説明

粘性物押し出し容器

【課題】確実に一定量の粘性物を押し出すことのできる粘性物押し出し容器を提供する。
【解決手段】外筒11と該外筒11の内方に位置する円柱状の押し棒12とが一端に設けられた板状の天板13で連結された外容器1と、前記外筒11の内面と前記押し棒12の外面に沿って押し込み可能な、粘性物3を収納する円筒状の内容器2とからなり、外容器1の外筒11には、軸方向と円周方向に交互に折れ曲がるガイドトラック14が設けられ、内容器2には、前記ガイドトラック14内を移動可能に収まるガイド突起24が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘性物押し出し容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗浄や防汚成分を含んだジェルを水洗トイレの便器に一定量押し付けておいて、トイレの水を流すたびに、ジェルが溶けて便器を洗浄し、汚れを防ぐようにするトイレ用洗浄剤がある。
【0003】
このようなトイレ洗浄剤などに用いる容器兼用の器具として、トイレ洗浄剤などの流動性粘着性ジェルを内蔵した本体とプランジャからなり、プランジャで流動性粘着性ジェルを押し出すときに、一定量押し出すように、本体外側に取り付けられたガイドピンが、プランジャに配置されたガイドトラック内を移動し、ガイドトラックに設けられた複数の貫通穴の間の移動に一定量の流動性粘着性ジェルを押し出すようにした器具がある(特許文献1)。
【0004】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009−500254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記、特許文献1においては、ガイドピンが貫通穴で止まることを前提としているが、使用者が目でみて位置を確認して押し出す必要があり、勢い良く押し出していると、止まらずにプランジャが、一定量以上の流動性粘着性ジェルを押し出してしまうことがある。また、ガイドピンなど複雑な構造となっている。
【0007】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、確実に一定量の粘性物を押し出すことのできる粘性物押し出し容器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る発明は、外筒と該外筒の内方に位置する円柱状の押し棒とが一端に設けられた板状の天板で連結された外容器と、前記外筒の内面と前記押し棒の外面に沿って押し込み可能な、粘性物を収納する円筒状の内容器とからなり、外容器の外筒には、軸方向と円周方向に交互に折れ曲がるガイドトラックが設けられ、内容器には、前記ガイドトラック内を移動可能に収まるガイド突起が設けられていることを特徴とする粘性物押し出し容器である。
【0009】
本発明の粘性物押し出し容器は、以上のような構成であって、押し棒で内容器に収納された粘性物を押し出すとき、ガイド突起がガイドトラックの軸方向に移動し、ガイドトラックが円周方向に折れ曲がった位置でガイド突起が突き当たり止るので、軸方向に移動した分だけ粘性物が押し出され、確実に一定量の粘性物を押し出すことができる。また、構造が簡単である。
【0010】
本発明の請求項2に係る発明は、前記ガイドトラックの軸方向部分には、円周方向への折れ曲がり部の押し込み方向で手前に、前記ガイド突起を軸方向に戻りにくくするための
円周方向に突出する戻り防止凸部が、設けられていることを特徴とする請求項1に記載の粘性物押し出し容器である。
【0011】
本発明は、粘性物押し出し容器が、ガイドトラックの軸方向部分には、円周方向への折れ曲がり部の押し込み方向で手前に、前記突起を円周方向に突出する戻り防止凸部が設けられているので、押し込んだ押し棒が戻ろうとしても、ガイド突起が戻り防止凸部に当たり、戻りにくい。また、押し込むときも抵抗を感じるので、押し棒を止める位置がわかりやすい。
【0012】
本発明の請求項3に係る発明は、前記ガイドトラックの円周方向部分には、軸方向への折れ曲がり部の手前に前記ガイド突起が軸方向に進みにくくするための、軸方向に突出する乗り越え防止凸部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の粘性物押し出し容器である。
【0013】
本発明は、粘性物押し出し容器が、ガイドトラックの円周方向部分には、軸方向への折れ曲がり部の手前に、軸方向に突出する乗り越え防止凸部が設けられているので、ガイド突起が乗り越え防止凸部を越えて次の軸方向部分に行くことなく、ガイドトラックの円周方向部分で止まって、一定量の粘性物を押し出すことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粘性物押し出し容器は、確実に一定量の粘性物を押し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)本発明の粘性物押し出し容器の一例を模式的に正面で示した説明図である。(B)粘性物の充填された本発明の粘性物押し出し容器の一例を模式的に断面で示した説明図である。
【図2】(A)本発明の粘性物押し出し容器の一例の容器本体を模式的に正面で示した説明図である。(B)本発明の粘性物押し出し容器の一例の押し棒を模式的に正面で示した説明図である。
【図3】図2(A)の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。
図1(A)は、本発明の粘性物押し出し容器の一例を模式的に正面で示した説明図である。(B)は、本発明の粘性物押し出し容器の一例を模式的に断面で示した説明図である。図2(A)は、本発明の粘性物押し出し容器の一例の容器本体を模式的に正面で示した説明図である。(B)は、本発明の粘性物押し出し容器の一例の押し棒を模式的に正面で示した説明図である。
【0017】
