説明

粗カフェイン複合体、粗カフェイン複合体を用いた改善された食品製品、およびその使用方法

食料品および機能的な添加物としての粗カフェイン複合体を含む改善された食品製品が提供される。粗カフェイン複合体は、カフェインおよびコーヒー由来の生物学的に活性な化合物のブレンドを含む。添加物は、細胞中へのグルコース取り込みを刺激する能力を実証し、抗酸化物質の利点、および抗炎症活性を提供する。粗カフェイン複合体を用いる方法、および食料品中に粗カフェイン複合体を取り込む方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2009年7月21日出願の米国特許仮出願第61/227,216号明細書の利益を主張する。
【0002】
この分野は、粗カフェイン複合体、粗カフェイン複合体を用いた改善された食品製品、およびそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
消費者がより健康志向になるため、消費者は、しばしば、自分たちの食事に組み込むために、健康機能上の利点を有する更なる多くの食品を望んでいる。いくつかの場合、食事は、ある種の健康に関連する問題を最小限または制御するのに役立ち得る。
【0004】
例えば、糖尿病は、身体が十分なインスリンを生成しないときに起こり、その結果、血糖値が高くなる。いくつかの場合、血糖は、消費された食品のタイプや食品を選択することにより食事をモニタリングして正常なレベルの範囲内に維持することができる。他の場合、血糖は、追加のインスリンを投与することによって制御することができ、これは、細胞によるグルコースの取り込みを容易にしまたは刺激する。しかし、いくつかの場合において、糖尿病はインスリンに対して抵抗性になり得、身体はインスリンの存在に応答せず、その結果、血糖値を制御するのに困難な時期になる。したがって、血糖を制御する代替の方法など、食品および食事から得られる健康機能上の利点になる追加の方法に望みがある。
【0005】
カフェインまたは1,3,7−トリメチルキサンチンは、コーヒーおよび他の飲料において広く消費される。カフェインは、いくつかの植物の豆、葉および果実中で天然に存在し、天然に存するとき、コーヒー豆および茶の葉に最も一般に結合している。他の場合、カフェイン除去プロセスにより得られ、カフェインを単離するために精製される純粋なカフェインは、様々な飲料、食品、および薬物への添加物として用いられる。精製過程から得られた残留物は、廃棄物として通常捨てられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Sim, W.L.S. et al, Journal of Agricultural and Food Chemistry 57: 3409-3414(2009)
【非特許文献2】Singleton, V. L. & J. A. Rossi, Jr., Am. J. Enol. Vitic. 16: 144-158 (1965)
【非特許文献3】Ou, B. et al., Journal of Agricultural and Food Chemistry 49: 4619-4626 (2001)
【非特許文献4】Wu, X. et al, Journal of Agricultural and Food Chemistry 52 4026-4037 (2004)
【非特許文献5】Huang, D. et al., Journal of Agricultural and Food Chemistry 50: 1815-1821 (2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
粗カフェインは、生コーヒー豆のカフェイン除去の主な副生成物である。カフェイン除去したコーヒーは、全体的なコーヒー消費の約10%を占め;したがって、何千トンもの粗カフェインが毎年生産される。カフェインの他に、生コーヒー豆は、クロロゲン酸およびコーヒーオイルを含めた、広範囲の生物活性な植物性化学物質を含む。ノンカフェイン植物性化学物質の一部は、カフェイン除去のプロセス中必然的に除去される。
【0008】
粗カフェインは、純粋なカフェインを製造するための出発物質であり、これは、飲料、食品、および医療に用いられ、ノンカフェイン残留物は、廃棄物として通常捨てられる。コーヒー植物性化学物質の健康上の利益を実証している多くの研究に照らしてみると、本発明者らは、粗カフェインが、やはりこれらのノンカフェイン成分の存在による有益な効果を及ぼし得ることに着目する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
要するに、本発明者らは、粗カフェイン中の複数の生物活性を同定した。すなわち、強力な酸化防止能力、ヒト脂肪および筋細胞中へのグルコース取り込みを刺激する能力、および炎症性酵素COX−2に対する阻害効果である。これらの活性は、カフェイン除去プロセス中、カフェインと同時に精製される生物活性化合物により得られた。
【0010】
一態様では、食品、食品製品、および飲料などの改善された食料品は、カフェインのブレンドを含む有効量の粗カフェイン複合体の形態で機能的な有効量の添加物およびコーヒーベースから得られた生物活性化合物を含むものが開示される。この粗カフェイン複合体が、細胞によるグルコース取り込みを刺激するのに有効であり、酸化防止特性、および/または抗炎症特性の利点をもたらすことが発見された。一般に、純粋なカフェインが、薬物からカフェイン入り飲料にいたるまでの多くの製品中で用いられているが、(本明細書における粗カフェイン複合体と違って)純粋なカフェインは、粗カフェイン複合体において発見された機能上の特性を示さないことが見出されている。実際に、本明細書における粗カフェイン複合体は、また、グラム当たりのベースに対するグルコース取り込み、酸化防止特性、および抗炎症性の利点に関して、カフェイン添加したコーヒーおよび茶よりも明白な機能上の効果を実証している。
【0011】
これらの予期し得ない利点は、いくつかのコーヒー由来の有効量の生物活性化合物による結果および/またはカフェインのコーヒー由来の生物活性化合物との相乗効果であると考えられる。これらの生物活性化合物は、普通なら、カフェイン除去および純粋なカフェインを達成するための精製プロセスからの廃棄物である。生物活性化合物は前段で捨てられている。理論に拘束されるものではないが、コーヒー由来の生物活性化合物は、出発コーヒー豆から得られ、かつ/または、焙煎されていない生コーヒー豆から潜在的に入手できると考えられる。そのようなものとして、茶、チョコレートなどの、他のカフェイン供給源から得られた粗カフェインは、茶またはチョコレート起源のカフェインが、コーヒー由来の生物活性化合物を有していないため、本明細書に記載した粗カフェイン複合体と同様の機能上の利点を実証するものと予想されていなかった。やはり、理論に拘束されるものではないが、粗カフェイン複合体の機能上の利点は、カフェインに対する複合体中のその濃度レベルおよび/またはいくつかの生物活性化合物および/またはカフェイン除去前の出発コーヒー豆中に存在する様々な脂質、糖類、および他のバルク成分の非存在下の生物活性化合物の濃度レベルによるものとなり得ることが考えられる。
【0012】
一つに、粗カフェインおよびコーヒー由来の生物活性化合物の複合体の有効な用量が、骨格筋細胞または脂肪細胞中へのグルコース取り込みを刺激することによりインスリンの人工的な使用に類似のまたはそれよりも良好な血糖値を制御する能力を示す傾向があることが発見された。細胞中へのグルコース取り込みのかかるレベルは、純粋なカフェイン単独の使用では示されない。その結果、本明細書における粗カフェイン複合体による方法および食品は、特に、インスリンに対して抵抗性になっているこのような糖尿病のために、血糖値を制御する上でインスリンの代替物として用いられ得ることが予想される。他の場合、粗カフェインおよびコーヒー由来の生物活性化合物の複合体の有効な用量が、抗炎症活性においてアスピリンよりもより有効である能力を有し得、酸化防止特性を示すことが発見されている。
【0013】
本明細書で使用される場合、粗カフェイン複合体には、大部分の未精製カフェインが含まれ、これは、レギュラーコーヒーをカフェイン除去したコーヒーに変換する典型的なカフェイン除去プロセスの加工していない副生成物として好ましくは得られる。好ましい一手法により、粗カフェイン複合体には、多量のカフェインおよび少量のコーヒー由来の生物活性化合物が含まれる。別の手法により、粗カフェイン複合体は、コーヒーベースまたは生コーヒー豆から得られた約90%から約95%未精製のカフェインおよび約5%から約10%生物学的に活性な化合物を含むことができる。さらに、粗カフェイン複合体はまた、コーヒーの酸、糖質、タンパク質、および他のバルク出発物質が実質的にない可能性がある。一手法により、例えば、粗カフェイン複合体には、約0.01パーセント未満のクロロゲン酸およびこれらのラクトン誘導体、約0.1パーセント未満の糖質、および約0.01パーセント未満のタンパク質が含まれ、これは、この開示の目的のために「実質的にない」を意味するものとする。
