説明

粘土組成物及びその製造方法

【課題】 藍藻類由来の代謝産物を長期期間に亘り持続的に経皮吸収させることを可能とする。
【解決手段】 スメクタイト族粘土鉱物を含む粘土成分と、藍藻類由来の代謝産物と、水とを含有する粘土組成物を提供する。藍藻類由来の代謝産物は、スメクタイト族粘土鉱物の層間に保持され、徐放性が付与される。このような粘土組成物を作製するには、スメクタイト族粘土鉱物とカオリナイト族粘土鉱物を含む粘土成分に対し、藍藻類由来の代謝産物とケイ酸イオンを含む水(例えば温泉水)を作用させて熟成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖脂質やフィコビリタンパク質等の藍藻類由来の代謝産物を長期間持続的に浸透作用させることが可能な粘土組成物に関するものであり、さらには、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
藍藻類には、各種糖脂質や脂肪酸、フィコビリタンパク質等が含まれていることが知られており、例えば藍藻類から抽出された糖脂質は、抗炎症作用や抗酸化作用を有することから、その分散濃縮液を皮膚へ塗布することで経皮吸収させ、抗炎症剤や抗酸化剤として使用することが検討されている(例えば、特許文献1や特許文献2等を参照)。
【0003】
例えば、特許文献1には、スイゼンジノリ等のクロオコックス科の藍藻植物またはその抽出物を含む皮膚外用剤、機能性経口用組成物が開示されている。特許文献1記載の発明では、優れた保湿作用、抗老化作用、美白作用等を有する天然由来成分として藍藻植物の抽出物に着目し、これを保湿剤、抗老化剤、美白剤、抗酸化剤、抗炎症剤、痩身剤等として利用している。
【0004】
同様に、特許文献2にも、微細藻類から抽出された抗酸化剤及び抗酸化剤を含有する化粧料が開示されている。特許文献2記載の発明では、藍藻網ネンジュモ目のノーストック属又はアフェニゾメノン属及びユレモ目のオシラトリア属又はスピリナ属等に属する微細藻類の抽出物を単独、あるいはビタミンC、ビタミンE等と組み合わせて抗酸化剤、化粧料として使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−201694号公報
【特許文献2】特開2002−69443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述の藍藻類由来の代謝産物を皮膚に塗布する等、経皮的に抗炎症剤や抗酸化剤等として作用させる場合、抗炎症作用や抗酸化作用を有する成分(糖脂質やフィコビリタンパク質等)の浸透作用を明確にし、これらを長期間持続的に経皮吸収させ得る形態で供することが必要である。前述の各特許文献に記載されるように、藍藻類の抽出物をそのまま外用剤として使用しても、長期間継続的に経皮吸収させることは難しく、例えば洗い流してしまえば、その効果は簡単に消失してしまう。
【0007】
天然由来成分の場合、速効性はあまり期待できず、その薬理効果を得る上で、如何にして持続的に浸透作用させるかが重要な鍵となる。本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、藍藻類由来の代謝産物を長期期間に亘り持続的に経皮吸収させることが可能で、藍藻類由来の代謝産物に含まれる有効成分の持つ抗炎症作用や抗酸化作用を十分に引き出すことが可能な粘土組成物を提供することを目的とし、さらには、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達成するために、本発明に係る粘土組成物は、スメクタイト族粘土鉱物を含む粘土成分と、藍藻類由来の代謝産物と、水とを含有することを特徴とする。また、本発明の粘土組成物の製造方法は、スメクタイト族粘土鉱物とカオリナイト族粘土鉱物を含む粘土成分に対し、藍藻類由来の代謝産物とケイ酸イオンを含む水を作用させて熟成することを特徴とする。
【0009】
