説明

粘度を推定する方法

【課題】液体の粘度を推定する方法を提供する。
【解決手段】吸引又は分配プローブ内の液体の粘度を推定する方法は、分注又は吸引が生じていないときに、計測先端部の内部の圧力である基準圧(Pref)を測定することと、液体を分注又は吸引することであって、液体はこの液体とプローブのポンプ機構との間にある体積を有する、ことと、吸引又は分注を停止することと、前記吸引又は分注が停止された時間である時間(t)において、前記先端部の内部の圧力(Pstop)を測定することと、tの後、時間(t’)において、先端部の内部の圧力(Pstop’)を測定することと、Pref、Pstop、及びPstop’の関数として粘度を推定することと、を含む。好ましい実施形態では、本方法は診断分析装置上で実施される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、診断分析装置の計測システムによって移送される液体など、測定システムにおける液体の粘度の推定に関する。特に本発明は、吸引された又は分注された流体の量をより正確に決定するための、選択された圧力測定値による粘度の推定に関する。
【0002】
診断分野において、例えば診断分析装置での診断分析又はアッセイにおいて、ますます少量の液体を使用する傾向がある。したがって、少量、例えばマイクロリットルの体積の流体の精密かつ正確な処理は、実施されるアッセイの性能に対して重要である。一つには、より高い粘度の液体は、吸引プローブ又はこのようなプローブの計測先端部の表面により接着する傾向にあり、また、意図されるよりも少ない液体の吸引にもつながるため、有効な液体計測システム(診断分析装置のものなど)の性能は、液体の特性(例えば粘度)に対して影響を受けやすい。ポンプ機構と液体との間のガス(例えば、空気)の圧力特性(pressure signature)又はプロファイルは、液体粘度の関数である。典型的な圧力プロファイルが図1に示されている。
【0003】
既知の診断分析装置における測定システムのための、既知の粘度推定技術は、35μLよりも大きい吸引体積でのみ機能する。そのような計測システムは、既知の診断装置、例えば、Vitros 5600及びVitros 3600診断分析装置(Ortho−Clinical Diagnostics,Incによって販売される)、並びに他の既知の分析装置システムで使用することができ、なぜならば、そのような分析装置は典型的に35μLを超える液体の量を測定するからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、小さな体積の液体、例えば35μL未満及びずっと少ない液体が、計測プロセス、例えば液体の吸引又は分配などに関わるとき、液体粘度の良好な推定に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、特に診断分析装置上の計測動作中の液体の測定に関連して、比較的小さな体積の液体における粘度を推定することができる前述の問題を解決する方法に関する。
【0006】
本発明の一態様は、吸引又は分注プローブ内の液体の粘度を推定する方法を目的とする。本方法は、分注又は吸引が生じていないときに、計測先端部の内部の圧力である基準圧(Pref)を測定することと、液体を分注又は吸引することであって、液体はこの液体とプローブのポンプ機構との間にある体積を有する、ことと、吸引又は分注を停止することと、吸引又は分注が停止された時間である時間(t)において、先端部の内部の圧力(Pstop)を測定することと、tの後、時間(t’)において、先端部の内部の圧力(Pstop’)を測定することと、Pref、Pstop、及びPstop’の関数として粘度を推定することと、を含む。
【0007】
一実施形態では、上記の方法は、PstopとPrefとの間の差である相対圧の差
【数1】

