌道輪34と、から形成される。リンク回転軸32によって、ベルトリンク30は、平らな面を形成することができ、また、第1駆動アセンブリ22aの周囲で曲がることができる。第1ベルトアセンブリ28aは、内部セクション36aを画成し、内部36aには、第1駆動アセンブリ22aが配置されている。軌道輪34は、リンク回転軸32の端を覆い、ベルトリンク30に対して垂直な機械圧縮荷重をロードビーム18aに移すように機能する。実施形態例においては、第1ベルトアセンブリ28aは、約32〜約50個のベルトリンク30とリンク回転軸32とから形成される。第1ベルトアセンブリ28aは、第2ベルトアセンブリ28bと共に、通路14内の微粉乾燥炭を押し進める。
【0010】
第2ベルトアセンブリ28bは、ベルトリンク30、リンク回転軸32、軌道輪34、および第2内部セクション36bを含む。ベルトリンク30、リンク回転軸32、軌道輪34、および第2内部セクション36bは、第1ベルトアセンブリ28aのベルトリンク30、リンク回転軸32、軌道輪34、および第1内部セクション36aと同じように、連結され、機能する。
【0011】
第1ロードビーム18aは、第1ベルトアセンブリ28a内に配置され、第2ロードビーム18bは、第2ベルトアセンブリ28b内に配置される。第1ロードビーム18aは、第1ベルトアセンブリ28aからの機械的荷重を支え、通路14を画成する第1ベルトアセンブリ28aの部分を、ほぼ直線形に維持する。通路14を通して輸送されている微粉乾燥炭は、第1ベルトアセンブリ28aに対し、通路14から離れる外向き方向への圧縮応力と入口12に向かう上方向へのせん断応力との両方の固体応力を生み出す。外向きの圧縮荷重は、ベルトリンク30から、リンク回転軸32、軌道輪34、そして第1ロードビーム18aへと伝えられる。従って、第1ロードビーム18aは、乾燥微粉炭が通路14を輸送される際、第1ベルトアセンブリ28aが第1ベルトアセンブリ28aの第1内部セクション36a内に陥没するのを防ぐ。上方向へのせん断荷重は、ベルトリンク30から直接、駆動スプロケット38a,38b、および駆動アセンブリ22aに移る。
【0012】
第2ロードビーム18bは、第1ロードビーム18aと同じように形成され機能して、第2ベルトアセンブリ28bを通路14でほぼ直線形に維持し、ベルトリンク30からの外向き圧縮荷重および上向きせん断荷重を、第2ロードビーム18b、駆動スプロケット38a,38b、および第2駆動アセンブリ22bに移す。
【0013】
第1スクレーパシール20aおよび第2スクレーパシール20bは、通路14および出口16に近接して配置される。第1ベルトアセンブリ28aおよび第1スクレーパシール20aは、ポンプ10と外部雰囲気との間にシールを形成する。従って、第1ベルトアセンブリ28aと第1スクレーパシール20aとの間に捕らえられた微量の微粉乾燥炭が、第1ベルトアセンブリ28aの動く圧力シールとなる。第1スクレーパシール20aの外面は、動いている第1ベルトアセンブリ28aから微粉乾燥炭流を擦り取るために、第1ベルトアセンブリ28aの直線部分と小さい角度を成すように設計されている。その角度により、ポンプの機械効率を低くする可能性のある微粉乾燥炭の停滞を防ぐ。実施形態例においては、第1スクレーパシール20aは、第1ベルトアセンブリ28aの直線部分と15度の角度をなす。第1スクレーパシール20aは、硬化特殊鋼を含む(限定せず)、任意の適切な材料で作ることができる。
【0014】
第2スクレーパシール20bは、第1スクレーパシール20aと同じように形成され、機能して、ポンプ10の第2ベルトアセンブリ28bにおける停滞を防ぐ。
【0015】
第1駆動アセンブリ22aは、第1ベルトアセンブリ28aの第1内部セクション36a内に配置され、第1ベルトアセンブリ28aを第1の方向に駆動する。第1駆動アセンブリ22aは、第1ベルトアセンブリ28aの両端に配置された少なくとも2つの駆動スプロケット38a,38bを含む。駆動スプロケット38a,38bは各々、ほぼ円形のベース40を有し、ベース40から複数のスプロケット歯42が突出している。スプロケット歯42は、第1ベルトアセンブリ28aと相互に作用し、駆動スプロケット38a,38bの周りで第1ベルトアセンブリ28aを駆動させる。実施形態例においては、第1駆動アセンブリ22aは、約1フィート毎秒〜約5フィート毎秒(ft/s)の速度で、第1ベルトアセンブリ28aを回転させる。第1駆動アセンブリ22aは、第1ベルトアセンブリ28aを約2ft/sの速度で回転させることが好ましい。
【0016】
