説明

粒状物

【課題】造粒装置の内壁面等への付着やケーキングが軽減されたイブプロフェンを含む粒状物及び該粒状物を含有する固形製剤の提供。
【解決手段】イブプロフェン及び還元麦芽糖水アメを含む粒状物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イブプロフェンを含む粒状物及び該粒状物を含有する固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
イブプロフェンは、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)の一種として知られ、医療用医薬品やOTC医薬品として汎用されている有用な薬物であるが、付着性が高いため、造粒機器や打錠機等に付着し作業効率を低下させるという問題がある。
【0003】
このため、打錠する際に杵や臼へ付着のイブプロフェンの付着を抑えることを目的として、イブプロフェンを特定量含有する造粒物と、無水カフェイン及びアリルイソプロピルアセチル尿素をそれぞれ特定量含有する造粒物との混合物に、3種の特定の打錠助剤とステアリン酸マグネシウム及びタルクとを配合しておき、得られた粉末を打錠する(特許文献1)等の工夫がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−189653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、イブプロフェンは、打錠するときに杵や臼に付着するのみならず、この打錠工程以前に行われる造粒の際にも、造粒機器の内壁面へ付着し、また、ケーキングを引き起こす。このような付着・ケーキングが生じると生産効率が低下する。
【0006】
したがって、本発明の課題は、造粒装置の内壁面等への付着やケーキングが軽減されたイブプロフェンを含む粒状物及び該粒状物を含有する固形製剤の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討したところ、イブプロフェンに加えて、一般には甘味剤として使用されている還元麦芽糖水アメを佐薬として用いると、造粒装置の内壁面等への付着やケーキングが軽減された粒状物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、イブプロフェン及び還元麦芽糖水アメを含む粒状物を提供するものである。
また、本発明は、前記粒状物を含有する固形製剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粒状物は、造粒装置の内壁面等への付着やケーキングを生じにくい。したがって、該粒状物を含有する固形製剤は、効率よく製造できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の粒状物は、イブプロフェン及び還元麦芽糖水アメを含む。まず、斯かるイブプロフェンについて説明する。
【0011】
本発明の粒状物に含まれるイブプロフェンは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明においては、日本薬局方イブプロフェンが好ましい。
【0012】
本発明の粒状物中のイブプロフェンの含有量は、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、1日あたりの服用量を適宜検討して決定すればよいが、1日あたり、イブプロフェンとして、10〜3000mg服用できる量が好ましく、30〜2000mg服用できる量がより好ましく、100〜600mg服用できる量がさらに好ましい。一方、1回あたりの服用量は、イブプロフェンとして、好ましくは60〜200mgであり、より好ましくは150mgである。また、粒状物は、1日あたり1〜4回に分けて服用すればよく、1日あたり3回に分けて服用するのが好ましい。
【0013】
また、イブプロフェンの含有量としては、粒状物中、30〜95質量%が好ましく、40〜90質量%がより好ましく、45〜85質量%が特に好ましい。
【0014】
次に、還元麦芽糖水アメについて説明する。
本発明の粒状物に含まれる還元麦芽糖水アメは、甘味剤として知られているものであり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
また、還元麦芽糖水アメとは、デンプンに水を加えて加熱し、糊化したものにアミラーゼを加えて加水分解し、精製したものを還元し、精製濃縮又は得られた結晶を粉末化したものをいう。特に粉末化したものを粉末還元麦芽糖水アメといい、本発明においては、この粉末還元麦芽糖水アメが好ましい。
【0015】
また、還元麦芽糖水アメの含有量としては、粒状物中、10〜40質量%が好ましく、12〜30質量%がより好ましく、14〜20質量%が特に好ましい。
【0016】
本発明の粒状物は、第十六改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の造粒方法にしたがい、還元麦芽糖水アメのほか、適当な製剤添加物(例えば、結合剤、崩壊剤等)を用いて製造することができる。造粒方法としては、例えば、押出造粒、転動造粒、撹拌造粒、流動層造粒、噴霧乾燥造粒、破砕造粒等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
なお、本発明の粒状物には通常の造粒物が含まれ、該粒状物は、常法に従い粒度試験を行うことにより、顆粒剤、細粒剤、散剤に大別できる。
【0017】
また、本発明の粒状物は、これを原料、中間製品として用い、種々の剤形の固形製剤に製剤化することができる。
固形製剤としては、錠剤(口腔内崩壊錠、チュアブル錠、分散錠、溶解錠;トローチ剤、舌下錠、バッカル錠、付着錠、ガム剤等の口腔用錠剤も含む)、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、ドライシロップ剤等の経口投与製剤が挙げられる。なお、これらは公知の方法により、糖衣やフィルムコーティング等により、被覆されていてもよい。
【0018】
