説明

粘性改良剤

【課題】優れた仕上り性(平滑性及び鮮映性)、タレ防止性及び耐溶剤性を付与する粘性改良剤の提供。
【解決手段】ジイソシアネート基の両端に、オキシアルキレン基(反復数20〜500)を有し、各オキシアルキレン基の末端が炭化水素基であるウレタン化合物(1)と、ジイソシアネート基の一方にオキシアルキレン(40〜500)を有し又は、これを反復(1〜5)したジイソシアネート基の両端に、オキシアルキレン(1〜100)を有し、末端が炭化水素基であるウレタン化合物(ただし、両端がイソシアネートであるオキシアルキレン総数は、(150〜2500)(2)と、オキシアルキレン(200〜25000)の両末端が、水素又は炭素水素であるポリオキシアルキレン化合物(3)を含む粘性改良剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘性改良剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粘性改良剤としては、高分子型粘性改良剤{ポリアクリル酸及びポリビニルアルコール等;非特許文献1}及び会合型粘性改良剤{ウレタン変性ポリオキシアルキレン(特許文献1)及びエステル変性ポリオキシアルキレン(特許文献2)等}が知られている。
【非特許文献1】水溶性高分子の応用と市場(シーエムシー出版、1984年発行)
【特許文献1】特開昭54−80349号公報
【特許文献2】特開平03−275787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
環境問題、安全性等の観点から工業用塗料(PCM及び重防蝕塗料等)の水系化が強く望まれている。従来の高分子型粘性改良剤では、擬塑性が高く塗膜の平滑性や鮮映性(仕上がり性)が不十分になるという問題がある。また、会合型粘性改良剤は、タレ防止性及び耐溶剤性が十分でないという問題がある。すなわち、本発明の目的は、優れた仕上がり性(平滑性及び鮮映性)、タレ防止性及び耐溶剤性を付与する粘性改良剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に達した。すなわち、本発明の粘性改良剤の特徴は、一般式(1)で示されるウレタン化合物(A)と、一般式(2)で示されるウレタン化合物(B)と、一般式(3)で示されるポリオキシアルキレン化合物(C)とを含んでなる点を要旨とする。
【0005】
【化1】

【0006】
Rは炭素数8〜24の炭化水素基、Yはジイソシアネ−トからイソシアナト基を除いた反応残基、OA及びAOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Xは水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Nは窒素原子、m及びnはそれぞれ20〜500の整数、a及びdはそれぞれ1〜100の整数、bは40〜500の整数、cは1〜5の整数を表し、(b×c)は150〜2500であり、fは200〜25000の整数を表し、複数個のR、Y及びXは同じでも異なっていてもよく、それぞれの化合物においてオキシアルキレン基の合計重量の少なくとも80重量%がオキシエチレン基である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粘性改良剤は、仕上がり性(平滑性及び鮮映性)、タレ防止性及び耐溶剤性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
炭素数8〜24の炭化水素基(R)としては、直鎖アルキル、分岐アルキル、直鎖アルケニル及び分岐アルケニル等が含まれる。
直鎖アルキルとしては、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−ヘンエイコシル及びn−ドコシル等が挙げられる。
分岐アルキルとしては、2−エチルヘキシル、イソデシル、イソトリデシル及びイソステアリル等が挙げられる。
直鎖アルケニルとしては、n−オクテニル、n−デセニル、n−ウンデセニル、n−ドデセニル、n−トリデセニル、n−テトラデセニル、n−ペンタデセニル、n−ヘキサデセニル、n−ヘプタデセニル及びn−オクタデセニル等が挙げられる。
分岐アルケニルとしては、イソオクテニル、イソデセニル、イソウンデセニル、イソドデセニル、イソトリデセニル、イソテトラデセニル、イソペンタデセニル、イソヘキサデセニル、イソヘプタデセニル及びイソオクタデセニル等が挙げられる。
これらのうち、仕上がり性の観点等から、直鎖アルキル及び直鎖アルケニルが好ましく、さらに好ましくは直鎖アルキル、特に好ましくはn−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−ヘンエイコシル及びn−ドコシルである。
【0009】
ジイソシアネートからイソシアナト基を除いた反応残基(Y)を構成するジイソシアネ−トとしては、脂肪族ジイソシアネ−ト、芳香族ジイソシアネ−ト及び脂環式ジイソシアネ−ト等が含まれる。
