説明

粒状食品の製造方法及び粒状食品

【課題】本発明は、画期的な粒状食品の製造方法及び粒状食品を提供するものである。
【解決手段】複数の凹部1aが設けられた第一焼型1の凹部形成面1Aに生地3を配するとともに、この第一焼型1の凹部形成面1Aに重合させた際にこの第一焼型1の凹部1aに対向する複数の凹部2aが設けられた第二焼型2の凹部形成面2Aに生地3を配し、少なくとも前記第一焼型1若しくは第二焼型2いずれか一方を加熱するとともに、この加熱した若しくは更に加熱される前記第一焼型1の凹部形成面1Aと第二焼型2の凹部形成面2Aとを重合させて製造する粒状食品の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状食品の製造方法及び粒状食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たこ焼きは半球状の凹部を有する焼型に生地を流し込み、この生地をピック等を用いてひっくり返す操作を繰り返し行うことによって球状に焼成されている。
【0003】
しかし、この方法では生地を繰り返しひっくり返して球形にまとめるという熟練した技術が必要であり、また、短時間で大量のたこ焼きを製造することが困難である。
【0004】
そこで、半球状の凹部を設けた一方の焼型と、この一方の焼型と重合した際にこの一方の焼型の半球状の凹部に対向する半球状の凹部が設けられた他方の焼型とを用いてたこ焼きを製造する方法が提案されている。
【0005】
具体的には、加熱した二枚の焼型の各凹部内に生地を投入し、二枚の焼型同志を重合することで、この重合した一方の焼型の凹部で焼成される焼き半体と他方の焼型の凹部で焼成される焼き半体とを一体にして球状のたこ焼きを製造する。
【0006】
この方法によれば、今までのたこ焼きの作り方に比し、短時間のうちに生地を加熱できるうえ、生地を繰り返しひっくり返して形良く球状にまとめるという熟練した技術がなくとも簡単に球状の形の良いたこ焼きを製造することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、二枚の焼型により効率良く簡単に形の良いたこ焼きを製造することができる反面、この二枚の焼型により得られるたこ焼きを例えば爪楊枝で刺して持ち上げようとすると、焼き半体同志の連設部分が割れて中身がこぼれ落ちてしまうという今までの方法により得られるたこ焼きにはない不具合が生じることがある。
【0008】
この不具合の原因としては、二枚の焼型の各凹部内の焼き半体同志が連設する部分の生地の混ざり度合いが不完全であるため、この焼き半体同志の連設する部分の連設強度が弱くなることが考えられる。
【0009】
従って、二枚の焼型によりたこ焼きをスピーディーに大量生産しようとする際には、焼き半体同志の連設する部分の連設強度が弱いたこ焼きが多数発生してしまい、このようなたこ焼きは二つに割れて中身が落ちてしまうために非常に食べ難いという問題があった。
【0010】
本発明は、二枚の焼型により効率良く簡単に形の良いたこ焼きを製造することができるうえ、この二枚の焼型を用いてたこ焼きを大量生産する際に生じるたこ焼きの割れの問題も解決することができる画期的な粒状食品の製造方法及び粒状食品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
複数の凹部1aが設けられた第一焼型1の凹部形成面1Aに生地3を配するとともに、この第一焼型1の凹部形成面1Aに重合させた際にこの第一焼型1の凹部1aに対向する複数の凹部2aが設けられた第二焼型2の凹部形成面2Aに生地3を配し、少なくとも前記第一焼型1若しくは第二焼型2いずれか一方を加熱するとともに、この加熱した若しくは更に加熱される前記第一焼型1の凹部形成面1Aと第二焼型2の凹部形成面2Aとを重合させることで、前記第一焼型1の凹部1aで焼成される焼き半体4Aと前記第二焼型2の凹部2aで焼成される焼き半体4Bとが一体になったものであって、前記第一焼型1の凹部1a及び前記第二焼型2の凹部2aの周囲に存する生地3が焼成してなる鍔部5を前記焼き半体4A・4B同志の連設位置の外周部位に突出した粒状焼き体4を形成し、続いて、この粒状焼き体4の周面に突出する鍔部5の一部を残した不要部分を除去することを特徴とする粒状食品の製造方法に係るものである。