本発明の粒状物を含有する固形製剤の具体例としては、
(い)本発明の粒状物をそのまま散剤や顆粒剤等とした固形製剤や、さらにこれらを適当な方法で被覆した固形製剤。
(ろ)本発明の粒状物をカプセルに充填したカプセル剤。
(は)本発明の粒状物を適当な方法で製錠して得た錠剤。なお、製錠は、圧縮法のほか、適当な方法により一定の形状に成形することで達成できる。
【0019】
さらに、本発明の粒状物を用い、他の薬効成分を加えた固形製剤とすることもできる。具体的には、
(イ)本発明の粒状物に加えて、他の薬効成分、所望によりこれらを含有する粒状物を混合して得られる、いわゆる配合粒状製剤(具体的には、配合散剤、配合顆粒剤等)。
(ロ)上記(イ)の配合粒状製剤をカプセルに充填したカプセル剤。
(ハ)上記(イ)の配合粒状製剤を適当な方法で製錠して得た錠剤。
【0020】
本発明の粒状物及びこれを含有する固形製剤を製するにあたっては、通常の製剤化に用いられうる製剤添加物を用いることができる。製剤添加物としては、例えば、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤等が挙げられる。これら製剤添加物は、適宜、本発明の効果を損なわない範囲で成分の選択、含有量を設定すればよい。
【0021】
結合剤としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロースナトリウム、デキストリン、部分アルファー化デンプン、プルラン、アラビアゴム、カンテン、ゼラチン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、ポビドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
結合剤の含有量としては、粒状物中、1〜40質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。
【0022】
賦形剤としては、例えば、クエン酸カルシウム、結晶セルロース、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、乳糖水和物、白糖、ブドウ糖水和物、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物等が挙げられる。
賦形剤の含有量としては、付着軽減の観点から、粒状物中、1〜40質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。
【0023】
崩壊剤としては、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプピルセルロース、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられる。
崩壊剤の含有量としては、粒状物中、1〜40質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。
【0024】
滑沢剤としては、例えば、硬化油、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられる。
滑沢剤の含有量としては、粒状物中、1〜40質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。
【0025】
流動化剤としては、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、酸化チタン等が挙げられる。
流動化剤の含有量としては、粒状物中、1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%がさらに好ましい。
【0026】
また、本発明の粒状物は、イブプロフェン以外の薬物、例えば、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、去痰剤、催眠鎮静剤、ビタミン類、抗炎症剤、胃粘膜保護剤、抗コリン剤、生薬類、漢方処方、カフェイン類、キサンチン系成分等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいてもよい。
【0027】
解熱鎮痛剤としては、例えば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、イソプロピルアンチピリン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、チアラミド塩酸塩、ラクチルフェネチジン、ロキソプロフェンナトリウム水和物等が挙げられる。
【0028】
抗ヒスタミン剤としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、イソチペンジル塩酸塩、イプロヘプチン塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、dl−クロルフェニラミンマレイン酸塩、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェテロール塩酸塩、ジフェテロールリン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェネタジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、メキタジン、メトジラジン塩酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩、エメダスチンフマル酸塩等が挙げられる。
【0029】
鎮咳剤としては、例えば、アロクラミド塩酸塩、エプラジノン塩酸塩、カルベタペンタンクエン酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、ジブナートナトリウム、ジメモルファンリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、デキストロメトルファン・フェノールフタリン塩、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩等が挙げられる。