同様に、第2駆動アセンブリ22bは、第2ベルトアセンブリ28bの第2内部36b内に配置された、第2ベルトアセンブリ28bを駆動する少なくとも2つの駆動スプロケット38a,38bを含む。第2駆動アセンブリ22bは、第2ベルトアセンブリ28bを第2の方向に駆動する以外は、第1駆動アセンブリ22aと同じように形成され、機能する。
【0017】
バルブ24は、ポンプ10の出口16に近接して配置され、開位置と閉位置の切換が可能である。スロット44は、バルブ24を貫通し、微粉乾燥炭をポンプ10の出口16を通ってポンプ10の下に配置された排出槽(図示せず)に排出するか否かを制御する。スロット44の幅は、スクレーパシール20aと20bとの間の出口16より大きい。バルブ24が閉位置のとき、スロット44は、通路14および出口16と一直線にならず、微粉乾燥炭がポンプ10から出るのを防ぐ。ポンプ10の第1ベルトアセンブリ28aおよび第2ベルトアセンブリ28bが回転していないとき、バルブ24は通常、閉位置にある。ポンプ10が起動しても、バルブ24は閉位置のままである。第1ベルトアセンブリ28aおよび第2ベルトアセンブリ28bが回転し始めると、バルブ24は、90度回転し、開位置となる(図1Bに示す)。バルブ24が開位置のとき、スロット44は通路14および出口16と一直線になり、通路14の微粉乾燥炭を、ポンプ10を通して排出槽に流出させることができる。実施形態例においては、バルブ24は、シリンダバルブである。
【0018】
(第1駆動アセンブリ22aおよび第2駆動アセンブリ22bの各々における)スプロケット38aと38bとの間の距離と、ロードビーム18aと18bとの間の収束半角(convergence half angle)θと、スクレーパシール20aと20bとの間の離間距離と、を最適化して、ポンプ10内で支障となる固体の逆流や噴出を招くことなく、特定の微粉物に関して、可能な最大の機械的な固体ポンピング効率を達成する。機械的な高い固体ポンピング効率は、ポンプ10によって固体に働く機械的作用が等エントロピー(すなわち、固体スリップがない)状態近くに低減されるときに得られる。固体ポンプに関しては、供給された固体の単位質量あたりの等エントロピー作用、Wisenは、次の式で求められる。
【0019】
【数1】

【0020】
ここで、Pdはポンプ10の排出ガスの圧力、Patmは大気圧(14.7psia)、ρsは空隙のない真の固体密度、εは通路14内のボイド率である。
【0021】
支障となる固体の逆流と噴出は、スクレーパシール20a,20bのすぐ上流の通路14内の固体応力場をモール‐クーロン破壊条件未満、すなわち、次式のようにすることによって、防止することができる。
【0022】
【数2】

【0023】
ここで、変数τxyは、通路14内の固体のせん断応力、σxは、通路14の外方向への圧縮応力、σyは、通路14の軸方向への圧縮応力、φは、微粉固体の内部摩擦角度、cは、微粉固体の凝集係数である。
【0024】
固体の応力場は、固体スリップが、静止したスクレーパシール20a,20b上に生じるスクレーパシール20aと20bとの間の領域においては、式(2)の等式(破壊条件)を満たすが、スクレーパシール20a,20bの主な役割は、せん断応力τxyが他よりも低いスクレーパシール20a,20bのすぐ上流の動いているトラクタベルトリンク30上の固体スリップを防止するために、十分な圧縮固体圧力(σx+σy)/2を生成することである。
【0025】
スクレーパシール20a,20bのすぐ上流でのスリップを防止するための追加の圧縮固体圧力(σx+σy)/2は、(通路14の長さを増すために)第1駆動アセンブリ22aおよび第2駆動アセンブリ22bの各々のスプロケット38aと38bとの間の距離を長くすること、通路14の幅を狭くすること、または、ロードビーム18a,18bを0°〜5°の半角θで収束させることによって、生成することができる。これらのパラメータに用いられる一連の幾何学量は、機械的な最低限のポンプ仕事量を達成する設定により決定される。
【0026】
図2は、ベルトリンク30aとそれに隣接するベルトリンク30bの斜視図である。ベルトリンク30a,30bは各々、上面46、第1側面48、第2側面50、第1端部シール52、第2端部シール54、および突出部56を有する。ベルトリンク30の第1端部シール52と第2端部シール54とは、延出した台形状である。図2から分かるように、ベルトリンクの上面46は、一連の長方形のキャビティ46cとリッジ46rとを含む。端部シール52,54は、上面46より高く突出しており、ポンプ10の加圧チャンバを外気からシールするように働く。突出部56は、ベルトリンク30aの第2側面50から延びる突出部56が、隣接するベルトリンク30bの第1側面48から延びる突出部56と一直線に並ぶように、ベルトリンク30の第1側面48と第2側面50から延びる。リンク回転軸32が、突出部56を通して延びる開口部58を通ることによって、ベルトリンク30は、駆動スプロケット38a,38bの周りを移動するとき、リンク回転軸32の周りを回動することが可能になる(図1A,1Bに示す)。ベルトリンク30およびリンク回転軸32は、硬化特殊鋼を含む(限定せず)、任意の適切な材料で作ることができる。