を計算することと、Pstopにおける圧量変化率
【数2】

によって計算することと、
【数3】

の関数として粘度を推定することと、を更に含む。
【0008】
別の実施形態において、本方法は、圧力上昇率
【数4】

を計算することと、Rの関数として粘度を推定することと、を更に含む。
【0009】
本発明の別の態様は、選択された量の液体を吸引する方法を提供する。本方法は、プローブ先端部及びポンプを備える吸引プローブを準備することであって、このプローブ先端部及びポンプは流体連通している、ことと、分注又は吸引が生じていないときに、計測先端部の内部の圧力である基準圧(Pref)を測定することと、先端部を液体内に移動させ、それによってある体積のガスが、液体の上部とポンプとの間に配置され、基準圧は、先端部が液体に入る前又は後に測定される、ことと、ポンプを、吸引されるべき選択された体積の液体に相当する時間又は距離にわたって作動させることと、吸引又は分注を停止することと、吸引又は分注が停止された時間である時間(t)において、先端部の内部の圧力(Pstop)を測定することと、tの後、時間(t’)において、先端部の内部の圧力(Pstop’)を測定することと、Pref、Pstop、及びPstop’の関数として粘度を推定することと、推定された粘度が所定範囲外である場合にオペレータに通達すること、又は推定された粘度に基づいてポンプの作動を調節することのいずれかによって粘度を補うことと、を含む。一実施形態では、ポンプはピストンポンプであり、ピストンポンプのピストンは、吸引されるべき液体の選択された体積に相当する所定の距離を移動する。
【0010】
本発明の更に別の態様は、検体のサンプルを分析する方法を提供する。本方法は、サンプルの源を準備することと、
プローブ先端部及びポンプを備える吸引プローブを準備することであって、このプローブ先端部及びポンプは流体連通している、ことと、分注又は吸引が生じていないときに、計測先端部の内部の圧力である基準圧(Pref)を測定することと、先端部を液体内に移動させ、それによってある体積のガスが、液体の上部とポンプとの間に配置され、基準圧は、先端部が液体に入る前又は後に測定される、ことと、ポンプを、吸引されるべき選択された体積の液体に相当する時間又は距離にわたって作動させることと、吸引又は分注を停止することと、吸引又は分注が停止された時間である時間(t)において、先端部の内部の圧力(Pstop)を測定することと、tの後、時間(t’)において、先端部の内部の圧力(Pstop’)を測定することと、Pref、Pstop、及びPstop’の関数として粘度を推定することと、推定された粘度が所定範囲外である場合にオペレータに通達すること、又は推定された粘度に基づいてポンプの作動を調節することのいずれかによって粘度を補うことと、を含む。
【0011】
本発明の更なる目的、特徴及び利点が、以下の好ましい実施形態の詳細な考察から、当業者に明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】A/Dカウントとして示されている圧力を備える、2μLのマイクロチップの血液サンプル吸引の圧力プロファイルを示す。
【図2】異なる粘度を有する液体に関する、粘度の関数として圧力上昇率(R)のグラフを示す。
【図3】異なる粘度を有する液体のために、logit/log4曲線適合モデルを使用して、粘度の関数として圧力上昇率の曲線を示す。
【図4】logit/log4曲線適合モデル(実線)及び別の曲線適合技法(波線)を使用して、粘度の関数として圧力上昇率の2つの曲線を示す。
【図5】異なる粘度を有する7.5μLの吸引に関して、時間の関数として、液体の吸引中の圧力プロファイルを示す。
【図6a】線形較正モデル(上)及びlogit/log4較正モデルのための直線性及び誤差を示す。
【図6b】線形較正モデル(上)及びlogit/log4較正モデルのための直線性及び誤差を示す。
【図6c】線形較正モデル(上)及びlogit/log4較正モデルのための直線性及び誤差を示す。
【図6d】線形較正モデル(上)及びlogit/log4較正モデルのための直線性及び誤差を示す。
【図7】異なる粘度を有する11μLの吸引に対して、時間の関数として、液体の吸引中の圧力プロファイルを示す。
【図8】異なる粘度を有する液体の、11μLの液体サンプル吸引に関する、時間の関数としての圧力変化量(pressure rate)を示す。
【図9】様々な粘度に対してlogit/log4モデルを使用して予測粘度対真の又は実際の粘度の直線性を示すグラフ。
【図10】様々な粘度に対してlogit/log4モデルを使用して予測粘度対真の又は実際の粘度の直線性を示すグラフ。
【図11】様々な粘度に対してlogit/log4モデルを使用して予測粘度対真の又は実際の粘度の直線性を示すグラフ。
【図12】様々な粘度に対してlogit/log4モデルを使用して予測粘度対真の又は実際の粘度の直線性を示すグラフ。
【図13】様々な粘度に対してlogit/log4モデルを使用して予測粘度対真の又は実際の粘度の直線性を示すグラフ。
【図14】様々な粘度に対してlogit/log4モデルを使用して予測粘度対真の又は実際の粘度の直線性を示すグラフ。
【図15】様々な粘度に対してlogit/log4モデルを使用して予測粘度対真の又は実際の粘度の直線性を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による粘度推定に関する様々な用途は制限されていないが、特に有用な用途は診断解析の分野においてである。本発明と共に使用され得る分析装置及び方法の範囲は広く、以下により詳細に記載されている。
【0014】
本明細書で使用されるとき、「小さな体積」又は「比較的小さな体積」の液体は、概ね≦35μL、≦25μL、≦20μL、≦10μL、≦5μL、及び更には2μL未満、並びに特に体積≦20μLとして定義される。
【0015】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明において、ピストンポンプが記載されているが、他のポンプ機構、例えばダイヤフラムポンプが本発明と共に使用され得る。
【0016】
本発明の態様は、吸引された液体の体積が小さな体積であるときに、計測事象中の選択圧力測定値を使用して液体の粘度を推定する。いかなる理論に拘束されるものではないが、本発明は、粘度推定が圧力のみの測定に基づいて決定されるという、発明者の発見を前提とする。本発明者らは、以下の導出を介して、粘度が計測事象のみの選択された時間における圧力測定値に基づき推定され得るということを実証することができた。
【0017】
これは、相対圧(以下に定義されている)を測定することによって、及びポンプ停止(以下に定義されている)における圧力変化率を測定することにより流体流量(Q)を推定することによって達成される。相対圧(DP又は)及び流量流量(Q)は次いで、液体粘度を相関付けるために使用される。
【0018】
液体吸引中に、ピストンポンプのピストンが引き下がり、吸引された液体の粘度及び慣性により、先端部の内部圧力が減少する(図1)。ピストンが停止するそのときにおいて、より低い圧力が先端部の内部で作られる。周囲気圧と先端部の内部の圧力との間の圧力差又は相対圧DPは、ポンプ停止後、圧力が均衡に達するまで、先端部の中へと流れる液体を促進し続ける。
【0019】
ポンプが停止したとき(ポンプ停止)の圧力は、送り出された液体の粘度に関連付けられる。他の全ての条件が同じままであるとき、粘度が高いほど、圧力は低い。ポンプ停止における液体の流量(Q)は、先端部の内部と周囲(すなわち、先端部の外部)との間の圧力差(DP)に比例し、かつ液体粘度に反比例する。この関係はポンプ停止においてのみでなく常に適用され、含まれる液体の体積は小さいため液体慣性は無視できるということに留意する必要がある。
【0020】
ポンプ停止において、液体流量(Q)は、先端部の内部の空気の空気体積変化率と同じである。空気体積変化率は、先端部の内部の気圧変化を測定することによって決定され得る。一実施形態では、気圧は、計測システムにおける圧力センサーからのA/D(アナログ−デジタル)カウントによって測定される。測定される圧力A/Dカウントの割合は、ピストン速度と液体流量との間の差に比例する。ポンプが停止した場合、測定された圧力変化率は液体流量に比例する。
【0021】
先端部の内部と外部(周囲)との間の、ポンプ停止における相対圧(DP)は、DP=Pstop−Prefによって計算することができ、式中、Pstopは、ポンプが停止した際の圧力であり、Prefが吸引の前に周囲気圧であるときの圧力である。ポンプ停止後、液体流量(Q)は、先端部の内部と外部との間の圧力差に比例する。上述のように、流量(Q)はまた、液体粘度に反比例する。したがって、液体粘度は関数
【数5】

