説明

粒状製剤

【課題】ラニチジン塩酸塩の苦味が抑制され、服用性がよいラニチジン塩酸塩を含有する粒状製剤を提供する。
【解決手段】ラニチジン塩酸塩(A)と、結晶セルロース及び二酸化ケイ素から選ばれる担体にハッカ油を担持させたハッカ油担持粒子(B)とを含有する粒状製剤であって、上記(B)において、ハッカ油/担体で表される質量比が0.5〜1.8/1であり、ハッカ油/ラニチジン塩酸塩で表される質量比が0.015/1以上であることを特徴とする粒状製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラニチジン塩酸塩を含有する粒状製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラニチジン塩酸塩はH2ブロッカーであり、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、胃炎、上部消化管出血等の治療に有効である。しかしながら、ラニチジン塩酸塩は苦味が強く、そのままでは服用時に嚥下が困難である。このため、従来、錠剤の表面をコーティングしたコーティング錠剤や、カプセル等のような苦味をマスキングしやすい製剤にすることにより、服用しやすくしていた。しかしながら、粒状製剤では、製剤が直接舌に触れてしまうため、ラニチジン塩酸塩の苦味を抑制することが困難であった。このことから、ラニチジン塩酸塩の苦味が抑制され、服用性がよいラニチジン塩酸塩を含有する粒状製剤が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−225397号公報
【特許文献2】特開2001−342185号公報
【特許文献3】特表2008−534438号公報
【特許文献4】特表2005−516020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ラニチジン塩酸塩の苦味が抑制され、服用性がよいラニチジン塩酸塩を含有する粒状製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ラニチジン塩酸塩を含有する粒状製剤に、結晶セルロース及び二酸化ケイ素から選ばれる担体にハッカ油を担持させたハッカ油担持粒子を配合すると共に、ハッカ油/担体で表される質量比及びハッカ油/ラニチジン塩酸塩で表される質量比を特定の範囲とすることで、苦味をマスキングするのではなく、嚥下時にハッカ油の芳香性によって苦味の官能を弱めることができ、服用性が顕著に改善されることを知見し、本発明をなすに至ったものである。このような苦味の官能を弱める点から苦味を抑制する観点は、本発明者の新知見である。
【0006】
従って、本発明は下記粒状製剤を提供する。
[1].ラニチジン塩酸塩(A)と、結晶セルロース及び二酸化ケイ素から選ばれる担体にハッカ油を担持させたハッカ油担持粒子(B)とを含有する粒状製剤であって、上記(B)において、ハッカ油/担体で表される質量比が0.5〜1.8/1であり、ハッカ油/ラニチジン塩酸塩で表される質量比が0.015/1以上であることを特徴とする粒状製剤。
[2].さらに、甘味剤(C)を含有し、甘味剤/ラニチジン塩酸塩で表される質量比が0.01〜0.1/1である[1]記載の粒状製剤。
[3].甘味剤(C)が、砂糖の150倍の甘味度を有する高甘味度甘味剤である[1]又は[2]記載の粒状製剤。
[4].ハッカ油の含有量が、粒状製剤中0.01質量%以上であることを特徴とする[1]、[2]又は[3]記載の粒状製剤。
[5].甘味剤の含有量が、粒状製剤中0.1質量%以上であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の粒状製剤。
[6].ラニチジン塩酸塩(A)が、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム及び合成ヒドロタルサイトより選ばれるマグネシウム塩に、ラニチジンを担持させたラニチジン担持粒子であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の粒状製剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ラニチジン塩酸塩の苦味が抑制され、服用性がよいラニチジン塩酸塩を含有する粒状製剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の粒状製剤は、(A)ラニチジン塩酸塩と、(B)結晶セルロース及び二酸化ケイ素から選ばれる担体にハッカ油を担持させたハッカ油担持粒子とを含有する粒状製剤であって、上記(B)において、ハッカ油/担体で表される質量比が0.5〜1.8/1であり、ハッカ油/ラニチジン塩酸塩で表される質量比が0.015/1以上である粒状製剤である。
【0009】
(A)ラニチジン塩酸塩
ラニチジンは、N−[2−(5−ジメチルアミノメチルフルフリルチオ)−エチル]−N′−メチル−2−ニトロ−1,1−エチレンジアミンの物質名(一般名)であり、本発明においてはラニチジン塩酸塩を用いる。ラニチジン塩酸塩は、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、胃炎、上部消化管出血等の治療に有効である。
【0010】
粒状製剤に対するラニチジン塩酸塩の含有量は、ラニチジン塩酸塩として通常治療で用いられる範囲となるように適宜選定される。例えば、1日量50〜300mg程度、好ましくは120〜300mgとなるように適宜選定される。
【0011】