【0027】
図3Aは、ベルトリンク30と第1ロードビーム18aとの接触面の実施形態例の拡大部分側面図である。図3Bは、第1ロードビーム18aと軌道輪34を除いた、ベルトリンク30cとそれに隣接するベルトリンク30dとの実施形態例の拡大部分側面図である。図3Cは、軌道輪34を除いた、ベルトリンク30と駆動スプロケット38bとの実施形態例の拡大部分側面図である。図3A,3B,3Cについて、互いに関連させながら述べる。ベルトリンク30は、リンク回転軸32と軌道輪34とによって結合されている。図3Bより分かるように、リンク回転軸32によって、ベルトリンク30は、隣り合うベルトリンク30a,30bの上面46が互いに一直線に並ぶとき、駆動スプロケット38b間に平らな面を形成することができる。ベルトリンク30の上面46によって作られた平らな面は、微粉乾燥炭がほぼ直角に壁に押しつけられる領域、すなわち、反対方向に移動する微粉乾燥炭と衝突する領域を排除することによって、固体流の停滞領域を排除する。
【0028】
図3Cから分かるように、リンク回転軸32はまた、ベルトリンク30が、第1ベルトアセンブリ28aを駆動している第1駆動アセンブリ22aの駆動スプロケット38a,38bの各々の周りで曲がるのを可能にしている。ベルトリンク30の裏側は、第1ベルトアセンブリ28aが駆動スプロケット38a,38bのスプロケット歯42の周りを移動するに従い、ベルトリンク30cが隣接するベルトリンク30dのほうに折りたたまれるのを可能にしている(図3B,3Cにおいて点線で示された)一連の切抜き部を含む。従って、ベルトリンク30dを隣接するベルトリンク30b側に折りたたむことができるように、ベルトリンク30cの材料が取り除かれる。同様に、ベルトリンク30cを隣接するベルトリンク30d側に折りたたむことができるように、隣接するベルトリンク30dの材料も取り除かれる。ベルトリンク30の裏側のこれらの切抜き部によって、ベルトリンク30は、駆動スプロケット38を周回するために互いの上に折り重なることができる。
【0029】
ベルトリンク30、リンク回転軸32、軌道輪34、第2ロードビーム18b、第2駆動アセンブリ22bの駆動スプロケット38a,38b、および第2ベルトアセンブリ28bは、ベルトリンク30、リンク回転軸32、軌道輪34、第1ロードビーム18a、第1駆動アセンブリ22aの駆動スプロケット38a,38b、および第1ベルトアセンブリ28aと同じように相互作用し、機能する。
【0030】
図4Aは、駆動スプロケット38bと接触する第1ベルトリンクアセンブリ28aの部分側面図であり、図4Bは、ベルトリンク30の第1スクレーパシール20aとの接触面の断面図である。図4Aは、図4Bの断面図がよく見えるように第1ロードビーム18aを取り除いてある。ベルトリンク30の上面46と同様、第1スクレーパシール20aの内面60も、一連の長方形のキャビティ60cとリッジ60rを含む。ベルトリンク30の上面46の一連のキャビティ46cおよびリッジ46rは、第1スクレーパシール20aの一連の長方形のキャビティ60cおよびリッジ60rと係合して、出口16で微粉乾燥炭および高圧ガスがポンプ10から外部雰囲気圧環境に噴出するのを防ぐ密閉シールを形成する。ベルトリンク30の端部シール52,54も、端壁26と相互作用して、ポンプ10の加圧チャンバを外気からシールする。端部シール52,54によって作成されたラビリンスシールは、小さい微粉乾燥炭粒子を捕捉し、微粉乾燥炭粒子と端部シール52,54との間に十分な摩擦抵抗を生成して、端壁26で、過度の微粉炭または加圧ガスが排出されるのを防ぐ。これによりベルトリンク30と端壁26との間の移動/静止接触面は、その領域をベルトリンク30と端壁26との境界領域内において非常に大きい流れ抵抗を有する微粉乾燥炭で満たすことによって、最小面積で維持される。
【0031】
ベルトリンク30および第2スクレーパシール20bは、ベルトリンク30および第1スクレーパシール20aと同じように相互作用、機能して、微粉乾燥炭と高圧化ガスがポンプ10から雰囲気中に漏れるのを防ぐ。
【0032】