【0013】
また、前記粒状焼き体4の外径より径大な内径を有する筒状の打ち抜き型8による打ち抜き手段により、前記粒状焼き体4の周面に突出する前記鍔部5の一部を残して除去することを特徴とする請求項1に記載の粒状食品の製造方法に係るものである。
【0014】
また、前記第一焼型1若しくは第二焼型2とに配した生地3に、タコや肉等の具材6及びマヨネーズやウスターソース等の液状若しくは流動性を有する調味料を投入自在な固まり状に形成せしめた固まり状調味材7を投入することを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の粒状食品の製造方法に係るものである。
【0015】
また、複数の凹部1aが設けられた第一焼型1の凹部形成面1Aに生地3を配するとともに、この第一焼型1の凹部形成面1Aに重合自在に該第一焼型1に枢着され、この第一焼型1の凹部形成面1Aに重合させた際にこの第一焼型1の凹部1aに対向する複数の凹部2aが設けられた第二焼型2の凹部形成面2Aに生地3を配し、且つ少なくとも前記第一焼型1の凹部1a若しくは第二焼型2の凹部2aの一方にタコや肉等の具材6及びマヨネーズやウスターソース等の液状若しくは流動性を有する調味料を投入自在な固まり状に形成せしめた固まり状調味材7を配し、少なくとも前記第一焼型1若しくは第二焼型2いずれか一方を加熱するとともに、この加熱した若しくは更に加熱される前記第一焼型1の凹部形成面1Aと第二焼型2の凹部形成面2Aとを重合させることで、前記第一焼型1の凹部1aで焼成される焼き半体4Aと前記第二焼型2の凹部2aで焼成される焼き半体4Bとが一体になったものであって、前記第一焼型1の凹部1a及び前記第二焼型2の凹部2aの周囲に存する生地3が焼成してなる鍔部5を前記焼き半体4A・4B同志の連設位置の外周部位に突出した粒状焼き体4を形成し、続いて、前記粒状焼き体4の外径より径大な内径を有する筒状の打ち抜き型8による打ち抜き手段により、展開させた状態の第一焼型1,第二焼型2の凹部形成面1A若しくは凹部形成面2Aの上部にある粒状焼き体4の周面に突出する鍔部5の一部を残した不要部分を除去することを特徴とする粒状食品の製造方法に係るものである。
【0016】
また、前記調味材7は、マヨネーズやウスターソース等の流動性を有する調味料を凍結して固化若しくは増粘材による粘性を付与して固化せしめて固まり状としたものであることを特徴とする請求項3〜4のいずれか1項に記載の粒状食品の製造方法に係るものである。
【0017】
また、前記調味材7は、表面が米粉や小麦粉等の食用の粉体でコーティングされたものであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の粒状食品の製造方法に係るものである。
【0018】
また、前記粒状焼き体4を予冷するとともに凍結若しくは凍結したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の粒状食品の製造方法に係るものである。
【0019】
また、前記粒状焼き体4を所定の時間コーティング液中へ浸漬するか若しくは前記粒状食品にコーティング液を塗布することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の粒状食品の製造方法に係るものである。
【0020】