脂肪族ジイソシアネ−トとしては、炭素数3〜15の脂肪族ジイソシアネート等が使用でき、メチレンジイソシアネ−ト、ジメチレンジイソシアネ−ト、トリメチレンジイソシアネ−ト、テトラメチレンジイソシアネ−ト、ペンタメチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、ヘプタメチレンジイソシアネ−ト、オクタメチレンジイソシアネ−ト、ノナメチレンジイソシアネ−ト、デカメチレンジイソシアネ−ト、ビス(イソシアナトプロピル)エーテル、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネ−ト、1,1−ジメチルブタン−1,4−ジイソシアネート、3−メトキシヘキサン−1,6−ジイソシアネ−ト、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジイソシアネ−ト、3−ブトキシ−1,6−ヘキサンジイソシアネ−ト及び1,4−ビス(イソシアナトプロピルオキシ)ブタン等が挙げられる。
【0010】
芳香族ジイソシアネ−トとしては、炭素数8〜20の芳香族ジイソシアネ−ト等が使用でき、メタフェニレンジイソシアネ−ト、パラフェニレンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、ジメチルベンゼンジイソシアネ−ト、エチルベンゼンジイソシアネ−ト、イソプロピルベンゼンジイソシアネ−ト、ビフェニルジイソシアネ−ト、4,4’−ジイソシアナト−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメトキシビフェニル、1,5−ジイソシアナトナフタレン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−2,2’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメトキシジフェニルメタン、3,3’−ジイソシアナト−4,4’−ジメトキシジフェニルメタン、3,3’−ジイソシアナト−4,4’−ジエトキシジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−2,2’−ジメチル−5,5’−ジメトキシジフェニルメタン、メタキシリレンジイソシアネ−ト、パラキシリレンジイソシアネ−ト及びテトラメチルキシリレンジイソシアネ−ト等が挙げられる。
【0011】
脂環式ジイソシアネ−トとしては、炭素数8〜20の脂環式ジイソシアネ−ト等が使用でき、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン及び4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン等が挙げられる。
【0012】
これらのジイソシアネートのうち、脂肪族ジイソシアネ−ト及び脂環式ジイソシアネ−トが好ましく、さらに好ましくは脂肪族ジイソシアネ−ト、特に好ましくはヘキサメチレンジイソシアネ−ト及びオクタメチレンジイソシアネ−トである。
【0013】
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(OA、AO)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンが挙げられる。これらのオキシアルキレン基は複数の混合でもよい。複数の混合の場合、その結合様式はブロック、ランダム及びこれらの混合のいずれでもよいが、ブロック、及びブロックとランダムとの混合が好ましく、さらに好ましくはブロックである。
一般式(1)〜(3)で示される化合物のそれぞれには、オキシエチレン基が必ず含まれており、その含有量(重量%)は、それぞれの化合物のオキシアルキレン基の合計重量に基づいて、少なくとも80が好ましく、さらに好ましくは85以上、特に好ましくは90以上である。この範囲であると、仕上り性がさらに良好となる。
【0014】
Xのうち、炭素数1〜24の炭化水素基としては、アルキル及びアルケニル等が含まれる。
アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、イソトリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、イソステアリル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−ヘンエイコシル及びn−ドコシル等が挙げられる。
アルケニルとしては、n−オクテニル、n−デセニル、n−ウンデセニル、n−ドデセニル、n−トリデセニル、n−テトラデセニル、n−ペンタデセニル、n−ヘキサデセニル、n−ヘプタデセニル、n−オクタデセニル、イソオクテニル、イソデセニル、イソウンデセニル、イソドデセニル、イソトリデセニル、イソテトラデセニル、イソペンタデセニル、イソヘキサデセニル、イソヘプタデセニル及びイソオクタデセニル等が挙げられる。
Xのうち、仕上がり性の観点等から、水素原子及びアルキルが好ましく、さらに好ましくは水素原子及びメチルである。
【0015】