を用いて推定することができる。
【0022】
上述のように、ポンプ停止後、先端部における液体流量は、気圧変化率
【数6】

に比例し、式中、Pは時間tにおける圧力であり、Pはtにおける圧力であり、αは定数である。
【0023】
好ましい実施形態では、ポンプが停止する時の圧力及び後の3つの時間係数(以下により詳細に記載)が後に選択されて、
【数7】

を用いて流量を計算し、式中、βは定数である。液体粘度は、
【数8】

によって推定され、式中、
【数9】

である。
【0024】
この導出において、粘度はパラメータRの関数である。Rは、圧力上昇率と呼ばれ、吸引中の圧力特性における3つの圧力点(Pstop+3、Pstop、Pref)によって計算する。関数fは、パラメータRと粘度μとの間の関係を最適にする選択された較正モデルである。
【0025】
図1は、時間の関数としての圧力としてグラフ化された、類似ではあるが異なる粘度を有する2μLの血液を吸引する時の圧力特性である。A/Dカウントに関して曲線が高いほど、粘度は低い。図1における谷部分は、ポンプ停止(Pstop)に相当する。圧力上昇は、3つの一番低い曲線によって特に示されているように、より高い粘度の液体では、より緩慢である。
【0026】
図2は、粘度の範囲を有する血清サンプルの粘度μの関数として、圧力上昇率R(3つの圧力測定によって決定される)を示す。
【0027】
曲線適合は、logit/log4などの既知のモデルを使用して実施され得る。以下に記載される曲線適合モデルなど、他の既知の較正モデルもまた使用され得る。
【0028】
logit/log4は、粘度と圧力上昇率Rを相関付けるための較正モデルとして使用される。図3は、
【数10】

でlogit/log4検量線を示す。粘度は
【数11】

によって予測される。
【0029】
図3の血清サンプルのための4つの定数β、β、β、及びβは、β=−0.1709、β=19.2872、β=−3.3593、及びβ=−0.4868である。定数β、β、β、及びβは、既知の圧力上昇率R及び既知の粘度によって決定される。したがって、R=0.2のとき、推定される又は予測される粘度は3.243cpsである。
【0030】
他の曲線適合モデルは
【数12】