本発明は、本発明者らが一貫して行ってきたナノ界面科学において得られた知見を基に、ナノ構造変換に基づいた効率的な吸着現象を利用した斬新なアイデアを基礎として案出されたものである。すなわち、本発明では、藍藻類の代謝産物をスメクタイト族粘土鉱物を含有する粘土成分と組み合わせ、有機・無機ハイブリッドペーストとすることで、前記代謝産物を高濃度濃縮させ、徐放性を付与している。したがって、例えば抗炎症作用や抗酸化作用を有する前記有効成分が、長期間持続的に経皮吸収され、皮膚への作用が効果的に引き出される。
【0010】
一方、本発明の粘土組成物の製造方法では、スメクタイト族粘土鉱物とカオリナイト族粘土鉱物を含む粘土成分に対し、藍藻類由来の代謝産物とケイ酸イオンを含む水を作用させている。粘土鉱物としてカオリナイト族粘土鉱物を併用すると、カオリナイトのナノ層構造がベントナイト構造に変換される過程で、藍藻類由来の代謝産物が層間に取り込まれてナノ複合体が形成され、前述のような徐放性が付与される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、抗炎症剤や抗酸化剤等の有効成分として寄与する藍藻類由来の代謝産物を、高濃度濃縮されるとともに徐放性が付与された形態で提供することが可能である。したがって、藍藻類由来の代謝産物を長期間持続的に経皮吸収させることができ、これら代謝産物の持つ抗炎症作用や抗酸化作用等を効果的に引き出すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)はケイ酸四面体の模式図であり、(b)はアルミナ八面体の模式図である。
【図2】(a)はカオリナイト族粘土鉱物(1:1型粘土鉱物)の単位層を示す模式図であり、(b)はスメクタイト族粘土鉱物(2:1型粘土鉱物)の単位層を示す模式図である。
【図3】(a)は1:1型粘土鉱物(カオリナイト族粘土鉱物)の積層構造を模式的に示す図であり、(b)は2:1型粘土鉱物(スメクタイト族粘土鉱物)の積層構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した粘土組成物及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
本発明の粘土組成物は、抗炎症作用や抗酸化作用等を有する藍藻類由来の代謝産物を有効成分として含んでおり、この藍藻類由来の代謝産物を経皮吸収させる徐放剤(リリース剤)として用いられるものである。その主たる成分は、藍藻類由来の代謝産物、粘土成分、及び水であり、いわゆる泥パックのような形態を有する。
【0015】
前記成分のうち、藍藻類由来の代謝産物は、例えば糖脂質や脂肪酸、フィコビリタンパク質等を挙げることができる。藍藻類由来の糖脂質としては、例えば、飽和あるいは不飽和の脂肪酸を有するモノガラクトシルジグリセリド(MGDG)やジガラクトシルジグリセリド(DGDG)等を挙げることができ、これら糖脂質は天然の抗炎症剤、抗酸化剤として期待されている。
【0016】
フィコビリタンパク質は、天然材料から得られる色素の一群で、フィコエリスリン(Phycoerythrin)やフィコシアニン(Phycocyanin)等を例示することができる。フィコビリタンパク質は、吸収できる光波長範囲が広く、化学合成材料を含めた色素の中でも最高レベルの吸光係数を示すことから、天然色素としての用途が検討されているが、先の糖脂質等と同様、天然の抗炎症剤や抗酸化剤としての用途についても可能性を有する。
【0017】
前述の代謝産物を産生する藍藻類としては、前記糖脂質や脂肪酸、フィコビリタンパク質等を代謝産生するものであれば任意のものを選択することが可能である。例えば、フォルミジウム属の藍藻類は、糖脂質や脂肪酸等を豊富に含み、好ましい藍藻類と言える。また、スイゼンジノリは、フィコエリスリンとフィコシアニンの2種類のフィコビリタンパク質を含み、フィコビリタンパク質を高収率で得ることが可能である。スイゼンジノリに含まれるフィコビリタンパク質の割合は、スイゼンジノリ全体の2〜3%に相当し、抽出による収率は90%以上である。
【0018】
前記藍藻類由来の代謝産物は、藍藻類から抽出したものを用いればよい。藍藻類から代謝産物を抽出するには、公知の抽出方法を適用すればよく、使用する藍藻類の種類等に応じて最適な抽出方法を選択すればよい。例えば、藍藻類としてスイゼンジノリを使用する場合には、抽出は非常に簡単であり、凍結、融解だけでフィコビリタンパク質を含む抽出物を得ることができる。また、抽出する際に用いる抽出液も任意であり、例えば希薄な塩溶液(NaCl溶液等)等を用いることができる。