m及びnは、それぞれ、20〜500の整数であり、好ましくは30〜300、さらに好ましくは40〜200である。この範囲であると仕上り性がさらに良好となる。
a及びdは、それぞれ、1〜100の整数であり、好ましくは2〜70、さらに好ましくは3〜40である。この範囲であると、仕上り性がさらに良好となる。
bは、40〜500の整数であり、好ましくは55〜400、さらに好ましくは70〜300である。この範囲であると、仕上り性がさらに良好となる。
cは、1〜5の整数であり、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3である。この範囲であると、仕上り性がさらに良好となる。
(b×c)は150〜2500であり、好ましくは200〜2000、さらに好ましくは250〜1500である。この範囲であると、仕上り性がさらに良好となる。
fは、200〜25000の整数であり、好ましくは400〜20000、さらに好ましくは600〜15000である。この範囲であると、仕上り性がさらに良好となる。
【0016】
一般式(1)で示されるウレタン化合物(A)は、通常、(−OA)m、(−AO)n等には分布が生じるため、混合物であってもよい。
混合物の場合、一般式(1)で示されるウレタン化合物(A)の重量平均分子量(Mw)は、2000〜4万が好ましく、さらに好ましくは3000〜3万、特に好ましくは4000〜2万である。この範囲であると、仕上り性がさらに良好となる。
【0017】
一般式(2)で示されるウレタン化合物(B)は、通常、(−OA)a、(−OA)b、(−OA)d及び[OC(O)−NH−Y−NH−C(O)−(OA)b−]c等には分布が生じるため、混合物であってもよい。
混合物の場合、一般式(2)で示されるウレタン化合物(B)の重量平均分子量(Mw)は、1万〜10万が好ましく、さらに好ましくは1.5万〜8万、特に好ましくは2万〜6万である。この範囲であると、仕上り性がさらに良好となる。
【0018】
一般式(3)で示されるポリオキシアルキレン化合物(C)は通常、(−OA)fには分布が生じるため、混合物であってもよい。
混合物の場合、一般式(3)で示されるポリオキシアルキレン化合物(C)の重量平均分子量(Mw)は、1万〜100万が好ましく、さらに好ましくは2万〜75万、特に好ましくは3万〜50万である。この範囲であると、仕上り性がさらに良好となる。
【0019】
なお、重量平均分子量(Mw)は、分子量既知のポリスチレンを標準物質としてゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定することができる。例えば、東ソ−(株)製(型式HLC−8120GPC)GPC装置;東ソ−製型式SuperH−4000×2本及び同型式SuperH−3000×1本をそれぞれ直列に接続したカラム、示差屈折検出器、東ソー(株)製データ処理機(形式SC−8020)を用い、カラム温度を40℃、溶離液をTHF(試薬1級、片山化学工業製)、流速を0.5ml/min.、試料濃度を1重量%、試料溶液注入量を10μlとして測定される。
【0020】
一般式(1)で示されるウレタン化合物(A)及び一般式(2)で示されるウレタン化合物(B)は、公知のウレタン化反応を用いて合成することができる(たとえば、特開2000−303006公報)。例えば、ウレタン化合物(A)は、ポリエーテルモノオールとジイソシアネートとを2〜10時間反応して合成できる。また、ウレタン化合物(B)は、ポリエーテルモノオール、ポリエーテルジオール及びジイソシアネートを2〜10時間反応して合成できる。反応により一部副生成物ができる場合があるが、副生成物との混合物のままで使用できる。
【0021】
一般式(3)で示されるポリオキシエチレン化合物(C)は、公知のポリエーテル化反応及びアルコキシ化反応を用いて合成することができる。なお、必要に応じて、公知の溶剤や反応触媒を使用することが出来る。
【0022】
ウレタン化合物(A)の含有量(重量%)は、ウレタン化合物(A)、ウレタン化合物(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の合計重量に基づいて、10〜80が好ましく、さらに好ましくは20〜70、特に好ましくは25〜65である。この範囲であると、仕上り性がさらに良好となる。
ウレタン化合物(B)の含有量(重量%)は、ウレタン化合物(A)、ウレタン化合物(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の合計重量に基づいて、10〜80が好ましく、さらに好ましくは15〜60特に好ましくは17〜40である。この範囲であると、仕上り性がさらに良好となる。
ポリオキシアルキレン化合物(C)の含有量(重量%)は、ウレタン化合物(A)、ウレタン化合物(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の合計重量に基づいて、10〜80が好ましく、さらに好ましくは15〜60、特に好ましくは17〜40である。この範囲であると、仕上り性がさらに良好となる。