ラニチジン塩酸塩は、製剤中のラニチジン塩酸塩の均一分散性の点から、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム及び合成ヒドロタルサイトより選ばれるマグネシウム塩に、ラニチジンを担持させたラニチジン担持粒子とすることが好ましい。中でも、水酸化マグネシウム及び/又は合成ヒドロタルサイトを用いると、ラニチジン塩酸塩の変色抑制効果が高くなる。
【0012】
ラニチジン担持粒子中において、マグネシウム/ラニチジンで表されるモル比は10以上が好ましく、上限は特に限定されないが60以下としてもよい。また、マグネシウム塩の含有量は粒状製剤に対して5〜99質量%が好ましい。
【0013】
ラニチジン担持粒子には、上記の他、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の添加物を配合することができる。例えば、結晶セルロース、乳糖、デンプン、マルトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等の賦形剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルファ化でんぷん、ゼラチン等の結合剤、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、硬化ヒマシ油、タルク、マクロゴール等の滑沢剤、軽質無水ケイ酸等の流動促進剤等が挙げられ、必要に応じて崩壊補助剤、緩衝剤、保存剤、香料、色素、矯味剤等を使用することができる。
【0014】
核(担体粒子)となるマグネシウム塩の平均粒径は0.5〜500μmが好ましく、ラニチジン担持粒子の平均粒径は0.5〜850μmが好ましく、75〜400μmがより好ましい。なお、本発明において、平均粒径はレーザー回析散乱法を用い測定を行い、体積基準百分率(%)を積算体積基準分布に変換し中位径(D50)を求める。
【0015】
ラニチジン担持粒子の粒状製剤中における含有量は、ラニチジン塩酸量が上記量及び下記質量比の範囲となるように1〜99質量%の範囲で適宜選定される。本発明の構成とすることで、粒状製剤中におけるラニチジン塩酸含有量が多くても、苦味抑制が可能となるが、苦味抑制効果をより発揮する点から、粒状製剤中におけるラニチジン塩酸含有量は1〜95質量%が好ましく、1〜50質量%がより好ましく、1〜25質量%がさらに好ましい。
【0016】
ラニチジン担持粒子は、マグネシウム塩に、ラニチジン又はその塩溶液を含浸させ、乾燥することにより得ることができる。含浸の方法としては、マグネシウム塩に、ラニチジン又はその塩溶液又は分散液を噴霧する方法が挙げられる。ラニチジン又はその塩溶液の溶媒としては、水、エタノール、水−エタノール混合溶液等が挙げられる。また、その溶液の噴霧後又は噴霧乾燥後に、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルファ化でんぷん又はゼラチン等の溶液又は分散液を別途噴霧して、さらに造粒してもよい。溶液又は分散液中のラニチジン塩酸塩の濃度は10〜75質量%が好ましく、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルファ化でんぷん又はゼラチン等の分散液とした場合は、これらの成分の分散液中の濃度は1〜20質量%が好ましい。
【0017】
さらに、流動層造粒、攪拌造粒、押出造粒、転動造粒、乾式造粒又はこれらを組み合わせた方法により造粒してもよい。乾燥は流動層乾燥、ドライオーブン、又はフリーズドライ等が挙げられる。噴霧・含浸と乾燥が一連の操作で行なえ、効率的であることから、流動層造粒が好ましい。流動中の給気温度は60〜90℃が好ましく、排気温度は30〜70℃が好ましい。また、乾燥温度(給気温度)時間は特に限定されず、40〜90℃で、5〜30分程度行う。
【0018】
[ハッカ油担持粒子]
ハッカ油とはMentha属の葉や花、茎等から水蒸気蒸留により抽出した精油、及び精油からメントール等の有効成分を精製した残渣を再度水蒸気蒸留して得られる芳香性油等が挙げられる。具体的には、日本薄荷油(日局ハッカ油)、薄荷白油、ペパーミント油、スペアミント油、ブラックペパーミント油、レモンミント油、グレープフルーツミント油、コーンミント(フィールドミント)油、ジンジャーミント油、オレンジミント油、オーデコロンミント(ベルガモットミント)油、クールミント油、コルシカミント油、カーリーミント油、イングリッシュミント油、アップルミント油、パイナップルミント油等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、苦味官能抑制効果の点から、日本薄荷油、薄荷白油、ペパーミント油、スペアミント油が好ましく、日本薄荷油、薄荷白油、スペアミント油がより好ましく、日本薄荷油がさらに好ましい。
【0019】
担体は、結晶セルロース及び二酸化ケイ素から選ばれ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。担体として、これらを用いることで、ハッカ油放出性が向上し、結果として苦味官能抑制効果が発揮される。ここで、二酸化ケイ素は含水二酸化ケイ素(SiO2・nH2O、nは整数を示す)、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。また、市販品を用いることもでき、具体例として、例えば、サイリシア350(商品名、(有)ワイ・ケイ・エフ)、含水二酸化ケイ素(サイリシア740:富士シリシア化学(株))等が挙げられる。一方、従来の担体として挙げられる、アラビアゴム末やデキストリン等のハッカ油を内部に包接するものはハッカ油の放出性が低下する。
【0020】
担体の平均粒径は50μm以下が好ましく、下限は特に限定されないが0.1μm以上である。また、JISK5101法に準じた吸油量は150mL/100g以上が好ましく、上限は特に限定されないが700mL/100g以下である。
