説明

粘弾性緩和特性を有する床仕上材

【課題】人がその上を歩く際に高度な快適さを示すが、同時に使用の応力に耐える粘弾性的に緩和されたカーペットを提供する。
【解決手段】第一テキスタイル平面要素2と、第一テキスタイル平面要素2にその表面上に少なくとも一部が結合する第一層1を含んでなり、第一層1は粘弾性ポリマーフォームを含むカーペットなどの床仕上材で、第一テキスタイル平面要素2は0.5N/mm以上2.5N/mm以下の弾性率を有し、第一層1中で、粘弾性ポリマーフォームは1kPa以上10kPa以下の40%圧縮時の圧縮荷重たわみを有し、第一層1中で、粘弾性ポリマーフォームは40%圧縮時の圧縮荷重たわみを決定する際に20%以上70%以下のヒステリシスを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一テキスタイル平面要素と、第一テキスタイル平面要素にその表面上に少なくとも一部が結合する第一層を含んでなり、第一層は粘弾性ポリマーフォームを含む、床仕上材(floor covering)に関する。該床仕上材は、例えば、カーペットであってよい。本発明はさらに、該床仕上材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーペットは様々な用途で用いられ得る。個人用または商用の居住空間では、カーペットは装飾目的で使用されるほか、断熱および防音のためにこれを使用することができる。カーペットを製造する一つの可能性としては、カーペット裏地中の繊維を固定し、次いでその背面でカーペット裏地を裏打ち発泡(back−foam)させることが挙げられる。
【0003】
粘弾性フォームによってカーペット裏地を裏打ちすることは、一般的に知られている。これに関して、DE 33 13 624 A1は、防音目的の軟質ポリウレタンフォーム、その製造方法およびその使用を開示する。記載された90kg/m未満の密度と106N/m未満の弾性率を有する防音目的の軟質ポリウレタンフォームは、少なくとも0.3の損失係数と−20℃〜+80℃の温度範囲の粘弾性特性を有する。
【0004】
軟質フォームは、イソシアネートを、180〜400のOH価を有する少なくとも1つの成分を有するポリオールと反応させることによって得ることができる。該フォームは、空気伝播音を吸収および緩和するため、また固体伝送音を緩和するために、とりわけ適している。この記載によると、自動車のカウルまたはフロアカーペットを裏打ち発泡させるために、軟質ポリウレタンフォームを使用することができる。ある実施形態では、十分な発泡密度に到達させるために、必要に応じて防音シートを有する特別に製造したカーペットが、発泡用金型に添加されていた。通常の分離剤の適用後に、反応混合物が添加され、金型カバーが閉じられた。その2.5〜3分後に、成型品を取り出すことができた。
【0005】
DE 39 42 330 A1は、a)ai)水とグリセリンまたはトリメチロールプロパンから、または水とグリセリンとトリメチロールプロパンからなる平均官能価2.2〜2.8のスターター混合物を用いてそれ自体得ることができる、ヒドロキシル価14〜65および末端結合エチレンオキシド単位含量2〜9重量%を有する特別なブロックポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリオール混合物と、aii)オキシエチレン単位含量が重合性アルキレンオキシド単位の全重量に対して60〜85重量%であって、ヒドロキシル価が20〜80の少なくとも1つの二官能性または三官能性ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールを含んでなるポリオキシアルキレンポリオール混合物と、b)必要に応じ低分子量の連鎖延長剤を、c)有機および/または変性有機ポリイソシアネートと、d)触媒、e)発泡剤、f)アジュバントおよび/または添加剤ならびにポリオキシアルキレンポリオール混合物(a)の存在下に反応させることによる、−20℃〜+80℃の温度範囲にて粘弾性で固体伝送音緩和特性を有する軟質ポリウレタンソフトフォームの製造方法を開示する。
【0006】