【0014】
他の態様では、改善された食品、食品製品、または飲料は、約0.05パーセントから約25パーセントの粗カフェイン複合体を含み得るが、かかる量は、特定の食品、所望の機能上の利点、および他の因子に応じて変わり得る。より具体的には、約0.1から約15パーセントの粗カフェイン複合体は、清涼飲料、クッキー、チーズ、クラッカー、粉末化した飲料、焙煎および挽いたコーヒー、水溶きコーヒーなどに加えることができる。もちろん、ただし、これらは粗カフェイン複合体が用いることができる食品および飲料の数例のみである。ある特定の手法において、粗カフェイン複合体は、コーヒーに基づかない用途に十分に適している。さらに他の手法において、粗カフェイン複合体は、注射、摂取による、または経皮パッチとしてなど食品とは別に取り込まれ得る。粗カフェイン複合体は、丸剤、カプセル剤、チューインガム、フィルムなどとして提供することができる。
【0015】
あるいは、コーヒー由来の生物活性は、カフェインからさらに純化し、単離することができ、カフェインと無関係に使用することができる。生物活性がカフェインとはべつに用いられる場合、約0.1から約15パーセントが清涼飲料、クッキー、チーズ、クラッカー、粉末化した飲料、および/または焙煎および挽いたもしくは水溶きコーヒーなど、様々な食品または飲料と混合することができることが予想される。
【0016】
さらなる他の態様において、粗カフェイン複合体を用いる方法が提供される。例えば、方法は、細胞中へのグルコース取り込みを刺激し、関連する食品および飲料を含むもしくは含まない粗カフェイン複合体の有効量の使用または消費によりかかる利点を必要とする対象または生物において酸化防止特性、もしくは抗炎症活性をもたらすことについて記載される。一手法において、粗カフェイン複合体は、機能上の利点を提供するものと予想される複合体が消費されるように、食品または飲料または食品もしくは飲料の先駆成分と混合することができる。別の手法において、粗カフェイン複合体がかかるグルコース取り込みを達成するために直接消費するまたは取り入れることができると考えられる。さらに他の手法では、骨格筋細胞または脂肪細胞によるグルコース取り込みを刺激する方法は、かかる細胞を粗カフェイン複合体の有効な用量と接触させることにより提供される。
【0017】
他の態様では、粗カフェイン複合体を得る方法およびかかる方法により得られた食品製品もまた提供される。一手法により、例えば、改善された食品製品は、カフェイン除去したコーヒー生成物およびカフェイン除去中のカフェインとの共溶出の結果としてのコーヒー由来の生物活性化合物を有する粗カフェイン副生成物を得るために、まずコーヒーをカフェイン除去することにより得ることができる。次いで、粗カフェイン副生成物は、約90から約95パーセントのカフェインおよび約5から約10パーセントの生物活性化合物を有する粗カフェイン複合体に形成され、これは、改善された食料品、食品、または飲料製品を形成するために食料品、食品、または飲料と混合することができる。一手法により、粗カフェイン複合体は、超臨界二酸化炭素カフェイン除去により得られる。
【0018】
粗カフェイン複合体は、食品もしくは他の飲料に直接添加する、噴霧する、注射する、混合することができる、または別の方法でそれらに取り込むことができる、または食料品、食品、もしくは飲料の先駆物質または成分に添加する、噴霧する、注射する、混合することができるまたはそれらに取り込むことができる。食品または飲料に取り込む前に、粗カフェイン複合体が、室温で貯蔵され、周囲光から遮蔽できることが好ましい。上記の通り、約0.05から約25パーセントの粗カフェイン複合体は、食品もしくは飲料にブレンドすることができる、または食品もしくは飲料の先駆物質に混合することができ、これは、上記の機能上の利点を達成するために有効であると考えられる。
【0019】
さらなる他の手法により、粗カフェイン複合体はまた、コーヒー由来の生物活性化合物のいくつかを単離するまたは濃縮するために、さらに精製するまたは純化することができる。さらに精製する場合、生物学的に活性な化合物は、ある種のレベルを濃縮することができ、さらに、(コーヒー由来の生物学的に活性な化合物、好ましくは約1パーセント未満のカフェインを含む)コーヒー由来の生物活性の抽出物を生成するためにカフェインから分離することできる。次いで、この生物活性抽出物は、グルコース取り込みの増加、ならびに抗酸化および抗炎症活性をもたらすために食品、飲料、または医薬品に加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】食料品を最終生成物とする模範的な粗カフェイン抽出プロセスのフロー図である。
【図2】薬物を最終生成物とする模範的な粗カフェイン抽出プロセスのフロー図である。
【図3】化粧品を最終生成物とする模範的な粗カフェイン抽出プロセスのフロー図である。
【図4】栄養補助食品を最終生成物とする模範的な粗カフェイン抽出プロセスのフロー図である。
【図5】生物製剤を最終生成物とする模範的な粗カフェイン抽出プロセスのフロー図である。
【図6】ヒト脂肪細胞またはヒト骨格筋細胞へのグルコース取り込みに係るグラフである。
【図7】抗炎症活性に係るグラフである。
【図8A】粗カフェイン複合体に係るクロマトグラムである。
【図8B】粗カフェイン複合体に係るクロマトグラムである。
【図9】コーヒーからカフェインを超臨界CO2抽出する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
「食品」という用語は、米連邦食品医薬品化粧品法に記載の通り、(1)人または他の動物用の食品または飲物のために用いられる物品、(2)チューインガム、および(3)かかる任意の物品の成分のために用いられる物品を意味する。
【0022】
「薬物」という用語は、米連邦食品医薬品化粧品法に記載の通り、公的な米国薬局方、公的な米国ホメオパシー薬局方(Homoeopathic Pharmacopoeia of the United States)、または公的な国民医薬品集、またはそれらのいずれかの任意の補遺において認識される物品、人または他の動物における疾患の診断、治癒、緩和、治療または予防における使用を目的とした物品、人または他の動物の身体の構造もしくは任意の機能に影響を与えることを目的とした(食品以外の)物品、および指定された任意の物品の成分としての使用を目的とした物品を意味する。
【0023】
「化粧品」という用語は、米連邦食品医薬品化粧品法に記載の通り、清浄にする、美しくする、魅力を促進する、または外見を変えるために、ヒトの身体またはその任意の部位に塗る、注ぐ、振りかけるまたは噴霧する、またはそれらに導入する、または別の方法で適用することを目的とした物品、およびかかる任意の成分としての使用を目的とした物品を意味する。
【0024】
「栄養補助食品」という用語は、米連邦食品医薬品化粧品法に記載の通り、以下の食物性成分:ビタミン、ミネラル、ハーブまたは植物性物質、アミノ酸、合計食物摂取を増加することにより食事を補充するための人による使用のための食物性物質、または記載される任意の成分の濃縮物、代謝産物、構成物、抽出物、または組合せの1種もしくは複数を有するまたは含む食事を補充することを目的とした製品を意味する。
【0025】
「生物製剤」という用語は、米国食品医薬品局(FDA)により定義される通り、人の疾患もしくは外傷の予防、治療または治癒に適用可能な任意のウイルス、治療用血清、毒素、抗毒素、または類似の製品を意味する。
【0026】