【0019】
抽出物は、抽出後の抽出液をそのまま用いることもでき、あるいは抽出液を乾燥したものを用いることもできる。なお、抽出後の抽出液については、高度な精製は必要なく、例えば固形分を除去するための濾過等を行って、そのまま(あるいは乾燥して)抽出物とすることができる。
【0020】
一方、前記藍藻類由来の代謝産物と組み合わせて用いられる粘土成分は、藍藻類由来の代謝産物を層間に取り込むことが可能なスメクタイト族粘土鉱物を含む必要がある。例えば、粘土成分として、多孔質な珪藻土等を使用し、物理的吸着によって藍藻類由来の代謝産物を保持することも考えられるが、この場合には代謝産物の保持状態が不十分で、代謝産物の放出を長期間持続させることは難しい。これに対して、雲母、パーミキュライト、スメクタイト、ベントナイト等のスメクタイト族粘土鉱物は、層状ケイ酸塩鉱物であり、層間に前述の藍藻類由来の代謝産物を取り込むことから、高濃度濃縮が可能であるとともに、長期間持続する徐放性を付与することができる。
【0021】
一般に、粘土鉱物は、図1(a)に示されるケイ酸四面体と図1(b)に示されるアルミナ八面体とから構成され、例えばカオリナイト族粘土鉱物は1:1型粘土鉱物であり、図2(a)に示すように、アルミナ八面体シートにケイ酸四面体シートが突き刺さるような形で結合している。これに対して、スメクタイト族粘土鉱物は、2:1型粘土鉱物であり、図2(b)に示すように、2枚のケイ酸四面体シートがアルミナ八面体シートの両側からサンドイッチする形で結合している。
【0022】
図3(a)は1:1型粘土鉱物(カオリナイト族粘土鉱物)の積層構造を模式的に図示したものであり、図3(b)は2:1型粘土鉱物(スメクタイト族粘土鉱物)の積層構造を模式的に図示したものである。1:1型粘土鉱物(カオリナイト族粘土鉱物)では、ケイ酸四面体シート1とアルミナ八面体シート2とで各層が構成され、これが繰り返し積層されている。2:1型粘土鉱物(スメクタイト族粘土鉱物)では、2つのケイ酸四面体シート1とアルミナ八面体シート2とで各層が構成され、これが繰り返し積層されており、各層間には水分子3が取り込まれる。2:1型粘土鉱物の場合、各層間に水分子の他、イオンや有機物(藍藻類由来の代謝産物)を取り込むことが可能である。2:1型粘土鉱物(スメクタイト族粘土鉱物)に取り込まれた藍藻類由来の代謝産物は、前記層間から徐々に放出され、いわゆる徐放性が付与されて長期間に亘り抗炎症作用や抗酸化作用が持続する。
【0023】
なお、粘土成分において、前述のスメクタイト族粘土鉱物が含まれることが必要であることは前述の通りであるが、この場合、スメクタイト族粘土鉱物の粘土成分に占める割合は80質量%以上であることが好ましい。これにより十分な量の藍藻類由来の代謝産物を取り込むことが可能となる。
【0024】
前述の藍藻類由来の代謝産物と粘土成分とからなる粘土組成物は、乾燥状態であると粘土鉱物の層間への代謝産物の取り込みや放出が難しくなるので、水とともに混練して、いわゆる泥パック状とすることが好ましい。スメクタイト族粘土鉱物は、水を取り込むことで膨潤し、同時に藍藻類由来の代謝産物を取り込んでいるものと考えられる。
【0025】
この場合、水としては、純水や水道水等を使用することも可能であるが、温泉水を用いることによって、前記藍藻類由来の代謝産物とともに温泉水に含まれるミネラル成分(Ca2+やK等のイオン)も層間に取り込まれ、さらに健康増進効果、美容効果等を得ることも可能である。また、藍藻類由来の代謝産物とともに温泉水に含まれるミネラル成分が存在することで、互いの相乗効果により、これら成分が粘土鉱物の層間へ取り込まれ易くなるという効果もある。
【0026】
次に、前述の構成を有する粘土組成物の製造方法について説明する。前述の粘土組成物は、前記の通り粘土成分(スメクタイト族粘土鉱物)の層間に、糖脂質等、藍藻類由来の代謝産物が取り込まれて徐放性が付与されていることが必要であり、そのための熟成が必要である。
【0027】