である。図4に示されるように、全血から回収されるデータに関して、適合させたモデルは、波線曲線として示され、B0=−0.0508、B1=2.4206、B2=−2.8811である。実線の曲線は、上記のlogit/log4デルを使用してプロットされた。
【0031】
図5は、異なる粘度を有する7.5μLの吸引に対する時間係数の関数として圧力トレースを示す。
【0032】
図6a〜dは、線形較正モデル(上)及びモデルlogit/log4の較正モデルのための直線性を示す。図6a及び6dは、粘度が上昇するにつれて、相対誤差が減少するということを示す。
【0033】
図7は、その粘度が回転粘度計によって決定された、異なる粘度流体の圧力プロファイルを示す。
【0034】
図8は、圧力変化量に対してプロットされた粘度計から直接測定された粘度を示す。
【0035】
図9〜15は、20μLまでの異なる体積の液体に関して、logit/log4モデル対粘度計によって決定された粘度を使用する本発明の方法によって決定された予測粘度の直線性を示す。
【0036】
図が示すように、粘度測定値と本発明の粘度計算との相関は、相関係数R2によって示されるように、非常に高い。
【0037】
このように、3つの異なる圧力を測定することによって、圧力上昇率Rは、曲線適合モデル、例えばlogit/log4を伴って、又は単に検量線をマニュアルで使用して計算することができ、計測される液体の粘度を推定することができる。
【0038】
別の実施形態では、3つの圧力測定値は、粘度を予測するためにも使用され得る。先端部の内部の初期の空気の体積はVであり、初期圧力は周囲気圧であり、かつp(上記のようにPrefとも呼ばれる)である。先端部が液体に入るとき、液体は毛細管圧及び重力により先端部に入り得る。結果として、VはVに変化し得、pはpに変化し得る。しかしながら、積
【数13】

は理想気体の法則によって一定のままである。ポンプが停止した後、先端部への、又は先端部から外への液体流量Qは、上記のように、先端部の内部の空気体積変化率と同じである。したがって、また上述のように、先端部の内部の空気体積変化率は、液体流量を決定するために使用することができる。液体が先端部から外へ流れるとき、正の値が流量に割り当てられ、液体が先端部内に流れるとき、負の値が流量に割り当てられる。液体流量
【数14】

は以下によって、空気体積変化ΔV(t)=V(t)−Vと関連付けられる。
【数15】

【0039】
先端部内部の気圧はp(t)であり、かつ時間の関数である。先端部の内部と周囲との間の圧力差はΔp(t)=p(t)−pである。液体流量、圧力差、及び液体粘度μは、
【数16】

によって関連付けられ、式中、定数βは、流量に対する形状の影響による正の数である。
【0040】
方程式(1)及び(2)から、以下の関係式を得ることができる。
【数17】

【0041】
典型的な計測システムにおいて、圧力及び空気体積変化は比較的小さい。断熱の理想気体の法則は、
【数18】

によって空気体積と圧力を関連付けるために使用される。体積変化は以下によって圧力変化と関連付けられる。
【数19】

【0042】
したがって、
【数20】

【0043】
上記の方程式(5)は、
【数21】

を得るために書き換えられ得る。上記の方程式(6)を積分することによって、結果は以下である。
【数22】

【0044】
時間の関数としての気圧は以下の形式で記載することができる。
【数23】

t→∞のとき、圧力は周囲に近づき、流体の流れは停止する。したがって、B=p=0である。したがって、システムの内部の圧力は、
【数24】

によって時間の関数として、粘度に関連付けられ、式中、
【数25】

【数26】

とする。上記の方程式の導関数をとると、結果は、以下である。
【数27】

【0045】
粘度μは、
相対圧
【数28】

と圧力変化量
【数29】

との間の割合に、
【数30】

によって関連付けられる。
【0046】
上記の等式は、以下の形式で記載され得る。
【数31】

【0047】
定数K及びκは、先端部の内部の形状、初期気圧、及び体積に関連付けられる。
【数32】

によって2つの定数が関連付けられる。これらの定数は、既知の粘度を有する流体を使用して検量線を構成し、かつ上記の3つの圧力測定値から相対圧の差
【数33】

及び圧力変化率
【数34】

を決定することによって決定することができる。
【0048】
ポンプが停止する時間がt=0として設定される場合、先端部の内部の圧力はピストンが停止するときの圧力、pである。これらの条件下で、方程式(9)における定数Aは、ポンプ停止における先端部の内部の気圧であり、A=pである。再び、粘度は、3つの圧力測定値、Pref、Pstop、Pstop’によって推定され得る。
【0049】
粘度は、一次関数を有する方程式(11)又は(12)を使用して、検量線として得ることができる。方程式(12)に対して、粘度の逆数(1/μ)は、線形曲線から計算することができ、次いで粘度(μ)は逆数で計算することができる。
【0050】
上記の説明から、本発明の利点は以下を含むということが明らかになる:
1.吸引又は分配中の圧力特性における3点のみを測定することによって、小さな体積の液体の吸収又は分注で粘度を推定すること。
2.本発明に使用されるアルゴリズムは、実施するのが比較的容易であり、これは特に、圧力が測定される唯一の特性だからである。
3.本発明は、誤差検出閾値を設定して、間違った検出の割合(特に診断アッセイにおいて)を低減するのに役立つ。例えば、推定された粘度が高い場合、詰まりに関する通知受理は、より高く設定されてもよく、なぜならば、低い閾値においては、圧力変化は先端部が詰まっているからではなく、恐らくより高い粘度の液体によるものである。同様に、推定される粘度が低い場合、詰まった先端部の通知に関する閾値は、より低く設定されてもよい。
4.計測事象が使用されるプロセスに対する改善された結果。一例では、計測されている流体の量における改善された精度及び正確さは、本方法の推定によって、流体粘度を知ることに基づいて実現される。例えば、高粘度の液体の場合において、計測プローブのための計測ポンプは、正確な量の液体を吸引するために、余分に吸引するように設定され得る。あるいは、推定される粘度は、液体の粘度が正常範囲外であるということを考慮して、プロセスの結果、例えば診断アッセイなどが、正しくない恐れがあるということをオペレータに警告するために使用され得る。
【0051】
本発明の粘度推定方法は、従来の計測機器で、例えば、米国特許第6,484,556号、同第6,060,320号、同第5,750,881号、及び同第5,540,081号に記載されるシステムで実施することができ、これらの全体は参照により全て組み込まれる。唯一要求されることは、吸引される液体と測定機器のためのポンプ機構との間の空間において圧力を測定する能力である。これは概して、吸引/分注プローブの先端部とポンプとの間に配置された圧力変換器を使用して達成される。
【0052】
好ましい実施形態による方法において、吸引又は分配プローブの計測先端部の内部の圧力が測定される。これは、基準圧(Pref)又は
【数35】