食品は、米国食品医薬品局(FDA)によって定義される通り、以下の一般的な食品のカテゴリーを包含する。すなわち、すべての加工のおよび焼く準備のできた製品、小麦粉、および食べる前に調理を必要とする混合物を含めた、焼いた食品およびベーク用の混合物;麦芽飲料、ワイン、蒸留酒、およびカクテル混合物を含めた、アルコール飲料;唯一の特別なもしくは香辛料で味付けした茶、清涼飲料、コーヒー代替物、ならびに果実および野菜風味のゼラチン飲物を含めた、ノンアルコールの飲料および飲料ベース;加工のおよびインスタントのおよび標準のホットシリアルを含めた、朝食用シリアル;凝乳状のおよび乳漿チーズ、クリームチーズ、天然チーズ、格子チーズ、プロセスチーズ、スプレッドチーズ、ディップチーズ、および種々のチーズを含めた、チーズ;すべての形態を含めたチューインガム;レギュラータイプ、カフェイン除去したタイプ、およびインスタントタイプを含めたコーヒーおよび茶;単味の味付けソースおよびスプレッド、オリーブ、ピクルス、およびレリッシュを含むが、スパイスまたはハーブを含まない香辛料およびレリッシュ;キャンディーおよび味付きの糖質衣、マシュマロ、料理用チョコレート、およびブラウンシュガー、角糖質、氷糖質、カエデ糖、粉糖質および粗糖を含めた、糖菓および糖質衣;乳成分を含まない牛乳、冷凍もしくは液体クリーム、コーヒー用クリーム、トッピング、および他の非乳製品を含めた、乳製品類似物;液状卵、冷凍卵、または乾燥卵、およびそれらから作られた卵料理、すなわち、春巻、エッグフーヤン、卵サラダ、および冷凍された複数のコースの卵料理を含むが、新鮮な卵を含まない卵製品;マーガリン、サラダ用ドレッシング、バター、サラダ油、ショートニングおよび調理油を含めた、脂肪およびオイル;すべての調理された主食、サラダ、前菜、冷凍された複数のコース料理、および魚、甲殻類、および他の水生動物を含むスプレッドを含むが、鮮魚を含まない魚肉製品;加熱調理された卵を含めた新鮮な卵および新鮮な殻付き卵から作られた卵料理;新鮮なおよび冷凍された魚、甲殻類、および水生動物のみを含めた鮮魚;生の果実、柑橘類、メロン、およびベリー類を含めた、新鮮な果実および果汁、およびそれらから作った自家製の「エード(ade)」およびパンチ;新鮮なもしくは自家冷凍の牛肉または子牛肉、豚肉、ラム肉またはマトンのみを含めた新鮮な肉およびそれらから作った自家製の新鮮な肉を含む料理、サラダ、前菜、またはサンドイッチスプレッド;新鮮なもしくは自家冷凍の家禽および狩猟鳥のみを含む新鮮な家禽ならびにそれらから作った自家製の新鮮な家禽を含む料理、サラダ、前菜、またはサンドイッチスプレッド;新鮮なおよび自家製の野菜のみを含む新鮮な野菜、トマト、およびジャガイモ;アイスクリーム、アイスミルク、シャーベット、および他の冷凍乳製品デザートおよび特製品を含めた、冷凍乳製品デザートおよび混合物;すべての冷凍した果実および氷菓を含めた、果実および氷菓;味付きのゼラチンデザート、プディング、カスタード、パフェ、パイの具、およびゼラチンベースサラダを含めたゼラチン、プディング、および具;マカロニおよびめん製品、米料理、および肉または野菜を含まない冷凍の複数のコース料理を含めた、穀物製品およびパスタ;すべてのミートソースおよび肉汁、およびトマト、牛乳、バター、および特製ソースを含めた、肉汁およびソース;すべてのハードタイプキャンディーを含めた、ハードキャンディーおよび咳止めドロップ;すべての天然および人工のスパイス、ブレンドおよび芳香料を含めた、ハーブ、種、スパイス、調味料、ブレンド、抽出物、およびフレーバリング;自家製のジャム、ゼリー、果実バター、果物の糖質煮,およびスウィートスプレッドのみを含めた、自家製のジャムおよびゼリー;市販用に加工されたジャム、ゼリー、果実バター、果物の糖質煮、およびスウィートスプレッドのみを含めた、市販のジャムおよびゼリー;すべての肉類および料理、サラダ、前菜、冷凍された複数のコースの肉料理、および市販用の加工処理によってまたは家庭の調理で市販用に加工された肉を用いて調理されたサンドイッチ材料を含む肉を含めた肉製品;全乳、低脂肪牛乳、およびスキム液体ミルクのみを含めた全乳およびスキムミルク;フレーバーミルクおよびミルクドリンク、ドライミルク、トッピング、スナックディップ、スプレッド、体重コントロール乳飲料および他の牛乳起源製品を含めた、乳製品;ホールの木の実または殻付きの木の実、落花生、ココナッツ、ならびにナッツおよび落花生スプレッドを含めた、ナッツおよびナッツ製品;米国科学アカデミー/米国学術研究会議「再構成された植物性タンパク質」カテゴリー、ならびに肉、家禽、および魚の代替物、類似物、および植物タンパク質から作ったエキステンダー(extender)製品を含めた、植物タンパク質製品;すべての家禽および家禽を含む料理、サラダ、前菜、冷凍された複数のコースの家禽料理、および市販用の加工処理によってまたは家庭の調理で市販加工された家禽を用いて調理されたサンドイッチ材料を含めた、家禽製品;すべての市販用に加工された果実、柑橘類、ベリー類、および混合物を含めた、処理された果実および果汁;サラダ、液汁および液汁パンチ、濃縮物、希釈、「エード」、およびそれらから作った飲物代替物;すべての市販用に加工された野菜、野菜料理、冷凍された複数のコース野菜料理、および野菜ジュースおよびブレンドを含めた、処理された野菜および野菜ジュース;チップス、プレッツェル、および他の目新しいスナックを含めた、スナック食品;棒状のキャンディー、チョコレート、ファッジ、ミント菓子、および他の歯応えのあるキャンディーまたはヌガーキャンディーを含めた、ソフトキャンディー;肉、魚、家禽、野菜、および組合せ自家製スープを含めた、自家製スープ;市販用に調理された肉、魚、家禽、野菜、および組合せスープおよびスープ混合物を含めた、スープおよびスープ混合物;白色の顆粒状の砂糖のみを含めた、白色の顆粒状の砂糖;顆粒状、液体、およびタブレットの砂糖代替物を含めた、砂糖代替物;およびチョコレート、ベリー、果実、コーンシロップ、およびメープルスウィートソースおよびトッピングを含めた、スウィートソース、トッピングおよびシロップである。
【0027】
一態様では、粗カフェインの、ある種のコーヒー由来の生物活性化合物の有効量との複合体が提供され、ならびに粗カフェイン複合体を取り込んでいる食品、食品製品、および飲料などの食料品を改善する。これらの複合体は、純粋なカフェイン中に見出されなかった独特の機能上の利点をもたらすことが発見されている。例えば、粗カフェイン複合体は、細胞によるグルコース取り込みを刺激し、酸化防止特性、および/または抗炎症性の利点をもたらす能力を実証することが発見されている。他方では、殆ど99パーセントの純粋なカフェインであり、生物活性化合物が実質的にない純粋なカフェインは、これらの機能上の特性を示さない。粗カフェイン複合体は、それらの成分としてのコーヒーに基づかない食品の用途に特に適しているが、複合体は、焙煎および挽いたおよび水溶きコーヒー生成物と組み合わせることもできる。
【0028】
他の態様では、粗カフェイン複合体を用いる方法は提供される。一手法により、ヒト骨格筋細胞またはヒト脂肪細胞などの細胞中へのグルコース取り込みを刺激する方法は、細胞を粗カフェイン複合体と接触させることにより提供される。他の手法では、上昇した血糖値を有する対象または生物における血糖を低減する方法は提供され、対象または生物は、粗カフェイン複合体によって接触させるまたはこれらと共に提供される。
【0029】
本明細書で使用される場合、粗カフェイン複合体は、好ましくはカフェインの大部分が含まれ、これは、コーヒーをカフェイン除去したコーヒーに変換する典型的なカフェイン除去プロセスの加工していないおよび未精製の副生成物として得ることができる。粗カフェインは、カフェインが純粋なカフェインに精製される前に単離される。粗カフェイン複合体には、カフェイン除去プロセス中のカフェインで共溶出されるいくつかのコーヒー由来の生物活性化合物の有効量が含まれる。一手法により、粗カフェイン複合体には、多量のカフェインおよび少量のコーヒー由来の生物活性化合物が含まれる。例えば、粗カフェイン複合体は、コーヒーベースおよび/または焙煎されていないもしくは生コーヒー豆から得られた約90から約95パーセントのカフェインおよび約5から約10パーセントの生物学的に活性の化合物を含むことができる。さらに、粗カフェイン複合体はまた、クロロゲン酸、糖質、タンパク質、およびカテキンなどの酸が実質的になくてもよい。本明細書で使用される場合、実質的にないは、約0.1パーセント未満を意味し、好ましくは、約0.01パーセント未満を意味するものとする。一手法により、例えば、粗カフェイン複合体には、約0.01パーセント未満のクロロゲン酸およびこれらのラクトン誘導体、約0.1パーセント未満の糖質、および約0.01パーセント未満のタンパク質が含まれる。これらの生物活性化合物は、通常、カフェイン除去および純粋なカフェインを達成するための精製プロセスからの廃棄される副生成物である。前もって、生物活性は廃棄される。したがって、本明細書における複合体は、前もって捨てられるおよび廃棄される生成物のための新たな使用をもたらす。
【0030】
粗カフェイン複合体は、飲料、清涼飲料、クッキー、チーズ、クラッカー、粉末化した飲料などのコーヒーでない用途などの様々な食品製品に用いられる機能的な成分として特に有効であると考えられる。複合体は、焙煎および挽いたコーヒー、水溶きコーヒー、および液体コーヒー飲料と組み換えることもできる。したがって、一態様では、食品、食品製品、および飲料は、本明細書に記載した機能上の利点をもたらすのに十分な追加の成分として粗カフェイン複合体の有効量を含むものを提供することができる。粗カフェイン複合体は、その成分として食品とブレンドしてもよく、食料品の様々な先駆物質または成分とブレンドしてもよい。
【0031】