また、第一焼型1で焼成される焼き半体4Aと、この第一焼型1に重合状態となる前記第二焼型2で焼成される焼き半体4Bとが、少なくとも焼き半体4Aと焼き半体4Bの連設位置の外周部位に突設される鍔部5を介して一体に連設された粒状焼き体4を設け、この粒状焼き体4には焼成前に生地3内に配されたタコや肉等の具材6及びマヨネーズやウスターソース等の液状若しくは流動性を有する調味料を投入自在な固まり状に形成せしめた固まり状調味材7を投入配設したことを特徴とする粒状食品に係るものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の方法によれば、複数の凹部が設けられた第一焼型の凹部形成面と、複数の凹部が設けられた第二焼型の凹部形成面に生地を配してこの凹部形成面と凹部形成面とを重合することで、生地を繰り返しひっくり返して形良く球状にまとめる今までの方法のように熟練した技術がなくとも、短時間のうちに生地を加熱して簡単に粒状の形の良い粒状焼き体を量産することができ、また、第一焼型の凹部形成面の複数の凹部の焼き半体と、第二焼型の凹部形成面の複数の凹部の焼き半体同志の連設位置の外周部位に鍔部を形成することで、第一焼型の凹部形成面の複数の凹部の焼き半体と、第二焼型の凹部形成面の複数の凹部の焼き半体同志を単に重合する場合に比し、焼き半体同志の連設部分の連設強度を向上させることができ、これにより第一焼型と第二焼型の二枚の焼型を用いて粒状焼き体をスピーディーに大量生産するが故に生じる粒状焼き体の割れの問題を解決することができ、粒状焼き体を爪楊枝で刺して持ち上げた際にも二つに割れて中身がこぼれ落ちてしまうことがなく、更に、この粒状焼き体の周面に突出する鍔部の一部を残した不要部分を除去することで、焼き半体同志の連設部分の連設強度を保持しながらも外周部位に均一に鍔部が突設された形の揃った粒状焼き体4とすることができる画期的な粒状食品の製造方法となる。
【0022】
また、請求項2に記載の発明によれば、打ち抜き型によってより効率良く簡単に鍔部を有する粒状焼き体を得ることが可能な粒状食品の製造方法となる。
【0023】
また、請求項3に記載の発明によれば、味付けも施されて表面に調味料を掛ける等の手間を必要としない粒状焼き体を効率良く製造し得ることになるうえ、この粒状焼き体を例えば手で摘んで食する場合であっても表面に調味料が掛けられていないため手が汚れてしまうことがなく、非常に食べ易い画期的な粒状食品の製造方法となる。
【0024】
また、請求項4に記載の発明によれば、前述した焼き半体同志の連設部分が割れて中身がこぼれ落ちてしまうという不具合は確実に解消しながら、製造効率を向上させて製造のスピード化が可能な粒状食品の製造方法となる。
【0025】
また、請求項5に記載の発明によれば、マヨネーズやウスターソース等の流動性を有する調味料を凍結して固化若しくは増粘材による粘性を付与して固化せしめて固まり状とすることで、固まり状調味材を簡単に製造でき、更に、固化方法の選定により食した際に固まり状調味料による食感及び食味を得られるようにできる等、画期的な粒状食品の製造方法となる。
【0026】
また、請求項6に記載の発明によれば、生地内の調味材が加熱されて柔らかくなったり流動状態となっても、この調味材の表面が米粉や小麦粉等の粉体によってコーティングされるため、この加熱されて柔らかくなったり流動状態となった調味材が生地に溶け出て周囲に染み込んでしまうといったことがなく、よって、調味材を生地内に固まり状態で内存させることができるため、粒状食品を食した際に確実に調味料の食感及び食味が得られる粒状食品の製造方法となる。
【0027】
また、請求項7に記載の発明によれば、予冷及び凍結によって粒状食品表面の余分な水分が昇華するため、例えば油調等の調理によりサクッとした食感を得ることができるとともに、焼成後の形崩れを防止したり、変質も防止することが可能な粒状食品の製造方法となる。
【0028】
また、請求項8に記載の発明によれば、粒状食品を所定の時間コーティング液中へ浸漬したり、前記粒状食品にコーティング液を塗布したりすることで、粒状食品の表面の強度を高めることができ、粒状食品の割れ難さを一層向上させることが可能な粒状食品の製造方法となる。
【0029】