【0023】
本発明の粘性改良剤は必要に応じて、有機溶剤及び/又は水を含有してもよい。
有機溶剤としては、特に限定されないが、アルコール及びエーテル等が含まれる。
アルコールとしては、炭素数1〜8のモノオール及び炭素数1〜12のジオール等が含まれる。モノールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール及び2−エチルヘキシルアルコール等が挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びテトラプロピレングリコール等が挙げられる。
エーテルとしては、炭素数2〜12のエーテル等が含まれ、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル及びジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
有機溶剤及び/又は水を含有する場合、これらの合計含有量(重量%)は、ウレタン化合物(A)、ウレタン化合物(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の重量に基づいて、10〜99が好ましく、さらに好ましくは30〜99、特に好ましくは50〜99である。
有機溶剤及び水を含有する場合、これらの含有重量比(有機溶剤/水)は、1/99〜90/10が好ましく、さらに好ましくは1/99〜70/30、特に好ましくは1/99〜50/50である。
【0024】
また、本発明の粘性改良剤は必要に応じて、他の添加剤{本発明以外の粘性改良剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、湿潤剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤及び耐水化剤等}を含有してもよい(たとえば、特開昭54−80349号公報に記載の添加剤等)。
他の添加剤を含有する場合、これらの合計含有量(重量%)は、ウレタン化合物(A)、ウレタン化合物(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の重量に基づいて、1〜70が好ましく、さらに好ましくは2〜60、特に好ましくは3〜50である。
【0025】
本発明の粘性改良剤は、ウレタン化合物(A)、ウレタン化合物(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)を均一混合することにより得られる。ウレタン化合物(A)、ウレタン化合物(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)は通常、固体であるため、均一混合は、溶融混合又は溶解混合することが好ましい。
均一混合の方法は、通常の方法でよく、混合効率の観点等から、70〜150℃程度で混合することが好ましい。混合効率及び使用時の容易さの観点等から、上記記載の有機溶剤及び/又は水の存在下で均一混合することがより好ましい。この場合、粘性改良剤の有機溶剤及び/又は水の混合物は通常、溶液又は分散液になる。この溶液又は分散液を粘性改良剤溶液又は分散液として使用することができる。
【0026】
本発明の粘性改良剤は、各種水性液体(特に塗料等)の粘性を改良するのに用いることができる。水性液体としては、水溶液、水乳化液及び水分散液等のいずれでもよい。
本発明の粘性改良剤は、各種水性液体のうち、水系塗料用として好適であり、さらに水系エマルション塗料、特に工業用エマルション塗料に適している。
【0027】
水系エマルション塗料(特に工業用エマルション塗料)は、エマルション、水性樹脂、硬化剤、顔料、有機溶剤、水及びその他の添加剤等から構成される。
エマルションとしては、アクリル樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、アクリルスチレン樹脂エマルション、シリコーン樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、SBラテックス、SBRラテックス、ABSラテックス、NBRラテックス及びCRラテックス等が挙げられる。
【0028】
水性樹脂としては、アクリル樹脂、ビニル樹脂、オイルフリーアルキッド樹脂、油変成アルキッド樹脂、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0029】
硬化剤としては、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−又はヘキサ−メチロールメラミン及びそれらのメチルエーテル化物、尿素−ホルムアルデヒド縮合物、尿素−メラミン縮合物等が挙げられる。
【0030】
顔料としては、無機顔料(炭酸カルシウム、酸化チタン、サチンホワイト、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、石膏、シリカ及びフェライト等)及び有機顔料(カーボンブラック、キナクリドンレッド、フタロシアニンブルー、ポリスチレンピグメント等のプラスチックピグメント等)の他に、メタリック顔料(アルミニウムフレーク、銅フレーク、雲母状酸化鉄、雲母、及び雲母に金属酸化物を被覆した鱗片状粉末等)等も使用できる。