【0021】
ハッカ油/担体で表される質量比は0.5〜1.8/1であり、0.8〜1.5/1が好ましい。0.5/1未満だと、苦味抑制効果及び服用性向上効果が不十分となり、1.8/1を超えると、ハッカ油担持粒子の配合量が少なくなり、粒状製剤への均一配合がしづらくなる。
【0022】
また、ハッカ油/ラニチジン塩酸塩で表される質量比は0.015/1以上であり、0.020/1以上が好ましい。0.015/1未満だと、苦味抑制効果及び服用性向上効果が不十分となる。上限は設定の香味により適宜選定できるが、0.050/1以下としてもよい。
【0023】
ハッカ油担持粒子には、上記の他、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の添加物を配合することができる。例えば、三酸化二鉄や酸化チタン等の無機色素、法定色素及びそのアルミニウムレーキ、ならびに竹炭等の有機色素に例示される着色剤、スターチやD−マンニトール等の賦形剤、合成香料、ハッカ油以外の精油等の着香料、甘味剤、矯味剤、エキス等の天然抽出物、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤等が挙げられる。
【0024】
ハッカ油担持粒子の平均粒径は0.1〜500μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、5〜50μmがさらに好ましい。粒状製剤(全体)中のハッカ油の含有量は、0.01質量%以上とすることが好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.15質量%以上がさらに好ましい。上限は設定の香味により適宜選定できるが、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0025】
ハッカ油担持粒子は、結晶セルロース及び二酸化ケイ素から選ばれる担体と、ハッカ油とを混合し、ハッカ油を担体に含浸させることにより、得ることができる。混合方法としては、攪拌造粒、転動造粒、捏和・混練造粒等が挙げられる。
【0026】
(C)甘味剤
本発明の粒状製剤には、さらなる苦味抑制及び服用性向上の点から、甘味剤を配合するとよい。中でも、ショ糖の150倍以上の甘味度(甘味強度比)を有する高甘味度甘味剤が好ましい。高甘味度甘味剤としては、例えば、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム(味の素製:N−(L−α−アスパルチル)−L−フェニルアラニン 1−メチルエステル)、アセスルファムカリウム、スクラロース等の人工甘味剤、ステビア、ソーマチン等の天然甘味剤が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースが好ましく、甘味の立ち上がりの点から、アスパルテームが好ましい。
【0027】
甘味剤/ラニチジン塩酸塩で表される質量比は、苦味抑制及び服用性向上の点から、0.01〜0.1/1が好ましく、0.015〜0.06/1がより好ましく、0.02〜0.04/1がさらに好ましい。また、粒状製剤(全体)中の甘味剤の含有量は、0.1質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1質量%以上である。上限は設定の香味により適宜選定できるが、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0028】
(D)香料
本発明の粒状製剤には、さらに本発明の効果を損なわない範囲で香料(D)を任意に配合することができる。香料としては、アニス油、ユーカリ油、ウインターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、ジンジャー油、レモン油、オレンジ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ペイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートローズ、オレンジフラワー、ティートゥリー油、マスティック油等の天然香料及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液−液抽出、エッセンス化等)した香料、ならびにカルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3,1−メントキシプロパシ−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルピールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイト、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラゾン、エチルラクテート、エチルチオアセテート、スピラントール等の単品香料、及びストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等が好ましく挙げられるが、前記に限定されない。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。香料(D)の粒状製剤中における含有量は、0.01〜1.0質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%がより好ましい。香料(D)はハッカ油と共にハッカ油担持粒子に担持させてもよく、別粒子に含有させてもよい。
【0029】