また、請求項9に記載の発明によれば、焼き半体と焼き半体の連設位置の外周部位に突設される鍔部を介して一体に連設された粒状焼き体を設けた構成とするから、この鍔部が粒状焼き体を例えば爪楊枝で刺して持ち上げた際に焼き半体と焼き半体とが二つに割れることを防止して中身がこぼれてしまうといったことがなくなって非常に食べ易いうえ、この粒状焼き体にタコや肉等の具材及びマヨネーズやウスターソース等の液状若しくは流動性を有する調味料を投入自在な固まり状に形成せしめた固まり状調味材が内在する構成とするため、この粒状焼き体に後から調味料による味付けする手間を省け、しかも、手で摘んで食する場合にもマヨネーズ等の調味料により手が汚れることもなく非常に食べ易い画期的な固形状食品となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0031】
本発明は、複数の凹部1aが設けられた第一焼型1の凹部形成面1Aに生地3を配するとともに、この第一焼型1の凹部形成面1Aに重合させた際にこの第一焼型1の凹部1aに対向する複数の凹部2aが設けられた第二焼型2の凹部形成面2Aに生地3を配し、少なくとも前記第一焼型1若しくは第二焼型2いずれか一方を加熱するとともに、この加熱した若しくは更に加熱される前記第一焼型1の凹部形成面1Aと第二焼型2の凹部形成面2Aとを重合させて、前記第一焼型1の凹部1aで焼成される焼き半体4Aと前記第二焼型2の凹部2aで焼成される焼き半体4Bとが一体になったものであって、前記第一焼型1の凹部1a及び前記第二焼型2の凹部2aの周囲に存する生地3が焼成してなる鍔部5を前記焼き半体4A・4B同志の連設位置の外周部位に突出した粒状焼き体4を形成し、続いて、この粒状焼き体4の周面に突出する鍔部5の一部を残した不要部分を除去する。
【0032】
従って、複数の凹部1aが設けられた第一焼型1の凹部形成面1Aと、複数の凹部2aが設けられた第二焼型2の凹部形成面2Aに生地3を配してこの凹部形成面1Aと凹部形成面2Aとを重合することで、生地3を繰り返しひっくり返して形良く球状にまとめる今までの方法のように熟練した技術がなくとも、短時間のうちに生地3を加熱して簡単に粒状の形の良い粒状焼き体4を量産することができる。
【0033】
また、本発明は、第一焼型1の凹部形成面1Aの複数の凹部1aの焼き半体4Aと、第二焼型2の凹部形成面2Aの複数の凹部2aの焼き半体4B同志の連設位置の外周部位に鍔部5を形成している。
【0034】
これは、粒状焼き体4をスピーディーに大量生産しようとする際に、第一焼型1の凹部形成面1Aの複数の凹部1aの焼き半体4Aと、第二焼型2の凹部形成面2Aの複数の凹部2aの焼き半体4B同志を単に重合するだけでは、この焼き半体4A・4B同志が連設する部分の生地3の混ざり度合いが不完全となり、この焼き半体4A・4B同志の連設部分の連設強度が弱くなって、例えば爪楊枝で刺して持ち上げようとすると、焼き半体4A・4B同志の連設部分が割れて中身がこぼれ落ちてしまうという不具合が生じる場合があるためで、この点本発明は、焼き半体4Aと焼き半体4B同志の連設位置の外周部位に、第一焼型1の凹部1a及び前記第二焼型2の凹部2aの周囲に存する生地3が良好に混じり合って焼成してなる鍔部5を形成することで、第一焼型1の凹部形成面1Aの複数の凹部1aの焼き半体4Aと、第二焼型2の凹部形成面2Aの複数の凹部2aの焼き半体4B同志を単に重合する場合に比し、焼き半体4A・4B同志の連設部分の連設強度を向上させることができるため、これにより第一焼型1と第二焼型2の二枚の焼型を用いて粒状焼き体4をスピーディーに大量生産するが故に生じる粒状焼き体4の割れの問題を解決することができ、粒状焼き体4を爪楊枝で刺して持ち上げた際にも二つに割れて中身がこぼれ落ちてしまうことがない。
【0035】
また、本発明は、この粒状焼き体4の周面に突出する鍔部5の一部を残した不要部分を除去することで、焼き半体4A・4B同志の連設部分の連設強度を保持しながらも外周部位に均一に鍔部5が突設された形の揃った粒状焼き体4となる。
【0036】
また、例えば、前記粒状焼き体4の外径より径大な内径を有する筒状の打ち抜き型8による打ち抜き手段により、前記粒状焼き体4の周面に突出する前記鍔部5の一部を残して除去する場合、前記粒状焼き体4の周面に突出する鍔部5の不要部分を打ち抜き型8によってひといきに除去することができるため、より効率良く簡単に鍔部5を有する粒状焼き体4を得ることが可能となる。
【0037】