有機溶剤としては、上記と同様の有機溶剤等が使用できる。
その他の添加剤としては、上記と同様の添加剤等が使用できる。
【0031】
本発明の粘性改良剤は、グラインディングステ−ジ(混練工程)に添加してもよく、レットダウンステ−ジ(調整工程)に添加してもよい。
本発明の粘性改良剤を水性液体(特にエマルション塗料)等に配合させる場合、粘性改良剤の含有量(重量%)は、エマルション塗料の重量に基づいて、0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.05〜7.5、特に好ましくは0.1〜5である。この範囲であると、エマルション塗料の粘度がさらに良好となる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、部又は%とあるのは重量部又は重量%を意味する。また、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、東ソ−(株)製(型式HLC−8120GPC)GPC装置;東ソ−製型式SuperH−4000×2本及び同型式SuperH−3000×1本をそれぞれ直列に接続したカラム、示差屈折検出器、東ソー(株)製データ処理機(形式SC−8020)を用い、カラム温度を40℃、溶離液をTHF(試薬1級、片山化学工業製)、流速を0.5ml/min.、試料濃度を1重量%、試料溶液注入量を10μl、標準ポリスチレン{東ソー(株)製、A−1000、A−2500、A−5000、F−1、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40、F−80、F128}として測定した。
【0033】
<製造例1>
n−ペンタデシルアルコ−ル/エチレンオキシド100モル付加物[(水酸基価(OH−V):12.1、数平均分子量4628(OH−V換算の数平均分子量、以下同様)]1851部(0.4モル部)を減圧下(−0.095〜−0.098MPa)にて90〜100℃で3時間脱水し、水分含量を0.005%以下とした(カールフィッシャー法、以下同様)。次いで、70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト[三井武田ケミカル(株)製、タケネート700]33.6部(0.2モル部)及びジブチル錫ジラウレート[三共有機合成(株)製、STANN BL]0.19部を加え、窒素気流下、80〜100℃にて5時間反応させ、白色粘稠液状のウレタン化合物(A1)を得た。なお、ジ−n−ブチルアミンのジオキサン溶液を用いるイソシアナト基含有量測定法にてイソシアナト基の消失を確認した(以下、同じ)。また、ポリスチレン標準によるGPC測定による重量平均分子量(Mw)は1.32万であった。
【0034】
<製造例2>
1351部(0.4モル部)のエイコシルアルコ−ル/エチレンオキシド70モル付加物(OH−V:16.6、数平均分子量3378)を減圧下(−0.095〜−0.098MPa)にて90〜100℃で3時間脱水し、水分含量を0.004%以下とした。次いで、70℃に冷却し、キシリレンジイソシアネ−ト[三井武田ケミカル(株)製、タケネート500]37.6部(0.2モル部)及びジブチル錫ジラウレートの0.14部を加え、窒素気流下、80〜100℃にて5時間反応させ、白色粘稠液状のウレタン化合物(A2)を得た。なお、Mwは1.18万であった。
【0035】
<製造例3>
1374部(0.2モル部)のn−オクタデシルアルコ−ル/エチレンオキシド150モル付加物(OH−V:8.2、数平均分子量6870)を減圧下(−0.095〜−0.098MPa)にて90〜100℃で3時間脱水し、水分含量を0.003%以下とした。次いで、70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト16.8部(0.1モル部)及びジブチル錫ジラウレートの0.14部を加え、窒素気流下、80〜100℃にて5時間反応させ、白色粘稠液状のウレタン化合物(A3)を得た。なお、Mwは1.18万であった。
【0036】
<製造例4>
801部(0.4モル部)のn−セチルアルコ−ル/エチレンオキシド40モル付加物(OH−V:28.0、数平均分子量2000)を減圧下(−0.095〜−0.098MPa)にて90〜100℃で3時間脱水し、水分含量を0.006%以下とした。次いで、70℃に冷却し、イソホロンジイソシアネ−ト[住友バイエルウレタン(株)製、IPDI]44.4部(0.2モル部)及びジブチル錫ジラウレートの0.08部を加え、窒素気流下、80〜100℃にて5時間反応させ、白色粘稠液状のウレタン化合物(A4)を得た。なお、Mwは0.68万であった。
【0037】
<製造例5>