本例の粘性物押し出し容器は、外容器1と内容器2とからなり、外容器1は、外筒11と外筒11の内方に位置する円柱状の押し棒12とが一端に設けられた板状の天板13で連結されて形成されている。本例では、押し棒12を一端が開放された中空の円柱としている。
【0018】
内容器2は、外筒11の内面と押し棒12の外面に沿って押し込み可能な円筒状の内筒21からなり、内部に粘性物3が収納される。そして、内筒21の下端は開放されていて、押し棒12により押された粘性物3が押し出される押し出し口22になっている。押し出し口22の内筒21には、リング23が設けられていて、粘性物3を付着させる便器などの付着対象物面に垂直に押し付けやすいようになっている。
【0019】
外容器1の外筒11には、外筒11の軸方向と円周方向に交互に折れ曲がるクランク形状の切れ込みからなるガイドトラック14が設けられている。また、内容器2には、ガイドトラック14内を移動可能に収まる円柱状のガイド突起24が設けられている。
【0020】
図3は、図2(A)の丸で囲んだところの部分拡大図である。
図3のように、ガイドトラック14の軸方向部分には、円周方向への折れ曲がり部の内容器2を外容器1に押し込む方向の手前に、ガイド突起24を軸方向に戻りにくくするための円周方向に突出する戻り防止凸部15が、設けられている。
【0021】
また、ガイドトラック14の円周方向部分には、軸方向への折れ曲がり部の手前にガイド突起24が軸方向に進みにくくするための、軸方向に突出する乗り越え防止凸部16が設けられている。
【0022】
本発明の粘性物押し出し容器の外容器1と内容器2には、剛性あるいは準剛性の材質が用いられる。用いられる材質としてはプラスチックや金属が好ましい。特にプラスチックが好ましく用いられる。プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネイトなどが使用できる。
【0023】
本発明の粘性物押し出し容器の内容器2の内筒21へ、収納物の粘性物3を充填するには、内筒21の押し出し口22に剥離可能な蓋を取り付けて、押し出し口22と反対側より、加熱して流動性を高めた粘性物3を充填すればよい。
【0024】
剥離可能な蓋としては、例えば、片面に粘着剤や剥離可能なシーラントフィルムを設けたシート状の蓋材が使用可能である。
【0025】
この粘性物3が充填された内筒21の充填した側の端部を外筒11の内面と押し棒12の外面に沿って押し込む。このとき、ガイド突起24をガイドトラック14に入り込むようにする。このようにして、粘性物3が充填された粘性物押し出し容器が出来上がる。
【0026】
粘性物3が充填された本発明の粘性物押し出し容器を用いて、便器などの付着対象物面に粘性物3を付着させるには、まず、ガイド突起24の位置を、乗り越え防止凸部16を越えさせ、ガイドトラック14の軸方向に移動可能な位置にする。
【0027】
次に、外筒11を持って、内筒21の押し出し口22あるいはリング23を便器などの付着対象物面に触れさせ、外筒11を付着対象物面方向へ押していく。このようにすると、内筒21の中の粘性物3が押し出され付着対象物面に付着する。
【0028】
そして、外筒11を押していくと、ガイド突起24が、戻り防止凸部15を超えるときに若干の抵抗があり、続いて、ガイド突起24がガイドトラック14の円周方向への折れ曲がり部に突き当たって止まる。このとき、乗り越え防止凸部16があるので、ガイドトラック14の軸方向に移動可能な位置に行くことがない。このようにして、軸方向へのガイド突起24の移動分だけ、内筒21の中の粘性物3が押し出すことができるので、一定量の粘性物3を押し出すことができる。
【0029】
ガイド突起24がガイドトラック14の円周方向への折れ曲がり部に突き当ったら、粘性物押し出し容器を付着対象物面から離して、付着対象物面への粘性物3の付着が終了する。次回、便器などの付着対象物面に粘性物3を付着させるには、また、ガイド突起24の位置を、乗り越え防止凸部16を越えさせ、ガイドトラック14の軸方向に移動可能な位置にすることより繰り返せばよい。
【符号の説明】
【0030】
1・・・・外容器
11・・・外筒
12・・・押し棒
13・・・天板
14・・・ガイドトラック
15・・・戻り防止凸部
16・・・乗り越え防止凸部
2・・・・内容器
21・・・内筒
22・・・押し出し口
23・・・リング
24・・・ガイド突起
3・・・・粘性物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒と該外筒の内方に位置する円柱状の押し棒とが一端に設けられた板状の天板で連結された外容器と、前記外筒の内面と前記押し棒の外面に沿って押し込み可能な、粘性物を収納する円筒状の内容器とからなり、外容器の外筒には、軸方向と円周方向に交互に折れ曲がるガイドトラックが設けられ、内容器には、前記ガイドトラック内を移動可能に収まるガイド突起が設けられていることを特徴とする粘性物押し出し容器。
【請求項2】
前記ガイドトラックの軸方向部分には、円周方向への折れ曲がり部の押し込み方向で手前に、前記ガイド突起を軸方向に戻りにくくするための円周方向に突出する戻り防止凸部が、設けられていることを特徴とする請求項1に記載の粘性物押し出し容器。
【請求項3】
前記ガイドトラックの円周方向部分には、軸方向への折れ曲がり部の手前に前記ガイド突起が軸方向に進みにくくするための、軸方向に突出する乗り越え防止凸部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の粘性物押し出し容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−91506(P2013−91506A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233992(P2011−233992)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】