好適な実施形態を参照して本発明を記述したが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態や詳細に変更を加えてもよいことが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】乾燥炭押出ポンプの斜視図である。
【図1B】乾燥炭押出ポンプの側面図である。
【図2】乾燥炭押出ポンプのベルトリンクの拡大斜視図である。
【図3A】ベルトリンクとロードビームとの接触面の実施形態例を示す部分的な拡大側面図である。
【図3B】ロードビームを取り除いた状態の、乾燥炭押出ポンプのベルトリンクと隣接するベルトリンクの部分的な拡大側面図である。
【図3C】ベルトリンクと駆動スプロケットの接触面の実施形態例を示す部分的な拡大側面図である。
【図4A】駆動スプロケットと接触するベルトリンクアセンブリの部分的な側面図である。
【図4B】図4Aの線A−Aに沿って切断した、ベルトリンクとシールスクレーパとの接触面の断面図である。
【符号の説明】
【0034】
10…乾燥炭押出ポンプ
12…入口
14…通路
16…出口
18a,18b…ロードビーム
20a,20b…スクレーパシール
22a,22b…駆動アセンブリ
24…バルブ
26…端壁
28a,28b…ベルトアセンブリ
30…ベルトリンク
32…リンク回転軸
34…軌道輪
38a,38b…駆動スプロケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物材料を輸送するポンプであって、
第1ベルトアセンブリと、第2ベルトアセンブリと、によって画成される通路であって、前記第1ベルトアセンブリおよび前記第2ベルトアセンブリは、各々、内部セクションを有し、かつ、互いに対向している通路と、
前記粒状物を前記通路に導入する入口と、
前記粒状物を前記通路から放出する出口と、
前記第1ベルトアセンブリの前記内部セクションに配置された第1ロードビームと、
前記第2ベルトアセンブリの前記内部セクションに配置された第2ロードビームと、
前記通路と前記出口に近接して配置された、第1スクレーパシールおよび第2スクレーパシールと、
前記第1ベルトアセンブリの前記内部セクションに配置された、前記第1ベルトアセンブリを駆動する第1駆動アセンブリと、
前記第2ベルトアセンブリの前記内部セクションに配置された、前記第2ベルトアセンブリを駆動する第2駆動アセンブリと、
を備えることを特徴とする粒状物材料の輸送ポンプ。
【請求項2】
前記第1ベルトアセンブリおよび前記第2ベルトアセンブリは、各々、複数のリンク回転軸によって互いに回動可能に連結された複数のベルトリンクを備えることを特徴とする請求項1に記載の粒状物材料の輸送ポンプ。
【請求項3】
前記第1ベルトアセンブリと前記第1スクレーパシールとの間の接触面に第1ラビリンスシールと、前記第2ベルトアセンブリと前記第2スクレーパシールとの間の接触面に第2ラビリンスシールと、をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の粒状物材料の輸送ポンプ。
【請求項4】
前記第1駆動アセンブリと前記第2駆動アセンブリは、各々、少なくとも2つの駆動スプロケットを備えることを特徴とする請求項1に記載の粒状物材料の輸送ポンプ。
【請求項5】
前記第1ベルトアセンブリおよび前記第2ベルトアセンブリは、反対方向に回転することを特徴とする請求項1に記載の粒状物材料の輸送ポンプ。
【請求項6】
前記第1スクレーパシールおよび前記第2スクレーパシールは、前記粒状物の一部と共に、前記ポンプのシールを形成することを特徴とする請求項1に記載の粒状物材料の輸送ポンプ。
【請求項7】
前記ポンプの前記出口に近接して配置されたバルブをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の粒状物材料の輸送ポンプ。
【請求項8】
前記第1ロードビームおよび前記第2ロードビームは、約0°〜約5°の半角で収束することを特徴とする請求項1に記載の粒状物材料の輸送ポンプ。
【請求項9】
せん断領域が縮小された粒状物輸送ポンプであって、前記粒状物輸送ポンプは、
粒状物を導入する第1端部と、
前記粒状物を放出する第2端部と、
前記第1端部と前記第2端部との間に配置された第1ベルトアセンブリと、
前記第1端部と前記第2端部との間に配置された第2ベルトアセンブリと、
前記第1ベルトアセンブリからの荷重を支える第1ロードビームと、
前記第2ベルトアセンブリからの荷重を支える第2ロードビームと、
粒状物輸送装置内にシールを形成する複数のスクレーパシールと、
前記第1端部から前記第2端部への通路を通して粒状物を輸送する駆動機構と、