この方法によって得られた軟質ポリウレタンフォームは、居住領域内、例えば足音を緩和するためのカーペットの裏打ち発泡において、インテリア裏張りとして、および例えばモーター室のカプセル化または上記フォームで裏打ち発泡した層を用いて内部騒音を抑制するための、固体伝送音を緩和するための自動車産業において、用いることができる。
【0007】
騒音緩和のために自動車領域で用いられるカーペット用カーペット裏地は、カーペットを踏み入れ、またはカーペット中に沈み込むことは望ましくないことが判っているため、一般的には堅い構造をしている。
【0008】
粘弾性フォームで裏打ち発泡されたカーペット裏地を含む効果的な従って快適な改善する緩和特性を有するカーペットを実際に使用する際、いくつか考慮すべき事項がある。人がその上を歩き、自動車中のように足を休めるだけではない床仕上材としてこのようなカーペットを使用すべき場合には、カーペットは圧力と剪断応力に耐えるのに適していなければならない。特に、カーペット裏地、カーペット繊維および裏打ち発泡の複合材料は崩壊してはならない。
【0009】
最後に、十分な緩和効果を実現するのに十分な厚さの粘弾性フォームの純粋層の上を歩くことは、極めて快適というわけではないことは理解できる。これは、フォームに達した後にフォーム中に足が沈むときに生じる不安定さに起因し得る。
【0010】
上記のことから、人がその上を歩く際に高度な快適さを示すが、同時に使用の応力に耐える粘弾性的に緩和されたカーペットに対する必要性が今なお存在していることは明らかである。
【特許文献1】DE 33 13 624 A1
【特許文献2】DE 39 42 330 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、当該分野における上記欠点の少なくとも1つを克服することを目的とする。特に、本発明は、上記カーペットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に従い、この目的は、第一テキスタイル平面要素と、第一テキスタイル平面要素にその表面上に少なくとも一部が結合する第一層を含んでなる床仕上材であって、第一層は粘弾性ポリマーフォームを含む床仕上材によって達成される。
【0013】
本発明による床仕上材は、第一テキスタイル平面要素は0.5N/mm以上2.5N/mm以下の弾性率を有し、第一層中で、粘弾性ポリマーフォームは1kPa以上10kPa以下の40%圧縮時の圧縮荷重たわみを有し、第一層中で、粘弾性ポリマーフォームは40%圧縮時の圧縮荷重たわみを決定する際に20%以上70%以下のヒステリシスを有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書中で使用する1つ(「a」)および該(「the」)の用語は同義であって、1以上と同じ意味で用いられる。そのため、例えば明細書中または特許請求の範囲中での1つの繊維(「a fiber」)という記載は、単一の繊維または1以上の繊維を指称し得る。また、特記しない限り、全ての数値は「約」の語によって修飾されたものと理解される。
【0015】
本発明の意味において、床仕上材は、カーペット、フットマットなどのみならず、家具用またはマットレスとしての座席クッションも理解されるべきものである。
【0016】
第一テキスタイル平面要素は、例えば、織布、繊維の不織層、フリースまたは編まれていてよい。また、繊維は第一テキスタイル平面要素から突き出ていてよく、そうするとカーペット裏地に相当するアセンブリが達成される。さらに、テキスタイルをポリマー中に埋め込んでもよい。第一テキスタイル平面要素はその表面上で第一層に結合されるが、このことは、両方の主表面が互いに向かい合うことを意味する。換言すれば、第一テキスタイル平面要素と第一層は相互に積み重なっている。
【0017】