1946部(0.4モル部)のドコシルアルコ−ル/プロピレンオキシド10モル/エチレンオキシド90モルブロック付加物(OH−V:11.5、数平均分子量4866)を減圧下(−0.095〜−0.098MPa)にて90〜100℃で3時間脱水し、水分含量を0.005%以下とした。次いで、70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト33.6部(0.2モル部)及びジブチル錫ジラウレートの0.20部を加え、窒素気流下、80〜100℃にて5時間反応させ、白色粘稠液状のウレタン化合物(A5)を得た。なお、Mwは1.41万であった。
【0038】
<製造例6>
1787部(0.1モル部)のイソステアリルアルコ−ル/エチレンオキシド400モル付加物(OH−V:3.1、数平均分子量17870)を減圧下(−0.095〜−0.098MPa)にて90〜100℃で3時間脱水し、水分含量を0.006%以下とした。次いで、70℃に冷却し、キシリレンジイソシアネ−ト9.4部(0.05モル部)及びジブチル錫ジラウレートの0.18部を加え、窒素気流下、80〜100℃にて5時間反応させ、白色粘稠液状のウレタン化合物(A6)を得た。なお、Mwは3.8万であった。
【0039】
<製造例7>
1163部(0.4モル部)のオレイルアルコ−ル/エチレンオキシド60モル付加物(OH−V:19.3、数平均分子量2908)を減圧下(−0.095〜−0.098MPa)にて90〜100℃で3時間脱水し、水分含量を0.004%以下とした。次いで、70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト33.6部(0.2モル部)及びジブチル錫ジラウレートの0.12部を加え、窒素気流下、80〜100℃にて5時間反応させ、白色粘稠液状のウレタン化合物(A7)を得た。なお、Mwは1.03万であった。
【0040】
<製造例8>
PEG−6000S[三洋化成工業(株)製、ポリエチレングリコ−ル、OH−V:13.5、数平均分子量8300]1079部(0.13モル部)、及びn−ペンタデシルアルコ−ル/エチレンオキシド20モル付加物(OH−V:50.6、数平均分子量1108)221.6部(0.2モル部)を混合して、減圧下(−0.095〜−0.098MPa)にて90〜100℃で3時間脱水し、混合物の水分含量を0.005%以下とした。次いで、この混合物を70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト38.6部(0.23モル部)及びジブチル錫ジラウレート0.1部を加え、窒素気流下、80〜100℃にて5時間反応させ、白色粘稠液状のウレタン化合物(B1)を得た。なお、Mwは3.2万であった。
【0041】
<製造例9>
1245部(0.15モル部)のPEG−6000S、及び103.6部(0.2モル部)のエイコシルアルコ−ル/エチレンオキシド5モル付加物(OH−V:108.3、数平均分子量518)を混合して、減圧下(−0.095〜−0.098MPa)にて90〜100℃で3時間脱水し、混合物の水分含量を0.004%以下とした。次いで、この混合物を70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト42部(0.25モル部)及びジブチル錫ジラウレートの0.08部を加え、窒素気流下、80〜100℃にて5時間反応させ、白色粘稠液状のウレタン化合物(B2)を得た。なお、Mwは4.2万であった。
【0042】
<製造例10>
1660部(0.2モル部)のPEG−6000S、及び377.8部(0.2モル部)のn−オクタデシルアルコ−ル/エチレンオキシド40モル付加物(OH−V:29.7、数平均分子量1889)を混合して、減圧下(−0.095〜−0.098MPa)にて90〜100℃で3時間脱水し、混合物の水分含量を0.006%以下とした。次いで、この混合物を70℃に冷却し、キシリレンジイソシアネ−ト56.4部(0.3モル部)及びジブチル錫ジラウレートの0.15部を加え、窒素気流下、80〜100℃にて5時間反応させ、白色粘稠液状のウレタン化合物(B3)を得た。なお、Mwは6.2万であった。
【0043】
<製造例11>
PEG−13000[三洋化成工業(株)製、ポリエチレングリコ−ル、OH−V:8.6、数平均分子量13050]1305部(0.1モル部)、n−セチルアルコ−ル/エチレンオキシド20モル付加物(OH−V:50.0、数平均分子量1122)224.4部(0.2モル部)を混合して、減圧下(−0.095〜−0.098MPa)にて90〜100℃で3時間脱水し、混合物の水分含量を0.003%以下とした。次いで、この混合物を70℃に冷却し、イソホロンジイソシアネ−ト44.4部(0.2モル部)及びジブチル錫ジラウレートの0.13部を加え、窒素気流下、80〜100℃にて5時間攪拌反応させ、白色粘稠液状のウレタン化合物(B4)を得た。なお、Mwは4.4万であった。
【0044】
<製造例12>