を備え、
前記第1ベルトアセンブリおよび前記第2ベルトアセンブリは、粒状物の通路を形成するように互いに対向して配置される粒状物輸送ポンプ
【請求項10】
前記第1ベルトアセンブリおよび前記第2ベルトアセンブリが、各々、複数のリンク回転軸によって互いに回動可能に連結された複数のベルトリンクを備え、かつ、内部セクションを有することを特徴とする請求項9に記載の粒状物輸送ポンプ。
【請求項11】
前記駆動機構は、前記第1ベルトアセンブリと、前記第2ベルトアセンブリと、の内部セクションに配置された複数の駆動スプロケットを備えることを特徴とする請求項10に記載の粒状物輸送ポンプ。
【請求項12】
前記第1ベルトアセンブリと前記第1スクレーパシールとの間に第1ラビリンスシールを形成し、かつ前記第2ベルトアセンブリと前記第2スクレーパシールとの間に第2ラビリンスシールを形成する端壁をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の粒状物輸送ポンプ。
【請求項13】
前記駆動機構は、粒状物を圧力下で輸送することを特徴とする請求項9に記載の粒状物輸送ポンプ。
【請求項14】
前記第1スクレーパシールは、前記第1ベルトアセンブリと前記第2端部とに近接して配置され、前記第2スクレーパシールは、前記第2ベルトアセンブリと前記通路とに近接して配置されることを特徴とする請求項9に記載の粒状物輸送ポンプ。
【請求項15】
前記第2端部に配置されたバルブをさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の粒状物輸送ポンプ。
【請求項16】
前記第1ベルトアセンブリおよび前記第2ベルトアセンブリは、反対方向に回転することを特徴とする請求項9に記載の粒状物輸送ポンプ。
【請求項17】
前記第1ロードビームおよび前記第2ロードビームは、約0°〜約5°の半角で収束することを特徴とする請求項9に記載の粒状物輸送ポンプ。
【請求項18】
粒状物をポンピングする方法であって、
前記粒状物を入口に供給するステップと、
前記粒状物を、第1ベルトアセンブリおよび第2ベルトアセンブリによって画成された通路を通して押し進めるステップと、
前記粒状物を前記通路を通して押し進めながら、前記通路を支持するステップと、
シールを形成するように前記粒状物を第1ベルトアセンブリと第2ベルトアセンブリの各々から擦り取るステップと、
前記粒状物を出口から放出するステップと、
を備えることを特徴とする粒状物のポンピング方法。
【請求項19】
前記第1ベルトアセンブリと第2ベルトアセンブリとによって画成された通路を通して前記粒状物を押し進めるステップが、前記第1ベルトアセンブリを第1の方向に回転させるステップと、前記第2ベルトアセンブリを第2の方向に回転させるステップと、を備えることを特徴とする請求項18に記載の粒状物のポンピング方法。
【請求項20】
前記第1ベルトアセンブリを第1方向に回転させるステップおよび前記第2ベルトアセンブリを第2方向に回転させるステップが、前記第1ベルトアセンブリ内と前記第2ベルトアセンブリ内に配置された複数の駆動スプロケットを用いるステップを備えることを特徴とする請求項19に記載の粒状物のポンピング方法。
【請求項21】
前記通路を支持するステップが、第1ロードビームを前記第1ベルトアセンブリ内に配置するステップと、第2ロードビームを前記第2ベルトアセンブリ内に配置するステップと、を備えることを特徴とする請求項18に記載の粒状物のポンピング方法。
【請求項22】
前記第1ロードビームおよび前記第2ロードビームは、約0°〜約5°の半角で収束することを特徴とする請求項21に記載の粒状物のポンピング方法。
【請求項23】
シールを形成するように前記第1ベルトアセンブリおよび前記第2ベルトアセンブリから粒状物を擦り取るステップが、各々、第1スクレーパシールと第2スクレーパシールを用いるステップを備えることを特徴とする請求項18に記載の粒状物のポンピング方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2008−69003(P2008−69003A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154906(P2007−154906)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(507180364)プラット アンド ホイットニー ロケットダイン,インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】