また、例えば、前記第一焼型1若しくは第二焼型2とに配した生地3に、タコや肉等の具材6及びマヨネーズやウスターソース等の液状若しくは流動性を有する調味料を投入自在な固まり状に形成せしめた固まり状調味材7を投入する場合、マヨネーズやウスターソース等の液状若しくは流動性を有する調味料を単に液状若しくは流動性のまま生地3に注入する場合に比し、この液状若しくは流動性を有する調味料を固まり状に形成せしめた固まり状調味材7は、例えば手で摘んだり、スプーンやスコップ等で掬って簡単にスピーディーに生地3に投入することができるため、これにより、味付けも施されて表面に調味料を掛ける等の手間を必要としない粒状焼き体4を効率良く製造し得ることになる。また、固まり状調味材7が粒状焼き体4の内部にあるため、この粒状焼き体4を例えば手で摘んで食する場合であっても手が汚れてしまうことがなく、非常に食べ易いものとなる。
【実施例】
【0038】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0039】
本実施例は、図1のように適宜な持ち運びし易いカップ型の容器9に複数個盛り付けして提供するための一口サイズの粒状食品であって、具体的には、図2、3に示すような一口サイズのたこ焼き4を製造する場合である。
【0040】
本実施例の一口サイズのたこ焼き4は、図4に示すように、凹部形成面1Aに複数の凹部1aが設けられた第一焼型1と、この第一焼型1の凹部形成面1Aに重合させた際にこの第一焼型1の凹部1aに対向する複数の凹部2aが凹部形成面2Aに設けられた第二焼型2とを用いて製造する。この第一焼型1と第二焼型2とは、長さ方向の端縁同士を数箇所(図面においては2箇所)枢着して重合自在に構成している。
【0041】
本実施例は一口サイズのたこ焼き4を得るため、第一焼型1の凹部1aと第二焼型の凹部2aの直径を通常よりも小さく(例えば3cm程度)に設定している。また、第一焼型1の凹部1aと第二焼型の凹部2aとは、一括して大量生産することを目的として多数(例えば29個程度)形成する構成としている。
【0042】
本実施例の具体的な製造方法について以下に説明する。
【0043】
第一焼型1の複数の凹部1aが設けられた凹部形成面1Aの全面に油を塗り、この第一焼型1の凹部1aにトッピング材10を投入する(図5参照)。
【0044】
前記トッピング材10とは、一口サイズのたこ焼き4の表面の彩りを良くするためのものであり、本実施例は、青のり(例えば0.04g程度)と紅ショウガ(例えば0.4g程度)を採用している。
【0045】
次に、前記第一焼型1に生地3(例えば9〜10g)を配する(図6参照)。本実施例は、ディスペンサー等を用いることでスピーディーに一定量の生地3を凹部1aに投入することができる。
【0046】
尚、本実施例は、凹部形成面1Aの全面に生地3を配し、この凹部形成面1Aの全面に生地3配された生地3が凹部1aを埋めるようにしても良い。
【0047】
前記生地3とは、小麦粉やミックス粉等を水や出し汁等で溶いたものを使用する。本実施例は、小麦粉とミックス粉に更にショートニング、コーンスターチ、卵、キャベツ(微塵切りしたもの)、青ネギ(微塵切りしたもの)、粉末だし、食塩を加え、水で溶いたものを採用している。
【0048】
尚、本実施例の生地3の組成は、適宜変更しても良い。
【0049】
また、本実施例の一口サイズのたこ焼き4に長期保存が求められる場合、生地3に適宜な食用抗菌剤を配合しても良い。
【0050】
次に、凹部1aの生地3にたこ(例えば1.2g)等の具材6を投入する(図7参照)。尚、本実施例はたこ焼きであるため、具材6としてたこを採用するが、本実施例以外の適宜な具材6を採用してたこ焼き以外の適宜な粒状食品としてもよいのは勿論である。
【0051】
次に、第一焼型同様、第二焼型2に油を塗り、この第二焼型2の凹部2aに上記同様のトッピングを投入する(図8参照)。
【0052】
次に、この第二焼型2の凹部2aに上記同様、生地3を投入する(図9参照)。
【0053】
次に、凹部2aの生地3に調味材7を投入する(図10参照)。
【0054】