本発明によると、第一テキスタイル平面要素は0.5N/mm以上2.5N/mm以下の弾性率を有する。これは、平面要素の平面方向に沿って伸張することについての弾性率として理解すべきである。弾性率は、0.8N/mm以上2.0N/mm以下の範囲内、または1.0N/mm以上1.5N/mm以下の範囲内であってもよい。弾性率は、基準DIN 53504/ISO 37を用いて決定される。第一テキスタイル平面要素は、例えば織布の場合には、布を伸張する弾性を示し、更なる伸張の後は、テキスタイルの個々の糸の弾性を示すことが規定され得る。この場合、本発明による選択された弾性率は、布を伸張する弾性を意味する。
【0018】
結合には、機械力、とりわけ剪断応力を第一テキスタイル平面要素から第一層へ移動させる効果がある。結合は、物質−物質結合、強制フィッティング結合またはフォームフィッティング結合であってよい。適当な結合の具体例としては、第一テキスタイル平面層とポリマーフォーム、マジックテープ、ジッパー、押しボタンおよび/または裁縫を導く材料との接着剤、溶着、裏打ち発泡が挙げられる。
【0019】
結合は、全面的に行ってよく、部分的に行ってもよい。部分的な結合は、選択的に結合点を形成することにより、または結合点を特定パターンで配置することによって達成し得る。
【0020】
第一層は、粘弾性ポリマーフォームを含んでなる。主として、これは、粘弾性ポリマーフォームのほかに、充填剤、着色剤などの更なる成分が存在してよいことを意味する。ポリマーフォームは均一な密度を有していてよく、密度はフォーム中の位置に応じて、例えばフォーム全体で、変化してよい。適当なポリマー群の具体例としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)およびポリカーボネートもしくは天然または合成ラテックスが挙げられる。第一層は例えば、10mm以上60mm以下、好ましくは15mm以上30mm以下の厚みを有してよい。
【0021】
第一層中のポリマーフォームの粘弾性特性は、エネルギーがフォーム中へ時間遅れで入ることにつながる。該特性はまず、40%圧縮時の圧縮荷重たわみが1kPa以上10kPa以下であることを特徴とする。この圧縮荷重たわみは、1.1kPa以上3kPa以下または1.2kPa以上2kPa以下の範囲内であってもよい。さらに、ポリマーフォームの粘弾性は、40%圧縮時の圧縮荷重たわみを決定する際のヒステリシスが20%以上70%以下であることに特徴づけられる。ヒステリシスは、30%以上60%以下または35%以上50%以下の範囲内であってもよい。
【0022】
圧縮荷重たわみ、すなわちCLDは、DIN EN ISO 3386−1−98に準じて23℃±2℃、50%±5%の相対湿度、40%圧縮、1測定周期にて測定される。CLDはkPa(キロパスカル)で与えられる。ヒステリシス(%)もまた、DIN EN ISO 3386−1−98に準じて測定される。ヒステリシスは、応力と回復について特性曲線間に囲まれた面積の商を100倍して計算される。ヒステリシス数は、適用したエネルギーと散逸したエネルギーの比率に関する情報を与える。例えば約5%のように小さなヒステリシス数は、主に弾性的挙動を示す。例えば約90%のように大きなヒステリシス数は、主に粘性(可塑性)挙動を示す。
【0023】
あるいは、粘弾性ポリマーフォームは、フォームが1%以上15%以下のDIN EN ISO 8307に準じて測定される反発弾性を有することを特徴とし得る。この反発弾性は、3%以上10%以下または5%以上9%以下の範囲内であってもよい。
【0024】
粘弾性ポリマーフォームは、DIN EN ISO 3386−1−98に準じた45kg/m以上120kg/m以下、好ましくは50kg/m以上70kg/m以下の密度、DIN EN ISO 1798−1−00に準じた50kPa以上90kPa以下の引張強度、DIN EN ISO 1798−1−00に準じた150%以上210%以下の伸び、DIN EN ISO 1856−2000に準じた乾燥条件下で2%以上5%以下の圧縮永久歪、およびDIN EN ISO 1856−96に準じた75%圧縮および95%湿度での2%以上5%以下の圧縮永久歪を有してもよい。
【0025】