より具体的には、細胞へのグルコース取り込み、酸化防止特性、および抗炎症活性が、本明細書に記載した粗カフェイン複合体による臨床検査において示され、これは、いくつかのコーヒー由来の生物活性化合物の有効量と共に粗カフェインの独特の複合体またはブレンドを含むことが発見されている。純粋なカフェインは、これらの効果を示さない。理論によって制限されることを望まずに、これらの予期しない利点は、コーヒー由来の生物活性化合物の結果および/またはコーヒー由来の生物活性を有する未精製のカフェインの組み合わされた相乗的な利点であると考えられる。本明細書で使用される場合、生物活性または生物活性化合物は、カフェイン除去プロセス中カフェインで共溶出され、前述の機能上の利点をもたらすために単独でまたは組み合わせて有効である化合物を意味する。理論によって制限されることを望まずに、これらの生物活性化合物の様々な組合せは、前述の機能上の利点のそれぞれを担い得ると考えられる。
【0032】
より多くの詳細に戻ると、いくつかの場合、粗カフェインおよびコーヒー由来の生物活性の複合体は、細胞へのグルコース取り込みを刺激することにより、インスリンの人工的な使用に類似のまたはそれよりも良好な血糖値を制御する能力を示すことが発見されている。例えば、実験室内試験では、本明細書における粗カフェイン複合体約0.01mg/mLの用量は、ヒト骨格筋細胞へのグルコース取り込みを刺激する類似の能力を実証するが、グルコース取り込み一次細胞試験により決定された通り、ヒト脂肪細胞または脂質細胞へのグルコース取り込みを刺激する能力の上昇を実証していることが示されている。一手法により、粗カフェイン複合体約0.001から約0.1mg/mLが、細胞中へのグルコース取り込みを刺激するのにインスリン100ナノモルと同等に有効であることが期待されると予想される。その結果、本明細書における粗カフェイン複合体を含む方法および食品が、特に、インスリンに対して抵抗性になっている糖尿病患者のために、血糖値を制御する上でインスリンの代替物として用いることができると予測される。
【0033】
細胞中へのグルコース取り込みのかかるレベルは、純粋なカフェイン単独の使用で示されない。粗カフェインがカフェインのそのより低いレベルにより(純粋なカフェインに対して)効果の減少を示すはずであると考えられるため、この結果は予測されない。粗カフェインが、約90から約95パーセントのカフェインを含み、純粋なカフェインが約99パーセントのカフェインであるとき、粗カフェイン複合体は、機能上の利点が純粋なカフェインよりも約9から約4パーセント低いことを示すことが予想された。しかし、以下でより詳細に説明され、試験は、カフェインのより低い量を有する(しかし、生物活性化合物の相対レベルは高い)粗カフェイン複合体が、実際に純粋なカフェインに比べてグルコース取り込み効果の向上を示すことが実証された。
【0034】
他の場合、カフェインおよびコーヒー由来の生物活性の複合体が、アスピリンよりも抗炎症活性においてより有効となり得ることが実験室の試験において発見されている。酵素シクロオキシゲナーゼ−2(「COX−2」)が、炎症を引き起こし得るプロスタグランジンを合成することが一般に理解される。通常、炎症は、ステロイド性の薬物または非ステロイド性抗炎症薬(「NSAID」)を用いて制御することができる。実際、いくつかのNSAID COX−2阻害薬は公知である。一般のNSAID COX−2阻害薬には、アスピリンおよびイブプロフェンが含まれる。本明細書における粗カフェイン複合体が、アスピリンよりもCOX−2活性を阻害するより多くの能力を有意に実証していることが実験室内試験により発見されている。一手法により、粗カフェインの最小用量約0.02mg/mLは、COX−2の試験される酵素活性の約50パーセントを阻害する0.19mg/mLのアスピリンと同様に有効である。
【0035】
他の場合、粗カフェイン複合体はまた、親水性および親油性の酸化防止活性を実証することが実験室内試験により発見されている。純粋なカフェインは、かかる活性が殆どないことを実証している。
【0036】
上記で説明した通り、粗カフェイン複合体は、食品製品中の成分として特に十分に適していることが予測される。したがって、一手法により、改善された食品、食品製品、または飲料は、上記の機能上の利点を達成する有効量として約0.05パーセントから約25パーセントの粗カフェイン複合体を含むことができるものを本明細書で提供するが、かかる量は、ある特定の食品、所望の機能上の利点、および他の因子に応じて変わり得る。具体的な一例では、約0.1から約15パーセントの粗カフェイン複合体が、飲料、清涼飲料、スナック、キャンディー、ガム、クッキー、チーズ、クラッカー、粉末化した飲料などに加えることができることが予想される。もちろん、模範的な食品のこのようなリストは、複合体が食品添加物として用いられ得る場合のほんの数例にすぎない。粗カフェイン複合体は、焙煎および挽いたコーヒー、水溶きコーヒーなどに加えることもできる。さらなる他の手法において、粗カフェイン複合体は、注射により、丸剤、カプセル剤としての摂取により、経皮パッチなどに用いるなど食品と別に取り込むことができる。この目的のため、粗カフェイン複合体は、丸剤、カプセル剤、錠剤、フィルム、コーティング、および他の消費可能な形態に形成することができる。
【0037】
粗カフェイン複合体は、焙煎されない生コーヒー豆のカフェイン除去プロセスから得ることができる。一手法により、生コーヒー豆は、カフェイン除去したコーヒー生成物および粗カフェイン副生成物を生成するためにカフェイン除去することができる。活性炭などの望まれない材料は、場合によっては、生成物から除去することができ、粗カフェインは、食品成分として適当な最終粗カフェイン複合体を形成するために特定の生物活性化合物を単離するまたは濃縮するのに必要なように、場合によっては強化することができる。別の手法により、次いで、粗カフェイン副生成物は、約90から約95パーセントのカフェインおよび約5から約10パーセントの生物活性化合物を有する粗カフェイン複合体中で形成される。次いで、粗カフェイン複合体は、食品または他の飲料に直接取り込むことができるまたは、上記の通り、食品または飲料の先駆物質もしくは成分にブレンドすることができる。言及した通り、約0.05から約25パーセントの粗カフェイン複合体は、上記の機能上の利点を達成するために食品もしくは飲料にまたは食品もしくは飲料の先駆物質にブレンドすることができる。
【0038】
別の手法により、粗カフェイン複合体は、コーヒー由来の生物活性を単離するためにさらに精製するまたは純化することもできるまたは上記の機能上の利点を担うある種の生物活性を濃縮するために強化することもできる。さらに精製するまたは強化する場合、生物学的に活性の化合物は、純粋なカフェイン抽出物および(生物学的に活性の化合物を含む)生物活性の抽出物ならびに少量のカフェインもしくはカフェインなしを生成するためにカフェインから分離することができる。場合によっては、精製されたコーヒー由来の生物活性は、濃縮することができる。次いで、この生物活性の抽出物は、グルコース取り込み、ならびに酸化防止および抗炎症活性の向上をもたらすために食品、飲料、または医薬品生成物に加えることができる。精製された生物活性が粗カフェインと別々に用いられる場合、約0.1から約15パーセントが、飲料、清涼飲料、スナック、キャンディー、ガム、クッキー、チーズ、クラッカー、粉末飲料、焙煎コーヒーおよび挽いたコーヒー、水溶きコーヒーなどの様々な食品もしくは飲料と混合することができると予測される。さらに、これは、粗カフェイン複合体に適当であると考えられる食品の模範的なリストにすぎない。
【0039】
図1に戻ると、粗カフェイン複合体を抽出し形成する模範的なプロセスは列挙される。例えば、出発素材は、カフェイン除去したコーヒー豆12および副生成物としての粗カフェイン抽出物13を生成するためにカフェイン除去プロセス11にかける、焙煎されていない生コーヒー豆10となり得る。一手法により、加工していない、生コーヒー豆は、液体形態の二酸化炭素が、コーヒーからカフェインを抽出するために用いられる場合、超臨界二酸化炭素カフェイン除去プロセスによりカフェイン除去される。次いで、二酸化炭素は、粗カフェイン複合体の外に蒸発させることができる。しばしば、粗カフェイン抽出物13は、廃棄物として廃棄されるまたは純粋なカフェイン抽出物16を生成するためにさらに純化される15。場合によっては、粗カフェイン抽出物13は、純化ステップ15を用いて残留物から実質的に純粋な生物活性成分17を形成するためにさらに精製することができる。粗カフェイン複合体18は、カフェイン除去プロセスから直線にある副生成物13から得ることができるまたは粗カフェイン複合体は、(単離されたコーヒー由来の生物活性である)残渣17の所望の量をカフェインとの所望の比で一緒に濃縮する、強化する、純化する、さらにブレンドすることにより形成することができる。次いで、粗カフェイン複合体18は、望む通り様々な食品、飲料、食品製品、薬物、および他の食料品に加えることができる。あるいは、粗カフェイン複合体は、以下でさらに説明する通り食品および食品製品の様々な先駆物質とブレンドすることができる。図1でさらに示す通り、改善された食品製品または食料品20は、粗カフェイン複合体18を食料品20中で直接ブレンドすることにより、または食料品の成分もしくは先駆物質22中で粗カフェイン複合体18をまずブレンドすることにより得ることができる。