前記調味材7は、マヨネーズやウスターソース等の液状若しくは流動性を有する調味料を投入自在な固まり状に形成せしめた固まり状調味材7である。
【0055】
本実施例は、具体的には、マヨネーズをダイス状に凍結させた凍結ダイス状マヨネーズと、ウスターソースに増粘材による粘性を付与してゲル状に固化した固形ゲル状ソースとを採用している。
【0056】
尚、固形ゲル状ソースには片栗粉や米粉等の打ち粉をまぶしている。打ち粉をまぶすことで、粘性によるべたつきが防止されて生地3への投入を効率良く行うことができるとともに、加熱後の生地3の内部においては、打ち粉を介して固形ゲル状ソースが分離した状態で存在し、生地3に固形ゲル状ソースがしみ込むことが防止されるため、一口サイズのたこ焼き4を口に入れて噛んだ際の固形ゲル状ソースのとろりとした食感を得ることができる。
【0057】
尚、前記調味材7は、マヨネーズやウスターソース以外にも目的に応じて適宜な調味料を採用して凍結ダイス状や固形ゲル状として良い。
【0058】
本実施例は、前記第一焼型1の凹部形成面1Aと第二焼型2の凹部形成面2Aを重合する前に、少なくとも前記第一焼型1若しくは第二焼型2いずれか一方を加熱する。
【0059】
具体的には、後述する重合の際に上側に位置する第一焼型を加熱し、凹部1aの内面と接触する生地3を焼成する。これにより、第一焼型1の凹部1a内の生地3が重合の際に凹部1aから流れ落ちることを防止することができる。
【0060】
尚、前記第一焼型1の加熱とともに第二焼型2を加熱して凹部2aの内面と接触する生地3を重ね合わせ前に予め焼いておいても良い。
【0061】
次に、前記第一焼型1と第二焼型2とを重合させる(図11参照)。
【0062】
この重合は、第一焼型1の凹部1aの生地3と、第二焼型2の凹部2aの生地3の表面同志が流動状態の間に行う。
【0063】
このように、第一焼型1の凹部1aの生地3の表面と、第二焼型2の凹部2aの生地3の表面とが流動状態の間に凹部形成面1Aと第二焼型2の凹部形成面2Aとを重合させることにより、流動状態の生地3が第一焼型1の凹部1a及び第二焼型2の凹部2aの周囲(即ち、第一焼型1の凹部形成面1Aと第二焼型2の凹部形成面2Aとの間隙)に流れ出し、第一焼型1の凹部1aの生地3と第二焼型2の凹部2aの生地3とが良好に混じり合うことになる。
【0064】
次に、重合させた第一焼型1及び第二焼型2を加熱することで、前記第一焼型1の凹部1aで焼成される焼き半体4Aと前記第二焼型2の凹部2aで焼成される焼き半体4Bとが、混じり合った前記生地3を介して一体に連設し、また、この焼き半体4A・4B同志の連設位置の外周部位にも、凹部形成面1Aと凹部形成面2Aとの間隙に、流れ出して混じり合った生地3が加熱されてなる鍔部5が突出した一口サイズのたこ焼き4が形成される。
【0065】
次に、重合させた第一焼型1及び第二焼型2を展開し、凹部形成面2Aの上部にある一口サイズのたこ焼き4の周面に突出する鍔部5を、この一口サイズのたこ焼き4の外径より径大な内径を有する筒状の打ち抜き型8による打ち抜き手段により、一部を残して除去する。
【0066】
本実施例は、具体的には、第二焼型2の凹部2aに対応する位置に、この凹部2aの個数分前記打ち抜き型8が設けられたカット器具を用い、第二焼型2の凹部形成面2Aの上部の全ての一口サイズのたこ焼き4の周面の鍔部5を一部を残して一括除去している。
【0067】
更に具体的には、本実施例は、一口サイズのたこ焼き4の周面に突出する鍔部5を約2mm程度の長さを残して除去する(図12〜14参照)。
【0068】
次に、一部を残して鍔部5を除去した一口サイズのたこ焼き4を、中心部が15℃以下になるまで放冷する。具体的には、−18℃の冷凍庫内に約30分間静置する。
【0069】
この放冷により、一口サイズのたこ焼き4の表面の水分が昇華して減少し、後述する油調の際に表面にサクッとした食感が出るようになる。
【0070】
次に、この放冷した一口サイズのたこ焼き4をコーティング液に浸漬する。
【0071】