具体的には、スメクタイト族粘土鉱物を含む粘土成分に対し、藍藻類由来の代謝産物を含む水を作用させて熟成する。ただし、ただ単に藍藻類由来の代謝産物を含む水を粘土成分に作用させるだけでは、前記代謝産物をスメクタイト族粘土鉱物の層間へ取り込ませることは難しい。また、仮に代謝産物の層間への取り込みが可能であったとしても、長時間を要することになる。
【0028】
そこで、本発明においては、ベントナイト(モンモリロナイト)等のスメクタイト族粘土鉱物に加えて、カオリナイト(カオリン)、ハロイサイト等のカオリナイト族粘土鉱物を用い、その構造変換を利用して代謝産物の層間への取り込みを効率的に進めるようにしている。すなわち、本発明では、前記スメクタイト族粘土鉱物(例えばベントナイト)とカオリナイト族粘土鉱物(例えばカオリン)とからなるクレイナノ粒子に藍藻類から抽出した代謝産物を含有する水溶液を加え、これを分散混合後、一定条件で乾燥撹拌処理を行うことで、前記代謝産物を高濃度に含有する有機・無機ハイブリッドペーストを作製する。
【0029】
カオリン等のカオリナイト族粘土鉱物は、前述の通り、1:1型粘土鉱物であるが、ケイ酸イオン(SiO2−)存在下、代謝産物を含む水溶液中で熟成すると、2:1型粘土鉱物へ構造変換する。このカオリナイトのナノ構造がベントナイト構造に変換される現象を利用すれば、糖脂質等の藍藻類由来の代謝産物を層間に取り込み、複合化することが可能になる。
【0030】
なお、前記スメクタイト族粘土鉱物及びカオリナイト族粘土鉱物を含む粘土成分に対し、藍藻類由来の代謝産物を含む水を作用させる熟成においては、水の温度がある程度高い方が熟成が進行し易い傾向にある。したがって、前記水として温泉水(冷泉を加熱したものも含む)を使用することが好ましい。
【0031】
また、前記温泉水には前記ケイ酸イオン(SiO2−)が含まれており、別途ケイ酸イオンを加える必要がない。さらに、温泉水を用いれば、温泉水に含まれる成分(Ca2+、Kの主要イオンや、Al3+、Ni2+、Se2+、Cs等の微量元素のイオン)も一緒に層間に取り込まれることになり、前記代謝産物とCa2+やKを高濃度に含有する有機・無機ハイブリッドペーストを作製することが可能である。
【0032】
以上のような方法で作製される粘土組成物においては、藍藻類由来の代謝産物が高度濃縮され、また、前記代謝産物を長期間持続的に経皮吸収させることが可能である。したがって、前記粘土組成物(本発明の粘土組成物)は、抗炎症剤(抗炎症性経皮徐放剤)や抗酸化剤(抗酸化性経皮徐放剤)として使用可能である他、いわゆる美容パック等、全身の美容目的に使用することも可能である。具体的には、デトックス、アンチエージング、保湿・清浄・美白効果等、エステティック分野や、病気予防、健康維持増進、病後の療養、新しい代替医療等、健康増進分野、介護・転倒予防、部分入浴効果、骨粗鬆症や床ずれの改善等、介護分野、さらには、温熱効果、転地療養効果、温泉成分による化学・変調作用等、温泉療養分野等に適用可能である。
【0033】
本発明の粘土組成物は、イタリアで伝統的に治療のために利用されてきた「ファンゴ」と称される手法を応用したものである。「ファンゴ」の効能等は歴史的に認められており、既にイタリアでは医師による処方のもと様々な治療に適用されている。しかしながら、「ファンゴ」による治療のメカニズムは明確なわけではなく、経験的手法に頼っているのが実情であり、その作成法についても最適化されているわけではない。
【0034】
そのような中、本発明者らは、「ファンゴ」の技術にナノ複合体の観点から改良を加え、これを工業レベルで利用可能にしたものであり、その構成や効果において、前記「ファンゴ」とは全く異なる技術ということができる。特に、藍藻類由来の代謝産物を含む水溶液中でカオリナイトのナノ層構造がベントナイト構造に変換される現象を利用して代謝産物(糖脂質等)を複合化する技術の新規性は高く、抗炎症性等を有する前記代謝産物を高濃度に保持できる点で優位性を有する。また、例えば温泉水を使用し、温泉ミネラルからCa2+やKを選択的に吸収できるベントナイト(スメクタイト族粘土鉱物)の特性を最大限に利用することで、抗炎症性物質である代謝産物の皮膚への作用を効果的に引き出すという考えは、本発明独自のものである。