【0040】
最終生成物として食料品を有する模範的な粗カフェイン抽出プロセスの流れ図である図1と類似して、図2は、最終生成物として薬物を有する模範的な粗カフェイン抽出プロセスの流れ図であり、図3は、最終生成物として化粧品を有する模範的な粗カフェイン抽出プロセスの流れ図であり、図4は、最終生成物として栄養補助食品を有する模範的な粗カフェイン抽出プロセスの流れ図であり、図5は、最終生成物として生物製剤を有する模範的な粗カフェイン抽出プロセスの流れ図である。
【0041】
図1のように、図2から図5においても、出発素材は、カフェイン除去したコーヒー豆12および副生成物として粗カフェイン抽出物13を生成するためにカフェイン除去プロセス11にかける焙煎されていない、生コーヒー豆10となり得る。一手法により、加工していない、生コーヒー豆は、液体形態の二酸化炭素は、カフェインをコーヒーから抽出するために用いられる超臨界二酸化炭素カフェイン除去プロセスによってカフェイン除去される。次いで、二酸化炭素は、粗カフェイン複合体の外へ蒸発させることができる。しばしば、粗カフェイン抽出物13は、廃棄物として廃棄されるまたは純粋なカフェイン抽出物16を生成するためにさらに純化される15。場合によっては、粗カフェイン抽出物13は、純化ステップ15を用いて残留物から実質的に純粋な生物活性成分17を形成するためにさらに精製することができる。粗カフェイン複合体18は、カフェイン除去プロセスから直線にある副生成物13から得ることができる、または粗カフェイン複合体は、(単離されたコーヒー由来の生物活性である)残渣17の所望の量をカフェインとの所望の比で一緒に濃縮する、強化する、純化する、さらにブレンドすることにより形成することができる。次いで、粗カフェイン複合体18は、望む通り様々な薬物(図2)、化粧品(図3)、栄養補助食品(図4)、および生物製剤(図5)に加えることができる。あるいは、粗カフェイン複合体は、薬物(図2)、化粧品(図3)、栄養補助食品(図4)、および生物製剤(図5)の様々な先駆物質とブレンドすることができる。すなわち、図でさらに示される通り、改善された薬物220(図2)、化粧品320(図3)、栄養補助食品420(図4)、および生物製剤520(図5)は、粗カフェイン複合体18を薬物220(図2)、化粧品320(図3)、栄養補助食品420(図4)、および生物製剤520(図5)に直接ブレンドすることにより、またはそれぞれの薬物(図2)の薬物成分もしくは先駆物質222(図2)、化粧品(図3)の化粧品成分もしくは先駆物質322(図3)、栄養補助食品(図4)の栄養補助食品成分もしくは先駆物質422(図4)、および生物製剤(図5)の生物製剤成分もしくは先駆物質522(図5)に粗カフェイン複合体18をまずブレンドすることにより得ることができる。
【0042】
いくつかの手法では、物質の組成物は、食品、薬物、化粧品、栄養補助食品、または生物製剤を問わず、カフェイン除去していないコーヒー豆またはコーヒーを再生しない、またはレギュラーコーヒーを生成しない。
【実施例】
【0043】
すべての百分率は、別段の指示がない限り重量による。
【実施例1】
【0044】
粗カフェイン抽出物を、超臨界条件下の二酸化炭素により焙煎されていない、生コーヒー豆のカフェイン除去により得られた((Maximus Coffee Group、Houston、Texas)。次いで、粗カフェイン抽出物を分析して、粗カフェイン含有量を決定した(Silliker、Inc.、South Holland、IL.)。アッセイの結果は、約94.8%のカフェイン濃度を示した。したがって、抽出物は、最大約5.2パーセントのコーヒー由来の生物活性化合物を有した。
【0045】
超臨界二酸化炭素(scCO2)カフェイン除去により生成した粗カフェインの他の抽出物を評価した。表1は、粗カフェインに近似した組成物を示す。主な成分は、カフェイン(95.95%)、水分(1.10%)、および脂肪(1.04%)であり;灰分、繊維、タンパク質、および糖質の量は、軽微であった。
【0046】
【表1】

【0047】
フェノール化合物は、生コーヒー中で見出された植物性化学物質の主なファミリーであり、質量の約10%を占める。フェノール化合物の一部は、カフェインとの複合体を形成し、したがって、カフェイン除去により除去される可能性がある。本発明者らは、Folin−Ciocalteuアッセイを用いて粗カフェイン中のフェノールの存在を決定し、合計フェノールのレベルが、10mg CE/g、または粗カフェイン質量当たりおよそ1%であることが見出された。
【実施例2】
【0048】
ヒト脂肪細胞(脂質)および骨格筋細胞(SMC)中のグルコース取り込みに対する実施例1の粗カフェイン抽出物の効果を試験した(Zen Bio Research、Triangle Park、North Carolina)。同様の試験を行って、純粋なカフェイン(BASF、Florham Park、NJ)のグルコース取り込みに対する効果を評価した。カフェイン成分が健康効果に寄与した場合、相関は、粗カフェインが約90から約95パーセントの純粋なカフェインである(すなわち、粗カフェインが約5から約10パーセント未満のカフェインを有する)ため、粗カフェイン抽出物が、純粋なカフェインにより実証されるよりも約10から約5パーセント少ないグルコース取り込み活性などの、健康上の利益に影響を与えるように存在しているはずであると本来考えられた。しかし、(カフェインが少ない)粗カフェイン複合体が、純粋なカフェインの類似の量に対して改善されたグルコース取り込みを実際に示したことを予想外に発見した。具体的にはおよび図6を参照して、粗カフェイン複合体の約0.01mg/mLの用量は、対照に比べて120%(p<0.05)まで脂肪細胞中へのグルコース取り込みを増加させ、純粋なカフェイン約0.01mg/mLは、かかる効果を統計的に示さなかった。これらの結果を、図6でグラフを用いて示し、インスリンと比較した。一手法により、粗カフェインは、図6に示される通り、少なくとも90%以上の純粋なカフェインによる脂肪細胞へのグルコース取り込みを増加する。
【0049】
ヒト骨格筋細胞では、粗カフェイン抽出物約0.01mg/mLの用量は、対照に比べて45%(p<0.05)までグルコース取り込みを増加させ、さらに純粋なカフェインは、かかる効果を統計的に示さなかった。これらの結果を、図6でグラフを用いて示し、図6でインスリンと比較した。
【0050】
約0.001から約0.1mg/mLの粗カフェインの用量は、細胞にグルコース取り込みを促進するためのインスリンよりも有効であるまたはそれと同じくらい有効であると考えられる。インスリンを100nM(ナノモル)で試験し、細胞培養モデルにおけるグルコース取り込みのための標準的な用量である。
【0051】
要約すると、図6は、インスリン(100nM)、粗カフェイン(0.01mg/mL)、および純粋なカフェイン(0.01mg/mL)によるヒト骨格筋細胞および脂肪細胞中へのグルコース取り込みの刺激を図示する。データを一元配置ANOVA、その後多重比較のためのTukeyの事後試験により分析した。図6では、結果を平均±SDとして表す。アスタリスク*は、ヒト骨格筋細胞と比較したP<0.05を意味し;キャロットトップ^は、未処理のヒト脂肪細胞と比較したP<0.05を意味する。
【0052】
要するに、本発明者らは、陽性対照としてインスリンを用いて、粗カフェインのヒト骨格筋細胞および脂肪細胞中へのグルコース取り込みに対する効果を決定した。ヒト骨格筋細胞では、100nMインスリンは、グルコース取り込みの2.06倍の増加を促進し、インスリンより有効でないが、0.01mg/mL粗カフェインは、1.45倍まで有意にグルコース取り込みを増加した。対照的に、0.01mg/mL純粋なカフェインは、有意な効果をもたらさなかった。驚くべきことに、ヒト脂肪細胞では、粗カフェインは、インスリンよりもより効率的にグルコース取り込みを刺激した。すなわち、0.01mg/mL粗カフェインは、グルコース取り込みの2.20倍の増加を引き出し、100nMインスリンは、1.6倍の増加を引き出した。純粋なカフェイン(0.01mg/mL)は、グルコース取り込みに対する有意な効果を与えなかった。
【実施例3】
【0053】