コーティング液として具体的には乳化調味料を採用する。これにより後述する油調の際に一口サイズのたこ焼き4の表面に、よりサクッとした食感が出るようになる。また、乳化調味料が一口サイズのたこ焼き4の表面に薄膜を形成することで、この一口サイズのたこ焼き4を一層割れにくくすることができる。
【0072】
次に、一口サイズのたこ焼き4を凍結する。凍結により、一口サイズのたこ焼き4の形崩れや変質を防止することができる。
【0073】
本実施例は、図15に示すように、例えば工場において凍結処理を施した一口サイズのたこ焼き4を、コンビニエンスストア等の店頭で予め180℃程度の油で1分間程度油調して20℃程度の保温庫内で保管しておき、オーダーを受けた後、改めて180℃程度の油で30秒程度油調する。そして、図1に示すように一口サイズのたこ焼き4を複数個適宜な容器9に盛り付けて提供する。
【0074】
本実施例によれば、二枚の焼型1,2により短時間に大量の一口サイズのたこ焼き4を生産することが可能となる。
【0075】
また、この一口サイズのたこ焼き4の外周部に鍔部5を設けることにより手で摘んだり爪楊枝で刺した際に二つに割れて中身がこぼれ落ちてしまうということがなく、非常に食べ易いものとなる。
【0076】
また、前記鍔部5の不要部分は除去するため、形が揃って見た目が良く、均一条件で調理可能な一口サイズのたこ焼き4となる。
【0077】
また、予め調味材7が生地3に投入されているため味付けが十分に施されて非常に美味しく、しかも例えば手で摘んでも外表面にマヨネーズ等の調味料が掛かっていないため手が汚れることなく非常に食べ易い一口サイズのたこ焼き4となる。
【0078】
また、本実施例の一口サイズのたこ焼き4の表面や鍔部5は油調によってサクサクした食感となるのに対し、内部は加熱されたダイス状マヨネーズや固形ゲル状ソースによるとろりとした食感となり、今までにない非常に美味しい小型のスナック菓子風の一口サイズのたこ焼き4となる。
【0079】
更に、本実施例は普通のたこ焼きに比し径小で、表面に調味料による味付けをする等の手間も必要としないので、調理に要する時間が非常に短縮されて店頭におけるスピーディーな提供が可能な一口サイズのたこ焼き4となる。
【0080】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本実施例の提供例を示す説明図である。
【図2】本実施例のたこ焼きを示す外観図である。
【図3】本実施例のたこ焼きを示す断面図である。
【図4】本実施例の二枚の焼型を示す斜視図である。
【図5】本実施例の説明図である。
【図6】本実施例の説明図である。
【図7】本実施例の説明図である。
【図8】本実施例の説明図である。
【図9】本実施例の説明図である。
【図10】本実施例の説明図である。
【図11】本実施例の説明図である。
【図12】本実施例の説明図である。
【図13】本実施例の説明図である。
【図14】本実施例の説明図である。
【図15】本実施例の説明フローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
1 第一焼型
1A 凹部形成面
1a 凹部
2 第二焼型
2A 凹部形成面
2a 凹部
3 生地
4 粒状焼き体
4A 焼き半体
4B 焼き半体
5 鍔部
6 具材
7 調味材
8 打ち抜き型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凹部が設けられた第一焼型の凹部形成面に生地を配するとともに、この第一焼型の凹部形成面に重合させた際にこの第一焼型の凹部に対向する複数の凹部が設けられた第二焼型の凹部形成面に生地を配し、少なくとも前記第一焼型若しくは第二焼型いずれか一方を加熱するとともに、この加熱した若しくは更に加熱される前記第一焼型の凹部形成面と第二焼型の凹部形成面とを重合させることで、前記第一焼型の凹部で焼成される焼き半体と前記第二焼型の凹部で焼成される焼き半体とが一体になったものであって、前記第一焼型の凹部及び前記第二焼型の凹部の周囲に存する生地が焼成してなる鍔部を前記焼き半体同志の連設位置の外周部位に突出した粒状焼き体を形成し、続いて、この粒状焼き体の周面に突出する鍔部の一部を残した不要部分を除去することを特徴とする粒状食品の製造方法。