本発明の3つの圧力測定値のうちの1つを提供する。ポンプ機構は次いで、吸引又は分配モードのいずれかにおいて、予め選択された時間又は間隔にわたって作動する。予め選択された時間又は間隔の後、ポンプが停止される。ポンプが停止された時間又はおよその時間(t)において、圧力変換器は再び、液体とポンプ(Pstop)との間の空気の圧力を測定する。多くの場合において、圧力は、計測プロセスにわたって、連続して測定されるか、別個の時間間隔(時間係数)において測定される。例えば、図1の圧力プロファイルを参照のこと。そのような場合、圧力Pstopが、他の圧力測定値と共に測定されるであろう。ポンプ停止における圧力は、本発明により粘度を推定するために使用される圧力測定値の2番目のものである。
【0053】
設定された時間の後、圧力が再度測定される。この圧力測定値は、本発明による粘度を推定するのに使用される3つの圧力測定値の3番目のものである。3番目の圧力測定値がとられる時間は、ポンプ停止後で、先端部の内部へ又は外へ流れる液体が平衡になった(Pstop’)いずれかの時間(t’)であり得る。好ましい実施形態では、ポンプ停止後、圧力は時間係数の設定回数で測定される。好ましくは、圧力は、ポンプ停止(Pstop+3)後、3つの時間係数で測定される。時間係数は、測定事象中の圧力変換器による自動圧力測定間の時間である。一実施形態では、単一の時間係数は5ミリ秒である。これらのみが、本発明によって粘度を推定するのに要求される測定である。
【0054】
測定装置に関連するコンピューター内のコンピュータアルゴリズムは、次いで3つの圧力測定値に基づいて液体の粘度を推定するのに使用することができる。上記の第1実施形態を使用して、圧力上昇率Rは、3つの圧力測定値
【数36】