実施例1の粗カフェイン複合体を、酸化防止活性についても試験し、純粋なカフェインの酸化防止活性と比較した。酸化防止剤は、親水性(水溶性)または親油性(脂溶性)としてこれらの溶解性によって物理的に分類することができる。酸化防止剤のそれぞれのタイプは、身体の異なる部分における酸化性の損傷を防止する。したがって、可能な限り多くの酸化性の損傷を防止するために、酸化防止剤の両方のタイプを有することが望ましい。本発明者らは、ORAChydroが、329μモルTE/gであり、ORACiipoが、129μモルTE/gであったことを見出し、純粋なカフェインが、極めて低いORAChydro(5μモルTE/g)およびORAClipo(0μモルTE/g)と関連したことを見出した。したがって、粗カフェインが、親水性および親油性の酸化防止活性において高いことを発見した。他方では、純粋なカフェインは、親水性酸化防止活性を殆ど示さず、親油性酸化防止活性を全く示さなかった。
【0054】
超臨界二酸化炭素(scCO2)カフェイン除去により生成した粗カフェインの他の2つの抽出物を評価した。一方では、ORAChydroは、145μモルTE/gであり、ORAClipoは、66μモルTE/gであった。もう一方では、ORAChydroは、288μモルTE/gであり、ORAClipoは、115μモルTE/gであった。
【0055】
一手法により、粗カフェインを添加物として用いる場合、親水性酸化防止活性は、少なくとも約150から約300μモルTE/g(Trolox当量のマイクロモル)の酸素ラジカル吸収能力(ORAC)値を有し得る。別の手法により、粗カフェインを添加物として用いる場合、親油性酸化防止活性は、少なくとも約50から約100μモルTE/gのORAC値を有し得る。
【0056】
リノレアートマイクロエマルジョン系用に適合されたORACアッセイを用いて(非特許文献1を参照)、本発明者らは、粗カフェイン、アスコルビン酸、およびクロロゲン酸と合わせたα−トコフェロール(ビタミンEの一形態)の酸化防止活性を決定した。データを、相対ORACとして表す。すなわち、100%の相対ORACは、混合物の酸化防止活性が、各成分の酸化防止活性の総計に等しく(相加効果)、100%を超える相対ORACは、混合物の酸化防止活性が、各成分の酸化防止活性の総計を超えた(相乗効果)ことを意味する。
【0057】
本発明者らは、粗カフェインおよびアスコルビン酸は、α−トコフェロール(100%の相対ORAC)と組み合わせて添加物の酸化防止効果をもたらしたことを見出した。対照的に、クロロゲン酸は、α−トコフェロール(168%の相対ORAC)と組み合わせて相乗効果をもたらした。
【0058】
粗カフェインがα−トコフェロールと相加的に働くという本発明者らの発見は、α−トコフェロールに基づく食物性酸化防止サプリメントの利点を代用するために想定された粗カフェインの使用を示す。
【実施例4】
【0059】
実施例1の粗カフェイン抽出物のCOX−2阻害薬として働く能力をも試験し、純粋なカフェインおよびアスピリン、一般のNSAID抗炎症薬と比較した。粗カフェイン複合体が、アスピリンを超えるCOX−2活性を阻害する能力を実証し、純粋なカフェインが、かかる阻害活性を示さないことを発見した。上記で論じた通り、COX−2酵素を阻害する能力は、抗炎症活性を提供するものと理解される。これらの結果を図7でグラフを用いて示す。差し込みの表は、mg/mLがIC50についての値を示す。IC50は、COX−2酵素の約50パーセント阻害を達成するために必要とする有効用量を示す。より小さい数字は、少ない化合物が、50パーセント阻害レベルを得るために溶液中で必要とされることを示す。チャートで示す通り、アスピリンは、約0.19mg/mLの値を有し、粗カフェインは、約0.02mg/mLの値を有する。したがって、アスピリンよりも実質的に少ない粗カフェインが、50%阻害を達成するために本試験で必要とされた。他方では、レギュラーコーヒーは、2.01mg/mLの値を有し、より高い量の純粋なカフェインが同じ効果を達成するために必要であるということを示す。
【0060】
要約すると、図7は、アスピリン、レギュラーコーヒー、カフェイン、および粗カフェインによるCOX−2の阻害を図示する。データを、一元配置ANOVA、その後多重比較のためのTukeyの事後試験により分析した。図7では、結果を平均±SDとして表す。アスタリスク*は、アスピリンと比較したP<0.05を意味する。
【0061】
要するに、本発明者らは、陽性対照としてアスピリンを用いて、炎症性酵素COX−2に対するその効果を決定することにより、粗カフェインの抗炎症活性を評価した。粗カフェインは、COX−2活性を阻害し;IC50値は、20μg/mLであり、これは、アスピリン(IC50、190μg/mL)のそれよりも9.5倍低く、粗カフェインがアスピリンよりも強力なCOX−2阻害薬であることを示した。対照的に、レギュラーコーヒーの活性(IC50、2010μg/mL)は、アスピリンのそれよりも約10倍低かった。純粋なカフェインは、COX−2活性を阻害しなかった。
【実施例5】
【0062】
実施例1の粗カフェイン複合体を、さらに分析して、5から10パーセントの微量成分の複合体中のコーヒー由来の生物活性成分の一部を部分的に決定した(Brunswick Labs、Norton、Mass.)。カフェインを、以下の手順により生物活性の抽出物から分離した。すなわち、(1)粗カフェイン抽出物が溶解するまで、粗カフェイン48.90mgを15mLの脱イオン(DI)水に溶解し超音波処理し;(2)ジクロロメタン(CH2Cl2)30mLを加え、振り混ぜ、遠心し、CH2Cl2層(底層)を収集し;(3)ステップ2を繰り返し3〜4回反復し;(4)約15mLアセトンを水層(生物活性抽出物)に加え、混合し、分析用に超音波処理する。
【0063】
次いで、分析を、粗カフェインおよび単離した生物活性の抽出物で、薄層液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、および質量分析を用いて行って、生物活性の抽出物のクロマトグラムを調製した。抽出物の分析チャートを、図8Aおよび図8Bで示す。図8Aおよびフェノール特異的Folin−Ciocalteu染色のチャートに基づいて、生物活性の少なくとも1つの成分が、フェノール酸化合物となり得ると考えられる。
【0064】
図8Bのグラフは、粗カフェイン中の成分の質量分光チャートを示し、質量分光学的フィンガープリントを示すことによりノンカフェイン生物活性化合物の存在を示す。示す通り、カフェインは、図8Bのグラフで標識された通り分子量が195.3のピークを有する。具体的には、複合体中の少なくとも3つの潜在的な生物活性化合物の分子量は、197.4、187.3、および177.5で示される。これらの3つの化合物は個別にまたはそれらの混合物は、粗複合体の生物活性の組成物の主な成分となり得ると考えられる。理論によって制限されることを望まずに、これらの3つの主な化合物の粗カフェイン複合体の含有量は個別に、生物活性成分のそれぞれが約0から約20パーセントの範囲となり得ると考えられる。カフェインを含まずに、精製された生物活性の抽出物は、精製した抽出物中のこれらの3つの主な化合物を個別に、またはそれらの混合物を0から100パーセント含むものと予想され得る。図8Bにおける他のピークは、粗カフェイン中でも見出された他の微量な化合物を示す。
【0065】
要約すると、薄層クロマトグラフィー(図8A)は、粗カフェインが、特異的な染色によりノンカフェインフェノール系酸化防止剤を含むことを示す。左側のゲルのレーン3中の下から3番目に染色されたバンドをクロマトグラフから廃棄し、LC−MSによりさらに分析した。
【0066】
続けるために、LC−MS(図8B)は、廃棄したバンドに含まれたフィンガープリント化合物の分子量を示す。主なフィンガープリント化合物の分子量は、それぞれ197.4、187.3、および177.5である。
【実施例6】
【0067】
粗カフェイン。粗カフェインは市販されている。粗カフェインは、カフェイン除去プロセスの副生成物である。一般に、カフェイン除去プロセスは、加工していない、生コーヒー豆を溶媒で抽出するものである。図9は、超臨界二酸化炭素(scCO2)カフェイン除去プロセスの副生成物として粗カフェインの調製を図示する。このプロセスでは、生コーヒー豆を、水分含有量が50%になるまで水に浸漬させた。カフェインを、高温(90〜100℃)および高圧(300atm)で液体二酸化炭素により抽出装置中で除去した。液体二酸化炭素を抽出装置とスクラバーとの間で再循環させ、カフェインを水で液体二酸化炭素から除去した。次いで、得られたカフェインに富む水溶液を、逆方向浸透により濃縮し、真空乾燥した。粗カフェインに近似した組成物を、Silliker、Inc.(South Holland、IL)によって分析した。
【0068】