本発明では、床仕上材の上を歩く際の快適感は、第一テキスタイル平面要素の弾性とポリマーフォーム層の粘弾性との選択された組み合わせによって達成される。更なる解明のためには、本発明による床仕上材の上を人がいかに歩くかを想定すべきである。第一段階では、足のかかとまたは靴ヒールが床仕上材上に置かれる。これは、カバー上に高圧を伴う。第一テキスタイル平面要素の弾性のため、この集中した荷重は吸収される。さらに歩行工程に入ると、足全体が床仕上材上に立つまで人は足で横揺れ動作を行う。この横揺れ動作は、第一層の粘弾性ポリマーフォームによって緩和される。最後に、母指球またはつま先が床仕上材の接触から離れるまで、足は別の横揺れ動作を行う。続く床からの押し出し動作では、機械力はそれぞれ緩和または送り返される。最終結果は歩行時の快適感であって、これは柔らかすぎる床のために疲れを招かないものでもある。床仕上材は弾性第一テキスタイル平面要素によって保護されてもいるため、特にポリマーフォームを有する第一層はこの上を歩行する間に損傷を受けない。
【0026】
本発明のある実施形態では、第一層の粘弾性ポリマーフォームはポリウレタンフォームである。ポリウレタンは、その粘弾性を広範囲にわたって調整できるため、本発明によるポリマーフォーム層にとりわけ適している。ポリウレタンフォームのモノマーは、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールまたはそれらの混合物、および脂肪族イソシアネートまたは芳香族イソシアネートの群からの少なくとも二官能性のイソシアネート、並びに一般に知られるアジュバント、触媒および安定剤を含む群から選択してよい。この具体例は、既述の特許文献ならびにEP 0 331 941 A1に記載されている。
【0027】
本発明のさらなる実施形態では、第一層の粘弾性ポリマーフォームは、合成ラテックスまたは天然ラテックスに由来する架橋発泡フォームである。
【0028】
本発明のさらなる実施形態では、第一テキスタイル平面要素の材料は、ポリウレタンおよび/または熱可塑性ポリウレタンを含んでなる。
【0029】
本発明のさらなる実施形態では、第一テキスタイル平面要素と第一層の間の結合は、エラストマー接着剤によって達成される。本発明によると、とりわけ適当な接着剤は1成分系および2成分系のポリウレタン接着剤である。そのような1成分系接着剤は、湿気の影響下で硬化するプレポリマーを含有するイソシアネートを含んでなる。相当する2成分系接着剤はポリオール成分とイソシアネート成分を含んでなり、付与前に混合される。好ましくは、硬化接着剤層は、DIN EN ISO 527に準じて決定される100MPa以上1500MPa以下、300MPa以上1000MPa以下、または500MPa以上800MPa以下の弾性率を有する。エラストマー接着剤を用いると、別々に入手可能な部品から簡単に本発明による床仕上材を製造することが可能となる。さらに、床仕上材上を歩く際の本発明による所望の効果は、弾性によっても得られる。
【0030】
本発明のさらなる実施形態では、繊維は第一テキスタイル平面要素を貫通して第一層中に入り、繊維はエラストマー接着剤によって第一層中に固定される。この繊維は、第一テキスタイル平面要素と第一層の間の結合の更なる強化につながる。これは、剪断応力への弾力を増加させる。とりわけエラストマー性の1成分系および2成分系ポリウレタン接着剤は、本発明にとって適当である。繊維は第一テキスタイル平面要素から外部に突き出て、床仕上材のステッピング表面を構成してもよい。タフトなどの方法によって、第一テキスタイル平面要素中に繊維を組み込んでよい。
【0031】
本発明のさらなる実施形態では、第一層は、1000N/mm以上2000N/mm以下の弾性率を有する埋め込み第二テキスタイル平面要素をさらに含んでなる。これは、平面要素の平面方向に沿って伸張することについての弾性率として理解すべきである。弾性率は、基準DIN 53504/ISO 37を用いて決定される。弾性率は、1200N/mm 以上1800N/mm以下または1400N/mm以上1600 N/mm以下の範囲内であってもよい。第二テキスタイル平面要素は、例えば織布、繊維の不織層、フリースまたは編まれていてよい。有利には、第二テキスタイル平面要素はその表面で第一層に配向しているが、このことは、第二テキスタイル平面要素と第一層の2つの主表面が相互に向き合っていることを意味する。