【0030】
ノスカピン類としては、例えば、ノスカピン塩酸塩、ノスカピン等が挙げられる。
【0031】
気管支拡張剤としては、例えば、トリメトキノール塩酸塩、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン硫酸塩、メチルエフェドリン、dl−メチルエフェドリン塩酸塩、l−メチルエフェドリン塩酸塩、dl−メチルエフェドリンサッカリン塩、メトキシフェナミン塩酸塩等が挙げられる。
去痰剤としては、例えば、アンブロキソール塩酸塩、アンモニア・ウイキョウ精、エチルシステイン塩酸塩、塩化アンモニウム、カルボシステイン、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、クレゾールスルホン酸カリウム、ブロムヘキシン塩酸塩、メチルシステイン塩酸塩、l−メントール、リゾチーム塩酸塩等が挙げられる。
【0032】
催眠鎮静剤としては、例えば、アリルイソプロピルアセチル尿素やブロムワレリル尿素等が挙げられる。
【0033】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類(例えば、チアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝化物、ジセチアミン塩酸塩、セトチアミン塩酸塩、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、オクトチアミン、シコチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、リン酸リボフラビンナトリウム、パンテノール、パンテチン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサールリン酸エステル、シアノコバラミン、メコバラミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、ヘスペリジン等)等が挙げられる。
【0034】
抗炎症剤としては、例えば、グリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩類(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等)、セアプローゼ、セミアルカリプロティナーゼ、セラペプターゼ、トラネキサム酸、プロクターゼ、プロナーゼ、ブロメライン等が挙げられる。
【0035】
胃粘膜保護剤としては、例えば、アミノ酢酸、アルジオキサ、ケイ酸マグネシウム、ゲファルナート、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩(アルミニウムグリシネート)、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、スクラルファート、セトラキサート塩酸塩、ソファルコン、炭酸マグネシウム、テプレノン、銅クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルメチオニンスルホニウムクロリド等が挙げられる。
【0036】
抗コリン薬としては、例えば、オキシフェンサイクリミン塩酸塩、ジサイクロミン塩酸塩、メチキセン塩酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩、ダツラエキス、チペピジウム臭化物、メチルアトロピン臭化物、メチルアニソトロピン臭化物、メチルスコポラミン臭化物、メチル−l−ヒヨスチアミン臭化物、メチルベナクチジウム臭化物、ピレンゼピン塩酸塩、ベラドンナアルカロイド、ベラドンナエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、ロートエキス、ロート根、ロート根総アルカロイドクエン酸塩等が挙げられる。
【0037】
生薬類としては、例えば、アカメガシワ(赤芽柏)、アセンヤク(阿仙薬)、インヨウカク(淫羊霍)、ウイキョウ(茴香)、ウコン(鬱金)、エンゴサク(延胡索)、エンメイソウ(延命草)、オウゴン(黄岑)、オウセイ(黄精)、オウバク(黄柏)、オウヒ(桜皮)、オウレン(黄連)、オンジ(遠志)、ガジュツ(我朮)、カノコソウ(鹿子草)、カミツレ、カロニン(か楼仁)、カンゾウ(甘草)、キキョウ(桔梗)、キョウニン(杏仁)、クコシ(枸杞子)、クコヨウ(枸杞葉)、ケイガイ(荊芥)、ケイヒ(桂皮)、ケツメイシ(決明子)、ゲンチアナ、ゲンノショウコ(現証拠)、コウブシ(香附子)、ゴオウ(牛黄)、ゴミシ(五味子)、サイシン(細辛)、サンショウ(山椒)、シオン(紫苑)、ジコッピ(地骨皮)、シャクヤク(芍薬)、ジャコウ(麝香)、シャジン(沙参)、シャゼンシ(車前子)、シャゼンソウ(車前草)、獣胆(ユウタン(熊胆)を含む)、ショウキョウ(生姜)、ジリュウ(地竜)、シンイ(辛夷)、セキサン(石蒜)、セネガ、センキュウ(川きゅう)、ゼンコ(前胡)、センブリ(千振)、ソウジュツ(蒼朮)、ソウハクヒ(桑白皮)、ソヨウ(蘇葉)、タイサン(大蒜)、チクセツニンジン(竹節人参)、チョウジ(丁子)、チンピ(陳皮)、トウキ(当帰)、トコン(吐根)、ナンテンジツ(南天実)、ニンジン(人参)、バイモ(貝母)、バクモンドウ(麦門冬)、ハッカ(薄荷)、ハンゲ(半夏)、バンコウカ(番紅花)、ハンピ(反鼻)、ビャクシ(白し)、ビャクジュツ(白朮)、ブクリョウ(茯苓)、ボタンピ(牡丹皮)、マオウ(麻黄)、ロクジョウ(鹿茸)等の生薬及びこれらの抽出物(エキス、チンキ、乾燥エキス等)等が挙げられる。
【0038】
漢方処方としては、例えば、葛根湯、桂枝湯、香蘇散、柴胡桂枝湯、小柴胡湯、小青竜湯、麦門冬湯、半夏厚朴湯、麻黄湯等が挙げられる。
【0039】
カフェイン類としては、例えば、カフェイン水和物、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン、クエン酸カフェイン等が挙げられる。
【0040】
キサンチン系成分としては、例えば、アミノフィリン、ジプロフィリン、プロキシフィリン等が挙げられる。