PEG−4000S[三洋化成工業(株)製、ポリエチレングリコ−ル、OH−V:34.0、数平均分子量3300]990.0部(0.3モル部)、イソステアリルアルコール/プロピレンオキシド10モル/エチレンオキシド10モルブロック付加物(OH−V:45.0、数平均分子量1247)249.4部(0.2モル部)を混合して、減圧下(−0.095〜−0.098MPa)にて90〜100℃で3時間脱水し、混合物の水分含量を0.003%以下とした。次いで、この混合物を70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト67.2部(0.4モル部)及びジブチル錫ジラウレートの0.10部を加え、窒素気流下、80〜100℃にて5時間反応させ、白色粘稠液状のウレタン化合物(B5)を得た。なお、Mwは3.3万であった。
【0045】
<製造例13>
830部(0.1モル部)のPEG−6000S、及び912.2部(0.2モル部)のオレイルアルコール/プロピレンオキシド10モル/エチレンオキシド85モルブロック付加物(OH−V:12.3、数平均分子量4561)を混合して、減圧下(−0.095〜−0.098MPa)にて90〜100℃で3時間脱水し、混合物の水分含量を0.003%以下とした。次いで、この混合物を70℃に冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト33.6部(0.2モル部)及びジブチル錫ジラウレートの0.15部を加え、窒素気流下、80〜100℃にて5時間反応させ、白色粘稠液状のウレタン化合物(B6)を得た。なお、Mwは6.0万であった。
【0046】
<実施例1>
ウレタン化合物(A1)50部、ウレタン化合物(B2)20部及びポリオキシエチレンモノメチルエーテル(Mw:30万)(C1)30部を、80℃にて均一混合して固状の粘性改良剤(S1)を得た。
【0047】
<実施例2>
ウレタン化合物(A2)65部、ウレタン化合物(B3)18部及びポリオキシエチレン(Mw:15万)(C2)17部を、80℃にて均一混合して固状の粘性改良剤(S2)を得た。
【0048】
<実施例3>
ウレタン化合物(A3)70部、ウレタン化合物(B4)15部及びポリオキシエチレンモノステエアリルエーテル(Mw:3.5万)(C3)15部を、80℃にて均一混合して固状の粘性改良剤(S3)を得た。
【0049】
<実施例4>
ウレタン化合物(A4)80部、ウレタン化合物(B5)10部及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドランダム重合物(重量比にてエチレンオキシド/プロピレンオキシド=90/10、Mw:10万)(C4)10部を、80℃にて均一混合して固状の粘性改良剤(S4)を得た。
【0050】
<実施例5>
ウレタン化合物(A5)25部、ウレタン化合物(B6)60部及びポリオキシエチレン(Mw:50万)(C5)15部を、80℃にて均一混合して固状の粘性改良剤(S5)を得た。
【0051】
<実施例6>
ウレタン化合物(A6)10部、ウレタン化合物(B2)80部及び(C2)10部を、80℃にて均一混合して固状の粘性改良剤(S6)を得た。
【0052】
<実施例7>
ウレタン化合物(A7)20部、ウレタン化合物(B1)40部及び(C3)40部を、80℃にて均一混合して固状の粘性改良剤(S7)を得た。
【0053】
<実施例8>
ウレタン化合物(A1)10部、ウレタン化合物(B4)10部及び(C2)80部を、80℃にて均一混合して固状の粘性改良剤(S8)を得た。
【0054】
<実施例9>
ウレタン化合物(A2)20部、ウレタン化合物(B2)20部及び(C4)60部を、80℃にて均一混合して固状の粘性改良剤(S9)を得た。
【0055】
<比較例1〜7>
ウレタン化合物(A1)〜(A7)を、そのまま比較用の粘性改良剤(A1)〜(A7)とした。
【0056】
<比較例8〜13>
ウレタン化合物(B1)〜(B6)を、そのまま比較用の粘性改良剤(B1)〜(B6)とした。
【0057】
<比較例14〜18>
ウレタン化合物(C1)〜(C5)を、そのまま比較用の粘性改良剤(C1)〜(C5)とした。
【0058】
<比較例19>
ポリエチレングリコール(Mn:8300)ジステアレートを粘性改良剤(PEG−St)として用いた。
【0059】
<比較例20>
特開2000−313845公報に記載された製造例1に準拠して、メタクリル酸/アクリル酸エチル=50/50重量%のアクリルポリマー(Mw:30万)エマルション(30重量%)を製造し、これを粘性改良剤(ASE)とした。
【0060】
実施例1〜7及び比較例1〜20で得た粘性改良剤の性能(平滑性、鮮映性、タレ防止性及び耐溶剤性)を以下の方法により評価し、結果を表1に示した。
<タレ防止性>
(1)評価液の調製
評価用試料(実施例1〜7及び比較例1〜19で得た粘性改良剤)15部、ブチルセロソルブ25部及び水60部を均一混合し評価液を調製した。比較例20の粘性改良剤は脱イオン水で2倍に希釈したものを評価液として用いた。
【0061】
(2)評価用エマルション塗料(熱硬化型工業用エマルション塗料)の調製