【0032】
第二テキスタイル平面要素は、垂直に見て、通例は第一層中に任意の高さに位置してよいが、第一層の下端に床に向かって位置すると有利である。本発明によって選択された弾性特性を有する第二テキスタイル平面要素を組み込むことにより、床仕上材の水平引き裂き強度が増加する効果が得られる。さらに、比較的高い水平弾性率を導入すると床仕上材の水平寸法安定性を増加させる作用がある。第一層の下端に位置決めすることによって、床仕上材の他の成分の緩和特性に対する第二テキスタイル平面要素の影響が低減される。したがって、人が床仕上材の上を歩く間に、関連する快適感による垂直緩和勾配をさらに確立することができる。一例として、第二テキスタイル平面要素はフォームフィッティング結合で、物質−物質結合で、第一層に結合させてよく、もしくは、第一層のフォーム中にこれを統合してもよい。
【0033】
本発明のさらなる実施形態では、床仕上材は、第一テキスタイル平面要素とは反対の第一層側に配置され、例えば物質−物質によって、第一層に少なくとも一部が結合した第二層をさらに含んでなり、該第二層は15kPa以上150kPa以下の40%圧縮時の圧縮荷重たわみを有するポリマーフォームを含んでなる。物質−物質結合は、接着剤によって、または溶着によって実現できる。エラストマー性の1成分系および2成分系ポリウレタン接着剤は、本発明にとって適当である。第二層は、例えば10mm以上40mm以下、好適には15mm以上30mm以下の厚みを有してよい。
【0034】
上記の圧縮荷重たわみを有するポリマーフォームは、凝集ポリウレタンフォームであってよい。ポリマーフォームは、DIN EN ISO 3386−1−98に従う60kg/m以上200kg/m以下の密度、DIN EN ISO 1798−1−00に従う40kPa以上150kPa以下の引張強度、およびDIN EN ISO 1798−1−00に従う40%以上90%以下の伸びを有してもよい。高い圧縮荷重たわみと復元力を使用して、床仕上材の床側のより堅い層を付与する。これには、床仕上材の上を歩く際に足のかかとまたは靴のかかとをより良く支える利点がある。床仕上材の上を歩く際に快適さは向上し、同時に第一層の厚みを小さく維持することができる。さらなる利点は、より安価な凝集フォームを使用することによるコスト削減である。
【0035】
第二層を含んでなる上記の床仕上材の実施形態では、これは1000N/mm以上2000N/mm以下の弾性率を有する第三テキスタイル平面要素をさらに含んでなり、該第三テキスタイル平面要素は第一層とは反対の第二層側に配置され、第三テキスタイル平面要素は少なくとも一部が第二層に結合している。上記弾性率は、平面要素の平面方向に沿って伸張することについての弾性率として理解すべきである。
【0036】
弾性率はまた、基準DIN 53504/ISO 37を用いて決定される。弾性率は、1200N/mm以上1800N/mm以下または1400N/mm以上1600 N/mm以下の範囲内であってもよい。第三テキスタイル平面要素は、例えば織布、繊維の不織層、フリースまたは編まれていてよい。
【0037】
第二層が第一テキスタイル平面要素とは反対の第一層側に配置されると、また第二層が物質−物質結合によって第一層と少なくとも部分的に結合していると、有利である。この点で、第三テキスタイル平面要素が第一層とは反対の第二層側に配置されると、また第二層に少なくとも部分的にこれが結合していると、また有利である。
【0038】
一般的に言えば、この実施形態の配置には、床仕上材の水平引き裂き強度が増加する利点がある。さらに、比較的高い水平弾性率を導入すると床仕上材の水平寸法安定性を増加させる作用がある。第二層の下端に位置決めすることによって、床仕上材の他の成分の緩和特性に対する第三テキスタイル平面要素の影響が低減される。したがって、人が床仕上材の上を歩く間に、関連する快適感による垂直緩和勾配をさらに確立することができる。一例として、第三テキスタイル平面要素はフォームフィッティング結合で、または物質−物質結合で、第二層に結合させてよい。さらなる利点は、より安価な凝集フォームを使用することによるコスト削減である。