総フェノール。粗カフェインの総ポリフェノール含有量を、非特許文献2の方法に従って決定した。クロロゲン酸標準もしくは粗カフェイン溶液1ミリリットルを、15mLの水および1.0mLのFolin−Ciocalteu試薬と混合し、次いで、室温で10分間インキュベートした。20%炭酸ナトリウム(3.0mL)を加え、40℃で20分間インキュベートしてから、吸光度を、Agilent 8453 UV−可視分光光度計(Waldbronn、Germany)を用いて755nmで測定した。合計ポリフェノール含有量を、粗カフェインのグラム当たりのクロロゲン酸当量(CE/g)をミリグラムで表した。
【0069】
酸素ラジカル吸光度能力。親水性画分(ORAChydro)の酸化防止値を決定するため、5gの粗カフェインを、室温で1時間オービタルシェーカー上で20mLアセトン/水(50:50v/v)で抽出した。混合物を、Rotanta 460R遠心機(GMI、Ramsey、MN)中で1972×gで遠心した。上清のORAChydro値を、KC4 3.0ソフトウェアによって制御されたFL600プレート蛍光リーダー(Bio−Tek Instruments、Inc.、Winooski、VT)でOu(非特許文献3を参照)から適合した方法で決定した。励起波長を485(±20)nmに設定し、発光波長は530(±25)nmで設定した。親油性画分(ORAClipo)の酸化防止値を決定するために、5g粗カフェインを10mLヘキサン/ジクロロメタン(50:50v/v)で2回抽出した。合わせた有機相のORAClipo値を、前もって発表された方法に従って決定した(非特許文献4;非特許文献5を参照)。
【0070】
グルコース取り込み。粗カフェインのグルコース取り込みに対するin vitro効果を、ヒト脂肪細胞および骨格筋細胞(Zen−Bio、Research Triangle Park、NC)で評価した。簡単にいうと、一次ヒト皮下脂肪細胞または一次ヒト筋芽細胞を96ウェルマイクロプレートで分化させた。得られた脂肪細胞(分化後2週間)または骨格筋細胞(分化後10日)を、3H−2−デオキシグルコースの存在下で粗カフェイン(0.001〜0.5mg/mL、最終濃度)で処理し;インスリン(100nM)で処理した細胞を、陽性対照として用い、陰性対照として未処理の細胞を用いた。陽性対照および陰性対照を含めた、すべてのサンプルを、3回試験した。37℃およびCO25%で、2時間インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し溶解した。細胞ライセートを、シンチレーション液で混合し、各ウェルの放射能をカウント毎分(CPM)として測定した。
【0071】
COX−2阻害。酸素消費をOxytherm(Hansatech Instrumental、Norfolk、England)の反応槽中で37℃で測定した。0.5mLトリス緩衝液(0.1M、pH8.0)、5μLヘム[ジメチルスルホキシド(DMSO)中100μM]、およびCOX−2酵素10μLからなる反応混合物を1分間インキュベートした。(DMSOまたはエタノール中の)各サンプル5マイクロリットルを加え、混合物をさらに1分間インキュベートした。アッセイを、5μLアラキドン酸を加えることによって開始し、酸素濃度をモニターした。初期の酸素消費率を動力学曲線から得た。COX−2阻害を、初期酸素消費率が50%まで減少した阻害薬濃度(IC50)として表した。
【0072】
α−トコフェロールと合わせた粗カフェイン生物活性化合物の相加効果。15mL試験管中で、得られた溶液が透明であるまでリノール酸メチル(1.2g)、Tween−20(2.9g)、n−ブタノール(1.5g)、およびリン酸カリウム緩衝液(4.4g)をボルテックスした。OBSマイクロプレートを、2重ウェルのTrolox溶液標準(20μL;500、250、125、62.5、または31.25μM)および3重ウェルのリン酸緩衝液(20μL)で希釈したサンプルで調製した。ペリメターウェル(perimeter well)を、潜在的なエッジ効果を避けるために動態試験用に用いなかった。次いで、酸化基質、リノール酸メチルマイクロエマルジョン(200μL)を加えた。プレートを、20μLの2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH、リン酸緩衝液中の0.20g/mL)を各ウェルに加える前に37℃で10分間インキュベートし;各ウェル中の最終体積は、240μLであった。マイクロエマルジョン200μLおよびリン酸緩衝液40μLを含む対照ウェルを用いて、蛍光読み取りを正常化した。反応速度を、37℃で2時間モニターし、Synergy HTマイクロプレート蛍光リーダー(Biotek Instruments Inc.)により、各2分読み取りした。マイクロプレートリーダーを、485nmの励起フィルター、590nmの発光フィルター、および酸素センサー生物系と共に装着し、プレートを、十分な混合を保証するために各読み取り前に、20秒間低強度で振り混ぜた。正常化してから、蛍光データを反応の各ポイントで酸素濃度に変換した。サンプルのORAC値を前述のように決定した(非特許文献1を参照)。
【0073】
統計分析。データを、一元配置分散分析(ANOVA)、その後、PASW統計18(Chicago、IL)を用いてTukeyの事後試験により分析した。結果を、平均±標準偏差(SD)として表す。P<0.05を、統計的に有意とみなした。
【0074】
これらの実施例および実施形態は、例示的なものであり、本明細書および添付した特許請求の範囲によって定義される通り、本発明の範囲を限定するものとして読み取られるものではない。
【0075】
本明細書で引用されたすべての文献は、参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食料品ベースと機能的な添加物の有効量とが共にブレンドされて含まれる食料品であって、
前記機能的な添加物が、カフェインの粗カフェイン複合体およびコーヒー由来の生物活性成分の有効量を含み、
インスリン、親水性および親油性酸化防止活性、抗炎症活性、ならびにそれらの組合せに類似した、または、それらよりも良好な、細胞中へのグルコース取り込みを刺激する効果をもたらす、ことを特徴とする食料品。
【請求項2】
粗カフェイン複合体が、約90から約95パーセントのカフェインおよび約5から約10パーセントのコーヒー由来の生物活性成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の食料品。
【請求項3】
コーヒー由来の生物活性成分が、焙煎されていない生コーヒー豆のカフェイン除去においてカフェインで共溶出され、生物活性成分が、約197、約187、約177、およびそれらの混合から選択される分子量を有することを特徴とする請求項2に記載の食料品。
【請求項4】
粗カフェイン複合体のコーヒー由来の生物活性成分が、カフェインで共溶出された、約197、約187、約177、およびそれらの混合から選択される分子量を有するそれぞれの化合物約0から約20パーセントを含むことを特徴とする請求項3に記載の食料品。
【請求項5】
約0.05から約25パーセントの粗カフェイン複合体を含むことを特徴とする請求項1に記載の食料品。
【請求項6】
粗カフェインの量が、インスリン100nMに統計的に類似のレベルでヒト骨格筋細胞へのグルコース取り込みを向上させることを特徴とする請求項1に記載の食料品生成物。
【請求項7】
粗カフェインの量が、インスリン100nMと統計的に類似のまたはそれよりも高いヒト脂肪細胞へのグルコース取り込みを増加させることを特徴とする請求項1に記載の食料品生成物。
【請求項8】
食料品ベースが、清涼飲料、スナック、クッキー、チーズ、クラッカー、粉末化した飲料、焙煎および挽いたコーヒー、および水溶きコーヒーから選択されることを特徴とする請求項1に記載の食料品生成物。
【請求項9】
粗カフェイン複合体が、約0.01パーセント未満のクロロゲン酸およびそのラクトン誘導体、約0.1パーセント未満の糖質、および約0.01パーセント未満のタンパク質を含むことを特徴とする請求項1に記載の食料品生成物。
【請求項10】
粗カフェイン複合体が、焙煎されない生コーヒー豆の超臨界二酸化炭素カフェイン除去から得られることを特徴とする請求項1に記載の食料品生成物。
【請求項11】
粗カフェイン複合体を含む、改善された食料品を生成する方法であって、
a.カフェイン除去したコーヒー豆および粗カフェイン抽出物を生成するために焙煎されない生コーヒー豆をカフェイン除去するステップと;
b.粗カフェイン抽出物を回収するステップと;
c.多量のカフェインおよび少量のコーヒー由来の生物活性化合物を有する粗カフェイン複合体に粗カフェイン抽出物を変換するステップと;
d.刺激された細胞中へのグルコース取り込み、酸化防止特性、および抗炎症活性の1つを達成するのに有効な量で粗カフェイン複合体を食料品に加えるステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