から決定される。測定される液体のために予め準備された検量線は次いで、logit/log4などの較正モデル及びRと共に使用されて、上記の方程式
【数37】

を使用して、推定粘度を計算することができ、又は線形較正モデルは、上記の方程式
【数38】

を使用して粘度を推定するために使用することができる。
【0055】
上記の第二実施形態を使用して、相対圧
【数39】

は、PstopとPrefとの間の差に基づいて計算される。ポンプ停止における圧力変化率
【数40】

は、
【数41】

によって計算される。粘度は次いで、相対圧、圧力変化率、及び関係式
【数42】

によって測定される流体のために事前に準備された検量線を使用して推定される。
【0056】
あるいは、推定されている特定の液体に関して、測定された圧力から計算された圧力変化率又は上昇率を使用して、圧力変化率又は上昇率対既知の粘度について、ユーザーは紙上にマニュアルでグラフ化された検量線をマニュアルで使用して、推定粘度に到達することができる。
【0057】
好ましい実施形態では、計測プローブ、例えば診断分析装置上のプローブなどによって液体が吸引されるときに、本発明による粘度推定方法が使用され得る。本方法は、吸引プローブを準備することを含む。プローブは、プローブ先端部及びポンプを有し、これらは一般的にチューブ材を介して流体連通している。圧力変換器は、それが吸引プロセスときに、プローブ先端部の上にあるガス、一般的に空気の圧力を測定することができるように配置されている。圧力変換器は、一般的にプローブ先端部とポンプメカニズムとの間に配置される。
【0058】
液体が、吸引されるべき液体に入る前の、吸引プローブの先端部内の初期ガス圧が測定される。プローブ先端部が液体に入る前、又はプローブ先端部が液体に入る前ではあるが、ポンプが起動される前のいずれかに、これは実施され得る。
【0059】
プローブ先端部は、一般的に、プローブ移送メカニズム、例えば、ラック及びピニオン機構又は水力作動装置によって液体内に移動される。これは、液体の先端部とポンプ機構(ピストンポンプのピストンなど)との間に位置するガスの体積となる。ポンプは、液体の選択された体積に相当する量において作動する。例えば、ピストンポンプのピストンは、吸引されるべき液体の選択された体積に相当する所定の距離を移動する。
【0060】
ガスの体積内のガス圧力は、ポンプが停止する時及びその後の短時間測定され、ポンプ停止、及びポンプ停止に加えた所定時間における圧力測定値を提供する。圧力測定値は、次いで、本発明による粘度を推定するのに使用される。好ましい実施形態では、液体は、体液、(例えば全血、血漿、血清、尿、又は唾液など)のサンプルである。別の実施形態では、液体は試薬、洗浄用流体、較正用流体、対照流体、例えば診断分析装置において使用されるものなどのうちの1つ又は2つ以上である。推定された粘度は、その後プロセスの別の箇所で使用され得る。
【0061】
上記のように、本発明の粘度推定技法の1つの用途は、サンプル(例えば生体サンプル)中の検体の量を分析するための診断分析装置においてである。自動診断分析装置は、臨床検査室における付属品である。使用する分析装置及び方法の範囲は広い。一部の例には、分光光度計の吸光度アッセイ、例えば末端部反応分析及び反応率分析、比濁分析検定、比濁検定、放射エネルギー減衰アッセイ(例えば、米国特許第4,496,293号及び同第4,743,561号に記載されるもの)、イオン捕捉アッセイ、比色分析アッセイ、蛍光アッセイ、電気化学検出システム、電位差検出システム、及びイムノアッセイが挙げられる。これらの技法の一部又は全ては、キュベットを利用した古典的湿式化学、イオン選択電極(ISE)分析、薄膜フォーマット「乾式」スライド化学、ビード及びチューブフォーマット若しくはマイクロタイタープレート、及び磁気粒子の使用により実施され得る。米国特許第5,885,530号は、ビード及びチューブフォーマットのイムノアッセイを実施するために、典型的な自動分析装置の動作の理解に有用な記載を提供し、参照により本明細書に組み込まれる。他の典型的な診断分析装置には、米国特許第7,402,282号、同第7,312,084号及び同第7,250,303号に記載のものが挙げられ、全てその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
典型的な診断分析装置の動作において、サンプルは上記のように吸引される。サンプルは次いで、サンプルホルダーに分注される。サンプルホルダーは、上記のとおり当該分野において既知のものを挙げることができる。乾式スライド、キュベット、及びストレプトアビジンでコーティングしたウェルが特に好ましい。本発明の特に好ましい用途は、サンプルが先端部に存在しながら、底部において、事前に密封されているより大きな計測先端部からサンプル液体を吸引することである。これらのタイプの密封された先端部は、Cuvetip(商標)(Ortho−Clinical Diagnostics,Inc.により販売)と呼ばれ、例えば、米国特許第6,797,518号及び米国特許出願公開第2003−0022380(A1)(2003年1月30日公開)に記載されており、これらの両方は、その全体が参照により組み込まれる。使用されるシステムによって、様々な試薬が追加されてもよい。試薬と共にサンプルは、選択された時間だけ培養されてもよく、次いで測定が実施される。例えば、化学分析器において、分析は、特定波長において動作する光度計を使用する比色分析であり得る。イムノアッセイにおいて、分析は、放射光を照度計によって、又は蛍光によって測定する化学発光分析によってなされてもよい。かかる測定システム、それ自体は、当該技術分野において周知である。上述のように、本発明による粘度推定は、例えばポンプの変位を調整することによって、正確さ及び精度を改善するために、粘度に関して診断機器を補うために使用することができ、あるいは粘度推定は、粘度測定値が、所定の値若しくは範囲外であり、これに応じていずれかの結果が考察されるべきであるという警告をオペレータに通知する、ないしは別の方法で示すために使用され得る。
【0063】
本発明の複合物、構成、プロセスに対して様々な修正及び変更が成され得ることが、当業者にとっては明白となるであろう。したがって、本発明は、このような修正物及び変更物を、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に含まれるならば包含することを意図される。
【0064】
先に引用された全ての出版物の開示は、それぞれが参照として個別に組み込まれているのと同程度に、本明細書において参照としてその全体が明示的に組み込まれる。
【0065】
〔実施の態様〕
(1) 吸引又は分注プローブ内の液体の粘度を推定する方法であって、
分注又は吸引が生じていないときに、計測先端部の内部の圧力である基準圧(Pref)を測定することと、
液体を分注又は吸引することであって、前記液体は該液体と前記プローブのポンプ機構との間にある体積の空気を有する、ことと、
前記吸引又は分注を停止することと、
前記吸引又は分注が停止された時間である時間(t)において、前記先端部の内部の圧力(Pstop)を測定することと、
tの後、時間(t’)において、前記先端部の内部の圧力(Pstop’)を測定することと、
ref、stop、及びPstop’の関数として粘度を推定することと、を含む、方法。
(2) Prefは周囲気圧である、あるいはPrefは前記先端部が流体内にある時の圧力であり、重力及び毛細管力によってもたらされる、実施態様1に記載の方法。
(3) Prefが周囲気圧によって、又は前記流体が前記先端部の内部にあるときの圧力によって決定されるとき、Prefは実質的に同じである、実施態様2に記載の方法。
(4) PstopとPrefとの間の差である相対圧の差
【数43】