【実施例】
【0035】
以下、本発明について、具体的な実験結果に基づいて説明する。
【0036】
粘土組成物の作成
カオリン(5質量%〜20質量%)及びベントナイト(80質量%以上)を含むクレイナノ粒子と、藍藻から抽出した抗炎症性代謝産物(糖脂質、脂肪酸)を北陸地方の温泉水中で混合分散後、乾燥撹拌処理を行って複合化しペーストを作製した。ペースト作製時に乾燥速度と撹拌剪断応力を変化させ、作製前後におけるベントナイト組成の変化をX線回折法で定量した。同時に、ペースト内部に存在する糖脂質の量を蛍光法で測定した。
【0037】
徐放性の確認
得られたペーストを皮膚に塗布し、一定時間保持後にペーストを一定量回収し、残存する糖脂質及び各種イオンの量の時間変化を調べた。その結果、作製したペーストにおいては、糖脂質についての徐放性が確認され、糖脂質の作用が長期間に亘り持続することがわかった。
【0038】
温泉成分の変化
温泉水を奥湯河原温泉の温泉水に変え、他は同様にしてペーストを作製した。ペースト作製後、奥湯河原温泉の温泉水(源泉)の成分と熟成後の上澄み液の成分を比較した。源泉の成分を表1に、上澄み液の成分を表2に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
表1と表2を比較すると明らかなように、CaやKはペーストに含まれるベントナイトに取り込まれたものと考えられる。
【符号の説明】
【0042】
1 ケイ酸四面体シート、2 アルミナ八面体シート、3 水分子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スメクタイト族粘土鉱物を含む粘土成分と、藍藻類由来の代謝産物と、水とを含有することを特徴とする粘土組成物。
【請求項2】
前記スメクタイト族粘土鉱物の粘土成分に占める割合が80質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の粘土組成物。
【請求項3】
前記藍藻類由来の代謝産物が、糖脂質またはフィコビリタンパク質であることを特徴とする請求項1または2記載の粘土組成物。
【請求項4】
前記藍藻類由来の代謝産物の少なくとも一部がスメクタイト族粘土鉱物の層間に取り込まれていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の粘土組成物。
【請求項5】
前記水がケイ酸イオンを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の粘土組成物。
【請求項6】
前記ケイ酸イオンを含む水が温泉水であることを特徴とする請求項5記載の粘土組成物。
【請求項7】
前記藍藻類由来の代謝物とともに温泉水に含まれるイオンの一部がスメクタイト族粘土鉱物の層間に取り込まれていることを特徴とする請求項6記載の粘土組成物。
【請求項8】
前記スメクタイト族粘土鉱物の層間に取り込まれたイオンがCa2+及びKであることを特徴とする請求項7記載の粘土組成物。
【請求項9】
抗炎症性物質経皮徐放剤、抗酸化性物質経皮徐放剤、または美容パックとして用いられることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載の粘土組成物。
【請求項10】
スメクタイト族粘土鉱物とカオリナイト族粘土鉱物を含む粘土成分に対し、藍藻類由来の代謝産物とケイ酸イオンを含む水を作用させて熟成することを特徴とする粘土組成物の製造方法。
【請求項11】
前記ケイ酸イオンを含む水として温泉水を用いることを特徴とする請求項10記載の粘土組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−202619(P2010−202619A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52979(P2009−52979)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(509067120)株式会社アセンダント (1)
【Fターム(参考)】