【請求項2】
前記粒状焼き体の外径より径大な内径を有する筒状の打ち抜き型による打ち抜き手段により、前記粒状焼き体の周面に突出する前記鍔部の一部を残して除去することを特徴とする請求項1に記載の粒状食品の製造方法。
【請求項3】
前記第一焼型若しくは第二焼型とに配した生地に、タコや肉等の具材及びマヨネーズやウスターソース等の液状若しくは流動性を有する調味料を投入自在な固まり状に形成せしめた固まり状調味材を投入することを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の粒状食品の製造方法。
【請求項4】
複数の凹部が設けられた第一焼型の凹部形成面に生地を配するとともに、この第一焼型の凹部形成面に重合自在に該第一焼型に枢着され、この第一焼型の凹部形成面に重合させた際にこの第一焼型の凹部に対向する複数の凹部が設けられた第二焼型の凹部形成面に生地を配し、且つ少なくとも前記第一焼型の凹部若しくは第二焼型の凹部の一方にタコや肉等の具材及びマヨネーズやウスターソース等の液状若しくは流動性を有する調味料を投入自在な固まり状に形成せしめた固まり状調味材を配し、少なくとも前記第一焼型若しくは第二焼型いずれか一方を加熱するとともに、この加熱した若しくは更に加熱される前記第一焼型の凹部形成面と第二焼型の凹部形成面とを重合させることで、前記第一焼型の凹部で焼成される焼き半体と前記第二焼型の凹部で焼成される焼き半体とが一体になったものであって、前記第一焼型の凹部及び前記第二焼型の凹部の周囲に存する生地が焼成してなる鍔部を前記焼き半体同志の連設位置の外周部位に突出した粒状焼き体を形成し、続いて、前記粒状焼き体の外径より径大な内径を有する筒状の打ち抜き型による打ち抜き手段により、展開させた状態の第一焼型,第二焼型の凹部形成面若しくは凹部形成面の上部にある粒状焼き体の周面に突出する鍔部の一部を残した不要部分を除去することを特徴とする粒状食品の製造方法。
【請求項5】
前記調味材は、マヨネーズやウスターソース等の流動性を有する調味料を凍結して固化若しくは増粘材による粘性を付与して固化せしめて固まり状としたものであることを特徴とする請求項3〜4のいずれか1項に記載の粒状食品の製造方法。
【請求項6】
前記調味材は、表面が米粉や小麦粉等の食用の粉体でコーティングされたものであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の粒状食品の製造方法。
【請求項7】
前記粒状焼き体を予冷するとともに凍結若しくは凍結したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の粒状食品の製造方法。
【請求項8】
前記粒状焼き体を所定の時間コーティング液中へ浸漬するか若しくは前記粒状食品にコーティング液を塗布することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の粒状食品の製造方法。
【請求項9】
第一焼型で焼成される焼き半体と、この第一焼型に重合状態となる前記第二焼型で焼成される焼き半体とが、少なくとも焼き半体と焼き半体の連設位置の外周部位に突設される鍔部を介して一体に連設された粒状焼き体を設け、この粒状焼き体には焼成前に生地内に配されたタコや肉等の具材及びマヨネーズやウスターソース等の液状若しくは流動性を有する調味料を投入自在な固まり状に形成せしめた固まり状調味材を投入配設したことを特徴とする粒状食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−267710(P2007−267710A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100427(P2006−100427)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(500072910)株式会社 ピーコック (4)
【Fターム(参考)】