を計算することと、
stopにおける圧力変化率
【数44】

によって計算することと、
【数45】

の関数として粘度を推定することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記推定は、方程式
【数46】

を使用することを更に含み、式中μは粘度である、実施態様4に記載の方法。
(6) 吸引されている又は分注されている前記流体の異なる粘度を使用して作成された検量線によってKは予め決められる、実施態様5に記載の方法。
(7) 圧力上昇率
【数47】

を計算することと、
Rの関数として粘度を推定することとを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記粘度は、非線形検量線を使用してRの関数として推定される、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記粘度は、
【数48】

によって推定され、式中、β、β、β、及びβは、非線形検量線によって決定される定数である、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記粘度は、線形検量線を使用してRの関数として推定される、実施態様7に記載の方法。
【0066】
(11) 前記粘度は
【数49】

によって推定され、式中、B0、B1、及びB2は、線形検量線によって決定される、実施態様7に記載の方法。
(12) t’は、tの後、15ミリ秒測定される、実施態様1に記載の方法。
(13) 吸引される又は分注される前記液体の量は10μL以下である、実施態様1に記載の方法。
(14) 吸引される又は分注される前記液体の量は5μL以下である、実施態様1に記載の方法。
(15) 吸引される又は分注される前記液体の量は2μL以下である、実施態様1に記載の方法。
(16) 前記液体は体液のサンプルである、実施態様1に記載の方法。
(17) 前記体液は、全血、血漿、血清、尿、又は唾液のうちの1つ又は2つ以上である、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記液体は、試薬、洗浄用流体、キャリブレーター用流体、コントロール用流体のうちの1つ又は2つ以上である、実施態様1に記載の方法。
(19) 選択された量の液体を吸引する方法であって、
プローブ先端部及びポンプを備える吸引プローブを準備することであって、前記プローブ先端部及びポンプは流体連通している、ことと、
分注又は吸引が生じていないときに、計測先端部の内部の圧力である基準圧(Pref)を測定することと、
前記先端部を前記液体内に移動させ、それによってある体積のガスが、前記液体の上部と前記ポンプとの間に配置され、前記基準圧は、前記先端部が前記液体に入る前又は後に測定される、ことと、
前記ポンプを、吸引されるべき選択された体積の液体に相当する時間又は距離にわたって作動させることと、
前記吸引又は分注を停止することと、
前記吸引又は分注が停止された時間である時間(t)において、前記先端部の内部の圧力(Pstop)を測定することと、
tの後、時間(t’)において、前記先端部の内部の圧力(Pstop’)を測定することと、
ref、stop、及びPstop’の関数として粘度を推定することと、
推定された前記粘度が所定範囲外である場合にオペレータに通達すること、又は前記推定された粘度に基づいて前記ポンプの前記作動を調節することのいずれかによって粘度を補うこととを含む、方法。
(20) 前記ポンプはピストンポンプであり、該ピストンポンプのピストンは、吸引されるべき液体の選択された体積に相当する所定の距離を移動される、実施態様19に記載の、選択された量の液体を吸引する方法。
【0067】
(21) 検体のサンプルを分析する方法であって、
サンプルの源を準備することと、
プローブ先端部及びポンプを含む吸引プローブを準備することであって、前記プローブ先端部及びポンプが流体連通している、ことと、
分注又は吸引が生じていないときに、計測先端部の内部の圧力である基準圧(Pref)を測定することと、
前記先端部を前記液体内に移動させ、それによってある体積のガスが、前記液体の上部と前記ポンプとの間に配置され、前記基準圧は、前記先端部が前記液体に入る前又は後に測定される、ことと、
前記ポンプを、吸引されるべき選択された体積の液体に相当する時間又は距離にわたって作動させることと、
前記吸引又は分注を停止することと、
前記吸引又は分注が停止された時間である時間(t)において、前記先端部の内部の圧力(Pstop)を測定することと、
tの後、時間(t’)において、前記先端部の内部の圧力(Pstop’)を測定することと、
ref、stop、及びPstop’の関数として粘度を推定することと、
推定された前記粘度が所定範囲外である場合にオペレータに通達すること、又は推定された前記粘度に基づいて前記ポンプの前記作動を調節することのいずれかによって粘度を補うこととを含む、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引又は分注プローブ内の液体の粘度を推定する方法であって、
分注又は吸引が生じていないときに、計測先端部の内部の圧力である基準圧(Pref)を測定することと、
液体を分注又は吸引することであって、前記液体は該液体と前記プローブのポンプ機構との間にある体積の空気を有する、ことと、
前記吸引又は分注を停止することと、
前記吸引又は分注が停止された時間である時間(t)において、前記先端部の内部の圧力(Pstop)を測定することと、
tの後、時間(t’)において、前記先端部の内部の圧力(Pstop’)を測定することと、
ref、stop、及びPstop’の関数として粘度を推定することと、を含む、方法。
【請求項2】
refは周囲気圧である、あるいはPrefは前記先端部が流体内にある時の圧力であり、重力及び毛細管力によってもたらされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
refが周囲気圧によって、又は前記流体が前記先端部の内部にあるときの圧力によって決定されるとき、Prefは実質的に同じである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
stopとPrefとの間の差である相対圧の差
【数1】