【0039】
本発明のさらなる実施形態では、床仕上材はマイクロカプセル化した香料をさらに含んでなる。本発明の意味でのマイクロカプセル化した香料は、ヒトの嗅覚を刺激し、カプセル中に含有される純粋形態、溶液、または混合物での物質である。カプセルは1μm以上1mm以下、好ましくは10μm以上100μm以下の最大寸法を有する。マイクロカプセル化した香料は、第一層中、第一テキスタイル平面要素中および/または第一テキスタイル平面要素から突き出た必要に応じて存在する繊維中に、例えばカーペットタフトとして、組み込み得る。本発明による床仕上材の上を歩く際、カプセルは破壊されて香料が放出される。これは、各人に心地良い感覚を作り出し、さらに床仕上材の快適な印象に寄与する。
【0040】
本発明によると、上記の実施形態は単独形態で存在し得るのみならず、相互に自由に組み合わせ得ることが包含される。
【0041】
本発明のさらなる局面は、第一テキスタイル平面要素を第一層のポリマーフォームとなる反応混合物によって裏打ち発泡させる工程を含んでなる本発明による床仕上材の製造方法である。裏打ち発泡させることによって、第一テキスタイル平面要素と第一層の間の物質−物質結合が容易に達成される。
【0042】
本発明による方法のある実施形態では、反応混合物はポリオールとイソシアネートを含んでなる。したがって、裏打ち発泡中に粘弾性ポリウレタンフォームが形成される。ポリウレタンフォームのモノマーは、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールまたはその混合物、および脂肪族イソシアネートまたは芳香族イソシアネートからなる群からの少なくとも二官能性のイソシアネート、さらには通常のアジュバント、触媒および安定剤を含む群から選択してよい。具体例は、既述の特許文献ならびにEP 0 331 941 A1に記載されている。
【0043】
本発明による方法では、反応混合物がプレポリマーおよび水を含むことも可能である。適当なプレポリマーは、とりわけジ-またはポリイソシアネートとポリオールに基づいて得られる。
【0044】
図1は、本発明による床仕上材を示す。第一層1は粘弾性ポリマーフォームを含んでなる。この層1はその下側で床上に置かれる。層1の上部に第一テキスタイル平面要素2が位置する。物質−物質結合は、第一層1と第一テキスタイル平面要素2を接合する。床仕上材の上側で、繊維3が外側へ突き出る。繊維3は第一テキスタイル平面要素を貫通して、その下端で第一層1中に伸びる。好ましくは、エラストマー接着剤(図示せず)によって繊維を第一層1に固定する。これによって、使用中に繊維が床仕上材から引き抜かれ得ない。
【0045】
図2は、本発明による別の床仕上材を示す。ポリマーフォームのほかに、床に向かって位置する第一層1は、ここでは第二テキスタイル平面要素2を含んでなる。ここで、これは織布として描かれている。第二テキスタイル平面要素4は、第一層1の下端に位置する。第一テキスタイル平面要素2と第一層1の間に、物質−物質結合が存在する。第一層1中に、床仕上材の表面を覆う繊維3が組み込まれる。その弾性のため、第二テキスタイル平面要素は、床仕上材上の歩行から生じ、第一テキスタイル平面要素2と粘弾性ポリマー1を有する層によって吸収または緩和されない機械力を吸収することができる。
【0046】
図3は、本発明による別の床仕上材を示す。第一層1の真下に、第二層5は位置する。この第二層は、ポリマーフォームを含んでなる。ポリマーフォームは、第一層1の粘弾性ポリマーフォームより高い圧縮荷重たわみと復元力を有する。これによって、床仕上材上の歩行から生じ、第一テキスタイル平面要素2と粘弾性ポリマー1を有する層によって吸収または緩和されない機械力を吸収することができる。
【0047】
図4は、本発明による別の床仕上材を示す。第一層1の真下に第二層5が位置し、層5の真下に第三テキスタイル平面要素6が位置する。この第二層5は、ポリマーフォームを含んでなる。ポリマーフォームは、第一層1の粘弾性ポリマーフォームより高い圧縮荷重たわみと復元力を有する。第三テキスタイル平面要素6は、織布を含んでなる。第三テキスタイル平面要素6と第二層5によって、床仕上材上の歩行から生じ、第一テキスタイル平面要素2と粘弾性ポリマー1を有する層によって吸収または緩和されない機械力が吸収され得る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明を、以下の図を参照してさらに説明する。