次いで、この評価液2.5部、アクリルエマルション(ボンコートEC−889、大日本インキ化学(株)製)250部、水溶性アクリル樹脂(ボンコート3980、大日本インキ化学(株)製)189部、水溶性メラミン樹脂(サイメル370、三井サイアナミッド(株)製)47部、二酸化チタン(タイペークCR−95、石原産業(株)製)189部、ブチルセロソルブ57部、脱イオン水506部及び消泡剤(SNデフォーマー399、サンノプコ(株)製)2部を均一混合して、調整溶液を得た。
この調整溶液の粘度{フォードカップNO.4(安田精機製作所(株)製)}が20秒になるように、調整溶液を脱イオン水で希釈して評価用エマルション塗料を得た。
【0062】
(3)塗装
脱脂したブリキ板(20cm×30cm、厚み:0.3mm)に評価用エマルション塗料を膜厚40μmになるようにエアスプレー塗装(ワイダーW−88カップガン、岩田塗装機(株)製、膜厚傾斜塗装、排圧:4kg/cm2)して、塗装ブリキ板を得た。
【0063】
(4)評価
塗装ブリキ板を垂直に立てかけ10分間ブース内でセッティング(ブース内温度:25℃、相対湿度:75%RH)し、直後の塗料の垂れ具合を肉眼にて観察して次の基準で評価した。
○:塗料の垂れ跡がない
△:塗料の垂れ跡が少しある
×:塗料の垂れ跡が多くある
【0064】
<平滑性>
タレ防止性を評価した後、塗装ブリキ板を160℃のオーブンに20分間水平にして放置して焼き付けブリキ板を得た。焼き付けブリキ板を室温(約25℃)に冷却した後、塗膜表面を肉眼にて観察して次の基準で評価した。
○:ハジキ、クレーターが殆ど無い
△:ハジキ、クレーターが少しある
×:ハジキ、クレーターが多くある
【0065】
<鮮映性>
平滑性の評価に引き続き、塗膜表面について、20°グロスをそれぞれ6箇所測定し(光沢度計VGS−300A、日本電色工業(株)製)、これらの平均値を鮮映性とした。この値が高い程、鮮映性に優れていることを示す。
【0066】
<耐溶剤性>
鮮映性の評価に引き続き、焼き付けブリキ板を25℃の溶剤(石油ベンジン/トルエン=90%/10%)に4時間浸せきした後、取り出して2時間垂直に立てかけてから、塗膜表面の状態を肉眼にて観察して次の基準で評価した。
○:しわ、膨れ、はがれ、割れが殆ど無い
△:しわ、膨れ、はがれ、割れが少しある
×:しわ、膨れ、はがれ、割れが多くある
【0067】
【表1】

注1)調整溶液を希釈するために用いた脱イオン水の量(部)
注2)ブランク:評価液の代わりに脱イオン水を用いた以外は同様である。
【0068】
仕上り性(平滑性及び鮮映性)、タレ防止性及び耐溶剤性について、実施例の粘性改良剤は、比較例の粘性改良剤に比較して極めて優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の粘性改良剤は、各種水性液体(特に塗料等)の粘性を改良するのに用いることができる。本発明の粘性改良剤は、各種水性液体のうち、水系塗料用として好適であり、さらに水系エマルション塗料、特に工業用エマルション塗料(PCM、自動車塗料及び重防蝕塗料等)に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示されるウレタン化合物(A)と、
一般式(2)で示されるウレタン化合物(B)と、
一般式(3)で示されるポリオキシアルキレン化合物(C)とを含んでなることを特徴とする粘性改良剤。
【化1】

Rは炭素数8〜24の炭化水素基、Yはジイソシアネ−トからイソシアナト基を除いた反応残基、OA及びAOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Xは水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Nは窒素原子、m及びnはそれぞれ20〜500の整数、a及びdはそれぞれ1〜100の整数、bは40〜500の整数、cは1〜5の整数を表し、(b×c)は150〜2500であり、fは200〜25000の整数を表し、複数個のR、Y及びXは同じでも異なっていてもよく、それぞれの化合物においてオキシアルキレン基の合計重量の少なくとも80重量%がオキシエチレン基である。
【請求項2】
ウレタン化合物(A)、ウレタン化合物(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の重量に基づいて、それぞれの含有量が10〜80重量%である請求項1に記載の粘性改良剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の粘性改良剤を0.01〜10重量%配合してなる水系エマルション。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の粘性改良剤を0.01〜10重量%配合してなる水系エマルション塗料。

【公開番号】特開2007−63485(P2007−63485A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254257(P2005−254257)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】