粗カフェイン複合体が、約90から約95パーセントのカフェインおよび約5から約10パーセントのコーヒー由来の生物活性化合物であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
カフェイン除去が、超臨界二酸化炭素カフェイン除去であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
細胞によるグルコース取り込みを刺激する方法であって、
カフェインおよび有効量のコーヒー由来の生物活性成分のブレンドの粗カフェイン複合体と細胞を接触させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
粗カフェイン複合体が、約90から約95パーセントのカフェインおよび約5から約10パーセントのコーヒー由来の生物活性成分であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
細胞が、ヒト骨格筋細胞であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
細胞が、ヒト脂肪細胞であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
細胞を接触させるステップが、細胞を約0.001から約0.01mg/mLの粗カフェイン複合体と接触させるステップを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
粗カフェイン複合体が、焙煎されない、生コーヒー豆の超臨界二酸化炭素カフェイン除去から得られることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
上昇した血糖値を有する生物における血糖値を低減する方法であって、
細胞へのグルコース取り込みを刺激するために粗カフェイン複合体の有効量を生物に提供するステップと、
上昇した血糖値よりも低い生物の血糖値を低減するステップ、
を含み、
前記粗カフェイン複合体が、カフェインおよび有効量のコーヒー由来の生物活性成分のブレンドを含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
粗カフェイン複合体が、約90から約95パーセントのカフェインおよび約5から約10パーセントのコーヒー由来の生物活性成分であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
細胞が、ヒト骨格筋細胞であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
細胞が、ヒト脂肪細胞であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項24】
細胞を接触させるステップが、細胞を約0.001から約0.1mg/mLの粗カフェイン複合体と接触させるステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項25】
粗カフェイン複合体が、焙煎されない、生コーヒー豆の超臨界二酸化炭素カフェイン除去から得られることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項26】
上昇した血糖値よりも低い血糖値(200mg/dL以下)を有することを必要とする、上昇した血糖値(200mg/dLを超える)を有する生物を同定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記食料品ベースおよびそれにブレンドした前記機能的な添加物が、カフェイン除去していないコーヒー豆/コーヒーを再生しないまたはレギュラーコーヒーを生成しないことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の食料品。
【請求項28】
食品および粗カフェインを含む物質の組成物であって、前記粗カフェインが、生豆カフェイン除去プロセスの生成物であることを特徴とする組成物。
【請求項29】
薬物および粗カフェインを含む物質の組成物であって、前記粗カフェインが、生豆カフェイン除去プロセスの生成物であることを特徴とする組成物。
【請求項30】
化粧品および粗カフェインを含む物質の組成物であって、前記粗カフェインが、生豆カフェイン除去プロセスの生成物であることを特徴とする組成物。
【請求項31】
栄養補助食品および粗カフェインを含む物質の組成物であって、前記粗カフェインが、生豆カフェイン除去プロセスの生成物であることを特徴とする組成物。
【請求項32】
生物製剤および粗カフェインを含む物質の組成物であって、前記粗カフェインが、生豆カフェイン除去プロセスの生成物であることを特徴とする組成物。
【請求項33】
前記食品、薬物、化粧品、栄養補助食品、または生物製剤、および前記粗カフェインが、カフェイン除去していないコーヒー豆/コーヒーを再生しないまたはレギュラーコーヒーを生成しないことを特徴とする請求項28から32のいずれかに記載の物質の組成物。
【請求項34】
前記粗カフェインが、インスリンに統計的に類似のまたはそれよりも高いレベルでヒト脂肪細胞へのグルコース取り込みを刺激するまたはインスリンに統計的に類似のレベルでヒト骨格筋細胞へのグルコース取り込みを刺激することを特徴とする請求項28から32のいずれかに記載の物質の組成物。
【請求項35】
前記粗カフェインが、少なくとも約150から約300μモルTE/gのORAChydro値および少なくとも約50から約100μモルTE/gのORAClipo値を有することを特徴とする請求項28から32のいずれかに記載の物質の組成物。
【請求項36】
前記粗カフェインが、アスピリンに統計的に類似のまたはそれを超えるレベルでCOX−2活性を阻害することを特徴とする請求項28から32のいずれかに記載の物質の組成物。
【請求項37】
上昇した血糖値を有する生物における血糖値を低減する方法であって、
上昇した血糖値よりも低い生物の血糖値を低減させるのに有効な粗カフェインの量を生物に提供するステップを含み、
前記粗カフェインが、生豆カフェイン除去プロセスの生成物であることを特徴とする方法。
【請求項38】
上昇した血糖値よりも低い血糖値(200mg/dL以下)を有することを必要とする、上昇した血糖値(200mg/dLを超える)を有する生物を同定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
生物において抗酸化物質の総食物摂取を増加することにより食事を補充する方法であって、
抗酸化物質の総食物摂取を増加することにより食事を補充するのに有効な粗カフェインの量を生物に提供するステップを含み、
前記粗カフェインが生豆カフェイン除去プロセスの生成物であることを特徴とする方法。
【請求項40】
抗酸化物質の総食物摂取を増加することにより食事の補充を必要とする生物を同定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
上昇した炎症性レベルを有する生物における炎症性活性を低減する方法であって、
上昇した炎症性レベルよりも低い生物の炎症性レベルを低減させるのに有効な粗カフェインの量を生物に提供するステップを含み、
前記粗カフェインが、生豆カフェイン除去プロセスの生成物であることを特徴とする方法。
【請求項42】
上昇した炎症性レベルよりも低い減少した炎症性レベルを有することを必要とする上昇した炎症性レベルを有する生物を同定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記生物がヒトであることを特徴とする請求項20から26または請求項37から42のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8B】
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【図9】
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【図8A】
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【公表番号】特表2013−500009(P2013−500009A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521735(P2012−521735)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/042611
【国際公開番号】WO2011/011418
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(508247877)クラフト・フーヅ・グローバル・ブランヅ リミテッド ライアビリティ カンパニー (53)
【Fターム(参考)】