【図1】図1は、本発明による床仕上材を示す図である。
【図2】図2は、本発明による別の床仕上材を示す図である。
【図3】図3は、本発明による別の床仕上材を示す図である。
【図4】図4は、本発明による別の床仕上材を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 粘弾性ポリマーフォームを含んでなる第一層
2 第一テキスタイル平面要素
3 繊維
4 第二テキスタイル平面要素
5 ポリマーフォームを含んでなる第二層
6 第三テキスタイル平面要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一テキスタイル平面要素と、第一テキスタイル平面要素にその表面上に少なくとも一部が結合する第一層を含んでなる床仕上材であって、第一層は粘弾性ポリマーフォームを含み、第一テキスタイル平面要素は0.5N/mm以上2.5N/mm以下の弾性率を有し、第一層中で、粘弾性ポリマーフォームは1kPa以上10kPa以下の40%圧縮時の圧縮荷重たわみを有し、第一層中で、粘弾性ポリマーフォームは40%圧縮時の圧縮荷重たわみを決定する際に20%以上70%以下のヒステリシスを有することを特徴とする、床仕上材。
【請求項2】
第一層の粘弾性ポリマーフォームはポリウレタンフォームである、請求項1に記載の床仕上材。
【請求項3】
第一層の粘弾性ポリマーフォームは合成ラテックスまたは天然ラテックスに由来する架橋発泡フォームである、請求項1に記載の床仕上材。
【請求項4】
第一テキスタイル平面要素の材料はポリウレタンおよび/または熱可塑性ポリウレタンを含んでなる、請求項1に記載の床仕上材。
【請求項5】
第一テキスタイル平面要素と第一層の間の結合はエラストマー接着剤によって達成されている、請求項1に記載の床仕上材。
【請求項6】
第一テキスタイル平面要素を、および第一層中に突き抜ける繊維をさらに含んでなり、該繊維は第一層中でエラストマー接着剤によって固定されている、請求項1に記載の床仕上材。
【請求項7】
第一層は1000N/mm以上2000N/mm以下の弾性率を有する埋め込み第二テキスタイル平面要素をさらに含んでなる、請求項1に記載の床仕上材。
【請求項8】
第一テキスタイル平面要素とは反対の第一層側に配置され、第一層に少なくとも一部が結合した第二層をさらに含んでなり、該第二層は15kPa以上150kPa以下の40%圧縮時の圧縮荷重たわみを有するポリマーフォームを含む、請求項1に記載の床仕上材。
【請求項9】
1000N/mm以上2000N/mm以下の弾性率を有する第三テキスタイル平面要素をさらに含んでなり、該第三テキスタイル平面要素は第一層とは反対の第二層側に配置され、第三テキスタイル平面要素は少なくとも一部が第二層に結合している、請求項8に記載の床仕上材。
【請求項10】
マイクロカプセル化した香料をさらに含んでなる、請求項1に記載の床仕上材。
【請求項11】
第一テキスタイル平面要素を第一層のポリマーフォームとなる反応混合物によって裏打ち発泡させる工程を含んでなる、請求項1に記載の床仕上材の製造方法。
【請求項12】
反応混合物はポリオールおよびイソシアネートを含んでなる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
反応混合物はプレポリマーおよび水を含んでなる、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−215870(P2009−215870A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−266021(P2008−266021)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】