本発明の粒状製剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を配合することができる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、それぞれ適量を用いることができる。その他の成分としては、下記のものが挙げられる。
【0030】
その他有効成分としては、スクラルファート水和物、アズレンスルホン酸ナトリウム等の粘膜保護剤、合成ヒドロタルサイト等の制酸剤が挙げられる。
【0031】
賦形剤としては、セルロース及びその誘導体、スターチ及びその誘導体、糖類、糖アルコール類等が挙げられ、より具体的には、結晶セルロース、乳糖、白糖、マンニトール、エリスリトール、トウモロコシデンプン、コーンスターチ、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられる。
【0032】
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、デキストリン、デンプン、アルファー化デンプン等が挙げられる。
【0033】
崩壊剤としては、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン等が挙げられる。
【0034】
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられる。
【0035】
本発明の粒状製剤は、散剤、細粒剤等の医薬製剤とすることができ、ラニチジン塩酸塩又はラニチジン担持粒子と、ハッカ油担持粒子と、必要に応じて甘味剤とその他の添加物とを混合機に導入し、均一になるまで混合することで得られる。混合機としては、ボーレコンテナミキサー、V型混合機、コンテナミキサー、リボンミキサー等が挙げられるが、効率の点から、ボーレコンテナミキサーが好ましい。
【実施例】
【0036】
以下、調製例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0037】
[調製例:ラニチジン担持粒子A〜D、ラニチジン塩酸塩粉末E]
薬品添加物規格水にラニチジン塩酸塩を入れ、十分撹拌して溶解させて、30質量%のラニチジン塩酸塩水溶液を得た。次に、流動層造粒機マルチプレックスMP−01(パウレック社製)を用い、表1に示すマグネシウム塩250gを入れ、これに、給気温度80℃、排気温度30〜35℃になる風量で、上記30質量%ラニチジン塩酸塩水溶液を、10g/min.の速度で噴霧し、表1に記載のラニチジン塩酸塩量になるように含浸を行った。これを給気80℃で15分間乾燥した後、続けて7質量%のヒドロキシプロピルセルロース(商品名HPC−L:日本曹達(株))水溶液を給気温度80℃、排気温度30〜35℃になる風量で、15g/min.の速度で噴霧して造粒を行った。これを給気80℃で20分間乾燥し、平均粒径250μmのラニチジン担持粒子A〜Dを得た。
なお、ラニチジン塩酸塩粉末Eは非含浸のラニチジン塩酸塩粉末のまま用いた。
【0038】
【表1】

【0039】
[調製例:ハッカ油担持粒子の調製]
日本理化学器械(株)製分析粉砕器R−8を用い、表2に記載の割合で担体とハッカ油を入れ、回転数7000〜10000rpmで混合含浸させ、ハッカ油担持粒子イ〜ルを得た。
【0040】
【表2】

【0041】
[実施例1〜12、比較例1〜7]
調製例で得られた各粒子を表3〜5に示す割合で混合し散剤(粒状製剤)を得た。これらの散剤について、下記評価を行った。結果を表中に併記する。
【0042】
<苦味抑制>
成人男子5名による服用時の苦味抑制の官能評価を行った。
散剤を口中に入れ、水とともに服用し、嚥下時の苦味について下記評点に基づき評価を行い、結果を5人の平均値で示す。
評点
1:強い苦味を感じて嚥下が困難
2:やや強い苦味があり嚥下がしにくい
3:苦味があるが、嚥下可能
4:苦味をあまり感じないで嚥下できる
5:嚥下時に苦味を殆ど感じない
【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラニチジン塩酸塩(A)と、結晶セルロース及び二酸化ケイ素から選ばれる担体にハッカ油を担持させたハッカ油担持粒子(B)とを含有する粒状製剤であって、上記(B)において、ハッカ油/担体で表される質量比が0.5〜1.8/1であり、ハッカ油/ラニチジン塩酸塩で表される質量比が0.015/1以上であることを特徴とする粒状製剤。
【請求項2】
さらに、甘味剤(C)を含有し、甘味剤/ラニチジン塩酸塩で表される質量比が0.01〜0.1/1である請求項1記載の粒状製剤。
【請求項3】
甘味剤(C)が、砂糖の150倍の甘味度を有する高甘味度甘味剤である請求項1又は2記載の粒状製剤。
【請求項4】
ハッカ油の含有量が、粒状製剤中0.01質量%以上であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の粒状製剤。
【請求項5】
甘味剤の含有量が、粒状製剤中0.1質量%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の粒状製剤。
【請求項6】
ラニチジン塩酸塩(A)が、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム及び合成ヒドロタルサイトより選ばれるマグネシウム塩に、ラニチジンを担持させたラニチジン担持粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の粒状製剤。

【公開番号】特開2010−280639(P2010−280639A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137484(P2009−137484)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】