を計算することと、
stopにおける圧力変化率
【数2】

によって計算することと、
【数3】

の関数として粘度を推定することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記推定は、方程式
【数4】

を使用することを更に含み、式中μは粘度である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
吸引されている又は分注されている前記流体の異なる粘度を使用して作成された検量線によってKは予め決められる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
圧力上昇率
【数5】

を計算することと、
Rの関数として粘度を推定することとを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記粘度は、非線形検量線を使用してRの関数として推定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記粘度は、
【数6】

によって推定され、式中、β、β、β、及びβは、非線形検量線によって決定される定数である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記粘度は、線形検量線を使用してRの関数として推定される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記粘度は
【数7】

によって推定され、式中、B0、B1、及びB2は、線形検量線によって決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
t’は、tの後、15ミリ秒測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
吸引される又は分注される前記液体の量は10μL以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
吸引される又は分注される前記液体の量は5μL以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
吸引される又は分注される前記液体の量は2μL以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記液体は体液のサンプルである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記体液は、全血、血漿、血清、尿、又は唾液のうちの1つ又は2つ以上である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記液体は、試薬、洗浄用流体、キャリブレーター用流体、コントロール用流体のうちの1つ又は2つ以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
選択された量の液体を吸引する方法であって、
プローブ先端部及びポンプを備える吸引プローブを準備することであって、前記プローブ先端部及びポンプは流体連通している、ことと、
分注又は吸引が生じていないときに、計測先端部の内部の圧力である基準圧(Pref)を測定することと、
前記先端部を前記液体内に移動させ、それによってある体積のガスが、前記液体の上部と前記ポンプとの間に配置され、前記基準圧は、前記先端部が前記液体に入る前又は後に測定される、ことと、
前記ポンプを、吸引されるべき選択された体積の液体に相当する時間又は距離にわたって作動させることと、
前記吸引又は分注を停止することと、
前記吸引又は分注が停止された時間である時間(t)において、前記先端部の内部の圧力(Pstop)を測定することと、
tの後、時間(t’)において、前記先端部の内部の圧力(Pstop’)を測定することと、
ref、stop、及びPstop’の関数として粘度を推定することと、
推定された前記粘度が所定範囲外である場合にオペレータに通達すること、又は前記推定された粘度に基づいて前記ポンプの前記作動を調節することのいずれかによって粘度を補うこととを含む、方法。
【請求項20】
前記ポンプはピストンポンプであり、該ピストンポンプのピストンは、吸引されるべき液体の選択された体積に相当する所定の距離を移動される、請求項19に記載の、選択された量の液体を吸引する方法。
【請求項21】
検体のサンプルを分析する方法であって、
サンプルの源を準備することと、
プローブ先端部及びポンプを含む吸引プローブを準備することであって、前記プローブ先端部及びポンプが流体連通している、ことと、
分注又は吸引が生じていないときに、計測先端部の内部の圧力である基準圧(Pref)を測定することと、
前記先端部を前記液体内に移動させ、それによってある体積のガスが、前記液体の上部と前記ポンプとの間に配置され、前記基準圧は、前記先端部が前記液体に入る前又は後に測定される、ことと、
前記ポンプを、吸引されるべき選択された体積の液体に相当する時間又は距離にわたって作動させることと、
前記吸引又は分注を停止することと、
前記吸引又は分注が停止された時間である時間(t)において、前記先端部の内部の圧力(Pstop)を測定することと、
tの後、時間(t’)において、前記先端部の内部の圧力(Pstop’)を測定することと、
ref、stop、及びPstop’の関数として粘度を推定することと、
推定された前記粘度が所定範囲外である場合にオペレータに通達すること、又は推定された前記粘度に基づいて前記ポンプの前記作動を調節することのいずれかによって粘度を補うこととを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−227075(P2011−227075A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−88863(P2011−88863)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(511093409)オーソ−クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】Ortho−Clinical Diagnostics, Inc.
【住所又は居所原語表記】1001 U.S. Route 202, Raritan, New Jersey 08869, United States of America
【Fターム(参考)】