【0041】
そして、本発明の粒状物は、造粒装置の内壁面等への付着やケーキングを生じにくい。また、斯かる粒状物を用いて製錠しても、スティッキングやキャッピング等の打錠障害が軽減されうる。
したがって、該粒状物を含有する固形製剤は、効率よく製造できるものである。
また、本発明の粒状物は、NSAIDの一種であるイブプロフェンを含有するため、本発明の粒状物及び固形製剤は、解熱鎮痛剤やかぜ薬等として有用である。これらの効能・効果としては、頭痛・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・耳痛・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・肩こり痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・月経痛(生理痛)・外傷痛の鎮痛、悪寒・発熱時の解熱、かぜの諸症状(のどの痛み、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和等が挙げられる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0043】
後述する試験例1及び2で行った付着性評価の基準は以下のとおりである。
(付着性の評価基準)
造粒機器の内壁に粒状物がほとんど付着しない:○
造粒機器の内壁に粒状物が少し付着した:△
造粒機器の内壁に粒状物が著しく付着した:×
【0044】
試験例1 イブプロフェン含有粒状物の付着性検討(1)
イブプロフェン(日本薬局方イブプロフェン)、D−マンニトール、カルメロースカルシウム(五徳薬品製:商品名 ECG505)、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製:商品名 セオラスPH−301)、硬化油(川研ファインケミカル製:商品名 K−3ワックス−200)及びヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製:商品名 HPC−L)を、表1に示した割合となるように混合した後、水を噴霧して造粒した。造粒終了後、造粒機器の内壁の粒状物の状態を観察し評価した。結果を表1に示した。
【0045】
【表1】

【0046】
表1に示すように、製剤添加物として汎用されているD−マンニトールや結晶セルロースを用いた比較例1〜3の粒状物は、造粒終了後の造粒機器の内壁に著しく付着した。
【0047】
試験例2 イブプロフェン含有粒状物の付着性検討(2)
試験例1と同様にして、イブプロフェン(日本薬局方イブプロフェン)、粉末還元麦芽糖水アメ(三菱商事フードテック製:商品名 アマルティMR100)、カルメロースカルシウム(五徳薬品製:商品名 ECG505)、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製:商品名 セオラスPH−301)、硬化油(川研ファインケミカル製:商品名 K−3ワックス−200)を、表2に示した割合となるように混合した。次いで、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製:商品名 HPC−M)又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業製:商品名:TC−5E)を50質量%エタノールに溶解させた結合液を混合物に噴霧して造粒した。造粒終了後、造粒機器の内壁の粒状物の状態を観察し評価した。結果を表2に示した。
【0048】
【表2】

【0049】
表2に示すように、粉末還元麦芽糖水アメを用いた実施例1及び2の粒状物は、造粒機器の内壁にほとんど付着しなかった。
試験例1と2の結果から、イブプロフェンに加えて粉末還元麦芽糖水アメを含む粒状物は、造粒機器の内壁に付着しにくいことがわかる。
【0050】
実施例3 粒状物
イブプロフェン(日本薬局方イブプロフェン)1881質量部、粉末還元麦芽糖水アメ(三菱商事フードテック製:商品名 アマルティMR100)561質量部、カルメロースカルシウム(五徳薬品製:商品名 ECG505)165質量部、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ製:商品名 セオラスPH−301)165質量部、硬化油(川研ファインケミカル製:商品名 K−3ワックス−200)264質量部を混合し、混合物を得た。次いで、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業製:商品名:TC−5E)264質量部を50質量%エタノールで溶解して製した10質量%結合液を、前述の混合物に噴霧して造粒して、粒状物を得た。得られた粒状物は、造粒機器の内壁に付着するものではなかった。なお、粒状物420mg当たりイブプロフェンを240mg含有するものであった。
【0051】
実施例4 カプセル剤
実施例3で得られた粒状物420mgを日本薬局方カプセルに充填して、1カプセル当たり240mgのイブプロフェンを含有するカプセル剤を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イブプロフェン及び還元麦芽糖水アメを含む粒状物。
【請求項2】
還元麦芽糖水アメが粉末還元麦芽糖水アメである請求項1記載の粒状物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の粒状物を含有する固形製剤。
【請求項4】
剤形が錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤又はドライシロップ剤である請求項3記載の固形製剤。

【公開番号】特開2012−246260(P2012−246260A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120223(P2011−120223)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】